説明

ブレース構造、ブレース受部材、ブレース接続部材

【課題】、柱への固定位置が異なることによるブレースの固定位置の決定の煩わしさを解消するとともに、ブレース本来の機能である矩形枠構造の補強を十分に発揮させることができるブレース構造およびブレースのもつ前述した問題点を解消するための接続部材を提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、本発明は、たすき掛けで配置される1対のブレース30a、30bと、ブレース接続部材20a、20bと、柱50に固定されるブレース受部材10とを備える構成とした。また、ブレース受部材10は、柱50に固定されるベースプレート15とフック11a、11bとを有し、フック11a、11bは、ベースプレート15の上面に所定の間隔かつ同じ向きで並列に配置されている構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形枠構造を構成する柱の間に配置されるブレース構造及び該ブレース構造に用いるブレース受部材及びブレース接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
矩形枠構造を補強する技術として従来よりブレース(筋かい)を用いることが行われている。ブレースは、両端部を矩形枠構造の対角線上の角部に接合することで矩形枠構造の強度を補うことができる。
【0003】
ブレースが用いられる場面は様々であり、木造建築物の柱間や、構造物を施工する際に用いる足場などに用いられることが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−60254号公報
【特許文献2】特開平9−250235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術にも開示されているように、ブレースは隣接する柱にたすき掛け状にした状態で2本のブレースを一組として使用するものである。すなわち、両端部を矩形枠構造の対角線上の角部に接合して使用するものであるが、たすき掛け状にして使用する構造であることから矩形枠構造の角部に接合する際に手前側に配置されるブレースと、奥側に配置されるブレースとでは固定位置をずらす必要がある。すなわち、柱に固定される2本のブレースの位置が所定の間隔もってずらして固定されないとブレース同士が接触して摩耗劣化したり、ブレースが変形したりしてブレース本来の機能である矩形枠構造の補強性能を発揮できないといった問題を生ずる。
【0005】
また、ブレースが用いられる場面は上述した木造建築物の柱間や足場以外に限られるものではない。例えば、近年情報機器の更新が比較的早く行われる状況下では、オフィス等の空間を柱や梁などの部材を用いて情報機器の更新に合わせて再形成することが行われているが、このようなオフィス空間を再形成する各部材は十分な強度を有するとともに取り扱いの容易さや優れたデザイン性も要求される。前記オフィス空間を形成する各部材の組立は、例えば足場の組立が専門業者によって行われるのと異なり一般ユーザによっても容易に行えることが要求される。したがって、ブレースを柱に固定する際には1対で使用される2本のブレース同士が接触しないようにそれぞれをずらして固定する必要があり、この問題点が解消されたブレース構造またはブレース構造の問題を解消するための接続部材の開発が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ブレース同士の接触を防止するため柱への固定位置を所定の間隔をもってずらす必要があることによるブレースの固定位置の決定の煩わしさを解消するとともに、ブレース本来の機能である矩形枠構造の補強を十分に発揮させることができるブレース構造およびブレースのもつ前述した問題点を解消するための接続部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記の課題を解決するため、以下の手段を採用した。すなわち、柱間に配置されるブレース構造であって、たすき掛けで配置される1対のブレースと、前記ブレースの両端に接続されるブレース接続部材と、前記接続部材に接続されるとともに前記柱に固定されるブレース受部材と、を備え、前記ブレースは、両端に螺旋溝が形成された結合
部を有し、前記ブレース受部材は、前記柱に固定されるベースプレートと前記ベースプレートの上面に配置されたフックとを有し、前記ブレース接続部材は、前記ブレース受部材のフックに引っ掛ける引掛部と、前記ブレースの結合部と接続され、該結合部との接続長さによって前記ブレースの軸長さを調整可能である長さ調整部と、を有し、前記フックは、前記ベースプレートの上面に所定の間隔かつ同じ向きで並列に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るブレース構造によれば、柱に固定されたブレース受部材上に所定の間隔で配置されたフックにブレース接続部材を介してブレースを接続することで、ブレースの柱への位置決めが的確に行われる。したがって、ブレース同士が接触して摩耗劣化したり、ブレースが変形することを防止して、ブレース本来の機能である矩形枠構造の補強効果が十分に発揮される。なお、柱とは矩形枠構造を構成する柱を意味するものとする。
【0009】
また、本発明は、ブレースを柱に取り付けるブレース受部材であって、前記柱に固定されるベースプレートと、前記ベースプレートの上面に配置されたフックとを備え、前記フックは、前記ベースプレートの上面に所定の間隔かつ同じ向きで並列に配置されていることを特徴とするブレース受部材である。
【0010】
このように本発明に係るブレース受部材は、ベースプレートの上面にブレースと接続するためのフックが所定の間隔かつ同じ向きに並列に配置されている。したがって、矩形枠構造の4角にそれぞれ前記ブレース受部材を配置した場合についてみると、対角に位置するブレース受部材については例えば手前側のフックを使用し、他方の対角に位置するブレース受部材については奥側のフックを使用することで矩形枠構造を構成する柱にブレースを容易に配置することが可能となる。また、本発明に係るブレース受部材によれば容易にブレースを柱に取り付けかのうであるとともに一対のブレースの位置決めが的確に行われることから組み立てる者の技量に左右されることなく十分な強度が発揮される。また、本発明係るブレース受け部材は左右略対照の構成とすることが望ましい。これにより、左右の柱で部材が区別されるようなことなく、また上下についても固定する向きを逆にするだけで使用することができ、取り扱いも容易となる。
【0011】
ベースプレートの形状および材質は特に限定されるものではない。すなわち、材質はブレースの補強効果を損なわない十分な強度を有するものであればよい。また、フックについても材質はベースプレート同様、十分な強度を有するものであればよく特に限定されるわけではない。また、フックの形状については例えば以下のように構成することができる。すなわち、ベースプレート上に設けられた基部と、前記基部から先端部にかけて屈曲する屈曲部を備え、前記基部と前記先端部との間には屈曲部に向けて開放部が形成されているフックとすることができる。前記先端部に例えば環状部材の空洞部分を挿入することで部材を引っ掛けることが可能となる。なお、前記フックの先端部をベースプレートに向けて10度から20度傾けることでフックに引っ掛ける部材が外れることを防止することができる。なお、ベースプレートとフックは一体成形してもよいし、別途成形し締結部材を用いて結合する構成としてもよい。また、ベースプレートに所定数の孔を形成し、ボルトなどの締結部材を前記孔に貫通させて柱に固定することができる。所定数の孔は、ブレースを十分に固定することができるように必要に応じて設計することができる。
【0012】
フックが前記ベースプレートの上面に所定の間隔かつ同じ向きで並列に配置されているとは、フックがフックの先端部が同じ方向を指すとともにフック間に間隔が形成されてベースプレート上に配置されていることを意味する。所定の間隔とは、フックに接続するブレースが接触しない距離を意味し、ブレースの径によって決定することができる。すなわち、ブレースの径よりも所定の間隔を大きくすることでブレース同士の接触を防止することができる。
【0013】
また、本発明に係るブレース受部材は、前記ベースプレートの長手方向端部の下面に片が形成されていることとすることができる。
【0014】
例えば、ブレース受部材を配置する柱の長手方向に所定の間隔で前記片に対応する凹部を形成しておくことで、柱に配置する位置すなわち位置決めを容易に行うことができる。したがって、柱の表面に水平に凹部を形成し、前記片もこれに対応するように前記フックの先端方向と略直角の方向に片を形成することが望ましい。また、柱の垂直方向に沿って溝を形成することでも柱に配置する位置の位置決めを容易に行うことができる。
【0015】
また、本発明に係るブレース受部材は、前記ベースプレートの長手方向上部にU字状の開放部が形成されていることととしてもよい。
【0016】
ベースプレートの長手方向上部にU字状の開放部を形成することで、ブレース受部材の軽量化を図ることができる。また、前記フックの先端方向と前記U字状の開放部が形成される位置を一致させることで、ブレース受部材の柱に固定する際の向きを容易に判断することができる。更に、このような構成とすることでデザイン性にも優れたブレース受部材となる。
【0017】
また、本発明は、上述したブレース受部材とブレースとを接続するためのブレース接続部材であって、前記ブレースは、両端に螺旋溝が形成された結合部を有し、前記ブレース接続部材は、前記ブレース受部材のフックに引っ掛ける引掛部と、前記ブレースの結合部と接続され、該結合部との接続長さによって前記ブレースの軸長さを調整可能である長さ調整部とを備えることを特徴とするブレース接続部材である。
【0018】
ブレースの両端に上記ブレース接続部材を接続し、該接続部材を前記ブレース受部材のフックに引っ掛け、更に調整部によってブレースの軸長さを調整することで、ブレースを配置する矩形枠構造の補強を行うことができる。
【0019】
前記引掛部は、前記ブレース受付部材のフックに引っ掛けることができる形状であれば何でもよく、最も簡易な構成としては例えば環状により構成することができる。また、例えば一対の板状部材の間に棒状部材を前記板状部材と直角に結合する構成としてもよい。この場合は、前記棒状部材に前記フックを引っ掛けることで前記ブレースと前記ブレース受部材とを接続することができる。なお、ブレース接続部材の材質は特に限定されるものではなく、ブレースの補強効果を損なわない十分な強度を有するものであればよい。
【0020】
前記調整部は、前記ブレースの長さを調整する。予め対角線上のフック間の距離よりも前記ブレース接続部材を含めたブレースの長さを長めに設定しておき、前記ブレースの両端に接続された前記ブレース接続部材の引掛部をフックに引っ掛けた状態で、前記調整部を操作してブレースの長さを短くして矩形枠構造を補強するために必要な適度な長さに調整する。なお、前記調整部の操作は前記ブレースと前記ブレース接続部材を相対的に回転させることで調節することができる。
【0021】
また、本発明に係るブレース接続部材において、前記結合部の螺旋溝は、前記ブレースの外側面に形成され、前記ブレース接続部材の長さ調整部は、前記結合部が挿入される孔であって、前記結合部の螺旋溝に対応した螺旋溝が前記孔の内側面に形成されていることとしてもよい。
【0022】
このような構成とすることで、前記ブレースと前記ブレース接続部材とを相対的に回転させることでブレースの長さを調節することができる。また、本発明においては、ブレー
スの両端の外側面に螺旋溝を形成する構成とし、前記ブレース接続部材の調整部をこれに対応する構成としたが、これに限定されるわけではなく逆の構成であってもよい。すなわち、ブレースの両端に軸方向に沿って孔を形成し、該項の内側面に螺旋溝を形成する構成とし、これに対応するように前記ブレース接続部材の調整部を棒形状とし、該棒形状の外側面に螺旋溝を形成する構成としてもよい。なお、前記結合部の螺旋溝は前記ブレースの両端で螺旋溝が形成される向きを逆にすることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ブレース同士の接触を防止して柱への固定を的確に行うことができ、ブレース本来の機能である矩形枠構造の補強を十分に発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明に係るブレース受部材、ブレース接続部材、及びブレース構造の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、同一の構成要素については同一の符号を付すことでその詳細な説明を省略する。
【0025】
図1は、本発明に係るブレース受部材、ブレース接続部材、及びこれらを用いたブレース構造の配置状況を示す図である。同図に示すように、本発明に係るブレース構造40は、たすき掛け状で配置される2本のブレース30a、30bと、前記ブレース30a、30bの両端に接続されたブレース接続部材20a、20bと、前記ブレース接続部材20a、20bに接続されたブレース受部材10により構成され、前記ブレース受部材10は矩形枠構造の柱等に接続される。また、ブレース30a、30bの配置についてより詳しくみると、ブレース30aはブレース接続部材20a、20bを介して紙面手前に位置するブレース受部材10のフック11aに接続され(紙面左上)、ブレース30bはブレース接続部材20a、20bを介して紙面奥側に位置するブレース受部材10のフック11a(紙面左下)に接続されている。なお、本実施例においてはブレース受部材10において端部に開放部が形成されている側を上向きとして左側のフックを11a、右側のフック11bとする。また、本実施例においてはブレース30a、30bの両端に形成される螺旋溝をそれぞれ異なる向きで形成したことにより、これに接続するブレース接続部材も螺旋溝の方向により2種類用意し、外観の区別を容易にするため一方のブレース接続部材20aの側面にラインを形成している。
【0026】
このように本実施形態に係るブレース構造40は、並列に配置されたフック11a及び11bを有するブレース受部材10を備えることでブレース30aと30bが接触することなく配置され、矩形枠構造を補強することが可能となる。
【0027】
次に上述したブレース構造40を構成するブレース受部材10及びブレース接続部材20a、20bについて図面に基づいて更に詳細に説明する。
【0028】
図2は、本実施形態に係るブレース受部材10を示す斜視図である。同図に示すように本実施形態に係るブレース受部材10は、ベースプレート15と、ベースプレート15に配置されたフック11a及び11bにより構成されている。フック11aおよび11bは所定の間隔dをもって、同方向に並列に配置されている。このような構成とすることで、対角に位置するブレース受部材10については例えば手前側のフック11aを使用し、他方の対角に位置するブレース受部材10については奥側のフック11bを使用することで矩形枠構造にブレース30a、30bとの接触を防止して容易に配置することが可能となる。また、本発明に係るブレース受部材10によれば容易にブレース30a、30bを矩形枠構造に取り付けられるばかりでなく、たすき掛け状で使用される一対のブレース30a、30bの位置決めが行われていることから組み立てる者の技量に左右されることなく十分な強度が発揮される。
【0029】
また、図2に示すように本実施形態に係るブレース受部材10は、ボルト等の締結部材を貫通させるための孔13、片12、U字状の開放部16を更に備える構成である。孔13にボルト等の締結部材を貫通させて柱等に固定することができる。片12は、例えば、ブレース受部材10を固定する柱の長手方向に所定の間隔で前記片12に対応する凹部を予め形成しておくことで、柱に固定する位置すなわち位置決めを容易に行うことができる。また、U字状の開放部16を同図に示すようにベースプレート15の長手方向上部に形成することで、ブレース受部材10の軽量化を図ることができる。さらに、前記フック11aおよび11bの先端方向と前記U字状の開放部16が形成される位置を一致させることで、開放部16の位置を確認することでブレース受部材10の向き、すなわちフック11a、11bの向きを容易に判断することができる。
【0030】
図3は、本実施形態に係るブレース受部材10を示す図である。図3(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は(a)におけるA−A断面図である。(a)および(b)に示すようにフック11aおよび11bは所定の間隔dをもってベースプレート15上に配置されいる。前記間隔dはブレース30a、30bの径より大きい値とすることが望ましく、このような値とすることでブレース30aとブレース30bの接触を防止することができる。また、フック11a、11bの形状についてみると、(b)に示すようにベースプレート15上に設けられた基部11a1と、前記基部11a1から先端部11a3にかけて屈曲する屈曲部11a2を備え、前記基部11a1と前記先端部11a3との間には屈曲部11a2に向けて開放部11a4が形成されている。なお、本実施形態においてはフック11a、11bとベースプレート15を締結部材14を用いて結合し、締結部材14の背部をベースプレート15の裏面より突出させることとした。ブレース受部材10を固定する柱の表面に前記締結部材14の背部に対応する凹を予め形成しておくことで、片12とともに柱への位置決めがより正確に行うことができる。
【0031】
図4は、本実施形態に係るブレース接続部材20a、20bを示す図である。(a)は、本実施形態に係るブレース接続部材20a、20bの斜視図、(b)は、断面図である。(a)に示すように本実施形態に係るブレース接続部材20a、20bは、ブレース受部材10のフック11a、11bと接続するための引掛部21と、ブレース30a、30bと接続し、ブレース30a、30bの長さを調整する長さ調整部23を備える。また、本実施形態においては一対の板状部材22a、22bの間に棒状部材からなる引掛部21を前記板状部材22a、22bと直角に結合する構成とした。また、(b)に示すように長さ調整部23は、ブレース30a、30bの両端の表面に形成された螺旋溝(結合部)に接続できるように孔の内側面に前記ブレース30a、30bの両端の表面に形成された螺旋溝に対応する螺旋溝を形成した。このような構成とすることにより、ブレース30a、30bとブレース接続部材20a、20bを相対的に回転することによりブレース30a、30bの長さを容易に調整することが可能となる。なお、長さ調整部23に形成される螺旋溝は、ブレース30a、30bの両端の表面に形成された螺旋溝が異なる向きで形成されていることに対応させるため、ブレース接続部材30aと30bでは異なる向きで形成する。
【0032】
次に本発明に係るブレース構造40を実際に適用した場合について図面に基づいて説明する。図5は、本発明に係るブレース構造40をオフィスの空間構造体100に適用した例、図6は図5に示すブレース構造の拡大図である。
【0033】
図5に示すように、本実施形態に係るブレース構造40はオフィスの空間構造体100に用いることが可能であり、前記空間構造体100に用いることで該空間構造体100の補強効果を発揮する。また、本実施例に係るブレース受部材10のフック11a、11bにそれぞれブレース30a、30bをブレース接続部材20a、20bを介して接続する
ことで、ブレース30a、30bが接触することなく配置することが可能となる。
【0034】
次に、図1、図2および図6に基づいて本実施形態に係るブレース構造40の組立方法について説明する。まず、柱50の表面にブレース受部材10を4機固定する。柱50の表面には予め片12(図2参照)に対応する凹部を所定の間隔で形成しておくことが望ましい。これにより、片12を前記溝に勘合させることで容易に位置決めを行うことが可能となる。なお、柱50への固定はボルトなどの締結部材を用いて行うことができる。ブレース受部材10の柱への固定向きは、柱50の上側に固定するブレース受部材10はフックの先端方向を上に向けて固定し、柱の下側に固定するブレース受部材10は、フックの先端方向を下に向けて固定する。換言すると、対角すなわちブレース30a、30bの両端でブレース受部材10を上下逆向きにして柱50に固定する。なお、本実施形態に係るブレース受部材10は、開放部16が設けられているので、上下の向きを開放部16によっても容易に判断することができる。
【0035】
ブレース受部材10の柱50への固定が完了したら、次にブレース30a、30bをブレース受部材10に接続する。たすき掛け状に配置するブレース30a、30bのうち、紙面奥側に配置されるブレース30bの一端を紙面左上のブレース受部材10のフック11bに、他端を紙面右下のブレース受部材10のフック11bに、それぞれブレース接続部材20a、20bの引掛部21を介して接続する。ブレース30bの接続が完了後、紙面手前側のブレース30aを同様の手順により接続する。なお、予め対角線上のフック間の距離よりも前記ブレース接続部材20a、20bを含めたブレース30a、30bの長さを長めに設定しておき、前記ブレース30a、30bの両端に接続された前記ブレース接続部材20a、20bの引掛部21をフック11a、11bに引っ掛けた状態で、ブレース30a、30bと前記ブレース接続部材20a、20bを相対的に回転させて短くして柱50を有する矩形枠構造の補強をするために必要な適度な長さに調整する。このように非常に簡易な工程で、ブレース30a及びブレース30bが接触しないとともに十分な補強効果を備えるブレース構造40を組み立てることができる。
【0036】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係るブレース受部材、ブレース接続部材、およびこれらを用いたブレース構造はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態に係るブレース受部材、ブレース接続部材、及びこれらを用いたブレース構造の配置状況を示す図である。
【図2】本実施形態に係るブレース受部材10を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係るブレース受部材10を示す図である。
【図4】本実施形態に係るブレース接続部材20a、20bを示す図である。
【図5】本実施形態に係るブレース構造40をオフィスの空間構造100に適用した例を示す図である。
【図6】図5に示すブレース構造の拡大図である。
【符号の説明】
【0038】
10・・・ブレース受部材
11a、11b・・・フック
12・・・片
13・・・孔
14・・・締結部材
15・・・ベースプレート
16・・・開放部
20a、20b・・・ブレース接続部材
21・・・引掛部
22a、22b・・・板状部材
23・・・長さ調整部
30a、30b・・・ブレース
40・・・ブレース構造
50・・・柱
100・・・空間構造体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱間に配置されるブレース構造であって、
たすき掛けで配置される1対のブレースと、
前記ブレースの両端に接続されるブレース接続部材と、
前記接続部材に接続されるとともに前記柱に固定されるブレース受部材と、を備え、
前記ブレースは、両端に螺旋溝が形成された結合部を有し、
前記ブレース受部材は、前記柱に固定されるベースプレートと前記ベースプレートの上面に配置されたフックとを有し、
前記ブレース接続部材は、前記ブレース受部材のフックに引っ掛ける引掛部と、前記ブレースの結合部と接続され、該結合部との接続長さによって前記ブレースの軸長さを調整可能である長さ調整部と、を有し、
前記フックは、前記ベースプレートの上面に所定の間隔かつ同じ向きで並列に配置されていることを特徴とするブレース構造。
【請求項2】
ブレースを柱に取り付けるブレース受部材であって、
前記柱に固定されるベースプレートと、
前記ベースプレートの上面に配置されたフックとを備え、
前記フックは、前記ベースプレートの上面に所定の間隔かつ同じ向きで並列に配置されていることを特徴とするブレース受部材。
【請求項3】
前記ベースプレートの長手方向端部の下面に片が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のブレース受部材。
【請求項4】
前記ベースプレートの長手方向上部にU字状の開放部が形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のブレース受部材。
【請求項5】
請求項2から請求項4に記載のブレース受部材とブレースとを接続するためのブレース接続部材であって、
前記ブレースは、両端に螺旋溝が形成された結合部を有し、
前記ブレース接続部材は、前記ブレース受部材のフックに引っ掛ける引掛部と、
前記ブレースの結合部と接続され、該結合部との接続長さによって前記ブレースの軸長さを調整可能である長さ調整部と
を備えることを特徴とするブレース接続部材。
【請求項6】
前記結合部の螺旋溝は、前記ブレースの外側面に形成され、
前記ブレース接続部材の長さ調整部は、前記結合部が挿入される孔であって、前記結合部の螺旋溝に対応した螺旋溝が前記孔の内側面に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のブレース接続部材。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−132144(P2007−132144A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328147(P2005−328147)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000152228)株式会社内田洋行 (105)
【Fターム(参考)】