説明

プラスチック製ボトルの破砕・回収装置

【課題】環境負荷軽減、経済性向上等の観点における分散処理方式の資源再生方法の優位性を損なうことなく、破砕機能を備えた分散処理方式のプラスチック製ボトル回収ボックスを小型化する。
【解決手段】プラスチック製ボトル(P)の破砕・回収装置(1)は、ボトル投入装置(2)、シュート(3)、搬送装置(4)、破砕装置(6)及び回収容器(7)を有する。搬送装置の搬送面(E)は、水平面に対して65度以上の角度(θ)で傾斜し、シュートの壁体部分は、移送装置の搬送面によって部分的に形成される。シュートの底面、破砕装置のボトル受入口および搬送装置のボトル搬送具は、櫛状部材(36,72,51b)によって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製ボトルの破砕・回収装置に関するものであり、より詳細には、プラスチック製ボトルを回収ボックス内で破砕する分散処理方式の資源再生方法において好適に使用可能なプラスチック製ボトルの破砕・回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ペットボトル等のプラスチック製ボトルの資源再生(リサイクル)においては、地方自治体等が地域の適所に回収ボックスを設置し、回収ボックスに投入されたプラスチック製ボトルを過渡的に保管し、或いは、回収ボックス内で圧縮・減容した後、地方自治体等(又はその委託業者)が減容前又は減容後のプラスチック製ボトルを収集して資源再生施設に運搬する方式が採用されている。資源再生施設に収集したプラスチック製ボトルの回収品は、資源再生施設において選別され、粉砕機等によって粉砕・洗浄され、脱水・乾燥処理等の工程を経てペレット化される。この種の資源再生施設は、例えば、特開2010-105223号公報(特許文献1)に記載されるように、比較的大規模な資源再生設備を要する。
【0003】
このような中央処理方式の資源再生方法においては、破砕前のプラスチック製ボトルを収集して資源再生施設に運搬する必要が生じるが、破砕前のプラスチック製ボトルは、回収ボックスにおいて圧縮・減容したとしても、依然として嵩が大きく、このため、収集・運搬のために比較的大きな輸送エネルギーを要するとともに、収集及び輸送のために比較的煩雑な作業や、比較的高額なコストを要するので、環境負荷軽減、経済性向上等の点において難点がある。
【0004】
このような中央処理方式の資源再生方法に対し、投入されたプラスチック製ボトルを回収ボックス内で破砕する破砕機能を回収ボックスに付加し、破砕後のプラスチック製ボトルを資源再生施設に輸送する分散処理方式の資源再生方法が提案されている。このような資源再生方法によれば、破砕によって大きく減容した比較的多量の廃プラスチックを回収ボックス内に過渡的に保管し得ることから、回収ボックスと資源再生施設との間の輸送頻度が低減するとともに、大規模設備の非効率的稼働に伴う電力エネルギー等の無駄を排除することが可能となるので、環境負荷軽減、経済性向上等の点において有利である。
【0005】
このような破砕機能を備えた回収ボックスが、例えば、特開2008-73964号公報、特開2004-351875号公報、特開平10-211619号公報(特許文献2〜4)に記載されている。この形式の回収ボックスは、プラスチック製ボトルを投入可能な投入口と、投入されたプラスチック製ボトルを回収ボックス内で移送する搬送装置と、プラスチック製ボトルを破砕する破砕装置と、破砕後の廃プラスチックを過渡的に収容する回収容器とを備える。搬送装置及び破砕装置は、プラスチック製ボトルの投入に同期して作動し、プラスチック製ボトルを順次破砕する。所定量の廃プラスチックが回収容器内に貯留され、或いは、予め設定された期間が経過すると、廃プラスチックは資源再生施設に輸送され、資源再生施設において再生処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-105223号公報
【特許文献2】特開2008-73964号公報
【特許文献3】特開2004-351875号公報
【特許文献4】特開平10-211619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このように破砕機能を備えた従来の回収ボックスは外形寸法が大きく、各種の店舗、公共施設等の任意の施設に簡易に設置するのに適していない。このため、回収ボックスの外形を小形化すべく回収容器等を小型化することが試みられるが、このように回収容器等を小型化すると、回収ボックスに保管可能なプラスチック製ボトルの数量が制限されてしまうので、回収ボックスと資源再生施設との間の輸送頻度が増大し、従って、中央処理方式に対する分散処理方式の優位性が損なわれる。このため、破砕機能を備えた分散処理方式の回収ボックスは、環境負荷軽減、経済性向上等の観点において本質的に有利であることが明白であるにもかかわらず、容易に普及し難い事情がある。
【0008】
また、破砕機能を備えた従来の回収ボックスにおいては、搬送装置及び破砕装置の作動は、プラスチック製ボトルの投入に同期し又は連動し、従って、ボトル投入に相応して比較的高い頻度で非効率的に稼働する。このため、電力エネルギー等の無駄の排除という観点においても、破砕機能を備えた回収ボックスの構成を更に改善すべき余地が残されている。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、環境負荷軽減、経済性向上等の観点における分散処理方式の優位性を損なうことなく、破砕機能を備えたプラスチック製ボトル回収ボックスを小型化することができるプラスチック製ボトルの破砕・回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成すべく、プラスチック製ボトルを投入可能なボトル投入装置と、前記ボトルを破砕する破砕装置と、投入装置及び破砕装置の間で前記ボトルを移送する搬送装置と、破砕後の廃プラスチックを収容可能な回収容器とを有するプラスチック製ボトルの破砕・回収装置において、
前記ボトル投入装置から重力下に落下した複数の前記ボトルを堆積可能な底部領域を有するシュートを有し、
前記搬送装置の搬送面は、水平面に対して65度以上の角度で傾斜し、前記シュートの壁体部分は、前記移送装置の搬送面によって部分的に形成されており、
前記搬送装置は、前記シュートの底面に堆積した前記ボトルを上方に搬送するボトル搬送具を備えることを特徴とするプラスチック製ボトルの破砕・回収装置を提供する。
【0011】
本発明の上記構成によれば、破砕・回収装置に投入されたペットボトル等のプラスチック製ボトルは、シュート内に堆積する。シュート内のボトルは、搬送装置のボトル搬送具によって破砕装置に搬送される。ボトルを過渡的に滞留させるバッファゾーンとしてシュート内領域が機能することから、搬送装置及び破砕装置は、ボトル投入に同期又は連動してその都度稼働することを要しないので、搬送装置及び破砕装置は、所定量又は所定数のボトルがシュート内に堆積した後に稼働すれば良い(破砕装置の停止時、故障時等においても投入装置が使用可能であればボトルを破砕・回収装置に投入することができる)。従って、搬送装置及び破砕装置の作動頻度を低減し、搬送装置及び破砕装置を効率的に稼働することができるので、電力エネルギー等の無駄を排除することが可能となる。
【0012】
また、本発明の上記構成によれば、搬送装置の搬送面は、水平面に対して65度以上の角度で傾斜し、しかも、シュートの壁体部分は、移送装置の搬送面によって部分的に形成されるので、シュート及び搬送装置が占める領域をコンパクトに設計することができる。
【0013】
本発明の概念は又、プラスチック製ボトルの破砕・回収装置のみならず、破砕困難な金属製飲料容器等を圧縮・減容して一時的に保管する飲料容器回収装置に対しても応用することができる。
【0014】
このような観点より、本発明は、飲料容器を投入可能な容器投入装置と、前記飲料容器を減容する減容装置と、投入装置及び減容装置の間で前記容器を移送する搬送装置と、減容後の前記容器の廃材を収容可能な回収容器とを有する飲料容器の回収装置において、
前記容器投入装置から重力下に落下した複数の前記飲料容器を堆積可能な底部領域を有するシュートを有し、
前記搬送装置の搬送面は、水平面に対して65度以上の角度で傾斜し、前記シュートの壁体部分は、前記移送装置の搬送面によって部分的に形成されており、
前記搬送装置は、前記シュートの底面に堆積した前記飲料容器を上方に搬送する容器搬送具を備えることを特徴とする飲料容器の回収装置を提供する。
【0015】
このような本発明の構成によれば、搬送装置及び減容装置の作動頻度を低減し、搬送装置及び減容装置を効率的に稼働することができるので、電力エネルギー等の無駄の排除することが可能となる。また、搬送装置の搬送面は、水平面に対して65度以上の角度で傾斜し、しかも、シュートの壁体部分は、移送装置の搬送面によって部分的に形成されるので、シュート及び搬送装置が占める領域をコンパクトに設計することができる。
【0016】
好ましくは、上記シュートの底面は、搬送部材の下部領域に向かって突出した櫛状の底部形成部材によって形成されており、上記ボトル搬送具又は容器搬送具は、底部形成部材の櫛歯間領域を通過してシュート内のボトル又は飲料容器を持ち上げて上方に搬送する櫛状プレートを有する。シュートの底面と、搬送装置のボトル搬送具又は容器搬送具とを櫛状部材によって形成することにより、シュート及び搬送装置の各占有空間を空間的に融合することができるので、シュート及び搬送装置が占める領域を極めてコンパクトに設計することができる。
【0017】
更に好ましくは、上記破砕装置又は減容装置は、上記搬送装置によって搬送されたボトル又は飲料容器を受け入れるボトル受入口又は容器受入口と、受入口から搬送部材の上部領域に向かって突出した櫛状の受入れ部材とを有し、搬送装置は、受入れ部材の櫛歯間領域を通過してボトル又は飲料容器を受入れ部材に移行させる櫛状のボトル搬送具又は容器搬送具を有する。搬送装置のボトル搬送具又は容器搬送具と、ボトル又は飲料容器を受入れる破砕装置又は減容装置の受入れ部とを櫛状部材によって形成することにより、破砕装置又は減容装置と搬送装置の各占有空間を空間的に融合することができるので、破砕装置又は減容装置と搬送装置とが占める領域を極めてコンパクトに設計することができる。
【0018】
好適には、ボトル搬送具上又は容器搬送具上のボトル又は飲料容器を搬送面から離間させるスペーサがボトル搬送具又は容器搬送具に隣接してボトル搬送具又は容器搬送具の搬送方向前方に配置される。このようなスペーサは、ボトル搬送具又は容器搬送具から破砕装置又は減容装置の受入れ部へのボトル又は飲料容器の移動を円滑化する。好ましくは、上記搬送面の角度は、水平面に対して70〜85度の角度範囲内に設定される。このような急勾配に搬送装置を設置することにより、搬送装置の占有領域を極めてコンパクトに設計することができる。なお、櫛状の搬送具、底部形成部材及び受入れ部材は、このような急勾配の搬送路においても所望の如く作動することが本発明者の実験により確認された。
【発明の効果】
【0019】
本発明の破砕・回収装置によれば、シュート及び搬送装置等が占める領域をコンパクトに設計することができるので、回収容器等を小型化することなく、破砕機能を備えたプラスチック製ボトル回収ボックスを小型化することができる。
【0020】
また、本発明の破砕・回収装置によれば、所定量又は所定数のプラスチック製ボトルがシュート内に堆積した後に搬送装置及び破砕装置を作動させ、比較的多数のボトルをバッチ処理的に破砕処理することができるので、搬送装置及び破砕装置の作動頻度を低下して搬送装置及び破砕装置を効率的に稼働し、環境負荷軽減、経済性向上等に係る分散処理方式の優位性を確保することができる。
【0021】
更に、本発明の飲料容器回収装置によれば、シュート及び搬送装置等が占める領域をコンパクトに設計することができるので、回収容器等を小型化することなく、減容機能を備えた飲料容器回収ボックスを小型化することができる。
【0022】
また、本発明の飲料容器回収装置によれば、所定量又は所定数の飲料容器がシュート内に堆積した後に搬送装置及び減容装置を作動させ、比較的多数の飲料容器をバッチ処理的に減容処理することができるので、搬送装置及び減容装置の作動頻度を低下して搬送装置及び減容装置を効率的に稼働し、環境負荷軽減、経済性向上等に係る分散処理方式の優位性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の好適な実施形態に係るプラスチック製ボトル回収ボックスの全体構成を示す概略断面図である。
【図2】図2は、図1に示す破砕・回収装置の側面図である。
【図3】図3は、図1に示す破砕・回収装置の縦断面図である。
【図4】図4は、図2のI−I線における断面図である。
【図5】図5は、ボトル搬送具の構成を示す正面図である。
【図6】図6は、ボトル搬送具の構成を示す側面図及び斜視図である。
【図7】図7は、シュートの底壁に堆積したボトルをボトル搬送具によって上方に搬送する過程を示す斜視図であり、ボトル搬送具が底壁の杆材に接近する過程が示されている。
【図8】図8は、シュートの底壁に堆積したボトルをボトル搬送具によって上方に搬送する過程を示す斜視図であり、ボトル搬送具が杆材上のボトルをすくい上げる直前の状態が示されている。
【図9】図9は、シュートの底壁に堆積したボトルをボトル搬送具によって上方に搬送する過程を示す斜視図であり、ボトル搬送具が杆材上のボトルをすくい上げる過程が示されている。
【図10】図10は、シュートの底壁に堆積したボトルをボトル搬送具によって上方に搬送する過程を示す斜視図であり、ボトル搬送具がボトルを持ち上げた状態が示されている。
【図11】図11は、ボトル搬送具上のボトルがボトル搬送具から櫛状支受装置に移動する過程を示す斜視図であり、ボトル搬送具が櫛状支受装置に接近する過程が示されている。
【図12】図12は、ボトル搬送具上のボトルがボトル搬送具から櫛状支受装置に移動する過程を示す斜視図であり、ボトル搬送具が櫛状支受装置にボトルを引き渡す過程が示されている。
【図13】図13は、ボトル搬送具上のボトルがボトル搬送具から櫛状支受装置に移動する過程を示す斜視図であり、ボトル搬送具が櫛状支受装置にボトルを引き渡した状態が示されている。
【図14】図14は、ボトル搬送具上のボトルがボトル搬送具から櫛状支受装置に移動する過程を示す斜視図であり、ボトル搬送具が櫛状支受装置を通過した状態が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の好適な実施形態に係るプラスチック製ボトル回収ボックスの全体構成を示す概略断面図であり、図2及び図3は、図1に示す破砕・回収装置の側面図及び縦断面図である。また、図4は、図2のI−I線における断面図である。
【0025】
廃プラスチック回収ボックス1(以下、「ボックス1」という。)は、比較的コンパクトなサイズに設計されたハウジング11を有する。ハウジング11は、全体的に直方体形状の金属パネル製筐体からなる。ハウジング11内には、投入装置2、シュート3、搬送装置4、破砕装置6及び回収容器7が配設される。ボックス1の側壁には、回収容器7の搬出・搬入用のための開口部(図示せず)が形成され、開閉扉(図示せず)が開口部に取付けられる。ボックス1は、投入装置2、搬送装置4及び破砕装置6の作動を制御するための制御装置8と、ユーザに対してポイント還元を行うためのポイント還元装置9とを有する。
【0026】
ポイント還元装置9は、使用済ペットボトル等のプラスチック製ボトルP(以下、「ボトルP」という。)を投入したユーザに対し、エコポイント等のポイントを還元するためのものである。ボトルPを投入装置2に投入したユーザがポイントカードをポイント還元装置9に挿入すると、所定数のポイントがポイントカードに付与される。ユーザは、所定数のポイントが蓄積したポイントカードを金銭、商品等に交換することができる。なお、このようなポイント還元のシステムは、地方自治体等によって運営される。
【0027】
投入装置2に投入されたボトルPは、シュート3内に重力下に落下し、シュート3の底部に堆積する。シュート3内のボルトPは、搬送装置4によって斜め上方に移送され、破砕装置6内に投入される。破砕装置6は、ボトルPを破砕し、破砕後の廃プラスチックの粉砕片(粉砕チップ)は、回収容器7内に重力下に落下し、回収容器7内に堆積する。
【0028】
投入装置2は、ケーシング20、シャッター付き投入口21、ボトル支承プレート22、揺動ゲート23、プレート駆動装置24及びゲート駆動装置25を備える。投入口21内に投入されたボトルPは、プレート22上に載置される。投入装置2は、ボトルPの投入を検出するボトル投入センサSと、ボトルPの素材を検出する素材認識センサTと、シュート3へのボトルPの落下数を計数するカウンタCとを有する。ボトル投入センサS及び素材認識センサTは、ボトルPの有無又は素材を検出可能な光学式センサからなり、カウンタCは、揺動ゲート23と連動して揺動ゲート23の作動回数をカウントする機械式計数器からなる。ボトル投入センサS、素材認識センサT及びカウンタCは、制御信号線(一点鎖線で示す)によって制御装置8に接続される。また、プレート駆動装置24及びゲート駆動装置25の駆動部が、制御信号線によって制御装置8に接続される。更には、ポイント還元装置9が、制御信号線によって制御装置8に接続される。
【0029】
制御装置8は、プレート22上のボトルPが破砕可能なプラスチック製ボトルではないことを素材認識センサTによって検出すると、プレート駆動装置24を作動させてプレート22を上方に回動させる。プレート22上のボトルPは、プレート22の回動によって投入口21から機外に排出される。制御装置8は、プレート22上のボトルPが破砕可能なプラスチック製ボトルであることを素材認識センサTによって検出すると、ゲート駆動装置25を作動して揺動ゲート23を回動させ、揺動ゲート23を開放する。プレート22上のボトルPは、揺動ゲート23の回動によってシュート3内に重力下に落下する。カウンタCは、ボトルPの落下数を揺動ゲート23の作動回数によって計数し、カウンタCの出力(カウント数)は、制御装置8の記憶部に入力される。なお、投入装置2の処理回数を計数する制御回路等の計数手段を制御装置8に組み込み、カウンタCの設置を省略することも可能である。
【0030】
シュート3は、架台75によって回収ボックス1の床部分12に支持され、或いは、搬送装置4のフレーム40によって支持された側壁31及び底壁32を有する。変形例として、ハウジング11によってシュート3を支持するように構成することも可能である。図2〜図4に示すように、側壁31は、左右の傾斜壁33に連接し、各傾斜壁33は、搬送装置4の両側に配置された左右の側壁34に連接する。図4に示すように、左右の側壁33は離間し、側壁33の間には、搬送装置4が配置される。従って、搬送装置4の搬送面E(図1)は、シュート3の側壁を部分的に形成する。図4に示すように、左右一対の障壁35が、支持部材39によって搬送装置4のフレーム40に固定される。障壁35は、フレーム40に沿って下方に延び、搬送装置4の外側に若干屈曲する。搬送装置4は、シュート3内のボトルPを上方に移送する際、搬送装置4の搬送路外にはみ出したボトルPをシュート3内に落下させる。図3に示すように、底壁32は、側壁31の下端部から突出した基板部37と、基板部37に固定された多数の杆材(ロッド状部材)36とから構成される。杆材36は、所定間隔を隔てて概ね水平に基板部37に固定され、基板部37から水平に突出しており、櫛状の底部形成部材を構成する。
【0031】
搬送装置4は、支持部材76を介して中間部を架台61に支持され且つ架台75によって下部を支持されたフレーム40と、駆動スプロケット42及び従動スプロケット43に巻回された左右一対のローラチェーン41と、ローラチェーン41の間の帯域に張設された面材44とを備える。フレーム40の上部に回転可能に支持された支軸45が、駆動装置46に連結される。支軸45には、左右一対の駆動スプロケット42が固定される。左右一対の従動スプロケット43を回転可能に支持する支軸47が、フレーム40の下部に支持される。ローラチェーン41には、多数のボトル搬送具5が所定間隔を隔てて取付けられる。搬送装置4は、極めて急勾配に傾斜しており、水平面に対する搬送装置4の傾斜角度θ(図1)は、水平面に対して70〜85度、例えば、約80度に設定される。なお、本実施形態において、搬送装置4の搬送面E(図1)は、ローラチェーン41及び面材44によって規定される平面を意味する。
【0032】
図5及び図6は、ボトル搬送具5の構成を示す正面図、側面図及び斜視図である。図5及び図6には、搬送装置4の搬送方向が矢印で示されている。
【0033】
ボトル搬送具5は、搬送方向後方(下方)に配置されたL形のボトルキャリヤ51と、ボトルキャリヤ51の搬送方向前方(上方)に間隔を隔てて配置されたスペーサ52と、キャリヤ51とスペーサ52との間に配置された閉鎖板53と、スペーサ52の搬送方向前方(上方)に配置された閉鎖板54とから構成される。キャリヤ51、スペーサ52及び閉鎖板53、54は、ボルト等の係止具55によってローラチェーン41に係留される。
【0034】
ボトルキャリヤ51は、ローラチェーン41に係留された基板51aと、基板51aから垂直(直角)に延びる櫛状プレート51bとから構成される。櫛状プレート51bは、所定間を隔てた多数の指状部51cを有し、隣接する指状部51cの間には、開口部51dが形成される。指状部51cの間隔は、杆材36の間隔と同一の寸法に設定され、各指状部51bは、ローラチェーン41の駆動時に杆材36の間の領域(櫛歯間領域)を通過するように位置決めされる。
【0035】
スペーサ52は、左右のローラチェーン41を架橋する基板52aと、基板52aから隆起する隆起部52bとから構成される。隆起部52bは、図6に破線で示すように櫛状プレート51bに上に載ったボトルPを基板53から離間させる。閉鎖板53、54は、比較的小寸法のボトルPが隆起部52bの下側又は上側からローラチェーン41の側に突出するのを防止する。
【0036】
図3に示すように、破砕装置6は、一軸破砕機からなり、破砕装置6のケーシング60は、床面12に固定された架台61によって支持される。回収容器7は、架台61の内側の中空領域に収容され、床面12上に配置される。破砕装置6は、電動機等の駆動装置(図示せず)の回転駆動軸62に連結された回転刃63と、回転刃63の下側に配置されたスクリーン64と、動力伝達ベルト69を介して回転駆動軸62に作動的に連結された回転軸65と、回転軸65に一体的に連結されたプッシャ67とを有する。
【0037】
ケーシング60の上部開口68から機内領域に投入されたボトルPは、プッシャ67及び回転刃63の回転駆動により破砕され、スクリーン64の開口を介して回収容器7内に重力下に落下する。上部開口68には、搬送装置4によって搬送されたボトルPを上部開口68内に移行させるための櫛状支受装置70が配設される。櫛状支受装置70は、上部開口68の下縁に沿ってケーシング60に固定された基部71と、基部71に間隔を隔てて突設された多数の杆材(ロッド状部材)72とから構成される。杆材72は、櫛状の受入れ部材を構成する。基部71は、上部開口68の全幅に亘って延在し、杆材72は、所定間隔を隔てて基部71に固定される。杆材72は、搬送装置4の上端部に向かって斜め上方に延びる。杆材72の間隔は、指状部51cの間隔と同一の寸法に設定され、各杆材72は、ローラチェーン41の駆動時に指状部51cが杆材72の間の領域(櫛歯間領域)を通過するように位置決めされる。
【0038】
次に、上記構成の破砕・回収装置を備えたボックス1の作動について説明する。
【0039】
図1に示すように、投入装置2に投入されたボトルPは、シュート3内に重力下に落下し、シュート3の底部に堆積する。シュート3に落下したボトルPの数は、前述の如く、カウンタC等の計数手段によって計数される。制御装置8は、所定数のボトルPがシュート3内に投入されたと判定すると、搬送装置4及び破砕装置6を作動させる。搬送装置4は、ローラチェーン41を搬送方向に駆動し、ボトル搬送具5を搬送方向に移動させる。
【0040】
図7〜図9は、シュート3の底壁32に堆積したボトルPをボトル搬送具5によって上方に搬送する過程を示す斜視図である。
【0041】
図7に示すように、ボトル搬送具5の櫛状プレート51bは、底壁32の下側から上昇し、指状部51cは、図8及び図9に示すように、杆材36の間の開口部38を通過する。開口部38は櫛歯間領域を構成する。指状部51cは、図10に示すように底壁32上のボトルPをすくい上げ、ボトルPを持ち上げる。図3に破線で示すようにボトル搬送具5上に移行したボトルPは、搬送方向(上方)に移送される。スペーサ52は、搬送面EからボトルPを離間させる。各々のボトル搬送具5は、数本のボトルPを搬送する。ボトル搬送具5が底壁32上のボトルPを順次上方に搬送するので、シュート3内のボトルPは、次第に減少し、ついには、底壁32上の全ボトルPが上方に搬送される。各ボトル搬送具5が搬送装置4の最上部に到達すると、図3に破線で示すように下方に反転し、ボトルPを櫛状支受装置70に移行させる。
【0042】
図11〜図14は、ボトル搬送具5上のボトルPがボトル搬送具5から櫛状支受装置70に移動する過程を示す斜視図である。
【0043】
図11に示すように、ボトル搬送具5の櫛状プレート51bは、櫛状支受装置70の杆材72の上方から降下し、指状部51cは、図12及び図13に示すように、杆材72の間の開口部73を通過する。開口部73は櫛歯間領域を構成する。杆材72は、図13及び図14に示すように指状部51c上のボトルPを相対的にすくい上げ、ボトルPを相対的に持ち上げる。杆材72上に移行したボトルPは、杆材72の傾斜によって破砕装置6のケーシング60内に移動する。このようなボトルPの移行過程において、スペーサ52の存在によってローラチェーン41の搬送面Eから離間したボトルPは、円滑に杆材72上に移動する。
【0044】
ボトルPを櫛状支受装置70に移行させたボトル搬送具5は、ローラチェーン41の走行により下方に移動し、搬送装置4の最下部において上方に反転する。ボトル搬送具5は、前述の如く、底壁32上のボトルPをすくい上げ、シュート3内のボトルPを持ち上げる。
【0045】
他方、櫛状支受装置70に移行したボトルPは、杆材72によって破砕装置6内に重力下に落下し、破砕装置6によって破砕される。破砕後の廃プラスチックの粉砕片(粉砕チップ)は、回収容器7内に重力下に落下し、回収容器7内に堆積する。回収容器7内の廃プラスチックは、定期的に回収され、或いは、回収容器7内の廃プラスチックの堆積に応じて回収され、資源再生施設に輸送され、資源再生施設において再生処理される。
【0046】
なお、搬送装置4及び破砕装置6は、シュート3内の全ボトルPを破砕した後に作動を停止される。所望により、シュート3内の全ボトルPが破砕装置6に移送された段階で搬送装置4を停止しても良い。また、搬送装置4の起動よりも若干遅れて破砕装置6を起動させることも可能である。
【0047】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
【0048】
例えば、ボトル搬送具5の間隔、幅、移動速度、杆材36、72の間隔、指状部51cの間隔、搬送装置4の傾斜角度θ、シュート3の容積、破砕装置6の構造又は形式等は、本発明の目的に相応して適宜設計変更することができる。
【0049】
また、回収容器7内に堆積した廃プラスチックの量を監視又は検出する監視設備又は検出装置等を回収ボックス1に設け、回収容器7内の廃プラスチックの量に応じて廃プラスチックを回収するようにする再生資源回収システムを回収ボックス1により構築しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の破砕・回収装置は、使用済ペットボトル等のプラスチック製ボトルを破砕して回収ボックス内に回収し、破砕後の廃プラスチックを過渡的に回収ボックス内に保管する分散処理方式の資源再生方法において好ましく使用される。また、本発明の飲料容器回収装置は、使用済飲料容器を減容して回収ボックス内に回収し、減容後の飲料容器を過渡的に回収ボックス内に保管する分散処理方式の資源再生方法において好ましく使用される。本発明によれば、環境負荷軽減、経済性向上等の観点における分散処理方式の優位性を損なうことなく、破砕機能を備えたプラスチック製ボトル回収ボックス、或いは、減容機能を備えた飲料容器回収ボックスを小型化することができるので、各種の店舗、公共施設等の任意の施設に比較的容易に回収ボックスを設置することが可能になり、従って、本発明は、実用的に極めて有益である。
【符号の説明】
【0051】
1 廃プラスチック回収ボックス
2 投入装置
3 シュート
4 搬送装置
5 ボトル搬送具
6 破砕装置
7 回収容器
8 制御装置
9 ポイント還元装置
11 ハウジング
21 投入口
31、34 側壁
32 底壁
33 傾斜壁
36 杆材(櫛状の底部形成部材)
38 開口部(櫛歯間領域)
40 フレーム
41 ローラチェーン
42 駆動スプロケット
43 従動スプロケット
44 面材
45、47 支軸
46 駆動装置
51 ボトルキャリヤ
51a 基板
51b 櫛状プレート
51c 指状部
51d 開口部(櫛歯間領域)
52 スペーサ
52a 基板
52b 隆起部
53、54 閉鎖板
55 係止具
60 ケーシング
68 上部開口
70 櫛状支受装置
71 基部
72 杆材(櫛状の受入れ部材)
73 開口部(櫛歯間領域)
P プラスチック製ボトル
θ 搬送装置の傾斜角度
E 搬送面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製ボトルを投入可能なボトル投入装置と、前記ボトルを破砕する破砕装置と、投入装置及び破砕装置の間で前記ボトルを移送する搬送装置と、破砕後の廃プラスチックを収容可能な回収容器とを有するプラスチック製ボトルの破砕・回収装置において、
前記ボトル投入装置から重力下に落下した複数の前記ボトルを堆積可能な底部領域を有するシュートを有し、
前記搬送装置の搬送面は、水平面に対して65度以上の角度で傾斜し、前記シュートの壁体部分は、前記移送装置の搬送面によって部分的に形成されており、
前記搬送装置は、前記シュートの底面に堆積した前記ボトルを上方に搬送するボトル搬送具を備えることを特徴とするプラスチック製ボトルの破砕・回収装置。
【請求項2】
前記シュートの底面は、前記搬送部材の下部領域に向かって突出した櫛状の底部形成部材によって形成されており、
前記ボトル搬送具は、前記底部形成部材の櫛歯間領域を通過して前記シュート内の前記ボトルを持ち上げて上方に搬送する櫛状プレートを有することを特徴とする請求項1に記載の破砕・回収装置。
【請求項3】
前記破砕装置は、前記搬送装置によって搬送された前記ボトルを受け入れるボトル受入口と、該受入口から前記搬送部材の上部領域に向かって突出した櫛状の受入れ部材とを有し、
前記搬送装置は、前記受入れ部材の櫛歯間領域を通過して前記ボトルを前記受入れ部材に移行させる櫛状のボトル搬送具を有することを特徴とする請求項1に記載の破砕・回収装置。
【請求項4】
前記搬送面の角度は、水平面に対して70〜85度の角度範囲内に設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の破砕・回収装置。
【請求項5】
前記ボトル搬送具上のボトルを前記搬送面から離間させるスペーサが前記ボトル搬送具に隣接して該ボトル搬送具の搬送方向前方に配置されることを特徴とする請求項2又は3に記載の破砕・回収装置。
【請求項6】
飲料容器を投入可能な容器投入装置と、前記飲料容器を減容する減容装置と、投入装置及び減容装置の間で前記容器を移送する搬送装置と、減容後の前記容器の廃材を収容可能な回収容器とを有する飲料容器の回収装置において、
前記容器投入装置から重力下に落下した複数の前記飲料容器を堆積可能な底部領域を有するシュートを有し、
前記搬送装置の搬送面は、水平面に対して65度以上の角度で傾斜し、前記シュートの壁体部分は、前記移送装置の搬送面によって部分的に形成されており、
前記搬送装置は、前記シュートの底面に堆積した前記飲料容器を上方に搬送する容器搬送具を備えることを特徴とする飲料容器の回収装置。
【請求項7】
前記シュートの底面は、前記搬送部材の下部領域に向かって突出した櫛状の底部形成部材によって形成されており、
前記容器搬送具は、前記底部形成部材の櫛歯間領域を通過して前記シュート内の前記飲料容器を持ち上げて上方に搬送する櫛状プレートを有することを特徴とする請求項6に記載の回収装置。
【請求項8】
前記減容装置は、前記搬送装置によって搬送された前記飲料容器を受け入れる容器受入口と、該受入口から前記搬送部材の上部領域に向かって突出した櫛状の受入れ部材とを有し、
前記搬送装置は、前記受入れ部材の櫛歯間領域を通過して前記飲料容器を前記受入れ部材に移行させる櫛状の容器搬送具を有することを特徴とする請求項6に記載の回収装置。
【請求項9】
前記搬送面の角度は、水平面に対して70〜85度の角度範囲内に設定されることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の回収装置。
【請求項10】
前記容器搬送具上の飲料容器を前記搬送面から離間させるスペーサが前記容器搬送具に隣接して該容器搬送具の搬送方向前方に配置されることを特徴とする請求項7又は8に記載の回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−63534(P2013−63534A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202418(P2011−202418)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(511225642)
【出願人】(511225653)
【出願人】(511225664)
【Fターム(参考)】