ブレーキ液圧制御用アクチュエータ
【課題】電気部品と回路基板との電気的な接続を確実に行うことができる接続構造を有するブレーキ液圧制御アクチュエータを提供する。
【解決手段】ターミナル7を配線71とパイプ状部品72とによって構成し、パイプ状部品72の縮径部72aのテーパ面がパッド5bとが接して、ターミナル7とパッド5bとが電気的に接続されるようにする。この場合、パッド5bの空洞部の内径にバラツキがあっても、縮径部72aのテーパ面のどこかの部位でパッド5dの内壁に接すれば、ターミナル7とパッド5bとが電気的に接続される。つまり、接触子の一点でパッドと接触するようなものではなく、縮径部72aのテーパ面でパッドと接触する構成としている。このため、ターミナル7がパッド5bと確実に接触し、電磁弁3および圧力センサ4と回路基板5に設けられた制御回路との電気的な接続が確実に為されるようにすることができる。
【解決手段】ターミナル7を配線71とパイプ状部品72とによって構成し、パイプ状部品72の縮径部72aのテーパ面がパッド5bとが接して、ターミナル7とパッド5bとが電気的に接続されるようにする。この場合、パッド5bの空洞部の内径にバラツキがあっても、縮径部72aのテーパ面のどこかの部位でパッド5dの内壁に接すれば、ターミナル7とパッド5bとが電気的に接続される。つまり、接触子の一点でパッドと接触するようなものではなく、縮径部72aのテーパ面でパッドと接触する構成としている。このため、ターミナル7がパッド5bと確実に接触し、電磁弁3および圧力センサ4と回路基板5に設けられた制御回路との電気的な接続が確実に為されるようにすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ液圧制御に用いられる電気部品と回路基板との電気的接続を行うに際し、電気部品に備えられるターミナルが回路基板に備えられる配線に確実に接続できる接続構造を有するブレーキ液圧制御用アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレーキ液圧制御用アクチュエータに備えられる電気部品、例えば電磁弁や圧力センサと回路基板に形成された制御回路との電気的接続は、電気部品に備えられたターミナルを回路基板上のパッドに直接ハンダ付けすることによって為されていた。
【0003】
しかしながら、ブレーキ液圧制御用アクチュエータにおいては、電気部品や回路基板の制御回路に含まれるICチップ等が故障した際に、修理を行うために、その故障箇所の取り替えを行う必要がある。このため、ハンダ付けのように電気部品に備えられたターミナルと回路基板上のパッドとが強固に接続されてしまうものではなく、容易にターミナルがパッドから取り外せるような構造が望ましい。
【0004】
このように、電気部品のターミナルが回路基板のパッドから容易に取り外せる構造として、例えば、特許文献1に示されるものがある。
【0005】
図13に、特許文献1に示された電気部品のターミナルと回路基板のパッドとの電気的な接続構造を示した部分断面図を示す。
【0006】
この図に示されるように、電子部品J1から引き出された金属製のターミナルJ2の先端部が丸められていると共に、その先端部よりも若干ターミナルJ2の根元側に他の部位よりも小径とされた支持部J3が設けられ、この支持部J3に金属製のC字状のバネ接触子J4が嵌め込まれた構造となっている。バネ接触子J4は、ターミナルJ2の軸方向の中央部において突出した形状をしており、径方向において拡張および縮小可能な構成となっている。
【0007】
このような構造のターミナルJ2の先端部が回路基板J5の穴部の内側に形成されたパッドJ6に挿入されると、バネ接触子J4がパッドJ6によって径方向に縮小させられ、その弾性力によってバネ接触子J4における突出部分の頂点がパッドJ4に接触した状態となる。これにより、ターミナルJ2とパッドJ6とが電気的に接続されるようになっている。
【特許文献1】特開2000−340285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に示される電気的な接続構造によると、ターミナルJ2における各部の寸法バラツキにより、ターミナルJ2とパッドJ6との電気的な接続が行えなくなる場合がある。
【0009】
まず、ターミナルJ2における各部の寸法バラツキは、図13に示したように、ターミナルJ2自身の高さのバラツキ(1)、バネ接触子J4の高さのバラツキ(2)、支持部J3の幅のバラツキ(3)がある。また、バネ接触子J4が支持部J3に確実に嵌め込まれるように、バネ端子J4の高さよりも支持部J3の幅の方が大きくされる。このため、支持部J3のうちバネ接触子J4で覆われなかったった部分にクリアランス(4)がある。
【0010】
そして、小さく見積もっても、バラツキ(1)が±0.1mm以上、バラツキ(2)が±0.1mm以上、バラツキ(3)が±0.1mm以上であるとから、これらの累積交差は±0.3mmとなる。これは、バネ接触子J4とパッドJ6との接触位置が、回路基板J5におけるパッドJ6の中心深さから±0.3mmの範囲でばらつくことを示している。
【0011】
また、クリアランス(4)としては、少なくとも0.3mm程度が必要となることから、バネ接触子J4と支持部J3との位置関係により、累積交差がさらに0.3mm増えて±0.6になる。
【0012】
さらに、パッドJ6の板厚(5)が一般的に1.2mm程度であることを考えると、パッドJ6の中央深さはパッドJ6の表面から0.6mmの位置となることから、上記(1)〜(4)の累積交差±0.6mmが最大で発生した場合には、パッドJ6とバネ接触子J4とが図14の状態となる。したがって、バネ接触子J4の突出部分の頂点がパッドJ6内に収まらす、ターミナルJ2とパッドJ6との電気的な接続が行えなくなるのである。すなわち、バネ接触子J4は、ターミナルJ2とパッドJ6とで挟んでパッドJ6とバネ接触子J4との接触部である頂点を縮径させることにより通電を確保する構造であるので、パッドJ6とバネ接触子J4との相対位置がバネ接触子J4の頂点がパッドJ6内に収まらない位置までずれた際には、バネ接触子J4は、通電確保ができるような所望の拘束がなされなず、頂点位置が移動しつつ、拡径してしまうのである。
【0013】
本発明は上記点に鑑みて、電気部品と回路基板との電気的な接続を確実に行うことができる接続構造を有するブレーキ液圧制御アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、パッド(5b)は、回路基板(5)に形成されたスルーホールの内壁に形成されることで空洞部を有して構成され、該パッド(5b)の空洞部にターミナル(7)が挿入されるようになっている。また、ターミナル(7)は、パイプ状部品(72)を有して構成され、該パイプ状部品(72)の先端部が縮径部(72a)とされることでテーパ面を構成すると共に、縮径部(72a)の最も先端位置においてパイプ状部品(72)の外径(L2)がパッド(5b)の空洞部における内径(L1)よりも小さく、縮径部(72a)の根元の部分においてパイプ状部品(72)の外形(L4)がパッド(5b)の空洞部における内径(L1)よりも大きく構成されている。そして、ターミナル(7)とパッド(5b)との電気的な接続は、縮径部(72a)がパッド(5b)の空洞部に挿入されて、該縮径部(72a)におけるテーパ面がパッド(5b)と接触することによって行われていることを特徴としている。
【0015】
このような構成においては、パッド(5b)の空洞部の内径にバラツキがあったとしても、縮径部(72a)のテーパ面のどこかの部位でパッド(5d)の内壁に接すれば、ターミナル(7)とパッド(5b)との電気的な接続が行われる。つまり、従来のように、接触子の一点でパッドと接触するようなものではなく、縮径部(72a)のテーパ面でパッドと接触する構成としている。
【0016】
このため、ターミナル(7)がパッド(5b)と確実に接触し、電気部品(3、4)と回路基板(5)に設けられた制御回路との電気的な接続が確実に為されるようにすることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明では、ターミナル(7)は、電気部品(3、4)から直接引き出される配線(71)を有しており、該配線(71)の先端部にパイプ状部品(72)の内径(L3)よりも幅(L5)が小さく設定された接触部(71a)が備えられ、パイプ状部品(72)の縮径部(72)の内壁が接触部(71a)と接触することで、配線(71)とパイプ状部品(72)とが電気的に接続された構成となっていることを特徴としている。
【0018】
このように、配線(71)に対してパイプ状部品(72)を覆い被せ、配線(71)の先端部に接触部(71a)を形成しておくことで、パイプ状部品(72)における縮径部(72a)の内壁が配線(71)の接触部(71a)と接触するような構成とすることができる。これにより、配線(71)とパイプ状部品(72)とが電気的に接続され、電気部品(3、4)と回路基板(5)に設けられた制御回路との電気的な接続が為されるようにすることができる。
【0019】
この場合、請求項3に示されるように、パイプ状部品(72)における縮径部(72a)と配線(71)における接触部(71a)とは、パイプ状部品(72)をパッド(5b)の空洞部に挿入していない状態のときには縮径部(72a)と接触部(71a)との間に隙間が形成されて接しず、パイプ状部品(72)をパッド(5b)の空洞部に挿入した状態のときに縮径部(72a)がパッド(5b)によって弾性変形させられ、縮径部(72a)が縮み、接触部(71a)とが接した状態となるような構成とすることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明では、パイプ状部品(72)における縮径部(72a)の根元の部分には、溝部(72b)が形成されていることを特徴としている。
【0021】
このような溝部(72b)を形成しておけば、パイプ状部品(72)の先端部を変形させることで縮径部(72a)を形成するに際し、縮径部(72a)を容易に形成できるようにすることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明では、パイプ状部品(72)における縮径部(72a)には、パイプ状部品(72)の軸方向と平行なスリット(72c)が形成されていることを特徴としている。
【0023】
このようなスリット(72c)を形成しておくことによっても、請求項4と同様に、パイプ状部品(72)の先端部を変形させることで縮径部(72a)を形成するに際し、縮径部(72a)を容易に形成できるようにすることができる。
【0024】
なお、請求項6に示すように、パイプ状部品(72)を断面円形もしくは断面U字状のもので構成することができ、断面円形の径もしくは断面U字状における半円の部分の径を縮小することで縮径部(72a)を構成することができる。また、請求項7に示すように、配線(72)を断面円形もしくは断面矩形のもので構成することができる。
【0025】
以上のような構成は、例えば、請求項8に示されるように、ブレーキ配管におけるブレーキ液の流動を制御する電磁弁(3)と該ブレーキ配管内のブレーキ液圧を検出する圧力センサ(4)に対して適用することができる。この場合において、請求項9に示されるように、そのうちの圧力センサ(4)に対してパイプ状部品(72)を有するターミナル(7)を適用すると、特に有効である。
【0026】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0028】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態が適用されたブレーキ液圧制御用アクチュエータについて説明する。図1は、本実施形態におけるブレーキ液圧制御用アクチュエータ1の一部断面概略図である。
【0029】
この図に示されるように、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ1は、ブレーキ液圧制御を行うための配管(図示せず)が形成された金属製のブロック2と、この金属製のブロック2に対して嵌め込まれた電磁弁3や圧力センサ4と、電磁弁3や圧力センサ4を駆動するための制御回路が組み込まれた回路基板5と、回路基板5を収容するケース6とを備えている。
【0030】
ブロック2は、直方体で構成されており、その一面に電磁弁3や圧力センサ4が並べられて固定されている。具体的には、金属製ブロック2には、ブレーキ液圧制御を行うための配管に接続される凹部2aが複数箇所に形成されており、この凹部2a内に圧力センサ4および電磁弁3におけるコイルユニット3a以外の部分(弁体など)がカシメ固定されている。これら電磁弁3や圧力センサ4が本発明でいう電気部品に相当するものである。
【0031】
なお、ブレーキ液圧制御用アクチュエータを上下に切断する断面を描く場合、電磁弁3の中心線を通る切断面と圧力センサ4の中心線を通る切断面は異なったものとなるため、これらが共に中心線で切断された断面図にはならないが、図1(後述する図3、図4、図9、図10も同様)では、図を見易くする為に電磁弁3と圧力センサ4が共に中心線を通るような断面図として表してある。
【0032】
図2は、図1におけるブロック2に対して圧力センサ4および電磁弁3におけるコイルユニット3a以外の部分を固定した様子を示した図である。この図に示されるように、ブロック2には、複数(ここでは12個)の電磁弁3が固定されていると共に、2つの圧力センサ4が固定されている。圧力センサ4に関しては、ブロック2から外れてしまうと、ブロック2に形成された配管からブレーキ液が洩れてしまうことになるため、圧力センサ4全体がブロック2にカシメ固定された状態となっている。一方、電磁弁3に関しては、コイルユニット3aに関してはブロック2に固定されている必要がないが、電磁弁3のうちのコイルユニット3a以外の部分に関しては、圧力センサ4と同様にブロック2から外れてしまうと、ブロック2に形成された配管からブレーキ液が洩れてしまうことになるため、ブロック2にカシメ固定された状態となっている。
【0033】
また、電磁弁3や圧力センサ4のうちブロック2から突出した部分の先端位置からは、回路基板5に形成された制御回路との電気的な接続を図るためのターミナル7が引き出されている。このターミナル7が本発明の特徴部分となるものであり、その構造に関して後で詳細に説明する。
【0034】
ケース6には、回路基板5が収容される部屋と電磁弁3や圧力センサ4が収容される部屋とを仕切る仕切壁6aが備えられている。この仕切壁6aには穴部6bが形成されており、電磁弁3や圧力センサ4から引き出されたターミナル7は仕切壁6aに形成された穴部6bを通じて回路基板5に導かれている。また、仕切壁6aには、部分的に接続用突起部6cが形成されている。この接続用突起部6cが回路基板5に形成された接続用穴5aに挿入されることで、回路基板5が仕切壁6aに保持されるようになっている。具体的には、接続用突起部6cは、先端部がフック状になっていると共に、接続用穴5aへの挿入方向にスリットが入れられており、接続用穴5aに挿入される際にはスリットによって弾性変形することで縮径し、フック状の先端部が完全に挿入された後に弾性によって元の径に戻り、先端部が回路基板5に引っ掛けられることで回路基板5が仕切壁6aに保持されている。
【0035】
続いて、上述したターミナル7の詳細構造について、図3を参照して説明する。図3は、図1におけるターミナル7の近傍を拡大した図である。
【0036】
図3に示されるように、本実施形態のターミナル7は、配線71とパイプ状部品72の2つによって構成されている。
【0037】
配線71は、コイルユニット3aに備えられるコイルの巻線に直接接続されるものであり、断面円状の一般的なものである。ただし、配線71の先端部には、配線71には接触部71aが形成されており、この接触部71aにおいて配線71が部分的に他の部位よりも幅が拡大された構成となっている。
【0038】
パイプ状部品72は、配線71を収容できるように、配線71における接触部71aよりも大きな内径を有するもので構成されている。このパイプ状部品72は、回路基板5側の先端部において先すぼみ形状とされた縮径部72aが形成されており、この縮径部72bにより、パイプ状部品72の軸方向(長手方向)に対して傾斜したテーパ面が構成されたものとなっている。また、パイプ状部品72における縮径部72aと他の部分との境界には溝部72bが形成されている。この溝部72bは、縮径部72aを形成しやすくするためのものである。すなわち、縮径部72aに関しては、例えばパイプ状部品72の先端部を円柱形状の穴が形成されている冶具に押し付けて圧縮させることで、予めパイプ状部品72に形成しておくことができる。このため、溝部72bを形成しておくことで、パイプ状部品72の先端部を変形させ易くし、縮径部72aが容易に形成されるようにしている。
【0039】
これら配線71とパイプ状部品72とは、配線71における接触部71aとパイプ状部品72における縮径部72bの内壁面とにおいて接触している。
【0040】
一方、回路基板5のスルーホールの内壁には、制御回路と電気的に接続されたパッド5bが形成されている。このパッド5bの中空部内にパイプ状部品72の縮径部72aの一部および配線71における接触部71aが挿入され、パイプ状部品72における縮径部72bの外壁面とがパッド5bの内壁と接触した状態となっている。
【0041】
このような構成により、配線71がパイプ状部品72を介して、パッド5bと電気的に接続され、配線71およびパイプ状部品72で構成されるターミナル7とパッド5bを通じて、電気部品となる電磁弁3や圧力センサ4が回路基板5に形成された制御回路と電気的に接続された構成となっている。
【0042】
これらパッド5bとターミナル7とは、上述した接続用突起部6cが回路基板5に形成された接続用穴5aに挿入されることで回路基板5がケース6の所定位置に保持されるようになっていることから、振動などが発生しても接続されたままの状態となり、これらの間の電気的な接続が確保されるようになっている。
【0043】
次に、上記のように構成されるブレーキ液圧制御用アクチュエータ1の組み付けについて説明する。
【0044】
図4は、図1に示したブレーキ液圧制御用アクチュエータ1の組み付け前の様子を示したものである。この図に示されるように、ブロック2に対して電磁弁3および圧力センサ4をカシメ固定してユニット化したものと、ケース6および回路基板5をユニット化したものとを用意する。
【0045】
このとき、電磁弁3および圧力センサ4に関しては、ブロック2にカシメ固定される前にターミナル72を作りこんでおく。図5および図6は、その様子を示した図であり、図5は、電磁弁3のコイルユニット3aから引き出された配線71の先端部に接触部71aを形成したときの様子、図6は、パイプ状部品72を配線71に覆い被せたときのコイルユニット3aの様子を示したものであり、図6(a)は断面図、図6(b)は図6(a)のA−A断面図である。
【0046】
まず、図5に示されるように、コイルユニット3aから引き出された配線71の先端部に接触部71aを形成する。この接触部71aは、配線71の先端部を冶具によって押し潰すことによって形成される。ただし、このときに接触部71aにおける配線71の径方向の幅がパイプ状部品72の内径よりも大きくならないようにすることで、この後に、パイプ状部品72を配線71に覆い被せられるようにしている。
【0047】
そして、図6に示されるように、パイプ状部品72を配線71に覆い被せ、パイプ状部品72の縮径部72aが配線71の接触部71aの位置まで来るようにする。具体的には、コイルユニット3aに組み込まれる樹脂製のボビン3bに対して、配線71を囲むように溝部3cを形成しておき、この溝部3c内にパイプ状部品72における縮径部72aの反対側の端部を差し込むことにより、パイプ状部品72の縮径部72aが配線71の接触部71aの位置に来るように、配線71やパイプ状部品72の長さが設定されている。
【0048】
続いて、これらのうちの一方を図4中矢印のように移動させることで、2つのユニットを一体化させる。
【0049】
このとき、ターミナル7がパッド5bに接触し、これらの間の電気的な接続がなされる。このときの様子を図7に示す。図7(a)、(b)は、それぞれ、ターミナル7がパッド5bに接触する前後の様子を示したものである。
【0050】
図7(a)に示されるように、ターミナル7がパッド5bに接触する前のときには、配線71の接触部71aとパイプ状部品72の縮径部72aの内壁との間に隙間が若干あるが、図7(b)に示されるように、ターミナル7がパッド5bに接触するときに、縮径部72aがパッド5bによって押されて弾性変形し、上記隙間が無くなったところで縮径部72aの内壁が接触部71aに接する。このため、縮径部72aの外壁がパッド5bと接し、内壁が接触部71aと接することで、ターミナル7とパッド5bとの電気的な接続が為される。
【0051】
なお、このような電気的な接続が行えるように、パッド5bの空洞部における内径L1、縮径部72aにおける最も先端位置での外径L2、パイプ状部品72の内径L3および外形L4、配線71における接触部71aの幅L5は、以下の関係が成り立つような寸法設定としている。
【0052】
(数1)
L4≧L1≧L2
(数2)
L3>L5
このようにして、2つのユニットを一体化させる際に、ターミナル7とパッド5bとの電気的な接続が行われ、電気部品に相当する電磁弁3および圧力センサ4と回路基板5に設けられた制御回路との電気的な接続が為される。
【0053】
一方、制御回路の故障などにより、回路基板5に備えられる制御回路のICチップ等を取り替える際には、再び、2つのユニットが分解される。このときのターミナル7とパッド5bの様子を図8に示す。
【0054】
図8(a)に示されるように、分解前には、上述した図7(b)と同様に、縮径部72aの外壁がパッド5bと接し、内壁が接触部71aと接することで、ターミナル7とパッド5bとの電気的な接続が為された状態となっている。そして、分解する際には、縮径部72aがパッド5aによって弾性変形させられていただけであるため、パッド5aから縮径部72aを引き抜くときに徐々に広がり、分解後には、図8(b)に示されるように、上述した図7(a)と同様に、接触部71aと縮径部72aの内壁との間に隙間が若干ある状態に戻る。
【0055】
したがって、回路基板5を取り替えた後に、再び2つのユニットを一体化させれば、上記と同様に、ターミナル7とパッド5bとの電気的な接続が行われ、電気部品に相当する電磁弁3および圧力センサ4と回路基板5に設けられた制御回路との電気的な接続が為されることになる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態では、ターミナル7を配線71とパイプ状部品72とによって構成し、パイプ状部品72の縮径部72aのテーパ面がパッド5bと接することで、ターミナル7とパッド5bとの電気的な接続が為されるようにしている。
【0057】
このような構成においては、パッド5bの空洞部の内径にバラツキがあったとしても、縮径部72aのテーパ面のどこかの部位でパッド5bの内壁に接すれば、ターミナル7とパッド5bとの電気的な接続が行われる。つまり、従来のように、接触子の一点でパッドと接触するようなものではなく、縮径部72aのテーパ面でパッドと接触する構成としている。そのために、縮径部72aの根元である溝部72bは、パッド5bの外にあり、配線71に対し相対位置が固定され、パッド5bが敗戦71に対し相対位置がずれて組み付けされたとしても、固定された根元部(溝部72b)を中心に縮径部72aが回転することにより、縮径部72aとパッド5bとの接触を確保することができる。なお、この実施形態では、パイプ状部品72が溝部3c内に差し込まれて固定されているが、これに限らず、何らかの方法でパッド5bへの挿入位置によらず、縮径部72aの根元部を固定しておくようにすればよい。
【0058】
したがって、ターミナル7がパッド5bと確実に接触し、電気部品に相当する電磁弁3および圧力センサ4と回路基板5に設けられた制御回路との電気的な接続が確実に為されるようにすることができる。
【0059】
また、従来の構造である場合、ターミナルの累積交差を考慮して、回路基板が有る程度の板厚である必要があるが、本実施形態のような構成の場合、回路基板5に関しては、パッド5bの空洞部の内径のみがターミナル7との電気的な接続に関係し、回路基板5の板厚はほとんど関係ないため、様々な板厚のものに対応可能である。
【0060】
換言すれば、パッド5bの空洞部の内径に応じて、パイプ状部品72の外径および内径や配線71の接触部71aの幅を調整するのみで確実な電気的な接続を行うことができ、従来のようにターミナルの累積交差を考慮した設計を行う必要はない。
【0061】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のブレーキ液圧制御用アクチュエータは、基本的に上記第1実施形態で示したものと同様の構造を有したものであるが、ターミナル7の構造についてのみ異なる。このため、本実施形態のうち第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態と同様の部分に関しては説明を省略する。
【0062】
図9は、本実施形態のブレーキ液圧制御用アクチュエータに備えられるターミナル7の分解図であり、図9(a)、(b)は、パイプ状部品72の上面図と側面図、図9(c)、(d)は、配線71の上面図と側面図を示したものである。また、図10は、ターミナル7におけるパイプ状部品72および配線71の加工前の様子を示したもので、図10(a)、(b)は、加工前におけるパイプ状部品72の上面図と側面図、図10(c)、(d)は、加工前における配線71の上面図と側面図を示したものである。
【0063】
図10(c)、(d)に示されるように、配線71が矩形断面のもので構成されている。この配線71の先端部には、図9(c)、(d)に示されるように、加工により、接触部71aが形成され、この接触部71aにおいて配線71が部分的に他の部位よりも幅が拡大された構成となっている。
【0064】
また、図10(a)、(b)に示されるように、パイプ状部品72は、断面U字状のもので構成されている。パイプ状部品72は、配線71を収容できるように、パイプ状部品72における断面半円の部分の径が配線71における接触部71aよりも大きな内径を有するもので構成されている。
【0065】
このパイプ状部品72は、図9(a)、(b)に示されるように、加工により、断面半円の部分の中央位置においてスリット72cを形成し、回路基板5側の先端部において先すぼみ形状とすることで、断面半円の部分の径を縮小させた縮径部72aが形成されている。この縮径部72bにより、パイプ状部品72の軸方向(長手方向)に対して傾斜したテーパ面が構成されたものとなっている。
【0066】
このように、ターミナル7における配線71を矩形断面のものとし、パイプ状部品72を断面U字状のものとしても、配線71とパイプ状部品72を、配線71における接触部71aとパイプ状部品72における縮径部72bの内壁面とにおいて接触させることが可能となる。このため、ターミナル7が本実施形態の構造とされても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
(他の実施形態)
上記実施形態では、パイプ状部品72に対して溝部72bを形成することとによって縮径部72aが形成され易くなるようにしたが、この溝部72bは必ずしも必要であるものではないし、溝部72bの代わりに他の手段を用いることも可能である。
【0068】
例えば、図11は、溝部72bの代わりに、第2実施形態で示したようなスリット72cを設けた場合を示したものであり、図11(a)はパイプ状部品72の先端部を軸方向から見たときの図、図11(b)は、図11(a)のB−B断面図、図11(c)は、図11(a)のC−C断面図である。この図に示されるように、パイプ状部品72の先端部に対して、軸方向と平行なスリット72cを設けるようにしても、縮径部72aを形成し易くすることができる。
【0069】
また、図12に示されるように、溝部72bと共にスリット72cを形成するようにしても構わない。図12(a)はパイプ状部品72の先端部を軸方向から見たときの図、図12(b)は、図12(a)のD−D断面図、図12(c)は、図12(a)のE−E断面図である。このように、溝部72bと共にスリット72cを形成するようにすれば、より縮径部72aを形成し易くすることができる。
【0070】
勿論、上述した第2実施形態のようなターミナル7におけるパイプ状部品72が断面U字状のものに対しても、溝部72bを形成する構成とすることもでき、溝部72bと共にスリット72cを形成する攻勢とすることもできる。
【0071】
さらに、上記第2実施形態では、ターミナル7における配線71を矩形断面のものとしたが、勿論、第1実施形態等に関しても、配線71をこのような形状としても良い。逆に、第2実施形態で示した断面U字状のパイプ状部品72と第1実施形態で示した断面円形の配線71との組み合わせとしても良い。
【0072】
また、上記実施形態では、電磁弁3と圧力センサ4の双方共に、ターミナル7の構造を採用したが、圧力センサ4に対して適用するのが特に有効である。これは、ブレーキ液洩れ防止の観点から圧力センサ4がブロック2に対して直接カシメ固定されるために、圧力センサ4をブロック2から取り外すことができないからである。
【0073】
電磁弁3に関しては、コイルユニット3a以外の部分に関してはブロック2に対してカシメ固定されるが、コイルユニット3aだけ取り外し可能な構成とすることが可能である。このような場合、ケース6側のユニットをブロック2側のユニットから取り外したときに、電磁弁3のうちのコイルユニット3aだけがケース6側のユニットに残されたままの状態、つまり回路基板5と接続されたままの状態とすることが可能となり、必ずしも取り外しが容易なターミナル構造が必要とされる訳ではない。
【0074】
このため、ブロック2に対して直接カシメ固定され、ケース6側のユニットをブロック2側のユニットから取り外すときに、回路基板5のパッド5bから必ず取り外さなければならない圧力センサ4に対して適用すると特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1実施形態におけるブレーキ液圧制御用アクチュエータの一部断面概略図である。
【図2】図1におけるブロックに対して圧力センサおよび電磁弁におけるコイルユニット以外の部分を固定した様子を示した図である。
【図3】図1におけるターミナルの近傍を拡大した図である。
【図4】図1に示したブレーキ液圧制御用アクチュエータの組み付け前の様子を示した図である。
【図5】電磁弁のコイルユニットから引き出された配線の先端部に接触部を形成したときの様子を示した図である。
【図6】パイプ状部品を配線に覆い被せたときのコイルユニットの様子を示したものであり、(a)は断面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図7】(a)、(b)は、それぞれ、ターミナルがパッドに接触する前後の様子を示した図である。
【図8】2つのユニットが分解されるときのターミナルとパッドの様子を示した図である。
【図9】本発明の第2実施形態におけるブレーキ液圧制御用アクチュエータに適用されるターミナルを示したもので、(a)、(b)は、ターミナルにおけるパイプ状部品の上面図と側面図、(c)、(d)は、ターミナルにおける配線の上面図と側面図である。
【図10】図9に示すターミナルの加工前の様子を示したもので、(a)、(b)は、ターミナルにおけるパイプ状部品の上面図と側面図、(c)、(d)は、ターミナルにおける配線の上面図と側面図である。
【図11】他の実施形態で示す溝部の代わりにスリットを設けた場合を示したものであり、(a)はパイプ状部品の先端部を軸方向から見たときの図、(b)は、(a)のB−B断面図、(c)は、(a)のC−C断面図である。
【図12】他の実施形態で示す溝部と共にスリットを設けた場合を示したものであり、(a)はパイプ状部品の先端部を軸方向から見たときの図、(b)は、(a)のD−D断面図、(c)は、(a)のE−E断面図である。
【図13】従来の電気部品のターミナルと回路基板のパッドとの電気的な接続構造を示した部分断面図である。
【図14】従来の電気部品のターミナルと回路基板のパッドとの電気的な接続が行えなくなる場合の例を示した部分断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1…ブレーキ液圧制御用アクチュエータ、2…ブロック、3…電磁弁、3a…コイルユニット、3b…ボビン、3c…溝部、4…圧力センサ、5…回路基板、5a…接続用穴、5b…パッド、6…ケース、6a…仕切壁、6b…穴部、6c…接続用突起部、7…ターミナル、71…配線、71a…接触部、72…パイプ状部品、72a…縮径部、72b…溝部、72c…スリット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ液圧制御に用いられる電気部品と回路基板との電気的接続を行うに際し、電気部品に備えられるターミナルが回路基板に備えられる配線に確実に接続できる接続構造を有するブレーキ液圧制御用アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレーキ液圧制御用アクチュエータに備えられる電気部品、例えば電磁弁や圧力センサと回路基板に形成された制御回路との電気的接続は、電気部品に備えられたターミナルを回路基板上のパッドに直接ハンダ付けすることによって為されていた。
【0003】
しかしながら、ブレーキ液圧制御用アクチュエータにおいては、電気部品や回路基板の制御回路に含まれるICチップ等が故障した際に、修理を行うために、その故障箇所の取り替えを行う必要がある。このため、ハンダ付けのように電気部品に備えられたターミナルと回路基板上のパッドとが強固に接続されてしまうものではなく、容易にターミナルがパッドから取り外せるような構造が望ましい。
【0004】
このように、電気部品のターミナルが回路基板のパッドから容易に取り外せる構造として、例えば、特許文献1に示されるものがある。
【0005】
図13に、特許文献1に示された電気部品のターミナルと回路基板のパッドとの電気的な接続構造を示した部分断面図を示す。
【0006】
この図に示されるように、電子部品J1から引き出された金属製のターミナルJ2の先端部が丸められていると共に、その先端部よりも若干ターミナルJ2の根元側に他の部位よりも小径とされた支持部J3が設けられ、この支持部J3に金属製のC字状のバネ接触子J4が嵌め込まれた構造となっている。バネ接触子J4は、ターミナルJ2の軸方向の中央部において突出した形状をしており、径方向において拡張および縮小可能な構成となっている。
【0007】
このような構造のターミナルJ2の先端部が回路基板J5の穴部の内側に形成されたパッドJ6に挿入されると、バネ接触子J4がパッドJ6によって径方向に縮小させられ、その弾性力によってバネ接触子J4における突出部分の頂点がパッドJ4に接触した状態となる。これにより、ターミナルJ2とパッドJ6とが電気的に接続されるようになっている。
【特許文献1】特開2000−340285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に示される電気的な接続構造によると、ターミナルJ2における各部の寸法バラツキにより、ターミナルJ2とパッドJ6との電気的な接続が行えなくなる場合がある。
【0009】
まず、ターミナルJ2における各部の寸法バラツキは、図13に示したように、ターミナルJ2自身の高さのバラツキ(1)、バネ接触子J4の高さのバラツキ(2)、支持部J3の幅のバラツキ(3)がある。また、バネ接触子J4が支持部J3に確実に嵌め込まれるように、バネ端子J4の高さよりも支持部J3の幅の方が大きくされる。このため、支持部J3のうちバネ接触子J4で覆われなかったった部分にクリアランス(4)がある。
【0010】
そして、小さく見積もっても、バラツキ(1)が±0.1mm以上、バラツキ(2)が±0.1mm以上、バラツキ(3)が±0.1mm以上であるとから、これらの累積交差は±0.3mmとなる。これは、バネ接触子J4とパッドJ6との接触位置が、回路基板J5におけるパッドJ6の中心深さから±0.3mmの範囲でばらつくことを示している。
【0011】
また、クリアランス(4)としては、少なくとも0.3mm程度が必要となることから、バネ接触子J4と支持部J3との位置関係により、累積交差がさらに0.3mm増えて±0.6になる。
【0012】
さらに、パッドJ6の板厚(5)が一般的に1.2mm程度であることを考えると、パッドJ6の中央深さはパッドJ6の表面から0.6mmの位置となることから、上記(1)〜(4)の累積交差±0.6mmが最大で発生した場合には、パッドJ6とバネ接触子J4とが図14の状態となる。したがって、バネ接触子J4の突出部分の頂点がパッドJ6内に収まらす、ターミナルJ2とパッドJ6との電気的な接続が行えなくなるのである。すなわち、バネ接触子J4は、ターミナルJ2とパッドJ6とで挟んでパッドJ6とバネ接触子J4との接触部である頂点を縮径させることにより通電を確保する構造であるので、パッドJ6とバネ接触子J4との相対位置がバネ接触子J4の頂点がパッドJ6内に収まらない位置までずれた際には、バネ接触子J4は、通電確保ができるような所望の拘束がなされなず、頂点位置が移動しつつ、拡径してしまうのである。
【0013】
本発明は上記点に鑑みて、電気部品と回路基板との電気的な接続を確実に行うことができる接続構造を有するブレーキ液圧制御アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、パッド(5b)は、回路基板(5)に形成されたスルーホールの内壁に形成されることで空洞部を有して構成され、該パッド(5b)の空洞部にターミナル(7)が挿入されるようになっている。また、ターミナル(7)は、パイプ状部品(72)を有して構成され、該パイプ状部品(72)の先端部が縮径部(72a)とされることでテーパ面を構成すると共に、縮径部(72a)の最も先端位置においてパイプ状部品(72)の外径(L2)がパッド(5b)の空洞部における内径(L1)よりも小さく、縮径部(72a)の根元の部分においてパイプ状部品(72)の外形(L4)がパッド(5b)の空洞部における内径(L1)よりも大きく構成されている。そして、ターミナル(7)とパッド(5b)との電気的な接続は、縮径部(72a)がパッド(5b)の空洞部に挿入されて、該縮径部(72a)におけるテーパ面がパッド(5b)と接触することによって行われていることを特徴としている。
【0015】
このような構成においては、パッド(5b)の空洞部の内径にバラツキがあったとしても、縮径部(72a)のテーパ面のどこかの部位でパッド(5d)の内壁に接すれば、ターミナル(7)とパッド(5b)との電気的な接続が行われる。つまり、従来のように、接触子の一点でパッドと接触するようなものではなく、縮径部(72a)のテーパ面でパッドと接触する構成としている。
【0016】
このため、ターミナル(7)がパッド(5b)と確実に接触し、電気部品(3、4)と回路基板(5)に設けられた制御回路との電気的な接続が確実に為されるようにすることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明では、ターミナル(7)は、電気部品(3、4)から直接引き出される配線(71)を有しており、該配線(71)の先端部にパイプ状部品(72)の内径(L3)よりも幅(L5)が小さく設定された接触部(71a)が備えられ、パイプ状部品(72)の縮径部(72)の内壁が接触部(71a)と接触することで、配線(71)とパイプ状部品(72)とが電気的に接続された構成となっていることを特徴としている。
【0018】
このように、配線(71)に対してパイプ状部品(72)を覆い被せ、配線(71)の先端部に接触部(71a)を形成しておくことで、パイプ状部品(72)における縮径部(72a)の内壁が配線(71)の接触部(71a)と接触するような構成とすることができる。これにより、配線(71)とパイプ状部品(72)とが電気的に接続され、電気部品(3、4)と回路基板(5)に設けられた制御回路との電気的な接続が為されるようにすることができる。
【0019】
この場合、請求項3に示されるように、パイプ状部品(72)における縮径部(72a)と配線(71)における接触部(71a)とは、パイプ状部品(72)をパッド(5b)の空洞部に挿入していない状態のときには縮径部(72a)と接触部(71a)との間に隙間が形成されて接しず、パイプ状部品(72)をパッド(5b)の空洞部に挿入した状態のときに縮径部(72a)がパッド(5b)によって弾性変形させられ、縮径部(72a)が縮み、接触部(71a)とが接した状態となるような構成とすることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明では、パイプ状部品(72)における縮径部(72a)の根元の部分には、溝部(72b)が形成されていることを特徴としている。
【0021】
このような溝部(72b)を形成しておけば、パイプ状部品(72)の先端部を変形させることで縮径部(72a)を形成するに際し、縮径部(72a)を容易に形成できるようにすることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明では、パイプ状部品(72)における縮径部(72a)には、パイプ状部品(72)の軸方向と平行なスリット(72c)が形成されていることを特徴としている。
【0023】
このようなスリット(72c)を形成しておくことによっても、請求項4と同様に、パイプ状部品(72)の先端部を変形させることで縮径部(72a)を形成するに際し、縮径部(72a)を容易に形成できるようにすることができる。
【0024】
なお、請求項6に示すように、パイプ状部品(72)を断面円形もしくは断面U字状のもので構成することができ、断面円形の径もしくは断面U字状における半円の部分の径を縮小することで縮径部(72a)を構成することができる。また、請求項7に示すように、配線(72)を断面円形もしくは断面矩形のもので構成することができる。
【0025】
以上のような構成は、例えば、請求項8に示されるように、ブレーキ配管におけるブレーキ液の流動を制御する電磁弁(3)と該ブレーキ配管内のブレーキ液圧を検出する圧力センサ(4)に対して適用することができる。この場合において、請求項9に示されるように、そのうちの圧力センサ(4)に対してパイプ状部品(72)を有するターミナル(7)を適用すると、特に有効である。
【0026】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0028】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態が適用されたブレーキ液圧制御用アクチュエータについて説明する。図1は、本実施形態におけるブレーキ液圧制御用アクチュエータ1の一部断面概略図である。
【0029】
この図に示されるように、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ1は、ブレーキ液圧制御を行うための配管(図示せず)が形成された金属製のブロック2と、この金属製のブロック2に対して嵌め込まれた電磁弁3や圧力センサ4と、電磁弁3や圧力センサ4を駆動するための制御回路が組み込まれた回路基板5と、回路基板5を収容するケース6とを備えている。
【0030】
ブロック2は、直方体で構成されており、その一面に電磁弁3や圧力センサ4が並べられて固定されている。具体的には、金属製ブロック2には、ブレーキ液圧制御を行うための配管に接続される凹部2aが複数箇所に形成されており、この凹部2a内に圧力センサ4および電磁弁3におけるコイルユニット3a以外の部分(弁体など)がカシメ固定されている。これら電磁弁3や圧力センサ4が本発明でいう電気部品に相当するものである。
【0031】
なお、ブレーキ液圧制御用アクチュエータを上下に切断する断面を描く場合、電磁弁3の中心線を通る切断面と圧力センサ4の中心線を通る切断面は異なったものとなるため、これらが共に中心線で切断された断面図にはならないが、図1(後述する図3、図4、図9、図10も同様)では、図を見易くする為に電磁弁3と圧力センサ4が共に中心線を通るような断面図として表してある。
【0032】
図2は、図1におけるブロック2に対して圧力センサ4および電磁弁3におけるコイルユニット3a以外の部分を固定した様子を示した図である。この図に示されるように、ブロック2には、複数(ここでは12個)の電磁弁3が固定されていると共に、2つの圧力センサ4が固定されている。圧力センサ4に関しては、ブロック2から外れてしまうと、ブロック2に形成された配管からブレーキ液が洩れてしまうことになるため、圧力センサ4全体がブロック2にカシメ固定された状態となっている。一方、電磁弁3に関しては、コイルユニット3aに関してはブロック2に固定されている必要がないが、電磁弁3のうちのコイルユニット3a以外の部分に関しては、圧力センサ4と同様にブロック2から外れてしまうと、ブロック2に形成された配管からブレーキ液が洩れてしまうことになるため、ブロック2にカシメ固定された状態となっている。
【0033】
また、電磁弁3や圧力センサ4のうちブロック2から突出した部分の先端位置からは、回路基板5に形成された制御回路との電気的な接続を図るためのターミナル7が引き出されている。このターミナル7が本発明の特徴部分となるものであり、その構造に関して後で詳細に説明する。
【0034】
ケース6には、回路基板5が収容される部屋と電磁弁3や圧力センサ4が収容される部屋とを仕切る仕切壁6aが備えられている。この仕切壁6aには穴部6bが形成されており、電磁弁3や圧力センサ4から引き出されたターミナル7は仕切壁6aに形成された穴部6bを通じて回路基板5に導かれている。また、仕切壁6aには、部分的に接続用突起部6cが形成されている。この接続用突起部6cが回路基板5に形成された接続用穴5aに挿入されることで、回路基板5が仕切壁6aに保持されるようになっている。具体的には、接続用突起部6cは、先端部がフック状になっていると共に、接続用穴5aへの挿入方向にスリットが入れられており、接続用穴5aに挿入される際にはスリットによって弾性変形することで縮径し、フック状の先端部が完全に挿入された後に弾性によって元の径に戻り、先端部が回路基板5に引っ掛けられることで回路基板5が仕切壁6aに保持されている。
【0035】
続いて、上述したターミナル7の詳細構造について、図3を参照して説明する。図3は、図1におけるターミナル7の近傍を拡大した図である。
【0036】
図3に示されるように、本実施形態のターミナル7は、配線71とパイプ状部品72の2つによって構成されている。
【0037】
配線71は、コイルユニット3aに備えられるコイルの巻線に直接接続されるものであり、断面円状の一般的なものである。ただし、配線71の先端部には、配線71には接触部71aが形成されており、この接触部71aにおいて配線71が部分的に他の部位よりも幅が拡大された構成となっている。
【0038】
パイプ状部品72は、配線71を収容できるように、配線71における接触部71aよりも大きな内径を有するもので構成されている。このパイプ状部品72は、回路基板5側の先端部において先すぼみ形状とされた縮径部72aが形成されており、この縮径部72bにより、パイプ状部品72の軸方向(長手方向)に対して傾斜したテーパ面が構成されたものとなっている。また、パイプ状部品72における縮径部72aと他の部分との境界には溝部72bが形成されている。この溝部72bは、縮径部72aを形成しやすくするためのものである。すなわち、縮径部72aに関しては、例えばパイプ状部品72の先端部を円柱形状の穴が形成されている冶具に押し付けて圧縮させることで、予めパイプ状部品72に形成しておくことができる。このため、溝部72bを形成しておくことで、パイプ状部品72の先端部を変形させ易くし、縮径部72aが容易に形成されるようにしている。
【0039】
これら配線71とパイプ状部品72とは、配線71における接触部71aとパイプ状部品72における縮径部72bの内壁面とにおいて接触している。
【0040】
一方、回路基板5のスルーホールの内壁には、制御回路と電気的に接続されたパッド5bが形成されている。このパッド5bの中空部内にパイプ状部品72の縮径部72aの一部および配線71における接触部71aが挿入され、パイプ状部品72における縮径部72bの外壁面とがパッド5bの内壁と接触した状態となっている。
【0041】
このような構成により、配線71がパイプ状部品72を介して、パッド5bと電気的に接続され、配線71およびパイプ状部品72で構成されるターミナル7とパッド5bを通じて、電気部品となる電磁弁3や圧力センサ4が回路基板5に形成された制御回路と電気的に接続された構成となっている。
【0042】
これらパッド5bとターミナル7とは、上述した接続用突起部6cが回路基板5に形成された接続用穴5aに挿入されることで回路基板5がケース6の所定位置に保持されるようになっていることから、振動などが発生しても接続されたままの状態となり、これらの間の電気的な接続が確保されるようになっている。
【0043】
次に、上記のように構成されるブレーキ液圧制御用アクチュエータ1の組み付けについて説明する。
【0044】
図4は、図1に示したブレーキ液圧制御用アクチュエータ1の組み付け前の様子を示したものである。この図に示されるように、ブロック2に対して電磁弁3および圧力センサ4をカシメ固定してユニット化したものと、ケース6および回路基板5をユニット化したものとを用意する。
【0045】
このとき、電磁弁3および圧力センサ4に関しては、ブロック2にカシメ固定される前にターミナル72を作りこんでおく。図5および図6は、その様子を示した図であり、図5は、電磁弁3のコイルユニット3aから引き出された配線71の先端部に接触部71aを形成したときの様子、図6は、パイプ状部品72を配線71に覆い被せたときのコイルユニット3aの様子を示したものであり、図6(a)は断面図、図6(b)は図6(a)のA−A断面図である。
【0046】
まず、図5に示されるように、コイルユニット3aから引き出された配線71の先端部に接触部71aを形成する。この接触部71aは、配線71の先端部を冶具によって押し潰すことによって形成される。ただし、このときに接触部71aにおける配線71の径方向の幅がパイプ状部品72の内径よりも大きくならないようにすることで、この後に、パイプ状部品72を配線71に覆い被せられるようにしている。
【0047】
そして、図6に示されるように、パイプ状部品72を配線71に覆い被せ、パイプ状部品72の縮径部72aが配線71の接触部71aの位置まで来るようにする。具体的には、コイルユニット3aに組み込まれる樹脂製のボビン3bに対して、配線71を囲むように溝部3cを形成しておき、この溝部3c内にパイプ状部品72における縮径部72aの反対側の端部を差し込むことにより、パイプ状部品72の縮径部72aが配線71の接触部71aの位置に来るように、配線71やパイプ状部品72の長さが設定されている。
【0048】
続いて、これらのうちの一方を図4中矢印のように移動させることで、2つのユニットを一体化させる。
【0049】
このとき、ターミナル7がパッド5bに接触し、これらの間の電気的な接続がなされる。このときの様子を図7に示す。図7(a)、(b)は、それぞれ、ターミナル7がパッド5bに接触する前後の様子を示したものである。
【0050】
図7(a)に示されるように、ターミナル7がパッド5bに接触する前のときには、配線71の接触部71aとパイプ状部品72の縮径部72aの内壁との間に隙間が若干あるが、図7(b)に示されるように、ターミナル7がパッド5bに接触するときに、縮径部72aがパッド5bによって押されて弾性変形し、上記隙間が無くなったところで縮径部72aの内壁が接触部71aに接する。このため、縮径部72aの外壁がパッド5bと接し、内壁が接触部71aと接することで、ターミナル7とパッド5bとの電気的な接続が為される。
【0051】
なお、このような電気的な接続が行えるように、パッド5bの空洞部における内径L1、縮径部72aにおける最も先端位置での外径L2、パイプ状部品72の内径L3および外形L4、配線71における接触部71aの幅L5は、以下の関係が成り立つような寸法設定としている。
【0052】
(数1)
L4≧L1≧L2
(数2)
L3>L5
このようにして、2つのユニットを一体化させる際に、ターミナル7とパッド5bとの電気的な接続が行われ、電気部品に相当する電磁弁3および圧力センサ4と回路基板5に設けられた制御回路との電気的な接続が為される。
【0053】
一方、制御回路の故障などにより、回路基板5に備えられる制御回路のICチップ等を取り替える際には、再び、2つのユニットが分解される。このときのターミナル7とパッド5bの様子を図8に示す。
【0054】
図8(a)に示されるように、分解前には、上述した図7(b)と同様に、縮径部72aの外壁がパッド5bと接し、内壁が接触部71aと接することで、ターミナル7とパッド5bとの電気的な接続が為された状態となっている。そして、分解する際には、縮径部72aがパッド5aによって弾性変形させられていただけであるため、パッド5aから縮径部72aを引き抜くときに徐々に広がり、分解後には、図8(b)に示されるように、上述した図7(a)と同様に、接触部71aと縮径部72aの内壁との間に隙間が若干ある状態に戻る。
【0055】
したがって、回路基板5を取り替えた後に、再び2つのユニットを一体化させれば、上記と同様に、ターミナル7とパッド5bとの電気的な接続が行われ、電気部品に相当する電磁弁3および圧力センサ4と回路基板5に設けられた制御回路との電気的な接続が為されることになる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態では、ターミナル7を配線71とパイプ状部品72とによって構成し、パイプ状部品72の縮径部72aのテーパ面がパッド5bと接することで、ターミナル7とパッド5bとの電気的な接続が為されるようにしている。
【0057】
このような構成においては、パッド5bの空洞部の内径にバラツキがあったとしても、縮径部72aのテーパ面のどこかの部位でパッド5bの内壁に接すれば、ターミナル7とパッド5bとの電気的な接続が行われる。つまり、従来のように、接触子の一点でパッドと接触するようなものではなく、縮径部72aのテーパ面でパッドと接触する構成としている。そのために、縮径部72aの根元である溝部72bは、パッド5bの外にあり、配線71に対し相対位置が固定され、パッド5bが敗戦71に対し相対位置がずれて組み付けされたとしても、固定された根元部(溝部72b)を中心に縮径部72aが回転することにより、縮径部72aとパッド5bとの接触を確保することができる。なお、この実施形態では、パイプ状部品72が溝部3c内に差し込まれて固定されているが、これに限らず、何らかの方法でパッド5bへの挿入位置によらず、縮径部72aの根元部を固定しておくようにすればよい。
【0058】
したがって、ターミナル7がパッド5bと確実に接触し、電気部品に相当する電磁弁3および圧力センサ4と回路基板5に設けられた制御回路との電気的な接続が確実に為されるようにすることができる。
【0059】
また、従来の構造である場合、ターミナルの累積交差を考慮して、回路基板が有る程度の板厚である必要があるが、本実施形態のような構成の場合、回路基板5に関しては、パッド5bの空洞部の内径のみがターミナル7との電気的な接続に関係し、回路基板5の板厚はほとんど関係ないため、様々な板厚のものに対応可能である。
【0060】
換言すれば、パッド5bの空洞部の内径に応じて、パイプ状部品72の外径および内径や配線71の接触部71aの幅を調整するのみで確実な電気的な接続を行うことができ、従来のようにターミナルの累積交差を考慮した設計を行う必要はない。
【0061】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態のブレーキ液圧制御用アクチュエータは、基本的に上記第1実施形態で示したものと同様の構造を有したものであるが、ターミナル7の構造についてのみ異なる。このため、本実施形態のうち第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態と同様の部分に関しては説明を省略する。
【0062】
図9は、本実施形態のブレーキ液圧制御用アクチュエータに備えられるターミナル7の分解図であり、図9(a)、(b)は、パイプ状部品72の上面図と側面図、図9(c)、(d)は、配線71の上面図と側面図を示したものである。また、図10は、ターミナル7におけるパイプ状部品72および配線71の加工前の様子を示したもので、図10(a)、(b)は、加工前におけるパイプ状部品72の上面図と側面図、図10(c)、(d)は、加工前における配線71の上面図と側面図を示したものである。
【0063】
図10(c)、(d)に示されるように、配線71が矩形断面のもので構成されている。この配線71の先端部には、図9(c)、(d)に示されるように、加工により、接触部71aが形成され、この接触部71aにおいて配線71が部分的に他の部位よりも幅が拡大された構成となっている。
【0064】
また、図10(a)、(b)に示されるように、パイプ状部品72は、断面U字状のもので構成されている。パイプ状部品72は、配線71を収容できるように、パイプ状部品72における断面半円の部分の径が配線71における接触部71aよりも大きな内径を有するもので構成されている。
【0065】
このパイプ状部品72は、図9(a)、(b)に示されるように、加工により、断面半円の部分の中央位置においてスリット72cを形成し、回路基板5側の先端部において先すぼみ形状とすることで、断面半円の部分の径を縮小させた縮径部72aが形成されている。この縮径部72bにより、パイプ状部品72の軸方向(長手方向)に対して傾斜したテーパ面が構成されたものとなっている。
【0066】
このように、ターミナル7における配線71を矩形断面のものとし、パイプ状部品72を断面U字状のものとしても、配線71とパイプ状部品72を、配線71における接触部71aとパイプ状部品72における縮径部72bの内壁面とにおいて接触させることが可能となる。このため、ターミナル7が本実施形態の構造とされても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
(他の実施形態)
上記実施形態では、パイプ状部品72に対して溝部72bを形成することとによって縮径部72aが形成され易くなるようにしたが、この溝部72bは必ずしも必要であるものではないし、溝部72bの代わりに他の手段を用いることも可能である。
【0068】
例えば、図11は、溝部72bの代わりに、第2実施形態で示したようなスリット72cを設けた場合を示したものであり、図11(a)はパイプ状部品72の先端部を軸方向から見たときの図、図11(b)は、図11(a)のB−B断面図、図11(c)は、図11(a)のC−C断面図である。この図に示されるように、パイプ状部品72の先端部に対して、軸方向と平行なスリット72cを設けるようにしても、縮径部72aを形成し易くすることができる。
【0069】
また、図12に示されるように、溝部72bと共にスリット72cを形成するようにしても構わない。図12(a)はパイプ状部品72の先端部を軸方向から見たときの図、図12(b)は、図12(a)のD−D断面図、図12(c)は、図12(a)のE−E断面図である。このように、溝部72bと共にスリット72cを形成するようにすれば、より縮径部72aを形成し易くすることができる。
【0070】
勿論、上述した第2実施形態のようなターミナル7におけるパイプ状部品72が断面U字状のものに対しても、溝部72bを形成する構成とすることもでき、溝部72bと共にスリット72cを形成する攻勢とすることもできる。
【0071】
さらに、上記第2実施形態では、ターミナル7における配線71を矩形断面のものとしたが、勿論、第1実施形態等に関しても、配線71をこのような形状としても良い。逆に、第2実施形態で示した断面U字状のパイプ状部品72と第1実施形態で示した断面円形の配線71との組み合わせとしても良い。
【0072】
また、上記実施形態では、電磁弁3と圧力センサ4の双方共に、ターミナル7の構造を採用したが、圧力センサ4に対して適用するのが特に有効である。これは、ブレーキ液洩れ防止の観点から圧力センサ4がブロック2に対して直接カシメ固定されるために、圧力センサ4をブロック2から取り外すことができないからである。
【0073】
電磁弁3に関しては、コイルユニット3a以外の部分に関してはブロック2に対してカシメ固定されるが、コイルユニット3aだけ取り外し可能な構成とすることが可能である。このような場合、ケース6側のユニットをブロック2側のユニットから取り外したときに、電磁弁3のうちのコイルユニット3aだけがケース6側のユニットに残されたままの状態、つまり回路基板5と接続されたままの状態とすることが可能となり、必ずしも取り外しが容易なターミナル構造が必要とされる訳ではない。
【0074】
このため、ブロック2に対して直接カシメ固定され、ケース6側のユニットをブロック2側のユニットから取り外すときに、回路基板5のパッド5bから必ず取り外さなければならない圧力センサ4に対して適用すると特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1実施形態におけるブレーキ液圧制御用アクチュエータの一部断面概略図である。
【図2】図1におけるブロックに対して圧力センサおよび電磁弁におけるコイルユニット以外の部分を固定した様子を示した図である。
【図3】図1におけるターミナルの近傍を拡大した図である。
【図4】図1に示したブレーキ液圧制御用アクチュエータの組み付け前の様子を示した図である。
【図5】電磁弁のコイルユニットから引き出された配線の先端部に接触部を形成したときの様子を示した図である。
【図6】パイプ状部品を配線に覆い被せたときのコイルユニットの様子を示したものであり、(a)は断面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図7】(a)、(b)は、それぞれ、ターミナルがパッドに接触する前後の様子を示した図である。
【図8】2つのユニットが分解されるときのターミナルとパッドの様子を示した図である。
【図9】本発明の第2実施形態におけるブレーキ液圧制御用アクチュエータに適用されるターミナルを示したもので、(a)、(b)は、ターミナルにおけるパイプ状部品の上面図と側面図、(c)、(d)は、ターミナルにおける配線の上面図と側面図である。
【図10】図9に示すターミナルの加工前の様子を示したもので、(a)、(b)は、ターミナルにおけるパイプ状部品の上面図と側面図、(c)、(d)は、ターミナルにおける配線の上面図と側面図である。
【図11】他の実施形態で示す溝部の代わりにスリットを設けた場合を示したものであり、(a)はパイプ状部品の先端部を軸方向から見たときの図、(b)は、(a)のB−B断面図、(c)は、(a)のC−C断面図である。
【図12】他の実施形態で示す溝部と共にスリットを設けた場合を示したものであり、(a)はパイプ状部品の先端部を軸方向から見たときの図、(b)は、(a)のD−D断面図、(c)は、(a)のE−E断面図である。
【図13】従来の電気部品のターミナルと回路基板のパッドとの電気的な接続構造を示した部分断面図である。
【図14】従来の電気部品のターミナルと回路基板のパッドとの電気的な接続が行えなくなる場合の例を示した部分断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1…ブレーキ液圧制御用アクチュエータ、2…ブロック、3…電磁弁、3a…コイルユニット、3b…ボビン、3c…溝部、4…圧力センサ、5…回路基板、5a…接続用穴、5b…パッド、6…ケース、6a…仕切壁、6b…穴部、6c…接続用突起部、7…ターミナル、71…配線、71a…接触部、72…パイプ状部品、72a…縮径部、72b…溝部、72c…スリット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ配管が形成されたブロック(2)と、
前記ブロック(2)における一面に備えられ、ターミナル(7)を有してなる電気部品(3、4)と、
前記電気部品(3、4)を駆動するための制御回路および、該制御回路に電気的に接続されるパッド(5b)が形成された回路基板(5)と、
前記回路基板(5)を収容するケース(6)とを備え、
前記ケース(6)と前記ブロック(2)とを組み付けることで、前記ターミナル(7)が前記パッド(5b)に接し、前記電気部品(3、4)と前記制御回路とが電気的に接続されるように構成されたブレーキ液圧制御用アクチュエータであって、
前記パッド(5b)は、前記回路基板(5)に形成されたスルーホールの内壁に形成されることで空洞部を有して構成され、該パッド(5b)の空洞部に前記ターミナル(7)が挿入されるようになっており、
前記ターミナル(7)は、パイプ状部品(72)を有して構成され、該パイプ状部品(72)の先端部が縮径部(72a)とされることでテーパ面を構成すると共に、前記縮径部(72a)の最も先端位置において前記パイプ状部品(72)の外径(L2)が前記パッド(5b)の空洞部における内径(L1)よりも小さく、前記縮径部(72a)の根元の部分において前記パイプ状部品(72)の外形(L4)が前記パッド(5b)の空洞部における内径(L1)よりも大きく構成されており、
前記ターミナル(7)と前記パッド(5b)との電気的な接続は、前記縮径部(72a)が前記パッド(5b)の空洞部に挿入されて、該縮径部(72a)におけるテーパ面が前記パッド(5b)と接触することによって行われていることを特徴とするブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項2】
前記ターミナル(7)は、前記電気部品(3、4)から直接引き出される配線(71)を有しており、該配線(71)の先端部に前記パイプ状部品(72)の内径(L3)よりも幅(L5)が小さく設定された接触部(71a)が備えられ、前記パイプ状部品(72)の前記縮径部(72)の内壁が前記接触部(71a)と接触することで、前記配線(71)と前記パイプ状部品(72)とが電気的に接続された構成となっていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項3】
前記パイプ状部品(72)における前記縮径部(72a)と前記配線(71)における前記接触部(71a)とは、
前記パイプ状部品(72)を前記パッド(5b)の空洞部に挿入していない状態のときには前記縮径部(72a)と前記接触部(71a)との間に隙間が形成されて接していない状態となっており、
前記パイプ状部品(72)を前記パッド(5b)の空洞部に挿入した状態のときには前記縮径部(72a)が前記パッド(5b)によって弾性変形させられ、前記縮径部(72a)が縮み、前記接触部(71a)とが接した状態となることを特徴とする請求項2に記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項4】
前記パイプ状部品(72)における前記縮径部(72a)の根元の部分には、溝部(72b)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項5】
前記パイプ状部品(72)における前記縮径部(72a)には、前記パイプ状部品(72)の軸方向と平行なスリット(72c)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項6】
前記パイプ状部品(72)は、断面円形もしくは断面U字状となっており、前記断面円形の径もしくは前記断面U字状における半円の部分の径が縮小されることで前記縮径部(72a)が構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項7】
前記配線(72)は、断面円形もしくは断面矩形となっていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項8】
前記電子部品は、前記ブレーキ配管におけるブレーキ液の流動を制御する電磁弁(3)と該ブレーキ配管内のブレーキ液圧を検出する圧力センサ(4)であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項9】
前記ブロックには、電子部品として前記ブレーキ配管におけるブレーキ液の流動を制御する電磁弁(3)と該ブレーキ配管内のブレーキ液圧を検出する圧力センサ(4)とが備えられており、そのうちの前記圧力センサ(4)のみに対して前記パイプ状部品(72)を有する前記ターミナル(7)が備えられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項1】
ブレーキ配管が形成されたブロック(2)と、
前記ブロック(2)における一面に備えられ、ターミナル(7)を有してなる電気部品(3、4)と、
前記電気部品(3、4)を駆動するための制御回路および、該制御回路に電気的に接続されるパッド(5b)が形成された回路基板(5)と、
前記回路基板(5)を収容するケース(6)とを備え、
前記ケース(6)と前記ブロック(2)とを組み付けることで、前記ターミナル(7)が前記パッド(5b)に接し、前記電気部品(3、4)と前記制御回路とが電気的に接続されるように構成されたブレーキ液圧制御用アクチュエータであって、
前記パッド(5b)は、前記回路基板(5)に形成されたスルーホールの内壁に形成されることで空洞部を有して構成され、該パッド(5b)の空洞部に前記ターミナル(7)が挿入されるようになっており、
前記ターミナル(7)は、パイプ状部品(72)を有して構成され、該パイプ状部品(72)の先端部が縮径部(72a)とされることでテーパ面を構成すると共に、前記縮径部(72a)の最も先端位置において前記パイプ状部品(72)の外径(L2)が前記パッド(5b)の空洞部における内径(L1)よりも小さく、前記縮径部(72a)の根元の部分において前記パイプ状部品(72)の外形(L4)が前記パッド(5b)の空洞部における内径(L1)よりも大きく構成されており、
前記ターミナル(7)と前記パッド(5b)との電気的な接続は、前記縮径部(72a)が前記パッド(5b)の空洞部に挿入されて、該縮径部(72a)におけるテーパ面が前記パッド(5b)と接触することによって行われていることを特徴とするブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項2】
前記ターミナル(7)は、前記電気部品(3、4)から直接引き出される配線(71)を有しており、該配線(71)の先端部に前記パイプ状部品(72)の内径(L3)よりも幅(L5)が小さく設定された接触部(71a)が備えられ、前記パイプ状部品(72)の前記縮径部(72)の内壁が前記接触部(71a)と接触することで、前記配線(71)と前記パイプ状部品(72)とが電気的に接続された構成となっていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項3】
前記パイプ状部品(72)における前記縮径部(72a)と前記配線(71)における前記接触部(71a)とは、
前記パイプ状部品(72)を前記パッド(5b)の空洞部に挿入していない状態のときには前記縮径部(72a)と前記接触部(71a)との間に隙間が形成されて接していない状態となっており、
前記パイプ状部品(72)を前記パッド(5b)の空洞部に挿入した状態のときには前記縮径部(72a)が前記パッド(5b)によって弾性変形させられ、前記縮径部(72a)が縮み、前記接触部(71a)とが接した状態となることを特徴とする請求項2に記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項4】
前記パイプ状部品(72)における前記縮径部(72a)の根元の部分には、溝部(72b)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項5】
前記パイプ状部品(72)における前記縮径部(72a)には、前記パイプ状部品(72)の軸方向と平行なスリット(72c)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項6】
前記パイプ状部品(72)は、断面円形もしくは断面U字状となっており、前記断面円形の径もしくは前記断面U字状における半円の部分の径が縮小されることで前記縮径部(72a)が構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項7】
前記配線(72)は、断面円形もしくは断面矩形となっていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項8】
前記電子部品は、前記ブレーキ配管におけるブレーキ液の流動を制御する電磁弁(3)と該ブレーキ配管内のブレーキ液圧を検出する圧力センサ(4)であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【請求項9】
前記ブロックには、電子部品として前記ブレーキ配管におけるブレーキ液の流動を制御する電磁弁(3)と該ブレーキ配管内のブレーキ液圧を検出する圧力センサ(4)とが備えられており、そのうちの前記圧力センサ(4)のみに対して前記パイプ状部品(72)を有する前記ターミナル(7)が備えられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御用アクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−151367(P2006−151367A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292441(P2005−292441)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】
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