説明

プラスチック材料製チューブを切断するためのプライヤー

本発明は、それぞれが対応する直径のチューブを収納するようになっている、幅が異なる複数のノッチ(41、42、43)を具備する第1レバー(1)と、刃(5)を支持する第2レバー(2)とを含む、プラスチック材料製チューブを切断するためのプライヤーに関する。レバーは旋回軸(3)上で相互に連接される。第1レバー(1)は、ホイール(4)を対応する位置に回転させることにより、チューブの直径に従って選択されたノッチが刃(5)と対向するようノッチ(41、42、43)が外周に設けられるホイール(4)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック材料製チューブを切断するためのプライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、プラスチック材料製チューブを正確かつシャープに切断できることが必要である。さらに、新しい設備の一環でそのようなチューブを切断する場合には、比較的短時間で、しかしながら必要な精度で、大量のチューブを切断できることが必要である。そのような条件下では、鋸を使用するか、植木バサミに似たプライヤーを使用してそのようなチューブを切断しようとすることは、切断精度の面からも切断速度の面からも不十分である。
また、電気設備内においてプラスチック材料製チューブがケーブルの被覆として使われる時には、異なる直径のチューブを切断できることが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、高速かつ正確な切断という利点と様々な直径のチューブの切断という利点とを結びつけたプラスチック材料製チューブを切断するためのプライヤーを提供することである。
本発明の目的は、切断すべきチューブを受け入れるための開位置と切断後の閉位置との間を旋回することができるようにする旋回軸上で相互に連接された第1レバーおよび第2レバーを含む、プラスチック材料製チューブを切断するためのプライヤーにより達成される。第1レバーは、それぞれが対応する直径のチューブを収納するようになっている、幅が異なる複数のノッチを具備する。第2レバーは刃を支持する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、プライヤーは第1レバー上に回動可能に取り付けられたホイールを備える。このホイールの外周には、対応するホイールを回転させることにより、チューブの直径に従って選択されたノッチが刃と対向するようノッチが設けられる。
本発明のこの構成により、ただ1つのプライヤーにより、少なくとも2つの異なる直径のチューブを切断することが可能になる。ホイール内に設けることができるノッチ数、したがって同一のプライヤーで切断することができるチューブの様々な直径の数は、チューブの直径およびホイールの直径の双方に依存することが容易に理解できる。この意味において、3つの異なる直径のチューブを切断するように本発明のプライヤーが作製されるという図示し、以下に説明する実施形態は、単に実施の一例に過ぎず、限定的なものであるとみなしてはならない。
【0005】
さらに本発明のプライヤーは、少なくとも2つの以下の追加的特徴のうちの1つをもつことができる:
【0006】
− 刃が、間に尖端を形成する連続する2つの部分を有し、したがって刃が鈍角を有する尖った刃である。
【0007】
− 各ノッチの幅が、そのノッチが収納するようになっているチューブの直径よりも小さい。
【0008】
上に示した2つの追加的特徴はそれぞれ独自の方法で、プライヤーを用いる作業をさらに容易にすることに寄与する。
実際、尖った刃を使用することにより、チューブの外周のある点からチューブの切断を開始し、この点を基点として相反する2つの方向にチューブに切り目を入れながら切断を続けることができる。
【0009】
また、チューブの直径よりも若干小さい幅のノッチを使用することにより、結果として、チューブがノッチ内に挿入される時、チューブが若干変形する。すると、当初は円形であったチューブの断面が楕円形の断面になり、円周のうちで最も湾曲した部分が刃の側に向くようになる。したがって、切断を開始するために刃がチューブを押圧するようになっても、チューブが刃の先端の圧力を受けて潰れるおそれはない。
【0010】
本発明は、単独の特徴、あるいは技術的に可能なあらゆる組合せによる特徴としての以下の特徴にも関する:
【0011】
− ホイールが、第1レバー内に収納された同一の回転軸上で軸方向に相互に間隔が取られている相互に平行な2つのディスクで構成され、回転軸がレバーの旋回軸と平行な向きに向けられる。
【0012】
− 各ディスクがノッチと同数の突起を含み、各ノッチについてホイールの停止位置を指示するために、突起が、レバーに設けた2つの穴と協働するようになっている。
【0013】
− 第1レバーが、ホイールがその間に回動可能に取り付けられる2つの分枝を含み、2つの分枝がそれぞれ、2つのディスクの回転軸を越えたところで、穴を具備した分枝端により終端すること、および各ディスクがノッチと同数の突起を具備し、選択されたノッチについてホイールの停止位置を指示するために、各突起が、対応する分枝端の穴と協働するようになっている。
【0014】
− ディスクが復元力に逆らって他方のディスク側に若干移動するよう回転軸に取り付けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の他の特徴および利点は添付の図面を参照して行う1つの実施形態についての以下の説明から明らかになろう。
【0016】
プラスチック材料製チューブを切断するよう設計され、開位置状態を図1に示し閉位置状態を図2に示す本発明のプライヤーは、第1レバー1および第2レバー2を含む。2つのレバーは、切断すべきチューブを受け入れるための開位置と切断後の閉位置との間を相互に旋回することができるようにする旋回軸3上で相互に連接される。第1および第2レバー1、2は、長手方向にほぼU字上に折り曲げられた金属形鋼で構成されるのが有利である。これらの形鋼のうち一方は他方よりも狭いため入れ子になり、旋回軸3上で連接される。
【0017】
第2レバー2は、尖端53をその間に形成する連続する2つの部分51、52を有する刃5を支持するが、第1レバー1は、それぞれ幅dが異なり、切断する直径Dのチューブを収納するようになっている3つのノッチ41、42、43を具備するホイール4を支持する。これら各ノッチの幅dは、各ノッチが割り当てられるチューブの直径Dよりも若干小さい。本発明のこのような設計のため、基本的にチューブの切断は2段階で行われる。第1段階では、チューブを対応するノッチの入口にセットし、次いで、刃によりチューブをノッチに挿入するとともにチューブを局部的に変形させる。第2段階ではチューブを切断する。
【0018】
ホイール4は、同一の回転軸11上で軸方向に相互に間隔が取られている相互に平行な2つのディスク44、45で構成される。軸11は、第1レバー内、より正確には、第1レバー1の終端にある2つの分枝14、15のそれぞれの中に収納される。回転軸11はレバー1、2の旋回軸3と平行な向きに向けられる。
2つのディスク44、45は、パンチングによって得られた3つの突起46をそれぞれ備える。突起46はレバー1の対応する分枝の方向に延び、具体的には、ディスク44の突起46はレバー1の分枝14の方向を向き、ディスク45の突起46はレバー1の分枝13の方向を向く。
【0019】
レバー1の2つの分枝13、14はそれぞれ、2つのディスク44、45の回転軸11を越えたところで、分枝端16、17によって終端する。図1および図2に示す実施形態によれば、レバー1の終端には、レバー1の全体面に対して横方向の部分が分枝端16、17を構成するL字形の2つの分枝13、14がある。これらの各分枝端16、17は、選択したノッチについてホイール4の停止位置を指示するために、各ディスク44、45の3つの突起46のうちの1つが協働する穴12、13を備える。したがって、図1に示す位置では、レバー1の分枝端16の穴12に挿入されたディスク44の突起46は、ホイール4のノッチ42の正確な位置決めを行う突起である。時計回りではこの突起の次に、ノッチ41の正確な位置決めを行う突起46があり、次にノッチ43の正確な位置決めを行う突起46がある。ホイール4の位置を変えるには、ディスク44、45がばね18の復元力に逆らって他方のディスク側に若干移動することができるよう回転軸11に取り付けられるということを利用する。その結果、現在定位置にあるノッチとは反対側の2つのディスク44、45、すなわち図1によれば、2つの対応する突起46がそれぞれ穴12および13に挿入されるところのホイール4の縁部を押すと、穴12、13からこれらの突起46が出て、それにより他の2つのノッチうちの一方、すなわち41または43、が定位置に来るまでホイールを回転させることができる。
【0020】
突起および穴のこの配置、特にそれらの協働により、プライヤーのユーザーは、その手が刃5に接近することによる重大な結果から保護される。特にプライヤーが開位置にある時にユーザーが刃5に近い部分でホイール4のディスクを把握すると、ホイール4のこの部位内のディスク44、45が接近することにより、突起46を穴12および13から抜く代わりに、これらの穴への突起の押し込みを増加させるようになる。その結果、回転軸11を基準として刃とは反対側に位置するホイール4の部位を押すだけでディスク44、45を開放し、ホイールを新しい位置に回転させることができる。
【0021】
むしろ3つの分枝の星の星座を想像させるディスク44、45の特別な形状は、本発明の原理から逸脱することなく、図2に点線で示すような円形の円周CCを有する2つのディスクに置き換えることができることを理解することは容易である。
プライヤーを閉位置に固定するために、プライヤーは、ここではレバー2に取り付けられた旋回ラッチ22の形状の固定手段21と、レバー1内に設けられた対応するノッチ23とを具備する。さらに本発明によるプライヤーは、手の保護として、またより簡単にプライヤーを把握できるよう、チューブの切断中に小さな事故が発生した場合、主に手を保護するようになっている平坦なバンプ33、34を備えたプラスチック製のスリーブ31、32を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】開位置にある本発明によるプライヤーを示す図である。
【図2】閉位置にある図1のプライヤーを示す図である。
【図3】本発明によるプライヤーへのチューブの挿入の開始を示す図である。
【図4】本発明によるプライヤーを用いたチューブの切断の開始を示す図である。
【図5】プライヤーの旋回軸に対し直角な視点で図2のプライヤーを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断すべきチューブを受け入れるための開位置と切断後の閉位置との間を旋回することができるようにする旋回軸(3)上で相互に連接された第1レバー(1)および第2レバー(2)を含み、第1レバー(1)が、それぞれが対応する直径のチューブを収納するように、幅が異なる複数のノッチ(41、42、43)を具備し、第2レバー(2)が刃(5)を支持する、プラスチック材料製チューブを切断するためのプライヤーにおいて、
第1レバー(1)上に回動可能に取り付けられたホイール(4)であって、その外周に、ホイール(4)が対応する位置に回転された時、チューブの直径に従って選択されたノッチが刃(5)と対向するようノッチ(41、42、43)が設けられるホイール(4)を具備することを特徴とするプライヤー。
【請求項2】
刃(5)が、尖端(53)をその間に形成する連続する2つの部分(51、52)を有することを特徴とする請求項1に記載のプライヤー。
【請求項3】
各ノッチ(41、42、43)の幅が、ノッチが収納するようになっているチューブの直径よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のプライヤー。
【請求項4】
ホイール(4)が、第1レバー(1)内に収納された同一の回転軸(11)上で軸方向に相互に間隔が取られている相互に平行な2つのディスク(44、45)で構成され、回転軸(11)がレバー(1、2)の旋回軸(3)と平行な向きに向けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のプライヤー。
【請求項5】
各ディスク(44、45)がノッチ(41、42、43)と同数の突起(46)を含み、各ノッチについてホイール(4)の停止位置を指示するために、突起(46)が、レバー(1)に設けた2つの穴(12、13)と協働するようになっていることを特徴とする請求項4に記載のプライヤー。
【請求項6】
第1レバー(1)が、ホイール(4)がその間に回動可能に取り付けられる2つの分枝(14、15)を含み、2つの分枝(14、15)がそれぞれ、2つのディスク(44、45)の回転軸(11)を越えたところで、穴(12、13)を具備した分枝端(16、17)により終端すること、および各ディスク(44、45)がノッチ(41、42、43)と同数の突起(46)を具備し、選択されたノッチ(41、42または43)についてホイール(4)の停止位置を指示するために、各突起(46)が、対応する分枝端(16または17)の穴(12または13)と協働するようになっていることを特徴とする請求項4に記載のプライヤー。
【請求項7】
ディスク(44、45)が復元力に逆らって他方のディスク側に若干移動するよう回転軸(11)に取り付けられることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載のプライヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−527761(P2007−527761A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502363(P2007−502363)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000410
【国際公開番号】WO2005/097435
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(506302206)エタブリッスマン ピエール・グレアル エ コンパニー エス・アー (2)
【Fターム(参考)】