説明

プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法

【課題】プラズマディスプレイパネルの駆動電圧を低減する。
【解決手段】保護層9は、少なくとも第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含む。さらに、保護層9は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有する。ピークは、第1の金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、第2の金属酸化物のX線回折分析における第2のピークと、の間にある。第1のピークおよび第2のピークは、ピークが示す面方位と同じ面方位を示す。第1の金属酸化物および第2の金属酸化物は、MgO、CaO、SrOおよびBaOからなる群の中から選ばれる2種である。背面板10は、下地誘電体層13と下地誘電体層13上に配置された複数の隔壁14とを含む。隔壁14は複数の空隙を有する。隔壁14の空隙率は、0%を超え、かつ、1.0%未満である。空隙の一つあたりの平均断面積は、0.23μm2以上0.29μm2未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、表示装置などに用いられるプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の一つであるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)の保護層の一つの機能は、放電を発生させるための電子を放出することである。
【0003】
保護層に二次電子放出能力が高い材料を用いることにより、駆動電圧を下げることが可能である。このため、保護層に酸化マグネシウム(MgO)と、より二次電子放出能力が高い酸化カルシウム(CaO)などを用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−080388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CaOは、MgOに比べて化学的に不安定であり、空気中の水分や炭酸ガスと容易に反応して、水酸化物や炭酸化物を形成する。水酸化物や炭酸化物が形成されると、二次電子放出能力が低下する。つまり、PDPの駆動電圧を下げることができないといった課題がある。
【0006】
ここに開示された技術は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、保護層における二次電子放出能力の低下を抑制することにより、駆動電圧を下げることが可能なPDPを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示されたPDPは、前面板と、前面板と対向配置される背面板とを備える。前面板は、誘電体層と誘電体層を覆う保護層とを有する。保護層は、少なくとも第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含む。さらに、保護層は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有する。ピークは、第1の金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、第2の金属酸化物のX線回折分析における第2のピークと、の間にある。第1のピークおよび第2のピークは、ピークが示す面方位と同じ面方位を示す。第1の金属酸化物および第2の金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムからなる群の中から選ばれる2種である。背面板は、下地誘電体層と下地誘電体層上に配置された複数の隔壁とを含む。隔壁は複数の空隙を有する。隔壁の空隙率は、0%を超え、かつ、1.0%未満である。空隙の一つあたりの平均断面積は、0.23μm2以上0.29μm2未満である。
【0008】
ここに開示された製造方法は、前面板と背面板との間に形成された放電空間を有するPDPの製造方法である。還元性有機ガスを含むガスを放電空間に導入することにより、保護層を還元性有機ガスに曝す。次に、還元性有機ガスを放電空間から排出する。次に、放電ガスを放電空間に封入する。前面板は、誘電体層と誘電体層を覆う保護層とを有する。保護層は、少なくとも第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含む。さらに、保護層は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有する。ピークは、第1の金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、第2の金属酸化物のX線回折分析における第2のピークと、の間にある。第1のピークおよび第2のピークは、ピークが示す面方位と同じ面方位を示す。第1の金属酸化物および第2の金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムからなる群の中から選ばれる2種である。背面板は、下地誘電体層と下地誘電体層上に配置された複数の隔壁とを含む。隔壁は複数の空隙を有する。隔壁の空隙率は、0%を超え、かつ、1.0%未満である。空隙の一つあたりの平均断面積は、0.23μm2以上0.29μm2未満である。
【発明の効果】
【0009】
PDPの駆動電圧を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】PDPの分解斜視図である。
【図2】PDPを前面板側から見た正面図である。
【図3】図2における3−3断面の一部を示す図である。
【図4】実施の形態にかかる保護層表面のX線回折分析結果を示す図である。
【図5】実施の形態にかかる保護層表面のX線回折分析結果を示す図である。
【図6】実施の形態にかかるPDPの製造フロー図である。
【図7】第1の温度プロファイル例を示す図である。
【図8】第2の温度プロファイル例を示す図である。
【図9】第3の温度プロファイル例を示す図である。
【図10】下地誘電体層の空隙率評価の方法を示す図である。
【図11】隔壁の空隙率評価の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.PDP1の構造]
本実施の形態にかかるPDP1は、交流面放電型PDPである。図1から図3に示すように、前面板2と背面板10とが、対向して配置されている。
【0012】
[1−1.前面板2]
図1および図3に示すように、前面板2は、前面ガラス基板3を含む。背面板10は、背面ガラス基板11を含む。複数の表示電極6が、前面ガラス基板3の表面に配置されている。それぞれの表示電極6は、前面ガラス基板3の長辺と平行に配置されている。それぞれの表示電極6は、一つの走査電極4と一つの維持電極5とを有する。走査電極4と維持電極5との間が放電ギャップである。走査電極4は、前面ガラス基板3上に配置された透明電極4aと、透明電極4a上に積層されたバス電極4bとを含む。維持電極5は、前面ガラス基板3上に配置された透明電極5aと、透明電極5a上に積層されたバス電極5bとを含む。前面板2は、表示電極6を被覆する誘電体層8を含む。前面板2は、誘電体層8を被覆する保護層9を含む。
【0013】
[1−1−1.保護層9]
保護層9は、放電を発生させるための電荷を保持する機能、および、維持放電の際に二次電子を放出する機能が求められる。電荷保持性能が向上することにより、印加電圧が低減される。二次電子放出数が増加することにより、維持放電を発生させる駆動電圧が低減される。
【0014】
本実施の形態にかかる保護層9は、少なくとも第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含む。第1の金属酸化物および第2の金属酸化物は、MgO、CaO、SrOおよびBaOからなる群の中から選ばれる2種である。さらに、保護層9は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有する。このピークは、第1金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、第2金属酸化物のX線回折分析における第2のピークとの間にある。第1のピークと第2のピークは、保護層9のピークが示す面方位と同じ面方位を示す。
【0015】
図4に示すように、横軸はブラッグの回折角(2θ)である。縦軸はX線回折波の強度である。回折角の単位は1周を360度とする度で示される。回折光の強度は任意単位(arbitrary unit)で示されている。結晶面方位は括弧付けで示されている。
【0016】
CaO単体における(111)面方位は、回折角32.2度のピークで示される。MgO単体における(111)面方位は、回折角36.9度のピークで示される。SrO単体における(111)面方位は、回折角30.0度のピークで示される。BaO単体における(111)面方位は、回折角27.9度のピークで示される。
【0017】
本実施の形態にかかる保護層9は、MgO、CaO、SrOおよびBaOからなる群の中から選ばれる2種以上の金属酸化物を含んでいる。
【0018】
A点は、MgOとCaOの2つから形成された保護層9の(111)面方位におけるピークである。B点は、MgOとSrOの二つから形成された保護層9の(111)面方位におけるピークである。C点は、MgOとBaOの二つから形成された保護層9の(111)面方位におけるピークである。
【0019】
A点の回折角は36.1度である。A点は、第1の金属酸化物であるMgO体における(111)面方位のピークと、第2の金属酸化物であるCaO単体における(111)面方位のピークとの間に存在する。
【0020】
B点の回折角は35.7度である。B点は、第1の金属酸化物であるMgO単体における(111)面方位のピークと、第2の金属酸化物であるSrO単体における(111)面方位のピークとの間に存在する。
【0021】
C点の回折各は35.4度である。C点は、第1の金属酸化物であるMgO単体における(111)面方位のピークと、第2の金属酸化物であるBaO単体における(111)面方位のピークとの間に存在する。
【0022】
図5に示すように、D点は、MgO、CaOおよびSrOの3つから形成された保護層9の(111)面方位におけるピークである。E点は、MgO、CaOおよびBaOの3つから形成された保護層9の(111)面方位におけるピークである。F点は、BaO、CaOおよびSrOの3つから形成された保護層9の(111)面方位におけるピークである。
【0023】
D点の回折角は33.4度である。D点は、第1の金属酸化物であるMgO単体における(111)面方位のピークと、第2の金属酸化物であるCaO単体における(111)面方位のピークとの間に存在する。
【0024】
E点の回折角は32.8度である。E点は、第1の金属酸化物であるMgO単体における(111)面方位のピークと、第2の金属酸化物であるSrO単体における(111)面方位のピークとの間に存在する。
【0025】
F点の回折各は30.2度である。F点は、第1の金属酸化物であるMgO単体における(111)面方位のピークと、第2の金属酸化物であるBaO単体における(111)面方位のピークとの間に存在する。
【0026】
なお、本実施の形態では、面方位(111)について例示された。しかし、他の面方位についても同様である。
【0027】
CaO、SrOおよびBaOの真空準位からの深さは、MgOと比較して浅い領域に存在する。そのため、PDPを駆動する場合において、CaO、SrO、BaOのエネルギー準位に存在する電子がXeイオンの基底状態に遷移する際に、オージェ効果により放出される電子数が、MgOのエネルギー準位から遷移する場合と比較して多くなると考えられる。
【0028】
また、上述のように、X線回折分析における保護層9のピークは、第1金属酸化物のピークと第2金属酸化物のピークとの間にある。すなわち、保護層9のエネルギー準位は、単体の金属酸化物の間に存在し、オージェ効果により放出される電子数がMgOのエネルギー準位から遷移する場合と比較して多くなると考えられる。
【0029】
その結果、本実施の形態にかかる保護層9では、MgO単体と比較して、良好な二次電子放出特性を有する。結果として、駆動電圧の低減ができる。特に、輝度を高めるために放電ガス中のXe分圧を高めた場合に、駆動電圧の低減ができる。
【0030】
[1−2.背面板10]
図1および図3に示すように、複数のアドレス電極12が背面ガラス基板11の表面に配置されている。それぞれのアドレス電極12は、背面ガラス基板11の短辺と平行に配置されている。言い換えると、それぞれのアドレス電極12は、表示電極6と直交する方向に配置されている。アドレス電極12は、導電性を確保するためのAgを含む。
【0031】
[1−2−1.下地誘電体層13]
背面板10は、複数のアドレス電極12を被覆する下地誘電体層13を含む。下地誘電体層13は、ガラス成分とフィラーとを含む。ガラス成分とフィラーとの和に対するガラス成分の比率は、25重量%以上35重量%以下である。
【0032】
ガラス成分は、三酸化二ビスマス(Bi23)を20重量%〜40重量%含む。さらに、ガラス成分は、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)および酸化バリウム(BaO)の群から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%〜12重量%を含んでもよい。さらに、ガラス成分は、三酸化モリブデン(MoO3)、三酸化タングステン(WO3)、二酸化セリウム(CeO2)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化銅(CuO)、三酸化二クロム(Cr23)、三酸化二コバルト(Co23)、二酸化五バナジウム(V25)および三酸化二アンチモン(Sb23)の群から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んでもよい。
【0033】
また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO)、三酸化二硼素(B23)などの、鉛成分を含まない材料が含まれていてもよい。
【0034】
フィラーは、三酸化二アルミニウム(Al23)、二酸化珪素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、MgOおよびコージライトの群から選ばれる少なくとも1種を含む。
【0035】
下地誘電体層13は、空隙を有する。下地誘電体層13における空隙率は、0%を超え、かつ、1%未満である。
【0036】
[1−2−2.隔壁14]
下地誘電体層13上には放電空間16を区切る隔壁14が配置されている。隔壁14は、アドレス電極12と平行に配置された縦隔壁24と、表示電極6と平行に配置された横隔壁26とを含む。縦隔壁24は、アドレス電極12とアドレス電極12との間に配置されている。
【0037】
隔壁14は、ガラス成分とフィラーとを含む。ガラス成分とフィラーとの和に対するガラス成分の比率は、81重量%以上85重量%以下である。ガラス成分は、Bi23を20重量%〜40重量%含む。さらに、ガラス成分は、CaO、SrOおよびBaOの群から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%〜12重量%を含んでもよい。さらに、ガラス成分は、MoO3、WO3、CeO2、MnO2、CuO、Cr23、Co23、V25およびSb23の群から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%〜7重量%含んでもよい。
【0038】
また、上記以外の成分として、ZnO、B23などの、鉛成分を含まない材料が含まれていてもよい。
【0039】
フィラーは、Al23、SiO2、TiO2、ZrO2、MgOおよびコージライトの群から選ばれる少なくとも1種を含む。
【0040】
隔壁14は、空隙を有する。隔壁14における空隙率は、0%を超え、かつ、1%未満である。空隙の一つあたりの平均断面積は、0.23μm2以上0.29μm2未満である。
【0041】
[1−2−3.蛍光体層15]
背面板10は、蛍光体層15を含む。蛍光体層15は、下地誘電体層13の表面および隔壁14の側面に配置されている。蛍光体層15は、赤色光を発する赤色蛍光体層151、青色光を発する青色蛍光体層152および緑色光を発する緑色蛍光体層153を含む。赤色蛍光体層151、青色蛍光体層152および緑色蛍光体層153は、紫外線によって励起される発光中心を有する。
【0042】
赤色蛍光体層151に用いられる赤色蛍光体は、一例として、610nm以上630nm未満の波長領域に主発光ピークを有するEu3+付活赤色蛍光体である。赤色蛍光体は、具体的には、Y23:Eu3+(YOX蛍光体)、(Y,Gd)23:Eu3+(YGX蛍光体)およびY(P,V)O4:Eu3+(YPV蛍光体)などの蛍光体粒子である。
【0043】
青色蛍光体層152に用いられる青色蛍光体層は、一例として、420nm以上500nm未満の波長領域に主発光ピークを有するEu2+付活青色蛍光体である。Eu2+を付活剤とする青色蛍光体は、Eu2+イオンの4f65d1→4f7電子エネルギー遷移に基づいて発光する。そのために、1msec未満の残光時間の青色発光が実現できる。青色蛍光体は、具体的には、BaMgAl1017:Eu2+(BAM蛍光体)、CaMgSi26:Eu2+(CMS蛍光体)、Sr3MgSi28:Eu2+(SMS蛍光体)などの蛍光体粒子である。
【0044】
緑色蛍光体層153に用いられる緑色蛍光体は、一例として、500nm以上560nm未満の波長領域に発光ピークを有し残光時間が2msecを超え5msec未満のMn2+付活短残光緑色蛍光体と、490nm以上560nm未満の波長領域に発光ピークを有するCe3+付活緑色蛍光体またはEu2+付活緑色蛍光体を含む蛍光体である。緑色蛍光体は、具体的には、Zn2SiO4:Mn2+(ZSM蛍光体)およびY3Al512:Ce3+(YAG蛍光体)などの蛍光体粒子である。
【0045】
[1−3.封着部材22]
図2に示すように、PDP1は、封着部材22を備える。封着部材22は、前面板2の周縁と背面板10の周縁とを封着する。つまりPDP1は、封着部材22によって気密封着されている。PDP1における表示領域の外側に封着部材22が配置される。
【0046】
封着部材22は、一例として、Bi23、B23、V25などを主成分としたガラスフリットが用いられる。さらに、封着部材22としては、Al23、SiO2、コージライトなどの酸化物からなるフィラーを加えたものを用いることができる。ガラスフリットの軟化点は、460℃から480℃程度である。
【0047】
さらに、放電空間16には、キセノン(Xe)を含む放電ガスが55kPa〜80kPaの圧力で封入される。
【0048】
[2.PDP1の製造方法]
図6に示すように、本実施の形態にかかるPDP1の製造方法は、前面板作製工程A1、背面板作製工程B1、フリット塗布工程B2、封着工程C1、還元性ガス導入工程C2、排気工程C3および放電ガス供給工程C4を有する。
【0049】
[2−1.前面板作製工程A1]
[2−1−1.表示電極6の形成]
フォトリソグラフィ法によって、前面ガラス基板3上に、走査電極4および維持電極5が形成される。まず、インジウム錫酸化物(ITO)などからなる透明電極4a、5aが形成される。
【0050】
次に、バス電極4b、5bが形成される。バス電極4b、5bの材料には、銀(Ag)と銀を結着させるためのガラスフリットと感光性樹脂と溶剤などを含む電極ペーストが用いられる。まず、スクリーン印刷法などによって、電極ペーストが、透明電極4a、5aが形成された前面ガラス基板3に塗布される。次に、乾燥炉によって、電極ペーストが、例えば100℃から250℃の温度範囲で乾燥される。乾燥によって、電極ペースト中の溶剤が除去される。次に、例えば、複数の矩形パターンが形成されたフォトマスクを介して、電極ペーストが露光される。
【0051】
次に、電極ペーストが現像される。ポジ型の感光性樹脂が用いられた場合は、露光された部分が除去される。残存した電極ペーストが電極パターンである。最後に、焼成炉によって、例えば400℃から550℃の温度範囲で、電極パターンが焼成される。焼成によって、電極パターン中の感光性樹脂が除去される。焼成によって、電極パターン中のガラスフリットが溶ける。溶けたガラスフリットは、焼成後に再びガラス化する。以上の工程によって、バス電極4b、5bが形成される。
【0052】
上述の方法の他、スパッタ法、蒸着法などにより、金属膜を形成し、その後パターニングする方法なども用いることができる。
【0053】
[2−1−2.誘電体層8の形成]
誘電体層8の材料には、誘電体ガラスフリットと樹脂と溶剤などを含む誘電体ペーストが用いられる。まずダイコート法などによって、誘電体ペーストが所定の厚みで前面ガラス基板3上に塗布される。塗布された誘電体ペーストは、走査電極4および維持電極5を被覆する。次に、乾燥炉によって、誘電体ペーストが、例えば100℃から250℃の温度範囲で乾燥される。乾燥によって、誘電体ペースト中の溶剤が除去される。最後に、焼成炉によって、例えば400℃から550℃の温度範囲で、誘電体ペーストが焼成される。焼成によって、誘電体ペースト中の樹脂が除去される。焼成によって、誘電体ガラスフリットが溶ける。溶けた誘電体ガラスフリットは、焼成後に再びガラス化する。以上の工程によって、誘電体層8が形成される。
【0054】
上述の方法の他、スクリーン印刷法、スピンコート法などを用いることができる。また、誘電体ペーストを用いずに、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などによって、誘電体層8となる膜を形成することもできる。
【0055】
[2−1−3.保護層9の形成]
保護層9は、一例として、EB(Electron Beam)蒸着装置により形成される。保護層9がMgOとCaOを含む場合、保護層9の材料は単結晶のMgOからなるMgOペレットと単結晶のCaOからなるCaOペレットである。つまり、保護層9の組成に合わせてペレットを選択すればよい。MgOペレットまたはCaOペレットには、さらに不純物としてアルミニウム(Al)、珪素(Si)などが添加されていてもよい。
【0056】
まず、EB蒸着装置の成膜室に配置されたMgOペレットおよびCaOペレットに電子ビームが照射される。電子ビームのエネルギーを受けたMgOペレットおよびCaOペレットの表面は蒸発していく。MgOペレットから蒸発したMgOおよびCaOペレットから蒸発したCaOは、成膜室内を移動する前面ガラス基板3上に付着する。より詳細には、表示領域となる領域が開口したマスクを介して、MgOおよびCaOが誘電体層8上に付着する。前面ガラス基板3は、ヒータによって約300℃に加熱されている。成膜室の圧力は、約10-4Paに減圧された後、酸素ガスが供給され、酸素分圧が約3E-2Paになるように保たれる。保護層9の膜厚は、電子ビームの強度、成膜室の圧力、前面ガラス基板3の移動速度などによって、所定の範囲に収まるように調整される。
【0057】
[2−2.背面板作製工程B1]
[2−2−1.アドレス電極12の形成]
フォトリソグラフィ法によって、背面ガラス基板11上に、アドレス電極12が形成される。アドレス電極12の材料には、導電体としての銀(Ag)粒子と銀粒子同士を結着させるガラスフリットと感光性樹脂と溶剤などを含むアドレス電極ペーストが用いられる。まず、スクリーン印刷法などによって、アドレス電極ペーストが所定の厚みで背面ガラス基板11上に塗布される。次に、乾燥炉によって、例えば100℃から250℃の温度範囲でアドレス電極ペーストが乾燥される。乾燥によって、アドレス電極ペースト中の溶剤が除去される。例えば、複数の矩形パターンが形成されたフォトマスクを介して、アドレス電極ペーストが露光される。次に、アドレス電極ペーストが現像される。ポジ型の感光性樹脂が用いられた場合は、露光された部分が除去される。残存したアドレス電極ペーストがアドレス電極パターンである。最後に、焼成炉によって、例えば400℃から550℃の温度範囲で、アドレス電極パターンが焼成される。焼成によって、アドレス電極パターン中の感光性樹脂が除去される。焼成によって、アドレス電極パターン中のガラスフリットが溶ける。溶けたガラスフリットは、焼成後に再びガラス化する。以上の工程によって、アドレス電極12が形成される。
【0058】
上述の方法の他、スパッタ法、蒸着法などにより、金属膜を形成し、その後パターニングする方法なども用いることができる。
【0059】
[2−2−2.下地誘電体層13の形成]
下地誘電体層13の材料には、ガラスフリット、フィラー、樹脂および溶剤などを含む下地誘電体ペーストが用いられる。ガラスフリットとフィラーとの和に対するガラスフリットの比率は、25重量%以上35重量%以下である。まず、スクリーン印刷法などによって、下地誘電体ペーストが所定の厚みで背面ガラス基板11上に塗布される。塗布された下地誘電体ペーストは、アドレス電極12を被覆する。次に、乾燥炉によって、例えば100℃から250℃の温度範囲で下地誘電体ペーストが乾燥される。乾燥によって、下地誘電体ペースト中の溶剤が除去される。最後に、焼成炉によって、例えば400℃から550℃の温度範囲で、下地誘電体ペーストが焼成される。焼成によって、下地誘電体ペースト中の樹脂が除去される。また、焼成によって、ガラスフリットが溶ける。一方、焼成によっても、フィラーは溶けない。溶けたガラスフリットは、焼成後に再びガラス成分となる。つまり、下地誘電体層13は、フィラーがガラス成分中に分散した構成である。なお、樹脂が存在していた領域は、樹脂が除去されると空隙になる。空隙は、空隙の周囲のガラス成分によって、埋められていく。その結果として、下地誘電体層13における空隙率は、0%を超え、かつ、1%未満である。以上の工程によって、下地誘電体層13が形成される。スクリーン印刷法の他にも、スピンコート法、ダイコート法などを用いることができる。
【0060】
[2−2−3.隔壁14の形成]
フォトリソグラフィ法によって、隔壁14が形成される。隔壁14の材料には、フィラーと、フィラーを結着させるためのガラスフリットと、感光性樹脂と、溶剤などを含む隔壁ペーストが用いられる。ガラスフリットとフィラーとの和に対するガラスフリットの比率は、81重量%以上85重量%以下である。まず、ダイコート法などによって、隔壁ペーストが所定の厚みで下地誘電体層13上に塗布される。次に、乾燥炉によって、例えば100℃から250℃の温度範囲で隔壁ペーストが乾燥される。乾燥によって、隔壁ペースト中の溶剤が除去される。次に、例えば井桁パターンのフォトマスクを介して、隔壁ペーストが露光される。次に、隔壁ペーストが現像される。ポジ型の感光性樹脂が用いられた場合は、露光された部分が除去される。残存した隔壁ペーストが隔壁パターンである。最後に、焼成炉によって、例えば500℃から600℃の温度範囲で隔壁パターンが焼成される。焼成によって、隔壁パターン中の感光性樹脂が除去される。焼成によって、隔壁パターン中のガラスフリットが溶ける。一方、焼成によっても、フィラーは溶けない。溶けたガラスフリットは、焼成後に再びガラス成分となる。つまり、隔壁14は、フィラーがガラス成分中に分散した構成である。以上の工程によって、隔壁14が形成される。なお、樹脂が存在していた領域は、樹脂が除去されると空隙になる。空隙は、空隙の周囲のガラス成分によって、埋められていく。その結果として、隔壁14における空隙率は、0%を超え、かつ、1%未満である。
【0061】
[2−2−4.蛍光体層15の形成]
蛍光体層15の材料には、蛍光体粒子とバインダと溶剤などとを含む蛍光体ペーストが用いられる。まず、ディスペンス法などによって、蛍光体ペーストが所定の厚みで隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14の側面に塗布される。次に、乾燥炉によって、蛍光体ペースト中の溶剤が除去される。最後に、焼成炉によって、蛍光体ペーストが所定の温度で焼成される。つまり、蛍光体ペースト中の樹脂が除去される。以上の工程によって、蛍光体層15が形成される。ディスペンス法の他にも、スクリーン印刷法などを用いることができる。
【0062】
以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面板10が完成する。
【0063】
[2−3.フリット塗布工程B2]
背面板作製工程B1により作製された背面板10の画像表示領域外に封着部材であるガラスフリットが塗布される。その後、ガラスフリットは、350℃程度の温度で仮焼成される。仮焼成によって、溶剤成分などが除去される。
【0064】
[2−4.封着工程C1から放電ガス供給工程C4まで]
前面板2とフリット塗布工程B1を経た背面板10とが対向配置されて周辺部が封着部材により封着される。その後、放電空間16に放電ガスが封入される。
【0065】
本実施の形態にかかる封着工程C1、還元性ガス導入工程C2、排気工程C3、および放電ガス供給工程C4は、同一の装置において、図7から図9に例示された温度プロファイルのいずれか一つに基づいて処理を行う。
【0066】
封着温度とは、前面板2と背面板10とが封着部材であるフリットにより封着されるときの温度である。本実施の形態における封着温度は、例えば約490℃である。軟化点とは、封着部材であるフリットが軟化する温度である。本実施の形態における軟化点は、例えば約430℃である。排気温度とは、還元性有機ガスを含むガスが放電空間から排気されるときの温度である。本実施の形態における排気温度は、例えば約400℃である。
【0067】
[2−4−1.第1の温度プロファイル]
図7に示すように、まず、封着工程C1において、温度は、室温から封着温度まで上昇する。次に、温度は、a−bの期間、封着温度に維持される。その後、温度は、b−cの期間に封着温度から排気温度に下降する。b−cの期間において、放電空間内が排気される。つまり、放電空間内は減圧状態になる。
【0068】
次に、還元性ガス導入工程C2において、温度は、c−dの期間、排気温度に維持される。c−dの期間に放電空間内に還元性有機ガスを含むガスが導入される。c−dの期間に保護層9は、還元性有機ガスを含むガスに曝される。
【0069】
その後、排気工程C3において、温度は所定の期間、排気温度に維持される。その後、温度は、室温程度まで下降する。d−eの期間において、放電空間内が排気されることにより、還元性有機ガスを含むガスが排出される。
【0070】
次に、放電ガス供給工程C4において、放電空間内に放電ガスが導入される。つまり、温度が室温程度に下がったe以降の期間に放電ガスが導入される。
【0071】
[2−4−2.第2の温度プロファイル]
図8に示すように、まず、封着工程C1において、温度は、室温から封着温度まで上昇する。次に、温度は、a−bの期間、封着温度に維持される。その後、温度はb−cの期間に封着温度から排気温度に下降する。温度が排気温度に維持されているc−d1の期間において、放電空間内が排気される。つまり、放電空間内は減圧状態になる。
【0072】
次に、還元性ガス導入工程C2において、温度は、d1−d2の期間、排気温度に維持される。d1−d2の期間に放電空間内に還元性有機ガスを含むガスが導入される。d1−d2の期間に保護層9は、還元性有機ガスを含むガスに曝される。
【0073】
その後、排気工程C3において、所定の期間、温度は排気温度に維持される。その後、温度は、室温程度まで下降する。d2−eの期間において、放電空間内が排気されることにより、還元性有機ガスを含むガスが排出される。
【0074】
次に、放電ガス供給工程C4において、放電空間内に放電ガスが導入される。つまり、温度が室温程度に下がったe以降の期間に放電ガスが導入される。
【0075】
[2−4−3.第3の温度プロファイル]
図9に示すように、まず、封着工程C1において、温度は、室温から封着温度まで上昇する。次に、温度は、a−b1−b2の期間、封着温度に維持される。a−b1の期間に放電空間内が排気される。つまり、放電空間内は減圧状態になる。その後、温度はb2−cの期間に封着温度から排気温度に下降する。
【0076】
還元性ガス導入工程C2は、封着工程C1の期間内に行われる。温度は、b1−b2の期間、封着温度に維持される。その後、b2−cの期間に温度は、排気温度まで下降する。b1−cの期間に放電空間内に還元性有機ガスを含むガスが導入される。b1−cの期間に保護層9は、還元性有機ガスを含むガスに曝される。
【0077】
その後、排気工程C3において、温度は、所定の期間排気温度に維持される。その後、温度は、室温程度まで下降する。c−eの期間において、放電空間内が排気されることにより、還元性有機ガスを含むガスが排出される。
【0078】
次に、放電ガス供給工程C4において、放電空間内に放電ガスが導入される。つまり、温度が室温程度に下がったe以降の期間に放電ガスが導入される。
【0079】
なお、いずれの温度プロファイルにおいてもほぼ同等の作用を有する。
【0080】
[2−4−4.還元性有機ガスの詳細]
表1に示すように、還元性有機ガスとしては、分子量が58以下の還元力の大きいCH系有機ガスが望ましい。種々の還元性有機ガスの中から選ばれる少なくとも一つが希ガスや窒素ガスなどに混合されることにより、還元性有機ガスを含むガスが製造される。
【0081】
【表1】

【0082】
表1において、Cの列は、有機ガスの一分子に含まれる炭素原子数を意味する。Hの列は、有機ガスの一分子に含まれる水素原子数を意味する。
【0083】
表1に示すように、蒸気圧の列において、0℃での蒸気圧が100kPa以上のガスには、「A」が付されている。さらに、0℃での蒸気圧が100kPaより小さいガスには、「C」が付されている。沸点の列において、1気圧での沸点が0℃以下のガスには、「A」が付されている。さらに、1気圧での沸点が0℃より大きいガスには、「C」が付されている。分解しやすさの列において、分解しやすいガスには、「A」が付されている。分解しやすさが普通のガスには、「B」が付されている。還元力の列において、還元力が十分であるガスには、「A」が付されている。
【0084】
表1において、「A」は良い特性であることを意味する。「B」は普通の特性であることを意味する。「C」は不十分な特性であることを意味する。
【0085】
PDPの製造工程における有機ガスの取扱い易さの観点から考えると、ガスボンベに入れて供給できる還元性有機ガスが望ましい。また、PDPの製造工程における取扱い易さから考えると、0℃での蒸気圧が100kPa以上の還元性有機ガス、または沸点が0℃以下の還元性有機ガス、または分子量が小さい還元性有機ガスが望ましい。
【0086】
さらに、排気工程C3の後にも還元性有機ガスを含むガスの一部が放電空間内に残留する可能性がある。よって、還元性有機ガスは、分解しやすい特性を有することが望ましい。
【0087】
還元性有機ガスは、製造工程上での取扱い易さや、分解しやすい特性などの点を考慮して、アセチレン、エチレン、メチルアセチレン、プロパジエン、プロピレンおよびシクロプロパンの中から選ばれる酸素を含まない炭化水素系ガスが望ましい。これらの還元性有機ガスの中から選ばれる少なくとも一種を希ガスや窒素ガスに混合して用いればよい。
【0088】
なお、希ガスや窒素ガスと還元性有機ガスの混合比率は、使用する還元性有機ガスの燃焼割合に応じて下限が決定される。上限は、数体積%程度である。還元性有機ガスの混合比率が高すぎると、有機成分が重合して高分子となりやすい。この場合、高分子が放電空間に残留し、PDPの特性に影響を与えてしまう。よって、使用する還元性有機ガスの成分に応じて、混合比率を適宜調整することが好ましい。
【0089】
なお、MgO、CaO、SrO、およびBaOなどは、水、二酸化炭素などの不純物ガスとの反応性が高い。特に水、二酸化炭素と反応することにより放電特性が劣化しやすく、放電セル毎の放電特性にばらつきが発生しやすい。
【0090】
そこで、封着工程C1において、放電空間16に開口する貫通孔を通して放電空間16内が陽圧状態となるように不活性ガスを流し、その後、封着を行うことが好ましい。保護層9と不純物ガスとの反応が抑制できるからである。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンなどが用いられ得る。
【0091】
また、不活性ガスの代わりにドライ空気(乾燥ガス)を流してもよい。少なくとも水との反応が抑制できる上に、不活性ガスより製造コストが低減できるからである。
【0092】
具体的には、図7から図9に示す封着工程C1において、温度が軟化点に達するxまでの期間において、例えば窒素ガスを2L/min程度の流量で流してもよい。放電空間16は、窒素ガスによって陽圧に保たれる。温度が軟化点を超えると、窒素ガスの供給が止められる。放電空間16は、窒素ガスによって陽圧に保たれたままである。温度は、a−bの期間、封着温度に維持される。放電空間16は、窒素ガスによって満たされている。その後、温度は、b−cの期間に封着温度から排気温度に下降する。b−cの期間において、放電空間16を満たしていた窒素ガスが排気される。つまり、放電空間内は減圧状態になる。以降の期間についての説明は、前述の説明と同様である。
【0093】
[3.試作評価]
[3−1.試作評価1]
試作されたPDP1は、42インチクラスのハイビジョンテレビに適合するものである。PDP1は、前面板2と、前面板2と対向配置された背面板10と、を備える。また、前面板2と背面板10の周囲は、封着部材22で封着されている。前面板2は、表示電極6と誘電体層8と保護層9とを有する。背面板10は、アドレス電極12と、下地誘電体層13と、隔壁14と、蛍光体層15とを有する。PDP1には、キセノン(Xe)の含有量が15体積%のネオン(Ne)−キセノン(Xe)系の混合ガスが、60kPaの内圧で封入された。また、表示電極6と表示電極6との電極間距離は、60μmであった。下地誘電体層13の膜厚は、10μmであった。縦隔壁24の高さは120μm、縦隔壁24と縦隔壁24との間隔(セルピッチ)は120μmであった。横隔壁26の高さは100μm、横隔壁26と横隔壁26との間隔は45μmであった。赤色蛍光体層151にはYPVが用いられた。青色蛍光体層152にはBAMが用いられた。緑色蛍光体層153にはZSMとYAGを1:1の割合で混合したものが用いられた。
【0094】
サンプルAの保護層9は、MgOとCaOによって構成されている。サンプルBの保護層9は、MgOとSrOによって構成されている。サンプルCの保護層9は、MgOとBaOによって構成されている。サンプルDの保護層9は、MgO、CaOおよびSrOによって構成されている。サンプルEの保護層9はMgO、CaOおよびBaOによって構成されている。また、比較例の保護層9は、MgO単体によって構成されている。
【0095】
サンプルAからEについて、駆動電圧が測定された。駆動電圧は、PDP1をサブフィールド駆動することにより評価された。サブフィールド駆動法は、1フィールドを複数のサブフィールドにより構成する。一つのサブフィールドは、初期化期間と、書込み期間と、維持期間とを有する。初期化期間は放電セルにおいて初期化放電を発生させる期間である。書込み期間は、初期化期間のあと、発光させる放電セルを選択する書込み放電を発生させる期間である。維持期間は、書込み期間において選択された放電セルに維持放電を発生させる期間である。本実施の形態において、駆動電圧とは、正常な維持放電を発生させるために必要な最も低い電圧を意味する。駆動電圧は低い方が好ましい。
【0096】
比較例の駆動電圧を100とした場合、サンプルAの駆動電圧は90、サンプルBの駆動電圧は87、サンプルCの駆動電圧は85、サンプルDの駆動電圧は81、サンプルEの駆動電圧は82であった。サンプルAからEは、通常の製造方法で製造されたPDPである。つまり、サンプルAからEは、還元性有機ガス導入工程を有さない製造方法で製造されたPDPである。
【0097】
放電ガスのXeの分圧を10%から15%に高めた場合には輝度が約30%上昇するが、比較例では、駆動電圧が約10%上昇する。
【0098】
一方、サンプルA、サンプルB、サンプルC、サンプルDおよびサンプルEの駆動電圧はいずれも、比較例より約10%〜20%低減できた。
【0099】
次に、本実施の形態にかかる製造方法でサンプルAからEと同じ構成の保護層9を有するPDP1が作製された。封着工程C1から放電ガス供給工程C4には、第1の温度プロファイルが用いられた。
【0100】
還元性有機ガスは、一例として、プロピレン、シクロプロパン、アセチレン、およびエチレンが用いられた。本実施の形態にかかるPDP1の駆動電圧は、サンプルAからEと比較してさらに5%程度低かった。
【0101】
さらに、還元性有機ガスを導入する前に、封着工程C1において、放電空間16に開口する貫通孔を通して放電空間16内が陽圧状態となるように不活性ガスとして窒素ガスを流し、その後、封着を行った場合は、サンプルAからEと比較してさらに5から7%程度低かった。
【0102】
[3−2.試作評価2]
試作されたPDP1は、42インチクラスのハイビジョンテレビに適合するものである。PDP1は、前面板2と、前面板2と対向配置された背面板10と、を備える。また、前面板2と背面板10の周囲は、封着部材22で封着されている。前面板2は、表示電極6と誘電体層8と保護層9とを有する。保護層9は、MgOを80mol%とCaOを20mol%含む。背面板10は、アドレス電極12と、下地誘電体層13と、隔壁14と、蛍光体層15とを有する。還元性有機ガスには、エチレンが用いられた。封着工程から放電ガス供給工程までは、第1の温度プロファイルが用いられた。PDP1には、キセノン(Xe)の含有量が15体積%のネオン(Ne)−キセノン(Xe)系の混合ガスが、60kPaの内圧で封入された。また、表示電極6と表示電極6との電極間距離は、60μmであった。下地誘電体層13の膜厚は、10μmであった。縦隔壁24の高さは120μm、縦隔壁24と縦隔壁24との間隔(セルピッチ)は120μmであった。横隔壁26の高さは100μm、横隔壁26と横隔壁26との間隔は45μmであった。赤色蛍光体層151にはYPVが用いられた。青色蛍光体層152にはBAMが用いられた。緑色蛍光体層153にはZSMとYAGを1:1の割合で混合したものが用いられた。表2に試作されたPDP1の一覧が示される。つまり、試作されたPDPは、下地誘電体層13の構造と隔壁14の構造の他は同一である。
【0103】
【表2】

【0104】
駆動電圧は、試作評価1と同様に評価された。
【0105】
チッピングは、PDP1の完成後に、PDP1を割断し、隔壁14を光学顕微鏡で観察することにより評価された。隔壁14が当初の形状を保っていなければ、チッピングが発生したことを意味する。つまり、チッピングとは、隔壁14が保護層9などに接触することによって、隔壁14の一部が欠けることを意味する。チッピングは、チッピングの発生数が少なく、チッピングの大きさが小さい方が好ましい。
【0106】
表2において、「A」は良い特性であることを意味する。「B」は十分な特性であることを意味する。「C」は不十分な特性であることを意味する。
【0107】
下地誘電体層13における空隙率は、下地誘電体ペースト中のガラスフリットとフィラーとの和に対するガラスフリットの比率によって変化する。例えば、サンプル1からサンプル4におけるガラスフリットの比率は、43重量%である。例えば、サンプル5およびサンプル6におけるガラスフリットの比率は、70重量%である。
【0108】
隔壁14における空隙率は、隔壁ペースト中のガラスフリットとフィラーとの和に対するガラスフリットの比率によって変化する。例えば、サンプル1におけるガラスフリットの比率は、75重量%である。例えば、サンプル2からサンプル6におけるガラスフリットの比率は、83重量%である。
【0109】
隔壁14における空隙断面積は、隔壁14の焼成温度、焼成時間によっても変化する。本実施の形態において、焼成温度とは、焼成における最高温度を意味する。焼成時間とは、焼成温度に保持されている時間を意味する。サンプル1からサンプル6は、594℃の焼成温度で焼成された。サンプル4およびサンプル5は、同じ焼成時間で焼成された。サンプル1およびサンプル2は、サンプル4およびサンプル5の焼成時間の半分の焼成時間で焼成された。サンプル3およびサンプル6は、サンプル4およびサンプル5の焼成時間の1.5倍の焼成時間で焼成された。つまり、焼成時間が長くなると、空隙断面積が小さくなる。
【0110】
[3−2.下地誘電体層13の空隙率測定]
[3−2−1.撮像]
下地誘電体層13の空隙率は、次のように測定される。まず、下地誘電体層13の断面がでるように、下地誘電体層13が形成された背面ガラス基板11が割断される。次に、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3100)によって、下地誘電体層13の断面が撮影される。撮影条件は、加速電圧10keVである。画像は、例えば、水平500画素、垂直500画素のCCD(Charge Coupled Devices)に、10ビットの階調で取り込まれる。図10に示すように、撮影領域40は、下地誘電体層13の表層から約10%および背面ガラス基板11から約10%が除かれる。表層近傍および背面ガラス基板11の近傍は、膜質が変化するため、空隙率の測定値に影響を与えるからである。下地誘電体層13の膜厚が、例えば、10μmであるならば、厚さ方向には8μm分の画像になる。つまり、垂直1000画素が約8μmに相当する。よって、CCDの1画素は、下地誘電体層13の0.016μm角(0.00026μm2)に相当する。
【0111】
なお、撮像に適した断面を得るために、撮像前に以下の処理を施しても良い。まず、割断された背面ガラス基板11がエポキシなどの樹脂に埋められる。次に、樹脂が硬化される。最後に、背面ガラス基板11が撮像予定の断面が出るまで樹脂ごと研磨される。
【0112】
[3−2−2.画像処理]
撮影された画像は、10ビットなので、1024階調で表わされる。まず、平均階調が512階調になるように、ゲイン調整がなされる。次に、ノイズ除去のため、平均化処理などがなされる。空隙は、画像において暗部として表わされる。撮影時に電子が放出されないからである。次に、二値化処理がなされる。一例として、しきい値が128階調に設定される。128階調未満の階調を有する画素が黒とし、128階調以上の階調を有する画素が白になる。垂直5画素以上×水平5画素以上の画素数(25画素以上)を有する黒の領域が空隙とされる。本実施の形態において、撮影した画像全体の画素数における、空隙が占める領域の画素数が空隙率である。
【0113】
最後に、空隙の数と、空隙の一つあたりの断面積が計算される。空隙の数は、例えば、目視により求められる。断面積は、それぞれの空隙が占める画素数から計算される。
【0114】
測定誤差を低減するために、複数箇所の断面において、上述の測定を実施することが好ましい。表2における空隙率は、PDP1の面内9箇所の測定値の平均値である。
【0115】
なお、評価対象の膜厚などに合わせて、走査型電子顕微鏡の撮影条件、画像取り込みのためのCCDサイズおよび画像処理方法などは、適宜変更され得る。
【0116】
[3−3.隔壁14の空隙率測定]
[3−3−1.撮像]
隔壁14の空隙率は、次のように測定される。まず、隔壁14の断面がでるように、下地誘電体層13上に隔壁14が形成された背面ガラス基板11が割断される。次に、走査型電子顕微鏡によって、隔壁14の断面が撮影される。撮影条件は、加速電圧10keVである。画像は、例えば、水平1000画素、垂直1000画素のCCDに、10ビットの階調で取り込まれる。図11に示すように、撮影領域42は、縦隔壁24の表層から約50%および下地誘電体層13から約10%が除かれる。さらに、縦隔壁24の側面から幅方向に10%〜20%の領域が除かれる。表層近傍および下地誘電体層13の近傍は、膜質が変化するため、空隙率の測定値に影響を与えるからである。縦隔壁24の高さが120μmであるならば、高さ方向には約50μm分の画像になる。つまり、垂直1000画素が約50μmに相当する。よって、CCDの1画素は、縦隔壁24の0.05μm角(0.0025μm2)に相当する。
【0117】
なお、撮像に適した断面を得るために、撮像前に以下の処理を施しても良い。まず、割断された背面ガラス基板11がエポキシなどの樹脂に埋められる。次に、樹脂が硬化される。最後に、背面ガラス基板11が撮像予定の断面が出るまで樹脂ごと研磨される。
【0118】
[3−3−2.画像処理]
撮影された画像は、10ビットなので、1024階調で表わされる。まず、平均階調が512階調になるように、ゲイン調整がなされる。次に、ノイズ除去のため、平均化処理などがなされる。空隙は、画像において暗部として表わされる。撮影時に電子が放出されないからである。次に、二値化処理がなされる。一例として、しきい値が128階調に設定される。128階調未満の階調を有する画素が黒とし、128階調以上の階調を有する画素が白になる。垂直4画素以上×水平4画素以上の画素数(16画素以上)を有する黒の領域が空隙とされる。本実施の形態において、撮影した画像全体の画素数における、空隙が占める領域の画素数が空隙率である。
【0119】
最後に、空隙の数と、空隙の一つあたりの断面積が計算される。空隙の数は、例えば、目視により求められる。断面積は、それぞれの空隙が占める画素数から計算される。
【0120】
測定誤差を低減するために、複数箇所の断面において、上述の測定を実施することが好ましい。表2における空隙率は、PDP1の面内9箇所の測定値の平均値である。表1における空隙断面積は、PDP1の面内9箇所の空隙一つあたりの断面積の平均値である。
【0121】
[3−4.評価結果]
表2に示すように、サンプル1は、チッピングは「A」である。空隙のために、隔壁14の破損が内部まで進行することが抑制されたためと考えられる。つまり、空隙の位置で破損が止まったと考えられる。しかし、サンプル1の駆動電圧は「C」である。下地誘電体層13および隔壁14に存在する空隙から発生した水、二酸化炭素などの不純物ガスが保護層9に吸着することによって、保護層9を劣化させたためと考えられる。
【0122】
サンプル2の駆動電圧は、「C」である。隔壁14の空隙率はサンプル1と比較して減少した。しかし空隙断面積が、サンプル3から6と比較して大きい。そのため、空隙から不純物ガスが発生しやすくなったと考えられる。チッピングは「B」である。
【0123】
サンプル3の駆動電圧は、「B」である。下地誘電体層13の空隙率および隔壁14の空隙率は、サンプル2と同等である。しかし、空隙断面積がサンプル2と比較して小さい。そのため、空隙からガスが発生しにくくなったと考えられる。一方、チッピングは「C」である。チッピングの大きさが、サンプル2と比較して大きくなったためである。
【0124】
サンプル4の駆動電圧は、「B」である。チッピングも「B」である。下地誘電体層13の空隙率および隔壁14の空隙率は、サンプル2およびサンプル3と同等である。しかし、空隙断面積は、サンプル2と比較して小さく、サンプル3と比較して大きい。そのため駆動電圧とチッピングの二つの特性が両立したと考えられる。
【0125】
サンプル5の駆動電圧は、「A」である。隔壁14の空隙率および空隙断面積はサンプル4と同等である。しかし、下地誘電体層13の空隙率がサンプル3と比較して小さい。そのため、空隙に滞留していた不純物ガスの量が低減されたためと考えられる。チッピングは「B」である。
【0126】
サンプル6の駆動電圧は、「A」である。しかし、チッピングが「C」である。空隙断面積がサンプル5と比較して小さいためと考えられる。
【0127】
駆動電圧とチッピングの二つの特性において「A」または「B」が得られたサンプルは、サンプル4およびサンプル5であった。したがって、隔壁14の空隙率は、0%を超え、かつ、1.0%未満であることが好ましい。さらに、空隙の一つあたりの平均断面積を意味する空隙断面積は、0.23μm2以上0.29μm2未満であることが好ましい。
【0128】
さらに、下地誘電体層13の空隙率は、0%を超え、かつ、1.0%未満であることが好ましい。空隙から発生する不純物ガスをさらに低減できるからである。
【0129】
[4.まとめ]
本実施の形態にかかるPDP1は、前面板2と、前面板2と対向配置される背面板10とを備える。前面板2は、誘電体層8と誘電体層8を覆う保護層9とを有する。保護層9は、少なくとも第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含む。さらに、保護層9は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有する。ピークは、第1の金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、第2の金属酸化物のX線回折分析における第2のピークと、の間にある。第1のピークおよび第2のピークは、ピークが示す面方位と同じ面方位を示す。第1の金属酸化物および第2の金属酸化物は、MgO、CaO、SrOおよびBaOからなる群の中から選ばれる2種である。背面板10は、下地誘電体層13と下地誘電体層13上に配置された複数の隔壁14とを含む。隔壁14は複数の空隙を有する。隔壁14の空隙率は、0%を超え、かつ、1.0%未満である。空隙の一つあたりの平均断面積は、0.23μm2以上0.29μm2未満である。
【0130】
本実施の形態にかかるPDP1は、隔壁14に存在する空隙から発生するガスを低減できる。よって、保護層9の劣化を抑制できる。つまり、保護層9の二次電子放出能力の低下を抑制できる。さらに、空隙の一つあたりの平均断面積を規定することによって、隔壁14のチッピングを抑制できる。したがって、本実施の形態にかかるPDP1は、駆動電圧の上昇を抑えつつ、隔壁14のチッピングによる品質低下を抑制できる。
【0131】
本実施の形態にかかるPDP1の製造方法は、以下の工程を備える。還元性有機ガスを含むガスを放電空間16に導入することにより、保護層9を還元性有機ガスに曝す。次に、還元性有機ガスを放電空間16から排出する。次に、放電ガスを放電空間16に封入する。
【0132】
還元性有機ガスに曝された保護層9には、酸素欠損が生じる。酸素欠損が生じることにより、保護層の二次電子放出能力が向上すると考えられる。したがって、本実施の形態にかかる製造方法で製造されたPDP1は、維持電圧を低減することができる。
【0133】
さらに、還元性有機ガスは、酸素を含まない炭化水素系ガスであることが好ましい。酸素を含まないことによって、還元能力が高まるからである。
【0134】
さらに、還元性有機ガスは、アセチレン、エチレン、メチルアセチレン、プロパジエン、プロピレン、シクロプロパン、プロパンおよびブタンの中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。上記の還元性有機ガスは、製造工程上での取扱いが容易だからである。さらに、上記の還元性有機ガスは、分解が容易だからである。
【0135】
なお、本実施の形態においては、放電空間を排気した後、還元性有機ガスを含むガスを放電空間に導入する製造方法が例示された。しかし、放電空間を排気することなく、放電空間に還元性有機ガスを含むガスを連続的に供給することによって、還元性有機ガスを含むガスを放電空間に導入することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
ここに開示された技術は、プラズマディスプレイパネルの駆動電圧を低減できるので、大画面の表示デバイスなどに有用である。
【符号の説明】
【0137】
1 PDP
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a、5a 透明電極
4b、5b バス電極
5 維持電極
6 表示電極
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間
22 封着部材
24 縦隔壁
26 横隔壁
40、42 撮影領域
151 赤色蛍光体層
152 青色蛍光体層
153 緑色蛍光体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面板と、前記前面板と対向配置される背面板とを備え、
前記前面板は、誘電体層と前記誘電体層を覆う保護層とを有し、
前記保護層は、少なくとも第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含み、
さらに、前記保護層は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有し、
前記ピークは、前記第1の金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、前記第2の金属酸化物のX線回折分析における第2のピークと、の間にあり、
前記第1のピークおよび前記第2のピークは、前記ピークが示す面方位と同じ面方位を示し、
前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムからなる群の中から選ばれる2種であり、
前記背面板は、下地誘電体層と前記下地誘電体層上に配置された複数の隔壁とを含み、
前記隔壁は複数の空隙を有し、
前記隔壁の空隙率は、0%を超え、かつ、1.0%未満であり、
前記空隙の一つあたりの平均断面積は、0.23μm2以上0.29μm2未満である、
プラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
前記下地誘電体層は複数の空隙を有し、
前記下地誘電体層の空隙率は、0%を超え、かつ、1.0%未満である、
請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
前面板と背面板との間に形成された放電空間を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記前面板は、誘電体層と前記誘電体層を覆う保護層とを有し、
前記保護層は、少なくとも第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含み、
さらに、前記保護層は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有し、
前記ピークは、前記第1の金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、前記第2の金属酸化物のX線回折分析における第2のピークと、の間にあり、
前記第1のピークおよび前記第2のピークは、前記ピークが示す面方位と同じ面方位を示し、
前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムからなる群の中から選ばれる2種であり、
前記背面板は、下地誘電体層と前記下地誘電体層上に配置された複数の隔壁とを含み、
前記隔壁は複数の空隙を有し、
前記隔壁の空隙率は、0%を超え、かつ、1.0%未満であり、
前記空隙の一つあたりの平均断面積は、0.23μm2以上0.29μm2未満であり、
還元性有機ガスを含むガスを前記放電空間に導入することにより、前記保護層を前記還元性有機ガスに曝し、
次に、前記還元性有機ガスを前記放電空間から排出し、
次に、放電ガスを前記放電空間に封入する、
プラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項4】
還元性有機ガスを含むガスを前記放電空間に導入する前に、前記放電空間を陽圧に保ちつつ、前記前面板と前記背面板との周囲を封着する、
請求項3に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項5】
還元性有機ガスを含むガスを前記放電空間に導入する前に、前記放電空間に不活性ガスを流すことにより、前記放電空間を陽圧に保ちつつ、前記前面板と前記背面板との周囲を封着する、
請求項4に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項6】
還元性有機ガスを含むガスを前記放電空間に導入する前に、前記放電空間に乾燥空気を流すことにより、前記放電空間を陽圧に保ちつつ、前記前面板と前記背面板との周囲を封着する、
請求項4に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項7】
前記還元性有機ガスは、酸素を含まない炭化水素系ガスである、
請求項3に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項8】
前記還元性有機ガスは、アセチレン、エチレン、メチルアセチレン、プロパジエン、プロピレン、シクロプロパン、プロパンおよびブタンの中から選ばれる少なくとも一種である、
請求項7に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項9】
前記下地誘電体層は複数の空隙を有し、
前記下地誘電体層の空隙率は、0%を超え、かつ、1.0%未満である、
請求項3に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−33602(P2013−33602A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168105(P2011−168105)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】