プラグインコネクタ
【課題】接点要素の種々の装着方法を実現し、また容易に修理できるプラグインコネクタを提供すること。
【解決手段】本発明は、背面(17)に向けて開口した接点用穴部を有するコネクタハウジング12を備えたプラグインコネクタである。接点用穴部は、前方接点ショルダー部を有する接点要素固定手段が設けられた接点要素(11)、を受け入れるための接点要素受入れ手段と、接点要素固定手段を案内するための案内溝と、を含む。案内溝は、接点要素受入れ手段の一方の側面に配置され、前方接点ショルダー部に対応する第1側壁部が前端に設けられた第1案内溝と、接点要素受入れ手段の他方の側面に配置され、接点要素を90度または180度回転させた位置のいずれかにおいて選択的に装着可能となるように、前方接点ショルダー部に対応する第2側壁部が前端に設けられた第2案内溝と、を含む。
【解決手段】本発明は、背面(17)に向けて開口した接点用穴部を有するコネクタハウジング12を備えたプラグインコネクタである。接点用穴部は、前方接点ショルダー部を有する接点要素固定手段が設けられた接点要素(11)、を受け入れるための接点要素受入れ手段と、接点要素固定手段を案内するための案内溝と、を含む。案内溝は、接点要素受入れ手段の一方の側面に配置され、前方接点ショルダー部に対応する第1側壁部が前端に設けられた第1案内溝と、接点要素受入れ手段の他方の側面に配置され、接点要素を90度または180度回転させた位置のいずれかにおいて選択的に装着可能となるように、前方接点ショルダー部に対応する第2側壁部が前端に設けられた第2案内溝と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背面に向けて開口した接点用穴部を有するコネクタハウジングを備えたプラグインコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、交換型接点クリップを含むプラグインコネクタについて記載している。プラグインコネクタを取り付けた状態では、接点クリップはそれらを装着するために背面から自由に接近できるコネクタハウジングの接点用穴部に配置される。各接点クリップはその後端にばね脚を有しており、それは接点クリップを取り付けた状態では全接点クリップに対して設けられた保持ストリップ内の凹所にはまっている。接点クリップを交換するために、まず前記ばね脚を保持ストリップから折り曲げる。次に、ピンレンチとして設計された引抜き工具を接点クリップに挿入して、背面から交換する。この引抜き工具は背部から接点クリップと係合し、引っ張りながら引抜く。新しい接点クリップをコネクタハウジングの背面から接点用穴部に挿入すれば、ばね脚を再び保持ストリップに取り付けることができる。
【0003】
特許文献2は、修理の場合に交換できる部材を備えたプラグインコネクタについて記載している。プラグインコネクタは、絶縁要素と呼ばれる接点ブロックに確実に設置された複数の接点ピンを含む。プラグインコネクタを取り付けた状態では、接点ブロックはコネクタハウジング内にある。プラグ接続を行うために、同様に接点ブロックに確実に設置された複数の接点ピンを含む対応するプラグインコネクタが設けられている。接点管を内蔵するアダプタ部材と呼ばれる別の絶縁要素が一方のプラグインコネクタまたは対応するプラグインコネクタのいずれかに係合することによって、プラグ接続が可能となる。該接点管を内蔵した別の絶縁要素は、該別の絶縁要素が係合することになっているプラグインコネクタのハウジング内に設置され、そこで、接点ピンを含む絶縁要素にねじ込まれる。該別の絶縁要素を装着すると、それぞれのプラグインコネクタの接点ピンは接点管に挿入される。プラグインコネクタを接続した状態で、対応するプラグインコネクタの接点ピンを同様に接点管に挿入し、接点管を介して電気的接続を確立する。まず、該接点管を内蔵した別の絶縁要素をねじ込み接続によるプラグインコネクタの前面から交換できる。続いて、プラグインコネクタのハウジングに設置された接点ピンを備えた絶縁部も完全なユニットとして交換できるが、そのためにはプラグインコネクタの背面の接点ピンの接続部、例えばケーブルまたは基板との半田継目を分離しなければならない。
【0004】
特許文献3は、接点要素を受け入れるために設けられた接点用穴部を内蔵したプラグインコネクタのハウジングを記載している。そのような接点用穴部は、種々の接点要素が1つの同じ接点用穴部に取り付けられる種々の案内溝および/または凹所を含む。例えば、拡張部または接点ショルダー部の設計が互いに異なる矩形接点要素を受け入れるべく意図された接点用穴部区域を設けることができる。異なる接点要素の取付けは、いずれの場合もコネクタハウジングの背面から実施される。
【0005】
プラグインコネクタの機械的負荷または例えばプラグインコネクタが傾斜して取り付けられた場合にプラグ接続を行う際に生じた故障のために、各接点要素の欠陥が生じ得る。個々の接点要素の交換が可能でない場合には、高いコストで接続した完全なプラグインコネクタ一を交換せねばならない。この交換は、プラグインコネクタが多数の接点要素を含む場合に特に複雑である。このようなプラグインコネクタは、例えば特許文献4に記載されているが、そこではプラグ接続は背板と小型PCIシステムとして知られるプラグイン型カードとの間で行われる。特に、このプラグインコネクタは半田継目により基板と接続されているため、プラグインコネクタの背部はプラグインコネクタの半田継目を分離しないかぎり自由に操作できないという理由で、個別の接点要素の交換はうまくいかないことがある。
【特許文献1】ドイツ実用新案DE295 11 998
【特許文献2】ドイツ特許出願DE30 42 293
【特許文献3】ドイツ特許出願DE103 21 348
【特許文献4】ドイツ特許出願DE198 07 713
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は接点要素の種々の装着方法を実現し、また容易に修理できるプラグインコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコネクタハウジングを備えたプラグインコネクタは、前記コネクタハウジングが背面に開口した、少なくとも1つの接点用穴部を有しており、該接点用穴部は1つの接点要素を受け入れるための少なくとも1つの接点要素受入れ手段と、前記接点要素に設けられた接点要素固定手段を案内するための少なくとも1つの案内溝とを含む。接点要素受入れ手段の一方の側面に設けられた第1案内溝は、接点要素固定手段の前方接点ショルダー部に対応する第1側壁部をその前端に備えている。接点要素を選択的に90度または180度だけ回転した位置に装着させるために、同様に接点ショルダー部に対応する第2側壁部をその前端に備えた、第2案内溝が接点要素受入れ手段の他方の側面に設けられる。
【0008】
本発明に基づいて提供される特徴により、コネクタハウジングの少なくとも1つの接点用穴部には選択的に第1位置または他の位置において接点要素を装着することができる。本発明は、異なる接点要素装着構造に対して変更を要しないコネクタハウジングを提供する。したがって、接点要素の装着構成に関する特別な要求に対して迅速に対処することができる。別々のハウジング設計をもはや必要としない事実により、大量生産および在庫保有上のメリットが得られる。
【0009】
接点用穴部の背面開口という設計により、接点要素を省力的な挿入工程によってコネクタハウジングに容易に取り付けることができる。
【0010】
本発明に係るプラグインコネクタの1つの長所は、完全に実装されたプラグインコネクタも変更可能であるという事実にある。なぜならば、接点要素を接点用穴部から後方に引き抜いて、必要に応じて90度または180度だけ回転した位置に再度挿入できるからである。例えば、初期の第1の長さの接点要素をそれとは別の長さの接点要素と交換することができる。
【0011】
本発明に係るプラグインコネクタの特に実質的な長所は、接点要素が既に印刷回路基板に半田付けされた、プラグインコネクタの実装状態でも、個別の接点要素が交換可能であるという点にある。
【0012】
修理の場合には、破損した、摩滅した、あるいはその他の欠陥のある接点要素をコネクタハウジングの前面から引き抜くことができ、さらに、特に初期組立工程時に接点要素の前方接点ショルダー部を支持する第1側壁部の特定の設計によって、第1側壁部を曲げる、あるいは破断させるようにすることができる。第2案内溝および第2側壁部が90度または180度回転した位置に選択的に設けられるという事実により、当該接点要素はプラグインコネクタの前面から再度接点用穴部に挿入され、さらに90度または180度回転させられ得るが、この場合には、接点要素の前方接点ショルダー部を支持する第2側壁部がプラグインコネクタの前面からの接点要素の再度の組立て中に損傷しないことが前提となる。
【0013】
本発明に係るプラグインコネクタのその他の長所および構成は、従属請求項に明示されている。
【0014】
ある実施形態では、案内溝は接点要素受入れ手段の側面に関して回転対称的に配置されるということが提供される。これにより、組立て状態で接点用穴部内に配置される接点要素部分に種々の形状を与えることができる。
【0015】
ある実施形態によれば、接点要素受入れ手段は、正方形接点要素を受け入れるために、正方形断面を有する。別の形態によれば、接点要素受入れ手段は、長方形接点要素を受け入れるために、長方形断面を有する。これにより、本発明に係るプラグインコネクタは、例えば耐電流性能または高周波特性などに関する特定の要件に応じて最適化が可能な種々の形状の接点要素に適合させることができる。例えば、長方形構造の接点要素は特に低インダクタンス値を提供するゆえに、実装されたプラグインコネクタは特に優れた高周波特性を発揮する。
【0016】
組立工程に関する特別な柔軟性は、接点用穴部が互いに交差して配置される2つの接点要素受入れ手段を含む場合に得られる効果である。これにより、接点要素を選択的に90度または180度だけ回転した位置に取り付けることができる。そのような構造の場合には、最初の側壁部に加えて3つの追加側壁部が設けられるため、接点要素の最初の組立て後に当該接点要素は回転により3回の修理を行うことができる。接点用穴部は第1案内溝に加えて、接点要素受入れ手段の反対側の単一の第2案内溝を設けることによって、低コストの構造が得られる。
【0017】
ある実施形態は、取り付けられた接点要素が最小引抜力と最大引抜力との間の所定の力を加えることによってプラグインコネクタの前面を経て接点用穴部から引き抜かれることが可能となる第1側壁部の剛性に関する。
【0018】
修理のために、この第1側壁部の剛性は、接点要素が前面から引き抜かれる際に該側壁部が曲げられる、あるいは破断させられるように決めることができる。この際に考慮すべきは、引き抜かれた接点要素はもはや使用できないことである。
【0019】
本発明に係るプラグインコネクタの別の有利な構成によれば、接点要素の前方接点ショルダー部は、第1側壁部および第2側壁部で支持される。好ましくは、接点要素固定手段は特定構造の後方傾斜部を有する。
【0020】
修理時に新たな側壁部として機能する第2側壁部の剛性および上記後方傾斜部は互いに調整され、プラグインコネクタの前部から接点要素を取り付ける際には、後方傾斜部は第2側壁部を僅かに曲げる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のいくつかの実施例を以下に説明するが、それらは各図において示されている。
【0022】
図1は、構成要素を取り付けた状態の本発明に係るプラグインコネクタ10の前部斜視図である。プラグインコネクタ10は、コネクタハウジング12内に配置された複数の接点要素11a,11b,11cを含む。図示された例では、コネクタハウジング12は接点要素11a,11b,11cと同様に挿入方向14に延びる側面案内要素13a,13b,13c,13dを含む。図示された実施例では、接点要素11a,11b,11cの接点ピン16a,16b,16cがプラグインコネクタ10の前面15に配置され、接点要素11a,11b,11cの半田付け用継目18a,18b,18cがプラグインコネクタ10の背面に配置されている。
【0023】
図2および図3は、例えば互いに隣接してプラグインコネクタ10内に設置された3つの接点要素11a,11b,11cの斜視図である。図1に示された部品と同一の図2および図3に示された部品には、同じ参照番号が付けられている。この原則はその他の図面にも適用される。図示された実施形態において、接点要素11a,11b,11cは接点ピン16a,16b、16cとして具現されている。本発明に係るプラグインコネクタ10の接点要素11a,11b,11cはまた、接点クリップとして構成することもできる。接点ピン16a,16b,16cは、異なる長さを有してもよい。
【0024】
接点要素11a,11b,11cは、例えばエンボス加工により接点ブレード16a,16b,16cの一側面に形成される接点要素固定手段21a,21b,21cを含む。これらの接点要素固定手段21a,21b,21cのそれぞれは、前方接点ショルダー部22a,22b,22cならびに後方傾斜部23a,23b,23cを含む。接点要素固定手段21a,21b,21cは、以下の各図に示された側壁部と協働する。
【0025】
図4は、本発明に係るプラグインコネクタ10の背面17の詳細上面図を示す。図示されているのは背面に向けて開口した接点用穴部30であり、挿入方向14において延びている。この接点用穴部30は、接点要素受入れ手段31および接点要素受入れ手段31の一方の側面に設けられた第1案内溝32aと、接点要素受入れ手段31の他方の側面に設けられた第2案内溝32bとを含む。
【0026】
第1案内溝32aの前端は第1側壁部34aにより画定されており、また第2案内溝32bは第2の側壁部34bにより画定されている。2つの案内溝32a,32bは、接点要素受入れ手段31の中心軸33に関して左右対称に配置される。
【0027】
接点要素受入れ手段31は、接点要素11a,11b,11cを受け入れるための矩形断面を有する。接点要素11a,11b,11cが先ず接点用穴部30内に装着されると、接点要素11a,11b,11cの接点要素固定手段21a,21b,21cは、第1案内溝32aまたは第2案内溝32bのいずれかに挿入され得る。挿入先の選択が可能であるために、プラグインコネクタ10の生産をより柔軟に行うことができる。図示された実施形態では、接点要素固定手段21a,21b,21cが第1案内溝32aと係合している。この場合には、第2案内溝32bは空のままである。
【0028】
接点要素11a,11b,11cの前方接点ショルダー部22a,22b,22cは、取付状態では第1側壁部34aにより支持され、それによって、接点要素11a,11b,11cが接点用穴部30において適所に固定され、プラグインコネクタ10から前方へ抜け落ちることが阻止される。側壁部34aは、接点要素11a,11b,11cをプラグインコネクタ10から前方へ引き抜くのに要する引抜力を特定の値に決定する機能を果たす。
【0029】
プラグインコネクタ10の接点要素11a,11b,11cに作用する機械的負荷のために、各接点要素11a,11b,11cが湾曲あるいは破断する恐れがある。プラグインコネクタ10に対して多数回の挿入作業が行われる場合には、各接点要素11a,11b,11cの表面に損傷が生じ得る。その際には、接点要素11a,11b,11cの半田付け端子18a,18b,18cを基板(詳細を図示せず)、例えば背面に半田付けした多数の既存の半田継目によって、プラグインコネクタ10全体を交換することは極めて煩雑な作業となるであろう。
【0030】
このプラグインコネクタ10では、第1案内溝32aに加えて、少なくとも1つの別の案内溝32bを設けることにより、損傷した接点要素11a,11b,11cのみの半田除去を行ってプラグインコネクタ10を修理することができる。半田除去を行った後に、当該接点要素11a,11b,11cを側壁部34aの抵抗を抑えてプラグインコネクタ10の前面15を経て接点用穴部30から引き抜く。このためには、引抜力を越える力を加える必要がある。
【0031】
当該接点要素11a,11b,11cを引き抜く際の側壁部34aの挙動は、側壁部34aの剛性を指定することにより予め決定することができる。例えば引抜き作業中に側壁部34aのみが前方接点ショルダー部22aによって変形するように、剛性を指定することができる。あるいは、前方接点ショルダー部22a,22b,22cが引出し作業中に側壁部34aを破断させるように、剛性を指定することができる。
【0032】
次に接点要素11a,11b,11cは、図4に示された例では例えば180度回転させられる。その後に接点要素11a,11b,11cは、プラグインコネクタ10の前面15から挿入方向14に挿入され、再度接点用穴部30へ装着される。この作業中に接点要素固定手段21a,21b,21cの後方傾斜部23a,23b,23cは、当初の挿入先とは異なるという意味で「他方の」案内溝の「他方の」側壁部、すなわち図示された例では第2案内溝32bの第2側壁部34bを曲げていき、最終的には、接点要素11a,11b,11cが側壁部34bを損傷することなく接点用穴部30の接点要素受入れ手段31に押し込まれるように作用する。修理後に、前方接点ショルダー部22a,22b,22cは取付状態において、他方の側壁部34b上で支持される。
【0033】
後方傾斜部23a,23b,23cならびに少なくとも1つの他方の側壁部34bの剛性は、適正に調整されなければならない。修理のときにプラグインコネクタ10の前面15から接点要素11a,11b,11cを押し込む作業は、第1側壁部34aが破断してもはや存在しないか、または、接点要素固定手段21a,21b,21cが他方の側壁部34bを通過する際に接点要素11a,11b,11cが僅かにでも第1案内溝32aに進入できる程度まで変形、すなわち曲げられることで促進される。
【0034】
接点要素11a,11b,11cの組立てを促進するために、組み立てられた接点要素11a,11b,11cと側壁部34a,34bとの間に空隙35a,35bを設けることができる。少なくとも、空隙35bは少なくとも1つの他方の案内溝32bに設けられる。
【0035】
図5は、同様に長方形の接点要素受入れ手段41および接点要素受入れ手段41の反対側に配置された2つの側壁部44a,44bを備えた2つの案内溝42a,42bからなる接点用穴部40の実施形態を示す。図5に示された実施形態において、案内溝42a,42bは、図4に示された実施形態におけるように接点要素受入れ手段41の中心線43に関してもはや左右対称ではなく、回転対称で配置される。接点用穴部40の実施形態は、詳細には示されていない接点要素11a,11b,11cの中心線の横方向に配置された接点要素固定手段21a,21b,21cと協働するように設計されている。
【0036】
図6は、正方形断面の接点要素11a,11b,11cを受け入れるための正方形断面を備えた接点用穴部50の実施形態を示す。さらに、4つの案内溝52a,52b,52c,52dは、接点用穴部50の中心線53に関して互いに鏡像対称的に配置されている。
【0037】
正方形断面を備えた接点要素11a,11b,11cは、特に低周波の大電流を送るのに適している。但し、上記の構成において使用された長方形断面と比べて、この場合にはインダクタンスが増加する。したがって、長方形接点要素11a,11b,11cに基づく図4および図5に示された構成は、低インダクタンスが高周波まで保証する必要がある、優れた高周波特性を備えたプラグイン型接続を実現するのに特に適している。同様に、接点要素11a,11b,11cの均一な形状は、プラグインコネクタ10全体に対する低インダクタンスを達成するために寄与する。
【0038】
2つ以上の案内溝52a,52b,52c,52dを有する図6に示された実施形態は、コネクタハウジング12において、より多くのスペースを必要とするが、他方ではより多くの回数の修理の可能性を提供する。例えば図示された実施形態では3回の修理を行うことができる。
【0039】
図7は、図6に類似した実施形態を示すが、図7では、案内溝62a,62b,62c,62dは接点要素受入れ手段51の中心線53に関してもはや鏡像対称的に配置されておらず、単に回転対称で配置されている。
【0040】
図8は、互いに交差する長方形断面を備えた2つの接点要素受入れ手段71a,71bに基づく接点用穴部70の別の実施形態を示す。この実施形態では、両接点要素受入れ手段71a,71bの中心軸73は互いに合致している。
【0041】
図8に示された実施形態は、本発明に係るプラグインコネクタ10の製造中における接点要素11a,11b,11cの装着態様の選択肢を増加させる。すなわち、長方形断面を備えた接点要素11a,11b、11cを使用する場合、汎用コネクタハウジング12は、事前に組み立て可能であって、接点要素11a,11b,11cが第1方向に向けられるべきであるか、あるいはその第1方向から90度だけ回転させた方向に向けられるべきであるかという決定は、接点要素11a,11b,11cがコネクタハウジング12に装着される時点に行うことが可能である。なお、図8に示された実施形態では、接点要素11a,11b、11cの180度の回転はいつでも可能である。
【0042】
同様に、図9は互いに交差する長方形断面を備えた2つの接点要素受入れ手段71a,71bを備えた接点用穴部80の実施形態を示す。案内溝82a,82b,82c,82dは、図8に示された実施形態のように接点要素受入れ手段71a,71bの中心線73に関してもはや鏡像対称的に配置されておらず、単に回転対称で配置されている。
【0043】
図10は、接点要素11a,11b,11cが装着されていない状態のプラグインコネクタ10の背面17の斜視図である。同図は、一例として図4の接点用穴部30に基づいている。図10は、案内溝32a,32bの側壁部34a,34bの位置を示している。
【0044】
図11は、接点要素11a,11b,11cが装着された状態のプラグインコネクタ10の背面17の斜視図である。図では、接点要素11a,11b,11cの半田付け端子18a,18b,18cのみがコネクタハウジング12の背面から突き出ている。
【0045】
図12は、プラグインコネクタ10の横断面図を示す。図12は接点用穴部30,40,50,60,70,80に対応した図であるが、図示された実施形態は図4に示された接点用穴部30に基づいている。接点要素11a,11b,11cは装着状態で示されており、接点要素固定手段21a,21b,21cの前方接点ショルダー部22a,22b,22cは第1案内溝32aの第1側壁部34aと接触している。
【0046】
図13は、装着された接点要素11aの部分を備えたコネクタハウジング12の前面15の斜視図を示す。長方形断面を備えた接点ブレード16aとして実現される接点要素11aが示されている。さらに、図4に示された接点用穴部と同様に構成された接点用穴部30が設けられている。したがって、案内溝32a,32bの側壁部34a,34bは接点ブレード16aの両方の広幅面側に位置している。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】構成要素を取り付けた状態の本発明に係るプラグインコネクタの前面斜視図である。
【図2】接点要素の斜視図である。
【図3】接点要素の斜視図である。
【図4】異なる構造を備えた接点用穴部の背面の上面図である。
【図5】異なる構造を備えた接点用穴部の背面の上面図である。
【図6】異なる構造を備えた接点用穴部の背面の上面図である。
【図7】異なる構造を備えた接点用穴部の背面の上面図である。
【図8】異なる構造を備えた接点用穴部の背面の上面図である。
【図9】異なる構造を備えた接点用穴部の背面の上面図である。
【図10】構成要素を取り付けていない本発明に係るプラグインコネクタの背面の上面図である。
【図11】構成要素を取り付けた状態の本発明に係るプラグインコネクタの背面の上面図である。
【図12】本発明に係るプラグインコネクタの横断面図である。
【図13】構成要素の一部を取り付けた状態の本発明に係るプラグインコネクタの前面斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
11a,11b,11c…接点要素、
12…コネクタハウジング、
21a,21b,21c…接点要素固定手段、
22a,22b,22c…前方接点ショルダー部、
23a,23b,23c…後方傾斜部、
31,51,71a,71b…接点要素受入れ手段、
32a,42a,52a,62a,72a,82a…第1案内溝、
34a,44a,54a,64a,74a,84a…第1側壁部、
32b,42b,52b,52c,52d,62b,62c,62d,72b,72c,72d,82b,82c,82d…第2案内溝、
34b,44b,54b,54c,54d,64b,64c,64d,74b,74c,74d,84b,84c,84d…第2側壁部、
30,40,50,60,70,80…接点用穴部
【技術分野】
【0001】
本発明は、背面に向けて開口した接点用穴部を有するコネクタハウジングを備えたプラグインコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、交換型接点クリップを含むプラグインコネクタについて記載している。プラグインコネクタを取り付けた状態では、接点クリップはそれらを装着するために背面から自由に接近できるコネクタハウジングの接点用穴部に配置される。各接点クリップはその後端にばね脚を有しており、それは接点クリップを取り付けた状態では全接点クリップに対して設けられた保持ストリップ内の凹所にはまっている。接点クリップを交換するために、まず前記ばね脚を保持ストリップから折り曲げる。次に、ピンレンチとして設計された引抜き工具を接点クリップに挿入して、背面から交換する。この引抜き工具は背部から接点クリップと係合し、引っ張りながら引抜く。新しい接点クリップをコネクタハウジングの背面から接点用穴部に挿入すれば、ばね脚を再び保持ストリップに取り付けることができる。
【0003】
特許文献2は、修理の場合に交換できる部材を備えたプラグインコネクタについて記載している。プラグインコネクタは、絶縁要素と呼ばれる接点ブロックに確実に設置された複数の接点ピンを含む。プラグインコネクタを取り付けた状態では、接点ブロックはコネクタハウジング内にある。プラグ接続を行うために、同様に接点ブロックに確実に設置された複数の接点ピンを含む対応するプラグインコネクタが設けられている。接点管を内蔵するアダプタ部材と呼ばれる別の絶縁要素が一方のプラグインコネクタまたは対応するプラグインコネクタのいずれかに係合することによって、プラグ接続が可能となる。該接点管を内蔵した別の絶縁要素は、該別の絶縁要素が係合することになっているプラグインコネクタのハウジング内に設置され、そこで、接点ピンを含む絶縁要素にねじ込まれる。該別の絶縁要素を装着すると、それぞれのプラグインコネクタの接点ピンは接点管に挿入される。プラグインコネクタを接続した状態で、対応するプラグインコネクタの接点ピンを同様に接点管に挿入し、接点管を介して電気的接続を確立する。まず、該接点管を内蔵した別の絶縁要素をねじ込み接続によるプラグインコネクタの前面から交換できる。続いて、プラグインコネクタのハウジングに設置された接点ピンを備えた絶縁部も完全なユニットとして交換できるが、そのためにはプラグインコネクタの背面の接点ピンの接続部、例えばケーブルまたは基板との半田継目を分離しなければならない。
【0004】
特許文献3は、接点要素を受け入れるために設けられた接点用穴部を内蔵したプラグインコネクタのハウジングを記載している。そのような接点用穴部は、種々の接点要素が1つの同じ接点用穴部に取り付けられる種々の案内溝および/または凹所を含む。例えば、拡張部または接点ショルダー部の設計が互いに異なる矩形接点要素を受け入れるべく意図された接点用穴部区域を設けることができる。異なる接点要素の取付けは、いずれの場合もコネクタハウジングの背面から実施される。
【0005】
プラグインコネクタの機械的負荷または例えばプラグインコネクタが傾斜して取り付けられた場合にプラグ接続を行う際に生じた故障のために、各接点要素の欠陥が生じ得る。個々の接点要素の交換が可能でない場合には、高いコストで接続した完全なプラグインコネクタ一を交換せねばならない。この交換は、プラグインコネクタが多数の接点要素を含む場合に特に複雑である。このようなプラグインコネクタは、例えば特許文献4に記載されているが、そこではプラグ接続は背板と小型PCIシステムとして知られるプラグイン型カードとの間で行われる。特に、このプラグインコネクタは半田継目により基板と接続されているため、プラグインコネクタの背部はプラグインコネクタの半田継目を分離しないかぎり自由に操作できないという理由で、個別の接点要素の交換はうまくいかないことがある。
【特許文献1】ドイツ実用新案DE295 11 998
【特許文献2】ドイツ特許出願DE30 42 293
【特許文献3】ドイツ特許出願DE103 21 348
【特許文献4】ドイツ特許出願DE198 07 713
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は接点要素の種々の装着方法を実現し、また容易に修理できるプラグインコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコネクタハウジングを備えたプラグインコネクタは、前記コネクタハウジングが背面に開口した、少なくとも1つの接点用穴部を有しており、該接点用穴部は1つの接点要素を受け入れるための少なくとも1つの接点要素受入れ手段と、前記接点要素に設けられた接点要素固定手段を案内するための少なくとも1つの案内溝とを含む。接点要素受入れ手段の一方の側面に設けられた第1案内溝は、接点要素固定手段の前方接点ショルダー部に対応する第1側壁部をその前端に備えている。接点要素を選択的に90度または180度だけ回転した位置に装着させるために、同様に接点ショルダー部に対応する第2側壁部をその前端に備えた、第2案内溝が接点要素受入れ手段の他方の側面に設けられる。
【0008】
本発明に基づいて提供される特徴により、コネクタハウジングの少なくとも1つの接点用穴部には選択的に第1位置または他の位置において接点要素を装着することができる。本発明は、異なる接点要素装着構造に対して変更を要しないコネクタハウジングを提供する。したがって、接点要素の装着構成に関する特別な要求に対して迅速に対処することができる。別々のハウジング設計をもはや必要としない事実により、大量生産および在庫保有上のメリットが得られる。
【0009】
接点用穴部の背面開口という設計により、接点要素を省力的な挿入工程によってコネクタハウジングに容易に取り付けることができる。
【0010】
本発明に係るプラグインコネクタの1つの長所は、完全に実装されたプラグインコネクタも変更可能であるという事実にある。なぜならば、接点要素を接点用穴部から後方に引き抜いて、必要に応じて90度または180度だけ回転した位置に再度挿入できるからである。例えば、初期の第1の長さの接点要素をそれとは別の長さの接点要素と交換することができる。
【0011】
本発明に係るプラグインコネクタの特に実質的な長所は、接点要素が既に印刷回路基板に半田付けされた、プラグインコネクタの実装状態でも、個別の接点要素が交換可能であるという点にある。
【0012】
修理の場合には、破損した、摩滅した、あるいはその他の欠陥のある接点要素をコネクタハウジングの前面から引き抜くことができ、さらに、特に初期組立工程時に接点要素の前方接点ショルダー部を支持する第1側壁部の特定の設計によって、第1側壁部を曲げる、あるいは破断させるようにすることができる。第2案内溝および第2側壁部が90度または180度回転した位置に選択的に設けられるという事実により、当該接点要素はプラグインコネクタの前面から再度接点用穴部に挿入され、さらに90度または180度回転させられ得るが、この場合には、接点要素の前方接点ショルダー部を支持する第2側壁部がプラグインコネクタの前面からの接点要素の再度の組立て中に損傷しないことが前提となる。
【0013】
本発明に係るプラグインコネクタのその他の長所および構成は、従属請求項に明示されている。
【0014】
ある実施形態では、案内溝は接点要素受入れ手段の側面に関して回転対称的に配置されるということが提供される。これにより、組立て状態で接点用穴部内に配置される接点要素部分に種々の形状を与えることができる。
【0015】
ある実施形態によれば、接点要素受入れ手段は、正方形接点要素を受け入れるために、正方形断面を有する。別の形態によれば、接点要素受入れ手段は、長方形接点要素を受け入れるために、長方形断面を有する。これにより、本発明に係るプラグインコネクタは、例えば耐電流性能または高周波特性などに関する特定の要件に応じて最適化が可能な種々の形状の接点要素に適合させることができる。例えば、長方形構造の接点要素は特に低インダクタンス値を提供するゆえに、実装されたプラグインコネクタは特に優れた高周波特性を発揮する。
【0016】
組立工程に関する特別な柔軟性は、接点用穴部が互いに交差して配置される2つの接点要素受入れ手段を含む場合に得られる効果である。これにより、接点要素を選択的に90度または180度だけ回転した位置に取り付けることができる。そのような構造の場合には、最初の側壁部に加えて3つの追加側壁部が設けられるため、接点要素の最初の組立て後に当該接点要素は回転により3回の修理を行うことができる。接点用穴部は第1案内溝に加えて、接点要素受入れ手段の反対側の単一の第2案内溝を設けることによって、低コストの構造が得られる。
【0017】
ある実施形態は、取り付けられた接点要素が最小引抜力と最大引抜力との間の所定の力を加えることによってプラグインコネクタの前面を経て接点用穴部から引き抜かれることが可能となる第1側壁部の剛性に関する。
【0018】
修理のために、この第1側壁部の剛性は、接点要素が前面から引き抜かれる際に該側壁部が曲げられる、あるいは破断させられるように決めることができる。この際に考慮すべきは、引き抜かれた接点要素はもはや使用できないことである。
【0019】
本発明に係るプラグインコネクタの別の有利な構成によれば、接点要素の前方接点ショルダー部は、第1側壁部および第2側壁部で支持される。好ましくは、接点要素固定手段は特定構造の後方傾斜部を有する。
【0020】
修理時に新たな側壁部として機能する第2側壁部の剛性および上記後方傾斜部は互いに調整され、プラグインコネクタの前部から接点要素を取り付ける際には、後方傾斜部は第2側壁部を僅かに曲げる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のいくつかの実施例を以下に説明するが、それらは各図において示されている。
【0022】
図1は、構成要素を取り付けた状態の本発明に係るプラグインコネクタ10の前部斜視図である。プラグインコネクタ10は、コネクタハウジング12内に配置された複数の接点要素11a,11b,11cを含む。図示された例では、コネクタハウジング12は接点要素11a,11b,11cと同様に挿入方向14に延びる側面案内要素13a,13b,13c,13dを含む。図示された実施例では、接点要素11a,11b,11cの接点ピン16a,16b,16cがプラグインコネクタ10の前面15に配置され、接点要素11a,11b,11cの半田付け用継目18a,18b,18cがプラグインコネクタ10の背面に配置されている。
【0023】
図2および図3は、例えば互いに隣接してプラグインコネクタ10内に設置された3つの接点要素11a,11b,11cの斜視図である。図1に示された部品と同一の図2および図3に示された部品には、同じ参照番号が付けられている。この原則はその他の図面にも適用される。図示された実施形態において、接点要素11a,11b,11cは接点ピン16a,16b、16cとして具現されている。本発明に係るプラグインコネクタ10の接点要素11a,11b,11cはまた、接点クリップとして構成することもできる。接点ピン16a,16b,16cは、異なる長さを有してもよい。
【0024】
接点要素11a,11b,11cは、例えばエンボス加工により接点ブレード16a,16b,16cの一側面に形成される接点要素固定手段21a,21b,21cを含む。これらの接点要素固定手段21a,21b,21cのそれぞれは、前方接点ショルダー部22a,22b,22cならびに後方傾斜部23a,23b,23cを含む。接点要素固定手段21a,21b,21cは、以下の各図に示された側壁部と協働する。
【0025】
図4は、本発明に係るプラグインコネクタ10の背面17の詳細上面図を示す。図示されているのは背面に向けて開口した接点用穴部30であり、挿入方向14において延びている。この接点用穴部30は、接点要素受入れ手段31および接点要素受入れ手段31の一方の側面に設けられた第1案内溝32aと、接点要素受入れ手段31の他方の側面に設けられた第2案内溝32bとを含む。
【0026】
第1案内溝32aの前端は第1側壁部34aにより画定されており、また第2案内溝32bは第2の側壁部34bにより画定されている。2つの案内溝32a,32bは、接点要素受入れ手段31の中心軸33に関して左右対称に配置される。
【0027】
接点要素受入れ手段31は、接点要素11a,11b,11cを受け入れるための矩形断面を有する。接点要素11a,11b,11cが先ず接点用穴部30内に装着されると、接点要素11a,11b,11cの接点要素固定手段21a,21b,21cは、第1案内溝32aまたは第2案内溝32bのいずれかに挿入され得る。挿入先の選択が可能であるために、プラグインコネクタ10の生産をより柔軟に行うことができる。図示された実施形態では、接点要素固定手段21a,21b,21cが第1案内溝32aと係合している。この場合には、第2案内溝32bは空のままである。
【0028】
接点要素11a,11b,11cの前方接点ショルダー部22a,22b,22cは、取付状態では第1側壁部34aにより支持され、それによって、接点要素11a,11b,11cが接点用穴部30において適所に固定され、プラグインコネクタ10から前方へ抜け落ちることが阻止される。側壁部34aは、接点要素11a,11b,11cをプラグインコネクタ10から前方へ引き抜くのに要する引抜力を特定の値に決定する機能を果たす。
【0029】
プラグインコネクタ10の接点要素11a,11b,11cに作用する機械的負荷のために、各接点要素11a,11b,11cが湾曲あるいは破断する恐れがある。プラグインコネクタ10に対して多数回の挿入作業が行われる場合には、各接点要素11a,11b,11cの表面に損傷が生じ得る。その際には、接点要素11a,11b,11cの半田付け端子18a,18b,18cを基板(詳細を図示せず)、例えば背面に半田付けした多数の既存の半田継目によって、プラグインコネクタ10全体を交換することは極めて煩雑な作業となるであろう。
【0030】
このプラグインコネクタ10では、第1案内溝32aに加えて、少なくとも1つの別の案内溝32bを設けることにより、損傷した接点要素11a,11b,11cのみの半田除去を行ってプラグインコネクタ10を修理することができる。半田除去を行った後に、当該接点要素11a,11b,11cを側壁部34aの抵抗を抑えてプラグインコネクタ10の前面15を経て接点用穴部30から引き抜く。このためには、引抜力を越える力を加える必要がある。
【0031】
当該接点要素11a,11b,11cを引き抜く際の側壁部34aの挙動は、側壁部34aの剛性を指定することにより予め決定することができる。例えば引抜き作業中に側壁部34aのみが前方接点ショルダー部22aによって変形するように、剛性を指定することができる。あるいは、前方接点ショルダー部22a,22b,22cが引出し作業中に側壁部34aを破断させるように、剛性を指定することができる。
【0032】
次に接点要素11a,11b,11cは、図4に示された例では例えば180度回転させられる。その後に接点要素11a,11b,11cは、プラグインコネクタ10の前面15から挿入方向14に挿入され、再度接点用穴部30へ装着される。この作業中に接点要素固定手段21a,21b,21cの後方傾斜部23a,23b,23cは、当初の挿入先とは異なるという意味で「他方の」案内溝の「他方の」側壁部、すなわち図示された例では第2案内溝32bの第2側壁部34bを曲げていき、最終的には、接点要素11a,11b,11cが側壁部34bを損傷することなく接点用穴部30の接点要素受入れ手段31に押し込まれるように作用する。修理後に、前方接点ショルダー部22a,22b,22cは取付状態において、他方の側壁部34b上で支持される。
【0033】
後方傾斜部23a,23b,23cならびに少なくとも1つの他方の側壁部34bの剛性は、適正に調整されなければならない。修理のときにプラグインコネクタ10の前面15から接点要素11a,11b,11cを押し込む作業は、第1側壁部34aが破断してもはや存在しないか、または、接点要素固定手段21a,21b,21cが他方の側壁部34bを通過する際に接点要素11a,11b,11cが僅かにでも第1案内溝32aに進入できる程度まで変形、すなわち曲げられることで促進される。
【0034】
接点要素11a,11b,11cの組立てを促進するために、組み立てられた接点要素11a,11b,11cと側壁部34a,34bとの間に空隙35a,35bを設けることができる。少なくとも、空隙35bは少なくとも1つの他方の案内溝32bに設けられる。
【0035】
図5は、同様に長方形の接点要素受入れ手段41および接点要素受入れ手段41の反対側に配置された2つの側壁部44a,44bを備えた2つの案内溝42a,42bからなる接点用穴部40の実施形態を示す。図5に示された実施形態において、案内溝42a,42bは、図4に示された実施形態におけるように接点要素受入れ手段41の中心線43に関してもはや左右対称ではなく、回転対称で配置される。接点用穴部40の実施形態は、詳細には示されていない接点要素11a,11b,11cの中心線の横方向に配置された接点要素固定手段21a,21b,21cと協働するように設計されている。
【0036】
図6は、正方形断面の接点要素11a,11b,11cを受け入れるための正方形断面を備えた接点用穴部50の実施形態を示す。さらに、4つの案内溝52a,52b,52c,52dは、接点用穴部50の中心線53に関して互いに鏡像対称的に配置されている。
【0037】
正方形断面を備えた接点要素11a,11b,11cは、特に低周波の大電流を送るのに適している。但し、上記の構成において使用された長方形断面と比べて、この場合にはインダクタンスが増加する。したがって、長方形接点要素11a,11b,11cに基づく図4および図5に示された構成は、低インダクタンスが高周波まで保証する必要がある、優れた高周波特性を備えたプラグイン型接続を実現するのに特に適している。同様に、接点要素11a,11b,11cの均一な形状は、プラグインコネクタ10全体に対する低インダクタンスを達成するために寄与する。
【0038】
2つ以上の案内溝52a,52b,52c,52dを有する図6に示された実施形態は、コネクタハウジング12において、より多くのスペースを必要とするが、他方ではより多くの回数の修理の可能性を提供する。例えば図示された実施形態では3回の修理を行うことができる。
【0039】
図7は、図6に類似した実施形態を示すが、図7では、案内溝62a,62b,62c,62dは接点要素受入れ手段51の中心線53に関してもはや鏡像対称的に配置されておらず、単に回転対称で配置されている。
【0040】
図8は、互いに交差する長方形断面を備えた2つの接点要素受入れ手段71a,71bに基づく接点用穴部70の別の実施形態を示す。この実施形態では、両接点要素受入れ手段71a,71bの中心軸73は互いに合致している。
【0041】
図8に示された実施形態は、本発明に係るプラグインコネクタ10の製造中における接点要素11a,11b,11cの装着態様の選択肢を増加させる。すなわち、長方形断面を備えた接点要素11a,11b、11cを使用する場合、汎用コネクタハウジング12は、事前に組み立て可能であって、接点要素11a,11b,11cが第1方向に向けられるべきであるか、あるいはその第1方向から90度だけ回転させた方向に向けられるべきであるかという決定は、接点要素11a,11b,11cがコネクタハウジング12に装着される時点に行うことが可能である。なお、図8に示された実施形態では、接点要素11a,11b、11cの180度の回転はいつでも可能である。
【0042】
同様に、図9は互いに交差する長方形断面を備えた2つの接点要素受入れ手段71a,71bを備えた接点用穴部80の実施形態を示す。案内溝82a,82b,82c,82dは、図8に示された実施形態のように接点要素受入れ手段71a,71bの中心線73に関してもはや鏡像対称的に配置されておらず、単に回転対称で配置されている。
【0043】
図10は、接点要素11a,11b,11cが装着されていない状態のプラグインコネクタ10の背面17の斜視図である。同図は、一例として図4の接点用穴部30に基づいている。図10は、案内溝32a,32bの側壁部34a,34bの位置を示している。
【0044】
図11は、接点要素11a,11b,11cが装着された状態のプラグインコネクタ10の背面17の斜視図である。図では、接点要素11a,11b,11cの半田付け端子18a,18b,18cのみがコネクタハウジング12の背面から突き出ている。
【0045】
図12は、プラグインコネクタ10の横断面図を示す。図12は接点用穴部30,40,50,60,70,80に対応した図であるが、図示された実施形態は図4に示された接点用穴部30に基づいている。接点要素11a,11b,11cは装着状態で示されており、接点要素固定手段21a,21b,21cの前方接点ショルダー部22a,22b,22cは第1案内溝32aの第1側壁部34aと接触している。
【0046】
図13は、装着された接点要素11aの部分を備えたコネクタハウジング12の前面15の斜視図を示す。長方形断面を備えた接点ブレード16aとして実現される接点要素11aが示されている。さらに、図4に示された接点用穴部と同様に構成された接点用穴部30が設けられている。したがって、案内溝32a,32bの側壁部34a,34bは接点ブレード16aの両方の広幅面側に位置している。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】構成要素を取り付けた状態の本発明に係るプラグインコネクタの前面斜視図である。
【図2】接点要素の斜視図である。
【図3】接点要素の斜視図である。
【図4】異なる構造を備えた接点用穴部の背面の上面図である。
【図5】異なる構造を備えた接点用穴部の背面の上面図である。
【図6】異なる構造を備えた接点用穴部の背面の上面図である。
【図7】異なる構造を備えた接点用穴部の背面の上面図である。
【図8】異なる構造を備えた接点用穴部の背面の上面図である。
【図9】異なる構造を備えた接点用穴部の背面の上面図である。
【図10】構成要素を取り付けていない本発明に係るプラグインコネクタの背面の上面図である。
【図11】構成要素を取り付けた状態の本発明に係るプラグインコネクタの背面の上面図である。
【図12】本発明に係るプラグインコネクタの横断面図である。
【図13】構成要素の一部を取り付けた状態の本発明に係るプラグインコネクタの前面斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
11a,11b,11c…接点要素、
12…コネクタハウジング、
21a,21b,21c…接点要素固定手段、
22a,22b,22c…前方接点ショルダー部、
23a,23b,23c…後方傾斜部、
31,51,71a,71b…接点要素受入れ手段、
32a,42a,52a,62a,72a,82a…第1案内溝、
34a,44a,54a,64a,74a,84a…第1側壁部、
32b,42b,52b,52c,52d,62b,62c,62d,72b,72c,72d,82b,82c,82d…第2案内溝、
34b,44b,54b,54c,54d,64b,64c,64d,74b,74c,74d,84b,84c,84d…第2側壁部、
30,40,50,60,70,80…接点用穴部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面に向けて開口した接点用穴部を有するコネクタハウジングを備えたプラグインコネクタであって、
前記接点用穴部は、
前方接点ショルダー部を有する接点要素固定手段が設けられた接点要素、を受け入れるための接点要素受入れ手段と、
前記接点要素固定手段を案内するための案内溝と、を含み、
当該案内溝は、
前記接点要素受入れ手段の一方の側面に配置され、前記前方接点ショルダー部に対応する第1側壁部が前端に設けられた第1案内溝と、
前記接点要素受入れ手段の他方の側面に配置され、前記接点要素を90度または180度回転させた位置のいずれかにおいて選択的に装着可能となるように、前記前方接点ショルダー部に対応する第2側壁部が前端に設けられた第2案内溝と、を含む、
プラグインコネクタ。
【請求項2】
前記案内溝は、接点要素受入れ手段の中心軸に関して回転対称配置で設けられることを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項3】
前記接点要素は正方形接点要素であって、
前記接点要素受入れ手段は当該正方形接点要素を受け入れるための正方形断面を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項4】
前記接点要素は長方形接点要素であって、
前記接点要素受入れ手段は当該長方形接点要素を受け入れるための長方形断面を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項5】
前記接点要素は長方形接点要素であって、
前記接点用穴部は、当該長方形接点要素を90度または180度回転させた位置のいずれかにおいて選択的に受け入れるため、互いに交差した配置で設けられる2つの接点要素受入れ手段を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項6】
前記第2案内溝が前記第1案内溝の反対側に設けられることを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項7】
前記第1側壁部の剛性は、取り付けられた接点要素が最小引抜力と最大引抜力との間の所定の力を加えることによって、挿入方向における前面を経て前記接点用穴部から引き抜くことが可能となるようにして決定されることを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項8】
前記第1側壁部の剛性は、前記接点要素が引き抜かれる際に、前記接点要素固定手段の前方接点ショルダー部が第1側壁部を曲げるようにして決定されることを特徴とする、請求項1または7に記載のプラグインコネクタ。
【請求項9】
前記第1側壁部の剛性は、前記接点要素が引き抜かれる際に、前記接点要素固定手段の前方接点ショルダー部が第1側壁部を破断させるようにして決定されることを特徴とする、請求項1または7に記載のプラグインコネクタ。
【請求項10】
前記接点要素の前方接点ショルダー部は、前記第1側壁部および第2側壁部で支持されることを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項11】
前記接点要素固定手段は後方傾斜部を有することを特徴とする、請求項10に記載のプラグインコネクタ。
【請求項12】
前記接点要素固定手段は後方傾斜部を有しており、
接点要素がプラグインコネクタの前面から引き抜かれる際に、後方傾斜部が前記第2側壁部を曲げるように、第2側壁部の剛性および後方傾斜部が調整されることを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載のプラグインコネクタ。
【請求項1】
背面に向けて開口した接点用穴部を有するコネクタハウジングを備えたプラグインコネクタであって、
前記接点用穴部は、
前方接点ショルダー部を有する接点要素固定手段が設けられた接点要素、を受け入れるための接点要素受入れ手段と、
前記接点要素固定手段を案内するための案内溝と、を含み、
当該案内溝は、
前記接点要素受入れ手段の一方の側面に配置され、前記前方接点ショルダー部に対応する第1側壁部が前端に設けられた第1案内溝と、
前記接点要素受入れ手段の他方の側面に配置され、前記接点要素を90度または180度回転させた位置のいずれかにおいて選択的に装着可能となるように、前記前方接点ショルダー部に対応する第2側壁部が前端に設けられた第2案内溝と、を含む、
プラグインコネクタ。
【請求項2】
前記案内溝は、接点要素受入れ手段の中心軸に関して回転対称配置で設けられることを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項3】
前記接点要素は正方形接点要素であって、
前記接点要素受入れ手段は当該正方形接点要素を受け入れるための正方形断面を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項4】
前記接点要素は長方形接点要素であって、
前記接点要素受入れ手段は当該長方形接点要素を受け入れるための長方形断面を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項5】
前記接点要素は長方形接点要素であって、
前記接点用穴部は、当該長方形接点要素を90度または180度回転させた位置のいずれかにおいて選択的に受け入れるため、互いに交差した配置で設けられる2つの接点要素受入れ手段を有することを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項6】
前記第2案内溝が前記第1案内溝の反対側に設けられることを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項7】
前記第1側壁部の剛性は、取り付けられた接点要素が最小引抜力と最大引抜力との間の所定の力を加えることによって、挿入方向における前面を経て前記接点用穴部から引き抜くことが可能となるようにして決定されることを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項8】
前記第1側壁部の剛性は、前記接点要素が引き抜かれる際に、前記接点要素固定手段の前方接点ショルダー部が第1側壁部を曲げるようにして決定されることを特徴とする、請求項1または7に記載のプラグインコネクタ。
【請求項9】
前記第1側壁部の剛性は、前記接点要素が引き抜かれる際に、前記接点要素固定手段の前方接点ショルダー部が第1側壁部を破断させるようにして決定されることを特徴とする、請求項1または7に記載のプラグインコネクタ。
【請求項10】
前記接点要素の前方接点ショルダー部は、前記第1側壁部および第2側壁部で支持されることを特徴とする、請求項1に記載のプラグインコネクタ。
【請求項11】
前記接点要素固定手段は後方傾斜部を有することを特徴とする、請求項10に記載のプラグインコネクタ。
【請求項12】
前記接点要素固定手段は後方傾斜部を有しており、
接点要素がプラグインコネクタの前面から引き抜かれる際に、後方傾斜部が前記第2側壁部を曲げるように、第2側壁部の剛性および後方傾斜部が調整されることを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載のプラグインコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−130569(P2008−130569A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302391(P2007−302391)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(595178771)エルニ エレクトロニクス ゲーエムベーハー (16)
【氏名又は名称原語表記】ERNI Electronics GmbH
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(595178771)エルニ エレクトロニクス ゲーエムベーハー (16)
【氏名又は名称原語表記】ERNI Electronics GmbH
【Fターム(参考)】
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