説明

プラスチック製眼鏡レンズの製造方法、同製造方法によって製造されるレンズ及び眼鏡レンズ用母型

【課題】眼鏡レンズをモールド成形によって製造する際にレンズの周縁に関して発生する問題を解消するためのプラスチック製眼鏡レンズの製造方法を提供すること。
【解決手段】メニスカス形状のプラス度数のレンズの物体側となる表面を成形するための第1のレンズ面成形面15を有する円形の外周形状をなす第1のモールド12と、レンズの眼球側となる裏面を成形するための円形の外周形状をなす第2のレンズ面成形面17を有する第2のモールド13の外周を粘着テープ14で包囲し所定間隔を空けて対向配置させレンズ用母型を構成する。第1のレンズ面成形面15の周縁には180度対向する位置に凹部16を形成する。そして、粘着テープ14に注入針を突き刺しキャビティ内部にレンズ成形用の成形材料を充填し、加熱することで縁寄り部分に凹部16に対応した膨出部を形成したレンズを得るようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモールドを使用して成形するプラスチック製眼鏡レンズの製造方法、同製造方法によって製造されるレンズ及び眼鏡レンズ用母型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からレンズ成型用の母型のキャビティ内にレンズ成形用の液状成形材料としての熱硬化性プラスチック材料(モノマー)を充填し、これを加熱してレンズを成形する成形方法が知られている。このような成形方法の一例として特許文献1を示す。特許文献1ではその図1及び図2に示すように保持部材としてのガスケット14に対して第1及び第2の型枠12,13(モールド)を装着し母型を構成し、ガスケット14に形成した充填口16から内部に液体状の熱硬化性プラスチック材料を注入し、これを硬化させてプラスチックレンズを得るようにしている。あるいは、このようなガスケットではなく特許文献2のようにレンズを成形する面を所定間隔あけて2つの成形型1、2(モールド)を向いあわせた状態で保持部材として粘着テープ4を使用して母型を構成する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−341538号公報
【特許文献2】特開2003−231135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら従来の成形方法において特に中央から縁にかけて厚みが薄くなっているメニスカス形状のプラスレンズを成形する場合にいくつかの課題が生じる。
まず、特許文献1の図1に示すようにガスケット14側面の充填口16から熱硬化性プラスチック材料を充填する場合では中央寄りが厚くなるプラス度数のレンズを成形する場合において中央を薄くするためには型枠12,13を相互に接近させることとなって縁寄りの間隔が狭くなって充填口16を設けることが困難になってしまうという課題がある。そのため、特許文献1のようなタイプの母型ではプラスレンズを薄く成形しにくいという課題があった。一方、特許文献2では成形型1の縁の一部を切り欠いて部分的に側面の開口面積を大きく設け、それを注入口として注入針7を突き刺してプラスチック材料を注入することが示唆されている。そのため、特許文献2のようなタイプの母型を使用すればプラスレンズの中央寄りを薄く成形することが可能となる。
しかし、プラスレンズの中央寄りを薄く成形するということはレンズの縁部分が非常に薄くなって割れやすくなってしまう。特に母型からの離型時においてこのような割れや欠けという不具合が生じやすかった。また、あまりに縁が薄くなると例えば図13のように眼鏡レンズLの対向する縁位置を指で挟んで保持することも困難となり、成形後にレンズの運搬等に関する取り扱いが不便になってしまう。例えば運搬時に冶具でレンズのフチをはさんで固定する場合に、レンズのフチが薄い部分に力が加わると割れやすくなってしまうわけである。
また、中央よりも縁の方が厚みが厚くなっているメニスカス形状のマイナスレンズを成形する場合においてはプラスレンズのような問題は生じない。しかし、マイナスレンズでは実際には枠入れにおいて不要な部分としてカットされてしまう縁部分が不必要に厚くなるため材料コストが嵩むこととなっていた。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、メニスカス形状のレンズをモールド成形によって製造する際にレンズの周縁に関して発生する問題を解消するためのプラスチック製眼鏡レンズの製造方法、同製造方法によって製造されるレンズ及び眼鏡レンズ用母型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明では、メニスカス形状のプラス度数又はミックス度数のレンズの物体側となる表面を成形するための第1のレンズ面成形面を有する円形の外周形状をなす第1のモールドと、レンズの眼球側となる裏面を成形するための円形の外周形状をなす第2のレンズ面成形面を有する第2のモールドとを保持部材によって同両レンズ面成形面を所定間隔で対向するように保持するとともに、前記保持部材によって前記両レンズ型枠をその外周に沿って包囲することでレンズ形状に対応したキャビティを有するレンズ用母型を構成し、前記第1のモールドの前記第1のレンズ面成形面には前記保持部材に隣接した縁位置において間隔を空けて局所的に複数の切り欠き状の滑面を形成し、前記保持部材の一部に形成した注入口からレンズ成形用の成形材料を前記キャビティ内に充填した後、外部エネルギーを与えて前記成形材料を硬化させてレンズの裏面の視力補正に携わらない縁寄り部分に前記滑面に対応した膨出部を形成したレンズを得るようにしたことをその要旨とする。
また請求項2の発明では請求項1に記載の発明の構成に加え、前記注入口は前記複数の滑面の1つに面した位置に形成されるようにしたことをその要旨とする。
また請求項3の発明では請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記滑面は前記第1のモールドの周方向に沿って帯状に延設され、前記第1のレンズ面成形面の基準面との境界線は前記第1のモールドの外周の曲率よりも小さな曲率の曲線とされていることをその要旨とする。
また請求項4の発明では請求項1〜3のいずれかの発明の構成に加え、前記滑面は中心を挟んだ対向する2か所に形成されていることをその要旨とする。
また請求項5の発明では請求項1〜4のいずれかの発明の構成に加え、成形予定のレンズ厚みが回転対称となっていない場合には、レンズ使用時に上下方向となるべき方向に膨出部が形成されるように前記第1及び第2のモールドの周方向の相対的な位置を決定するようにしたことをその要旨とする。
【0006】
また請求項6の発明では、メニスカス形状のマイナス度数又はミックス度数のレンズの物体側となる表面を成形するための第1のレンズ面成形面を有する円形の外周形状をなす第1のモールドと、レンズの眼球側となる裏面を成形するための円形の外周形状をなす第2のレンズ面成形面を有する第2のモールドとを保持部材によって同両レンズ面成形面を所定間隔で対向するように保持するとともに、前記保持部材によって前記両レンズ型枠をその外周に沿って包囲することでレンズ形状に対応したキャビティを有するレンズ用母型を構成し、前記第1のモールドの前記第1のレンズ面成形面には前記保持部材に隣接した縁位置において間隔を空けて局所的に複数の膨出部を形成し、前記保持部材の一部に形成した注入口からレンズ成形用の成形材料を前記キャビティ内に充填させた後、前記成形材料を硬化させてレンズの裏面の視力補正に携わらない縁寄り部分に前記膨出部に対応した切り欠き状の滑面を形成したレンズを得るようにしたことをその要旨とする。
また請求項7の発明では請求項6の発明の構成に加え、前記膨出部は前記第1のモールドの周方向に沿って帯状に延設され、前記第1のレンズ面成形面の基準面との境界線は前記第1のモールドの外周の曲率よりも小さな曲率の曲線とされていることをその要旨とする。
また請求項8の発明では請求項6又は7の発明の構成に加え、前記膨出部は中心を挟んだ2か所に形成され、成形予定のレンズ厚みが回転対称となっていない場合には、レンズ使用時に上下方向となるべき方向に滑面が形成されるように前記第1及び第2のモールドの周方向の相対的な位置を決定するようにしたことをその要旨とする。
【0007】
また請求項9の発明では請求項5又は8に記載の発明の構成に加え、成形されるレンズが累進屈折力レンズの場合に前記第1のモールドの前記第1のレンズ面成形面によってレンズの累進屈折面が成形されることをその要旨とする。
また請求項10の発明では請求項5又は8に記載の発明の構成に加え、成形されるレンズがバイフォーカルレンズの場合に前記第1のモールドの前記第1のレンズ面成形面によってレンズのバイフォーカルレンズ面が成形されることをその要旨とする。
また請求項11の発明では請求項5、8、9又は10のいずれかに記載の発明の構成に加え、成形されるレンズが乱視矯正レンズの場合に前記第2のモールドの前記第2のレンズ面成形面によってレンズのトーリック面又はアトーリック面が成形されることをその要旨とする。
【0008】
また請求項12の発明では請求項1〜11のいずれかの方法でプラスチック製眼鏡レンズの製造することをその要旨とする。
また請求項13の発明では、メニスカス形状のプラス度数又はミックス度数のレンズの物体側となる表面を成形するために使用される円形の外周形状をなす第1のレンズ面成形面を有する第1のモールドと、眼球側となる裏面を成形するための円形の外周形状をなす第2のレンズ面成形面を有する第2のモールドとを所定間隔で対向配置させ、保持部材によって同両レンズ面成形面を所定間隔で対向するように保持するとともに、前記保持部材によって前記両レンズ型枠をその外周に沿って包囲してレンズ形状に対応したキャビティを有する眼鏡レンズ用母型において、前記第1のレンズ面成形面の前記保持部材に隣接した縁位置に間隔を空けて局所的に複数の切り欠き状の滑面を形成することをその要旨とする。
また請求項14の発明では請求項13に記載の発明の構成に加え、前記滑面は中心を挟んだ対向する2か所に形成されていることをその要旨とする。
また請求項15の発明では請求項13又は14に記載の発明の構成に加え、成形予定のレンズ厚みが回転対称となっていない場合に、レンズ使用時に上下方向となるべき方向に膨出部が形成されるように前記第1及び第2のモールドの周方向の相対的な位置が決定されていることをその要旨とする。
【0009】
請求項1〜5及び請求項13〜15のような構成では、第1のモールドの第1のレンズ面成形面に保持部材に隣接した縁位置において局所的に複数の切り欠き状の滑面を形成しているため、このような第1のモールドを備えたレンズ用母型のキャビティ内にレンズ成形用の成形材料を充填し、硬化させることでレンズの裏面の視力補正に携わらない縁寄り部分にその滑面に対応した膨出部を形成したメニスカス形状のプラス度数又はミックス度数の眼鏡レンズを得ることができる。
そして、このような方法でレンズの中心寄りの薄いプラス度数のレンズを成形した場合に縁の厚みが薄くなったとしてもレンズの裏面の視力補正に携わらない縁寄り部分に形成された複数の膨出部を指で支える位置とすることができるため、その取り扱いがしやすくなる。
尚、ここで眼鏡レンズとは所定のレンズ度数が設定されたレンズであるものの、フレーム形状に加工していない状態のレンズをいう。また、ここでミックス度数とは強主経線方向と弱主経線方向の度数がそれぞれプラスとマイナスの度数となる場合をいう。
【0010】
この場合において、注入口の位置が滑面の1つに面した位置に形成されることが好ましい。これによって対向する第1及び第2のモールドが接近して両モールドの縁の間隔が狭くなっても滑面分の間隔は確保されるため、その滑面位置に注入口を設けることによって確実に成形材料を注入することができる。
滑面は第1のモールドの周方向に沿って帯状に延設され、第1のレンズ面成形面の基準面との境界線は第1のモールドの外周の曲率よりも小さな曲率の曲線とされていることが好ましい。つまり、滑面は第1のモールドの周方向に沿って帯状に延設され境界線は第1のモールドの外周の曲率よりも小さな曲率であるから先端寄りが徐々に先細りになって一種三日月形状の滑面が形成されることとなる。このような形状の滑面であると第1のレンズ面成形面の基準面と比較的滑らかに接続されることとなり、このモールドを使用してレンズを成形すればレンズ側に凹凸関係で形成される膨出部もレンズ裏面に比較的滑らかに接続されることとなる。
尚、第1のレンズ面成形面15を研削装置のような加工装置によって加工する際には先に滑面を加工してから第1のレンズ面成形面を加工して基準面を形成するようにすることがきれいな成形面を得るために好ましい。
【0011】
滑面は中心を挟んだ対向する2か所に形成されていることが(3つ以上の滑面が形成されている場合であっても)好ましい。対向位置は必ずしも正確に180度対向していなければならないわけではない。このような位置に滑面を形成することで成形されたレンズの膨出部の位置が指で挟むのにバランスが良くなるからである。
また、成形予定のレンズ厚みが回転対称となっていない場合には、レンズ使用時に上下方向となるべき方向に滑面が形成されるように前記第1及び第2のモールドの周方向の相対的な位置を決定することが好ましい。レンズ厚みが回転対称となっていないとは、具体的には累進屈折力レンズ、バイフォーカルレンズ、乱視度数矯正レンズ、プリズム入りレンズ等が挙げられる。これらは回転対称ではないので枠入れする際の向きが決まっているレンズである。一方、眼の形や動きを考慮すると一般的なレンズは左右方向にレンズ有効領域が多くなり、上下方向は少ない。つまりレンズ形状は一般に左右方向に長くなるため、上下縁寄りの領域に膨出部を配置することがレンズ有効領域を侵食しなくなるため好ましい。そのため、第1のモールドにはレンズ使用時に上下方向となるべき方向に滑面を形成するわけである。
乱視度数矯正レンズにおいてはトーリック面又はアトーリック面を成形するモールドは第2のモールドであって、第2のレンズ面成形面によって成形することが好ましい。トーリック面又はアトーリック面は乱視軸方向が一定しないので、切り欠き状の滑面を形成しない側、つまり第2のモールド側に設定することが好ましい。
一方、累進屈折力レンズ、バイフォーカルレンズの累進屈折面やバイフォーカルレンズ面は方向が一定であるので、第1のモールドの第1のレンズ面成形面によって成形することが好ましい。
【0012】
請求項6〜8のような構成では、第1のモールドの第1のレンズ面成形面に保持部材に隣接した縁位置において局所的に複数の膨出部を形成しているため、このような第1のモールドを備えたレンズ用母型のキャビティ内にレンズ成形用の成形材料を充填し、硬化させることでレンズの裏面の視力補正に携わらない縁寄り部分に膨出部に対応した切り欠き状の滑面を形成したメニスカス形状のマイナス度数又はミックス度数の眼鏡レンズを得ることができる。これによって視力補正に携わらない縁寄り部分の材料の使用量を減量することができ、原料コストの削減となる。
【0013】
この場合において、注入口の位置が膨出部の1つに面した位置に形成されることが好ましい。材料が注入される付近は材料が勢いよく吐出される部分であるため材料が均一に混ざりにくく安定した屈折率を得にくい部分でもある。そのため、注入口はなるべくレンズ有効領域から切り離したこのような元々異形形状の位置に形成することが好ましい。
膨出部は第1のモールドの周方向に沿って帯状に延設され、第1のレンズ面成形面の基準面との境界線は第1のモールドの外周の曲率よりも小さな曲率の曲線とされていることが好ましい。つまり、膨出部は第1のモールドの周方向に沿って帯状に延設され境界線は第1のモールドの外周の曲率よりも小さな曲率であるから先端寄りが徐々に先細りになって一種三日月形状の膨出部が形成されることとなる。このような形状の膨出部であると第1のレンズ面成形面の基準面と比較的滑らかに接続されることとなり、このモールドを使用してレンズを成形すればレンズ側に凹凸関係で形成される切り欠き状の滑面もレンズ裏面に比較的滑らかに接続されることとなる。
膨出部は中心を挟んだ対向する2か所に形成されていることが(3つ以上の膨出部が形成されている場合であっても)好ましい。対向位置は必ずしも正確に180度対向していなければならないわけではない。また、プラスレンズと同様成形予定のレンズ厚みが回転対称となっていない場合には、レンズ使用時に上下方向となるべき方向に膨出部を形成することが好ましい。
【0014】
上記において、モールドの素材としてはガラスや合金等が一般的である。
また、レンズ成形用の成形材料としては、一般的には熱硬化性プラスチックを使用することが想定される。熱硬化性プラスチックとしては例えばアリル系、ウレタン系、チオウレタン系,エピスルフィド系のプラスチックが挙げられる。また、ポリカーボネートのような熱可塑性プラスチックを使用することも想定される。
熱硬化性プラスチックを硬化させるために熱、光又はマイクロ波のエネルギーを受動させて重合硬化させる。熱可塑性プラスチックでは熱で溶融させたプラスチックを注入することとなる。
【発明の効果】
【0015】
上記において請求項1〜5及び請求項12〜15の発明では、プラスレンズの中央寄りを薄く成形した場合にレンズの縁部分が非常に薄くなってしまっても把持する個所を確保できるので成形後のレンズの運搬等に関する取り扱いがしやすくなる。請求項6〜8の発明ではマイナスレンズにおいて原料コストを削減することができる。また、請求項9〜11の発明ではレンズ厚みが回転対称ではないより具体的な各レンズについて本発明を適用するための好適な面側にレンズ特性を設定したため、上記各効果を確実に付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1〜3の母型に使用される第1のモールドであって、(a)は図2のA−A線方向の断面図、(b)は図2のB−B線方向の断面図。
【図2】同じ第1のモールドの平面図。
【図3】本発明の実施例1〜3の母型に使用される第2のモールドの断面図。
【図4】(a)及び(b)は第1及び第2のモールドを所定間隔をあけて粘着テープで保持して母型を構築する方法を説明する説明図。
【図5】本発明の実施例1〜3において母型に注入針を突き刺してプラスチック材料を注入する方法を説明する説明図。
【図6】本発明の実施例1〜3の方法で成形されたプラス度数レンズの(a)は斜視図、(b)は(a)のC−C線での断面図。
【図7】本発明の実施例4の母型に使用される第1のモールドであって、(a)は図8のD−D線方向の断面図、(b)は図2のE−E線方向の断面図。
【図8】同じ第1のモールドの平面図。
【図9】本発明の実施例4の母型に使用される第2のモールドの断面図。
【図10】本発明の実施例4において母型に注入針を突き刺してプラスチック材料を注入する方法を説明する説明図。
【図11】本発明の実施例4の方法で成形されたマイナス度数レンズの(a)は斜視図、(b)は(a)のF−F線での断面図。
【図12】本発明の他の実施例において成形されたプラス度数のバイフォーカルレンズの(a)は斜視図、(b)は(a)のG−G線での断面図。
【図13】成形した眼鏡レンズを指で保持する際の保持仕方の一例を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体的なプラスチック製眼鏡レンズの製造方法について図面に基づいて説明する。
(実施例1)
実施例1では母型11を使用してS+2.00Dのシングルヴィジョンレンズを成形するものとする。レンズは素材屈折率1.6の素材を使用した。以下の実施例も同様である。まず、成形に使用される母型11の構成について説明する。
図1〜図4に示すように、プラスチックレンズ用の母型11は第1のモールド12、第2のモールド13及び保持部材としての粘着テープ14から構成されている。図1及び図2に示すように、第1のモールド12は表裏面が所定のカーブの球面から構成されたメニスカス形状のガラス製の円形板状体とされ、凹面側が第1のレンズ面成形面15とされている。第1のレンズ面成形面15の180度対向する縁寄り位置の2か所に滑面としての三日月形状の凹部16が形成されている。図3に示すように、第2のモールド13も表裏面が所定のカーブの球面から構成されたメニスカス形状のガラス製の円形板状体とされ、凸面側が第2のレンズ面成形面17とされている。第1及び第2のモールド12,13は図示しない間隔保持装置に保持させ、所定の間隔で保持させた状態で図4(a)及び(b)に示すように粘着テープ14を外周に巻回させてレンズ形状に対応するキャビティが形成された母型11を構成する。尚、ここでは保持部材として粘着テープ14を使用したが、ガスケットを使用することも可能である。
そして、図5に示すように凹部16が形成された位置を開口部として図示しない注入針によって熱硬化性プラスチック材料をキャビティ内に充填し、定法に従い硬化させてレンズを成形する。
【0018】
次に、第1のモールド12の第1のレンズ面成形面15の形状特性と第2のモールド13の第2のレンズ面成形面17の形状特性について説明する。
第1のモールド12の第1のレンズ面成形面15は成形されるべき眼鏡レンズLの凸面側(物体側)を成形する面とされる。図1(b)に示すように、第1のレンズ面成形面15は本実施例1ではレンズの素材屈折率が1.6なので、1.6換算で6カーブの曲面としている。ここで6カーブとは面屈折力が6ディプターであることを表し、(素材屈折率−1.0)/曲率半径=(1.6−1.0)/0.1=6という計算から求められる。他のカーブについても同様で、カーブ値と曲率半径の関係は同じ計算式に基づくものである。
図2に示すように、本実施例1では凹部16は凹部16を上下方向に配置した場合に縦方向に2カーブ、左右方向に6カーブとなるトーリック面となるような曲面とされている。本実施例では第1のレンズ面成形面15のうち、凹部16を除く部分の面を基準面BSとし、基準面BSと凹部16との間における面の交差線を境界線BLとする。基準面BSは成形されるべき眼鏡レンズLのレンズ度数が発現されるレンズ有効面を成形する面となる。つまり、凹部16の表面は基準面BSのカーブで形成される面に対して部分的により浅いカーブの面を合成したもので、基準面BSに対してマイナスのサグ量を与えたものと考えることができる。サグ量とは基準面BSに対する加工変位量であってここではカーブが浅くなる方向に変位させる場合をマイナスとしている。
尚、第1のレンズ面成形面15を研削装置のような加工装置によって加工する際には先に凹部16を加工してから第1のレンズ面成形面15を加工して基準面BSを得ることが好ましい。加工の順番を逆にすると基準面BSにキズがつきやすくなるためである。また、凹部16をトーリック面とすることは加工においてフリーフォーム加工の技術を必要とせず、従来から存在する眼鏡レンズ加工用装置でできるため、加工の手間がかからず凹部16の形成工程が軽減されることとなる。
一方、第2のモールド13の第2のレンズ面成形面17は成形されるべき眼鏡レンズLの凸面側(物体側)を成形する面とされる。図3に示すように、第2のレンズ面成形面17は本実施例1では1.6換算で4.08カーブの曲面とされている。尚、実施例1は中心からあらゆる方向に均等に厚みが変化するため、両モールド12,13の周方向の相対的な位置はどの位置でもよい。
このような第1及び第2のモールド12,13を使った母型11によって図6(a)及び(b)のような凹部16に対応した膨出部18が形成された眼鏡レンズLが成形される。
【0019】
表1はこのような第1及び第2のモールド12,13を使った母型11によって第1及び第2のモールド12,13の間隔を変えて成形したサンプルの眼鏡レンズLのデータを示したものである。本実施例1では直径80mmの第1及び第2のモールド12,13を使用した。
ここに「レンズの実質的有効サイズ」とは母型11から離型された成型品を不要となる周囲をカットして眼鏡レンズLとした状態でのサイズを言う。「レンズの中心厚」はレンズの実質的有効サイズによって変化する概念であり適宜変更可能であるが、実施例1では強度維持の点からレンズの実質的有効サイズが小さい場合に縁厚を厚く設計するようにした。また、「凹部方向のモールド縁間隔」とは縁寄りで最も間隔が広い方向であって成形される眼鏡レンズLの膨出部18が形成される方向の間隔である。一方、「凹部方向以外のモールド縁間隔」とは縁寄りで最も間隔が狭い方向である。
この各サンプルに示すように「凹部方向のモールド縁間隔」では成形されるべき眼鏡レンズLのサイズが小さくなるに連れて徐々に間隔が狭くなるものの、一般的に注入針を突き刺すだけの十分な間隔が維持されることとなる。一方、「凹部方向以外のモールド縁間隔」はサンプルのような中心厚にした場合では間隔が狭く、キャビティ内部が湾曲していることもあって、注入針を十分突き刺すことができない。凹部16が形成されていない第1のモールドを使用した場合にはモールドの間隔が狭いため、これらサンプルのようなレンズの中心厚では成形できないため中心厚を厚くしなければならない。また、これらサンプルの眼鏡レンズLはいずれも十分な厚みの膨出部18が対向位置に形成されるためその部分を指で挟持すれば縁を傷つけることなく安全に持つことが可能であり、成形後の運搬等に関する取り扱いに便利である。また、各サンプルは凹部方向以外のモールドの縁間隔は非常に狭く、この方向からの離型は非常に困難であるが、このような場合でも凹部方向には十分な厚みが確保されているため、離型の際に凹部方向に離型用ジグを挿入することで成型品の周囲に割れを入れることなく離型させることが可能となる。
【0020】
【表1】

【0021】
(実施例2)
実施例2では母型11を使用してS+1.00D、C+2.00D、AX180の乱視矯正をしたシングルヴィジョンレンズを成形するものとする。成形に使用される母型11の構成については第2のモールド13の第2のレンズ面成形面17の形状特性が異なるだけで、後は実施例1と同様であるため形状特性についてのみ説明する。
実施例2の第1のモールド12は実施例1と同じ形状特性とされている。つまり、第1のレンズ面成形面15の基準面BSは6カーブの曲面とされ、凹部16は2カーブと6カーブのトーリック面とされている。一方、第2のモールド13の第2のレンズ面成形面17は3.11カーブと5.11カーブのトーリック面とされている。つまり、第2のレンズ面成形面17によって成形されるべき眼鏡レンズLの裏面に乱視を矯正するトーリック面が形成されることとなる。
実施例2では成形されるべき眼鏡レンズLの乱視軸は180度である。つまり、使用される状態で水平方向が最もレンズが厚い方向となり、上下方向は薄くなる。薄くなる上下方向に膨出部18を形成することが本発明の目的から好ましく、なおかつ上下方向はレンズ有効領域が少なくなるためより好ましい。従って、実施例1と異なり第1のモールド12の凹部16が上下方向に配置するように両モールド12,13の周方向の相対的な位置を決定する必要がある。また、乱視軸は一定しないので乱視矯正面はこのように第2のモールド13の第2のレンズ面成形面17によって成形することが好ましい。
このような第1及び第2のモールド12,13を使った母型11によって図5のような凹部16に対応した膨出部18が形成された眼鏡レンズLが成形される。
【0022】
表2はこのような第1及び第2のモールド12,13を使った母型11によって第1及び第2のモールド12,13の間隔を変えて成形したサンプルの眼鏡レンズLのデータを示したものである。実施例1と同様十分な厚みの膨出部18が上下の対向位置に形成されるためその部分を指で挟持することで縁を傷つけることなく安全に持つことが可能であり、成形後の運搬等に関する取り扱いに便利である。特に、実施例2のようなレンズ特性においてはこのような発明を適用しない場合には上下方向の縁寄りが薄くなるためその部分が割れやすくなるわけであるが、本発明を適用したことによって上下方向の縁寄りを厚くすることができるため、レンズの縁寄りが割れたり欠けたりする可能性が非常に低くなる。
【0023】
【表2】

【0024】
(実施例3)
実施例3では母型11を使用してS+1.00D、C+2.00D、AX180、加入度2.00Dの乱視矯正をした累進屈折力レンズを成形するものとする。成形に使用される母型11の構成については第1のモールド12の第1のレンズ面成形面15の形状特性と第2のモールド13の第2のレンズ面成形面17の形状特性が異なるだけで、後は実施例1と同様であるため形状特性についてのみ説明する。尚、実施例3ではサンプルは作成していない。
実施例3の第1のモールド12の第1のレンズ面成形面15において、基準面BSは成形されるべき眼鏡レンズLの遠用アイポイントにおいて6カーブであって加入度が2.00Dとなるような累進面とされ、凹部16は2カーブと6カーブのトーリック面とされている。加入度は使用状態で上下方向に配置されるため、ここで凹部16は成形されるべき眼鏡レンズLの上下方向に膨出部18が形成されるような位置に形成する必要がある。
一方、第2のモールド13の第2のレンズ面成形面17は3.11カーブと5.11カーブのトーリック面とされている。つまり、実施例2と同じ形状特性とされている。
実施例3でも成形されるべき眼鏡レンズLの乱視軸は180度である。そのため、実施例2と同様に第1のモールド12の凹部16が上下方向に配置するように両モールド12,13の周方向の相対的な位置を決定する必要がある。
このような第1及び第2のモールド12,13を使った母型11によって図5のような凹部16に対応した膨出部18が形成された眼鏡レンズLが成形される。
【0025】
(実施例4)
実施例4では母型31を使用してS−4.00Dのシングルヴィジョンレンズを成形するものとする。実施例4では図7及び図9に示す第1のモールド32及び第2のモールド33を使用する。第1のモールド32は表裏面が所定のカーブの球面から構成されたメニスカス形状のガラス製の円形板状体とされ、凹面側が第1のレンズ面成形面35とされている。第1のレンズ面成形面35の180度対向する縁寄り位置の2か所に三日月形状の膨出部36が形成されている。図8に示すように、第2のモールド33も表裏面が所定のカーブの球面から構成されたメニスカス形状のガラス製の円形板状体とされ、凸面側が第2のレンズ面成形面37とされている。第1及び第2のモールド32,33は図示しない間隔保持装置に保持させた状態で図10に示すように粘着テープ34を外周に巻回させてレンズ形状に対応するキャビティが形成された母型31を構成する。尚、ここでは保持部材として粘着テープ34を使用したが、ガスケットを使用することも可能である。
そして、図9に示すように膨出部36が形成された位置を開口部として図示しない注入針によって熱硬化性プラスチック材料をキャビティ内に充填し、定法によって硬化させてレンズを成形する。実施例4で製造されるのはマイナス度数のレンズであるため、注入針を注入すべき幅は母型31の外周のどの方向からも十分確保されているが、異形部分となる膨出部36が好ましい。
【0026】
第1のモールド32の第1のレンズ面成形面35は成形されるべき眼鏡レンズLの凸面側(物体側)を成形する面とされる。図7に示すように、第1のレンズ面成形面35は本実施例4では2カーブの曲面とされている。図8に示すように、本実施例4では膨出部3は膨出部36を上下方向に配置した場合に縦方向に6カーブ、左右方向に2カーブとなるトーリック面となるような曲面とされている。本実施例では第1のレンズ面成形面35のうち、膨出部3を除く部分の面を基準面BSとし、基準面BSと膨出部3との間における面の交差線を境界線BLとする。基準面BSは成形されるべき眼鏡レンズLのレンズ度数が発現されるレンズ有効面を成形する面となる。つまり、膨出部36の表面は基準面BSのカーブで形成される面に対して部分的により深いカーブの面を合成したもので、基準面BSに対してプラスのサグ量を与えたものと考えることができる。
尚、第1のレンズ面成形面35を研削装置のような加工装置によって加工する際には先に膨出部36を加工してから第1のレンズ面成形面35を加工して基準面BSを得ることが好ましい。
一方、第2のモールド33の第2のレンズ面成形面37は成形されるべき眼鏡レンズLの凸面側(物体側)を成形する面とされる。第2のレンズ面成形面37は本実施例4では6カーブの曲面とされている。尚、実施例4は中心からあらゆる方向に均等に厚みが変化するため、両モールド32,33の周方向の相対的な位置はどの位置でもよい。
このような第1及び第2のモールド32,33を使った母型31によって図11(a)及び(b)のような膨出部36に対応した凹部38が形成された眼鏡レンズLが成形される。
【0027】
尚、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
・実施例2において乱視軸が水平方向以外の場合においても本発明を適用することが可能である。
・実施例3において乱視度数がない場合について適応することも可能である。
・凹部16や膨出部36の形状は一例であって、上記に限定されるものではない。
・図12(a)及び(b)のようなバイフォーカルレンズを製造する場合に応用することも可能である。この場合にバイフォーカル面(物体側の面)41は第1のモールドの第1のレンズ面成形面で成形する必要がある。
・その他、本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0028】
11,31…母型、12,32…第1のモールド、13,33…第2のモールド、14,34…保持部材としての粘着テープ、15,35…第1のレンズ面成形面、17,37…第2のレンズ面成形面、16…切り欠き状の滑面としての凹部、36…膨出部、L…眼鏡レンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メニスカス形状のプラス度数又はミックス度数のレンズの物体側となる表面を成形するための第1のレンズ面成形面を有する円形の外周形状をなす第1のモールドと、レンズの眼球側となる裏面を成形するための円形の外周形状をなす第2のレンズ面成形面を有する第2のモールドとを保持部材によって同両レンズ面成形面を所定間隔で対向するように保持するとともに、前記保持部材によって前記両レンズ型枠をその外周に沿って包囲することでレンズ形状に対応したキャビティを有するレンズ用母型を構成し、
前記第1のモールドの前記第1のレンズ面成形面には前記保持部材に隣接した縁位置において間隔を空けて局所的に複数の切り欠き状の滑面を形成し、
前記保持部材の一部に形成した注入口からレンズ成形用の成形材料を前記キャビティ内に充填した後、外部エネルギーを与えて前記成形材料を硬化させてレンズの裏面の視力補正に携わらない縁寄り部分に前記滑面に対応した膨出部を形成したレンズを得るようにしたプラスチック製眼鏡レンズの製造方法。
【請求項2】
前記注入口は前記複数の滑面の1つに面した位置に形成されることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック製眼鏡レンズの製造方法。
【請求項3】
前記滑面は前記第1のモールドの周方向に沿って帯状に延設され、前記第1のレンズ面成形面の基準面との境界線は前記第1のモールドの外周の曲率よりも小さな曲率の曲線とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチック製眼鏡レンズの製造方法。
【請求項4】
前記滑面は中心を挟んだ対向する2か所に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のプラスチック製眼鏡レンズの製造方法。
【請求項5】
成形予定のレンズ厚みが回転対称となっていない場合には、レンズ使用時に上下方向となるべき方向に膨出部が形成されるように前記第1及び第2のモールドの周方向の相対的な位置を決定するようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチック製眼鏡レンズの製造方法。
【請求項6】
メニスカス形状のマイナス度数又はミックス度数のレンズの物体側となる表面を成形するための第1のレンズ面成形面を有する円形の外周形状をなす第1のモールドと、レンズの眼球側となる裏面を成形するための円形の外周形状をなす第2のレンズ面成形面を有する第2のモールドとを保持部材によって同両レンズ面成形面を所定間隔で対向するように保持するとともに、前記保持部材によって前記両レンズ型枠をその外周に沿って包囲することでレンズ形状に対応したキャビティを有するレンズ用母型を構成し、
前記第1のモールドの前記第1のレンズ面成形面には前記保持部材に隣接した縁位置において間隔を空けて局所的に複数の膨出部を形成し、
前記保持部材の一部に形成した注入口からレンズ成形用の成形材料を前記キャビティ内に充填させた後、前記成形材料を硬化させてレンズの裏面の視力補正に携わらない縁寄り部分に前記膨出部に対応した切り欠き状の滑面を形成したレンズを得るようにしたプラスチック製眼鏡レンズの製造方法。
【請求項7】
前記膨出部は前記第1のモールドの周方向に沿って帯状に延設され、前記第1のレンズ面成形面の基準面との境界線は前記第1のモールドの外周の曲率よりも小さな曲率の曲線とされていることを特徴とする請求項6に記載のプラスチック製眼鏡レンズの製造方法。
【請求項8】
前記膨出部は中心を挟んだ2か所に形成され、成形予定のレンズ厚みが回転対称となっていない場合には、レンズ使用時に上下方向となるべき方向に滑面が形成されるように前記第1及び第2のモールドの周方向の相対的な位置を決定するようにしたことを特徴とする請求項6又は7に記載のプラスチック製眼鏡レンズの製造方法。
【請求項9】
成形されるレンズが累進屈折力レンズの場合に前記第1のモールドの前記第1のレンズ面成形面によってレンズの累進屈折面が成形されることを特徴とする請求項5又は8に記載のプラスチック製眼鏡レンズの製造方法。
【請求項10】
成形されるレンズがバイフォーカルレンズの場合に前記第1のモールドの前記第1のレンズ面成形面によってレンズのバイフォーカルレンズ面が成形されることを特徴とする請求項5又は8に記載のプラスチック製眼鏡レンズの製造方法。
【請求項11】
成形されるレンズが乱視矯正レンズの場合に前記第2のモールドの前記第2のレンズ面成形面によってレンズのトーリック面又はアトーリック面が成形されることを特徴とする請求項5、8、9又は10のいずれかに記載のプラスチック製眼鏡レンズの製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかの方法で製造されたプラスチック製眼鏡レンズ。
【請求項13】
メニスカス形状のプラス度数又はミックス度数のレンズの物体側となる表面を成形するために使用される円形の外周形状をなす第1のレンズ面成形面を有する第1のモールドと、眼球側となる裏面を成形するための円形の外周形状をなす第2のレンズ面成形面を有する第2のモールドとを所定間隔で対向配置させ、保持部材によって同両レンズ面成形面を所定間隔で対向するように保持するとともに、前記保持部材によって前記両レンズ型枠をその外周に沿って包囲してレンズ形状に対応したキャビティを有する眼鏡レンズ用母型において、
前記第1のレンズ面成形面の前記保持部材に隣接した縁位置に間隔を空けて局所的に複数の切り欠き状の滑面を形成したことを特徴とする眼鏡レンズ用母型。
【請求項14】
前記滑面は中心を挟んだ対向する2か所に形成されていることを特徴とする請求項13に記載の眼鏡レンズ用母型。
【請求項15】
成形予定のレンズ厚みが回転対称となっていない場合に、レンズ使用時に上下方向となるべき方向に膨出部が形成されるように前記第1及び第2のモールドの周方向の相対的な位置が決定されていることを特徴とする請求項13又は14のいずれかに記載の眼鏡レンズ用母型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−121214(P2011−121214A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279097(P2009−279097)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000219738)東海光学株式会社 (112)
【Fターム(参考)】