説明

ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの製造方法及びその組成物

【解決手段】 本願明細書において、新規方法およびこの方法より得られる、耐炎性、加水分解安定性、高Tg,低溶融粘度、低着色性、および高靭性の優れた組み合わせを示すブロックコポリカーボネート/ホスホネート類を含む組成物を開示する。さらにまた、これらのブロック共重合カーボネート/ホスホネート組成物と、汎用およびエンジニアリングプラスチックとを含むポリマー混合物またはブレンド、およびこれらから生成される製品を開示する。さらに、これらの材料から製造された、ファイバー、フィルム、塗装材料、成形品、発泡体、接着剤、および繊維強化品等の製造物、または、これらの各種混合物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、表題「ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの製造方法およびその組成物」の2005年12月1日出願の米国特許仮特許出願第60/741,124号、および表題「ブロックコポリカーボネート/ホスホネート類の製造方法およびその組成物」の2005年12月12日出願の米国特許仮出願第60/749,389号に対して優先権を主張するものであり、これらの全内容はこの参照により本出願に組み込まれるものである。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート(Polycarbonates:PCs)は、高い熱変形温度、低色度、透明性、溶融加工性、および際立った靭性等の特性の卓越した組み合わせを有する優れたエンジニアリング熱可塑性樹脂である。このような材料は、多岐用途に使用されており、商業的に大規模で製造されている。しかしながら、ポリカーボネートは耐炎性に欠けており、耐炎性のポリカーボネートに対する要求および必要性があった。耐炎性をこれらの材料に付与するために様々なアプローチがとられてきたが、耐炎性PCsはポリカーボネートが本来有する有利な特性の多くを失うので、これらのアプローチの大部分は成功には至っていない。
【0003】
ポリホスホネートは、優れた耐火性を示すことが知られている(例えば、米国特許第2,682,522号、第2,891,915号、第4,311,614号を参照)。従って、これらの特質を組み合わせてポリカーボネートの物理的性質と加えられた耐炎性の特徴を有する物質を生成させるために、ポリカーボネートとホスホネートとを混合するのは合理的であるように思われる。しかし、ポリカーボネートとポリホスホネートとの混合による組み合わせたこのような特性を実現化するのは非常に困難であることが実証されている。
【0004】
カーボネート前駆体、アリールホスホン酸ジクロリライド、および芳香族ジオールを塩化メチレン等のハロゲン化溶媒中、縮合させることによる、ランダムコポリカーボネート/ホスホネートの合成は、米国特許第4,223,104号に記載されている。この方法を利用して、メタノール中に沈殿させるかまたは溶媒を蒸発させることにより、ランダムコポリカーボネート/ホスホネートが単離される。この方法では、完全なランダムコポリカーボネート/ホスホネートが得られるが、高価なモノマー(アリールホスホン酸ジクロライド)および望ましくないハロゲン化溶媒を使用するものである。
【0005】
同様の方法において、塩基性触媒を用いた溶融縮合反応によって、ジアリールカーボネート、芳香族ビスフェノール、及びホスホン酸ジアリールエステルから、ランダムコポリカーボネート/ホスホネートが合成され、場合によっては、米国特許第4,322,520号、第4,401,802号、第4,481,350号、第4,508,890号、および第4,762,905号に記載されているように、分岐剤を用いて合成される。この合成方法はまた、許容可能な特性の組み合わせ示さない完全ランダムコポリカーボネート/ホスホネートを提供するものでもある。最も顕著なものとしては、これらのランダムコポリカーボネート/ホスホネートは靭性に欠けており、更にその熱変形温度がポリカーボネートより顕著に低いことである。
【0006】
米国特許第4,719,279号によると、まず、塩基性触媒を用いたホスホン酸ジアリールエステルと過剰量の芳香族ビスフェノールとの反応により、フェノール末端基を有するオリゴホスホネートが合成される。その後、このオリゴマーは、界面プロセスにおいて、ジカルボン酸ジクロリドまたはホスゲン、あるいはこの両者の混合物と反応し、0.01重量%未満のフェノール含有量を有する生成物が得られる。
【0007】
米国特許第4,782,123号に記載されているように、別の方法によると、溶媒中、150〜420℃の温度範囲で、芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、及び芳香族ポリホスホネートの混合物を押出すことにより、コポリカルボン酸塩/カーボネート/ホスホネートが調製される。しかし、この方法もまた、環境上許容できないハロゲン化溶媒を使用する。
【0008】
米国特許第4,332,921号では、溶融混合によりポリカーボネートとポリホスホネートの物理的ブレンド物を生成させることにより、この両者の特質の組み合わせた方法が記載されている。この方法によると、一方がPCであってもう一方がポリホスホネートである2つ明らかに異なるガラス転移温度を有するポリカーボネートとポリホスホネートの物理的ブレンド物が得られる。このブレンド物は、様々な温度条件や機械的荷重下で不安定である可能性があり、後に相分離が生じ、その結果、機械的特性の変化が引き起こされる。
【0009】
リン含有添加剤、モノマー、およびポリマーを用いることによって、耐炎性をポリカーボネートの特性に加える試みがなされてきた。しかし、いずれの方法も、許容可能な費用で単純且つ容易な方法で調整され、且つ、物理的および機械的特性の許容可能な組み合わせを有する材料を製造したという成功までには至っていない。
【0010】
上述したことを考慮すると、物理的および機械的特性の好ましい組み合わせ示すコポリカーボネート/ホスホネート類を製造する、単純、容易、且つ費用効率の良い方法が必要である。従って、本発明では、このような材料を生成する方法を開示する。この組成物は、ポリカーボネートに比べて著しく改善された耐炎性を示すコポリカーボネート/ホスホネート類を含み、例えば熱変形温度、低色度、高靭性、加水分解安定性、およびガラス転移温度(Tg)等のポリカーボネートの特性に対して最小限の犠牲にとどめたものである。さらに、本発明のコポリカーボネート/ホスホネート類は、ランダムコポリカーボネート/ホスホネート類に比べて、高いTg,優れた熱変形温度および靭性を示す。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願明細書に記載の発明は、ブロックコポリカーボネート/ホスホネート類の調製方法を含み、この方法は、第1の工程において、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート、及び選択的に遊離したビスフェノールを得る工程と、第2の工程において、融解物中、高温減圧下、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート、及び選択的に遊離ビスフェノールを、アルキルリン酸ジアリールエステルと反応させて、ランダムコポリカーボネート/ホスホネートを生成させる工程とを有する。前記方法は、また、前記第2の工程が、揮発性成分が除去される高温減圧下で行われるものであっても良い。
【0012】
一部の実施形態において、前記方法は、さらに、ポリカーボネートをフェノール化合物と反応させる工程を含むものであってもよく、この反応は、前記フェノール化合物は還流するが留去されない条件下で行われ、これにより、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートと選択的に遊離ビスフェノールとが得られるものである。特定の実施形態において、前記フェノール化合物はフェノールであってもよく、前記フェノール化合物は、ポリカーボネートに対して約0.1〜約5のモル比で提供される。別の実施形態において、前記ポリカーボネートをフェノール化合物と反応させる工程は、アルキルホスホン酸ジアリールエステルの存在下で行われるものである。
【0013】
別の実施形態において、当該方法は、さらに、高温減圧下、溶融物中、ジフェニルカーボネート、約1.2から約6モル過剰のビスフェノール、及びエステル交換反応触媒を反応させて、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート及び選択的に遊離ビスフェノールを得る工程を有する。一部の実施形態において、前記ビスフェノールは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
【0014】
一部の実施形態において、アルキルホスホン酸ジアリールエステルは、メチルホスホン酸ジフェニルエステルであり、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートに対して約0.1〜約5のモル比で添加される。
【0015】
一部の実施形態においては、さらに、エステル交換反応触媒が提供される工程を含み、このエステル交換触媒は、ナトリウムフェノラート、テトラフェニルホスホニウムフェノラート、またはこれらの混合物である。一部の実施形態において、前記エステル交換反応触媒は反応工程の前に提供され、別の実施形態において、前記エステル交換触媒は反応工程中に提供される。
【0016】
一部の実施形態において、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートは、直鎖状オリゴカーボネート、分岐鎖状オリゴカーボネート、およびこれらの混合物である。別の実施形態において、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートは、約1.02〜約1.18の相対粘度を有するものである。
【0017】
一部の実施形態において、高温減圧は、約0.5〜約24時間維持されるものであり、一部の実施形態において、この方法は、さらに、第2の工程で得られる混合物を約250℃〜約310℃の温度において約0.5〜約10時間加熱する工程を有するものである。
【0018】
前記ブロックコポリカーボネート/ホスホネートは、約0.1重量%〜約10重量%のリンから生成され、更に一部の実施形態においては、約0.1重量%〜約5重量%のリンが前記コポリカーボネート/ホスホネートに含有されていてもよい。
【0019】
本発明はまた、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートを調製する方法を含み、この方法は、第1の工程において、ポリカーボネート、フェノール化合物、及びアルキルホスホン酸ジアリールエステルを反応させる工程であって、この反応は、前記フェノール化合物が還流するが第1の期間に除去されないような条件下で行われるものである、前記反応させる工程と、第2の工程において、揮発性成分が第2の期間に除去されような高温減圧下において、前記第1の工程で得られた混合物を反応させて、コポリカーボネート/ホスホネートを生成させる工程を含む方法である。オリゴカーボネートは、全体として、前記第1の工程で形成される。一部の実施形態において、前記フェノール化合物はフェノールであり、別の実施形態において、前記アルキルホスホン酸ジアリールエステルは、メチルホスホン酸ジフェニルエステルである。
【0020】
本発明は、さらに、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートに関し、このブロックコポリカーボネート/ホスホネートは、第1の工程において、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノーを得る工程と、第2の工程において、高温減圧下、溶融物中、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノールをアルキルホスホン酸ジアリールエステルと反応させて、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートを生成させる工程とを含む方法により調製される。一部の実施形態において、前記第2の工程における高温減圧は、揮発性成分が除去されるものである。
【0021】
一部の実施形態のおいて、当該方法は、さらに、ジフェニルカーボネートをモル過剰量のビスフェノールと反応させて、オリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノールを得る工程を含み、このような前記ジフェニルカーボネートをモル過剰のビスフェノールと反応させる工程は、高温減圧下で行われるものである。
【0022】
本発明の別の観点では、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートを含み、このブロックコポリカーボネート/ホスホネートは、第1の工程において、ジフェニルカーボネートをモル過剰のビスフェノールと反応させて、主にフェノール末端オリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノールを得る工程と、第2の工程において、減圧高温下、溶融物中、前記主にフェノール末端オリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノールをアルキルホスホン酸ジアリールエステルと反応させて、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートをで生成する工程とを有する方法により調製される。一部の実施形態において、第1の工程は減圧高温下で起こるものである。
【0023】
本発明の更なる別の実施形態は、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートを含み、このブロックコポリカーボネート/ホスホネートは、第1の工程において、ポリカーボネート、フェノール化合物、及びアルキルホスホン酸ジアリールエステルを反応させる工程であって、この反応は、前記フェノール化合物が還流されるが第1の期間中に除去されない条件下で行われる、前記第一の工程と、第2の工程において、前記第1の工程で得られる混合物を反応させる工程であって、この反応は、揮発性化合物が第2の期間で除去されるような減圧高温下で行われ、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートを生成させる工程とを有する方法から調製されるものである。
【0024】
本発明のまた別の観点は、ポリマーブレンドまたは混合物であって、このポリマーブレンドまたは混合物を得るためには、第1の工程において、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノールを得る工程と、第2の工程において、溶融物中、高温減圧下、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートをアルキルホスホン酸ジアリールエステルと反応させて、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートを生成させる工程とを有する方法で調製される少なくとも1つのブロックコポリカーボネート/ホスホネートと、更に少なくとも1つの他のポリマーを含む。一部の実施形態において、前記主にフェノール末端オリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノールを得る工程は、ポリカーボネートをフェノール化合物と反応させる工程であって、この工程は、フェノール化合物が還流されるが除去されない条件下で行われるものであり、この反応によって、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノールが得られる工程とを有する。別の実施形態において、前記主にフェノール末端オリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノールを得る工程は、溶融物中、高温減圧下、ジフェニルカーボネート、モル過剰量のビスフェノール、及びエステル交換触媒を反応させて、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノールとを得る工程を有する。特定の実施形態において、前記その他のポリマーは、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、飽和および不飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエポキシ、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリイミド類、ポリアリレート、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビニルエステル、ポリ塩化ビニル、ビスマレイミドポリマー、ポリ無水物、液晶ポリマー、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、セルロース系ポリマー、およびこれらの混合物から選択されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の組成物および方法について説明する前に、本発明は記載されている特定の方法、組成物、または手順に限定されるものではなく、これらは変更可能であることが理解される。また、説明において使用した用語は、特定の変形例または実施形態を説明する目的で使用されているものであり、添付の請求項のみによって限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0026】
本明細書および添付の請求項において使用される単数表現は、文脈で特に明記のない限り複数のものも包含する。従って、例えば、「ポリカーボネート」とは、1若しくはそれ以上のポリカーボネートおよび当業者に既知の同等物等を意味する。特に定義していない限り、本願明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、当業者が通常理解する意味と同義的に使用されている。本願明細書に記載された方法および材料と同様または同等の各種方法および材料が使用できるが、好ましい方法、装置、および材料を以下に記載する。本願明細書に記載されるいずれの事項も、本発明が先の発明に基づいていてその開示内容に先行する権利がないことを認めていると解釈されるべきではない。
【0027】
本願明細書に記載した「約」という用語は、使用されている数値の±10%を意味する。従って、約50%とは、45〜55%を意味する。
【0028】
「選択的な」または「選択的に」とは、その後に続いて説明される事象あるいは環境が起こる可能性も起こらない可能性もあり、更に前記説明はその事象が起こる場合の例および起こらない場合の例を含む。
【0029】
「アルキル」または「アルキル基」という用語は、炭素数1〜20の分岐または非分岐の炭化水素または基を意味し、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等を含む。「シクロアルキル」または「シクロアルキル基」とは、全てあるいはいくつかの炭素が環状に配列した、分岐または非分岐の炭化水素を意味し、これらに限らないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル等を含む。「低級アルキル」という用語は、炭素原子が1〜10のアルキル基を含む。
【0030】
「アリール」または「アリール基」という用語は、1つ以上の環が本質的に芳香環である1若しくはそれ以上の縮合環からなる1価の芳香族炭化水素ラジカルまたは基を意味する。アリールは、これらに限らないが、フェニル、ナフチル、ビフェニル環系を含む。このアリール基は、非置換でも良く、又はこれらに限らないがアルキル、アルケニル、ハロゲン、ベンジル、アルキルまたは芳香族エーテル、ニトロ、シアノ等およびこれらの混合物等を含む各種置換基で置換されたものであっても良い。
【0031】
「置換基」は、化合物中の水素を置換する分子団であり、これらに限らないが、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、C〜C20アルキル、芳香族またはアリール、ハロゲン(F,Cl、Br,I),C〜C20アルキルエーテル、ハロゲン化ベンジル、ベンジルエーテル、芳香族またはアリールエーテル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ(−NHR’),ジアルキルアミノ(−NR’R")またはジアリールアルキルホスホネートの構造に影響のないその他の基を含む。
【0032】
本願明細書に記載した「アリールオール」または「アリールオール基」は、アリール環がヒドロキシル、OH基の置換基を有するアリール基を指す。アリールオールの非限定例は、フェノール、ナフタレン等である。多種多様のアリールオールが本実施形態に使用可能であり、市販されている。
【0033】
「アルカノール」または「アルカノール基」とは、少なくとも1つのヒドロキシル基の置換基を有する炭素原子1〜20若しくはそれ以上のアルキルを有する化合物を意味する。アルカノールの例として、メタノール、エタノール、1−および2−プロパノール、1,1−ジメチルエタノール、ヘキサノール、オクタノール等が挙げられる。アルカノール基は選択的に上記の置換基で置換されていてもよい。
【0034】
「アルケノール」または「アルケノール基」は、少なくとも1つのヒドロキシル基置換基を有する炭素数1から20若しくはそれ以上のアルキルを有する化合物を意味する。このヒドロキシル基は、いずれの異性体配置(シスまたはトランス)をとっていてもよい。アルケノール類は、さらに1若しくはそれ以上の上記置換基で置換されていてもよく、本発明の一部の実施形態でアルカノールの代わりに使用してもよい。アルケノール類は、当業者に周知であり、容易に市販品を入手できる。
【0035】
本願明細書に記載の「難燃性の」「耐炎性の」「耐火性の」「耐火性」という用語は、限界酸素指数(limiting oxygen index:LOI)が少なくとも27を示す組成物を意味する。
【0036】
本願明細書において使用される「分子量」とは、相対粘度(ηrel)および/またはゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography:GPC)により決定されるものである。ポリマーの「相対粘度」は、既知量のポリマーを溶媒に溶解し、この溶液およびその溶媒自身が一定温度下で特別に設計されたキャピラリーを通過するのに要する時間を比較することで測定される。相対粘度は、ポリマーの分子量の指標となる測定値である。また相対粘度の減少は、分子量低下を示すことも知られており、分子量低下により強度や靭性等の機械的特性の損失が生じる。GPCにより、ポリマーの分子量および分子量分布に関する情報が得られる。ポリマーの分子量分布が(末端基の量の違いによる)熱酸化安定性、靭性、溶融流れ、および耐火性等の特性に重要であり、例えば、低分子量ポリマーほど燃焼時にしずく状に落ちる。
【0037】
本願明細書に記載の「靭性」という用語は、フィルムまたは成形試料で定性的に決定されるものである。
【0038】
特に明記されていない限り、本願明細書において使用される「テトラフェニルホスホニウムフェノラート」という用語は、約70%のテトラフェニルホスホニウムフェノラートと約30%のフェノールとの化学的複合体を表すことを意味する。この複合体の融点は、通常約145℃である。
【0039】
「主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート類」という用語は、少なくとも約20%のフェノール末端基、より好ましくは少なくとも約50%のフェノール末端基を有するカーボネートオリゴマーを表すことを意味する。
【0040】
本願明細書に記載の本発明の実施形態は、ブロックコポリカーボネート/ホスホネート類を製造する方法、および当該方法で生成したブロックコポリカーボネート/ホスホネート、およびこの方法に関連する組成物に関する。本願明細書記載の方法で生成したブロックコポリカーボネート/ホスホネートは、例えば、耐火性、溶融加工性、高靭性、高Tg、高い熱変形温度、加水分解安定性、および低色度といった、特性の有益な組み合わせを有する。実施例の方法により生成した組成物として、一部の実施例においては、重量比で約0.1%〜約10%のリンが含まれ、別の実施形態においては、重量比で約1%〜5%含有するブロックコポリカーボネート/ホスホネートが含まれる。
【0041】
一部の実施形態において、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートは、溶融物中、主にフェノール末端を有する直鎖または分岐状オリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノール、アルキルホスホン酸ジアリールエステル、並びにエステル交換触媒から、少なくとも2つの工程を有し選択的に第3の工程を有する方法を用いて生成される。第1の工程は、遊離ビスフェノールを含有または含有しない、主にフェノール末端を有する分岐または直鎖状のオリゴカーボネートを調製する工程を有する。第2の工程において、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノールは、溶融物中、アルキルホスホン酸ジアリールエステル、及び選択的にエステル交換触媒、及び/または、例えば、トリフェノールまたはトリフェニルホスフェート等の分岐剤と反応させてもよい。選択的な第3の工程は、最初の2つの工程において全ての揮発性成分が除去されるような温度および減圧下で完了した後に、得られた反応混合物を加熱する工程を有するものである。
【0042】
一部の実施形態において、前記第1の工程は、ジフェニルカーボネートをモル過剰の芳香族ビスフェノールおよびエステル交換触媒に溶融物中で反応させることにより、主にフェノール末端を有する直鎖状オリゴカーボネート及び選択的に遊離ビスフェノールを調製することを含む。別の実施形態においては、第1の工程において、溶解物中、ジフェニルカーボネート、モル過剰量の芳香族ビスフェノール、分岐剤、並びにエステル交換触媒を反応させることにより、遊離したビスフェノールを含有または含有しない、主にフェノール末端を有する分岐状オリゴカーボネートが調製される。前記第1の工程は、フェノールが反応混合物から留去できるような温度と減圧条件下で行うことができ、約0.5〜約24時間続けることができる。特定の実施形態においては、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートは、選択的に第2の工程に進む前に単離される。しかし、オリゴカーボネートを単離する工程は、必ずしも必要ではないので、当該方法はワンポット合成で単一反応器中で連続的に行うことが可能である。
【0043】
第1の工程においてジフェニルカーボネートをモル過剰の芳香族ビスフェノールと反応させる工程を有する実施例は、前記芳香族ビスフェノールのジフェニルカーボネートに対する相対モル比は、約1.2〜約1の範囲であり、一部の実施形態においては、芳香族ビスフェノールのジフェニルカーボネートに対するモル比は、約6〜約1である。
【0044】
一部の実施形態において、前記第2の工程は、アルキルホスホン酸ジアリールエステルを第1の工程から得られる混合物に加える工程を有してもよく、前記第1の工程は、オリゴカーボネートを合成するものであり、アルキルホスホン酸ジアリールエステルが反応混合物中に残るがフェノールは留去されるような温度および減圧の組み合わせ条件下で実施でき、第2の工程において、第1の工程で生成されたオリゴカーボネートと、選択的にビスフェノールとを、ブロック共重合カーボネート/ホスホネートを生成するために、アルキルホスホン酸ジアリールエステルと反応させることができる。一部の実施形態においては、蒸留カラムは、アルキルホスホン酸ジアリールエステルを除去することなくフェノールの反応混合物中からの除去を促進するのに使用できる。一部の実施形態において第2の工程は、約0.5から約24時間の範囲の期間にわたって持続することができ、他の実施形態においては、この期間は約0.5〜10時間にわたる。一部の実施形態における第2の工程の反応温度は、約250℃〜約310℃の範囲とすることができる。
【0045】
別の実施形態において、第1の工程は、オリゴカーボネートと、選択的に遊離ビスフェノールとを、分岐または直鎖状ポリカーボネートを、例えばフェノールまたは置換フェノール等の芳香族アルコールに、アルキルホスホン酸ジアリールエステルおよび選択的にエステル交換触媒の存在下で、溶融物中で反応させて調製することを有していてもよい。一部の実施形態においては、オリゴカーボネート類は、分岐または直鎖状ポリカーボネート類と、芳香族アルコールと、アルキルホスホン酸ジアリールエステルと、選択的にエステル交換触媒とを含む反応混合物から調製できる。一部の実施形態に係る反応は、フェノール化合物が還流するが反応混合物から除去されない温度および圧力の条件下で実施することができる。一部の実施形態においては例えば、反応容器は、第1の工程中におけるフェノール化合物の留去を防ぐために冷却器を装備していてもよい。このような実施形態においては、これらの反応条件は、約0.5〜約24時間にわたって維持することができる。理論に結びつけることは意図しないが、芳香族アルコールは、ポリカーボネートと反応し、ブロックコポリカーボネート/ホスホネート類を生成する第2の工程で使用される主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートを生成しながら、ポリカーボネートを小さなフラグメントに開裂していくことができる。
【0046】
第1の工程が分岐または直鎖状のポリカーボネートを芳香族アルコールと混合する工程を含む一部の実施形態において、フェノール化合物のポリカーボネートに対する相対モル比は、約0.001〜約10の範囲とすることができ、一部の実施形態においては、ポリカーボネートの芳香族アルコールに対する相対モル比は、約0.1〜約5の範囲である。アルキルホスホン酸ジアリールエステルの分岐または直鎖状ポリカーボネートに対するモル比は、一部の実施形態において約0.01〜約10であり、別の実施形態においては約0.1〜約5である。
【0047】
オリゴカーボネートと、選択的に遊離ビスフェノールとをポリカーボネートから調製する第1の工程を有する一部の実施形態の第2の工程は、アルキルホスホン酸ジアリールエステルを除去することなく、フェノール化合物が反応混合物中から留去できるように、反応圧力を低減することを有していてもよく、一部の実施形態においては、反応容器に装備した冷却器を蒸留カラムと交換することを要する可能性がある。第1の工程で調製されたオリゴカーボネート類および選択的に遊離ビスフェノールは、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートを生成するため、その後反応混合物のアルキルホスホン酸ジアリールエステルと反応させることができる。このような実施形態においては、エステル交換触媒は、第1および第2の工程のいずれかまたは両者で、反応混合物中に含まれる。一部の実施形態の第2の工程は、約0.5〜約24時間にわたる期間持続することができ、別の実施形態においては、この期間は、約0.5〜10時間の範囲とすることができる。一部の実施形態において、第2の工程の反応温度は、約250℃から約310℃の範囲とすることができる。
【0048】
上述の方法に係る一部の実施形態は、第2の工程で得られる反応混合物が、例えばフェノールおよびアルキルホスホン酸ジアリールエステル等の全ての揮発性成分が除去されるように、減圧下約250℃〜約310℃の温度に加熱することを有する選択的な第3の工程を有していてもよい。このような実施形態においては、この第3の工程は、約0.5〜約10時間の期間持続することができ、エステル交換触媒を選択的に、この選択的な第3の工程の加熱過程前あるいは加熱過程中に反応混合物中に添加してもよい。第2の工程で蒸留カラムを使用する一部の実施形態において、第3の工程は揮発性成分の除去を促進するための蒸留カラムを取り除くことを有してもよく、一部の実施形態においては、揮発成分の除去を確実にするため、第3の工程を繰り返す(即ち、1回若しくはそれ以上実施する)ことができる。
【0049】
上記のように、実施形態の方法はワンポット合成で実施でき、この合成においてはオリゴカーボネートおよび選択的に遊離ビスフェノールは、カーボネートモノマーまたはポリカーボネートのいずれかから調製でき、続いてアルキルホスホン酸ジアリールエステルと選択的にエステル交換触媒とを、オリゴカーボネート類と選択的に遊離フェノールとの調製から得られた反応混合物に、同じ反応器中で混合物に添加でき、この反応器内の反応条件は、アルキルホスホン酸ジアリールエステルとオリゴカーボネート類との反応を促進するために変更できる。別の実施形態においては、アルキルホスホン酸ジアリールエステルと、選択的にエステル交換触媒とは、オリゴカーボネート類の調製から得られた反応混合物中に既に存在させていてもよく、このような場合反応容器内の反応条件は、アルキルホスホン酸ジアリールエステルとオリゴカーボネート類との反応を促進するように変化させてもよい。また別の実施形態においては、選択的な工程は、同じ反応容器中で実施してもよく、あるいはこの反応容器内の反応条件を第3の工程を促進するように変化させてもよい。
【0050】
市販品または特定用途用に合成された分岐または直鎖状ポリカーボネート類は、本願明細書中に記載の方法に係る実施形態での使用に適している。一部の実施形態においては、ポリカーボネート類の相対粘度(ηrel)は、少なくとも約1.2、あるいは一部の実施形態においては約1.02〜約1.18である。市販のポリカーボネート類の非限定例として、Lexan(General Electric Company)、Makrolon(Bayer AG)、Apec(Bayer AG)、Hiloy(ComAlloy),Calibre(Dow Chemical Co.)Lupilonx(Mitsubishi)、Naxell(MRC Polymers)、Edgetek(PolyOne)、Trirex(Kasei)、およびPanline(Teijin Chemicals)の商品名で入手可能なものが挙げられる。当然のことながら、現在または将来市販されうる各種ポリカーボネートを本願明細書記載の方法に係る実施形態において使用することができる。
【0051】
特定用途用ポリカーボネート類は、当該技術分野で既知の各種方法により調製できる。例えば、特定用途用ポリカーボネート類は、ジフェニルカーボネートと公知の各種ビスフェノールとをエステル交換触媒を用いて合成でき、分岐状ポリカーボネートの場合、分岐剤を用いて、またはホスゲンおよび各種ビスフェノールを分岐剤でまたは分岐剤なしで界面重縮合工程によりにより合成できる。多種多様のビスフェノール類をこのような反応で使用でき、複素環構造を有するもの等の容易に入手でき当業者に公知の既知ビスフェノール類は「Engineering Plastics」:A.Handbook of Polyarylethers」by Robert J.Cotter,Gordon and Breach Science Publishers S.A.,Switzerland 1995にまとめて記載されている。例えば、ビスフェノール類として、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン (ビスフェノールA)、3,3−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、9,9−ジヒドロキシフェニルフルオリン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、1−メチル−1−フェニル ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、9,9−ビス(3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、9,9−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオリン、1,4−ビス「(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル」ベンゼン、1,4−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルフェニル]−2−プロピル]ベンゼン、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、1−トリフルオロメチル−1−フェニルビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
一部の実施形態においては、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートが、例えば市販品あるいは特定用途用に合成したものとして入手可能である。いくつかの場合において、第1の工程は省略可能であり、当該方法は第2の工程から開始されても良い。例えば、生成した主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートは、アルキルホスホン酸ジアリールエステルと、選択的にエステル交換触媒、および/または分岐剤と共に反応容器に加え、本方法を第2の工程から開始することができる。特にこの反応は、未反応のアルキルホスホン酸ジアリールエステルが反応混合物中に残るが、フェノールが反応混合物から留去されるような温度および減圧の組み合わせ条件下で、約0.5〜約24時間の範囲にわたって実施でき、ブロックコポリカーボネート/ホスホネート類を生成するために、アルキルホスホン酸ジアリールエステルを主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートと反応させることができる。
【0053】
実施形態の方法は、例えば、一般式Iなどの各種アルキルホスホン酸ジアリールエステルが用いられる。
【0054】
【化1】

【0055】
式中、Rは、一般式(II)で表される。
【0056】
【化2】

【0057】
式中、R、R、R、R、およびRは、以下のラジカル、即ち、水素、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、C〜C20アルキル、芳香族、ハロゲン化物、C〜C20アルキルエーテル、ハロゲン化ベンジル、ベンジルエーテル、および芳香族エーテルのあらゆる組合せを示しており、更にRは、様々な異性体の立体配置で配置される1〜20の範囲の炭素鎖を有するアルキルラジカルを示す。特定の実施形態において、アルキルホスホン酸ジアリールエステルは、メチルホスホン酸ジフェニルエステルであってもよい(化学式IIIを参照)。
【0058】
【化3】

【0059】
フェノール化合物を含む実施形態において、各種の市販品または特定用途用に合成されたフェノール化合物を使用することが可能である。例えば、フェノール化合物は、一般式IVで表すことができる。
【0060】
【化4】

【0061】
式中、R、R、R、R、およびRは、以下のラジカル、すなわち、水素、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、C〜C20アルキル、芳香族、ハロゲン化物、C〜C20アルキルエーテル、ハロゲン化ベンジル、ベンジルエーテル、および芳香族エーテルであのあらゆる組合せを示す。特定の実施形態において、前記フェノール化合物は、この場合R、R、R、R、およびRが水素ラジカルを示すフェノールであっても良い。
【0062】
実施形態のエステル交換触媒は、当業者で周知のものであっても良く、ポリカーボネート合成に使用されるものであってもよい。実施形態において、前記触媒は、第1の工程、第2の工程、および選択的に第3の工程、またはこれらの工程のあらゆる組み合わせの工程において添加されても良く、このように使用されるエステル交換触媒は、各工程で同じか異なるものであってもよい。例えば、使用されるエステル交換触媒は、"Unit Processes in Organic Synthesis",Groggins,4th Edtion,MacGraw Hill Book Co.,1952,page 616−620、あるいは米国特許第3,153,008号、および第3,442,854号において議論されているいずれのものも使用可能であり、特定の実施形態において、エステル交換触媒は、これらに限らないが、ナトリウムフェノラート、ナトリウムビスフェノラート、第4級ホスホニウム、および水性フェノール4級ホスホニウム触媒、およびそれらの組み合わせ及び混合物が含まれる。例えば、第4級ホスホニウム触媒は、一般式Vで表される。
【0063】
【化5】

【0064】
式中、R〜Rはそれぞれ独立的に、フェニル、ベンジル、アルキル、または不活性的に置換された1〜12の炭素原子を有するアルキルであり、一部の実施形態において、R〜Rは、各々ベンジル、フェニル、またはC〜Cアルキルであり、あるいはR〜Rは各々フェニルであってもよく、Rは、C〜Cアルキルまたはベンジルであってもよい。Xは芳香族炭素環化合物の共役塩基であってもよく、少なくとも1つの核となるヒドロキシル基を有し、mはアニオンXの結合価である。一部の実施形態においては、アニオンとして、ジフェニルホスフェート、水素化ホウ素テトラアリール、ハロゲン化物等、あるいは置換または無置換のフェノラート基が挙げられる。一部の実施形態においては、テトラヒドロカルビルホスホニウムフェノキシド化合物は、1若しくはそれ以上のカルボン酸ヒドロキシル化合物、HX(ただしXおよびmは上記定義のとおり)と複合体を形成していてもよい。テトラフェニルホスホニウムフェノラートは、一部の実施形態においては、約70%のテトラフェニルホスホニウムフェノラートと約30%のフェノールの複合体として存在し、別の実施形態においては第3の工程で使用される触媒とすることができる。これらの第4級ホスホニウム触媒は、固体として反応混合物に添加でき、あるいはアルコール、水、またはアルコール/水混合物等の溶媒中に溶解してもよい。一部の実施形態においては、この触媒は、ナトリウムフェノラートやテトラフェニルホスホニウムフェノラートであってもよい。
【0065】
当該技術分野で既知の各種分岐剤を、実施形態において分岐状の主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートの合成に使用することができ、例えば1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが使用できる。
【0066】
反応時間および温度は、本方法に係る実施例によって、そして実施形態の工程によって異なることがある。一部の実施形態においては、主にフェノール末端を有する分岐または直鎖状のオリゴカーボネート類のジフェニルカーボネートとモル比で過剰の芳香族ビスフェノールからの合成を有する第1の工程において、フェノールが反応混合物から除去されながら還流が始まる時点での反応時間は、一部の実施形態において約0.5〜24時間にわたり、別の実施形態においては1〜8時間である。別の実施形態においては、オリゴカーボネートを生成するための、ポリカーボネート類を少なくとも1つのフェノール化合物と反応させることを有する第1の工程で、フェノール化合物が反応混合物中に残り還流が起こる時点での反応時間は、一部の実施形態においては約0.5〜約24時間にわたり、別の実施形態においては約1〜8時間である。第2の段階については、フェノールが反応混合物から除去され還流が起こる時点での反応時間は、約0.5〜24時間にわかり、別の実施形態においては1〜8時間である。選択的な第3の工程に関する時間は、約0.5〜10時間である。方法全体としては(工程1〜3をあわせたもの)、温度は約200℃〜約310℃にわたり、一部の実施形態においては減圧条件は約10mm〜約0.001mmHgであり、別の実施形態においては、減圧条件は反応の過程で760mmHgよりやや低い圧力から約0.001mmHgの圧力で調節される。
【0067】
反応が起こる温度および減圧条件は、様々な工程を誘導する方法の過程において、また最大効率を達成するための個々の工程において調節できる。例えば、第一の工程における温度および減圧条件は、一部の実施形態においては、オリゴカーボネート類の生成中に反応混合物中のジフェニルカーボネートを維持する一方フェノールの除去を可能とする適切な還流条件となるように調節され、別の実施形態においては、温度および減圧条件は、ポリカーボネート類からオリゴカーボネート類が生成する一方で、フェノールを除去することなく還流させるように調節される。第2の工程においては、この温度および減圧条件は、ブロックコポリカーボネート/ホスホネート類が生成する一方、反応混合物中のアルキルホスホン酸ジアリールエステルを維持しながらフェノールの除去を可能にする条件となるように調節され、温度および減圧条件は、第3の工程で全揮発性成分の除去を促進するように再び調節される。
【0068】
上記のように、一部の実施形態の方法は、第3の工程を選択的なものとする、3つの個別の工程で起こることができる。しかしこの反応は、ワンポット方法で単一反応容器内で連続的に実施できる。例えば、実施形態に係るブロックコポリカーボネート/ホスホネート類が大規模に生成される実施形態においては、この反応の第1の工程は攪拌機付のバッチ式反応容器内において、第2の工程は揮発性物質の除去を促進できる大面積を与えるため反応容器の側壁上に反応混合物を薄い層に塗布するのに、高せん断攪拌が使用できる連続式の反応器中で実施できる。
【0069】
理論と結びつけることを意図しないが、本願明細書に記載の方法で生成されたブロックコポリカーボネート/ホスホネート類(即ち、ブロック共重合体)の分子アーキテクチャーにより、従来技術によるランダム共重合体と比較した場合の特性の違いを説明することができる可能性がある。しかしこの分子アーキテクチャーが本願明細書記載の方法から得られるかは明らかではなく、またこの分子アーキテクチャーが本願明細書記載の方法により生成された組成物が有する、観測された物理的および機械的特性の組み合わせを生みだすかも明らかではない。
【0070】
本願明細書に記載の方法を用いて生成されたブロックコポリカーボネート/ホスホネートは、汎用およびエンジニアリングプラスチックとのポリマー混合物またはブレンドを生成するのに使用可能であり、これらのポリマー混合物またはブレンド品に対して、上記の様な有益な特徴を与えることができる。本願明細書において使用される「ポリマー混合物またはブレンド」という用語は、上記の方法を用いて生成される少なくとも1つのブロックコポリカーボネート/ホスホネートと、少なくとも1つの別のポリマーとを含む組成物を意味する。本願明細書において使用される「別のポリマー」とは、本発明のブロックコポリカーボネート/ホスホネート組成物以外の各種ポリマーを意味する。これらの別のポリマーは汎用またはエンジニアリングプラスチックであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、飽和または不飽和のポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン(高衝撃強度ポリスチレン等)、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリエポキシ、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、ポリイミド、ポリアリレート、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ塩化ビニル、ビスマレイミドポリマー、ポリ無水物、液晶ポリマー、セルロースポリマー、またはこれらの各種混合物(例えば、GE Plastics,米国マサチューセッツ州Pittsfield;Rohm&Haas Co.,米国ペンシルバニア州Philadelphia;Bayer Corp.−Polymers,米国オハイオ州Akron;Reichold;DuPont;Huntsman LLC,米国ニュージャージー州West Deptford;BASF Corp.,米国ニュージャージ州Mount Olive;Dow Chemical Co.,米国ミシガン州Midland;ExxonMobil Chemical Corp.,米国テキサス州Houston;ExxonMobil;Mobay ChemicalCorp.,米国カンザス州Kansas City;Goodyear Chemical,米国オハイオ州Akron;BASF Corp.;3M Corp.,米国ミネソタ州St. Paul;Solutia,Inc.,米国ミズーリ州St.Louis;およびEastmanChemcial Co.,米国テネシー州Kingsportからそれぞれ市販)が含まれる。これらのポリマー混合物またはブレンド品は、構成材料をブレンド、混合、または配合することで生成される。
【0071】
本願明細書に記載のブロックコポリカーボネート/ホスホネートまたはこのポリマー混合物またはブレンドは別の成分を含んでもよく、例えば、フィラー、界面活性剤、有機結合剤、ポリマー結合剤、架橋剤、カップリング剤、タレ防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、インク、染料、またはこれらの各種混合物等を含有することができる。
【0072】
本願明細書に記載の実施形態に係るブロックコポリカーボネート/ホスホネート組成物またはそのポリマー混合物またはブレンドは、炎から取り出すと迅速に燃焼が止まることで自己消火性を示すことができる。さらにこれらのブロックコポリカーボネート/ホスホネート組成物またはそのポリマー混合物またはブレンドを溶融して炎に滴下すると、すばやく燃焼がとまり通常周辺物質への延焼がない。さらにこれらのブロックコポリカーボネート/ホスホネート組成物またはそのポリマー混合物またはブレンドに炎をあてた場合、通常目立った煙を生じることはない。
【0073】
実施形態に係るこのブロックコポリカーボネート/ホスホネート組成物またはポリマー混合物またはブレンドは、コーティング剤として使用でき、あるいは自立フィルム、ファイバー、発泡体、成形品、接着剤、およびファイバー補強複合体等の製品の加工に使用できる。これらの製品は、耐火性を要する用途に大変適している。
【0074】
要約すると、ブロックコポリカーボネート/ホスホネート組成物およびブロックコポリカーボネート/ホスホネートのポリマー混合物は、顕著な耐炎性および、および高熱変形温度、低色度、高靭性、加水分解安定性、およびTg等の特性の有益な組み合わせを示す。現行技術によるランダム共重合カーボネート/ホスホネート類に比べ、このブロック共重合カーボネート/ホスホネート類は同等の耐火性を示すが、顕著に改良された靭性およびより高いTgを有する。このような改良により、これらの材料は、際立った耐火性、高い温度特性、低い着色性、および溶融加工性を要する、自動車および電子分野での用途に有用となる。
【0075】
本発明及びその方法及び使用される材料を記載する実施形態は、以下の非限定例を参照することによりさらに理解できよう。
【実施例1】
【0076】
現行技術との比較例:ランダムコポリカーボネート/ホスホネート類
本現行技術比較例を、米国特許第4,322,520号明細書記載の手順に従って調製した。
【0077】
蒸留カラムおよび攪拌機を備えた250mLの三口丸底フラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA、32.2g、0.167モル)と、メチルホスホン酸ジフェニルエステル(純度96%、4%フェノール)(12.41g、0.048モル)と、ジフェニルカーボネート(29.65g、0.139モル)と、ナトリウムフェノラート触媒5mgとを入れた。混合物を減圧下で250℃に加熱した。温度を6時間かけて徐々に300℃に上昇させた。温度が上昇するにつれて、真空度は、約200mmから約1.5mmHgまで低下した。この間に36.30gの留出物が得られた。カラムをフラスコから取り外し、混合物を1.5mmHgで5時間300℃に加熱した。留出物(1.9g)もこの工程で回収した。この黄色固体(38.62g)の相対粘度は1.18で、Tgは126℃であった。このポリマー中のリンの割合は、3.16%であった。
【0078】
塩化メチレンからフィルムを流延し、続いて乾燥した。このフィルムはやや黄色味を帯びていた。定性的な引裂試験を実施したところ、フィルムは比較的脆いものであった。フィルムの定性的な燃焼試験では、フィルムは良好な自己消火性を示した。
【実施例2】
【0079】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの合成
蒸留カラムおよび攪拌機を備えた250mLの三口丸底フラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA、53.7g、0.236モル)と、ジフェニルカーボネート(33.70g、0.158モル)と、ナトリウムフェノラート(NaOPh)触媒8mgとを入れた。この混合物を減圧下(150〜200mmHg)で250℃に約1.5時間加熱した。この混合物を続いて冷却させ、メチルホスホン酸ジフェニルエステル(23.4g、0.094モル)と、テトラフェニルホスホニウムフェノラートとフェノールを約70%および約30%それぞれ含む化学錯体である、テトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPOP)触媒(m.p.145℃)12mgとを加えた。この混合物を約4.5〜5時間かけて150から1.5mmHgに減圧しながら、250℃から300℃に加熱した。明らかな溶融物の溶液粘度の急上昇が、反応の最後の一時間にわたって観察された。
【0080】
約53gの留出物を本反応の過程で回収した。この薄黄色の強靭なポリマーのηRelは1.3であり、Tgは133℃であった。このポリマー中のリンの割合は、3.49%であった。
【0081】
塩化メチレンからフィルムを流延し、続いて乾燥した。このフィルムはやや黄色味を帯びていた。定性的な引裂試験を実施した。現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートの例により作製したフィルムに比べ、このフィルムは非常に強靭であった。さらに本方法によるフィルムは、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルム(126℃)に比べて、非常に高いTg(133℃)を示した。このフィルムの定性的燃焼試験を実施したところ、優れた自己消火性を示し、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルムに匹敵するものであった。
【実施例3】
【0082】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの合成
蒸留カラムおよび攪拌機を備えた250mLの三口丸底フラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA、53.70g、0.236モル)と、ジフェニルカーボネート(33.70g、0.158モル)と、テトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPOP)触媒(m.p.145℃)12mgとを加えた。この混合物を減圧下(150〜200mmHg)で250℃に約1.5時間加熱した。約20gの留出物がこの段階で得られた。この混合物を続いて冷却させ、メチルホスホン酸ジフェニルエステル(23.4g、0.094モル)と、テトラフェニルホスホニウムフェノラートとフェノールを約70%および約30%それぞれ含む化学錯体である、TPPOP触媒(m.p.145℃)12mgとを加えた。この混合物を約5〜5.5時間かけて150から1.5mmHgに減圧しながら、250℃から300℃に加熱した。約28gの留出物をこの工程で回収した。
【0083】
蒸留カラムをフラスコから取り外し、12mgのTPPOP触媒を加えた。この混合物を十分な減圧下(約0.1mmHg)で300℃に約1時間加熱した。明らかな溶融物の溶液粘度の急上昇が、反応の最後の0.5〜0.75時間にわたって観察された。
【0084】
約3.8gの留出物を本反応の過程で回収した。この薄黄色の硬いポリマーのηRelは1.23であり、Tgは131℃であった。
【0085】
全揮発成分が除去されていることを確認するために、約38gのブロックコポリカーボネート/ホスホネート約38gと、12mgのTPPOP触媒とを攪拌機を備えた250mL3つ口丸底フラスコに入れた。この段階で約0.3gの留出物が得られた。の薄黄色の硬いポリマーのηRelは1.31であり、Tgは134℃であった。
【0086】
塩化メチレンからフィルムを流延し、続いて乾燥した。このフィルムはやや黄色味を帯びていた。定性的な引裂試験を実施した。現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートの例により作製したフィルムに比べ、このフィルムは非常に強靭であった。さらに、本方法によるフィルムは、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルム(126℃)に比べて、非常に高いTg(134℃)を示した。このフィルムの定性的燃焼試験を実施したところ、優れた自己消火性を示し、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルムに匹敵するものであった。
【実施例4】
【0087】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの合成
蒸留カラムおよび攪拌機を備えた250mLの三口丸底フラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA、53.70g、0.236モル)と、ジフェニルカーボネート(33.70g、0.158モル)と、ナトリウムフェノラート(TPPOP)触媒8mgとを加えた。この混合物を減圧下(150〜200mmHg)で250℃に約1.5時間加熱した。約21gの留出物がこの工程で得られた。この段階で、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートのηRelは1.02であった。
【0088】
この混合物を続いて冷却させ、メチルホスホン酸ジフェニルエステル(23.4g、0.094モル)と、テトラフェニルホスホニウムフェノラートとフェノールを約70%および約30%それぞれ含む化学錯体であるTPPOP触媒(m.p.:145℃)12mgとを加えた。この混合物を約5時間かけて150から1.5mmHgに減圧しながら、250℃から300℃に加熱した。この混合物を一晩かけて室温まで冷却した。この溶液を続いて、十分な減圧下(約0.1mmHg)で300℃に約1〜1.5時間加熱した。約29gの留出物を本過程で回収した。この薄黄色の硬いポリマーのηRelは1.21であり、Tgは132℃であった。
【0089】
全揮発分が除去されていることを確認するために、約50gのブロックコポリカーボネート/ホスホネートと、12mgのTPPOP触媒とを攪拌機を備えた250mL3つ口丸底フラスコに入れた。この混合物を十分な減圧下で300℃に約2時間加熱した。この工程で約0.4gの留出物が得られた。この薄黄色の強靭なポリマーのηRelは1.28であり、Tgは135℃であった。
【0090】
塩化メチレンからフィルムを流延し、その後乾燥した。このフィルムはやや黄色味を帯びていた。定性的な引裂試験をこのフィルムについて実施した。現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネート例から作製したフィルムに比べ、このフィルムは非常に強靭であった。さらに、本方法によるフィルムは、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルム(126℃)に比べて、非常に高いTg(135℃)を示した。このフィルムの定性的燃焼試験を実施したところ、優れた自己消火性を示し、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルムに匹敵するものであった。
【実施例5】
【0091】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの合成
蒸留カラムおよび攪拌機を備えた250mLの三口丸底フラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA、53.70g、0.236モル)、ジフェニルカーボネート(33.70g、0.158モル)と、ナトリウムフェノラート(TPPOP)触媒8mgとを加えた。この混合物を減圧下(150〜200mmHg)で250℃に約1.5時間加熱した。約21.5gの留出物がこの工程で得られた。この段階で、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートのηRelは1.04であった。
【0092】
続いてこの混合物を冷却させ、メチルホスホン酸ジフェニルエステル(23.4g、0.094モル)と、テトラフェニルホスホニウムフェノラートとフェノールを約70%および約30%それぞれ含む化学錯体であるTPPOP触媒(m.p.:145℃)12mgとを加えた。この混合物を約4.5〜5時間かけて150から1.5mmHgに減圧しながら、250℃から300℃に加熱した。明らかな溶融物の溶液粘度の急上昇が、反応の最後の1時間にわたって観察された。約27.2gの留出物をこの工程で回収した。この薄黄色の強靭なポリマーのηRelは1.26であり、Tgは134℃であった。
【0093】
塩化メチレンからフィルムを流延し、その後乾燥した。このフィルムはやや黄色味を帯びていた。定性的な引裂試験をこのフィルムについて実施した。現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネート例から作製したフィルムに比べ、このフィルムは非常に強靭であった。さらに本方法によるフィルムは、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルム(126℃)に比べて、非常に高いTg(134℃)を示した。このフィルムの定性的燃焼試験を実施したところ、優れた自己消火性を示し、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルムに匹敵するものであった。
【実施例6】
【0094】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの合成
蒸留カラムおよび攪拌機を備えた250mLの三口丸底フラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA、53.70g、0.236モル)と、ジフェニルカーボネート(33.70g、0.158モル)と、ナトリウムフェノラート(TPPOP)触媒8mgとを加えた。この混合物を減圧下(150〜200mmHg)で250℃に約2時間加熱した。約23.2gの留出物がこの段階で得られた。この段階で、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートのηRelは1.04であった。
【0095】
続いてこの混合物を冷却し、メチルホスホン酸ジフェニルエステル(23.4g、0.094モル)と、テトラフェニルホスホニウムフェノラートとフェノールを約70%および約30%それぞれ含む化学錯体であるTPPOP触媒(m.p.:145℃)12mgとを加えた。この混合物を約5時間かけて150から1.5mmHgに減圧しながら、250℃から300℃に加熱した。この混合物を一晩かけて室温まで冷却した。その後、この溶液を十分な減圧下(約0.1mmHg)で300℃に約1〜1.5時間加熱した。明らかな溶融物の溶液粘度の急上昇が、反応の最後の1時間にわたって観察された。約29.6gの留出物を本過程で回収した。この薄黄色の強靭なポリマーのTgは132℃であった。
【実施例7】
【0096】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの合成
蒸留カラムおよび攪拌機を備えた250mLの三口丸底フラスコに、ポリカーボネート(Markrolon3103、ηRel=1.29〜1.30)(25.4g、0.10モル、メチルホスホン酸ジフェニルエーテル(純度95%、5%フェノール)(26.1g、0.10モル)、フェノール(18.8g、0.20モル)と、テトラフェニルホスホニウムフェノラートとフェノールを約70%および約30%それぞれ含む化学錯体であるTPPOP触媒(m.p.:145℃)12mgとを加えた。この混合物を240℃で3時間減圧下(約500mmHg)で加熱した。この第1の工程でフェノールは反応容器から留出することなく還流していた。第2の工程において、約6時間の間、温度を300℃まで上げ、圧力を約1.5mmHgまで下げた。このとき、かなりの量の留出物を回収した。第3の工程で、蒸留カラムを取り除き、さらに12mgのTPPOPを加えた。この反応混合物を0.1mmHgで5時間300℃に加熱した。
【0097】
この全反応の過程で、38.4gの留出物を回収した。薄褐色の生成物量は、24.5gであった。この物質のηRelは、1.18で、Tgは126℃であった。この共重合体中のリン含有量は、重量比で2.85%であった。
【0098】
揮発成分の除去が完了していることを確認するために、第3の工程意を以下のようにして繰り返した。即ち、生成物(23g)とTPPOP(12mg)とを蒸留カラムおよび攪拌機を備えた100mL3つ口丸底フラスコに入れた。この混合物を0.1mmHgで5時間300℃に加熱した。留出物(2.21g)をさらに回収し、生成物(18.5g)は、やや茶色で明らかに強靭であった。この共重合体のηRelは1.30であり、Tgは134℃であった。この共重合体のリンの量は、重量比で3.07%であった。
【0099】
塩化メチレンからフィルムを流延し、その後乾燥した。このフィルムはやや黄色味を帯びていた。定性的な引裂試験をこのフィルムについて実施した。現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネート例から作製したフィルムに比べ、このフィルムは非常に強靭であった。さらに、本方法によるフィルムは、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルム(126℃)に比べて、非常に高いTg(134℃)を示した。このフィルムの定性的燃焼試験を実施したところ、優れた自己消火性を示し、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルムに匹敵するものであった。
【実施例8】
【0100】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの合成
蒸留カラムおよび攪拌機を備えた250mLの三口丸底フラスコに、ポリカーボネート(Markrolon3103、ηRel=1.29〜1.30)(50.8g、0.20モル)と、メチルホスホン酸ジフェニルエーテル(純度94%、6%フェノール)(13.19g、0.05モル)と、フェノール(9.4g、0.10モル)と、テトラフェニルホスホニウムフェノラートとフェノールを約70%および約30%それぞれ含む化学錯体であるテトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPOP)触媒(m.p.:145℃)12mgとを加えた。この混合物を240℃で3時間減圧下(約500mmHg)で加熱した。この第1の工程で、フェノールは還流していたが、反応容器から留出していなかった。第2の工程において、約6時間の間、温度を300℃まで上げ、圧力を約1.5mmHgまで下げた。このとき、かなりの量の留出物を回収した(20.27g)。第3の工程で、蒸留カラムを取り除き、さらに12mgのTPPOPを加えた。この反応混合物を0.1mmHgで5時間300℃に加熱した。この第2の加熱工程で0.33gの留出物をさらに回収した。この生成物はやや茶色で強靭であった。この共重合体のηRelは1.21であり、Tgは134℃であった。この共重合体中のリンの量は、重量で1.09%であった。
【0101】
塩化メチレンからフィルムを流延し、その後乾燥した。このフィルムはやや黄色味を帯びていた。定性的な引裂試験をこのフィルムについて実施した。現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネート例から作製したフィルムに比べ、このフィルムは明らかに強靭であった。さらに、本方法によるフィルムは、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルム(126℃)に比べて、非常に高いTg(134℃)を示した。このフィルムの定性的燃焼試験を実施したところ、優れた自己消火性を示し、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルムに匹敵するものであった。
【実施例9】
【0102】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの合成
蒸留カラムおよび攪拌機を備えた250mLの三口丸底フラスコに、ポリカーボネート(Markrolon3103、ηRel=1.29〜1.30)(38.1g、0.15モル)と、メチルホスホン酸ジフェニルエーテル(純度94%、6%フェノール)(19.82g、0.075モル)と、フェノール(14.1g、0.15モル)と、テトラフェニルホスホニウムフェノラートとフェノールを約70%および約30%それぞれ含む化学錯体であるテトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPOP)触媒(m.p.:145℃)12mgとを加えた。この混合物を240℃で3時間減圧下(約500mmHg)で加熱した。この第1の工程で、フェノールは還流していたが、反応容器から留出していなかった。第2の工程において、約6時間の間、温度を300℃まで上げ、圧力を約1.5mmHgまで下げた。このとき、かなりの量の留出物を回収した(31.23g)。第3の工程で、蒸留カラムを取り除き、さらに12mgのTPPOPを加えた。この反応混合物を0.1mmHgで5時間300℃に加熱した。この第2の加熱工程で0.33gの留出物をさらに回収した。この生成物はやや茶色で強靭であった。この共重合体のηRelは1.21であり、Tgは136℃であった。この共重合体中のリンの量は、重量で1.59%であった。
【0103】
塩化メチレンからフィルムを流延し、その後乾燥した。このフィルムはやや黄色味を帯びていた。定性的な引裂試験をこのフィルムについて実施した。現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネート例から作製したフィルムに比べ、このフィルムは明らかに強靭であった。さらに、本方法によるフィルムは、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルム(126℃)に比べて、非常に高いTg(136℃)を示した。このフィルムの定性的燃焼試験を実施したところ、優れた自己消火性を示し、現行技術によるランダムコポリカーボネート/ホスホネートフィルムに匹敵するものであった。
【実施例10】
【0104】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの合成
蒸留カラムおよび攪拌機を備えた12L反応器に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA4.028kg、17.67モル)と、ジフェニルカーボネート(818g、3.82モル)と、600mgのナトリウムフェノラート(NaOPh)触媒とを入れた。この混合物を減圧下(150〜200mmHg)で約1.5時間250℃に加熱した。その後この混合物を冷却し、メチルホスホン酸ジフェニルエステル(3697g、14.91モル)と、テトラフェニルホスホニウムフェノラートとフェノールを約70%および約30%それぞれ含む化学錯体である、テトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPOP)触媒(m.p.:145℃)900mgとを加えた。この混合物を約16〜16.5時間かけて150から1.5mmHgに減圧しながら、250℃から300℃に加熱した。反応の最後の1時間で、溶融物の溶液粘度に、明らかに急速な上昇が見られた。
【0105】
約3465.7gの留出物をこの反応の過程で回収した。薄黄色の強靭なポリマーのηRelは1.35であり、Tgは109℃であった。この共重合体中のリンの量は、重量で8.09%であった。
【実施例11】
【0106】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの合成
蒸留カラムおよび攪拌機を備えた12L反応器に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA4.028kg、17.67モル)と、ジフェニルカーボネート(2812g、13.14モル)と、600mgのナトリウムフェノラート(NaOPh)触媒とを入れた。この混合物を減圧下(150〜200mmHg)で約1.5時間250℃に加熱した。その後この混合物を冷却し、メチルホスホン酸ジフェニルエステル(1396g、5.63モル)と、テトラフェニルホスホニウムフェノラートとフェノールを約70%および約30%それぞれ含む化学錯体である、テトラフェニルホスホニウムフェノラート(TPPOP)触媒(m.p.:145℃)900mgとを加えた。この混合物を約9時間かけて150から1.5mmHgに減圧しながら、250℃から300℃に加熱した。反応の最後の1時間で、溶融物の溶液粘度に、明らかに急速な上昇が見られた。
【0107】
約3656gの留出物をこの反応の過程で回収した。この薄黄色の強靭なポリマーのηRelは1.25であり、Tgは129℃であった。この共重合体中のリンの量は、重量で3.57%であった。
【0108】
本発明をかなり詳細にいくつかの好ましい実施例により説明してきたが、本発明はこれらに限定することなく実施できる。従って添付の請求項の精神及び範囲は、本願明細書に含まれる記載および好ましい形態に限られるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートの調製方法であって、
第1の工程において、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートと、選択的に遊離したビスフェノールとを得る工程と、
第2の工程において、融解物中、高温減圧下、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノールをアルキルリン酸ジアリールエステルと反応させて、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートを生成させる工程と
を有する、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記第2の工程における高温減圧は、揮発性成分を除去するものである。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
ポリカーボネートをフェノール化合物と反応させる工程であって、この反応は、前記フェノール化合物が還流されるが除去されない条件下で行われ、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートと選択的に遊離したビスフェノールとが得られるものである、前記反応させる工程を有するものである。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、前記フェノール化合物はフェノールである。
【請求項5】
請求項3記載の方法において、前記ポリカーボネートをフェノール化合物と反応させる工程は、アルキルホスホン酸ジアリールエステルの存在下で行われるものである。
【請求項6】
請求項3記載の方法において、前記フェノール化合物は、前記ポリカーボネートに対して約0.1〜約5のモル比で提供されるものである。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
溶融物中、高温減圧下において、ジフェニルカーボネート、モル過剰量のビスフェノール、及びエステル交換反応触媒を反応させて、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート及び選択的に遊離したビスフェノールが得られる、前記反応させる工程を有するものである。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、前記ビスフェノールは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記アルキルホスホン酸ジアリールエステルは、メチルホスホン酸ジフェニルエステルである。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記アルキルホスホン酸ジアリールエステルは、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートの約0.1〜約5のモル比で提供させるものである。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
エステル交換触媒を提供する工程を有するものである。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、前記エステル交換触媒は、ナトリウムフェノラート、テトラフェニルホスホニウムフェノラート、またはこれらの混合物から選択されるものである。
【請求項13】
請求項11記載の方法において、前記エステル交換触媒は、前記反応工程の前に提供されるものである。
【請求項14】
請求項11記載の方法において、前記エステル交換触媒は、前記反応工程中に提供されるものである。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートは、直鎖オリゴカーボネート、分岐オリゴカーボネート、およびこれらの混合物から選択されるものである。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートは、約1.02〜1.18の相対粘度(ηrel)を有するものである。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、前記高温減圧条件は約0.5〜約24時間維持されるものである。
【請求項18】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
前記第2の工程から得られる混合物を約250℃〜約310℃の温度で約0.5〜約10時間加熱する工程を有するものである。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、約0.1重量%〜約10重量%のリンがブロックコポリカーボネート/ホスホネート中に存在するものである。
【請求項20】
請求項1記載の方法において、約0.1重量%〜約5重量%のリンがブロックコポリカーボネート/ホスホネート中に存在するものである
【請求項21】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートを調製する方法であって、
第1の工程において、ポリカーボネート、フェノール化合物、及びアルキルホスホン酸ジアリールエステルを反応させる工程であって、この反応は前記フェノール化合物が還流されるが、第1期間中に除去されないような条件で行われる工程と、
第2の工程において、前記第1の工程から得られた混合物を揮発性成分が第2期間中に除去されるような減圧高温下で反応させる工程であって、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートが生成される工程と
を有する方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、オリゴカーボネートは、第1の工程で形成されるものである。
【請求項23】
請求項21記載の方法において、前記フェノール化合物はフェノールである。
【請求項24】
請求項21記載の方法において、前記アルキルホスホン酸ジアリールエステルは、メチルホスホン酸ジフェニルエステルである。
【請求項25】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートであって、
第1の工程において、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート、及び選択的に遊離したビスフェノールを得る工程と、
第2の工程において、溶融物中、減圧高温下、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート、及び選択的に遊離したビスフェノールと、アルキルホスホン酸ジアリールエステルとを反応させ、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートを生成させる工程と
を有する方法で調製される、ブロックコポリカーボネート/ホスホネート。
【請求項26】
請求項25記載のブロックコポリカーボネート/ホスホネートにおいて、第2の工程の高温および減圧は、揮発性成分が除去されるようなものである。
【請求項27】
請求項25記載のブロックコポリカーボネート/ホスホネートにおいて、前記方法は、さらに、
ジフェニルカーボネートと、モル過剰のビスフェノールと反応させ、オリゴカーボネートと、選択的に遊離したビスフェノールとを得る工程を有するものである。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、ジフェニルカーボネートをモル過剰のビスフェノールに反応させる工程は、減圧高温下で起こるものである。
【請求項29】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートであって、
第1の工程において、ジフェニルカーボネートと、モル過剰量のビスフェノールとを反応させて、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートと、選択的に遊離したビスフェノールとを得る工程と、
第2の工程において、溶融物中、高温減圧下、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート、及び選択的に遊離したビスフェノールと、アルキルホスホン酸ジアリールエステルとを反応させて、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートを生成させる工程と
を有する方法により調製される、ブロックコポリカーボネート/ホスホネート。
【請求項30】
請求項29記載のブロックコポリカーボネート/ホスホネートにおいて、前記第1の工程は、減圧高温下で行われるものである。
【請求項31】
ブロックコポリカーボネート/ホスホネートであって、
ポリカーボネート、フェノール化合物、及びアルキルホスホン酸ジアリールエステルを反応させる工程であって、この反応は、前記フェノール化合物が還流されるが前記第1の工程における第1の期間中に除去されない条件下で行われるものである、前記反応させる工程と、
第2の工程において、揮発性化合物が第2の期間中に除去される減圧高温下において、前記第1の工程から得られる混合物を反応させて、ブロックコポリカーボネート/ホスホネートを生成させる工程と
を有する方法から調製される、ブロックコポリカーボネート/ホスホネート。
【請求項32】
ポリマーブレンドまたは混合物であって、
第1の工程において、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートと、選択的に遊離したビスフェノールとを得る工程と、
第2の工程において、融解物中、高温減圧下、前記フェノール末端を有するオリゴカーボネートと、アルキルホスホン酸ジアリールエステルとを反応させて、ブロック共重合カーボネート/ホスホネートを生成させる工程と
を有する方法で調製された、少なくとも1つのブロックコポリカーボネート/ホスホネートと、
ポリマーブレンドまたは混合物を生成するための少なくとも1つの他のポリマーと
を有する、ポリマーブレンドまたは混合物。
【請求項33】
請求項32記載のポリマーブレンドにおいて、前記主に主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートと選択的に遊離ビスフェノールとを得る工程は、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートと選択的に遊離ビスフェノールとを得るために、ポリカーボネートをフェノール化合物に、フェノール化合物が還流するが除去されないような条件下で反応させる工程を有するものである。
【請求項34】
請求項32記載のポリマーブレンドにおいて、前記主にフェノール末端を有するオリゴカーボネートと選択的に遊離したビスフェノールとを得る工程は、溶融物中、高温減圧下、ジフェニルカーボネート、モル過剰量のビスフェノール、及びエステル交換触媒をで反応させて、主にフェノール末端を有するオリゴカーボネート、及び選択的に遊離したビスフェノールを得る工程を有するものである。
【請求項35】
請求項32記載のポリマーブレンドまたは混合物において、前記他のポリマーは、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、飽和および不飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、高耐衝撃性ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエポキシ、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、ポリイミド、ポリアリレート、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビニルエステル、ポリ塩化ビニル、ビスマレイミドポリマー、ポリ無水物、液晶ポリマー、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、セルロースポリマー、およびこれらの混合物から選択されるものである。

【公表番号】特表2009−518468(P2009−518468A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543569(P2008−543569)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/061318
【国際公開番号】WO2007/065094
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(508163991)エフアールエックス ポリマーズ、エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】