説明

ブロック共重合体を含む化粧料組成物

【課題】化粧料組成物の特性を変性すること、又は、化粧料組成物中に含めうる各種化合物に関する配合上の問題に対処すること。
【解決手段】2個のブロックA及びBからなる二ブロック共重合体を含む化粧料組成物において、
・ブロックAがpHに依存して中性若しくは陽イオン性でありうる反復単位を含み、組成物のpH条件において多陽イオン性のブロックであり、
・ブロックBが組成物のpH条件において中性のブロックであり、そして
・ブロックA及びBの両方がα−エチレン式不飽和単量体から誘導する単位を含む、
ことからなる化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の二ブロック共重合体を含む化粧料組成物、並びに、該二ブロック共重合体を化粧料組成物、より好ましくは皮膚及び/又は毛髪用の組成物の特性の変性剤として使用することに関する。
【0002】
本発明は、2個のブロックA及びBからなる少なくとも1種の二ブロック共重合体を含む化粧料組成物において、
・ブロックAが組成物のpH条件において多陽イオン性のブロックであり、
・ブロックBが組成物のpH条件において中性のブロックであり、そして
・ブロックA及びBの両方がα−エチレン式不飽和、好ましくはモノ−α−不飽和単量体から誘導する単位を含む、
ことからなる化粧料組成物に関する。
【0003】
本発明の第二の面は、化粧料組成物中において、2個のブロックA及びBからなる二ブロック共重合体であって、
・ブロックAが組成物のpH条件において多陽イオン性のブロックであり、
・ブロックBが組成物のpH条件において中性のブロックであり、そして
・ブロックA及びBの両方がα−エチレン式不飽和、好ましくはモノ−α−不飽和単量体から誘導する単位を含む、
ことからなる二ブロック共重合体を使用することに関する。
【0004】
定義
本明細書では、重合体、共重合体、分子の部分、グラフト、側鎖、コア、分岐、ブロック又は主鎖の分子量は、該重合体、共重合体、分子の部分、グラフト、側鎖、コア、分岐、ブロック又は主鎖の重量平均分子量を指す。重合体又は共重合体の重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。本明細書では、グラフト、側鎖、コア、分岐、ブロック又は主鎖の分子量は、該グラフト、側鎖、コア、分岐、ブロック又は主鎖を形成するのに使用した単量体、重合体、開始剤及び/又は連鎖移動剤の量から計算される分子量を指す。当業者には、これらの分子量を計算する方法が知られている。分子の部分と部分との間の重量比は、広範囲の重合を考慮して該部分を形成するのに使用した化合物の量と量との間の比率を指す。
【0005】
典型的には、ブロック、グラフト、側鎖、分岐、コア又は主鎖の分子量Mは、次の式:
【数1】

[式中、M1は単量体iの分子量であり、niは単量体iのモル数であり、そしてn前駆物質はブロック、グラフト、側鎖、分岐、コア又は主鎖のマクロ分子鎖が結合される化合物のモル数である]に従って計算される。該化合物は、連鎖移動剤又は連鎖移動基、前ブロック、又はグラフト若しくは反応性側鎖であってよい。それが前ブロックである場合には、そのモル数は、該前ブロックのマクロ分子鎖が例えば連鎖移動剤又は連鎖移動基に結合された化合物のモル数と見なすことができる。また、それは、該前ブロックの分子量の測定値から計算によって得ることもできる。もしも2個のブロックが前ブロックから両端において同時に成長するならば、上記の式に従って計算される分子量は2でわり算されるべきである。
【0006】
本明細書では、単量体から誘導する単位とは、該単量体から重合によって直接得ることができる単位と理解されたい。かくして、アクリル酸又はメタクリル酸のエステルから誘導する単位は、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のエステルを重合させ次いで加水分解することによって得られる式:−CH−CH(COOH)−又は−CH−C(CH3)(COOH)−の単位を包含しない。しかしながら、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導する単位は、例えば、ある種の単量体を重合させ次いで反応(例えば、加水分解)させて式:−CH−CH(COOH)−又は−CH−C(CH3)(COOH)−の単位を形成することによって得られた単位を包含する。
【0007】
二ブロック共重合体
二ブロック共重合体は、2個の異なるブロック、即ち、ブロックA及びブロックBを含む。この二ブロック共重合体は線状ブロック共重合体である。線状とは、2個のブロックの配置が線状であることを意味する。しかしながら、ブロックは、重合体部分(マクロ単量体)を構成する反復単位を含む櫛形(コーム)重合体構造を有するブロックであってもよい。
【0008】
ブロックは、通常、それが含む反復単位によって規定される。ブロックは、重合体の名を付けることによって、又はそれが誘導されるところの単量体の名を付けることによって規定することができる。本明細書では、単量体から誘導する単位とは、該単量体から重合によって直接得ることができる単位と理解されたい。かくして、アクリル酸又はメタクリル酸のエステルから誘導する単位は、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のエステルを重合させ次いで加水分解することによって得られる式:−CH−CH(COOH)−又は−CH−C(CH3)(COOH)−の単位を包含しない。しかしながら、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導する単位は、例えば、単量体を重合させ次いで反応(例えば、加水分解)させて式:−CH−CH(COOH)−又は−CH−C(CH3)(COOH)−の単位を得ることによって形成された単位を包含する。
【0009】
ブロックは、いくつかの単量体から誘導するいくつかの種類の反復単位を含む共重合体であってよい。それ故に、ブロックA及びブロックBは異なる単量体から誘導する異なる重合体であるが、しかしながら、それらはいくつかの共通した反復単位を含むことができる(共重合体)。ブロックA及びブロックBは、共通の反復単位(同じ単量体から誘導された)を50%よりも多くは含まないのが好ましい。
【0010】
ブロックAは、組成物のpH条件において多陰イオン性のブロックである。このことは、ブロックAがいかなるpHにおいても陽イオン性の反復単位を含むこと、又はブロックAが組成物のpHに依存して中性若しくは陽イオン性でありうる反復単位(この単位は潜在的に陽イオン性である)を含むことを意味する。以後、組成物のpHに依存して中性又は陽イオン性になりうる単位は、それが中性の形態若しくは陽イオンの形態にあっても、陽イオン単位と、又は陽イオン性単量体から誘導する単位と称する。
【0011】
いくつかの好ましい陽イオン性単量体は、式:−NR3+(式中、Rは同種又は異種であり、そして水素原子、随意にヒドロキシル基を有しうる1〜10個の炭素原子を含むアルキル又はベンジル基を表わす)のアンモニウム基を含み、そして陰イオン(対イオン)を含む。陰イオンの例は、塩素及び臭素の如きハロゲン、硫酸、ヒドロ硫酸、アルキル硫酸(例えば、1〜6個の炭素原子を含む)、ホスホン酸、クエン酸、ギ酸及び酢酸の各イオンである。
【0012】
陽イオン性単量体の例としては、
・(メタ)アクリル酸アミノアルキル、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、
・特に、少なくとも1個の第二、第三若しくは第四アミン官能基、又は窒素原子を含有する複素環式基を含む(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルアミン又はエチレンイミンを包含する単量体、
・ジアリルジアルキルアンモニウム塩、
・それらの混合物、それらの塩及びそれらから誘導するマクロ単量体、
が挙げられる。
【0013】
陽イオン性単量体の例としては、
・(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジ−t−ブチルアミノエチル、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、
・エチレンイミン、ビニルアミン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、
・トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4−ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミド(2−アクリルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム、TMAEAMSとも称される)クロリド、
トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート(2−(アクリルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム、TMAEAMSとも称される)メチルサルフェート、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、
・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、
・次の式:
【化1】

[式中、
・R1は、水素原子、又はメチル若しくはエチル基であり、
・R2、R3、R4、R5及びR6は同種又は異種であって、線状又は分岐状C1〜C6好ましくはC1〜C4アルキル、ヒドロキシアルキル又はアミノアルキル基であり、
・mは、1〜10、例えば、1の整数であり、
・nは、1〜6、好ましくは2〜4の整数であり、
・Zは、−C(O)O−若しくは−C(O)NH−基、又は酸素原子を表わし、
・Aは(CH2p基を表わし、ここでpは1〜6好ましくは2〜4の整数であり、
・Bは、線状又は分岐状C2〜C12、有益には、1個以上の複素原子又は複素基特にO又はNHによって随意に中断され得、そして1個以上のヒドロキシル又はアミノ基好ましくはヒドロキシル基によって随意に置換しうるC3〜C6ポリメチレン鎖を表わし、
・Xは同種又は異種であって、対イオンを表わす]を有する単量体、
・それらの混合物、及びそれらから誘導するマクロ単量体、
が挙げられる。
【0014】
ブロックBは、組成物のpH条件において中性のブロックである。ブロックBに含まれる単位は、どんなpHでも中性であるのが好ましい。
【0015】
中性ブロックの例は、
・アクリルアミド、メタクリルアミド、
・α−エチレン式不飽和、好ましくはモノ−α−エチレン式不飽和モノカルボン酸のアミド、
・α−エチレン式不飽和、好ましくはモノ−α−エチレン式不飽和モノカルボン酸のエステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルの如きアルキルエステル、又はアクリル酸2−ヒドロキシエチルの如きヒドロキシアルキルエステル、
・ポリエチレン及び/又はポリプロピレンオキシド(メタ)アクリレート(即ち、ポリエトキシル化及び/又はポリプロポキシル化(メタ)アクリル酸)、
・ビニルアルコール、
・ビニルピロリドン、
・酢酸ビニル、ベルサチン酸ビニル(vinyl Versatate)、
・好ましくは3〜12個の炭素原子を含むビニルニトリル、
・アクリロニトリル、
・ビニルアミンアミド、
・スチレンの如きビニル芳香族化合物、及び
・それらの混合物、
よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体から誘導する単位を含むブロックである。
【0016】
組成物のpH条件においてイオン性のブロックは、通常、水溶性と見なされる。かくして、ブロックAは、通常、水溶性と見なされる。本発明の好ましい具体例では、ブロックBは、水溶性又は親水性である。ある種のブロックの水溶性は、該ブロックが他のブロックなしに有する水溶性、即ち、該ブロックと同じ反復単位よりなり且つ同じ分子量を有する重合体の水溶性を指す。水溶性ブロック、重合体又は共重合体とは、そのブロック、重合体又は共重合体が20℃〜30℃の温度において水中で0.01重量%〜10重量%の濃度で顕微鏡的に相分離していないことを意味する。親水性とは、分子の部分が20℃〜30℃の温度において水中で0.1重量%〜1重量%の濃度で顕微鏡的に相分離していないことを意味する。疎水性とは、分子の部分が20℃〜30℃の温度において水中で0.1重量%〜1重量%の濃度で顕微鏡的に相分離していることを意味する。
【0017】
先に記載したように、ブロックBは、その親水性又は疎水性に関して区別することができる。
【0018】
親水性と見なされる中性ブロックの例としては、
・ビニルアルコール、
・ビニルピロリドン、
・アクリルアミド、メタクリルアミド、
・ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート(即ち、ポリエトキシル化(メタ)アクリル酸)、
・α−エチレン式不飽和、好ましくはモノ−α−エチレン式不飽和モノカルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、及び
・α−エチレン式不飽和、好ましくはモノ−α−エチレン式不飽和モノカルボン酸のヒドロキシアルキルアミド、
よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体から誘導する単位を含むブロックが挙げられる。
【0019】
疎水性と見なされる中性ブロックの例としては、
・α−エチレン式不飽和、好ましくはモノ−α−エチレン式不飽和モノカルボン酸のアルキルエステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシル、
・アクリロニトリル、
・3〜12個の炭素原子を含むビニルニトリル、
・ビニルアミンアミド、及び
・スチレンの如きビニル芳香族化合物、
よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体から誘導する単位を含むブロックが挙げられる。
【0020】
ブロックA及びブロックBの両方とも、α−エチレン式不飽和、好ましくはモノ−α−エチレン式不飽和単量体に由来する。より正確に言えば、ブロックA及びブロックBでは、反復単位の少なくとも50%がα−エチレン式不飽和、好ましくはモノ−α−エチレン式不飽和単量体から誘導される単位であることを意味する。上記の単量体の例は、α−エチレン式不飽和単量体である。
【0021】
上記の単量体から、モノ−α−エチレン式不飽和単量体の例としては、
・(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジ−t−ブチルアミノエチル、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、
・エチレンイミン、ビニルアミン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、
・トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート(2−(アクリルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム、TMAEAMSとも称される)クロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート(2−(アクリルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム、TMAEAMSとも称される)メチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4−ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、
・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、
・アクリル酸、メタクリル酸、
・ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸の塩、
・ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸の塩、
・α−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、α−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の塩、
・メタクリル酸2−スルホエチル、メタクリル酸2−スルホエチルの塩、
・アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の塩、
・スチレンスルホネート(SS)、
・酢酸ビニル、
・ビニルアルコール、
・ビニルピロリドン、
・スチレン、
・アクリルアミド、メタクリルアミド、
・アクリルニトリル、
・アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及び
・アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
が挙げられる。
【0022】
分子の部分A及びBを含む共重合体を製造するためのいくつかの方法がある。特定の具体例では、共重合体(c)は、ブロック共重合体又はスター共重合体である。かかる共重合体のいくつかの製造法を以下に提供する。
【0023】
例えば、スモルカ氏が“ J. Am. Oil. Chem. Soc. 1977, 54, 110 ”に、又はウイルクゼック−ベラエト氏他が“ Macromolecules 1996. 29, 4036 ”に記載したように、例えば、2種の単量体を逐次添加する陰イオン重合を使用することが可能である。使用することができる他の方法は、例えば、カタヨセ及びカタオカ両氏が“Proc. Intern. Symp. Control. Rel. Bioact. Materials, 1996, 23, 899 ”に記載したように、ある種のブロック重合体の重合を他のブロック重合体の両端の各々で開始することよりなる。
【0024】
本発明に関連して、クイルク及びリー両氏(“Polymer International 27, 359 (1992)
”)が規定するようにリビング又は制御重合を使用することが勧められる。実際に、この特定の方法によって、狭い分散度を有する重合体であって、ブロックの長さ及び組成が化学量論及び転化度によって制御された重合体を製造することが可能になる。このタイプの重合に関連して、任意のいわゆるリビング又は制御重合法によって、例えば、
・国際出願WO98/58974及び米国特許6153705の教示に従ってキサントゲン酸エステル又は塩によって制御された遊離基重合、
・国際出願WO98/01478の教示に従ってジチオエステルによって制御された遊離基重合、
・国際出願WO99/35178の教示に従ってジチオエステルによって制御された遊離基重合、
・国際出願WO99/35177の教示に従ってジチオカルバメートによって制御された遊離基重合、
・国際出願WO99/03894の教示に従ってニトロキシド前駆物質を使用する遊離基重合、
・国際出願WO99/31144の教示に従ってジチオカルバメートによって制御された遊離基重合、
・国際出願WO02/26836の教示に従ってジチオカルバゼートによって制御された遊離基重合、
・国際出願WO00/75207及び米国出願09/980387の教示に従ってハロゲン化キサントゲン酸エステル又は塩によって制御された遊離基重合、
・国際出願WO02/10223の教示に従ってジチオホスホロエステルによって制御された遊離基重合、
・国際出願WO02/22688の教示に従って二硫黄化合物の存在下に連鎖移動剤によって制御された遊離基重合、
・国際出願WO96/30421の教示に従った原子移動ラジカル重合(ATRP)、
・オーツ氏他が“Makromol. Chem. Rapid. Commun., 3, 127(1982)に記載した教示に従ってイニファーター(iniferter)によって制御された遊離基重合、
・タケモト氏他がJap.50,127,991(1975)(ダイキン工業)に、そしてマチジャスゼウスキー氏他が“Macromolecules, 28, 2093 (1995)に記載した教示に従って沃素の変性移動によって制御された遊離基重合、
・エイチ・エフ・マーク、エヌ・エム・ビカルズ、シー・ジー・オーバーバーガー及びジー・メンゲス各氏編集の“Encyclopedia of Polymer Science and Engineering ”(Wiley Interscience, New York, 1987)の Vol. 7において、オー・ダブリュー・ウエブスター氏が“Group Transfer Polymerization”(p.580-588)”に記載した教示に従った基移動重合、
・テトラフェニルエタン誘導体によって制御されたラジカル重合(ディー・ブラウン氏他の“Macromol. Symp. 111, 63(1996)”)、
・有機コバルト錯体によって制御されたラジカル重合(ウエイランド氏他の“J. Am. Chem. Soc. 116, 7973(1994)”)、
によって得ることができる共重合体が特に勧められる。
【0025】
好ましい方法は、連鎖移動剤の使用を包含する逐次リビング遊離基重合法である。好ましい連鎖移動剤は、式:−S−C(S)−Y−、−S−C(S)−S−、−S−P(S)−Y−、又は−S−P(S)−S−(式中、Yは、酸素原子、窒素原子及び炭素原子の如き硫黄とは異なる原子である)の基を含む物質である。それらの例としては、ジチオエステル基、チオエーテル−チオン基、ジチオカルバミン酸基、ジチオホスホロエステル、ジチオカルバゼート及びキサントゲン酸基が挙げられる。好ましい連鎖移動剤中に含まれる基の例としては、式:−S−C(S)−NR−NR'2、−S−C(S)−NR−N=CR'2、−S−C(S)−O−R、−S−C(S)−CR=CR'2、及び−S−C(S)−X(式中、R及びR’は同種又は異種であって、水素原子、又は随意に置換しうる、そして随意として複素原子を含みうるヒドロカルビル基の如き有機基であり、そしてXはハロゲン原子である)の基が挙げられる。好ましい重合法は、キサントゲン酸エステル又は塩を使用するリビングラジカル重合法である。
【0026】
リビング又は制御遊離基重合法によって得られる共重合体は、重合体鎖の末端に少なくとも1個の連鎖移動剤基を含むことができる。特定の具体例では、かかる基は除去又は失活される。
【0027】
二ブロック共重合体を作るのに使用される“リビング”又は“制御”ラジカル重合法は、次の工程、
a)モノ−α−エチレン式不飽和単量体、少なくとも1種の遊離基源化合物及び連鎖移動剤を反応させて第一ブロックを形成し、ここで連鎖移動剤を該第一ブロックに結合させ、
b)該第一ブロック、他のモノ−α−エチレン式不飽和単量体、及び随意成分としての少なくとも1種の遊離基源化合物を反応させて二ブロック共重合体を得、次いで、
c)随意に、連鎖移動剤にそれを不活性にする手段を反応させる、
各工程を含む。
【0028】
工程a)において、重合体の第一ブロックが合成される。工程b)では、重合体の他のブロックが合成される。
【0029】
連鎖移動剤の例は、次の式(I):
【化2】

[式中、
・Rは、R2O−、R2'2N−又はR3−基を表わし、R2及びR'2は同種又は異種であって、(i)アルキル、アシル、アリール、アルケン若しくはアルキン基、又は(ii)随意としての芳香族飽和若しくは不飽和炭素環、又は(iii)飽和若しくは不飽和複素環を表わし、これらの基及び環(i)、(ii)及び(iii)は置換されることが可能であり、R3はH、Cl、アルキル、アリール、アルケン又はアルキン基、随意に置換しうる飽和又は不飽和(複素)環、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルボキシル、アシルオキシ、カルバモイル、シアノ、ジアルキル−若しくはジアリールホスホナト、又はジアルキル−若しくはジアリールホスフィナト基、又は重合体鎖を表わし、
・R1は、(i)随意に置換しうるアルキル、アシル、アリール、アルケン若しくはアルキン基、又は(ii)飽和若しくは不飽和でありそして随意に置換され若しくは芳香族である炭素環、又は(iii)随意に置換され、そして飽和若しくは不飽和の複素環又は重合体鎖を表わし、そして
1、R2、R'2及びR3基は、置換フェニル若しくはアルキル基、置換芳香族基、又は次の基:オキソ、アルコキシカルボニル若しくはアリールオキシカルボニル(−COOR)、カルボキシル(−COOH)、アシルオキシ(−O2CR)、カルバモイル(−CONR2)、シアノ(−CN)、アルキルカルボニル、アルキルアリールカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、イソシアナト、フタルイミド、マレイミド、スクシンイミド、アミジノ、グアニジノ、ヒドロキシル(−OH)、アミノ(−NR2)、ハロゲン、アリル、エポキシ、アルコキシ(−OR)、S−アルキル、S−アリール若しくはシリル基、親水性若しくはイオン性を示す基、例えば、カルボン酸のアルカリ塩、若しくはスルホン酸のアルカリ塩、ポリ(アルキレンオキシド)(PEO、PPO)鎖、又は陽イオン性置換基(四級アンモニウム塩)によって置換されることができ、そしてRはアルキル若しくはアリール基を表わす]の連鎖移動剤である。
【0030】
好ましくは、式(I)の連鎖移動剤は、次の式(IA)、(IB)及び(IC):
【化3】

[式中、
・R2及びR2'は、(i)アルキル、アシル、アリール、アルケン若しくはアルキン基、又は(ii)随意としての芳香族飽和若しくは不飽和炭素環、又は(iii)飽和若しくは不飽和複素環を表わし、これらの基及び環(i)、(ii)及び(iii)は置換されることが可能であり、
・R1及びR1'は、(i)随意に置換しうるアルキル、アシル、アリール、アルケン若しくはアルキン基、又は(ii)飽和若しくは不飽和であり且つ随意に置換しうる飽和若しくは芳香族である炭素環、又は(iii)随意に置換しうる飽和若しくは不飽和の複素環又は重合体鎖を表わし、そして
・pは2〜10である]の化合物から選択されるジチオカーボネートである。
【0031】
連鎖移動剤の他の例は、次の式(II)又は(III):
【化4】

[式中、
・R1は有機基、例えば、式(I)、(IA)、(IB)及び(IC)の連鎖移動剤について先に規定した如きR’基であり、
・R2、R3、R4、R7及びR8は同種又は異種であって、水素原子、又は随意に環を形成しうる有機基である]の連鎖移動剤である。R2、R3、R4、R7及びR8有機基の例としては、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、複素原子含有ヒドロカルビル、及び置換複素原子含有ヒドロカルビルが挙げられる。
【0032】
モノ−α−エチレン式不飽和単量体及びそれらの割合は、ブロックについて所望の特性を得るために選択される。この方法に従えば、もしも連続重合をすべて同じ反応器で実施するならば、1つの段階で使用される単量体はすべて、次の段階の重合が開始する前に、それ故に、新規な単量体が導入される前に消費されてしまうのが一般に好ましい。しかしながら、先行段階の単量体が次のブロックの重合中に反応器になお存在することが起こりうる。この場合には、これらの単量体は、一般には、単量体全体の5モル%よりも多くに相当しない。
【0033】
重合は、水性及び/又は有機溶媒中で実施されることができる。また、重合は、実質上純の溶融形態(塊状重合)で、又は水性媒体におけるラテックスタイプの方法で実施することができる。
【0034】
ブロック共重合体(c)の分子量は、1000〜500000g/モルであるのが好ましい。それは、より好ましくは100000g/モル未満そして更により好ましくは15000〜20000g/モルである。これらの範囲内において、各ブロックの重量比が変動しうる。しかしながら、各ブロックは、500g/モルよりも大きいそして好ましくは1000g/モルよりも大きい分子量を有するのが好ましい。
【0035】
組成物
用語「化粧料組成物」及び「化粧料配合物」は、“コスメテックス・ダイレクティブ(Cosmetics Directive)”として知られる1976年7月27日付けのEuropean Directive No.76/768/EECの付録I(“化粧品のカタログによる例示的なリスト”)に記載されるタイプの任意の化粧品又は配合物を意味する。
【0036】
化粧料組成物は、皮膚及び/又は毛髪用の多数のタイプの製品、例えば、ムース、ゲル(特に、スタイリングゲル)、顔面又は毛髪用のマスク、コンデショナー、ヘアスタイルを調整するための、又は毛髪の櫛通し(コーミング)若しくはもつれ解きを容易にするための、ボリューム若しくは艶を与えるための配合物、リンス配合物、ハンド及びボデーローション及びオイル、皮膚の給湿を改善するための製品、クレンジングクリーム、メーキャップ除去用組成物、日光及び紫外線に対する保護用のクリーム又はローション、ケア及び/又はトリートメントミルク及びクリーム、抗ざそう剤、局所鎮痛剤、まつげ染め、唇又は他の粘膜用の製品、スチック、脱臭剤、制汗剤、シェービングローション、バスオイル、タルク、及び同じタイプの他の組成物において処方されることができる。
【0037】
本発明に従って化粧料組成物中に含められる化合物の例としては、界面活性剤、ビヒクル、皮膚軟化剤及び状態調節剤が挙げられる。
【0038】
ビヒクルの例としては、水、エタノール及びイソプロパノールの如きアルコール、並びに炭化水素、ハロ炭化水素、リナロール、エステル及び揮発性シリコーンの如き他の溶剤が挙げられる。ビヒクル化合物は互いに可溶性であってよく、又はそうでなくてもよい。化粧料組成物中の他の化合物はビヒクル中に可溶性でも又はそうでなくてもよい。
【0039】
化粧料組成物がスプレー、トニックローション、ゲル又はムースの形態にあるときには、好ましいビヒクルは、エタノール、揮発性シリコーン誘導体又はそれらの混合物を含む。
【0040】
かくして、ムース及びエーロゾルスプレー用の配合物は、その製品をムース又は均一な微細スプレーの形態で発生させることができる推進剤を含有することができる。ここで挙げることができる推進剤の例は、ジメチルエーテル、プロパン、n−ブタン及びイソブタンである。
【0041】
界面活性剤の例としては、
−陰イオン性界面活性剤、例えば、
・スルホン酸アルキルエステル、
・硫酸アルキル、
・硫酸アルキルアミド、及び
・飽和又は不飽和脂肪酸塩、
−非イオン性界面活性剤、例えば、
・ポリオキシアルキレン化アルキルフェノール、
・グルコサミド、グルカミド、
・N−アルキルアミンから誘導されるグリセロールアミド、
・ポリオキシアルキレン化C8〜C22脂肪族アルコール、
・プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合から生じる疎水性化合物とエチレンオキシドとの縮合から得られる化合物、
・アミンオキシド、
・アルキルポリグリコシド及びそのポリオキシアルキレン化誘導体、
・C8〜C20脂肪酸アミド、
・エトキシル化脂肪酸、及び
・エトキシル化アミド、アミン又はアミドアミン、及び
−両性及び双極性界面活性剤、例えば、
・ベタイン型のもの、例えば、ベタイン、スルホベタイン、アミドアルキルベタイン及びスルホベタイン、
・アルキルサルタイン、
・脂肪酸とタンパク質加水分解生成物との縮合生成物、
・ココアンホアセテート及びココアンホジアセテート、
・アルキルアンホプロピオネート又はアルキルアンホジプロピオネート、及び
・両性アルキルポリアミン誘導体、
が挙げられる。
【0042】
皮膚軟化剤の例としては、植物及び野菜から抽出される油(パーム油、ヤシ油、綿実油、大豆油、ヒマワリ油、オリーブ油、ブドウ種油、ゴマ油、粉砕ナッツ油、ひまし油、アルガン油など)又は海洋源の油(魚油など)の如きアルキルモノグリセリド、アルキルジグリセリド、トリグリセリド、これらの油の誘導体、例えば、水素化油、ラノリン誘導体、鉱油若しくはパラフィンオイル、ペルヒドロスクアラン、スクアレン、1,2−プロパンジオール及び1,3−ブタンジオールの如きジオール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール、パルミチン酸イソプロピル、ココヤシ油脂肪酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチルの如き脂肪酸エステル、乳酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸のエステル、環式ポリジメチルシロキサン、α,ω−ヒドロキシル化ポリジメチルシロキサン、α,ω−トリメチルシリルポリジメチルシロキサンを含むシリコーン油、ポリアルキルメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンの如きポリオルガノシロキサン、アミノシリコーン誘導体、シリコーンワックス、コポリエーテルシリコーン(ロディア社によって製造販売される「Mirasil DMCO」又はダウ・コーニング社によって製造販売される「DC 190」の如き)、又は種々のタイプの誘導化を含めた混成シリコーン誘導体(ポリアルキルメチル−シロキサン/コポリエーテルシリコーン混成共重合体の如き)が挙げられる。
【0043】
状態調整剤の例としては、一般CTFA名称「Polyquaternium」の下に知られたもの、例えば、ロディア社からの商品名「Mirapol A15」又は「Mirapol 550」、ココジモニウムヒドロキシエチルセルロース、グアルヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアルヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(ロディア社によって製造販売される商品名「Jaguar C13S」及び「Jaguar C162」)のような陽イオン性多糖類誘導体(セルロース、グアル又はカロブの陽イオン性誘導体)、揮発性又は不揮発性シリコーン誘導体、例えば、アモジメチコン、シクロメチコン、水不溶性で不揮発性のポリオルガノシロキサン、例えば、油、樹脂又はガム、例えばジフェニルジメチコンガムの如き天然又は合成源の物質が挙げられる。
【0044】
また、本発明に従った化粧料組成物中には、皮膚の吸湿を促進するのに有用な種々の化合物(湿潤剤)を含めることもできる。かかる化合物の例としては、ある種の炭水化物(例えば、グリセロール又はソルビトール)、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール、糖類のアルコキシル化誘導体又は糖類誘導体(例えば、メチルグルコース)、水溶性又は水分散性重合体、例えば海洋若しくは植物タンパク質のコラーゲン又はある種の非アレルギー性誘導体(例えば、小麦タンパク質加水分解生成物)が挙げられる。
【0045】
また、本発明に従った化粧料組成物は、増稠剤を含むこともできる。増稠剤の例としては、天然ヒドロコロイド(グアルガム、カロブガム、タラガムなど)又は発酵プロセスから誘導されるヒドロコロイド、例えば、キサンタンガム、海藻から抽出される多糖類、例えば、カラギーナン、並びに変性セルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)の如きポリ炭水化物誘導体、又は非イオン性誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルグアル)、陰イオン性誘導体(カルボキシメチルグアル)又は非イオン性/陰イオン性混成誘導体、例えば、カルボキシ−ヒドロキシプロピルグアル又は非イオン性/陽イオン性誘導体が挙げられる。
【0046】
また、本発明に従った化粧料組成物は、炭酸カルシウム、粉末形態又はコロイド形態にある鉱物酸化物、例えば、二酸化チタン、シリカ、アルミニウム塩(一般には、制汗剤として使用される)、カオリン、タルク、粘土及び粘土誘導体のような鉱物粉末又は粒子(寸法が1μmよりも小さい、場合によっては数十ナノメートル程度の粒子)を含むこともでき、そしてこれらの化合物には配合物の調合に使用される鉱物顔料を組み合わせて添加することができる。
【0047】
また、本発明に従った化粧料組成物は、p−ヒドロキシ安息香酸のメチル、エチル、プロピル及びブチルエステル、安息香酸ナトリウム、DMDMヒダントイン、又は、細菌若しくはカビの増殖を防止する任意の化学剤であって、European Directive No.76/78/EECの付録VIに記載されそして化粧料組成物中に慣用される許可及び/又は仮許可された保存剤のリストの中に入る化学剤を含むこともできる。これらの保存剤は、一般には、これらの組成物中に0.01〜3重量%の割合まで導入される。これらの化合物の量は、一般には、化粧料組成物中における細菌、カビ又は酵母の増殖を回避するように調節される。
【0048】
皮膚又は毛髪を日光及びUV線からの攻撃に対して保護するために、本発明に従った化粧料組成物は、UV線を強く吸収する化合物である遮光剤、例えば、European Directive No.76/768/EEC、その付録及びその後の改訂版で認可される化合物、又は粉末若しくはコロイド粒子の形態にあるに酸化チタン若しくは酸化セリウムを含むことができる。これらの粉末は、それらのUV安定作用の効率を向上させるために、又は化粧料配合物へのそれらの配合を容易にするために、又は表面の光反応性を抑制するために随意に表面処理されることができる。
【0049】
また、本発明に従った化粧料組成物は、該組成物を消費者の使用に対してより快適にするために香料、染料又は顔料を含むこともできる。
【0050】
また、化粧料組成物は、ケラチン支持体に固定するための樹脂を0.5〜10%そして好ましくは1〜5%の濃度で含むこともできる。これらは、次の樹脂、即ち、アクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体、ポリビニルメチルエーテル/無水マレインサン共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、オクチルアクリルアミド/アクリル酸メチル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/クロトン酸共重合体、ポリビニルアルコール/無水マレイン酸共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアル、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン/メタクリル酸エチル/メタクリル酸三元重合体、ポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)モノメチルエーテル、ポリエチレングリコールテレフタレート/ポリエチレングリコール共重合体、ポリエチレングリコールテレフタレート/ポリエチレングリコール/ポリ(イソフタル酸スルホン酸ナトリウム)共重合体、ポリオルガノシロキサン単位を含有するスルホン化ポリエステル、例えば、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、四級化メタクリル酸ジメチルアミノエチル、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムの如き陽イオン性単量体から完全又は部分誘導される陽イオン性樹脂、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるのが好ましい。また、陽イオン性樹脂は、例えば、陽イオン性多糖類、例えば、陽イオン性グアル若しくは陽イオン性セルロース、又はそれらの混合物のような水溶性天然重合体を基にしてもよい。
【0051】
二ブロック共重合体は、化粧料組成物に対して多くの利益を提供する。該二ブロック共重合体を化粧料組成物中に添加剤として使用すると、化粧料組成物の特性を変性することができ、又は、化粧料組成物中に含めうる各種化合物に関する配合上の問題に対処することができる。特性を変性するとは、他の化合物の特性又は機能のうちの1つを向上させる(又は、それが問題ならば、低下させる)ことを意味する。配合上の問題に対処するとは、いくつかの不相容性化合物(又は該化合物の不相容の相対量)がより相容性になり、しかして組成物の性能及び/又はアスペクト及び/又はコスト及び/又は環境問題及び/又は官能特性を最適化するのが可能になることを意味する。
【0052】
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、いくつかの利益は、二ブロック共重合体の特定の構造によると考えられ、即ち、1つのブロックは組成物の化合物のうちの少なくとも1種と相互作用することができ、そして他方のブロックは少なくとも他の化合物と及び/又は皮膚若しくは毛髪と相互作用することができると考えられる。例えば、陽イオン性ブロックAは、毛髪及び/又は皮膚の如き陽イオン性化合物と親和性を有する化合物と相互作用すると考えられる。更なる例として、ブロックAは、陰イオン性界面活性剤と相互作用する。ブロックBは、他の化合物と、それが親水性又は疎水性であるかどうかに依存して相互作用する。かくして、二ブロック共重合体を添加すると、陰イオン性界面活性剤を含む組成物の処方を変性して、例えば界面活性剤の量を低下させること(これは、原価効率的で且つ環境に優しい)が可能になる。
【0053】
本発明に従った二ブロック共重合体の使用に関する利益のうちのいくつかの例としては、
・毛髪及び/又は皮膚への重合体の付着。二ブロック共重合体は毛髪及び/又は皮膚に付着し、例えば、毛髪にコンデショニング効果を提供するためにより良好なウェブコーミングを可能にする。また、二ブロック共重合体は、シリコーンエマルジョン又は陽イオン性コンンデショニング用重合体の如き他の化合物の付着を向上又は誘発する。
・陰イオン性共重合体及び陽イオン性重合体を含むコロイドの懸濁液の相分離の回避。
・エマルジョン(好ましくは、水中油型エマルジョン、又はトリプルエマルジョン)の安定化、
が挙げられる。しかしながら、利益は上記の例に限定されるものではない。
【実施例】
【0054】
例1
ポリTMAEAMS(メチルサルフェート[2−(アクリロイルオキシ)エチル]−トリメチルアンモニウム)第一ブロック(Mw=11,000g/モル)及びポリアクリルアミド第二ブロック(Mw=3000g/モル)から陽イオン性−中性二ブロック共重合体を作る(ポリTMAEAMS11K−b−ポリAM3K)。
【0055】
1/二ブロック共重合体ポリTMAEAMS11K−b−ポリAM3Kの合成
この合成は、二重ジャケット付反応器において70℃でバッチ法に従って実施される。
【0056】
第一段階:ポリTMAEAMS11K−Xの合成
反応器に、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムメチルサルフェート(TMAEAMS)と水との溶液を導入し、そしてこの溶液を70℃に加熱する。次いで、キサントゲン酸S−エチルプロピルO−エチルと4,4’−アゾ−ビス−4−シアノバレリアン酸又はACVA(キサントゲン酸エステルに対して30モル%)とイソプロパノールとの混合物を導入する。得られた混合物を70℃で夜通し撹拌する。
【0057】
【表1】

【0058】
第二段階:ポリTMAEAMS11K−PAM3Kの合成
水中に溶解させたACVA(キサントゲン酸エステルに対して50モル%)を先の混合物に加える。
【0059】
【表2】

【0060】
次いで、水(I)中に溶解させたアクリルアミドを3時間にわたって連続的に加える。最初の1時間の後、水(II)中に溶解させたACVA(キサントゲン酸エステルに対して22モル%)を加える。
【0061】
【表3】

【0062】
次の1時間後に、水中に溶解させたACVA(キサントゲン酸エステルに対して22モル%)を加える。
【0063】
【表4】

【0064】
3時間後に、混合物を再び70℃で2時間撹拌する。最終溶液の乾燥抽出分は13.2%である。
【0065】
その結果、上記の手順に従って適正量のアクリルアミド、水、開始剤及び連鎖移動剤を使用して一連の二ブロック共重合体ポリTMAEAMS11K−b−ポリAMXK(X=0、3、15及び30)を合成した。
【0066】
この二ブロック共重合体を毛髪ケア組成物中で使用する。組成物は、改善された湿潤櫛通し(コーミング)を提供する。
【0067】
例2
ポリ(アクリル酸ブチル)第一ブロック(Mn=2,000g/モル)及びポリ(アクリル酸2−ジメチルアミノエチル)(Mn=4,000g/モル)から陽イオン性−中性二ブロック共重合体を作る(ポリABU2K−b−ポリADAM4K)。
【0068】
反応は、冷却手段及び磁気撹拌機を含む1リットルの反応器においてアルゴン雰囲気下に実施される。反応器に、155.7gのエタノール、10.41gの(CH3CHCO2CH3)S(C=S)OEt及び100gのアクリル酸ブチルを導入する。得られた溶液を70℃で加熱し、そして3.28gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を9.85gのアセトン及び4.92gのエタノール中に溶解させた溶液を加える。3時間後、1.64gのAIBNを4.93gのアセトン及び2.46gのエタノール中に溶解させた溶液を加える。試料を分析する。ジメチルホルムアミド中においてGPC−MALLSによって測定した数平均分子量は2200g/モルである。200gのアクリル酸2−ジメチルアミノエチルを280gのエタノール中に溶解させた溶液を3時間にわたって加える。この添加の終了から2時間後に、2.46gのAIBNを7.39gのアセトン及び3.69gのエタノール中に溶解させた溶液を加える。2時間後、同じ溶液を再び加える。反応を2時間継続し、そして室温への冷却によって停止させる。得られたブロック共重合体の数平均分子量をジメチルホルムアミド中でGPC−MALLSによって測定すると、7000g/モルである。
【0069】
例3
この例は、例2の二ブロック共重合体をシャンプー組成物中において使用することを例示する。
【0070】
エマルジョンA:
鉱物を含まない水(pH5)中に、シリコーン油(Rhodorsil 48V5000、ロディア社)を例2の二ブロック共重合体で乳化する。エマルジョンは、
・0.3gの二ブロック共重合体を含む27gの水溶液を調製し、
・pHを5に調整し、
・3gのシリコーン油を導入し、
・最初に「Ultra Turrax」で9500rpmにおいて5分間、次いでミクロフルイダイザー(5分、500バール)で混合する、
ことによって得られる。
【0071】
シャンプーA:
14gのラウリルエーテルスルホン酸ナトリウム(Empicol ESB3M)、2gのテゴベタインT7及び1.6gの塩化ナトリウムを含む70gの水性配合物を調製する。pHを5に調整する。70gの配合物に27gのエマルジョンAを混合(300rpm、5分)しながら加える。
【0072】
エマルジョンB:
鉱物を含まない水(pH5)中に、シリコーン油(Rhodorsil 48V5000、ロディア社)を陰イオン性界面活性剤(SDS、ドデシル硫酸ナトリウム)で乳化する。エマルジョンは、
・0.3gの界面活性剤を含む27gの水溶液を調製し、
・pHを5に調整し、
・3gのシリコーン油を導入し、
・最初に「Ultra Turrax」で9500rpmにおいて5分間、次いでミクロフルイダイザー(5分、500バール)で混合する、
ことによって得られる。
【0073】
シャンプーB:
14gのラウリルエーテルスルホン酸ナトリウム(Empicol ESB3M)、2gのテゴベタインT7及び1.6gの塩化ナトリウムを含む70gの水性配合物を調製する。pHを5に調整する。70gの配合物に27gのエマルジョンAを混合(300rpm、5分)しながら加える。
【0074】
シャンプーA及びBの希釈:
シャンプーをpH5の水溶液で10倍に希釈し、そして得られた希釈生成物を光学的顕微鏡で検査する。希釈したシャンプーAは凝集したのに対して、シャンプーBはしなかった。
【0075】
付着量:
シャンプーA及びBを使用して同一の頭髪をトリートメントする。頭髪をシャンプーによって洗浄及び濯ぎ落した後のシリコーン付着量をX線によって測定する。付着量は、シャンプーBによるよりもシャンプーAによる方が多い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個のブロックA及びBからなる二ブロック共重合体を含む化粧料組成物において、
・ブロックAがpHに依存して中性若しくは陽イオン性でありうる反復単位を含み、組成物のpH条件において多陽イオン性のブロックであり、
・ブロックBが組成物のpH条件において中性のブロックであり、そして
・ブロックA及びBの両方がα−エチレン式不飽和単量体から誘導する単位を含む、
ことからなる化粧料組成物。

【公開番号】特開2007−106776(P2007−106776A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6357(P2007−6357)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【分割の表示】特願2003−551206(P2003−551206)の分割
【原出願日】平成14年12月12日(2002.12.12)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】