説明

プッシュロックスイッチ

【課題】スライド移動方向に向かう長さ寸法を短くできて小型化が図れるプッシュロックスイッチを提供する。
【解決手段】第1,第2スイッチケース10,210と、第1,第2スイッチケース10,210内にスライド移動自在に収納される操作体110と、操作体110をスライド移動方向Aに弾発する弾発バネ190と、操作体110のスライド移動によって接点が開閉されるスイッチ機構50と、操作体110を弾発バネ190の弾発力に抗して押圧移動したロック位置にてロック保持するとともに再度の押圧によって非ロック位置に自動復帰させるロック機構150とを具備する。弾発バネ190を設置する領域S3及びロック機構150を設置する領域S2をスライド移動方向Aに向けて併設するとともに、これら領域S3及び領域S2とスイッチ機構50を設置する領域S1とをスライド移動方向Aに対して交叉する対向位置に並列に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源スイッチ等として用いて好適なプッシュロックスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のプッシュロックスイッチは、例えば特許文献1の図1に示すように、スイッチケース(A)内にスライド移動自在に操作体(C)を収納し、圧縮スプリング(10)によって操作体(C)を一方向dに弾発し、圧縮スプリング(10)の弾発力に抗して操作体(C)をスライド移動することでスイッチケース(A)内に設置している接触機構(B)を駆動してスイッチのオンオフを行い、また操作体(C)とスイッチケース(A)の間に操作体(C)をスライド移動した際にその移動位置で一旦停止させるオルタネイト機構(D)を設置して構成されていた。
【0003】
しかしながら上記従来のプッシュロックスイッチにおいては、接触機構(B)とオルタネイト機構(D)と圧縮スプリング(10)とをほぼ直線状に1列に配置していたので、スライド移動方向に向かう長さ寸法が長く、その小型化の要望に答えられなかった。
【特許文献1】特開平7−21876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、スライド移動方向に向かう長さ寸法を短くできてその小型化を図ることができるプッシュロックスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に記載の発明は、スイッチケースと、スイッチケース内にスライド移動自在に収納される操作体と、操作体をスイッチケース内においてスライド移動方向に弾発する弾発機構と、スイッチケース内に設置され、前記操作体のスライド移動によって接点が開閉制御されるスイッチ機構と、スイッチケース内に設置され、前記操作体を前記弾発機構の弾発力に抗して押圧移動したロック位置にてロック保持するとともに再度の押圧によって非ロック位置に自動復帰させるロック機構と、を具備し、前記弾発機構及びロック機構をスライド移動方向に向けて併設するとともに、これら弾発機構及びロック機構と前記スイッチ機構とを、操作体のスライド移動方向に対して交叉する対向位置に並列に配置したことを特徴とするプッシュロックスイッチにある。
【0006】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプッシュロックスイッチにおいて、前記弾発機構は、円筒形状に巻き回されたコイルバネであることを特徴とするプッシュロックスイッチにある。
【0007】
本願請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のプッシュロックスイッチにおいて、前記スイッチ機構は、スイッチケースに固定される共通固定端子片と、スイッチケースに固定され固定接点を有する固定端子片と、共通固定端子片に対して回動自在に係合され且つ前記操作体の移動によって回転駆動される回転子と、回転子に対して回動自在に係合され且つ可動接点を有する可動接触片と、可動接触片と共通固定端子片間を弾発することで前記共通固定端子片と回転子と可動接触片間の係合状態を維持すると同時に回転子の回転位置に応じて可動接触片の可動接点と固定端子片の固定接点間をオン又はオフさせる圧縮バネとを具備して構成され、前記可動接触片は、その長手方向が前記操作体のスライド移動方向とほぼ平行になるように配置されていることを特徴とするプッシュロックスイッチにある。
【0008】
本願請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内の何れかに記載のプッシュロックスイッチにおいて、前記ロック機構は、両端部分を略直角に屈曲してなる棒状の連結ピンの一端を回動自在にスイッチケースに軸支するとともに、連結ピンの他端を操作体に設けたカム溝機構内に挿入係合して前記操作体のスライド移動位置に応じてカム溝機構内での係合位置を変更することで操作体をそのロック位置と非ロック位置とに移動させる構造であり、前記連結ピンは、その長手方向が前記操作体のスライド移動方向とほぼ平行になるように配置されていることを特徴とするプッシュロックスイッチにある。
【0009】
本願請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内の何れかに記載のプッシュロックスイッチにおいて、前記スイッチケース内に前記スライド移動方向に向かう分離壁を設け、分離壁で分離された一方の室にスイッチ機構を収納し、他方の室にロック機構と弾発機構を収納したことを特徴とするプッシュロックスイッチにある。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、弾発機構及びロック機構とスイッチ機構とを操作体のスライド移動方向に対して交叉する対向位置に並列に配置したので、プッシュロックスイッチのスライド移動方向に向かう長さ寸法を短くできてその小型化を図ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、弾発機構としてコイルバネを用い、そのコイルバネの圧縮方向の長さ寸法を長くして良好な押圧感触や、十分な押圧ストロークを得るようにしても、上記請求項1において弾発機構をスイッチ機構に併設させることによってプッシュロックスイッチを十分小型化させることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、スイッチ機構を構成する可動接触片の長手方向の向きを操作体のスライド移動方向と略一致させたので、スイッチ機構全体の長手方向の向きも操作体のスライド移動方向と略一致でき、このためプッシュロックスイッチのスライド移動方向に直交する方向の外形寸法(幅寸法)を小さくすることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、ロック機構を構成する連結ピンの長手方向の向きを操作体のスライド移動方向と略一致させたので、ロック機構全体の長手方向の向きも操作体のスライド移動方向と略一致でき、このためプッシュロックスイッチのスライド移動方向に直交する方向の外形寸法(幅寸法)を小さくすることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、スイッチケース内にスイッチ機構とロック機構及び弾発機構とを仕切る分離壁を設けたので、スイッチ機構のスイッチのオンオフ時に発生するアークに伴って生じる接点からの金属微粒子がロック機構及び弾発機構側に移動して付着してその動作に支障をきたすことを確実に防止できる。同時に分離壁は操作体のスライド移動をガイドするレールとして用いることができる。レールとして用いた場合は操作体に設けたレール係合部をこのレールに係合させることになるので、ロック機構及び弾発機構を収納する室とスイッチ機構を収納する室とをより確実に分離させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態にかかるプッシュロックスイッチ1−1の斜視図、図2はプッシュロックスイッチ1−1の分解斜視図(その上側の部品)、図3はプッシュロックスイッチ1−1の分解斜視図(その下側の部品)である。これらの図に示すようにプッシュロックスイッチ1−1は、第1スイッチケース10内に、スイッチ機構50と、操作体110と、ロック機構150と、弾発機構(以下「弾発バネ」という)190とを収納し、その上に第2スイッチケース210と取付板230とを取り付けて構成されている。以下各構成部品について説明する。なお以下の説明において、「上」とは第1スイッチケース10から操作体110側を向く方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。また図2に示す矢印A方向、即ち第1スイッチケース10内に収納した操作体110の移動方向をスライド移動方向Aというものとする。
【0016】
図4は第1スイッチケース10を下面側から見た斜視図である。図3及び図4に示すように第1スイッチケース10は合成樹脂の一体成形品であり、上面が開放された略矩形状の箱型に形成され、上面側の凹部が収納部11になっている。収納部11は中央に設けたスライド移動方向Aに向かう分離壁13によって2つの室15,17に分離されており、一方の室15をスイッチ機構設置室15、他方の室17をロック及び弾発機構収納室17としている。分離壁13は略平板状で、収納部11の底面から立設しており、そのスライド移動方向Aの両端は対向する両内側壁に接続されている。
【0017】
第1スイッチケース10の底面のスイッチ機構設置室15の下面側には、図4に示すように一対のスリット状の端子挿通孔19,21が設けられている。スリットの向きはスライド移動方向Aである。両端子挿通孔19,21はスライド移動方向Aに所定距離離れ、且つスライド移動方向Aに直交する方向に少しずれた位置に設けられている。
【0018】
一方ロック及び弾発機構収納室17内には、図3に示すように、その底面の略中央から上方向に向かって柱状のピン取付支持部23が立設されており、その上面には小孔からなるピン取付部25が設けられている。ピン取付支持部23の外周側壁の1側面からはピン取付支持部23の高さより低くてスライド移動方向A(下記する操作体110のカム溝機構125の下部の位置)に向かって延びるカム機構支持部26が設けられている。カム機構支持部26はロック及び弾発機構収納室17の底面から壁状に立設している。
【0019】
第1スイッチケース10のスライド移動方向Aに平行な外周側壁10a,10cの上辺の両端近傍の内側位置(4ヶ所)には、スライド移動方向Aに向かって延びる切り欠きからなるガイド溝27が設けられている。また一対の外周側壁10a,10cの外面の所定位置にはそれぞれ2つの突部29,31を設けることでその間に係止溝33を設けている(図3において奥側の突部29及び係止溝33は記載されていない)。またもう1つの外周側壁10bにも2つの突部35,37を設けることでその間に係止溝39を設けている。
【0020】
スイッチ機構50は図3に示すように、何れも金属板からなる、共通固定端子片60と固定端子片70と回転子80と可動接触片90と圧縮バネ100とを具備して構成されている。共通固定端子片60は略矩形状の端子部61の上に他部品係止部63を設けて形成されている。他部品係止部63は端子部61の上辺の一端近傍から帯状に上方向に突出した後に略直角に固定端子片70から離れる方向に屈曲し、さらに上方向に屈曲して延びる形状に形成されており、これらの屈曲によって形成される2つの凹状の角部にそれぞれ係止溝65,67を設けている。
【0021】
固定端子片70は略矩形状の端子部71の上に連結部75を介して固定接点設置部73を接続して形成されている。固定接点設置部73は略矩形平板状であり、連結部75の部分を略直角に折り曲げることで、端子部71の面に対して略直交するように配置され、その上面中央には固定接点77が取り付けられている。
【0022】
回転子80は中央に開口81が設けられた基部83と、基部83の一端部両側辺からそれぞれ突出して上方向に屈曲することで対向させてなる一対のアーム形状の回動操作片85と、基部83の他端部両側辺からそれぞれ突出して上方向に屈曲することで対向させてなる一対の略L字形状の係止部87と、両回動操作片85の間の辺の中央部分を上方向に切り起こしてなる舌片状の係止突片89とを具備して構成されている。回動操作片85の先端部部分は押圧部85a、係止部87の略直角の凹部の部分は係合部87aとなっている。
【0023】
可動接触片90は略長方形状であって中央に開口91が形成された基部93と、基部93の一端部に形成された略矩形状の可動接点取付部95と、可動接点取付部95の下面中央に取り付けられる可動接点97(図6参照)と、可動接点取付部95を設けた側の開口91の内周辺によって形成されるバネ係止部98と、可動接点取付部95を設けた反対側の開口91の内周辺によって形成される回転子係止部99と、を具備して構成されている。
【0024】
圧縮バネ100は、矩形状の板バネを逆U字状に屈曲させて構成されており、その両端部にそれぞれ係止部101,103を設けている。
【0025】
操作体110は合成樹脂を一体成形することによって略矩形状に形成されており、その外形寸法は、前記第1スイッチケース10の収納部11内にすっぽり収納されてスライド移動方向Aにスライド移動できる外形寸法に形成されている。操作体110の上面中央には上方向に突出する柱状の操作レバー111が設けられ、また上面4隅の外周部分には左右に張り出す小突起状のガイド突起113が突設され、また上面4隅の上面には上方向に突出する小突起からなる当接部115が設けられている。ガイド突起113は前記第1スイッチケース10のガイド溝27に挿入される寸法に形成されている。操作体110の下面中央にはスライド移動方向Aに向かって直線状に延びる凹状のレール係合部117が設けられている。レール係合部117は前記第1スイッチケース10の分離壁13にぴったり係合して分離壁13をレールとして操作体110をスライド移動方向Aに向けてスライド移動自在に支持するものである。またレール係合部117の一方の側(前記第1スイッチケース10のスイッチ機構設置室15に対向する側)の下面にはスライド移動方向に向かって延びる凹状のスイッチ機構収納部119が設けられ、レール係合部117の他方の側(前記第1スイッチケース10のロック及び弾発機構収納室17に対向する側)にはスライド移動方向に向かって延びる貫通孔からなるロック及び弾発機構収納部121と、ロック及び弾発機構収納部121の一端部に位置するカム機構形成部123とが設けられている。ロック及び弾発機構収納部121は第1スイッチケース10のピン取付支持部23を挿通する寸法に形成されている。カム機構形成部123は略矩形状の平板であってその上面には所定形状のカム溝機構125が設けられ、またカム機構形成部123の裏面にはスライド移動方向Aに延びる直線状の凹部127が設けられている。
【0026】
カム溝機構125は下記する連結ピン151と共にロック機構150を構成する部分である。このカム溝機構125は従来公知の各種プッシュロック用のカム溝機構(代表的にはハート型カム溝機構)であり、その内部に形成されるカム溝(環状溝)126内を下記する連結ピン151のカム係合部153が定められた1方向にループ状に移動していくものである。即ち、カム係合部153はロック解除時は非ロック位置a1に位置し、カム係合部153に対して操作体110がスライド移動方向A(図2の左方向)に移動した際は一旦位置a2に移動し、その後前記移動を解除することでロック位置a3にロックされる。再び操作体110を前記スライド移動方向A(図2の左方向)に移動するとカム係合部153は位置a4に移動し、前記移動を解除すると元の非ロック位置a1に戻る。
【0027】
スイッチ機構収納部119内の対向する左右両側面には、薄板状に突出する一対ずつの押圧突部129,131が設けられ、両押圧突部129,131の間の隙間を上記回転子80の押圧部85aを挿入する押圧部挿入部133としている。また押圧突部129の最も下方向に張り出している部分は可動接触片当接部135となっている。
【0028】
連結ピン151は金属棒の両端を同一方向に略直角に折り曲げ、その一端をカム係合部153、他端を軸支部155としている。
【0029】
弾発バネ190はこの実施形態では円筒形状のコイルバネ(圧縮コイルバネ)によって構成されている。
【0030】
第2スイッチケース210は合成樹脂を略矩形の平板状に成形して構成されており、その外形寸法形状は前記第1スイッチケース10の外形寸法形状と略同一に形成されている。第2スイッチケース210の略中央には前記操作体110の操作レバー111をスライド移動自在に貫通するレバー挿通部211が設けられ、また前記第1スイッチケース10の係止溝39に対向する一側辺には下方向に向かって屈曲する略T字状の係止片213が設けられ、また第2スイッチケース210の上面の係止片213を設けた反対側近傍部分には一対の小突起状の係合部215が設けられている。ここで図5は第2スイッチケース210を下面側から見た斜視図である。同図に示すように第2スイッチケース210の下面のレバー挿通部211に隣接する位置には、円形に突出する連結ピン押え部217と、連結ピン押え部217内にその一部が侵入し連結ピン押え部217よりも高い高さで直線状に突出するバネ押え部219とが設けられている。
【0031】
取付板230は平板状の金属板を略コ字状に屈曲し、屈曲によって下方向に向かう部分の先端を2つに分離して一対ずつの係止部231を設けて構成されている。取付板230には前記第2スイッチケース210の一対の係合部215をそれぞれ係合する小孔からなるケース係合部233を設けている。
【0032】
次にプッシュロックスイッチ1−1の組立方法を説明する。まず第1スイッチケース10のスイッチ機構設置室15内に共通固定端子片60と固定端子片70を収納し、それぞれの端子部61,71を第1スイッチケース10の端子挿通孔19,21に挿入し、これら共通固定端子片60と固定端子片70とを第1スイッチケース10の底面に固定する。次に共通固定端子片60の端子部61の上に回転子80を配置してその際図6に示すように回転子80の係止突片89を共通固定端子片60の係止溝65に係合し、次に回転子80の両回動操作片85の間に可動接触片90を配置してその際図6に示すように可動接触片90の回転子係止部99を回転子80の係合部87aに係合し、次に可動接触片90の上に圧縮バネ100を配置してその際図6に示すように圧縮バネ100の一方の係止部101を可動接触片90のバネ係止部98に係止すると共に他方の係止部103を可動接触片90の開口91を通してその下側に位置する共通固定端子片60の係止溝67に係止する。
【0033】
これによってスイッチ機構50は図6に示すように、第1スイッチケース10に固定される共通固定端子片60と、第1スイッチケース10に固定され固定接点77を有する固定端子片70と、共通固定端子片60に対して回動自在に係合される回転子80と、回転子80に対して回動自在に係合され且つ可動接点97を有する可動接触片90と、可動接触片90と共通固定端子片60間を弾発することで共通固定端子片60と回転子80と可動接触片90間の係合状態を維持する圧縮バネ100とを具備する構造に構成されている。なおこのとき図6に示すように固定接点77と可動接点97とは所定距離離間して位置している。またこのとき可動接触片90はその長手方向がスライド移動方向Aとほぼ平行になるように配置されている。
【0034】
次に図2に示す操作体110を図3に示す第1スイッチケース10の収納部11内に収納する。そのとき操作体110のレール係合部117に第1スイッチケース10の分離壁13を挿入することで操作体110をスライド自在に支持する。このとき同時に各ガイド突起113が各ガイド溝27に係合され、またピン取付支持部23がロック及び弾発機構収納部121内に挿入され、また凹部127内にカム機構支持部26が挿入される。さらにこのとき図6に示すようにスイッチ機構50を構成する回転子80の一対の押圧部85aはそれぞれ操作体110の一対の押圧部挿入部133内に挿入されており、また操作体110の一対の可動接触片押圧部135は可動接触片90の可動接点取付部95の左右両端近傍の上面に当接して可動接点取付部95がこの位置よりも上方向に移動しないようにしている。
【0035】
次に操作体110のロック及び弾発機構収納部121内に露出しているピン取付支持部23上端のピン取付部25に連結ピン151の軸支部155を挿入し、同時に連結ピン151のカム係合部153を操作体110のカム溝126内に係合する。次に弾発バネ190を操作体110のロック及び弾発機構収納部121内に所定寸法圧縮しながら挿入する。このとき弾発バネ190は図8に示すように第1スイッチケース10のピン取付支持部23の側面と操作体110のロック及び弾発機構収納部121内周面間を弾発するので、操作体110には常にこれを図8に示す右方向に移動させようとする弾発力が印加される。
【0036】
次に第1スイッチケース10上を覆うように第2スイッチケース210を被せ、そのとき第2スイッチケース210のレバー挿通部211に操作レバー111を挿通し、同時に係止片213を係止溝39に係止する。そして第2スイッチケース210の上に取付板230を載置して第2スイッチケース210の各係合部215を取付板230の各ケース係合部233に挿入・係合する。このとき取付板230の一対ずつの係止部231を第1スイッチケース10の係止溝33に挿入し、各係止部231の先端を突部29,31の下面側に折り曲げれば、図1に示すプッシュロックスイッチ1−1が完成する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0037】
次にプッシュロックスイッチ1−1の動作を説明する。図6〜図8はプッシュロックスイッチ1−1の動作説明図であり、図6は非ロック時のスイッチ機構50部分の概略構成図、図7はロック時のスイッチ機構50部分の概略構成図、図8はロック時のロック機構150と弾発バネ190の部分の概略構成図である。
【0038】
まず非ロック時は図6に示すように、圧縮バネ100の弾発力によって可動接触片90は可動接点97方向(前方)に向けて押し出すように弾発され、回転子80は図6に示す右方向に回転してその押圧部85aが操作体110の押圧部挿入部133の押圧突部129側の側面に当接する。このとき可動接触片90の回転子係止部99は上昇位置にあり、また可動接点取付部95の上面は操作体110の可動接触片当接部135に当接し、可動接点97は固定接点77から離れており、両端子部61,71間はオフになっている。つまりこのとき回転子80は係止突片89を中心に右回転方向に付勢され、可動接触片90は回転子係止部99を中心に左回転方向に付勢されている。またこのとき連結ピン151のカム係合部153は図2に示す非ロック位置a1(図2参照)に位置している。
【0039】
次に操作レバー111を図6に示す左方向(矢印A1方向)に移動していくと、前記押圧部85aが押圧突部129側の側面に押圧されて回転子80は圧縮バネ100の弾発力に抗して係止突片89を中心に左回りに回転してゆき、これによって前記可動接触片90の回転子係止部99の位置が下降し、所定の位置以下に下降すると、可動接触片90には前記圧縮バネ100による付勢力の方向が回転子係止部99を中心に左回転方向から右回転方向に変換され、これによって可動接触片90は右回転して可動接触片当接部135への当接が解除されるとともに可動接点97は固定接点77に当接し、スナップアクションにてスイッチがオンする。さらにもう少し操作体110を左方向A1に移動すると圧縮バネ100による回転子80への付勢力の方向も右回転方向から左回転方向に変換され、その瞬間に回転子80は自動的に左回転し、図7に示す状態になり、この状態に安定して保持される。このとき連結ピン151のカム係合部153は図2に示すロック位置a3(図2参照)にあるので、操作体110はこの位置に保持される。
【0040】
次に操作レバー111を図7に示す左方向(矢印A1方向)に少し移動すると、図2に示す前記連結ピン151のカム係合部153はロック位置a3を抜け出して位置a4に移動し、次に前記操作レバー111への押圧を解除すると弾発バネ190の弾発力によって操作体110は図7に示す右方向(矢印A2方向)に移動を始め、回転子80の押圧部85aが操作体110の押圧部挿入部133の押圧突部131側の側面に押圧されて右回転してゆき、可動接触片90の回転子係止部99の位置が上昇し、所定の位置以上に上昇すると、回転子80に対する圧縮バネ100の付勢力の方向が左回転方向から右回転方向に変換され、略同時に可動接触片90に対する圧縮バネ100の付勢力の方向が右回転方向から左回転方向に変換され、これによって可動接触片90は図6に示す状態に戻り、可動接点97が固定接点77から離間して、スナップアクションにてスイッチがオフする。このとき連結ピン151のカム係合部153は元の非ロック位置a1に戻る。
【0041】
以上説明したようにプッシュロックスイッチ1−1は、第1,第2スイッチケース10,210と、第1,第2スイッチケース10,210内にスライド移動自在に収納される操作体110と、操作体110を第1,第2スイッチケース10,210内においてスライド移動方向Aに弾発する弾発バネ190と、第1,第2スイッチケース10,210内に設置され、操作体110のスライド移動によって接点(固定接点77と可動接点97)が開閉制御されるスイッチ機構50と、第1,第2スイッチケース10,210内に設置され、操作体110を弾発バネ190の弾発力に抗して押圧移動したロック位置a3にてロック保持するとともに再度の押圧によって非ロック位置a1に自動復帰させるロック機構150とを具備して構成されている。
【0042】
ここでスイッチ機構50は、第1スイッチケース10に固定される共通固定端子片60と、第1スイッチケース10に固定され固定接点77を有する固定端子片70と、共通固定端子片60に対して回動自在に係合され且つ操作体110の移動によって回転駆動される回転子80と、回転子80に対して回動自在に係合され且つ可動接点97を有する可動接触片90と、可動接触片90と共通固定端子片60間を弾発することで共通固定端子片60と回転子80と可動接触片90間の係合状態を維持すると同時に回転子80の回転位置に応じて可動接触片90の可動接点97と固定端子片70の固定接点77間をオン又はオフさせる圧縮バネ100とを具備して構成されている。
【0043】
またロック機構150は、両端部分を略直角に屈曲してなる棒状の連結ピン151の一端を回動自在に第1スイッチケース10に軸支するとともに、連結ピン151の他端を操作体110に設けたカム溝機構125内に挿入係合して操作体110のスライド移動位置に応じてカム溝機構125内での係合位置を変更することで操作体110をそのロック位置と非ロック位置とに移動させる構造となっている。
【0044】
そしてこのプッシュロックスイッチ1−1は、図1に示すように、ロック機構150を設置する領域S2と弾発バネ190を設置する領域S3とをスライド移動方向Aに向けて直線状に併設しており、且つスイッチ機構50を設置する領域S1と前記両領域S2,S3とを操作体110のスライド移動方向Aに対して交叉する対向位置に並列に配置しているので、プッシュロックスイッチ1−1のスライド移動方向Aに向かう長さ寸法を短くできてその小型化を図ることができる。特にこの実施形態の場合、弾発機構190として円筒形状に巻き回されたコイルバネを用いているが、コイルバネの圧縮方向の長さ寸法を長くして良好な押圧感触や、十分な押圧ストロークを得るようにしても、上述のように弾発バネ190をスイッチ機構50に併設させることによってプッシュロックスイッチ1−1を十分小型化させることができる。
【0045】
またこのプッシュロックスイッチ1−1の可動接触片90は、その長手方向が操作体110のスライド移動方向Aとほぼ平行になるように配置されているので、スイッチ機構50全体の長手方向の向きも操作体110のスライド移動方向Aと略一致でき、このためプッシュロックスイッチ1−1のスライド移動方向Aに直交する方向の外形寸法(図1に示す幅寸法L1)を小さくすることができる。
【0046】
またこのプッシュロックスイッチ1−1の連結ピン151は、その長手方向が操作体110のスライド移動方向Aとほぼ平行になるように配置されているので、ロック機構150全体の長手方向の向きも操作体110のスライド移動方向Aと略一致でき、この点からもプッシュロックスイッチ1−1の幅寸法L1を小さくすることができる。
【0047】
またこのプッシュロックスイッチ1−1の第1スイッチケース10内にスライド移動方向Aに向かう分離壁13を設け、分離壁13で分離された一方の室15にスイッチ機構50を収納し、他方の室17にロック機構150と弾発バネ190を収納したので、スイッチ機構50のスイッチのオンオフ時に発生するアークに伴って生じる接点からの金属微粒子がロック機構150や弾発バネ190側に移動して付着してその動作に支障をきたすことを確実に防止できる。同時に分離壁13はこれを操作体110のスライド移動をガイドするレールとして用いているので、操作体110に設けたレール係合部117をこのレール(分離壁13)に係合させることによってロック機構150及び弾発バネ190を収納する室17とスイッチ機構50を収納する室15とをより確実に分離できる。
【0048】
ところで上述のように操作体110の支持はレール係合部117と分離壁13との係合によって行なわれているが、操作体110に力が加わって少し傾くような場合は、前記ガイド溝27とガイド突起113間の当接、当接部115と第2スイッチケース210下面間の当接、カム機構支持部26上面と凹部127底面間の当接によって操作体110はその傾きが確実に防止される。また連結ピン押え部217は連結ピン151の上方向への移動(抜け)を阻止し、バネ押え部219は弾発バネ190の上方向への移動(抜け)を阻止している。
【0049】
〔第2実施形態〕
図9は本発明の第2実施形態にかかるプッシュロックスイッチ1−2の斜視図、図10はプッシュロックスイッチ1−2の分解斜視図(その上側の部品)、図11はプッシュロックスイッチ1−2の分解斜視図(その下側の部品)である。これらの図に示すプッシュロックスイッチ1−2において、前記図1〜図8に示すプッシュロックスイッチ1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図8に示す実施形態と同じである。
【0050】
このプッシュロックスイッチ1−2において前記プッシュロックスイッチ1−1と相違する点は、操作体110に設ける操作レバー111の位置を変更し、これに伴って第1,第2スイッチケース10,210の形状に若干の変更を加えた点のみである。即ちこの実施形態においては操作レバー111の位置を、操作体110の上面に代えて、スライド移動方向Aに直交する1側面(操作体110が弾発バネ190によって押圧される側の側面)の中央位置にしている。つまり操作レバー111はスライド移動方向Aと同一方向を向いている。これに伴って第1スイッチケース10の外周側壁10dには操作レバー111を外部に引き出すための矩形状の切り欠きからなる操作レバー挿通部41が設けられ、また第2スイッチケース210の操作レバー挿通部41に対向する位置には操作レバー挿通部41の上部を少し塞ぐための舌片状の覆い部221が設けられている。
【0051】
このプッシュロックスイッチ1−2の場合も、操作レバー111の位置が異なるだけで、前記第1実施形態の場合と同一の動作が発揮され、同一の作用効果を生じる。
【0052】
なおプッシュロックスイッチ1−1に対してプッシュロックスイッチ1−2は操作レバー111がスライド移動方向Aに突出しているので、スライド移動方向Aに向かう長さ寸法を短くするためには、プッシュロックスイッチ1−1の方がより好ましい。
【0053】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記プッシュロックスイッチ1−1,1−2を構成する各部品の形状構造に種々の変更が可能であることはいうまでもない。また上記各実施形態では弾発機構として弾発バネ(コイルバネ)を用いたが、板バネやその他の各種構造の弾発バネを用いても良い。また上記スイッチ機構やロック機構の構成も上記実施形態のものに限定されず、他の各種構造からなるスイッチ機構やロック機構であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】プッシュロックスイッチ1−1の斜視図である。
【図2】プッシュロックスイッチ1−1の分解斜視図(その上側の部品)である。
【図3】プッシュロックスイッチ1−1の分解斜視図(その下側の部品)である。
【図4】第1スイッチケース10を下面側から見た斜視図である。
【図5】第2スイッチケース210を下面側から見た斜視図である。
【図6】プッシュロックスイッチ1−1の動作説明図である。
【図7】プッシュロックスイッチ1−1の動作説明図である。
【図8】プッシュロックスイッチ1−1の動作説明図である。
【図9】プッシュロックスイッチ1−2の斜視図である。
【図10】プッシュロックスイッチ1−2の分解斜視図(その上側の部品)である。
【図11】プッシュロックスイッチ1−2の分解斜視図(その下側の部品)である。
【符号の説明】
【0055】
1−1 プッシュロックスイッチ
10 第1スイッチケース(スイッチケース)
11 収納部
13 分離壁
15 室(スイッチ機構設置室)
17 室(ロック及び弾発機構収納室)
50 スイッチ機構
60 共通固定端子片
70 固定端子片
77 固定接点
80 回転子
90 可動接触片
97 可動接点
100 圧縮バネ
110 操作体
125 カム溝機構
150 ロック機構
151 連結ピン
190 弾発バネ(コイルバネ、弾発機構)
210 第2スイッチケース(スイッチケース)
230 取付板
A スライド移動方向
1−2 プッシュロックスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチケースと、
スイッチケース内にスライド移動自在に収納される操作体と、
操作体をスイッチケース内においてスライド移動方向に弾発する弾発機構と、
スイッチケース内に設置され、前記操作体のスライド移動によって接点が開閉制御されるスイッチ機構と、
スイッチケース内に設置され、前記操作体を前記弾発機構の弾発力に抗して押圧移動したロック位置にてロック保持するとともに再度の押圧によって非ロック位置に自動復帰させるロック機構と、を具備し、
前記弾発機構及びロック機構をスライド移動方向に向けて併設するとともに、これら弾発機構及びロック機構と前記スイッチ機構とを、操作体のスライド移動方向に対して交叉する対向位置に並列に配置したことを特徴とするプッシュロックスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のプッシュロックスイッチにおいて、
前記弾発機構は、円筒形状に巻き回されたコイルバネであることを特徴とするプッシュロックスイッチ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプッシュロックスイッチにおいて、
前記スイッチ機構は、スイッチケースに固定される共通固定端子片と、スイッチケースに固定され固定接点を有する固定端子片と、共通固定端子片に対して回動自在に係合され且つ前記操作体の移動によって回転駆動される回転子と、回転子に対して回動自在に係合され且つ可動接点を有する可動接触片と、可動接触片と共通固定端子片間を弾発することで前記共通固定端子片と回転子と可動接触片間の係合状態を維持すると同時に回転子の回転位置に応じて可動接触片の可動接点と固定端子片の固定接点間をオン又はオフさせる圧縮バネとを具備して構成され、
前記可動接触片は、その長手方向が前記操作体のスライド移動方向とほぼ平行になるように配置されていることを特徴とするプッシュロックスイッチ。
【請求項4】
請求項1乃至3の内の何れかに記載のプッシュロックスイッチにおいて、
前記ロック機構は、両端部分を略直角に屈曲してなる棒状の連結ピンの一端を回動自在にスイッチケースに軸支するとともに、連結ピンの他端を操作体に設けたカム溝機構内に挿入係合して前記操作体のスライド移動位置に応じてカム溝機構内での係合位置を変更することで操作体をそのロック位置と非ロック位置とに移動させる構造であり、
前記連結ピンは、その長手方向が前記操作体のスライド移動方向とほぼ平行になるように配置されていることを特徴とするプッシュロックスイッチ。
【請求項5】
請求項1乃至4の内の何れかに記載のプッシュロックスイッチにおいて、
前記スイッチケース内に前記スライド移動方向に向かう分離壁を設け、分離壁で分離された一方の室にスイッチ機構を収納し、他方の室にロック機構と弾発機構を収納したことを特徴とするプッシュロックスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−33950(P2010−33950A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196411(P2008−196411)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】