説明

ブーツバンド

【課題】 帯状部材の剛性を向上させて座屈の発生を未然に防止し、組み付け性の向上を図る。
【解決手段】 帯状部材20の一端側21に係合爪30および第一の工具爪50を設けると共に他端側22に係合孔40および第二の工具爪60を設け、帯状部材20をブーツに巻回してリング状に成形して帯状部材20の一端側21と他端側22とを重ね合わせた状態で第一の工具爪50と第二の工具爪60とを強制的に近接させることにより係合爪30を係合孔40に係止させることでブーツを被固定部材に締め付けるブーツバンド10であって、第一の工具爪50は、帯状部材20の切り込み部分をその厚み方向で隆起させることにより、帯状部材20の開口部両側を跨ぐように形成された爪本体部51と、切り込み部分と対応した形状を有し、爪本体部51から長手方向に一体的に延在する爪先端部52aとからなり、その爪先端部52aを長手方向に向けて先細り形状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばドライブシャフトやプロペラシャフトに組み込まれる固定式および摺動式等速自在継手に取り付けられ、継手外部からの異物侵入や継手内部からの潤滑剤漏洩を防止するブーツを締め付け固定するためのブーツバンドに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のエンジンから車輪に回転力を等速で伝達する手段として使用される等速自在継手には、固定式等速自在継手と摺動式等速自在継手の二種がある。これら両者の等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸を連結してその二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達し得る構造を備えている。
【0003】
自動車のエンジンから駆動車輪に動力を伝達するドライブシャフトは、エンジンと車輪との相対的位置関係の変化による角度変位と軸方向変位に対応する必要があるため、一般的にエンジン側(インボード側)に摺動式等速自在継手を、駆動車輪側(アウトボード側)に固定式等速自在継手をそれぞれ装備し、両者の等速自在継手を中間シャフトで連結した構造を具備する。
【0004】
これら摺動式等速自在継手あるいは固定式等速自在継手では、継手内部に封入されたグリース等の潤滑剤の漏洩を防ぐと共に継手外部からの異物侵入を防止するため、等速自在継手の外側継手部材と中間シャフトとの間にゴム製ブーツを装着している。この種のブーツは、金属製のブーツバンド(例えば、特許文献1参照)により外側継手部材および中間シャフトに締め付け固定されることによりシール性が確保されている。
【0005】
従来のブーツバンド110は、図14(A)(B)に示すように、帯状部材120の一端側121に係合爪130および第一の工具爪150を設けると共に他端側122に係合孔140および第二の工具爪160を設けた構造を具備する。このブーツバンド110の場合、二つの係合爪130とこれら係合爪130に対応させて二つの係合孔140が設けられている。
【0006】
図15に示すように帯状部材120をブーツ(図示せず)に巻回してリング状に成形して帯状部材120の一端側121と他端側122とを重ね合わせた状態から、図16に示すように第一の工具爪150と第二の工具爪160とを工具(図示せず)で強制的に近接させることにより係合爪130を係合孔140に係止させることでブーツ110を外側継手部材および中間シャフトに締め付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4403728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来のブーツバンド110では、図17に示すように帯状部材120をリング状に成形して帯状部材120の一端側121と他端側122とを重ね合わせた状態から、第一の工具爪150と第二の工具爪160とを強制的に近接させようとした場合、帯状部材120の他端側122が一端側121の係合爪130を乗り越える時の抵抗が大き過ぎると、第一の工具爪150と第二の工具爪160との間では、第一の工具爪150の近傍で座屈Aが生じ、ブーツバンド110を良好に組み付けることが困難となる。
【0009】
ここで、第一の工具爪150は、帯状部材120の切り込み部分をその厚み方向で隆起させることにより、その帯状部材120の開口部両側を跨ぐように形成された爪本体部151と、切り込み部分と対応した形状を有し、爪本体部151から長手方向に一体的に延在する爪先端部152とで構成されている〔図14(A)(B)参照〕。
【0010】
従来のブーツバンド110では、第一の工具爪150の爪先端部152が、図18あるいは図19に示すように幅寸法Lを持つ平行板形状をなす。なお、図18に示す第一の工具爪150は、先端がフラットな直線とその両側に位置する円弧で形成された爪先端部152を有する。また、図19に示す第一の工具爪150は、先端が単一の円弧で形成された爪先端部152を有する。
【0011】
前述の第一の工具爪150と第二の工具爪160との間では、第一の工具爪150の爪先端部152を切り込んだ部分が最も開口幅(爪先端部152の幅寸法L)が大きいことから、その部分は断面積が最も小さく剛性が低い箇所となっており、この部分で座屈A(図17参照)が生じている。
【0012】
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、帯状部材の剛性を向上させて座屈の発生を未然に防止し、組み付け性の向上を図り得るブーツバンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、帯状部材の一端側に係合爪および第一の工具爪を設けると共に他端側に係合孔および第二の工具爪を設け、帯状部材をブーツに巻回してリング状に成形して帯状部材の一端側と他端側とを重ね合わせた状態で第一の工具爪と第二の工具爪とを強制的に近接させることにより係合爪を係合孔に係止させることでブーツを被固定部材に締め付けるブーツバンドであって、第一の工具爪は、帯状部材の切り込み部分をその厚み方向で隆起させることにより、帯状部材の開口部両側を跨ぐように形成された爪本体部と、切り込み部分と対応した形状を有し、爪本体部から長手方向に一体的に延在する爪先端部とからなり、その爪先端部を長手方向に向けて先細り形状としたことを特徴とする。
【0014】
本発明では、帯状部材の切り込み部分をその厚み方向で隆起させることにより形成され、その切り込み部分と対応した形状をなす爪先端部を長手方向に向けて先細り形状としたことにより、第一の工具爪の爪先端部を切り込んだ部分の開口幅を従来よりも小さくすることができ、その部分の断面積を大きくして剛性を高めることができる。
【0015】
そのため、帯状部材をリング状に成形して帯状部材の一端側と他端側とを重ね合わせた状態から、第一の工具爪と第二の工具爪とを強制的に近接させようとした場合、帯状部材の他端側が一端側の係合爪を乗り越える時の抵抗が大き過ぎても、第一の工具爪と第二の工具爪との間では、第一の工具爪の近傍での強度を確保できてその部分で座屈が生じることはない。
【0016】
本発明における爪先端部の長手方向寸法は、その幅方向最大寸法よりも大きくなるように設定されていることが望ましい。このブーツバンドでは、帯状部材をリング状に成形して帯状部材の一端側と他端側とを重ね合わせた状態から、第一の工具爪と第二の工具爪とを強制的に近接させることにより係合爪を係合孔に係止させ、最終的に帯状部材の他端側を第一の工具爪の爪先端部の切り込み開口部に挿入する。この時、爪先端部の長手方向寸法を大きくすれば、その爪先端部で帯状部材の他端を確実に押さえ込むことができる。
【0017】
本発明において、爪先端部における切り込み部分と対応した先細り形状は、その幅方向両側が曲線状、直線状あるいは階段状のいずれかをなすことが望ましい。このような形状とすれば、第一の工具爪の爪先端部を切り込んだ部分の開口幅を従来よりも小さくすることが容易となり、その部分の断面積を大きくして剛性を高めることが実現容易となる。なお、爪先端部における切り込み部分と対応した先細り形状は、その長手方向先端が円弧形状あるいは直線形状のいずれであってもよい。
【0018】
本発明におけるブーツは、その表面硬さがHs50〜70であるクロロプレンゴムあるいはシリコンゴムのゴム製であることが望ましい。本発明のブーツバンドを使用すれば、このような素材からなるブーツを外側継手部材および中間シャフトに良好に締め付け固定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、帯状部材の切り込み部分をその厚み方向で隆起させることにより形成され、その切り込み部分と対応した形状をなす爪先端部を長手方向に向けて先細り形状としたことにより、第一の工具爪の爪先端部を切り込んだ部分の開口幅を従来よりも小さくすることができ、その部分の断面積を大きくして剛性を高めることができる。
【0020】
そのため、帯状部材をリング状に成形して帯状部材の一端側と他端側とを重ね合わせた状態から、第一の工具爪と第二の工具爪とを強制的に近接させようとした場合、帯状部材の他端側が一端側の係合爪を乗り越える時の抵抗が大き過ぎても、第一の工具爪と第二の工具爪との間では、第一の工具爪の近傍での強度を確保できてその部分で座屈が生じることはない。その結果、ブーツバンドの組み付け性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態で、(A)はブーツバンドを展開した状態で示す平面図、(B)は(A)の正面図である。
【図2】図1の帯状部材をリング状に成形して帯状部材の一端側と他端側とを重ね合わせた状態を示す正面図である。
【図3】図2の状態から第一の工具爪と第二の工具爪とを強制的に近接させることにより係合爪を係合孔に係止させた状態を示す正面図である。
【図4】図1のブーツバンドにおける第一の工具爪を示す要部拡大平面図である。
【図5】本発明の他の実施形態で、第一の工具爪を示す要部拡大平面図である。
【図6】本発明の他の実施形態で、第一の工具爪を示す要部拡大平面図である。
【図7】本発明の他の実施形態で、第一の工具爪を示す要部拡大平面図である。
【図8】本発明の他の実施形態で、第一の工具爪を示す要部拡大平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態で、第一の工具爪を示す要部拡大平面図である。
【図10】本発明の他の実施形態で、第一の工具爪を示す要部拡大平面図である。
【図11】本発明の他の実施形態で、第一の工具爪を示す要部拡大平面図である。
【図12】等速自在継手の外側継手部材と中間シャフトにブーツをブーツバンドで締め付け固定した状態を示す正面図である。
【図13】図12の断面図である。
【図14】従来例で、(A)はブーツバンドを展開した状態で示す平面図、(B)は(A)の正面図である。
【図15】図14の帯状部材をリング状に成形して帯状部材の一端側と他端側とを重ね合わせた状態を示す正面図である。
【図16】図15の状態から第一の工具爪と第二の工具爪とを強制的に近接させることにより係合爪を係合孔に係止させた状態を示す正面図である。
【図17】図15の状態から第一の工具爪と第二の工具爪とを強制的に近接させた時に第一の工具爪近傍で座屈が発生した状態を示す正面図である。
【図18】従来のブーツバンドにおける第一の工具爪の一例を示す要部拡大平面図である。
【図19】従来のブーツバンドにおける第一の工具爪の他例を示す要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る等速自在継手の実施形態を以下に詳述する。以下の実施形態では、自動車のドライブシャフトに組み込まれ、駆動側と従動側の二軸を連結してその二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達する構造を備えた固定式等速自在継手の一つであるアンダーカットフリー型等速自在継手を例示する。
【0023】
なお、本発明は、ツェッパ型等速自在継手などの他の固定式等速自在継手にも適用可能であり、また、ダブルオフセット型等速自在継手、クロスグルーブ型等速自在継手やトリポード型等速自在継手などの摺動式等速自在継手にも適用可能である。
【0024】
図12および図13に示す実施形態の等速自在継手は、軸方向に延びる円弧状トラック溝71が球面状内周面72の複数箇所に円周方向等間隔で形成された外側継手部材73と、その外側継手部材73のトラック溝71と対をなして円弧状トラック溝74が球面状外周面75の複数箇所に円周方向等間隔で形成された内側継手部材76と、外側継手部材73のトラック溝71と内側継手部材76のトラック溝74との間に介在するボール77と、外側継手部材73の球面状内周面72と内側継手部材76の球面状外周面75との間に配されてボール77を保持するケージ78とで主要部が構成されている。
【0025】
なお、外側継手部材73のトラック溝71の開口側部分と内側継手部材76のトラック溝74の奥側部分は、継手軸方向に平行なストレート形状とすることにより、作動角の高角化を図っている。また、内側継手部材76には中間シャフト79の一端がスプライン嵌合により連結されている。この中間シャフト79の他端には、摺動式等速自在継手(図示せず)の内側継手部材がスプライン嵌合により連結されている。
【0026】
この等速自在継手は、継手内部に封入されたグリース等の潤滑剤の漏洩を防ぐと共に継手外部からの異物侵入を防止するため、外側継手部材73と中間シャフト79との間にゴム製の蛇腹状ブーツ80を装着した構造を具備する。外側継手部材73およびブーツ80の内部空間に潤滑剤を封入することにより、外側継手部材73に対して中間シャフト79が作動角をとりながら回転する動作時における潤滑性を確保するようにしている。
【0027】
ブーツ80は、その大径端部81が外側継手部材73の外周面にブーツバンド10により締め付け固定され、小径端部82が中間シャフト79の外周面にブーツバンド10により締め付け固定されている。このブーツバンド10による締め付け固定でもってシール性を確保するようにしている。
【0028】
ブーツ80は、等速自在継手が作動角をとりながら回転する機能を備えていることから、その挙動に追従できる柔軟性を確保するために伸縮自在な蛇腹形状をなすゴム製のものが使用され、その素材としては、表面硬さがHs50〜70であるクロロプレンゴムあるいはシリコンゴム等が好適である。
【0029】
前述したブーツ80を外側継手部材73および中間シャフト79に締め付け固定する金属製のブーツバンド10は、以下の構造を具備する。
【0030】
この実施形態のブーツバンド10は、図1(A)(B)に示すように、帯状部材20の一端側21に係合爪30および第一の工具爪50を設けると共に他端側22に係合孔40および第二の工具爪60を設けた構造を具備する。この実施形態の場合、二つの係合爪30とこれら係合爪30に対応させて二つの係合孔40が設けられている。帯状部材20の一端側21に設けられた係合爪30は、帯状部材20の他端側22を切り起こすことにより形成されている。また、帯状部材20の他端側22に設けられた第二の工具爪60は、帯状部材20の一端側21を切り起こすことにより形成されている。
【0031】
一方、第一の工具爪50は、帯状部材20の切り込み部分をその厚み方向で隆起させることにより、その帯状部材20の開口部両側を跨ぐように形成された爪本体部51と、切り込み部分と対応した形状を有し、爪本体部51から長手方向に一体的に延在する爪先端部52aとからなり、図4に示すように、切り込み部分と対応した形状をなす爪先端部52aを長手方向に向けて先細り形状としている。図4に示す実施形態の爪先端部52aにおける切り込み部分と対応した先細り形状は、その幅方向両側が凸曲線状をなす。つまり、帯状部材20の一端側21に向けて幅方向寸法が漸次小さくなるような曲線状をなしている。
【0032】
このブーツバンド10では、図2に示すように帯状部材20をブーツ80(図12および図13参照)に巻回してリング状に成形して帯状部材20の一端側21と他端側22とを重ね合わせた状態から、図3に示すように第一の工具爪50と第二の工具爪60とを工具(図示せず)で強制的に近接させることにより係合爪30を係合孔40に係止させることでブーツ80を外側継手部材73および中間シャフト79(図12および図13参照)に締め付ける。なお、帯状部材20の第二の工具爪60が設けられた他端22は、第一の工具爪50の爪先端部52aの切り込み開口部に挿入され、その爪先端部52aで押さえ込まれる(図3参照)。
【0033】
この時、第一の工具爪50における爪先端部52aを長手方向に向けて先細り形状としたことにより、第一の工具爪50の爪先端部52aを切り込んだ部分の開口幅を従来の爪先端部152(図18および図19参照)よりも小さくすることができ、その部分の断面積を大きくして剛性を高めることができる。そのため、帯状部材20をリング状に成形して帯状部材20の一端側21と他端側22とを重ね合わせた状態から、第一の工具爪50と第二の工具爪60とを強制的に近接させようとした場合、帯状部材20の他端側22が一端側21の係合爪30を乗り越える時の抵抗が大き過ぎても、第一の工具爪50と第二の工具爪60との間では、第一の工具爪50の近傍での強度を確保できてその部分で座屈が生じることはない。
【0034】
図4に示す実施形態において、爪先端部52aにおける切り込み部分と対応した先細り形状は、帯状部材20の一端側21に向けて幅方向寸法が漸次小さくなる曲線状として、その幅方向両側が凸曲線状をなす場合を例示したが、帯状部材20の一端側21に向けて幅方向寸法が漸次小さくなる他の形状として、図5に示すように幅方向両側が凹曲線状をなす先細り形状の爪先端部52bであってもよい。また、図6に示すように幅方向両側が直線状をなす先細り形状の爪先端部52cや、図7に示すように幅方向両側が階段状をなす先細り形状の爪先端部52dであってよい。このような形状とした場合、第一の工具爪50の爪先端部52a〜52dを切り込んだ部分の開口幅を従来よりも小さくすることが容易となり、その部分の断面積を大きくして剛性を高めることが実現容易となる。
【0035】
なお、爪先端部における切り込み部分と対応した先細り形状は、その長手方向先端が円弧形状の爪先端部52e,52f(図8および図9参照)あるいは直線形状(図4〜図7参照)の爪先端部52a〜52dのいずれであってもよい。図8に示す実施形態の先細り形状は、その幅方向両側が直線状をなし、長手方向先端が複数の円弧R1,R2を組み合わせて形成された爪先端部52eであり、図9に示す実施形態の先細り形状は、その幅方向両側が直線状をなし、長手方向先端が単一の円弧R3で形成された爪先端部52fである。また、図4〜図7に示す実施形態の先細り形状は、その長手方向先端がフラットな直線で形成された爪先端部52a〜52dである。さらに、図10に示す実施形態の先細り形状は、その長手方向先端がフラットな直線とその両側に位置する円弧R4で形成された爪先端部52gである。図11に示す実施形態の先細り形状は、半楕円形で形成された爪先端部52hである。
【0036】
以上の実施形態における第一の工具爪50においては、爪先端部52a〜52hの長手方向寸法Aが幅方向最大寸法Bよりも大きくなるように設定されている(図4〜図11参照)。このブーツバンド10では、帯状部材20をリング状に成形して帯状部材20の一端側21と他端側22とを重ね合わせた状態から、第一の工具爪50と第二の工具爪60とを強制的に近接させることにより係合爪30を係合孔40に係止させ、最終的に帯状部材20の他端側22を第一の工具爪50の爪先端部52a〜52hの切り込み開口部に挿入する。この時、爪先端部52a〜52hの長手方向寸法Aを大きくすれば、その爪先端部52a〜52hで帯状部材20の他端22を確実に押さえ込むことができる。
【0037】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0038】
10 ブーツバンド
20 帯状部材
21 帯状部材の一端側
22 帯状部材の他端側
30 係合爪
40 係合孔
50 第一の工具爪
51 爪本体部
52a〜52h 爪先端部
60 第二の工具爪
80 ブーツ
73 被固定部材(外側継手部材)
79 被固定部材(中間シャフト)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状部材の一端側に係合爪および第一の工具爪を設けると共に他端側に係合孔および第二の工具爪を設け、前記帯状部材をブーツに巻回してリング状に成形して帯状部材の一端側と他端側とを重ね合わせた状態で第一の工具爪と第二の工具爪とを強制的に近接させることにより前記係合爪を係合孔に係止させることで前記ブーツを被固定部材に締め付けるブーツバンドであって、
前記第一の工具爪は、帯状部材の切り込み部分をその厚み方向で隆起させることにより、前記帯状部材の開口部両側を跨ぐように形成された爪本体部と、前記切り込み部分と対応した形状を有し、前記爪本体部から長手方向に一体的に延在する爪先端部とからなり、前記爪先端部を長手方向に向けて先細り形状としたことを特徴とするブーツバンド。
【請求項2】
前記爪先端部の長手方向寸法は、その幅方向最大寸法よりも大きくなるように設定されている請求項1に記載のブーツバンド。
【請求項3】
前記爪先端部における切り込み部分と対応した先細り形状は、その幅方向両側が曲線状をなす請求項1又は2に記載のブーツバンド。
【請求項4】
前記爪先端部における切り込み部分と対応した先細り形状は、その幅方向両側が直線状をなす請求項1又は2に記載のブーツバンド。
【請求項5】
前記爪先端部における切り込み部分と対応した先細り形状は、その幅方向両側が階段状をなす請求項1又は2に記載のブーツバンド。
【請求項6】
前記爪先端部における切り込み部分と対応した先細り形状は、その長手方向先端が円弧形状をなす請求項1〜5のいずれか一項に記載のブーツバンド。
【請求項7】
前記爪先端部における切り込み部分と対応した先細り形状は、その長手方向先端が直線形状をなす請求項1〜5のいずれか一項に記載のブーツバンド。
【請求項8】
前記ブーツは、ゴム製である請求項1〜7のいずれか一項に記載のブーツバンド。
【請求項9】
前記ブーツは、クロロプレンゴムあるいはシリコンゴムのうちから選択される一つである請求項8に記載のブーツバンド。
【請求項10】
前記ブーツは、その表面硬さがHs50〜70である請求項8又は9に記載のブーツバンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−237333(P2012−237333A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105194(P2011−105194)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】