説明

ブレーキ情報の処理方法

【課題】誤った状態表示のリスクを減少させることが可能な、ブレーキ情報の処理方法を提供する。
【解決手段】ブレーキペダルに関する位置情報を検出する第1センサと第2センサを有する装置のブレーキ情報の処理方法であって、第1センサによるブレーキペダルの踏み込み信号S1と踏み込みなし信号/S1の伝達と、第2センサによるブレーキペダルの踏み込み信号S2と踏み込みなし信号/S2の伝達とを含み、信号S1、/S1が、あらかじめ設定された第1のルールFd1に関して非整合であるとみなされるなら第1情報項目F1が発生され、信号S2、/S2が、あらかじめ設定された第2のルールFd2に関して非整合であるとみなされるなら第2情報項目F2が発生され、この発生のために、各信号は他の信号と独立に分析される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、自動車のためのブレーキ情報の処理方法に関する。
特に本発明は、制御装置に接続され、開放位置と踏み込み位置との間を可動のブレーキペダルに関する位置情報を検出する、第1センサと第2センサを有する装置のブレーキ情報の処理方法であって、上記ブレーキ情報の処理方法は:
−上記第1センサから上記制御装置への、上記ブレーキペダルが第1の踏み込み位置と完全踏み込み位置との間に位置するときには、上記ブレーキペダルの第1の踏み込み信号の、上記ブレーキペダルが開放されているか、上記第1の踏み込み位置と開放位置との間に配置されているときには、上記ブレーキペダルの第1の踏み込みなし信号の伝達と、
−上記第2センサから上記制御装置への、上記ブレーキペダルが第2の踏み込み位置と上記完全踏み込み位置との間に位置するときには、上記ブレーキペダルの第2の踏み込み信号の、上記ブレーキペダルが開放されているか、上記第2の踏み込み位置と上記開放位置との間に配置されているときには、上記ブレーキペダルの第2の踏み込みなし信号の伝達と、
−上記装置によって採択され得る上記装置の複数の状態の中から、上記ブレーキ装置の1つの状態を表示する段階を含む、上記制御装置へ伝達された信号の処理と、
を含んでなるブレーキ情報の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの自動車には、ブレーキペダルの踏み込み位置を検出し、その情報を、ブレーキ装置、エンジン制御装置、自動変速機のような自動車の他の装置へ伝達する手段が設けられている。伝達されるブレーキ情報は、正しいこと、すなわちブレーキペダルの実際の操作に対応していることが保証されることが重要である。このことが、多くの自動車メーカが、装置が採択し得る沢山の状態の中からブレーキ装置の1つの状態を表示することによって、誤差のリスクを減少させるための、様々な解決策を開発してきている理由である。
【0003】
本明細書の「技術分野」において定義したようなタイプの、ブレーキ装置の情報のこのような表示を供給する、ブレーキ情報の処理方法が、例えば米国特許第5,016,587号に記載されている。
【0004】
この方法は、2つの異なるブレーキペダルの踏み込み位置のセンサを有し、このブレーキペダルが踏み込まれたときの2つのセンサのそれぞれのスイッチングを観察することからなる。ブレーキペダルが踏み込まれたときには、2つのセンサの1つは、2番目のものよりも常に前に第1の信号を送り、次いで、ブレーキペダルが第1の位置から第2に位置へ充分に移行したら、2番目のセンサが第2信号を送る。
この文献によれば、第1信号を受けた瞬間から、20秒以上たっても第2信号が送られないときには、装置は故障しているとみなされる。
【特許文献1】米国特許第5,016,587号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、1つのセンサから発生される信号が、あらかじめ定められたルールに関して非整合であるとみなされるなら、他のセンサから発生される信号を考慮することなく、故障を特定することが可能で、1つのセンサの位置を他のセンサの位置に対して相対的に調整する必要がなく、誤った状態表示のリスクを減少させることが可能な、ブレーキ情報の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、上記の「技術分野」で定義された一般的な定義にも従う本発明の方法は、上記第1センサによって発信される信号が、あらかじめ設定された第1のルールに関して非整合であるとみなされるなら、上記第2センサによる信号に係わりなく、上記第1センサが不作動であることを表す第1情報項目が発生され、上記第2センサによって発信される信号が、あらかじめ設定された第2のルールに関して非整合であるとみなされるなら、上記第1センサによる信号に係わりなく、上記第2センサが不作動であることを表す第2情報項目が発生されることを特徴とする。
【0007】
用語「信号」は、論理レベルを意味する。従って、電気的にゼロの信号も、本発明における意味においては、1つの信号を表すことができる。例えば、踏み込みなし信号は、この踏み込みなし信号を発信するセンサの出力におけるゼロボルトの電気レベルによって特徴付けることができる。各センサは、少なくとも2つの論理レベルを発信する。これらの2つの論理レベルは、互いに異なり、第1センサによって発信される信号は、S1、/S1と名付けられ、第2センサによって発信される信号は、S2、/S2と名付けられる。(「/」は、論理記号における「NOT(否)」を意味する。以下同じ。)
本発明による方法によって、1つのセンサから発生する各信号は、他のセンサから発生する信号とは独立に、特有のあらかじめ定められたルールに従って、処理される。もし、1つのセンサから送られる信号が、そのあらかじめ定められたルールに関して非整合であるとみなされるなら、他のセンサから発生される信号を考慮することを要することなく、故障を特定するための情報項目(第1センサから発信される信号が非整合であるか、第2センサから発信される信号が非整合であるかに応じて、第1情報項目または第2情報項目である。)が発生される。本発明の他の1つの利点は、少なくとも2つのペダル位置センサを有する多くの装置へ適用可能であることである。1つのセンサから発生される信号の非整合性は、あらかじめ設定されたルールに従って、他のセンサから発生される信号を考慮に入れることなく検出されるので、ペダルが踏み込み解除されるときに信号の特定の順序を発生するための、1つのセンサの他のセンサに相対的な位置決めは、必ずしも必要でない。本発明は、1つのセンサが他のセンサよりも前に起動されるように、あるいはペダルの所定の位置において2つのセンサが同時に起動されるように、1つのセンサの位置を他のセンサの位置に対して相対的に調整することに関連する問題を解消することを可能にする。従って、本発明によれば、センサの起動位置が調整されていない場合でも、信号の非整合を信号化する情報項目を発生することが可能である。
【0008】
また本発明によれば、1つのセンサから発生される各信号は、時には誤っている可能性がある他のセンサから発生される信号と独立に分析されるので、誤った非整合信号情報を発生するリスクが減少される。
【0009】
例えば、上記あらかじめ設定された第1のルールと、上記あらかじめ設定された第2のルールは、互いに同一にすることが可能である。
【0010】
また、上記あらかじめ設定された第1のルールと、上記あらかじめ設定された第2のルールの少なくとも一方は、対応する上記センサから発生される上記信号が、第1の所定の時間の間変化しないときには、少なくとも対応する上記情報項目を発生するようにすることが可能である。
【0011】
この場合、「変化しない」という表現は、関連する時間間隔中に、信号の状態の論理上の変化がないことを意味する。上記第1の所定の時間は、例えば、ブレーキを操作することなく長距離を旅行中の自動車については、10時間程度の使用時間であり、例えば市街地を走行する自動車についてはより短い。
【0012】
上記第1の所定の時間は、自動車の走行時間中に測定された時間間隔、すなわち自動車が発車した直後またはエンジンが始動された直後からの時間であることが望ましい。このため、上記制御装置は、自動車の使用中の時間を知ることができるように設計される。
【0013】
センサの1つから送られる信号が、所定の時間変化しないときには、そのセンサは不作動である可能性がある。不作動なセンサから送られる信号は、ペダルの実際の位置を表さない。このような不作動なセンサの信号は、上記装置の状態を表示するために考慮に入れないことが望ましい。本発明によれば、不作動なセンサから送られる信号は、容易に検出される。
【0014】
また、上記あらかじめ設定された第1のルールと、上記あらかじめ設定された第2のルールの少なくとも一方は、対応する上記センサから発生される上記信号に、第2の所定の時間の間に多すぎる変化があるときには、少なくとも対応する上記情報項目を発生するようにすることが可能である。
【0015】
実際、所定の時間内に、信号の論理状態に多すぎる変化があるときには、信号の非整合を検出することが可能である。
【0016】
また、上記あらかじめ設定された第1のルールと、上記あらかじめ設定された第2のルールの少なくとも一方は、上記情報項目の発生に先立つ、上記信号の非整合確認操作を含み、上記信号の非整合確認操作は、非整合とみなされる上記信号を第3の所定の時間の間観察することからなり、上記第3の所定の時間の終わりに、非整合とみなされる上記信号が依然として非整合である場合には、上記情報項目を発生するようにすることが可能である。
【0017】
例えば、上記制御装置による上記信号の処理は;
−上記制御装置が、上記第1の踏み込み信号と上記第2の踏み込み信号を受けたときには、踏み込み確認を、
−上記制御装置が、上記第1の踏み込みなし信号と上記第2の踏み込みなし信号を受けたときには、踏み込みなしを、
−上記制御装置が、上記第1の踏み込み信号と上記第2の踏み込み信号の一方のみを受けたときには、踏み込みを、
表示する段階を含むようにすることが可能である。
【0018】
望ましくは、上記第1情報項目と上記第2情報項目の一方のみが発生されたときには、上記制御装置は、上記制御装置が受ける整合な上記信号のみによって上記装置の状態を決定し、他の非整合な上記信号は、上記装置の状態を決定するために考慮しないようにすることが可能である。
【0019】
上記制御装置によって受け取られた信号は、上記あらかじめ設定されたルールを使用して上記制御装置によって常に分析され、整合とみなされるか、あるいは非整合とみなされる。整合とみなされる場合には、上記情報項目(第1情報項目と第2情報項目との少なくとも一方)は送られない。非整合とみなされた場合には、上記情報項目(第1情報項目と第2情報項目との少なくとも一方)が送られる。上記第1センサから発信される信号と上記第2センサから発信される信号の一方のみが整合である場合には、整合な信号のみが上記装置の状態を決定するために考慮される。
【0020】
上記第1情報項目と上記第2情報項目が同時に発生されたときには、上記制御装置は、上記装置が使用不能の状態にあることを表示するようにすることが可能である。
【0021】
また、表示された上記装置の各状態は、上記制御装置によって3つのビットにエンコードされ、上記表示された各状態は、上記装置のその他の状態の特定のコードと異なる特定のコードを有するようにすることが可能である。
【0022】
本発明のこの実施の形態によれば、上記センサから発生される信号に基づいて、上記ブレーキ装置の状態を明らかにし、これらの状態を少なくとも3ビットのコードを使用して表示することが可能である。次いで、上記装置のこれらの状態は、エンジンや自動変速機のような自動車のその他の装置のために、上記装置の状態に関する如何なるあいまいさもなしに使用可能である。
【0023】
また、上記装置の1つの状態に対応する特定のコードは、上記装置のその他の状態に対応する特定のコードと、少なくとも2ビット異なるようにすることが可能である。
【0024】
本発明のこの実施の形態は、上記装置の他の状態に対応する他のコードを得るためには、少なくとも2つのビットを変更する必要があるので、上記制御装置によって発生されるコードの間違った解釈のリスクを減少させる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明に係るブレーキ情報の処理方法においては、1つのセンサから発生する信号は、他のセンサから発生する信号とは独立に、特有のあらかじめ定められたルールに従って処理されるので、その信号が、そのあらかじめ定められたルールに関して非整合であるとみなされるなら、他のセンサが発生する信号を考慮することなく、故障を特定するための情報項目を発生することが可能である。
【0026】
また、1つのセンサから発生する信号の非整合性は、他のセンサから発生する信号を考慮に入れることなく検出されるので、1つのセンサの位置を他のセンサの位置に対して相対的に調整することに関連する問題を解消することが可能である。
【0027】
また、センサから発生する信号に基づいて、ブレーキ装置の状態を明らかにし、これらの状態を少なくとも3ビットのコードを使用して表示することが可能であるので、制御装置によって発生されるコードの間違った解釈のリスクを減少させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照して、以下に例示のために否限定的に与えられる説明を読むことによって明らかとなるであろう。これらの図において:
図1は、本発明の方法に従って処理される装置の動作モードの変化に関する状態図を表わし;
図2は、本発明の方法に従って処理される装置のノーマル動作モードを表わし;
図3は、本発明の方法に従って処理される装置の第1低下動作モードを表わし;
図4は、本発明の方法に従って処理される装置の第2低下動作モードを表わし;
図5は、本発明による方法を実施する回路の論理図を表わし;
図6は、センサによって送られる信号に応じて図5の回路によって発生される状態コードのマトリックスである。
【0029】
前に述べたように、本発明は、自動車のブレーキ情報の処理方法に関する。
【0030】
自動車のブレーキペダルに関する位置信号を発信するために、2つのセンサが設けられる。
【0031】
第1センサは、ブレーキペダルが第1踏み込み位置を越えて踏み込まれたときに第1の踏み込み信号を送り、ブレーキペダルが踏み込まれないか、第1の踏み込み位置に届くように充分踏まれなかったときに第1の踏み込みなし信号を送る。
【0032】
第2センサは、ブレーキペダルが第2の踏み込み位置を越えて踏み込まれたときに第2の踏み込み信号を送り、ブレーキペダルが踏み込まれないか、第2の踏み込み位置に届くように充分踏まれなかったときに第2の踏み込みなし信号を送る。各センサは、専用のバスを介して、制御装置へ信号を送る。各信号は、装置のメモリにストアされ、次いで、あらかじめ設定された第1のルールFd1と、あらかじめ設定された第2のルールFd2の少なくとも一方とに関して、信号が非整合であることを検出するために分析される。
【0033】
あらかじめ設定された第1のルールFd1は、例えば、第1の所定の時間の間に、第1の踏み込み信号と第1の踏み込みなし信号の間の遷移が観察されないか、第2の所定の時間の間に、多すぎる遷移が観測されるかの少なくとも一方の場合に、信号が非整合であることを信号化する第1情報項目F1を発生することからなる。
【0034】
同様に、あらかじめ設定された第2のルールFd2は、例えば、第1の所定の時間の間に、第2の踏み込み信号と第2の踏み込みなし信号の間の遷移が観察されないか、第2の所定の時間の間に、多すぎる遷移が観測されるかの少なくとも一方の場合に、信号が非整合であることを信号化する第2情報項目F2を発生することからなる。
【0035】
本発明の方法によれば、ブレーキ装置は、図1に示された3つの動作モードにおいて動作することができる。
【0036】
第1の動作モードは、本発明の方法によるノーマル動作モードである。この動作モードは、2つのセンサから発生される信号が、分析される各信号に対応するあらかじめ設定されたルールに照らしてそれぞれ整合性があるとみなされるときに適用される。
【0037】
第2の動作モードは、本発明の方法による第1低下動作モードである。この動作モードは、2つのセンサから発生される信号の1つが、分析される各信号に対応するあらかじめ設定されたルールに照らして非整合であるとみなされ、他のセンサから発生する信号が、あらかじめ設定されたもう1つのルールに照らして整合性があるとみなされるときに適用される。
【0038】
第3の動作モードは、本発明の方法による第2低下動作モードである。この動作モードは、2つのセンサから発生される信号が、分析される各信号に対応するあらかじめ設定されたルールに照らして非整合であるとみなされるときに適用される。
【0039】
図1及び図5において、F1は、第1センサから発生される第1の踏み込み信号S1または第1の踏み込みなし信号/S1が、あらかじめ設定された第1のルールFd1に関して非整合であることを示す第1情報項目である。
【0040】
F2は、第2センサから発生される第2の踏み込み信号S2または第2の踏み込みなし信号/S2が、あらかじめ設定された第2のルールFd2に関して非整合性であることを示す第2情報項目である。
【0041】
本発明に特有の実施の形態によれば、あらかじめ設定された第1のルールFd1と、あらかじめ設定された第2のルールFd2は、互いに同一である。
【0042】
2つのセンサから発生する信号が整合であるとみなされると、直ちに他のモードからノーマルモードへの遷移が生じる。
【0043】
同じく、1つの信号が非整合で、他の信号が整合であるとみなされると、直ちに他のモードから第1低下動作モードへの遷移が生じる。
【0044】
同じく、2つの信号が同時に非整合であるとみなされると、直ちに他のモードから第2低下動作モードへの遷移が生じる。
【0045】
制御装置は、少なくとも1つの非整合が検出されたときに、ブレーキ装置のユーザに、警報情報を発生することができる。このような警報は、例えば表示ランプの点灯によって表示することができる。
【0046】
図2は、装置がノーマル動作モードにあるときに、本発明の方法に従って操作される装置によって表示される状態を表す。
【0047】
互いに入れ替わる3つの状態、すなわち、ブレーキペダルの踏み込み、踏み込みなし、踏み込み確認が、制御装置によって、受けられる信号に応じて表示される。
【0048】
2つのセンサによって送られる信号が、第1の踏み込みなし信号/S1、第2の踏み込みなし信号/S2であるなら、踏み込みなし状態が表示される。
【0049】
所定の瞬間に、2つのセンサのうちの1つだけが、第1の踏み込み信号S1または第2の踏み込み信号S2を送るなら、踏み込み状態が表示される。
【0050】
2つのセンサが、同時に第1の踏み込み信号S1と第2の踏み込み信号S2を送るなら、踏み込み確認状態が生じる。
【0051】
図3は、第1低下動作モード、すなわち2つのセンサのうちに1つだけが不作動で、非整合な信号を発信中であるとみなされるときのモードを示す。
【0052】
この第1低下動作モードにおいては、装置の互いに入れ替わる2つの状態、すなわちブレーキペダルの踏み込み状態と踏み込みなし状態を表示することができる。
【0053】
唯一の整合性のある信号が、第1の踏み込み信号S1または第2の踏み込み信号S2であるなら、踏み込み状態が表示される。
【0054】
唯一の整合性のある信号が、第1の踏み込みなし信号/S1または第2の踏み込みなし信号/S2であるなら、踏み込みなし状態が表示される。この第1低下動作モードにおいては、表示される状態の決定に、非整合な信号は考慮されない。
【0055】
図4は、第2低下動作モードを示す。このモードにおいては、唯一の状態、すなわち装置の使用不能状態のみが表示される。この状態は、2つのセンサがともに非整合であるとみなされる信号を発信するときに表示される。
【0056】
自動車が走行中に、1つの信号が、第3の所定の時間の間変化しないままであるなら、この信号は非整合である可能性がある。
【0057】
このため、1実施の形態においては、あらかじめ設定された第1のルールと、あらかじめ設定された第2のルールの少なくとも一方は、第1情報項目F1または第2情報項目F2の発生に先立つ、信号の非整合確認操作を含み、この信号の非整合確認操作は、非整合とみなされる信号を第3の所定の時間の間観察することからなり、第3の所定の時間の終わりに、非整合とみなされる信号が依然として非整合である場合には、第1情報項目F1または第2情報項目F2を発生する。
【0058】
各センサからの信号を記録するためにメモリを使用することができる。このメモリは、勿論、クロックまたは自動車の走行時間を表すその他の手段と連動される。
【0059】
本発明の方法によって、自動車を使用後に、どれだけの時間の間、信号が変化しないままであるかが、各センサごとに分る。自動車が使用されない間は、信号が変化しない時間がメモリの中に保持され、自動車が再度使用されたときに増分される。この増分は、前の使用の最後において記録された合計の時間に付加される。
【0060】
図5は、本発明による方法を実施する回路5の論理図を示す。
【0061】
2つのバス1、2が、それぞれ第1センサ3と第2センサ4に接続される。各センサは、定められた瞬間に1つの信号を発生する。第1センサ3については、信号は、第1の踏み込み信号S1と、第1の踏み込みなし信号/S1である。
【0062】
第2センサ4については、信号は、第2の踏み込み信号S2と、第2の踏み込みなし信号/S2である。
【0063】
回路5のモジュール6は、回路5が受けた各信号を分析して、第1センサ3からの信号については、あらかじめ設定された第1のルールFd1に関して、また、第2センサ4からの信号については、あらかじめ設定された第2のルールFd2に関して、信号の整合性を決めるために使用される。
【0064】
このため、モジュール6は、あらかじめ設定された第1のルールFd1に関するテストブロックと、あらかじめ設定された第2のルールFd2に関するテストブロックとの、2つのテストブロックを有する。2つのテストブロックは、互いに独立しており、第1センサ3のバス1と第2センサ4のバス2にそれぞれ連結される。
【0065】
あらかじめ設定された第1のルールFd1に関するテストブロックの出力は、AND論理ゲート11aの反転入力に接続され、AND論理ゲート11aのもう1つの入力には、第1センサ3がバス1を介して接続される。
【0066】
AND論理ゲート11aの出力は、排他的OR論理ゲート12aの第1入力と、AND論理ゲート12bの第1入力へ接続される。
【0067】
対称的に、あらかじめ設定された第2のルールFd2に関するテストブロックの出力は、AND論理ゲート11bの反転入力に接続され、AND論理ゲート11bのもう1つの入力には、第2センサ4がバス2を介して接続される。
【0068】
AND論理ゲート11bの出力は、排他的OR論理ゲート12aの第2入力と、AND論理ゲート12bの第2入力へ接続される。
【0069】
あらかじめ設定された第1のルールFd1に関するテストブロックと、あらかじめ設定された第2のルールFd2に関するテストブロックの各出力は、それぞれAND論理ゲート13aの対応する入力へ接続される。
【0070】
もし、各センサが、非整合であるとみなされる信号を送ると、あらかじめ設定された第1のルールFd1に関するテストブロックと、あらかじめ設定された第2のルールFd2に関するテストブロックは、第1情報項F1と第2情報項F2をそれぞれ出力として送出する。あらかじめ設定された第1のルールFd1に関するテストブロックと、あらかじめ設定された第2のルールFd2に関するテストブロックの出力が、それぞれ第1情報項F1と第2情報項F2であれば、AND論理ゲート13aの2つの入力は1であり、AND論理ゲート13aの出力も、制御装置によって受けられた2つの信号が非整合であることを表示する1になる。
【0071】
排他的OR論理ゲート12aの出力は、包含的OR論理ゲート14aの第1入力に接続され、AND論理ゲート13aの出力は、包含的OR論理ゲート14aの第2入力に接続される。包含的OR論理ゲート14aの出力は、回路5の状態の3ビットをエンコードするための第1ビットC1を構成する。
【0072】
AND論理ゲート12bの出力は、包含的OR論理ゲート14bの第1入力に接続され、AND論理ゲート13aの出力は、包含的論理和ゲート14bの第2入力に接続される。包含的OR論理ゲート14bの出力は、回路5の状態の3ビットをエンコードするための第2ビットC2を構成する。
【0073】
包含的OR論理ゲート14aと包含的OR論理ゲート14bの各出力は、反転された出力C0を有する排他的OR論理ゲート15aの第1、第2入力をそれぞれ構成する。
【0074】
図6は、回路5によってそれぞれ採択された各状態を、3ビットC0、C1、C2にエンコードするための表を表す。
【0075】
状態E1は、踏み込みなし状態であり、ビットC0によって1に、ビットC1とビットC2によって共に0にエンコードされる。
【0076】
状態E2は、踏み込み状態であり、ビットC1によって1に、ビットC0とビットC2によって共に0にエンコードされる。
【0077】
状態E3は、踏み込み確認状態であり、ビットC2によって1に、ビットC0とビットC1によって共に0にエンコードされる。
【0078】
状態E4は、使用不能状態であり、全てのビットC0、C1、C2によって1にエンコードされる。
【0079】
本発明の方法と上記の回路によれば、各状態コードは、互いに他の状態コードと少なくとも2ビット異なり、このことは、エンコードされる状態の間の混同のリスクを減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の方法に従って処理される装置の動作モードの変化に関する状態図である。
【図2】本発明の方法に従って処理される装置のノーマル動作モードを表わす状態図である。
【図3】本発明の方法に従って処理される装置の第1低下動作モードを表わす状態図である。
【図4】本発明の方法に従って処理される装置の第2低下動作モードを表わす状態図である。
【図5】本発明による方法を実施する回路の論理図である。
【図6】センサによって送られる信号に応じて図5の回路によって発生される状態コードのマトリックスである。
【符号の説明】
【0081】
Fd1…あらかじめ設定された第1のルール
Fd2…あらかじめ設定された第2のルール
F1…第1情報項目(第1センサから発生する信号が非整合であることを示す)
F2…第2情報項目(第2センサから発生する信号が非整合であることを示す)
S1…第1の踏み込み信号
/S1…第1の踏み込みなし信号
S2…第2の踏み込み信号
/S2…第2の踏み込みなし信号
1、2…バス
3…第1センサ
4…第2センサ
5…回路
6…モジュール
11a…AND論理ゲート
11b…AND論理ゲート
12a…排他的OR論理ゲート
12b…AND論理ゲート
13a…AND論理ゲート
14a…包含的OR論理ゲート
14b…包含的OR論理ゲート
15a…排他的OR論理ゲート
C0、C1、C2…ビット
E1…状態(踏み込みなし)
E2…状態(踏み込み)
E3…状態(踏み込み確認)
E4…状態(使用不能)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置に接続され、開放位置と踏み込み位置との間を可動のブレーキペダルに関する位置情報を検出する、第1センサと第2センサを有する装置のブレーキ情報の処理方法であって、上記ブレーキ情報の処理方法は:
−上記第1センサから上記制御装置への、上記ブレーキペダルが第1の踏み込み位置と完全踏み込み位置との間に位置するときには、上記ブレーキペダルの第1の踏み込み信号(S1)の、上記ブレーキペダルが開放されているか、上記第1の踏み込み位置と開放位置との間に配置されているときには、上記ブレーキペダルの第1の踏み込みなし信号(/S1)の伝達と、
−上記第2センサから上記制御装置への、上記ブレーキペダルが第2の踏み込み位置と上記完全踏み込み位置との間に位置するときには、上記ブレーキペダルの第2の踏み込み信号(S2)の、上記ブレーキペダルが開放されているか、上記第2の踏み込み位置と上記開放位置との間に配置されているときには、上記ブレーキペダルの第2の踏み込みなし信号(/S2)の伝達と、
−上記装置によって採択され得る上記装置の複数の状態(E1、E2、E3、E4)の中から、上記ブレーキ装置の1つの状態を表示する段階を含む、上記制御装置へ伝達された信号の処理と、
を含んでなるブレーキ情報の処理方法において、
上記第1センサによって発信される信号(S1、/S1)が、あらかじめ設定された第1のルール(Fd1)に関して非整合であるとみなされるなら、上記第2センサによる信号(S2、/S2)に係わりなく、上記第1センサが不作動であることを表す第1情報項目(F1)が発生され、上記第2センサによって発信される信号(S2、/S2)が、あらかじめ設定された第2のルール(Fd2)に関して非整合であるとみなされるなら、上記第1センサによる信号(S1、/S1)に係わりなく、上記第2センサが不作動であることを表す第2情報項目(F2)が発生されることを特徴とする、ブレーキ情報の処理方法。
【請求項2】
上記あらかじめ設定された第1のルール(Fd1)と、上記あらかじめ設定された第2のルール(Fd2)は、互いに同一であることを特徴とする、請求項1に記載のブレーキ情報の処理方法。
【請求項3】
上記あらかじめ設定された第1のルールと、上記あらかじめ設定された第2のルールの少なくとも一方は、対応する上記センサから発生される上記信号が、第1の所定の時間の間変化しないときには、少なくとも対応する上記情報項目(F1、F2)を発生することからなることを特徴とする、請求項1または2に記載のブレーキ情報の処理方法。
【請求項4】
上記あらかじめ設定された第1のルールと、上記あらかじめ設定された第2のルールの少なくとも一方は、対応する上記センサから発生される上記信号に、第2の所定の時間の間に多すぎる変化があるときには、少なくとも対応する上記情報項目(F1、F2)を発生することからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載のブレーキ情報の処理方法。
【請求項5】
上記あらかじめ設定された第1のルールと、上記あらかじめ設定された第2のルールの少なくとも一方は、上記情報項目(F1、F2)の発生に先立つ、上記信号の非整合確認操作を含み、上記信号の非整合確認操作は、非整合とみなされる上記信号を第3の所定の時間の間観察することからなり、上記第3の所定の時間の終わりに、非整合とみなされる上記信号が依然として非整合である場合には、上記情報項目(F1、F2)を発生することを特徴とする、請求項3または4に記載のブレーキ情報の処理方法。
【請求項6】
上記制御装置による上記信号の処理は;
−上記制御装置が、上記第1の踏み込み信号と上記第2の踏み込み信号を受けたときには、踏み込み確認を、
−上記制御装置が、上記第1の踏み込みなし信号と上記第2の踏み込みなし信号を受けたときには、踏み込みなしを、
−上記制御装置が、上記第1の踏み込み信号と上記第2の踏み込み信号の一方のみを受けたときには、踏み込みを、
表示する段階を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載のブレーキ情報の処理方法。
【請求項7】
上記第1情報項目と上記第2情報項目の一方のみが発生されたときには、上記制御装置は、上記制御装置が受ける整合な上記信号のみによって上記装置の状態を決定し、他の非整合な上記信号は、上記装置の状態を決定するために考慮しないことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載のブレーキ情報の処理方法。
【請求項8】
上記第1情報項目と上記第2情報項目が同時に発生されたときには、上記制御装置は、上記装置が使用不能の状態にあることを表示することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載のブレーキ情報の処理方法。
【請求項9】
表示された上記装置の各状態は、上記制御装置によって3つのビット(C0、C1、C2)にエンコードされ、上記表示された各状態は、上記装置のその他の状態の特定のコードと異なる特定のコードを有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1つに記載のブレーキ情報の処理方法。
【請求項10】
上記装置の1つの状態に対応する特定のコードは、上記装置のその他の状態に対応する特定のコードと、少なくとも2ビット異なることを特徴とする、請求項9に記載のブレーキ情報の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−256604(P2006−256604A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48551(P2006−48551)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】