説明

プッシュオンスイッチ

【課題】各種電子機器の入力操作部に使用される長い操作ストロークを有するプッシュオンスイッチに関し、押圧操作時の底付き感がなく、操作者の指の疲れを防止するものを提供することを目的とする。
【解決手段】平板部15Aの中央部に上方突部15Bと下方突部15Cを上下の対向位置に備えた弾性駆動体15において、下方突部15Cに対し上方突部15Bは、上下方向の圧縮で同じ圧縮量とするには下方突部15Cより大きな力が必要で、下方突部15Cの圧縮の限界となる力は、可動接点4が弾性反転する力より大きい力であるように設定し、かつ上方突部15Bは、プッシュオンスイッチに組み込まれた状態におけるフル操作ストローク位置では圧縮の限界とならないように設定した構成のものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の入力操作部に使用される長い操作ストロークを有するプッシュオンスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器の入力操作部には軽快な節度感を有したプッシュオンスイッチが多く用いられているが、特にパソコンの入力装置であるマウス用には、指の疲れを軽減するために軽い操作力と長い操作ストロークを有したものが好まれて使用されている。
【0003】
このような長い操作ストロークを有した従来のプッシュオンスイッチについて、図6〜図9を用いて説明する。
【0004】
図6は従来のプッシュオンスイッチの断面図であり、同図において、1は上方が開口した開口部1Aを有した絶縁樹脂からなる箱形の下ケースで、その開口部1Aの底面中央には中央固定接点2が、またその中央固定接点2を挟む点対称位置の2箇所には外側固定接点3が、それぞれ露出状態にインサート成形されて固定されている。そして、中央固定接点2と外側固定接点3との間は電気的に独立しており、各々上記下ケース1の側壁1Bから外方に導出されている端子2Aと3Aに繋がっている。
【0005】
4は上方に膨らんだ円形ドーム状に形成された弾性金属薄板からなる可動接点で、その外周下端が上記外側固定接点3上に載置され、中央部下面は上記中央固定接点2と間隔をあけて対峙している。
【0006】
そして、5はシリコンゴムなどからなる弾性駆動体で、円形の平板部5Aの中央部に上下方向それぞれに突出した上方突部5Bと下方突部5Cを備え、その下方突部5Cの下端は上記可動接点4のドーム状頂点部の上面に当接して配されている。また、上記平板部5Aの外縁全周には上方に突出した筒状部5Dを有し、その筒状部5Dの下面縁部は、上記下ケース1の側壁1B内面に円周状に設けられた段部1Cに載っている。
【0007】
6は、円柱部6Aの下端部にフランジ部6Bが一体形成された押しボタンであり、その下面中央に設けられた凹部6C内に上記弾性駆動体5の上方突部5Bの上部が挿入されて弾性駆動体5上に載置されて配されている。
【0008】
7は、下方側が大径に形成された段付き中央孔7Aを備えた上ケースで、上記下ケース1の図示しないかしめ用突起が潰しかしめされることにより、上記下ケース1の開口部上面を覆うように取り付けられている。
【0009】
この上ケース7が下ケース1に取り付けられた状態で、弾性駆動体5の筒状部5Dは、載せられた下ケースの段部1Cと上ケース7の平坦な下面外周部とで圧縮されて挟持されている。これにより、下ケース1の開口部1A内は密閉され、そこに配された中央固定接点2、外側固定接点3および可動接点4によりスイッチが構成されている。
【0010】
そして、上記押しボタン6は、上記上ケース7の段付き中央孔7Aの段部にフランジ部6B上面が当接係止され、円柱部6Aの上部が中央孔7Aの上方に突出するように挿通されて上下動可能に支持されている。
【0011】
ここで、当該構成のものは、図6に示した操作されていない通常状態で、押しボタン6の凹部6C天面が上記弾性駆動体5の上方突部5Bを僅かに押圧する寸法関係のものに構成されており、弾性駆動体5からの弾力を受けて押しボタン6が上方に付勢されることによって、上記通常状態での押しボタン6のぐらつきやがたつき等が生じないものとなっている。
【0012】
なお、押しボタン6のフランジ部6Bは、平行に対向する2つの面で切断された形状、つまり上面視で円形の両側が平行に切り取られて平行面を有した小判形状に形成されており、上ケース7の段付き中央孔7Aの段部下方の孔形状もフランジ部6Bの形状に応じた小判形状に構成されている。これにより、押圧操作時などにおける押しボタン6の回転規制が上記の平面どうしでなされている。
【0013】
従来のプッシュオンスイッチは以上のように構成され、続いて図を用いてその動作について説明する。
【0014】
図7〜図8は従来のプッシュオンスイッチの動作を説明する図、図9は同操作ストロークと操作力の関係を示す図である。
【0015】
まず、押しボタン6の円柱部6A上面に押圧力(操作力)を加えると、押しボタン6は上ケース7の段付き中央孔7Aで案内されながら下方に移動し、弾性駆動体5の上方突部5B上面を押圧する。これにより上方突部5Bおよび下方突部5Cが圧縮されながら平板部5Aが伸びつつその中央が下方に下がっていくと共に、下方突部5Cにより可動接点4のドーム状頂点部に押圧力が加わる。
【0016】
そして、上記押しボタン6への押圧力が増していき、所定の力を超えると、図7に示すように、可動接点4が節度感を伴って弾性反転し、ドーム状頂点部の下面が下方に対峙した中央固定接点2に接触する。これにより、可動接点4を介して外側固定接点3と中央固定接点2とが電気的に接続状態となり、端子2A,3A間が導通したスイッチオン状態となる。この状態は図9内のB点である。
【0017】
そして、このスイッチオン状態からさらに押しボタン6の円柱部6Aを下方へ押し込むと、図8に示すように、上記スイッチオン状態が維持されつつ、弾性駆動体5の上方突部5Bおよび下方突部5Cがさらに圧縮されていき、押しボタン6の円柱部6A上面が上ケース7の上面と同じ位置(フル操作ストローク位置)になったところで停止する。この状態は図9内のC点である。
【0018】
次に、上記押圧力を解除すると、上述の動作の逆順に、弾性駆動体5の上方突部5Bおよび下方突部5Cが圧縮状態から元の状態に戻りながら、その途中で、可動接点4は節度感を伴って元の上方凸形のドーム状に自己復帰してドーム状頂点部の下面が中央固定接点2から離れたスイッチオフ状態となり、可動接点4の自己復帰後も、弾性駆動体5の上方突部5Bおよび下方突部5Cの圧縮状態が元に戻りながら押しボタン6を上方に押し戻して、図6の通常状態(図9内のA点)に戻る。
【0019】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2007−280742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら上記従来のプッシュオンスイッチにおいては、通常状態から押圧操作されて可動接点4が弾性反転した後の動作で、弾性駆動体5の下方突部5Cがまだ圧縮される余裕があり、さらに押圧力(操作力)が加えられて下方突部5Cの圧縮が進んでいる途中に、押しボタン6の上面が上ケース7の上面と同じ位置(フル操作ストローク位置)となって、図9内のC点で示すように、押圧操作が急にできなくなるため、底に突き当たったような操作感触の底付き感が生じ、これにより指の操作疲れが生じやすいという課題があった。
【0021】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、押圧操作時の底付き感がなく、操作者の指の操作疲れを防止する長い操作ストロークを有したプッシュオンスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0023】
本発明の請求項1に記載の発明は、上方が開口した開口部内に一対の固定接点を備えた下ケースと、上記開口部内に収容され、上記一対の固定接点間を接離する可動接点と、この可動接点の上方に配され、平板部の上下面中央に上方突部および下方突部を有した弾性部材からなる弾性駆動体と、上記上方突部の上面を押圧する押しボタンと、上記弾性駆動体の平板部の外縁部を上記下ケースとの間で挟持し、上記押しボタンを上下移動可能に支持する上ケースとを備え、上記弾性駆動体は、上記下方突部または上記上方突部の一方が他方より強い弾力を備えているように構成され、上記押しボタンに押圧力を加えていくと、上記弾性駆動体の上記上方突部と上記下方突部が圧縮されつつ上記押しボタンが下方に移動し、所定の押圧力になると上記可動接点が弾性反転して上記一対の固定接点間が導通し、その導通した以降に上記下方突部または上記上方突部の一方の圧縮が限界となって、他方の突部の圧縮がさらに進む途中でフル操作ストローク位置に至るように構成されていることを特徴とするプッシュオンスイッチとしたものである。
【0024】
この構成であれば、押圧操作されて可動接点が弾性反転してからフル操作ストローク位置に至るまでの間で、下方突部または上方突部の一方の突部の圧縮が限界となり、次に強い弾力を備えた他方の突部の圧縮が進んでいきその折に強い操作力が必要になるため、フル操作ストロークに至った際の操作力の急激な変化がやわらげられて、底付き感がなく、指の疲れを防止する長い操作ストロークを有したプッシュオンスイッチを提供することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、フル操作ストロークに至るより前に、弾性駆動体に設けた下方突部または上方突部の一方の圧縮が限界となり、次に大きな操作力が必要な他方の突部が圧縮されるように構成したので、指に受ける操作力の急激な変化がやわらげられて、底付き感が生じることを防止でき、操作時の指の疲れが少ない長い操作ストロークを有するプッシュオンスイッチを提供することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を用いて説明する。なお、従来の技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0027】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるプッシュオンスイッチの断面図である。
【0028】
同図において、1は上方開口で、内周壁中間に段部1Cが円周状に形成された円形の開口部1Aを有し、その開口部1Aの底面中央に中央固定接点2を備え、またその中央固定接点2から等距離の対称位置の2ヶ所に外側固定接点3を備えた絶縁樹脂からなる箱形の下ケースで、上記中央固定接点2および外側固定接点3にそれぞれ繋がる端子2Aおよび3Aは、上記下ケース1の側壁1Bから外方に各々導出されている。
【0029】
そして、4は上記外側固定接点3上に外周下端が載置され、上方に膨らんだ円形ドーム状に形成された弾性金属薄板からなる可動接点で、上記開口部1A内に収容されて、中央部下面は上記中央固定接点2と間隔をあけて対峙している。
【0030】
この可動接点4は、ドーム状の中央部に所定の押圧力が加わると節度感を伴って中央部が弾性反転し、その押圧力より小さい力になると自己復帰力により節度感を伴って元の上方に膨らんだドーム状に弾性復帰するものである。
【0031】
15は、薄肉で円形の平板部15Aの中央部に上向きに突出した円柱形の上方突部15Bと下方に向けて細くなるような略円錐形に突出した下方突部15Cを上下の対向位置に備えると共に、平板部15Aの外縁全周から上方に突出した筒状部15Dを有したシリコンゴムなどの弾性部材からなる弾性駆動体である。そして、この弾性駆動体15は、上記下方突部15Cの下端を上記可動接点4のドーム状頂点部の上面に当接させて配置され、上記筒状部15Dの下面縁部は上記下ケース1の開口部1A内周壁の段部1Cに載置されている。
【0032】
ここで、下方突部15Cに対して円柱形の上方突部15Bは、その径が大きくまた突出寸法も大きく形成されており、上下方向の圧縮で同じ圧縮量とするには下方突部15Cより大きい圧縮力が必要であるように強い弾力を備えるようにして構成されている。
【0033】
また、下方突部15Cの上下方向に圧縮されて圧縮の限界となる力は、上記可動接点4が弾性反転する力より大きい力であるように設定されており、かつ上方突部15Bは、後述する当該プッシュオンスイッチに組み込まれた状態におけるフル操作ストローク位置では圧縮の限界とならないように設定されている。
【0034】
6は、円柱部6Aの下端部にフランジ部6Bを備えた絶縁樹脂からなる押しボタンで、その下面中央に設けられた凹部6C内に上記弾性駆動体15の上方突部15Bの上部が挿入されて弾性駆動体15上に載置されて配されている。
【0035】
7は、下方側が大径に形成された段付き中央孔7Aを備えた上ケースで、上記開口部1A上面を覆うように上記下ケース1に取り付けられており、弾性駆動体15の筒状部15Dは下ケース1の段部1Bと上ケース7の下面外周部とで圧縮されて挟持されている。
【0036】
そして、上記押しボタン6のフランジ部6B上面は上記上ケース7の段付き中央孔7Aの段部に当接係止され、円柱部6Aの上部は上ケース7の上方に突出されて上下動可能に支持されている。
【0037】
また、上ケース7が下ケース1に取り付けられた図1に示す状態で、押しボタン6の凹部6C天面が上記弾性駆動体15の上方突部15Bを僅かに押圧する寸法関係に構成しており、弾性駆動体15からの弾力を受けて押しボタン6が上方に付勢されて、押圧していない通常状態で押しボタン6のぐらつきやがたつき等が生じないようにしている。
【0038】
なお、従来のものと同様に、押しボタン6のフランジ部6Bは、上面視で円形の両側が平行に切り取られて平行線を有した小判形状に形成されており、上ケース7の段付き中央孔7Aの段部下方の孔形状も小判形状に構成されている。
【0039】
当該実施の形態によるプッシュオンスイッチは以上のように構成され、続いてその動作について図を用いて説明する。
【0040】
図2〜図4は本実施の形態のプッシュオンスイッチの動作を説明する断面図、図5は操作ストロークと操作力の関係を示す図である。
【0041】
まず、図1に示す状態(図5内のD点)において、上ケース7の段付き中央孔7Aから上方に突出した押しボタン6の円柱部6A上面に押圧力を加えると、押しボタン6下面の凹部6C天面が弾性駆動体15の上方突部15Bを押圧し、これにより弾性駆動体15の上方突部15Bおよび下方突部15Cが圧縮されていく。
【0042】
この圧縮されていく状態で、上方突部15Bは上下方向に圧縮された際に下方突部15Cに比べて大きい圧縮力が必要であるように強い弾力を備えているため、下方突部15C側が上方突部15B側より多く圧縮されていく。
【0043】
この上方突部15Bおよび下方突部15Cが圧縮されていくことにより、この両方の突部15B,15Cに挟まれた平板部15Aの中央は下方に移動し、全体として平板部15Aが略ラッパ形状に伸び、下方突部15C下面が当接した可動接点4のドーム状頂点部上面に押圧力が加わっていく。
【0044】
そして、上記押しボタン6への押圧力を増していき、所定の押圧力に達すると、図2に示すように、可動接点4の中央部が節度感を伴って弾性反転し、ドーム状頂点部の下面が下方に対峙した中央固定接点2に接触する。これにより、可動接点4を介して外側固定接点3と中央固定接点2とが電気的に接続し、端子2A,3A間が導通したスイッチオン状態となる。このスイッチオンした時の状態は図5内のE点である。
【0045】
さらに、上記押しボタン6への押圧力を増していくと、図3に示すように、上記スイッチオン状態が維持されつつ、弾性駆動体15の上方突部15Bの圧縮は少し進み、下方突部15Cの圧縮がほぼ限界となる。この位置は図5内のF点である。
【0046】
この図5内のF点までは、弾性駆動体15の上方突部15Bと下方突部15Cの両方が圧縮されて生じた操作ストロークと操作力の関係となるが、F点からは、殆ど上方突部15Bのみが圧縮されていくために、圧縮量(操作ストローク)に対する押圧力(操作力)がそれまでより大きくなる。つまり、図5内のF点からは、操作ストロークの増加に対して操作力の増加が大きい関係、すなわち傾斜角度が大きい状態に変化する。なお、図3にも示したように、当該実施の形態によるものでは、図5内のF点以降で上述状態となるように、下方突部15Cの周囲下面の肩部分も可動接点4に当接して、上方突部15Bの径に応じた広い径で力を受けて上方突部15Bの圧縮がなされていくように、下方突部15Cの高さや大きさなどの寸法設定をしたものとしている。
【0047】
さらに、上記押しボタン6への押圧力を増していくと、上記スイッチオン状態が維持されつつ、弾性駆動体15の上方突部15Bがさらに圧縮されると共に、図4に示すように、押しボタン6の円柱部6A上面が上ケース7の上面と同一面の位置となるフル操作ストローク位置となる。この位置は図5内のG点である。
【0048】
このように、図5内のF点からこのフル操作ストローク位置のG点になるまでは、弾性駆動体15の殆ど上方突部15Bのみの圧縮となって動作しているため、操作ストロークに対する操作力の増加量が大きくなっており、フル操作ストローク位置で押しボタン6が押し込めない底付き状態になっても、操作力の急激な変化として感じなくなり、底付き感が防止できる。
【0049】
そして、上記押しボタン6に加えていた押圧力を解除する時の動作は、上述の逆順に動作する。
【0050】
つまり、簡単に説明すると、弾性駆動体15の上方突部15Bの圧縮状態が緩和され、次に下方突部15Cの圧縮状態が緩和され、その圧縮緩和により弾性反転していた可動接点4が自己復帰力によって節度感を伴って弾性復帰することで、ドーム状頂点部の下面が中央固定接点2から離れて、中央固定接点2と外側固定接点3との間が電気的に絶縁状態となり、それぞれに繋がった端子2Aと3Aとの間が絶縁状態のスイッチオフ状態となる。そして、その後も下方突部15Cおよび上方突部15Bの圧縮状態が次第に緩和されていき、元の図1に示した通常状態に戻る。
【0051】
このように本実施の形態によれば、弾性駆動体15の上方突部15Bを圧縮させるには下方突部15Cより大きな力が必要であるように構成すると共に、下方突部15Cの圧縮の限界を可動接点4の弾性反転する力より大きくし、押しボタン6のフル操作ストローク位置では上方突部15Bが圧縮の限界とならないように設定したので、押しボタン6が押圧操作されて可動接点4が弾性反転してから押しボタン6がフル操作ストローク位置に至るまでの間で、先に下方突部15Cの圧縮が限界となり、次に、圧縮させるのに大きい力が必要な上方突部15Bの圧縮が進む途中で押しボタン6がフル操作ストローク位置に至るため、操作力の急激な変化がやわらげられて、底付き感をなくして指の疲れを防止する長い操作ストロークを有したプッシュオンスイッチを提供することができる。
【0052】
なお、以上の本実施の形態によるものでは、下方突部15Cに対して上方突部15Bが、上下方向で同じ圧縮量とするために下方突部15Cより大きな圧縮力が必要であるように強い弾力を備えた構成のものを説明したが、弾性駆動体15の下方突部15Cを圧縮させるために上方突部15Bより大きな力が必要であるように構成すると共に、上方突部15Bの圧縮の限界を可動接点4の弾性反転する力より大きくし、押しボタン6のフル操作ストローク位置では下方突部15Cが圧縮の限界とならないように設定した構成としても良く、同様の作用効果が得られるものに実現できる。
【0053】
なお、スイッチ接点部分の構成や、弾性駆動体15の保持方式などは、上述説明した構成のみに限定されることはない。また、弾性駆動体15は、上方突部15Bと下方突部15Cとの材質を異ならせて上記動作に応じるように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によるプッシュオンスイッチは、指に受ける操作力の急激な変化を軽減して、底付き感が生じることを防止でき、操作時の指の疲れが少ない長い操作ストロークを有するプッシュオンスイッチを提供することができるという特徴を有し、各種電子機器の入力操作部等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態によるプッシュオンスイッチの断面図
【図2】同動作を説明する断面図
【図3】同動作を説明する断面図
【図4】同動作を説明する断面図
【図5】同操作ストロークと操作力の関係を示す図
【図6】従来のプッシュオンスイッチの断面図
【図7】同動作を説明する断面図
【図8】同動作を説明する断面図
【図9】同操作ストロークと操作力の関係を示す図
【符号の説明】
【0056】
1 下ケース
1A 開口部
1B 側壁
1C 段部
2 中央固定接点
2A,3A 端子
3 外側固定接点
4 可動接点
6 押しボタン
6A 円柱部
6B フランジ部
6C 凹部
7 上ケース
7A 段付き中央孔
15 弾性駆動体
15A 平板部
15B 上方突部
15C 下方突部
15D 筒状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口した開口部内に一対の固定接点を備えた下ケースと、上記開口部内に収容され、上記一対の固定接点間を接離する可動接点と、この可動接点の上方に配され、平板部の上下面中央に上方突部および下方突部を有した弾性部材からなる弾性駆動体と、上記上方突部の上面を押圧する押しボタンと、上記弾性駆動体の平板部の外縁部を上記下ケースとの間で挟持し、上記押しボタンを上下移動可能に支持する上ケースとを備え、上記弾性駆動体は、上記下方突部または上記上方突部の一方が他方より強い弾力を備えているように構成され、上記押しボタンに押圧力を加えていくと、上記弾性駆動体の上記上方突部と上記下方突部が圧縮されつつ上記押しボタンが下方に移動し、所定の押圧力になると上記可動接点が弾性反転して上記一対の固定接点間が導通し、その導通した以降に上記下方突部または上記上方突部の一方の圧縮が限界となって、他方の突部の圧縮がさらに進む途中でフル操作ストローク位置に至るように構成されていることを特徴とするプッシュオンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−205691(P2010−205691A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52840(P2009−52840)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】