説明

プラスチック基礎製品

【課題】簡易な構成を持ちその性質を使用しやすいプラスチック基礎製品とその製造方法を提供する。
【解決手段】所定の断面が互いに境界面で接する少なくとも第一領域P1と第二領域P2とを含む複数の領域に区分され、前記第一領域P1が熱可塑性樹脂組成物製の第一素材ででき、前記第二領域P2が熱可塑性樹脂をひとつの主要成分とする常温でゼリー状の第二素材ででき、前記第一素材と前記第二素材とが前記第一領域と前記第二領域との前記境界面Wで結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック基礎製品とそれを製造する製造方法とにかかるものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂製の素材とオイル成分(例えば、パラフィンオイル)を加熱混合した後に冷却させると、常温でゲル状のプラスチック基礎製品を作ることをできる。
【0003】
例えば、熱可塑性樹脂製の素材とオイル成分(例えば、パラフィンオイル)を加熱混合して金型ダイスを通した後で冷却させると、常温でゲル状の長尺部材であるプラスチック基礎製品を作ることをできる。
このようにしてできたプラスチック基礎製品は、家電、自動車等のシール、パッキンとして用いたり、免震用または制振用の基礎構造に組み込む免震要素に用いたりすことができる。
この様なプラスチック基礎製品は、ゲル状の特異な性質を利用することができるが、取り扱いにおいて注意が必要であった。
例えば、対象物へ接着しても接着力を大きく出来ない。対象物に取り付けられる形状を設けても、その形状が容易に変形していまい外れる恐れがある。
例えば、板状のプラスチック基礎製品を対象物に接着させたときに、プラスチック基礎製品に力が作用すると、容易にプラスチック基礎製品が剥がれて巻物状にくるまってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた要望に鑑み案出されたもので、簡易な構成を持ちその性質を使用しやすいプラスチック基礎製品とその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係るプラスチック基礎製品を、所定の断面が互いに境界面で接する少なくとも第一領域と第二領域とを含む複数の領域に区分され、前記第一領域が熱可塑性樹脂組成物製の第一素材ででき、前記第二領域が熱可塑性樹脂をひとつの主要成分とする常温でゲル状の第二素材ででき、前記第一素材と前記第二素材とが前記第一領域と前記第二領域との前記境界面で結合している、ものとした。
【0006】
上記本発明の構成により、所定の断面が互いに境界面で接する少なくとも第一領域と第二領域とを含む複数の領域に区分される。前記第一領域が熱可塑性樹脂組成物製の第一素材でできている。前記第二領域が熱可塑性樹脂をひとつの主要成分とする常温でゲル状の第二素材でできている。前記第一素材と前記第二素材とが前記第一領域と前記第二領域との前記境界面で結合している。
その結果、前記第一領域により取り扱いが容易であり、前記第二領域によりゲル状の前記第二素材の機能を発揮させることをできる。
【0007】
以下に、本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0008】
本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品は、プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられるものであり、前記第一領域が対象物に嵌合可能な形状を持つ嵌合部を形成される。
上記の実施形態の構成により、前記第一領域が対象物に嵌合可能な形状である嵌合部を形成される。
その結果、前記嵌合部により対象物に取り付けて、ゲル状の前記第二素材の機能を発揮させることをできる。
【0009】
本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品は、プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられるものであり、前記第一領域が対象物に接着可能な平面である接着面を形成される。
上記の実施形態の構成により、前記第一領域が対象物に接着可能な平面である接着面を形成される。
その結果、前記接着面により対象物に取り付けて、ゲル状の前記第二素材の機能を発揮させることをできる。
【0010】
本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品は、プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられたときに前記第二領域が雰囲気に露出する表面である露出面の少なくとも一部を形成する。
上記の実施形態の構成により、プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられたときに前記第二領域が雰囲気に露出する表面である露出面の少なくとも一部を形成する。
その結果、前記第一領域で対象物に取り付けて、ゲル状の前記第二素材が雰囲気に露出して機能を発揮させることをできる。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るプラスチック基礎製品を製造するプラスチック基礎製品製造方法を、熱可塑性樹脂組成物製の第一素材を押し出す第一押し出し工程と、熱可塑性樹脂をひとつの主要成分とする第二素材を押し出す第二押し出し工程と、前記第一素材と前記第二素材とを金型ダイスに通して重ね合わせて長手部材であるプラスチック基礎製品を成形する成形工程と、を備え、第二素材が常温でゲル状である、ものとした。
【0012】
上記本発明の構成により、第一押し出し工程で、熱可塑性樹脂組成物製の第一素材を押し出す。第二押し出し工程で、熱可塑性樹脂をひとつの主要成分とする第二素材を押し出す。成形工程で、前記第一素材と前記第二素材とを金型ダイスに通して重ね合わせて長手部材であるプラスチック基礎製品を成形する。第二素材が常温でゲル状である。
その結果、前記第一領域により取り扱いが容易であり、前記第二領域によりゲル状の前記第二素材の機能を発揮させることをできるプラスチック基礎製品を製造できる。
【0013】
以下に、本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品製造方法を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0014】
本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品製造方法は、第一素材の熱可塑性樹脂と前記第二素材の熱可塑性樹脂とが同系の熱可塑性樹脂である、。
上記の実施形態の構成により、第一素材の熱可塑性樹脂と前記第二素材の熱可塑性樹脂とが同系の熱可塑性樹脂である。
その結果、前記第一素材と前記第二素材とが前記第一領域と前記第二領域との前記境界面で結合しやすくなる。
【0015】
本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品製造方法は、プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられるものであり、前記第一領域が対象物に嵌合可能な形状を持つ嵌合部を形成される。
上記の実施形態の構成により、前記第一領域が対象物に嵌合可能な形状である嵌合部を形成される。
その結果、前記嵌合部により対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材の機能を発揮させることをできるプラスチック基礎製品を製造できる。
【0016】
本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品製造方法は、プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられるものであり、前記第一領域が対象物に接着可能な平面である接着面を形成される。
上記の実施形態の構成により、前記第一領域が対象物に接着可能な平面である接着面を形成される。
その結果、前記接着面により対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材の機能を発揮させることをできるプラスチック基礎製品を製造できる。
【0017】
本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品製造方法は、プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられたときに前記第二領域が雰囲気に露出する表面である露出面の少なくとも一部を形成する。
上記の実施形態の構成により、プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられたときに前記第二領域が雰囲気に露出する表面である露出面の少なくとも一部を形成する。
その結果、前記第一領域で対象物に取り付けて、ゲル状の前記第二素材が雰囲気に露出して機能を発揮させることをできるプラスチック基礎製品を製造できる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係るプラスチック基礎製品は、その構成により、以下の効果を有する。
プラスチック基礎製品の断面が少なくとも第一領域と第二領域とで区分され、第一領域が熱可塑性樹脂組成物でできた第一素材ででき、第二領域が常温でゲル状の第二素材ででき、第一素材と第二素材とが結合している様にしたので、前記第一領域により取り扱いが容易であり、前記第二領域によりゲル状の前記第二素材の機能を発揮させることをできる。
また、前記第一領域が対象物に嵌合可能な形状を形成する様にしたので、第一領域を嵌合させて対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材の機能を発揮させることをできる。
また、前記第一領域が対象物に接着可能な平面を形成する様にしたので、第一領域で接着させて対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材の機能を発揮させることをできる。
また、プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられたときに前記第二領域が雰囲気に露出する表面の少なくとも一部を形成する様にしたので、第一領域で対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材が雰囲気に露出して機能を発揮させることをできる。
【0019】
また、本発明に係るプラスチック基礎製品製造方法は、その構成により、以下の効果を有する。
熱可塑性樹脂組成物製の第一素材を押し出し、常温でゲル状である第二素材を押し出し、前記第一素材と前記第二素材とを金型ダイスに通して重ね合わせて長手部材であるプラスチック基礎製品を成形する様にしたので、
前記第一領域により取り扱いが容易であり、前記第二領域によりゲル状の前記第二素材の機能を発揮させることをできるプラスチック基礎製品を製造できる。
また、第一素材の熱可塑性樹脂と前記第二素材の熱可塑性樹脂とが同系の熱可塑性樹脂である様にしたので、前記第一素材と前記第二素材とが前記第一領域と前記第二領域との前記境界面で結合しやすくなる。
また、前記第一領域が対象物に嵌合可能な形状を形成する様にしたので、第一領域を嵌合させて対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材の機能を発揮させることをできるプラスチック基礎製品を製造できる。
また、前記第一領域が対象物に接着可能な平面を形成する様にしたので、第一領域で接着させて対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材の機能を発揮させることをできるプタスチック基礎製品を製造できる。
また、プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられたときに前記第二領域が雰囲気に露出する表面の少なくとも一部を形成する様にしたので、第一領域で対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材が雰囲気に露出して機能を発揮させることをできる。
従って、簡易な構成を持ちその性質を使用しやすいプラスチック基礎製品とその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るプラスチック基礎製品の斜視図である。
【図2】本発明の第二の実施形態に係るプラスチック基礎製品の斜視図である。
【図3】本発明の第三の実施形態に係るプラスチック基礎製品の斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品の嵌合部の例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品製造方法のフロー図である。
【図6】本発明の実施形態にかかるプラスチック基礎製品製造装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
最初に、本発明の第一の実施形態にかかるプラスチック基礎製品を説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るプラスチック基礎製品の斜視図である。
【0023】
第一の実施形態にかかるプラスチック基礎製品は、所定の断面を持つ。
断面は、互いに境界面Wで接する少なくとも第一領域P1と第二領域P2とを含む複数の領域Pに区分される。
例えば、断面は、互いに境界面Wで接する第一領域P1と第二領域P2とに区分される。
【0024】
第一領域P1は、熱可塑性樹脂組成物製の第一素材11でできる。
第一素材11の熱可塑性樹脂は、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、塩ビ系樹脂のうちの一つであっても良い。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーであってもよい。
熱可塑性樹脂組成物は、可塑剤を含んだものであってよい。
【0025】
第二領域P2は、熱可塑性樹脂をひとつの主要成分とする常温でゲル状の第二素材12でできている。
ここで、「ゲル」とは、「コロイド粒子または高分子溶質が相互作用のために独立した運動性を失って集合した構造をもち、固化した状態」、または「コロイド液全体が分散媒を含んだまま流動性を失い弾性的なかたまりとなった状態」をいう。
「ゲル状」とは、「ゲルの様な状態」の意味である。
第二素材の熱可塑性樹脂は、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、塩ビ系樹脂のうちの一つであっても良い。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーであってもよい。
熱可塑性樹脂組成物は、可塑剤を含んだものであってよい。
第二素材は、熱可塑性樹脂とオイルとを加熱混合したものを冷却させたものであってもよい。この様にするとゲル化して常温でゲル状になる。
例えば、オイルは、パラフィン系オイルであってもよい。
第二素材が粘着接着樹脂を成分として含んでもよい。
例えば、粘着接着樹脂はテンペル樹脂である。
第二素材は、発泡樹脂であってもよい。
第二素材は、透明であってもよい。
【0026】
第一素材11と第二素材12とが第一領域P1と第二領域P2との境界面Wで結合している。境界面Wは明確な境目を持つ。
例えば、第一素材11と第二素材12とが第一領域P1と第二領域P2との境界面Wで分子結合している。
【0027】
第一素材11の熱可塑性樹脂と第二素材12の熱可塑性樹脂とは同系の熱可塑性樹脂であってもよい。
例えば、第一素材11の熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂またはスチレン系樹脂のうちの一つであって、第二素材12の熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂またはスチレン系樹脂のうちの一つであってもよい。
例えば、第一素材11の熱可塑性樹脂がウレタン系樹脂であって、第二素材12の熱可塑性樹脂がウレタン系樹脂であってもよい。
例えば、第一素材11の熱可塑性樹脂が塩ビ系樹脂であって、第二素材12の熱可塑性樹脂が塩ビ系樹脂であってもよい。
この様にすると、第一領域P1と第二領域P2とを一体として成形する時に、第一素材11と第二素材12とが第一領域P1と第二領域P2との境界面Wで分子結合しやすくなる。
【0028】
第一領域P1は、対象物に嵌合可能な形状を持つ嵌合部Gを形成される。
図1には、第一領域P1がT字状の凸形状をもつ嵌合部Gを形成されるのを示す。
【0029】
プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられたときに第二領域が雰囲気に露出する表面である露出面Hの少なくとも一部を形成してもよい。
図1は、第二領域P2が断面から見て半分の円弧状の輪郭を持つ露出面Hを持つの示している。
この様にすると、例えば、嵌合部Gで対象物の基礎構造に嵌合させ、露出面Hを対象物の上部構造に接触させて、第二領域の第二素材が特別な拘束なく変形し対象物の免震若しくは制振することができ、または対象物をシールすることができる。
また、プラスチック基礎製品を緩衝材(例えば、プロテクタ、コーナーガード)として使用することができる。
【0030】
次に、本発明の第二の実施形態にかかるプラスチック基礎製品を説明する。
図2は、本発明の第二の実施形態に係るプラスチック基礎製品の斜視図である。
【0031】
第二の実施形態にかかるプラスチック基礎製品は、所定の断面を持つ。
断面は、互いに境界面Wで接する少なくとも第一領域P1と第二領域P2とを含む複数の領域Pに区分される。
例えば、断面は、互いに境界面Wで接する第一領域P1と第二領域P2と第三領域P3とに区分される。
【0032】
第一領域P1と第三領域P3とは、熱可塑性樹脂組成物製の第一素材11、第三素材13で各々にできる。
第一素材11と第三素材13の熱可塑性樹脂は、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、塩ビ系樹脂のうちの一つであっても良い。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーであってもよい。
熱可塑性樹脂組成物は、可塑剤を含んだものであってよい。
【0033】
第二領域P2は、熱可塑性樹脂をひとつの主要成分とする常温でゲル状の第二素材12でできている。
第二素材の熱可塑性樹脂は、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、塩ビ系樹脂のうちの一つであっても良い。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーであってもよい。
熱可塑性樹脂組成物は、可塑剤を含んだものであってよい。
第二素材は、熱可塑性樹脂とオイルとを加熱混合したものを冷却させたものであってもよい。この様にするとゲル化して常温でゲル状になる。
例えば、オイルは、パラフィン系オイルであってもよい。
第二素材が粘着接着樹脂を成分として含んでもよい。
例えば、粘着接着樹脂はテンペル樹脂である。
第二素材は、発泡してもよい。
【0034】
第一素材11と第二素材12とが第一領域P1と第二領域P2との境界面Wで結合し、第二素材12と第三素材13とが第二領域P2と第三領域P3との境界面Wで結合する。
例えば、第一素材11と第二素材12とが第一領域P1と第二領域P2との境界面Wで分子結合し、第二素材12と第三素材13とが第二領域P2と第三領域P3との境界面Wで分子結合する。
【0035】
第一素材11の熱可塑性樹脂と第二素材12の熱可塑性樹脂と第三素材13の熱可塑性樹脂とが同系の熱可塑性樹脂であってもよい。
例えば、第一素材11、第三素材13の熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂またはスチレン系樹脂のうちの一つであって、第二素材12の熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂またはスチレン系樹脂のうちの一つであってもよい。
例えば、第一素材11、第三素材13の熱可塑性樹脂がウレタン系樹脂であって、第二素材12の熱可塑性樹脂がウレタン系樹脂であってもよい。
例えば、第一素材11、第三素材13の熱可塑性樹脂が塩ビ系樹脂であって、第二素材12の熱可塑性樹脂が塩ビ系樹脂であってもよい。
この様にすると、第一領域P1と第二領域P2と第三領域P3とを一体として成形する時に、第一素材と第二素材とが第一領域と第二領域との境界面で結合し、第二素材12と第三素材13とが第二領域P2と第三領域P3との境界面Wで結合しやすくなる。
【0036】
第一領域P1と第三領域P3とは、対象物に嵌合可能な形状を持つ嵌合部Gを形成される。
図2には、第一領域P1がT字状の形状をもつ嵌合部Gを形成され、第三領域P3がT字状の形状をもつ嵌合部Gを形成されるのを示す。
【0037】
プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられたときに第二領域が雰囲気に露出する表面である露出面Hの少なくとも一部を形成してもよい。
図2は、第二領域P2が断面から見て1対の側面をもつのを示している。
この様にすると、例えば、一方の嵌合部Gで対象物の基礎構造に嵌合させ、一方の嵌合部Gで対象物の上部構造に嵌合させて、第二領域の第二素材が特別な拘束なく変形し対象物の免震または制振をすることができる。
【0038】
以下に、本発明の実施形態にかかるプラスチック基礎製品の嵌合部の実例を説明する。
図4は、本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品の嵌合部の例を示す図である。
図4(A)〜(D)は、長手部材であるプラスチック基礎製品を長手方向に沿って見た断面を示す。
図4(A)は、先に説明したT字形状の断面を持つ嵌合部と対象物に嵌合する様子を示す。四辺形の空隙を持ち四辺形の1辺で外側に開放された溝が、対象物に設けられる。嵌合部Gがこの溝に嵌合する。
図4(B)は、片持ちのレバーの先端に大きな円形を持った断面を持つ嵌合部と対象物に嵌合する様子を示す。四辺形の空隙を持ち四辺形の1辺で外側に開放された溝が、対象物に設けられる。嵌合部Gがこの溝に嵌合する。
図4(C)は、レ状の断面を持つ嵌合部と対象物に嵌合する様子を示す。L字形状の輪郭の空隙を持ちL字形状の根本で外側に開放された溝が、対象物に設けられる。嵌合部Gがこの溝に嵌合する。
図4(D)は、矢印状の断面を持つ嵌合部と対象物に嵌合する様子を示す。四辺形の空隙を持ち四辺形の1辺で外側に開放された溝が、対象物に設けられる。嵌合部Gがこの溝に嵌合する。
【0039】
次に、本発明の第三の実施形態にかかるプラスチック基礎製品を説明する。
図3は、本発明の第三の実施形態に係るプラスチック基礎製品の斜視図である。
【0040】
第三の実施形態にかかるプラスチック基礎製品は、所定の断面を持つ。
断面は、互いに境界面Wで接する少なくとも第一領域P1と第二領域P2とを含む複数の領域Pに区分される。
例えば、断面は、互いに境界面Wで接する第一領域P1と第二領域P2とに区分される。
【0041】
第一領域P1は、熱可塑性樹脂組成物製の第一素材11でできる。
第一素材11の熱可塑性樹脂は、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、塩ビ系樹脂のうちの一つであっても良い。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーであってもよい。
熱可塑性樹脂組成物は、可塑剤を含んだものであってよい。
【0042】
第二領域P2は、熱可塑性樹脂をひとつの主要成分とする常温でゲル状の第二素材12でできている。
第二素材の熱可塑性樹脂は、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、塩ビ系樹脂のうちの一つであっても良い。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーであってもよい。
熱可塑性樹脂組成物は、可塑剤を含んだものであってよい。
第二素材は、熱可塑性樹脂とオイルとを加熱混合したものを冷却させたものであってもよい。この様にするとゲル化して常温でゲル状になる。
例えば、オイルは、パラフィン系オイルであってもよい。
第二素材が粘着接着樹脂を成分として含んでもよい。
例えば、粘着接着樹脂はテンペル樹脂である。
第二素材は、発泡してもよい。
第二素材は、透明であってもよい。
【0043】
第一素材11と第二素材12とが第一領域P1と第二領域P2との境界面Wで結合している。
例えば、第一素材11と第二素材12とが第一領域P1と第二領域P2との境界面Wで分子結合している。
【0044】
第一素材11の熱可塑性樹脂と第二素材12の熱可塑性樹脂とが同系の熱可塑性樹脂であってもよい。
同系の熱可塑性樹脂の組合せは、第一の実施形態にかかるプラスチック基礎製品での説明と同じなので、説明を省略する。
この様にすると、第一領域P1と第二領域P2とを一体として成形する時に、第一素材11と第二素材12とが第一領域P1と第二領域P2との境界面で分子結合やすくなる。
【0045】
第一領域P1は、対象物に接着可能な面である接着面Dを形成される。
図3には、第一領域P1が接着面Dを形成されるのを示す。
【0046】
プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられたときに第二領域が雰囲気に露出する表面である露出面Hの少なくとも一部を形成してもよい。
図3は、第二領域P2が平面状の露出面Hを持つのを示している。
この様にすると、例えば、接着面Dで対象物の基礎構造に接着させ、露出面Hを対象物の上部構造に接触させて、第二領域の第二素材が特別な拘束なく変形し対象物の免震または制振し、または対象物をシールすることができる。
また、プラスチック基礎製品を緩衝材(例えば、プロテクタ、コーナーガード)として使用することができる。
【0047】
次に、本発明の実施形態にかかるプラスチック基礎製品製造方法を、図を基に、説明する。
図5は、本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品製造方法のフロー図である。
図6は、本発明の実施形態にかかるプラスチック基礎製品製造装置の概念図である。
【0048】
プラスチック基礎製品製造方法は、プラスチック基礎製品を製造する方法であって、第一押し出し工程S11と第二押し出し工程S12と成形工程S20とで構成される。
【0049】
第一押し出し工程S11は、熱可塑性樹脂組成物製の第一素材を押し出す工程である。
例えば、第一押し出し工程S11は、加熱混合されて溶融した第一素材11を押し出す。
熱可塑性樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂組成物、ポリウレタン樹脂組成物、ポリスチレン樹脂組成物のうちの一つであっても良い。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーであってもよい。
熱可塑性樹脂組成物は、可塑剤を含んだものであってよい。
【0050】
第二押し出し工程S12は、熱可塑性樹脂をひとつの主要成分とする第二素材を押し出す工程である。
例えば、第二押し出し工程S12は、加熱混合されて溶融した第二素材を押し出す。
第二素材は、常温でゲル状である。
熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン樹脂組成物、ポリウレタン樹脂組成物、ポリスチレン樹脂組成物のうちの一つであっても良い。
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーであってもよい。
熱可塑性樹脂組成物は、可塑剤を含んだものであってよい。
第二素材は、熱可塑性樹脂とオイルとを混合したものである。
第二素材を加熱混合して冷却するとゲル化して常温でゲル状になる。
例えば、オイルは、パラフィン系オイルであってもよい。
第二素材が粘着接着樹脂を成分として含んでもよい。
例えば、粘着接着樹脂はテンペル樹脂である。
第二素材は、発泡樹脂であってもよい。
【0051】
第一素材の熱可塑性樹脂と第二素材の熱可塑性樹脂とが同系の熱可塑性樹脂であってもよい。
同系の熱可塑性樹脂の意味は、プラスチック基礎製品での説明と同じなので、説明を省略する。
【0052】
成形工程は、第一素材11と第二素材12とを金型ダイスに通して重ね合わせて長手部材であるプラスチック基礎製品を成形する工程である。
例えば、溶融した第一素材11と溶融した第二素材12とを金型ダイスを通して重ね合わせて成形する。
成形されたものを冷却槽140に通して冷却する。
冷却すると第二素材がゲル状になる。
【0053】
第一素材11と第二素材12とを重ね合わせた構造は、前述したプラスチック基礎製品の構造と同じなので、説明を省略する。
【0054】
次に、本発明の実施形態にかかるプラスチック基礎製品製造装置100の一例を、図を基に、説明する。
図6は、本発明の実施形態にかかるプラスチック基礎製品製造装置の概念図である。
プラスチック基礎製品製造装置100は、プラスチック基礎製品10を製造するための装置であって、第一押し出し装置111と第二押し出し装置112と成形装置(ヘッド)120と金型ダイス130と冷却槽140とで構成される。
【0055】
第一押し出し装置111は、第一素材11を溶融させて押しだす装置である。
第二押し出し装置112は、第二素材12を溶融させて押しだす装置である。
成形装置120は、第一素材11と第二素材12と金型ダイス130に通して重ね合わせて長手部材であるプラスチック基礎製品を成形する装置である。
冷却槽140が、プラスチック基礎製品を冷却する槽である。
【0056】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品は、その構成により、以下の効果を有する。
プラスチック基礎製品10の断面が少なくとも第一領域P1と第二領域P2とで区分され、第一領域P1が熱可塑性樹脂組成物でできた第一素材11ででき、第二領域P2が常温でゲル状の第二素材12ででき、第一素材11と第二素材12とが結合している様にしたので、第一領域P1により取り扱いが容易であり、第二領域P2によりゲル状の第二素材の機能を発揮させることをできる。
プラスチック基礎製品10の断面が少なくとも第一領域P1と第二領域P2と第三領域P3とで区分され、第一領域P1が熱可塑性樹脂組成物でできた第一素材11ででき、第二領域P2が常温でゲル状の第二素材12ででき、第三領域P3が熱可塑性樹脂組成物でできた第三素材13ででき、第一素材11と第二素材12と第三素材13とが結合している様にしたので、第一領域P1と第三領域P3とにより取り扱いが容易であり、第二領域P2によりゲル状の第二素材の機能を発揮させることをできる。
また、第一領域P1が対象物に嵌合可能な形状を形成する様にしたので、第一領域P1を嵌合させて対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材12の機能を発揮させることをできる。
また、第一領域P1と第三領域P3が対象物に嵌合可能な形状を形成する様にしたので、第一領域P1と第三領域P3とを嵌合させて対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材12の機能を発揮させることをできる。
また、第一領域P1が対象物に接着可能な平面を形成する様にしたので、第一領域P1で接着させて対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材12の機能を発揮させることをできる。
また、プラスチック基礎製品10が対象物に取り付けられたときに第二領域P2が雰囲気に露出する表面の少なくとも一部を形成する様にしたので、第一領域P1で対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材P2が雰囲気に露出して機能を発揮させることをできる。
また、第二素材が粘着接着樹脂を成分として含む様にしたので、第一領域で対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材の機能と粘着機能または接着機能とを発揮させることをできる。
【0057】
また、本発明の実施形態に係るプラスチック基礎製品製造方法は、その構成により、以下の効果を有する。
熱可塑性樹脂組成物製10の第一素材11を押し出し、常温でゲル状である第二素材12を押し出し、第一素材11と第二素材12とを金型ダイス130に通して重ね合わせて長手部材であるプラスチック基礎製品10を成形する様にしたので、
第一領域P1により取り扱いが容易であり、第二領域P2によりゲル状の第二素材の機能を発揮させることをできるプラスチック基礎製品を製造できる。
また、第一素材11の熱可塑性樹脂と第二素材12の熱可塑性樹脂とが同系の熱可塑性樹脂である様にしたので、第一素材11と第二素材12とが第一領域P1と第二領域P2との境界面で結合しやすくなる。
また、第一領域P1が対象物に嵌合可能な形状を形成する様にしたので、第一領域P1を嵌合させて対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材P2の機能を発揮させることをできるプラスチック基礎製品を製造できる。
また、第一領域P1が対象物に接着可能な平面を形成する様にしたので、第一領域P1で接着させて対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材P2の機能を発揮させることをできるプラスチック基礎製品を製造できる。
また、プラスチック基礎製品10が対象物に取り付けられたときに第二領域P2が雰囲気に露出する表面の少なくとも一部を形成する様にしたので、第一領域P1で対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材P2が雰囲気に露出して機能を発揮させることをできる。
また、第二素材12が粘着接着樹脂を成分として含む様にしたので、第一領域P1で対象物に取り付けて、ゲル状の第二素材12の機能と粘着機能または接着機能とを発揮させることをできるプラスチック基礎製品を製造できる。
従って、簡易な構成を持ちその性質を使用しやすいプラスチック基礎製品とその製造方法を提供できる。
【0058】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
プラスチック基礎製品を長手部材として説明したがこれに限定されず、例えば、他の形状でもよい。
プラスチック基礎製品を押し出し成形で製造する例で説明したがこれに限定されず、例えば、射出成形で製造してもよい。
プラスチック基礎製品に設ける嵌合部がT字状の凸形状であるとして説明したがこれに限定ざれず、例えば、T字状の凹形状であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
P 領域
P1 第一領域
P2 第二領域
P3 第三領域
W 境界面
G 嵌合部
D 接着面
H 露出面
10 プラスチック基礎製品
11 第一素材
12 第二素材
13 第三素材
100 プラスチック基礎製品製造装置
110 押し出し装置
111 第一押し出し装置
112 第二押し出し装置
120 成形装置
130 金型ダイス
140 冷却槽
S11 第一押し出し工程
S12 第二押し出し工程
S20 成形工程
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2007−274782号
【特許文献2】特開2000−102920号
【特許文献3】特開2001−058319号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック基礎製品であって、
所定の断面が互いに境界面で接する少なくとも第一領域と第二領域とを含む複数の領域に区分され、
前記第一領域が熱可塑性樹脂組成物製の第一素材ででき、
前記第二領域が熱可塑性樹脂をひとつの主要成分とする常温でゲル状の第二素材ででき、
前記第一素材と前記第二素材とが前記第一領域と前記第二領域との前記境界面で結合している、
ことを特徴とするプラスチック基礎製品。
【請求項2】
プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられるものであり、
前記第一領域が対象物に嵌合可能な形状を持つ嵌合部を形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック基礎製品。
【請求項3】
プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられるものであり、
前記第一領域が対象物に接着可能な平面である接着面を形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック基礎製品。
【請求項4】
プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられたときに前記第二領域が雰囲気に露出する表面である露出面の少なくとも一部を形成する、
ことを特徴とする請求項2または請求項3のうちのひとつに記載のプラスチック基礎製品。
【請求項5】
プラスチック基礎製品を製造するプラスチック基礎製品製造方法であって、
熱可塑性樹脂組成物製の第一素材を押し出す第一押し出し工程と、
熱可塑性樹脂をひとつの主要成分とする第二素材を押し出す第二押し出し工程と、
前記第一素材と前記第二素材とを金型ダイスに通して重ね合わせて長手部材であるプラスチック基礎製品を成形する成形工程と、
を備え、
前記第二素材が常温でゲル状である、
ことを特徴とするプラスチック基礎製品製造方法。
【請求項6】
第一素材の熱可塑性樹脂と前記第二素材の熱可塑性樹脂とが同系の熱可塑性樹脂である、
ことを特徴とする請求項5に記載のプラスチック基礎製品製造方法。
【請求項7】
プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられるものであり、
前記第一領域が対象物に嵌合可能な形状を持つ嵌合部を形成される、
ことを特徴とする請求項5に記載のプラスチック基礎製品製造方法。
【請求項8】
プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられるものであり、
前記第一領域が対象物に接着可能な平面である接着面を形成される、
ことを特徴とする請求項5に記載のプラスチック基礎製品製造方法。
【請求項9】
プラスチック基礎製品が対象物に取り付けられたときに前記第二領域が雰囲気に露出する表面である露出面の少なくとも一部を形成する、
ことを特徴とする請求項7または請求項8のうちのひとつに記載のプラスチック基礎製品製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−194753(P2010−194753A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39789(P2009−39789)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(594034005)ホッティーポリマー株式会社 (4)
【Fターム(参考)】