ブレーキシュー・ホールドダウン・クリップ
バックプレート13から離れるブレーキシュー11,12の運動に抗するための非線形のバネ動作を提供する形状に形成されたブレーキシュー・ホールドダウン・クリップ23,24が提供される。該ホールドダウン・クリップは、バックプレートから離れるブレーキシューの小さな運動に抗するための低いバネ定数と、バックプレートから離れるブレーキシューの大きな運動に応じて機能するようになる高いバネ定数とを有する。該クリップはバネループ33,34を含み、該ループの一端35,36は、低いバネ定数を提供するようブレーキシューと接触するよう設計され、該ループのうち該一端から離れた複数の部分37,38は、バックプレート13から離れるブレーキシュー11,12の大きな運動に応じて該ループが一層堅くなって高いバネ定数を提供するようブレーキシューと接触するよう設計される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキシューをそれに関連するドラムブレーキ・バックプレートに対して押さえつけるブレーキシュー・ホールドダウン・クリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかるホールドダウン・クリップは、ホールドダウン・ピンの頭部とそれに関連するブレーキシューのウェブとの間で従来使用されている(該ホールドダウン・ピンの他端は、ドラムブレーキ・バックプレートに係合する)。
【0003】
かかるホールドダウン・クリップは、周知のものであり、例えば英国特許第2000561号及び第2320302号に示されている。
【0004】
かかるホールドダウン・クリップは、一般に満足に機能するものではあるが、通常のブレーキ操作と特定の動的な条件で生じ得る極端なブレーキ負荷との両方を扱うことができるようにバックプレートから離れるブレーキシューの運動を制御する場合に問題が生じ得るものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記問題を克服し又は少なくとも部分的に緩和させる改善された形態のホールドダウン・クリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
よって、本発明によれば、バックプレートから離れるブレーキシューの運動に抗するための非線形のバネ動作を提供する形状に形成されたブレーキシュー・ホールドダウン・クリップが提供される。該ホールドダウン・クリップは、バックプレートから離れるブレーキシューの小さな運動に抗するための低いバネ定数と、バックプレートから離れるブレーキシューの大きな運動に応じて機能するようになる高いバネ定数とを有するものである。
【0007】
かかる非線形のバネ定数は、ブレーキの通常動作時にバックプレートから離れるブレーキシューの運動に抗するよう設計された低バネ定数と、ハンドブレーキ機能とサービスブレーキ機能との両方を同時に提供するようブレーキシューが駆動された場合または乱暴なブレーキングが行われた場合等、特定の高い動的な負荷が発生した際に機能するようになる高いバネ定数とを実施可能にするものである。このため、ブレーキシューの動作範囲全体にわたって一層適したレベルの制御が提供される。また、ブレーキの通常動作時にバックプレートから離れるブレーキシューの運動に抗する低いバネ定数のため、ブレーキシューとバックプレートとの間の摩擦が低くなり、このため、ブレーキをかける際にその摩擦力に打ち勝つのに浪費されるブレーキング作用が小さくなる。高いバネ定数は、結果的に高い摩擦力を生じさせるものであり、必要なときにのみ動作するようになる。
【0008】
この非線形のバネ定数は、ホールドダウン・クリップの形状の結果として達成されるものである。
【0009】
好適な一構成では、ホールドダウン・クリップはバネループを含み、該ループの一端は、低いバネ定数を提供するようブレーキシューと接触するように設計されており、該ループのうち該一端から離れた複数の部分は、バックプレートから離れるブレーキシューの大きな運動に応じて該ループが一層堅くなって高いバネ定数を提供するようブレーキシューと接触するように設計されている。
【0010】
好適な一構成では、該クリップは、関連するホールドダウン・ピンの頭部に係合する中央固定部分と、該中央固定部分の各端部から1つずつ延びる2つの外部バネループ部分とを含み、それらのループ部分は、該中央固定部分をブレーキシューに対して隔置された関係で通常保持すべく、関連するブレーキシューに向かって延びて該ブレーキシューに接触し、該バネ部分は、ブレーキシューがそれに関連するバックプレートから離れるよう移動する傾向にある場合に変形するよう構成される。
【0011】
都合の良いことに、該バネループの自由端は、ブレーキシューと通常接触して、バックプレートから離れるブレーキシューの小さな運動について低いバネ定数を提供し、各バネループの肘部分は、バックプレートから離れるブレーキシューの大きな運動でブレーキシューと接触して各ループを堅くし、これにより高いバネ定数を提供するよう構成されている。
【0012】
好適には、ホールドダウン・クリップは、バックプレートから離れるブレーキシューの考え得る運動を制限するよう構成される。
【0013】
これは、該ホールドダウン・クリップが事実上剛体になってバックプレートから離れるブレーキシューの更なる運動を阻止し、又は該クリップ自体の2つの部分が接触して該クリップを事実上剛体にしてバックプレートから離れるブレーキシューの運動を制限するように、該クリップ上の当接部をシュー・ウェブに係合するよう構成することにより、達成することが可能である。
【0014】
例えば、該ホールドダウン・クリップの中央固定部分上に形成されたフランジをブレーキシュー・ウェブに接触するよう構成して、バックプレートから離れるブレーキシューの運動を制限することが可能である。代替的には、該ホールドダウン・クリップの中央固定部分と接触するように、又は該中央固定部分に対する前記ループの取付部に隣接する個々のバネループの各々の上部の傾斜部分と接触するように、バネループの自由端上にフランジを構成することが可能である。
【0015】
ホールドダウン・クリップは、好適には、関連するホールドダウン・ピンの頭部を受容するスロットを含み、該スロットは、それを取り囲む接触領域を有しており、該接触領域は、円錐形、球形、又は矩形とすることが可能なものであり、それぞれ関連するホールドダウン・ピンの頭部の円錐形、球形、又は矩形の協働部分と接触する。
【0016】
また、本発明により提供されるブレーキシュー・ホールドダウン・クリップに含まれる中央固定部分は、関連するホールドダウン・ピンの頭部と、関連するブレーキシューに向かって延びて該ブレーキシューと接触する2つの外部バネ部分とに係合して、該中央固定部分を該ブレーキシューに対して隔置された関係に通常保持し、ブレーキシューがそれに関連するバックプレートから離れるよう移動する傾向にある場合に変形するよう前記バネ部分が構成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここで、添付図面に関連して本発明の一例について説明することとする。
【0018】
図1ないし図3を参照すると、バックプレート13上に取り付けられた一対のブレーキシュー11,12を有するドラムブレーキ10が示されている。該ブレーキシューは、その下端11a,12aと接触する固定された当接部14と反作用し、バックプレート13上に取り付けられた従来のホイールシリンダ15が、前記ブレーキシューの上端11b,12b間に配置される。
【0019】
ブレーキが駆動されていない場合には、従来の戻りバネ16,17が該ブレーキシュー間に作用して該ブレーキシューを後退させる。また、自動調節ストラット18は、ブレーキシューがそのブレーキ解放位置にあるときに該ブレーキシューと協働するドラム(図示せず)との間隔を自動的に調節するように該ブレーキシュー間に作用し、これにより、ブレーキシューが消耗した際にブレーキの有効性が維持される。適当な形態の自動調節ストラットが本出願人の特許第EP0538909号に記載されている。
【0020】
ホイールシリンダ15により油圧作動されるブレーキに加えて、ハンドブレーキレバー19もまた回動軸20によりブレーキシュー12の下側で回動する。従来と同様に、ハンドブレーキ作動ケーブル(図示せず)をレバー19の下端19aに取り付け、該レバー19を矢印Bの方向に回動させて、ハンドブレーキレバーの上部19bを自動調節ストラット18に係合させることにより、該ストラットを矢印Cで示す右方へ強制的に移動させて、ブレーキシュー11をそれに関連するブレーキドラムに接触させ、その反作用によりブレーキシュー12もまた該ブレーキドラムに係合することになる。
【0021】
ここまで説明したドラムブレーキは、従来の構成を有するものである。
【0022】
本発明によれば、ブレーキシュー11,12は、ホールドダウン・ピン21,22によりそれぞれバックプレート13上に押さえつけられ、ホールドダウン・クリップ23,24は、各ホールドダウン・ピンの頭部21a,22aと各ブレーキシューのウェブ25,26との間に配置される。この構成は、図2から最も容易に理解することができ、同図はまた、各ホールドダウン・ピンの各他端21b,22bがバックプレート13の下側と係合することを示している。
【0023】
図4ないし図7に明らかに示されているように、クリップ24(クリップ23と同一)は、スロット31を有する中央固定部分30を有しており、該スロット31は、関連するホールドダウン・ピン22の頭部22aを受容し、及び該頭部22aの幾分か球状の下側と協働する幾分か球状の台座部分32を含む。中央固定部分30の各端部から延びているのがバネループ部分33,34であり、該バネループ部分33,34は、関連するブレーキシュー12のウェブ部分26に向かって丸く延びて該ウェブ部分26と接触する。図4ないし図7に示すホールドダウン・クリップ構成では、ブレーキの通常動作時にバネループの自由端35,36がそれらに関連するブレーキシュー・ウェブ(図2及び図4参照)に接触し、バックプレートから離れるブレーキシューの運動に抗する際に該バネループ33,34が低バネ定数で動作するようになる。各バネループ33,34はまた肘部37,38を含み、バックプレートから離れるブレーキシューの大きな変位が生じた際に、該肘部37,38の各々が(図3及び図5に示すような)関連するブレーキシュー12と接触するようになる。この肘部37,38のブレーキシューとの接触は、ループ33,34に高バネ定数を提供させるものとなる。この高バネ定数は、ハンドブレーキ機能とサービスブレーキ機能との両方を同時に提供するようブレーキシューが駆動された場合または乱暴なブレーキングが行われた場合等、特定の高い動的な負荷条件が発生した際にバックプレートから離れるブレーキシューの運動に抗するとき特に効果的なものとなる。
【0024】
各バネループはまた、その自由端にフランジ39,40が配設され、該フランジ39,40は、バックプレートから離れるブレーキシューの大きな運動の発生時に(図4参照)、それらの上方に位置する中央固定部分30の下側部分41,42と接触するよう構成されており、これにより更に高いバネ定数が提供され、このとき該クリップは事実上剛体となり、バックプレートから離れるブレーキシューの更なる運動が阻止される。
【0025】
本発明のクリップの更なる利点は、該クリップの隅部23a,24a(図1参照)がシューのテーブル11a,12aの下側に当接し、これにより該クリップが関連するシューを超えて突出して回転する構成要素(例えば関連するホイールのための取付用スタッド)と接触するのが防止される。
【0026】
図8、図9、及び図11は、代替的な形態のホールドダウン・クリップの更なる細部を示している。
【0027】
図8において、ホールドダウン・クリップは中央固定部分50を有し、該中央固定部分50もまた湾曲した幾分か球状の台座52及びスロット51を含む。図8に示すクリップは、図4ないし図7に示したクリップに示す肘部37,38を有さないが、クリップのループ53,54の両端にそれぞれ向かうほぼ直線的な部分57,58を有している。このクリップは、通常の負荷条件でそのループの自由端部分55,56のみが関連するブレーキシューに接触し、ブレーキシューが漸進的にバックプレートから離れるよう移動した際に各ループの直線的な部分57,58のより多くの部分がブレーキシューと接触して該クリップの剛性が高くなるように、構成することが可能である。バックプレートから離れるブレーキシューの運動は、中央固定部分50から延びるフランジ59,60によって制限することが可能であり、該フランジ59,60は、ブレーキシューがバックプレートから大きく離れるよう偏倚した場合に該ブレーキシューのウェブに接触して該クリップを事実上剛体にするよう設計されたものである。
【0028】
図9に示すクリップ構成では、中央固定部分70は、そこから延びるループ73,74を有しており、該ループの自由端はそれぞれ二股アーム75,76として形成され、各二股アームはフランジ79,80をそれぞれ有しており、該フランジが最終的に中央固定部分70の下側に接触して該クリップが剛体となり、このため、バックプレートから離れるブレーキシューの運動が制限されることになる。図9に示すクリップもまた、通常のブレーキ操作条件ではアーム75,76の自由端に隣接する関連するブレーキシューにのみ接触し、該ブレーキシューがバックプレートから離れるよう移動する傾向にある場合にアームの接触点が更にそれらの自由端から離れるよう移動し、このためバネループ73,74の剛性が高くなるよう構成されている、ということが理解されよう。該クリップは、該クリップが事実上剛体になる前に、フランジ79,80が互いに接触してクリップの剛性を更に高くすることを可能とするよう設計することも可能である。
【0029】
図10に示すクリップ構成では、バネループ73,74の長さを(図9に示すように二股にするか否かにかかわらず)可変長として、フランジ79,80がそれぞれ位置79a,79b,79c及び位置80a,80b,80cに位置するようにすることが可能となっている。該フランジは、それが位置79a,80aに位置している場合には、中央固定部分70の下側と正方形の形状の当接を行うことになり、これに対し、該フランジが位置80bに位置している場合には、該フランジは中央固定部分70の湾曲部70aと接触する傾向を有することになる、ということが理解されよう。最も外側の位置79c,80cに位置している場合には、フランジは、クリップの残りの部分に全く接触しないことになり、このため、フランジ59,60に関して上述したような、バックプレートから離れるブレーキシューの全体的な運動を制限するための別の方法を使用することが考えられる。フランジ79,80の位置を選択することにより、クリップの全体的なバネ定数の変化を所望の特性が提供されるよう調節することが可能となる。
【0030】
図11に示す更なる代替的な形態のホールドダウン・クリップでは、該クリップは、スロット91及びフランジ92を有する中央固定部分90を有しており、該フランジ92は、該中央固定部分90の一方の縁部から下方へ曲げられたものである。このフランジがループ93,94の自由端における大きな上方へ曲げられたフランジ99,100と組み合わされて、バックプレートから離れる関連するブレーキシューの運動を制限するための剛体の停止部が提供され、この場合、該フランジ92は、関連するブレーキシュー・ウェブに接触し、フランジ99,100は、中央固定部分90の下側に接触する。
【0031】
図8ないし図11のクリップ構成はまた、例えば図7に符号37,38で示すような限定的なエルク(elk)構成を含むことが可能である。
【0032】
図12は、更なる形態のホールドダウン・クリップを示している。この場合、中央固定部分100は、ほぼ矩形のスロット101を有しており、該スロットを介してホールドダウン・ピン22の従来のT字型の頭部22cを挿入することが可能となっている。次いで、該ホールドダウン・ピンの頭部22cが、スロット101に対して90度回転されて、前記T字型の頭部を矩形の凹部102内に落とす。ループ103,104、肘部107,108、及びフランジ109,110に関し、該ホールドダウン・クリップの残りの部分の形状は、前記クリップ24と同様である。
【0033】
上述の非線形のバネ特性を有するホールドダウン・クリップ構成は、ホールドダウン・クリップのバネ特性を変動するブレーキの動作条件に対して適応させる問題に対する、単純ではあるが効果的な解決策を提供するものである、ということが理解されよう。ホールドダウン・クリップの低バネ定数は、ブレーキの通常動作時におけるブレーキシューの運動に必要とされる制御を提供するレベルに設定され、高バネ定数は、ブレーキシューに対して時折加えられ得る遙かに高いレベルの動的な力を制御するものとなる。ブレーキシューが所定量だけ移動した後にクリップを事実上剛体にする該クリップの設計は、ブレーキシューの運動の一層緊密な制御を提供するものとなる。
【0034】
上述のホールドダウン・クリップ構成は、油圧式及び/又は機械式又は電気的に作動されるか否かにかかわらず全てのタイプのドラムブレーキに適したものである。
【0035】
クリップのループが中央固定部分の両端から延びる上述の全般的な二重ループクリップ構成は、非線形のバネ特性機能を伴わずにクリップで使用することが可能である。例えば、図8に示す構成において、関連するブレーキシューに常に全面が接触するよう直線的な部分57,58を構成することが可能であり、この場合には、バックプレートから離れるブレーキシューの全運動についてループ53,54により単一のバネ定数が提供される。同様に、図9、図10、及び図11に示す構成の場合にも、関連するブレーキシューと常に全面で接触して単一のバネ定数を提供するように、図8の直線的な部分57,58に対応するクリップの部分を設計することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるホールドダウン・クリップを使用したドラムブレーキの平面図である。
【図2】ホールドダウン・クリップをその低バネ定数位置で示す図1のA-A断面図を示している。
【図3】ホールドダウン・クリップをその高バネ定数位置で示す図1のA-A断面図を示している。
【図4】図2のホールドダウン・クリップを拡大してその低バネ定数位置で示している。
【図5】図3のホールドダウン・クリップを拡大してその高バネ定数位置で示している。
【図6】図4のクリップの平面図である。
【図7】図4のクリップの斜視図である。
【図8】本発明を実施した代替形態のホールドダウン・クリップを示している。
【図9】本発明を実施した代替形態のホールドダウン・クリップを示している。
【図10】本発明を実施した代替形態のホールドダウン・クリップを示している。
【図11】本発明を実施した代替形態のホールドダウン・クリップを示している。
【図12】本発明を実施した代替形態のホールドダウン・クリップを示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキシューをそれに関連するドラムブレーキ・バックプレートに対して押さえつけるブレーキシュー・ホールドダウン・クリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかるホールドダウン・クリップは、ホールドダウン・ピンの頭部とそれに関連するブレーキシューのウェブとの間で従来使用されている(該ホールドダウン・ピンの他端は、ドラムブレーキ・バックプレートに係合する)。
【0003】
かかるホールドダウン・クリップは、周知のものであり、例えば英国特許第2000561号及び第2320302号に示されている。
【0004】
かかるホールドダウン・クリップは、一般に満足に機能するものではあるが、通常のブレーキ操作と特定の動的な条件で生じ得る極端なブレーキ負荷との両方を扱うことができるようにバックプレートから離れるブレーキシューの運動を制御する場合に問題が生じ得るものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記問題を克服し又は少なくとも部分的に緩和させる改善された形態のホールドダウン・クリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
よって、本発明によれば、バックプレートから離れるブレーキシューの運動に抗するための非線形のバネ動作を提供する形状に形成されたブレーキシュー・ホールドダウン・クリップが提供される。該ホールドダウン・クリップは、バックプレートから離れるブレーキシューの小さな運動に抗するための低いバネ定数と、バックプレートから離れるブレーキシューの大きな運動に応じて機能するようになる高いバネ定数とを有するものである。
【0007】
かかる非線形のバネ定数は、ブレーキの通常動作時にバックプレートから離れるブレーキシューの運動に抗するよう設計された低バネ定数と、ハンドブレーキ機能とサービスブレーキ機能との両方を同時に提供するようブレーキシューが駆動された場合または乱暴なブレーキングが行われた場合等、特定の高い動的な負荷が発生した際に機能するようになる高いバネ定数とを実施可能にするものである。このため、ブレーキシューの動作範囲全体にわたって一層適したレベルの制御が提供される。また、ブレーキの通常動作時にバックプレートから離れるブレーキシューの運動に抗する低いバネ定数のため、ブレーキシューとバックプレートとの間の摩擦が低くなり、このため、ブレーキをかける際にその摩擦力に打ち勝つのに浪費されるブレーキング作用が小さくなる。高いバネ定数は、結果的に高い摩擦力を生じさせるものであり、必要なときにのみ動作するようになる。
【0008】
この非線形のバネ定数は、ホールドダウン・クリップの形状の結果として達成されるものである。
【0009】
好適な一構成では、ホールドダウン・クリップはバネループを含み、該ループの一端は、低いバネ定数を提供するようブレーキシューと接触するように設計されており、該ループのうち該一端から離れた複数の部分は、バックプレートから離れるブレーキシューの大きな運動に応じて該ループが一層堅くなって高いバネ定数を提供するようブレーキシューと接触するように設計されている。
【0010】
好適な一構成では、該クリップは、関連するホールドダウン・ピンの頭部に係合する中央固定部分と、該中央固定部分の各端部から1つずつ延びる2つの外部バネループ部分とを含み、それらのループ部分は、該中央固定部分をブレーキシューに対して隔置された関係で通常保持すべく、関連するブレーキシューに向かって延びて該ブレーキシューに接触し、該バネ部分は、ブレーキシューがそれに関連するバックプレートから離れるよう移動する傾向にある場合に変形するよう構成される。
【0011】
都合の良いことに、該バネループの自由端は、ブレーキシューと通常接触して、バックプレートから離れるブレーキシューの小さな運動について低いバネ定数を提供し、各バネループの肘部分は、バックプレートから離れるブレーキシューの大きな運動でブレーキシューと接触して各ループを堅くし、これにより高いバネ定数を提供するよう構成されている。
【0012】
好適には、ホールドダウン・クリップは、バックプレートから離れるブレーキシューの考え得る運動を制限するよう構成される。
【0013】
これは、該ホールドダウン・クリップが事実上剛体になってバックプレートから離れるブレーキシューの更なる運動を阻止し、又は該クリップ自体の2つの部分が接触して該クリップを事実上剛体にしてバックプレートから離れるブレーキシューの運動を制限するように、該クリップ上の当接部をシュー・ウェブに係合するよう構成することにより、達成することが可能である。
【0014】
例えば、該ホールドダウン・クリップの中央固定部分上に形成されたフランジをブレーキシュー・ウェブに接触するよう構成して、バックプレートから離れるブレーキシューの運動を制限することが可能である。代替的には、該ホールドダウン・クリップの中央固定部分と接触するように、又は該中央固定部分に対する前記ループの取付部に隣接する個々のバネループの各々の上部の傾斜部分と接触するように、バネループの自由端上にフランジを構成することが可能である。
【0015】
ホールドダウン・クリップは、好適には、関連するホールドダウン・ピンの頭部を受容するスロットを含み、該スロットは、それを取り囲む接触領域を有しており、該接触領域は、円錐形、球形、又は矩形とすることが可能なものであり、それぞれ関連するホールドダウン・ピンの頭部の円錐形、球形、又は矩形の協働部分と接触する。
【0016】
また、本発明により提供されるブレーキシュー・ホールドダウン・クリップに含まれる中央固定部分は、関連するホールドダウン・ピンの頭部と、関連するブレーキシューに向かって延びて該ブレーキシューと接触する2つの外部バネ部分とに係合して、該中央固定部分を該ブレーキシューに対して隔置された関係に通常保持し、ブレーキシューがそれに関連するバックプレートから離れるよう移動する傾向にある場合に変形するよう前記バネ部分が構成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここで、添付図面に関連して本発明の一例について説明することとする。
【0018】
図1ないし図3を参照すると、バックプレート13上に取り付けられた一対のブレーキシュー11,12を有するドラムブレーキ10が示されている。該ブレーキシューは、その下端11a,12aと接触する固定された当接部14と反作用し、バックプレート13上に取り付けられた従来のホイールシリンダ15が、前記ブレーキシューの上端11b,12b間に配置される。
【0019】
ブレーキが駆動されていない場合には、従来の戻りバネ16,17が該ブレーキシュー間に作用して該ブレーキシューを後退させる。また、自動調節ストラット18は、ブレーキシューがそのブレーキ解放位置にあるときに該ブレーキシューと協働するドラム(図示せず)との間隔を自動的に調節するように該ブレーキシュー間に作用し、これにより、ブレーキシューが消耗した際にブレーキの有効性が維持される。適当な形態の自動調節ストラットが本出願人の特許第EP0538909号に記載されている。
【0020】
ホイールシリンダ15により油圧作動されるブレーキに加えて、ハンドブレーキレバー19もまた回動軸20によりブレーキシュー12の下側で回動する。従来と同様に、ハンドブレーキ作動ケーブル(図示せず)をレバー19の下端19aに取り付け、該レバー19を矢印Bの方向に回動させて、ハンドブレーキレバーの上部19bを自動調節ストラット18に係合させることにより、該ストラットを矢印Cで示す右方へ強制的に移動させて、ブレーキシュー11をそれに関連するブレーキドラムに接触させ、その反作用によりブレーキシュー12もまた該ブレーキドラムに係合することになる。
【0021】
ここまで説明したドラムブレーキは、従来の構成を有するものである。
【0022】
本発明によれば、ブレーキシュー11,12は、ホールドダウン・ピン21,22によりそれぞれバックプレート13上に押さえつけられ、ホールドダウン・クリップ23,24は、各ホールドダウン・ピンの頭部21a,22aと各ブレーキシューのウェブ25,26との間に配置される。この構成は、図2から最も容易に理解することができ、同図はまた、各ホールドダウン・ピンの各他端21b,22bがバックプレート13の下側と係合することを示している。
【0023】
図4ないし図7に明らかに示されているように、クリップ24(クリップ23と同一)は、スロット31を有する中央固定部分30を有しており、該スロット31は、関連するホールドダウン・ピン22の頭部22aを受容し、及び該頭部22aの幾分か球状の下側と協働する幾分か球状の台座部分32を含む。中央固定部分30の各端部から延びているのがバネループ部分33,34であり、該バネループ部分33,34は、関連するブレーキシュー12のウェブ部分26に向かって丸く延びて該ウェブ部分26と接触する。図4ないし図7に示すホールドダウン・クリップ構成では、ブレーキの通常動作時にバネループの自由端35,36がそれらに関連するブレーキシュー・ウェブ(図2及び図4参照)に接触し、バックプレートから離れるブレーキシューの運動に抗する際に該バネループ33,34が低バネ定数で動作するようになる。各バネループ33,34はまた肘部37,38を含み、バックプレートから離れるブレーキシューの大きな変位が生じた際に、該肘部37,38の各々が(図3及び図5に示すような)関連するブレーキシュー12と接触するようになる。この肘部37,38のブレーキシューとの接触は、ループ33,34に高バネ定数を提供させるものとなる。この高バネ定数は、ハンドブレーキ機能とサービスブレーキ機能との両方を同時に提供するようブレーキシューが駆動された場合または乱暴なブレーキングが行われた場合等、特定の高い動的な負荷条件が発生した際にバックプレートから離れるブレーキシューの運動に抗するとき特に効果的なものとなる。
【0024】
各バネループはまた、その自由端にフランジ39,40が配設され、該フランジ39,40は、バックプレートから離れるブレーキシューの大きな運動の発生時に(図4参照)、それらの上方に位置する中央固定部分30の下側部分41,42と接触するよう構成されており、これにより更に高いバネ定数が提供され、このとき該クリップは事実上剛体となり、バックプレートから離れるブレーキシューの更なる運動が阻止される。
【0025】
本発明のクリップの更なる利点は、該クリップの隅部23a,24a(図1参照)がシューのテーブル11a,12aの下側に当接し、これにより該クリップが関連するシューを超えて突出して回転する構成要素(例えば関連するホイールのための取付用スタッド)と接触するのが防止される。
【0026】
図8、図9、及び図11は、代替的な形態のホールドダウン・クリップの更なる細部を示している。
【0027】
図8において、ホールドダウン・クリップは中央固定部分50を有し、該中央固定部分50もまた湾曲した幾分か球状の台座52及びスロット51を含む。図8に示すクリップは、図4ないし図7に示したクリップに示す肘部37,38を有さないが、クリップのループ53,54の両端にそれぞれ向かうほぼ直線的な部分57,58を有している。このクリップは、通常の負荷条件でそのループの自由端部分55,56のみが関連するブレーキシューに接触し、ブレーキシューが漸進的にバックプレートから離れるよう移動した際に各ループの直線的な部分57,58のより多くの部分がブレーキシューと接触して該クリップの剛性が高くなるように、構成することが可能である。バックプレートから離れるブレーキシューの運動は、中央固定部分50から延びるフランジ59,60によって制限することが可能であり、該フランジ59,60は、ブレーキシューがバックプレートから大きく離れるよう偏倚した場合に該ブレーキシューのウェブに接触して該クリップを事実上剛体にするよう設計されたものである。
【0028】
図9に示すクリップ構成では、中央固定部分70は、そこから延びるループ73,74を有しており、該ループの自由端はそれぞれ二股アーム75,76として形成され、各二股アームはフランジ79,80をそれぞれ有しており、該フランジが最終的に中央固定部分70の下側に接触して該クリップが剛体となり、このため、バックプレートから離れるブレーキシューの運動が制限されることになる。図9に示すクリップもまた、通常のブレーキ操作条件ではアーム75,76の自由端に隣接する関連するブレーキシューにのみ接触し、該ブレーキシューがバックプレートから離れるよう移動する傾向にある場合にアームの接触点が更にそれらの自由端から離れるよう移動し、このためバネループ73,74の剛性が高くなるよう構成されている、ということが理解されよう。該クリップは、該クリップが事実上剛体になる前に、フランジ79,80が互いに接触してクリップの剛性を更に高くすることを可能とするよう設計することも可能である。
【0029】
図10に示すクリップ構成では、バネループ73,74の長さを(図9に示すように二股にするか否かにかかわらず)可変長として、フランジ79,80がそれぞれ位置79a,79b,79c及び位置80a,80b,80cに位置するようにすることが可能となっている。該フランジは、それが位置79a,80aに位置している場合には、中央固定部分70の下側と正方形の形状の当接を行うことになり、これに対し、該フランジが位置80bに位置している場合には、該フランジは中央固定部分70の湾曲部70aと接触する傾向を有することになる、ということが理解されよう。最も外側の位置79c,80cに位置している場合には、フランジは、クリップの残りの部分に全く接触しないことになり、このため、フランジ59,60に関して上述したような、バックプレートから離れるブレーキシューの全体的な運動を制限するための別の方法を使用することが考えられる。フランジ79,80の位置を選択することにより、クリップの全体的なバネ定数の変化を所望の特性が提供されるよう調節することが可能となる。
【0030】
図11に示す更なる代替的な形態のホールドダウン・クリップでは、該クリップは、スロット91及びフランジ92を有する中央固定部分90を有しており、該フランジ92は、該中央固定部分90の一方の縁部から下方へ曲げられたものである。このフランジがループ93,94の自由端における大きな上方へ曲げられたフランジ99,100と組み合わされて、バックプレートから離れる関連するブレーキシューの運動を制限するための剛体の停止部が提供され、この場合、該フランジ92は、関連するブレーキシュー・ウェブに接触し、フランジ99,100は、中央固定部分90の下側に接触する。
【0031】
図8ないし図11のクリップ構成はまた、例えば図7に符号37,38で示すような限定的なエルク(elk)構成を含むことが可能である。
【0032】
図12は、更なる形態のホールドダウン・クリップを示している。この場合、中央固定部分100は、ほぼ矩形のスロット101を有しており、該スロットを介してホールドダウン・ピン22の従来のT字型の頭部22cを挿入することが可能となっている。次いで、該ホールドダウン・ピンの頭部22cが、スロット101に対して90度回転されて、前記T字型の頭部を矩形の凹部102内に落とす。ループ103,104、肘部107,108、及びフランジ109,110に関し、該ホールドダウン・クリップの残りの部分の形状は、前記クリップ24と同様である。
【0033】
上述の非線形のバネ特性を有するホールドダウン・クリップ構成は、ホールドダウン・クリップのバネ特性を変動するブレーキの動作条件に対して適応させる問題に対する、単純ではあるが効果的な解決策を提供するものである、ということが理解されよう。ホールドダウン・クリップの低バネ定数は、ブレーキの通常動作時におけるブレーキシューの運動に必要とされる制御を提供するレベルに設定され、高バネ定数は、ブレーキシューに対して時折加えられ得る遙かに高いレベルの動的な力を制御するものとなる。ブレーキシューが所定量だけ移動した後にクリップを事実上剛体にする該クリップの設計は、ブレーキシューの運動の一層緊密な制御を提供するものとなる。
【0034】
上述のホールドダウン・クリップ構成は、油圧式及び/又は機械式又は電気的に作動されるか否かにかかわらず全てのタイプのドラムブレーキに適したものである。
【0035】
クリップのループが中央固定部分の両端から延びる上述の全般的な二重ループクリップ構成は、非線形のバネ特性機能を伴わずにクリップで使用することが可能である。例えば、図8に示す構成において、関連するブレーキシューに常に全面が接触するよう直線的な部分57,58を構成することが可能であり、この場合には、バックプレートから離れるブレーキシューの全運動についてループ53,54により単一のバネ定数が提供される。同様に、図9、図10、及び図11に示す構成の場合にも、関連するブレーキシューと常に全面で接触して単一のバネ定数を提供するように、図8の直線的な部分57,58に対応するクリップの部分を設計することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるホールドダウン・クリップを使用したドラムブレーキの平面図である。
【図2】ホールドダウン・クリップをその低バネ定数位置で示す図1のA-A断面図を示している。
【図3】ホールドダウン・クリップをその高バネ定数位置で示す図1のA-A断面図を示している。
【図4】図2のホールドダウン・クリップを拡大してその低バネ定数位置で示している。
【図5】図3のホールドダウン・クリップを拡大してその高バネ定数位置で示している。
【図6】図4のクリップの平面図である。
【図7】図4のクリップの斜視図である。
【図8】本発明を実施した代替形態のホールドダウン・クリップを示している。
【図9】本発明を実施した代替形態のホールドダウン・クリップを示している。
【図10】本発明を実施した代替形態のホールドダウン・クリップを示している。
【図11】本発明を実施した代替形態のホールドダウン・クリップを示している。
【図12】本発明を実施した代替形態のホールドダウン・クリップを示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックプレートから離れるブレーキシューの運動に抗するための非線形のバネ動作を提供する形状に形成されたブレーキシュー・ホールドダウン・クリップであって、前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの小さな運動に抗するための低いバネ定数と、前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの大きな運動に応じて機能するようになる高いバネ定数とを有する、ブレーキシュー・ホールドダウン・クリップ。
【請求項2】
バネループを含み、該ループの一端が、低いバネ定数を提供するよう前記ブレーキシューと接触するように設計されており、該ループのうち該一端から離れた複数の部分が、前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの大きな運動に応じて該ループが一層堅くなって高いバネ定数を提供するよう前記ブレーキシューと接触するように設計されている、請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
関連するホールドダウン・ピンの頭部に係合する中央固定部分と、該中央固定部分の各端部から1つずつ延びる2つの外部バネループ部分とを含み、それらのループ部分が、該中央固定部分を関連するブレーキシューに対して隔置された関係で通常保持すべく、該ブレーキシューに向かって延びて該ブレーキシューに接触し、該バネ部分が、該ブレーキシューがそれに関連するバックプレートから離れるよう移動する傾向にある場合に変形するよう構成されている、請求項2に記載のクリップ。
【請求項4】
関連するホールドダウン・ピンの頭部に係合する中央固定部分と2つの外部バネ部分とを含み、該2つの外部バネ部分が、前記中央固定部分を関連するブレーキシューに対して隔置された関係で通常保持すべく該ブレーキシューに向かって延びて該ブレーキシューに接触し、該バネ部分が、該ブレーキシューが関連するバックプレートから離れるよう移動する傾向にある場合に変形するよう構成されている、ブレーキシュー・ホールドダウン・クリップ。
【請求項5】
前記バネの自由端が、前記ブレーキシューに通常接触し、及び前記バックプレートから離れる該ブレーキシューの小さな運動について低いバネ定数を提供し、各バネループの肘部分が、前記バックプレートから離れるブレーキシューの大きな運動が生じた際に該ブレーキシューに接触して各ループを一層堅くし、これにより高いバネ定数が提供されるように構成されている、請求項3又は請求項4に記載のクリップ。
【請求項6】
前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの考え得る運動を制限するよう構成されている、請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載のクリップ。
【請求項7】
該クリップが事実上剛体になって前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの更なる運動を阻止するように該クリップ上の当接部がシュー・ウェブに係合するよう構成されている、請求項6に記載のクリップ。
【請求項8】
該クリップの前記中央固定部分に形成されたフランジが、前記ブレーキシュー・ウェブに接触して、前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの運動を制限する、請求項7に記載のクリップ。
【請求項9】
該クリップの2つの部分が互いに接触するようになってクリップが事実上剛体にされ、これにより前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの運動が制限される、請求項6に記載のクリップ。
【請求項10】
該ホールドダウン・クリップの前記中央固定部分と接触するように、又は該中央固定部分に対する前記ループの取付部に隣接する個々のバネループの各々の上部の傾斜部分と接触するように、該バネループの自由端上にフランジが構成されている、請求項9に記載のクリップ。
【請求項11】
関連するホールドダウン・ピンの頭部を受容するスロットを含み、該スロットが、それを取り囲む接触領域を有しており、該接触領域が、円錐形、球形、又は矩形とすることが可能なものであり、それぞれ関連するホールドダウン・ピンの頭部の円錐形、球形、又は矩形の協働部分と接触する。請求項1ないし請求項10の何れか一項に記載のクリップ。
【請求項12】
前記バネループが、関連するブレーキシューのテーブルの下側に接触して、該クリップが関連するシューを超えて突出する位置へと回転するのを阻止するよう構成されている、請求項1ないし請求項10の何れか一項に記載のクリップ。
【請求項13】
ブレーキシューが、請求項1ないし請求項12の何れか一項に記載のホールドダウン・クリップによってバックプレートに対して押さえつけられる、ドラムブレーキ。
【請求項14】
図1ないし図7、又は図8、又は図9、又は図10、又は図11、又は図12に示し、それら図面に関して説明したように実質的に構成され配置されている、ブレーキシュー・ホールドダウン・クリップ。
【請求項1】
バックプレートから離れるブレーキシューの運動に抗するための非線形のバネ動作を提供する形状に形成されたブレーキシュー・ホールドダウン・クリップであって、前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの小さな運動に抗するための低いバネ定数と、前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの大きな運動に応じて機能するようになる高いバネ定数とを有する、ブレーキシュー・ホールドダウン・クリップ。
【請求項2】
バネループを含み、該ループの一端が、低いバネ定数を提供するよう前記ブレーキシューと接触するように設計されており、該ループのうち該一端から離れた複数の部分が、前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの大きな運動に応じて該ループが一層堅くなって高いバネ定数を提供するよう前記ブレーキシューと接触するように設計されている、請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
関連するホールドダウン・ピンの頭部に係合する中央固定部分と、該中央固定部分の各端部から1つずつ延びる2つの外部バネループ部分とを含み、それらのループ部分が、該中央固定部分を関連するブレーキシューに対して隔置された関係で通常保持すべく、該ブレーキシューに向かって延びて該ブレーキシューに接触し、該バネ部分が、該ブレーキシューがそれに関連するバックプレートから離れるよう移動する傾向にある場合に変形するよう構成されている、請求項2に記載のクリップ。
【請求項4】
関連するホールドダウン・ピンの頭部に係合する中央固定部分と2つの外部バネ部分とを含み、該2つの外部バネ部分が、前記中央固定部分を関連するブレーキシューに対して隔置された関係で通常保持すべく該ブレーキシューに向かって延びて該ブレーキシューに接触し、該バネ部分が、該ブレーキシューが関連するバックプレートから離れるよう移動する傾向にある場合に変形するよう構成されている、ブレーキシュー・ホールドダウン・クリップ。
【請求項5】
前記バネの自由端が、前記ブレーキシューに通常接触し、及び前記バックプレートから離れる該ブレーキシューの小さな運動について低いバネ定数を提供し、各バネループの肘部分が、前記バックプレートから離れるブレーキシューの大きな運動が生じた際に該ブレーキシューに接触して各ループを一層堅くし、これにより高いバネ定数が提供されるように構成されている、請求項3又は請求項4に記載のクリップ。
【請求項6】
前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの考え得る運動を制限するよう構成されている、請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載のクリップ。
【請求項7】
該クリップが事実上剛体になって前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの更なる運動を阻止するように該クリップ上の当接部がシュー・ウェブに係合するよう構成されている、請求項6に記載のクリップ。
【請求項8】
該クリップの前記中央固定部分に形成されたフランジが、前記ブレーキシュー・ウェブに接触して、前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの運動を制限する、請求項7に記載のクリップ。
【請求項9】
該クリップの2つの部分が互いに接触するようになってクリップが事実上剛体にされ、これにより前記バックプレートから離れる前記ブレーキシューの運動が制限される、請求項6に記載のクリップ。
【請求項10】
該ホールドダウン・クリップの前記中央固定部分と接触するように、又は該中央固定部分に対する前記ループの取付部に隣接する個々のバネループの各々の上部の傾斜部分と接触するように、該バネループの自由端上にフランジが構成されている、請求項9に記載のクリップ。
【請求項11】
関連するホールドダウン・ピンの頭部を受容するスロットを含み、該スロットが、それを取り囲む接触領域を有しており、該接触領域が、円錐形、球形、又は矩形とすることが可能なものであり、それぞれ関連するホールドダウン・ピンの頭部の円錐形、球形、又は矩形の協働部分と接触する。請求項1ないし請求項10の何れか一項に記載のクリップ。
【請求項12】
前記バネループが、関連するブレーキシューのテーブルの下側に接触して、該クリップが関連するシューを超えて突出する位置へと回転するのを阻止するよう構成されている、請求項1ないし請求項10の何れか一項に記載のクリップ。
【請求項13】
ブレーキシューが、請求項1ないし請求項12の何れか一項に記載のホールドダウン・クリップによってバックプレートに対して押さえつけられる、ドラムブレーキ。
【請求項14】
図1ないし図7、又は図8、又は図9、又は図10、又は図11、又は図12に示し、それら図面に関して説明したように実質的に構成され配置されている、ブレーキシュー・ホールドダウン・クリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−522413(P2007−522413A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552705(P2006−552705)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000029
【国際公開番号】WO2005/085668
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(501083104)オートモーティブ・プロダクツ・イタリア・(エスブイ)・ソシエタ・レスポンサビリタ・リミタータ (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000029
【国際公開番号】WO2005/085668
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(501083104)オートモーティブ・プロダクツ・イタリア・(エスブイ)・ソシエタ・レスポンサビリタ・リミタータ (6)
【Fターム(参考)】
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