説明

プライバシー保護用アタッチメント

【課題】本発明は、一覧式の操作表示部を有するハードウェアタイプのナースコール親機に装着して、患者のプライバシー保護機能を発揮するプライバシー保護用アタッチメントを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、操作表示列ユニットの氏名表示部全体を被覆する透明板と、前記透明板にヒンジを介して一体の遮蔽板とを有し、前記遮蔽板を開閉することにより、氏名表示部の可視、不可視状態を切替えられるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設で使用されるナースコール親機に後付で固定できるプライバシー保護用アタッチメントに係わり、特に、ナースコール操作に支障を与えることなく、患者情報を適宜保護するために使用できるプライバシー保護用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
平成16年12月には、厚生労働省から、医療・介護施設における個人情報の取り扱いのためのガイドラインが公表され、また、平成17年4月には、個人情報の保護に関する法律が全面実施となった。このような情勢の中、医療・介護施設においても、患者の個人情報の保護対策が急務となり、患者と医療従事者とのあいだのコミュニケーション手段であるナースコールシステムに関しても、個人情報保護対策が欠かせないものとなってきた。
【0003】
ナースコールシステムは一般にナースセンターなどに設置されるナースコール親機と病室の出入口に設置される個別廊下灯と、患者のベッドサイドに設置されるナースコール子機とで構成され、その中の個別廊下灯については、病室廊下を行き来する見舞い客など不特定多数の人の目に入りやすいということで、入院患者の名前などを、できるだけ人目に触れさせないようにするためにいろいろ工夫がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、患者名を隠せるプライバシー保護カバーを備えた個別廊下灯が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、IDカードを所持する人だけが入院患者情報を見られるようにしたLCDタイプの病院用情報表示板が記載されている。
【0006】
ところが、ナースコール親機に関しては、患者のプライバシー特に氏名を保護できるようにしたものはない。
【0007】
そのため、ナースセンターにあるナースコール親機を見舞客などが覗き込んで困っている、というようなクレームが頻繁に寄せられているのが現状である。
【0008】
もっとも、ナースコール親機がLCDタイプのモニターを備えたソフトウエア製品であれば、特許文献2に記載された発明を適用して個人情報の保護を図ることも可能であろう。しかし、この発明は、一覧形式で患者名を表示する操作表示部を有する、従来のハードウェアタイプのナースコール親機に適用することはできない。
【0009】
【特許文献1】・・・・特開2004−94764号公報
【特許文献2】・・・・特開2003−88561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような、ハードウェアタイプのナースコール親機に関して、個人情報保護の問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のプライバシー保護用アタッチメントは、個別表示灯および氏名表示部を有する個別操作表示部を縦に複数並べて操作表示列ユニットとなし、これを1又は複数横に並べて構成した一覧式の操作表示部を有するナースコール親機に対して、これに後付で固定できるプライバシー保護用アタッチメントであって、前記操作表示列ユニットの氏名表示部全体を被覆できる透明板と、前記透明板にヒンジを介して一体の遮蔽板とを有し、前記遮蔽板を開閉することにより、ナースコール親機の氏名表示部の可視、不可視状態を切替えられるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のプライバシー保護用アタッチメントは、前記のように構成されているので、ナースコール親機に後付で固定することができ、既設のナースコール親機であっても、これをプライバシー対応品に変更することは容易である。
【0013】
また、氏名表示部のみをカバーし、個別表示灯、室番表示部、選局ボタンなどはそのまま表面に露出させられるので、通常は、遮蔽板を閉じたままナースコール親機を使用したとしても支障となることは少ない。患者氏名の記憶があいまいな場合などに限り遮蔽板を開けて氏名表示部を確認すれば済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施例を示すプライバシー保護用アタッチメントの外観図である。
プライバシー保護用アタッチメント1は、透明度を考慮して合成樹脂材のポリプロピレンで一体成型されている。
【0015】
プライバシー保護用アタッチメント1は、透明板2、遮蔽板3および両者2、3を弾性的に連結するヒンジ4で構成され、常態においては、透明板2、遮蔽板3はヒンジ4の弾性でほぼ90°開いた状態を保持できるようになっている。
【0016】
この状態から、遮蔽板3を、ヒンジ4の弾性に抗して、外側から押圧し、さらに、その端縁を透明板2の係止爪5に抗して折り畳む。そうすると、係止爪5が遮蔽板3端縁に引っ掛かり、係止爪5の作用で、折り畳んだ状態を保持できるようになっている。
【0017】
いったん折り畳んだ遮蔽板3を開くときは、係止爪5を外側に押せばよく、そうすれば、係止爪5が遮蔽板3の端縁からの外れ、ヒンジ4の弾性作用で遮蔽板3は図の開いた状態に復帰する。
【0018】
なお、遮蔽板3は、図示の例では、その表面に塗装処理を施して不透明にしてあるが、不透明シートを貼り付けたり、印刷手段などで不透明にしても良い
6は、透明板1をナースコール親機に固定するための取付穴である。
【0019】
図2は、前述したプライバシー保護用アタッチメント1をナースコール親機7に取付ける前後の状態を示す説明図である。
【0020】
図2(a)は、取付前を示す。ナースコール親機7は、送受器8、マイク9、呼出音スピーカ10、操作部11、操作表示部12を有する一般的なものである。
【0021】
操作表示部12は、実施例の20回線の場合、操作表示列ユニット13を横2列に並べてある。
【0022】
各操作表示列ユニット13は拡大図に示す個別操作表示部14を縦に10個組並べて配置してある。個別操作表示部14は、拡大図に示すように、個別表示灯15、選局ボタン16、室番表示部17、救護区分表示部18、氏名表示部19から構成されている。
【0023】
図2(ロ)は、取付後を示す。
【0024】
1は、操作表示部12に取付けられたプライバシー保護用アタッチメントであり、図の状態は、遮蔽板3が閉じられた状態を示している。この状態では、氏名表示部9に表示されている患者の氏名は確認できない。
【0025】
アタッチメント1の上下両端部は操作表示部12の上下部分に固定されている。この場合、固定方法は問わない。例えば、図示の例では両面テープで固定してあるが、取付穴6を介してねじ止めすることもできる。
【0026】
図に明確なように、プライバシー保護用アタッチメント1は、操作表示列ユニット13の氏名表示部19全体をカバーする寸法に形成され、個別表示灯15、選局ボタン16、室番表示部17、救護区分表示部18の部分にはかからない。
【0027】
すなわち、プライバシー保護用アタッチメント1の遮蔽板3の開閉に係わらず、個別表示灯15、選局ボタン16、室番表示部17、救護区分表示部18は表に露出したままとなり、個別表示灯15の確認や選局ボタン16の操作などには支障がない。
【0028】
患者の氏名を知りたい場合は、プライバシー保護用アタッチメント1の遮蔽板3を前述した要領で開け、透明板2を透して氏名を確認すればよい。氏名の確認が済み次第、遮蔽板3を閉じる方向に押す。そうすれば、係止爪の作用で遮蔽板3を閉めた状態を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の1実施例におけるプライバシー保護用アタッチメントの外観図。
【図2】本発明の1実施例におけるプライバシー保護用アタッチメントをナースコール親機に取付ける前後の状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0030】
1 プライバシー保護用アタッチメント
2 透明板
3 遮蔽板
4 ヒンジ
5 係止爪
7 ナースコール親機
12 操作表示部
13 操作表示列ユニット
14 個別操作表示部
15 個別表示灯
16 選局ボタン
17 室番表示部
18 救護区分表示部
19 氏名表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別表示灯および氏名表示部を有する個別操作表示部を縦に複数並べて操作表示列ユニットとなし、これを1又は複数横に並べて構成した一覧式の操作表示部を有するナースコール親機に後付で固定できるプライバシー保護用アタッチメントであって、前記操作表示列ユニットの氏名表示部全体を被覆する透明板と、前記透明板にヒンジを介して一体の遮蔽板とを有し、前記遮蔽板を開閉することにより、氏名表示部の可視、不可視状態を切替えられるようにしたことを特徴とするプライバシー保護用アタッチメント。

【図1】
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【図2】
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