説明

プラズマディスプレイパネルの駆動方法及びプラズマディスプレイ装置

【課題】 1本の走査電極が隣り合う2行の表示ラインで共用されるPDPにおいてプログレッシブ表示を行う場合、動作が不安定になったり、リセット期間が長くなって輝度が不足したり、バックグラウンド発光によりコントラストが悪化することを抑制する。
【解決手段】 1駆動期間の最初に全てのセルを維持可能状態にするリセット動作を行った後、選択消去アドレス動作と維持動作とをサブフィールド毎に繰り返し行う。 このとき、1本の走査電極Yを共有する一方の表示ラインLにおけるアドレス動作を行う前に、当該表示ラインのみがアドレス動作が可能で、他方の表示ラインはアドレス動作が行われないような壁電荷状態を作り出し、安定してアドレス動作を行うことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラズマディスプレイパネルの駆動方法に関するもので、特に1本の走査電極が隣り合う2行の表示ラインで共用されるプラズマディスプレイパネルにプログレッシブ表示を行うための駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、1本の走査電極が隣り合う2行の表示ラインで共用されるプラズマディスプレイパネルにおいては、2行のうちのいずれか一方ずつ表示発光を行うことにより、インターレース表示を行っていた。
【0003】
これに対して、1本の走査電極が隣り合う2行の表示ラインで共用されるプラズマディスプレイパネルにプログレッシブ表示を行う技術として、あらかじめ一方の表示ラインのみをアドレス放電可能な状態とした上で、当該表示ラインにおいてアドレス動作を行い、引き続き他方の表示ラインのみをアドレス放電可能な状態とした上で、当該表示ラインにおいてアドレス動作を行い、続いて一斉に維持放電を発生させるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
また、アドレス期間に先立つリセット期間において、矩形波(鈍波ではない、立ち上がりの速いパルス)を複数回印加することにより、放電セルの一方が負、他方が正となるような壁電荷状態を作り出したうえで、順次アドレス動作を行うものもあった。(例えば、特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】特開2003−5699号公報(第5図)
【0005】
【特許文献2】特開平9−244573号公報(第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような駆動方法では、以下に示す3つの問題点があった。
(第1の問題点)リセット期間が長くなり、アドレス期間や維持期間に利用できる時間が短くなってしまう。(特許文献1)
(第2の問題点)動作不安定になってしまう。(特許文献1)
(第3の問題点)バックグラウンド発光(入力画像信号の画像情報に関わらず行われる発光)が強くなり、画像のコントラストが悪化する。(特許文献2)
以下、上記各問題点について説明する。
【0007】
(第1の問題点)
特許文献1に示された駆動方法においてはアドレス動作に先だつリセット期間において、一方の行でアドレス動作が行われ、他方の行でアドレス動作が行われないような壁電荷状態を作り出すために、鈍波を用いる方法が記載されている。
しかしながら、リセット期間に鈍波を用いる場合は、リセットに要する時間が長くなってしまうという問題があった。
【0008】
このリセット期間は、全てのアドレス期間の前に必要である。即ち、全てのサブフィールドにおいて、しかも各々の表示ラインの放電セルに対するアドレス期間のそれぞれの前にリセット期間が必要である。1駆動期間あたりでは、サブフィールド数の2倍の回数のリセット期間が必要で、その結果1駆動期間あたりリセット期間のために必要となる時間が非常に長くなり、アドレス期間や維持期間に用いることのできる時間が短くなって、動作が不安定になったり、高い輝度が得られなくなったりする。或いはサブフィールドの数を増やすことができなくなり、階調特性が悪化するという問題があった。
【0009】
(第2の問題点)
いずれか一方の表示ラインのみで確実にアドレス動作を行わせ、他方では確実にアドレス動作を阻止するためには、アドレス面放電のみならず、アドレス対向放電についても、発生させるか抑制するかを制御する必要がある。
ところが、一方の表示ラインの表示セルと他方の表示セルとでは、アドレス電極も走査電極も共通なので、アドレス対向放電の有無を直接かつ両表示セル間で独立に制御することはできない。そこで、例えば、アドレス期間に先立つリセット期間等において、2行の表示ラインに対応する共通電極に異なる駆動波形を与えることにより、これらの共通電極とで面放電の有無或いは強度を異ならせ、面放電によって発生する空間電荷や真空紫外線等によって間接的に対向電極間に蓄積される壁電荷を制御する、などの工夫を行う必要がある。
【0010】
しかしながら、リセット放電に鈍波を用いた場合、鈍波による面放電は面電極間の放電ギャップ付近に偏在する極めて弱い放電であり、放電によって発生する空間電荷や真空紫外線の量も少ないため、対向電極間の放電や壁電荷に与える影響は極めて小さいものとなる。即ち、鈍波を用いた場合、2行の表示ラインに対応する共通電極に異なる駆動波形を与えたとしても、対向電極間に蓄積される壁電荷を、2行の表示ラインの表示セルとで独立に制御することは困難である。
【0011】
そのため、一方の表示ラインの表示セルだけでアドレス対向放電が行なわれるべき時に、他方でも誤ってアドレス対向放電が発生してしまう可能性が高くなるので、動作が不安定となり、駆動電圧マージン(正常に動作が行われる各種駆動電圧の範囲)が狭くなるという問題があった。
即ち、一方の表示ラインの表示セルのみがアドレス放電可能であり、他方の表示ラインの表示セルはアドレス放電が発生しないような電荷状態を作り出すことは現実には困難であった。
【0012】
(第3の問題点)
特許文献2に示された駆動方法によれば、アドレス期間に先立つリセット期間において、矩形波(鈍波ではない、立ち上がりの速いパルス)を複数回印加することにより、放電セルの一方が負、他方が正となるような壁電荷状態を作り出している。
しかしながら、矩形波による放電は鈍波による弱い放電とは異なる強い放電であり、リセット期間における強い放電は、強いバックグラウンド発光が発生する。更に、このようなリセット期間は、全てのサブフィールドにおいて必要であるため、バックグラウンド発光はさらに強くなり、表示される画像のコントラストを悪化させるという問題があった。
【0013】
この発明は、上述のような課題を解消するためになされたもので、第1の目的は、1本の走査電極が隣り合う2行の表示ラインで共用されるプラズマディスプレイパネルに、プログレッシブ表示を行うための、動作が安定で、駆動電圧マージンの広い駆動方法を提供するものである。
【0014】
また、第2の目的は、1本の走査電極が隣り合う2行の表示ラインで共用されるプラズマディスプレイパネルに、プログレッシブ表示を行うための、動作が安定で、駆動電圧マージンの広い駆動方法において、更にリセット期間を削減、短縮し、バックグラウンド発光を抑制して良好なコントラスト特性を得ると共に、表示放電やアドレス放電に用いることのできる時間を、より多く確保することにより、良好な階調特性や高い輝度が得られる駆動方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、放電空間を挟んで互いに平行に配設された第1基板及び第2基板、前記第1基板上に配設された複数の走査電極、前記第1基板上に、前記走査電極と交互に配設された複数の共通電極、前記第2基板上に、前記走査電極及び共通電極と交差する方向に配設された複数のアドレス電極を備え、前記複数の共通電極は、交互に第1の共通電極群と第2の共通電極群とに分類され、前記第1の共通電極群と前記走査電極との間に第1の表示ライン群が規定され、前記第2の共通電極群と前記走査電極との間に第2の表示ライン群が規定され、前記第1及び第2の表示ライン群と、前記複数のアドレス電極との交差部に表示セルが規定されるプラズマディスプレイパネルの駆動方法において、前記第1の表示ライン群に属する表示セルを維持放電可能状態にする過程、前記第1の表示ライン群において、選択消去アドレス動作を行う過程、前記第2の表示ライン群に属する表示セルを維持放電可能状態にする過程、前記第2の表示ライン群において、選択消去アドレス動作を行う過程、前記第1及び第2の表示ライン群に属する表示セルに対して維持放電動作を行う過程、を順次行う第1の期間と、前記第1の表示ライン群又は前記第2の表示ライン群のいずれか一方の表示ライン群において、選択消去アドレス動作を行う過程、前記第1の表示ライン群又は前記第2の表示ライン群の他方の表示ライン群において、選択消去アドレス動作を行う過程、前記第1及び第2の表示ライン群に属する表示セルに対して維持放電動作を行う過程、を順次行う第2の期間とを有し、1つの駆動期間には、前記第1の期間に引き続き、前記第2の期間を繰り返し行う期間とを有するものである。
【0016】
また、この発明に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、放電空間を挟んで互いに平行に配設された第1基板及び第2基板、前記第1基板上に配設された複数の走査電極、前記第1基板上に、前記走査電極と交互に配設された複数の共通電極、前記第2基板上に、前記走査電極及び共通電極と交差する方向に配設された複数のアドレス電極を備え、前記複数の共通電極は、交互に第1の共通電極群と第2の共通電極群とに分類され、前記第1の共通電極群と前記走査電極との間に第1の表示ライン群が規定され、前記第2の共通電極群と前記走査電極との間に第2の表示ライン群が規定され、前記第1及び第2の表示ライン群と、前記複数のアドレス電極との交差部に表示セルが規定されるプラズマディスプレイパネルの駆動方法において、前記第1の表示ライン群と前記第2の表示ライン群のうち、いずれか一方の表示ライン群をアドレス可能とする第1の過程、前記第1の表示ライン群と前記第2の表示ライン群のうち、他方の表示ライン群をアドレス可能とする第2の過程を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、前記第1の過程及び第2の過程は、表示発光を伴う放電を行う過程を備えたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に関わるプラズマディスプレイパネルの駆動方法及びプラズマディスプレイ装置によれば、1本の走査電極が隣り合う2行の表示ラインで共用されるプラズマディスプレイパネルに、プログレッシブ表示を行うにあたっての動作を安定化させ、駆動電圧マージンを広くすることが可能となる。
また、リセットのために必要な期間を削減、短縮することができ、良好なコントラスト特性、良好な階調特性、高い輝度のプログレッシブ表示を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置の全体構成を示すブロック図である。
プラズマディスプレイ装置は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)1と、PDP1を駆動する駆動装置2とに大別される。まず、PDP1の構造を説明する。
【0019】
PDP1には、複数(n本)の走査電極Y1〜Yn(以下、必要な場合以外は走査電極Yという)と複数(n+1本)の共通電極X1〜Xn+1(以下、必要な場合以外は共通電極Xという)が交互に設けられ、それらと交差するように複数(m本)のアドレス電極A1〜Am(以下、必要な場合以外はアドレス電極Aという)が設けられている。共通電極Xは、交互に第1の共通電極群である奇数番目(X1、X3、・・・、Xj、・・・)の共通電極群Xoddと、第2の共通電極群である偶数番目(X2、X4、・・・、Xj+1、・・・)の共通電極群Xevenに分類されている。尚、nは自然数、mは2以上の自然数である。nが奇数か偶数かによってXn、Xn+1の接続は異なる。jはn以下の自然数であるが、この図においては奇数の場合を示している。
【0020】
更に図2の斜視図に基づいて詳しく説明する。図は、PDP1の一部分を拡大して図示したものである。このPDP1は、AC面放電型PDPの一種であり、1本の走査電極Yが隣り合う2行の表示ラインで共用されるPDPである。このような構造のPDPは、例えば特許文献1にも開示されている。
【0021】
PDP1は、表示面を成す第1基板である前面ガラス基板101と、前面ガラス基板101と放電空間102を挟んで対向配置された第2基板である背面ガラス基板103とを備えている。前面ガラス基板101の放電空間102側の表面上に、複数の走査電極Y及び共通電極Xが交互に配設され、走査電極Yと共通電極Xとの間隙によって放電ギャップDGが構成されている。走査電極Y及び共通電極XはITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)などの透明電極104と、銀など抵抗率の低い材料により成るバス電極105とによって構成されている。
【0022】
走査電極Y及び共通電極Xを被覆して、誘電体層106が形成されており、さらに誘電体層106を被覆して放電空間102に露出する面に2次電子放出係数の高いMgO(酸化マグネシウム)保護膜107が形成されている。
【0023】
他方、背面ガラス基板103の放電空間102側の表面上に、複数のアドレス電極Aが、走査電極Y及び共通電極Xと離間して直交するように(立体交差するように)延長形成されている。
アドレス電極Aを覆うように、ガラスを主成分とするオーバーグレーズ層110が形成されているが、このオーバーグレーズ層110は省略される場合もある。
隣接するアドレス電極A間に隔壁111がアドレス電極と平行に延長形成されている。
【0024】
隔壁111と背面ガラス基板103とが成す略U字型溝の内面上に、アドレス電極Aを覆って蛍光体層112が形成されている。詳細には、上記略U字型溝毎に、光の3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の各発光色用の蛍光体層112R、112G、112Bが形成されている。
上述の前面ガラス基板101と背面ガラス基板103とは、互いに封着され、前面ガラス基板101と背面ガラス基板103との間の放電空間102には、ネオンとキセノンの混合ガスやヘリウムとキセノンの混合ガス等の放電用ガスが封入されている。
【0025】
放電ギャップDGとアドレス電極Aとの各立体交差部を中心に、表示セルである放電セルCが規定される。1本の走査電極Yと、隣接する共通電極Xとの間に、複数の放電セルCによって1行の表示ラインLが形成され、1本のアドレス電極Aによって表示における1列が規定される。換言すれば、1本の走査電極Yと、隣接する1本の共通電極Xとの間で発生する面放電により表示ラインLが形成され、表示ラインLとアドレス電極Aとの立体交差部に、放電セルCが規定される。
【0026】
1本の走査電極Yは、2本の共通電極Xと隣接しているため、1本の走査電極Yの両側に2行の表示ラインLが形成される。即ち、1本の走査電極Yが隣り合う2行の表示ラインLで共用されている。PDP1全体では、放電セルCがマトリクス状に配置されることになる。
【0027】
図3に、PDP1の走査電極Y、共通電極X、アドレス電極A及び表示ラインLとの関係を示す。走査電極Yjと共通電極Xjの間にL2j−1が、走査電極Yjと共通電極Xj+1の間にL2jが形成され、走査電極Yの倍の表示ラインLが形成されている。それらと交差(図3の例では直交)するようにm本のアドレス電極Aが設けられている。
【0028】
ここで、共通電極Xを前述のように、共通電極Xoddと共通電極Xevenに分類すると、共通電極Xoddと走査電極Yとの間隙によって構成される放電ギャップDGの連なりとして第1の表示ライン群である表示ラインLoddが形成され、共通電極Xevenと走査電極Yとの間隙によって構成される放電ギャップDGの連なりとして第2の表示ライン群である表示ラインLevenが形成されている。表示ラインLoddに属する放電セル群を放電セルCodd、表示ラインLevenに属する放電セル群を放電セルCevenと呼ぶ。
【0029】
上記の表示ラインLに関し注意すべき点は、単純に偶数ラインのL2jがLevenに、奇数ラインのL2j−1がLoddに属しているのではなく、XjがXoddに属しているときは、L2j−1はLodd、L2jはLevenに、XjがXevenに属しているときは、L2j−1はLeven、L2jはLoddに属するという点である。
【0030】
図4は、PDP1の構造、特に共通電極X、走査電極Yの形状と放電セルCの構造を示す断面図である。図4(a)は、図2の共通電極Xj、Xj+1と走査電極Yjを前面ガラス基板101の方向から見たものであり、共通電極Xj、Xj+1と走査電極Yjとの間に表示ラインL2j−1、L2jが形成されている。
共通電極Xjが共通電極Xoddに、共通電極Xj+1が共通電極Xevenに属するものとすると、上述のように表示ラインL2j−1はLodd、L2jはLevenに属することになる。
【0031】
表示ラインL2j−1とアドレス電極Ak、Ak+1との交差部に規定される放電セルをCo1、Co2、表示ラインL2jとアドレス電極Ak、Ak+1との交差部に規定される放電セルをCe1、Ce2とする。放電セルCo1、Co2はCoddに、放電セルCe1、Ce2はCevenに属することになる。尚、jはn以下の、kはm−1以下の自然数である。
【0032】
共通電極Xj、Xj+1と走査電極Yjは、透明電極104とバス電極105によって構成され、透明電極104は放電セルCにT字型に突出している。このような電極を用いると、T字型の縦棒にあたる透明電極部分が細く、放電セルC付近で開始した放電が、この縦棒部分に広がりにくいため、放電セルCoddにおける放電と放電セルCevenにおける放電との間の干渉を抑制する効果がある。
【0033】
図4(b)は、図4(a)の断面イロを示す断面図である。図4(a)と共通する部分の説明は省略する。図4(b)において、共通電極Xj、Xj+1と走査電極Yjと平行に放電空間102を区画するように隔壁121が設けられ、表示ラインL間を分離する構造となっている。この隔壁121とアドレス電極A同士の間に設けられた図示しない隔壁(図2における111)により格子状の隔壁構造となって、各放電セルが分離され、お互いの放電による干渉を抑制する効果が有る。尚、オーバーグレーズ層110は省略している。
【0034】
図1に戻り、プラズマディスプレイ装置の駆動装置2の説明を行う。
駆動装置2は、走査電極駆動回路3、共通電極駆動回路4、アドレス電極駆動回路5、制御回路6及び電源回路7を備えている。
走査電極駆動回路3は、走査電極Y1〜Ynに対応する複数の出力部Yo1〜Yonを備えており、各走査電極と1対1で接続される。
共通電極駆動回路4は、2つの共通電極駆動回路41と42により構成されており、共通電極駆動回路41の出力が共通電極Xoddに、共通電極駆動回路42の出力が共通電極Xevenに、それぞれ共通に接続される。
【0035】
アドレス電極駆動回路5は、アドレス電極A1〜Amに対応する複数の出力部Ao1〜Aomを備えており、各アドレス電極と1対1で接続される。
制御回路6は、映像信号Dに基づいて走査電極駆動回路3、共通電極駆動回路4、アドレス電極駆動回路5に入力される駆動波形制御信号Sy、Sx、Saを生成して出力する。映像信号Dは、PDP1に表示すべき画像情報が少なくとも含まれる信号である。映像信号Dには、通常、画像情報の他に垂直同期信号や水平同期信号などの制御情報を含み、例えばNTSCコンポジット信号、アナログRGB信号、又はそれらの信号を処理或いは加工したアナログやデジタルのRGB信号などがある。
【0036】
電源回路7は、外部から電力Pを供給され、走査電極駆動回路3、共通電極駆動回路4、アドレス電極駆動回路5及び制御回路6に各種の電圧よりなる電源(P1〜P4)を供給する。
走査電極駆動回路3、共通電極駆動回路4、及びアドレス電極駆動回路5は、FETやIGBT等のスイッチ素子や、複数のスイッチ素子が集積された集積回路を含んで構成されており、制御回路6から入力される駆動波形制御信号Sy、Sx、Saに従って上述の各スイッチ素子のオン、オフを制御することにより、駆動波形を生成し、PDP1の各電極に対して出力する。
PDP1は、各電極に駆動波形が印加されることにより、入力される映像信号Dの画像情報に基づいた表示発光を行う。
【0037】
次に動作、即ち1本の走査電極Yが隣り合う2行の表示ラインLで共用されるPDP1にプログレッシブ表示を行う駆動方法について図8〜図11に基づいて説明する。
図8は、本発明の駆動方法を説明するための、1駆動期間におけるタイミングチャートである。1駆動期間は、1枚の画像をPDP1上に表示するための期間であり、映像信号Dの1フィールド期間、或いは1フレーム期間に相当する期間である。複数の駆動期間が連続することにより、動画を表示することが可能である。多くの場合、1秒間に60フレームの画像を表示しており、1駆動期間は16.7ミリ秒(1/60秒)である。
【0038】
図8において、横軸は時間tであり、1駆動期間中にどのような動作がどのような順序で行われるかを示している。1つの駆動期間は、第1サブフィールドSF(1)から第sサブフィールドSF(s)まで、s個のサブフィールドにより構成される。
【0039】
図中、Ro 及びReはリセット期間、Ao(r)及びAe(r)は、第rサブフィールドSF(r)におけるアドレス期間、S(r)は第rサブフィールドSF(r)において維持放電を行う維持期間である。Ro及びAo(r)は、リセット或いはアドレス動作が放電セルCoddにて行われることを示しており、一方Re及びAe(r)は、リセット或いはアドレス動作が放電セルCevenにて行われることを示している。rは2以上、s以下の整数を示す。
【0040】
まず、第1サブフィールドSF(1)のRoにおいて、第1の表示ライン群に属する放電セルCoddがリセットされるが、このリセット動作は放電セルCoddを維持放電可能状態にするものである。次にAo(1)において、維持放電可能状態になっているCoddに対し、映像信号Dに基づいて順次選択消去アドレス動作が行われる。以上の過程においては第2の表示ライン群である放電セルCevenは維持放電可能状態になっておらず、また選択消去アドレス動作も行われない。
【0041】
次のReとAe(1)において、同様に放電セルCevenに対するリセット、選択消去アドレス動作が行われる。以上の各過程により放電セルCodd、Cevenはそれらの放電セルにおいて映像信号Dに対応した表示を行える状態となっている。
【0042】
第1サブフィールドSF(1)の最後の過程であるS(1)では、選択消去アドレス動作が完了し、映像信号Dに対応した表示を行える状態になっている放電セルCodd、Cevenに対して維持放電動作を行い、映像信号Dに対応した表示を行う。以上の動作過程を順次行う期間が第1の期間に相当する。
【0043】
第2サブフィールドSF(2)では、第1サブフィールドSF(1)で行われる各動作過程のうちリセット動作Ro、Reを除いた選択消去アドレス動作Ao(2)、Ae(2)及び維持放電動作S(2)が行われる。これらの動作過程を順次行う期間が第2の期間に相当する。この選択消去アドレス動作Ao(2)とAe(2)の動作過程は逆であってもよい。
その後、第3サブフィールドSF(3)以降においては、第2サブフィールドSF(2)で示した第2の期間を繰り返し行って1駆動期間が終了する。
【0044】
次に、各過程において各電極に印加される駆動波形の詳細を図9に基づいて説明する。
図9は、図8に示した各期間において、各電極へ印加する駆動波形を示している。図9(a)は、第1サブフィールドSF(1)における駆動波形である。図9(b)は、第rサブフィールドSF(r)における駆動波形である。
図9中(1)〜(4)は、それぞれ、アドレス電極A、走査電極Y、共通電極Xodd、共通電極Xevenに印加する駆動波形である。
【0045】
まず、第1サブフィールドSF(1)において、各電極に印加される駆動波形について図9(a)に基づいて説明する。
Roにおいては、全ての走査電極Yに正の電圧Vpyを有するプライミングパルスPpyを印加すると共に、パルスPpyと逆極性である負の電圧Vpxを有するプライミングパルスPpxを共通電極Xoddに印加する。即ち、走査電極Y1〜Ynと共通電極Xoddとの間に、Vpy−Vpxの電位差を有する合成プライミングパルスが印加される。Vpy−Vpxは、前の駆動期間の最後に各放電セルに残留し得る壁電荷状態に関わらず放電が発生する程度の高い電圧に設定されており、走査電極Yと共通電極Xoddとによって構成される表示ラインLoddに属する全ての放電セルCoddにおいて放電が発生して壁電荷が蓄積されることにより、放電セルCoddは維持放電可能状態となる。
【0046】
ここで、「維持放電」とは、走査電極Yと共通電極Xにそれらの電位差の極性が交互に反転するようなパルスを印加し、その結果放電セルが放電して発光表示することを言い、このパルスを「維持パルス」と言う。また、「維持放電可能状態」とは、維持パルス後述を印加したときに、維持放電が発生し得る状態を言う。更に、残留する壁電荷の状態に関わらず放電を発生し、維持可能な状態とすることを「プライミング動作」、プライミング動作における放電を「プライミング放電」と呼ぶ。
【0047】
プライミングパルスPpyとPpxは立ち上がりの電圧が緩やかに変化するパルスであり、それらの合成によって走査電極Yと共通電極Xoddとの間に印加される合成プライミングパルスも、その立ち上がり部分において、電圧が緩やかに変化するパルスとなって、プライミング放電は弱い放電となる。
【0048】
なお、パルスにおける「立ち上がり」とは、着目する2つの電極間の電位差(ここでは、走査電極Yと共通電極Xoddとの間の電位差)が拡大する波形部分を言う。逆に、印加パルスのうち電位差が縮小する部分を「立ち下がり」と言う。
【0049】
また、「電圧が緩やかに変化するパルス」とは、パルスの立ち上がり時間(又は立ち下がり時間)が、放電の遅れ時間(通常、数μsec以下)よりも、十分大きい(10μsec以上)パルスを言う。緩やかに変化するパルスとしては、PDPの電極間静電容量と、駆動装置に備えられる抵抗成分とによって生じるexponential波形や、電圧の時間変化率が一定の傾斜波形や、それらの組み合わせなどが適用可能である。この電圧が緩やかに変化する波形を「鈍波」と言う。
【0050】
放電セルCoddにてプライミング放電が発生している間、他方の放電セルCevenにおいては、走査電極Yと共通電極Xevenとの間にVpyの電位差しか印加されないためプライミング放電は発生せず、従って維持放電可能状態にはなっていない。
【0051】
Roの最後に、共通電極Xoddと走査電極Yに、1回ずつ、維持パルス電圧Vsと同じ電圧(或いは同程度の電圧)を有する壁電圧安定化パルスPpsを印加することにより、走査電極Yと共通電極Xoddとの間で放電が発生し、放電セルCoddではプライミング放電によって蓄積された壁電荷が増大し、より安定な維持放電可能状態となる。この壁電圧安定化パルスPpsは維持パルス電圧Vsと同じ電圧(或いは同程度の電圧)を有しており、このパルスを印加することにより維持パルスの印加後と同様の壁電荷状態となる。
【0052】
続いて、Ao(1)において、走査電極Y1〜Ynに電圧Vbsを印加した後、順次走査パルスPscを印加すると共に、入力される映像情報に基づき、アドレス電極A1〜Amに選択的にアドレスパルスPaを印加する。
このとき、共通電極Xoddの電圧と、走査パルスPscの電圧Vscは同程度か、最大でもそれらの電位差が維持電圧Vsよりも低く、走査パルスPscの電圧Vscは0か負の電圧に設定する。図9の例においては、共通電極Xoddは0v(基準電位)、Vscは負の電圧に設定している。
電圧Vbsは、電圧Vscよりも100V程度高い電圧に設定され、走査パルスを印加したタイミング以外では、アドレス電極Aと走査電極Yとの間で放電が発生しないような値とする。
【0053】
ここで、「順次走査パルスを印加する」とは、まず走査電極Y1〜Ynのいずれか1本に対してパルスを印加し、続いて他の1本を選択する、というように、1本ずつ時系列的に次々に印加することを意味する。パルスを印加する順序は、Y1、Y2・・・Ynの順でも、Yn、Yn−1・・・Y1の順でも、或いはその他の順でも構わない。
なお、アドレス電極A1〜Amを上下に分割したPDPにおいては、上側の走査電極のいずれか1本と下側の走査電極のいずれか1本を(パネル全体では合計2本)選び、同時にパルスを印加してもよい。
【0054】
また、「選択的にパルスを印加する」とは、電極毎に(この場合、電極A1〜Am各々に対し)、パルスを印加するか、又は印加しないかを制御することを言う。ある放電セルに対し、走査パルスとアドレスパルスが同時に印加されたとき、その放電セルが「選択された」と言う。
走査電極Yjに走査パルスPscが印加され、アドレス電極AkにアドレスパルスPaが印加されたとき、選択された放電セルCoddにおいて、アドレス電極Akと走査電極Yjとの間(対向電極間)で放電(アドレス対向放電)が発生する。
【0055】
共通電極Xoddと走査電極Yjとの間には、Roにおいて維持可能なレベルにまで壁電荷が蓄積されているので、アドレス対向放電が発生した放電セルにおいては、アドレス対向放電をトリガに、共通電極Xoddと走査電極Yjとの間(面電極間)の放電(アドレス面放電)が誘発される。アドレス対向放電とアドレス面放電とを総称して、アドレス放電と言う。
【0056】
アドレス放電によって発生した空間電荷は、各電極の電圧に応じて再付着するが、このとき走査電極Yjと共通電極Xoddの電圧は同程度か最大でもそれらの電位差が維持電圧よりも低く設定されているため、空間電荷の再付着は、あらかじめ付着していた壁電荷を中和し、走査電極Yjと共通電極Xoddとの間に発生する壁電圧を0に近づけるように行われる。その結果、当該セルは「消去状態」となる。
【0057】
ここで、「消去状態」とは、「維持放電可能状態」の逆で、維持パルスを繰り返し印加しても、維持放電が発生しない状態を言う。維持放電可能状態から消去状態に変移させることを「消去する」といい、この動作を「消去動作」と言う。
以上のように、放電セルCoddのうち、選択されアドレス放電が発生したセルにおいて、消去動作が行われる。即ち、「選択消去アドレス」が行われる。
【0058】
走査パルスPscの電圧Vscを負極性で絶対値の高い電圧とすれば、アドレス対向放電が発生しやすくなる一方、共通電極Xoddとの電位差が大きくなり、消去放電後に残存する壁電荷が大きくなる。Vscを0に近づければ、アドレス対向放電は発生しにくくなるが、消去放電後に残存する壁電荷が小さくなり、より完全な消去状態が得られる。
【0059】
実際には正常に動作するVscの値は、ある範囲(Vscにおける電圧マージン幅)を有しており、この範囲内であれば問題無いが、この範囲内の中央付近にVscを設定することにより、経時変化や外部環境の変化に強い、より動作の安定したPDPを得ることができる。
【0060】
走査パルスPscの電圧Vscの最適値は、PDPの電極構造や、放電空間を満たす放電ガスの組成等により異なるが、例えば、0〜−100V程度(最大で、維持電圧の1/2程度の絶対値を有する負の電圧)の値に設定される。
アドレスパルスPaの電圧Vaは、安定した動作が得られることはもちろんであるが、アドレス駆動回路の耐圧も考慮して設定する必要があり、例えば、50〜100V程度の値に設定される。
走査パルスPscの印加が、全ての走査電極Yにわたって行われると、表示ラインLoddに属する全ての放電セルCoddにおいて、選択消去アドレスが完了する。
【0061】
この間、共通電極Xevenは、Ao(1)の最初に維持電圧Vsと同じ電圧(或いは同程度の電圧)に立ち上げられ、そのまま走査パルスの印加が終了するまで一定電圧に保たれる。この、幅の広いパルスをアドレスキャンセルパルスPacと呼ぶ。
このアドレスキャンセルパルスPacがXevenに印加されることにより、表示ラインLoddにおいて選択消去アドレス動作が行われていても、表示ラインLevenにおいてはアドレス動作は行われない。この点については、後で放電セル内の電荷及び放電の様子を説明する段で詳しく説明する。
【0062】
Ao(1)の最後に、共通電極Xoddと走査電極Yに1回ずつ維持パルス電圧Vsと同じ電圧(或いは同程度の電圧)を有する壁電荷安定化パルスPasを印加し、消去が行われず、まだ維持放電可能な状態にあるセルにおいて放電を発生させ、壁電荷を安定化させる。この壁電圧安定化パルスPasは維持パルス電圧Vsと同じ電圧(或いは同程度の電圧)を有しており、かつ放電セルにおいて表示発光を伴うため維持パルスと称してもよいが、後の維持期間における維持パルスと区別するため壁電圧安定化パルスと呼ぶ。
【0063】
続いて、Reとなる。
Reにおいては、Roと同様の動作が、表示ラインLevenにて行われる。即ち、全ての走査電極Yに正の電圧Vpyを有する立ち上がりが鈍波であるプライミングパルスPpyを印加すると共に、共通電極Xevenに負の電圧Vpxを有する立ち上がりが鈍波であるプライミングパルスPpxを印加することにより、表示ラインLevenに属するすべての放電セルCevenにおいて、プライミング放電が発生する。放電セルCoddでは、プライミング放電は発生しない。
【0064】
Reの最後に、共通電極Xevenと走査電極Yに、1回ずつ、維持パルスVsと同じ電圧(或いは同程度の電圧)を有する壁電荷安定化パルスPpsを印加することにより、走査電極Yと共通電極Xevenとの間で放電が発生し、放電セルCevenではプライミング放電によって蓄積された壁電荷が増大し、より安定な維持放電可能状態となる。
【0065】
続いて、Ae(1)となる。
Ae(1)においては、Ao(1)と同様に選択消去アドレス動作が、表示ラインLevenにおいて行われる。
この間、共通電極XoddにはAo(1)のXeven同様、アドレスキャンセルパルスPacが印加され、表示ラインLoddに属する放電セルCoddにおいては、アドレス動作は行われない。
【0066】
Ae(1)の最後に、共通電極Xevenと走査電極Yに1回ずつ維持パルス電圧Vsと同じ電圧(或いは同程度の電圧)を有する壁電荷安定化パルスPasを印加し、消去が行われず、まだ維持放電可能な状態にあるセルにおいて放電を発生させ、壁電荷を安定化させる。ここまでの動作により、PDP上のすべての表示ラインで、プライミング動作と、選択消去アドレス動作が1回ずつ行われたことになる。
【0067】
続いて、S(1)において、共通電極Xと走査電極Yとに、電圧Vsである維持パルスPsを交互に印加することにより、走査電極Yと共通電極Xとの間に、電圧の絶対値がVsで、かつ極性の交互に反転する電位差を生じせしめ、この電位差によって、維持可能な状態にあるセル(Ao(1)及びAe(1)で消去されなかったセル)において維持放電が繰り返し発生する。維持放電によって発生する真空紫外線を蛍光体によって可視光線に変換することにより、表示発光が行われる。
【0068】
維持パルスを印加することによって走査電極Yと共通電極Xとの間に生じる電位差の絶対値を、維持電圧と言う。本実施の形態においては、維持電圧はVsである。Vsにも、正常に動作する範囲(維持電圧マージン)がある。Vsの最適値は、放電セルの構造や、放電空間に封入するガスの種類等により異なるが、例えば200V程度の値とする。S(1)の最後には、走査電極Yに維持パルスを印加して終了する。
以上で、第1サブフィールドSF(1)の動作が完了する。
【0069】
尚、上記Ro、Reにおいて、走査電極Yと共通電極Xに逆極性で立ち上がりが鈍波であるプライミングパルスPpy、Ppxを印加したが、鈍波ではなく矩形波であっても、或いはいずれか一方が矩形波であっても、放電セルCにプライミング放電が発生し、維持放電可能状態になるパルスであればよい。
【0070】
次に、第1サブフィールドSF(1)に引き続く第2サブフィールドSF(2)について図9(b)のr=2として説明する。第2サブフィールドSF(2)は、Ao(2)、Ae(2)及びS(2)により構成される。
Ao(2)には、Ao(1)と基本的に同じ動作が行われる。即ち、表示ラインLoddにおいて選択消去アドレスが行われる。
但し、実際に消去放電が発生するのは、第2サブフィールドSF(2)に入った時点で、維持可能な状態にあるセル、即ち、S(1)に維持放電が行われていたセルのみであり、一旦消去されたセルでは、たとえそのセルが選択されたとしても、再びアドレス放電は発生しない。
【0071】
Ao(2)の最後には、Ao(1)と同様、共通電極Xoddと走査電極Yに1回ずつ壁電荷安定化パルスPasを印加する。この壁電圧安定化パルスPasにより、放電セルCoddのうち、まだ維持放電可能な状態にあるセルにおいて放電を発生し、壁電荷を安定化させる。
この走査電極Yに印加した壁電圧安定化パルスPasは、放電セルCevenのまだ維持放電可能な状態にあるセルにおいても放電を発生する。この放電は、アドレスAe(2)より以前に行われるので、実質的に、S(1)の維持放電の続きと考えることができる。また、この放電によって、放電セルCevenにおいて、アドレス放電が可能な電荷状態を作り出すという、重要な役割を持っている。この点についても、後で放電セル内の電荷及び放電の様子を説明する段で詳しく説明する。
【0072】
同様に、Ae(2)には、Ae(1)と同様の動作により、表示ラインLevenにおいて選択消去アドレスが行われる。
続いて、S(2)においては、S(1)と同様の動作により、維持可能な状態にあるセル(Ao(1)、Ae(1)、Ao(2)、Ae(2)のいずれにおいても消去されなかったセル)において維持放電が繰り返し行われる。
第3サブフィールドSF(3)以降は、第2サブフィールドSF(2)と同様の動作が繰り返される。
但し、維持期間における維持パルスの印加回数は、各サブフィールド毎に任意に設定される。
【0073】
以上の動作により、各放電セルは第1サブフィールドSF(1)のリセット期間(Ro或いはRe)に、一旦維持可能状態になった後、消去動作が行われる直前の維持期間まで、維持動作が行われる。一旦消去状態となった放電セルは、当該駆動期間が終了するまで再び維持状態となることは無い。従って、1駆動期間中にサブフィールドがs個含まれる場合は、第1サブフィールドSF(1)で消去される場合(表示発光強度がもっとも低い)から、第sサブフィールドSF(s)まで1度も消去されない場合(表示発光強度が最も高い)まで、s+1通りの発光強度が実現可能でありる。即ち、s+1階調を実現することができる。
【0074】
各サブフィールドにおける維持繰り返し回数を、任意の値に設定することにより、各階調における発光強度を任意に設定することができる。
各アドレス期間に、任意の放電セルを選択することにより、任意の放電セルに任意の階調を表示することができる。
【0075】
以上のように、駆動期間の最初に一旦対象となる全てのセルを維持可能な状態とした上で、サブフィールド毎に消去アドレスと維持動作を繰り返すことにより、s個のサブフィールドによってs+1階調を実現する駆動方式を、「サブフィールド順次消去駆動方式」と称しているが、図9の駆動波形においては、放電セルCoddと放電セルCevenについて維持可能な状態となるタイミングが異なっているものの、図9の駆動波形においても上記の「サブフィールド順次駆動方式」が用いられていると見なすことができる。
【0076】
このサブフィールド順次駆動方式を、走査電極を隣り合う2行の放電セルで共用しない従来の3電極面放電型PDPに適用している例は、例えば特開2000−231362に開示されているが、上記の実施の形態1で説明した各動作過程からなる駆動期間は、この従来例のサブフィールド順次消去駆動方式を1本の走査電極を隣り合う2行の放電セルで共用されるPDPに適用するために考案されたものである。
【0077】
次に、図10示す放電セル内の電荷及び放電の様子に基づいて、上記で説明した各電極に印加される駆動波形の働きについて説明する。
図10は、放電セル内の電荷及び放電の様子を模式的にあらわした図である。図において、放電の様子を矢印にて、放電の結果蓄積される壁電荷の様子を+又は−の記号にて示し、各電極記号の( )内は印加される駆動波形の電圧を示している。
【0078】
Co1は走査電極Yjと共通電極Xj、及びアドレス電極Akによって規定される放電セル、Co2は走査電極Yjと共通電極Xj、及びアドレス電極Ak+1によって規定される放電セル、Ce1及びCe2は、走査電極Yjをはさんで、それぞれCo1或いはCo2と隣接する放電セルである。放電セルCo1及びCo2はCoddに、Ce1及びCe2はCevenに属し、また共通電極XjはXoddに、共通電極Xj+1はXevenに属している。以上説明した各記号は、図4(a)のものと同一である。
【0079】
ここで、第r−1サブフィールドSF(r−1)においては、4つの放電セルが全て維持可能な状態であるとし、第rサブフィールドSF(r)において、放電セルCo1、Ce1及びCe2を消去する場合、即ちCo2のみが表示発光する場合を考える。
【0080】
図10(a)は、1つ前の駆動期間における維持期間S(r−1)の最後に、走査電極Yjに正の維持パルスPsを印加し、発生した維持放電が収まった後の、放電セル内の電荷状態を示した図である。
維持放電は強い放電であり、放電によって発生した多量の空間電荷は、各電極上に付着して壁電荷となる。このとき、外部から印加する電圧を中和し、放電空間内の電界を弱めるように壁電荷が蓄積されるので、走査電極Yjに負の、共通電極Xjに正の壁電荷が蓄積される。また、アドレス電極Ak上にも、走査電極と対向する部分を中心に、正の壁電荷が蓄積される。
【0081】
続いて、図10(b)に示すアドレス期間Ao(r)に入り、共通電極Xj+1にアドレスキャンセルパルスPacが印加されてその電位がVsまで立ち上がると、放電セルCe1及びCe2において強い放電が発生し、外部印加電圧に従って壁電荷が再び蓄積される。走査電極Yjと共通電極Xj+1との間の壁電荷は反転し、走査電極Yj上に正、Xj+1上に負の壁電荷が蓄積される。アドレス電極Ak上には、共通電極Xj+1と対向する部分を中心に正の壁電荷が蓄積される。このとき、走査電極Yjとアドレス電極Akとの間に外部から印加している電位差は0であり、上述の通り放電空間内の電界を弱めるように壁電荷が蓄積されるので、結局、走査電極Yjとアドレス電極Akとの間に生じる壁電圧は0に近づく。この間、放電セルCo1及びCo2の壁電荷の状態は変化しない。
【0082】
その結果、Co1及びCo2には、アドレス対向放電及びアドレス面放電を助ける極性に、Ce1及びCe2においてはアドレス対向放電を助けず(壁電圧は0に近い)、またアドレス面放電を妨げる極性に壁電荷が蓄積される。
即ち、アドレスキャンセルパルスPacが共通電極Xj+1に印加されることにより、放電セルCe1、Ce2においてはアドレス動作は行われない。
【0083】
この電荷状態で同じAo(r)において図10(c)に示すように、走査電極Yjに走査パルスを印加すると同時にアドレス電極Akにアドレスパルスを印加する。放電セルCo2は消去しないためアドレス電極Ak+1にはアドレスパルスは印加しない。
放電セルCo1においては、外部印加電圧と壁電圧とが互いに強めあうことにより、アドレス対向放電に引き続いて、アドレス面放電が発生し、放電セルCo1は消去状態となる。
【0084】
即ち、S(r−1)の最後に走査電極Yjに印加された維持パルスPsによって、図10(a)の電荷状態が作り出され、その結果Ao(r)において図10(c)に示すように放電セルCo1のアドレス放電が可能となったわけであり、この維持パルスPsはアドレス放電が可能な電荷状態を作り出すという重要な役割を持っている。
【0085】
一方、放電セルCe1においては、アドレス電極Akと走査電極Yjとの間の壁電圧がほとんど0なので、アドレス対向放電は起こりにくくなっている。
たとえ対向放電(不要な対向放電)が発生したとしても比較的弱い放電となり、しかも走査電極Yjと共通電極Xj+1との間の壁電圧が外部から印加する電圧を打ち消すので、少なくとも面放電は発生しない。いずれにせよ消去アドレス動作は行われない。
放電セルCo2及びCe2においては、アドレス電極Ak+1にアドレスパルスを印加しないので、放電は発生せず、壁電荷の状態は変わらない。
【0086】
次に図10(d)に示すように、Ao(r)の最後に共通電極Xjと走査電極Yjに壁電圧安定化パルスPasを1回ずつ印加する。その結果、放電セルCe1、Co2、Ce2において維持放電が発生し、図10(a)と同じ壁電荷状態となる。
このとき、維持放電は強い放電なので、不要な対向放電によって走査電極Yjとアドレス電極Akとの間に壁電荷が蓄積されたような場合にも、この壁電荷を反転し、図10(a)と同じ状態にセットされる。
放電セルCo1においては、維持放電が発生しないので、消去アドレス後の状態(消去状態)が保たれる。
【0087】
続いて、図10(e)に示すAe(r)に入り、共通電極XjにアドレスキャンセルパルスPacが印加されてその電位がVsまで立ち上がると、放電セルCo2の壁電荷が反転し、Ce1及びCe2には、アドレス対向放電及びアドレス面放電を助ける極性、Co2においてはアドレス対向放電を助けず、またアドレス面放電を妨げる極性の壁電荷状態となる。Co1は、引き続き消去状態が保たれる。
【0088】
この電荷状態で同じAe(r)において図10(f)に示すように、走査電極Yjに走査パルスを印加すると同時にアドレス電極AkとAk+1にアドレスパルスを印加すると、放電セルCe1及びCe2においてアドレス放電が発生し、放電セルCe1及びCe2は消去状態となる。
即ち、Ao(r)の最後に走査電極Yjに印加された壁電圧安定化パルスPasによって、図10(d)の電荷状態が作り出され、その結果Ae(r)において図10(f)に示すように放電セルCe1、Ce2のアドレス放電が可能となったわけであり、この壁電圧安定化パルスPasはアドレス放電が可能な電荷状態を作り出すという重要な役割を持っている。
【0089】
一方、放電セルCo2においては、Ao(r)における放電セルCe1と同様、壁電荷が外部印加電圧を打ち消すように働くので、消去アドレス動作は行われない。
次に図10(g)に示すように、Ae(r)の最後の壁電圧安定化パルスPas及びS(r)の維持パルスPsにより、消去されなかった放電セルCo2にて維持放電が発生する。放電セルCo2は、維持放電が行われることにより、後続の第r+1サブフィールドSF(r+1)においてもアドレスが可能な状態となる。
【0090】
以上で、図10に示す放電セル内の電荷及び放電の様子に基づいて、図9(b)の第2サブフィールドSF(2)以降の駆動波形の働きについて説明したが、図9(a)の第1サブフィールドSF(1)のRo、Reについては壁電圧安定化パルスPps印加後のアドレス動作を行う側の放電セルの電荷の状況は、図10(a)と同様であるため説明は省略する。
以上のように、Ao(r)の最初には、放電セルCoddはアドレス対向放電、アドレス面放電共に可能な壁電荷状態に、放電セルCevenはアドレス対向放電が起こりにくく、アドレス面放電が不可能な壁電荷状態になっている。
【0091】
Ae(r)の最初には、逆に放電セルCevenはアドレス対向放電、アドレス面放電共に可能な壁電荷状態に、放電セルCoddはアドレス対向放電が起こりにくく、アドレス面放電が不可能な壁電荷状態になっている。但し、一旦消去された放電セルは、Coddに属するがCevenに属するかに関わらず消去状態が保たれる。
このような壁電荷状態が可能になったのは、アドレス期間に先立つ壁電荷の設定を、維持パルスPs、壁電圧安定化パルスPps、Pasのいずれかによる維持放電、或いは実質的に維持放電の一部と考えられる放電によって行ったためである。
【0092】
即ち、維持放電は鈍波による弱い放電とは異なり、空間電荷を多量に発生させる強い放電なので、共通電極Xと走査電極Yとの間の面放電によって、共通電極Xと走査電極Yとの間に生じる壁電圧のみならず、アドレス電極Aと走査電極Yとの間に生じる壁電圧も制御することが可能となった。
【0093】
それにより、走査電極Yを共有する放電セルCoddとCevenとで、共通電極Xと走査電極Yとの間だけでなく、アドレス電極Aと走査電極Yとの間の壁電荷状態をも異ならせることが可能となった。
また、仮に不要な対向放電が発生して走査電極Yとアドレス電極Aとの間に不要な壁電荷が蓄積されたような場合にも、この壁電荷を反転しアドレス動作に適した壁電荷状態にセットすることが可能となった。
このようにして、1本の走査電極Yが隣り合う2行の表示ラインLで共用されるPDPに、プログレッシブ表示を行うにあたっての動作を安定化させることが可能となった。
【0094】
次に、放電セルCoddと放電セルCevenにおける表示発光のタイミングの違いに関する説明を行う。
図9の駆動波形において、放電セルCoddと放電セルCevenの維持期間S(r)以外にも、表示発光に寄与し、実質的に維持放電と等価とみなせる放電が発生する。しかも、この放電は、CoddとCevenとでは、異なるタイミングで発生するが、そのことによって放電セルCoddと放電セルCevenに輝度の差異が生じないことを図11に基づいて説明する。
【0095】
放電セルCoddについては、Ao(r)のアドレス動作が終了した後、Ao(r+1)が始まる前までに発生する放電が、第rサブフィールドにおける実質的な維持放電となる。即ち、図11に示した通り、Ao(r)の最後からS(r)までが第rサブフィールドにおける実質的な維持期間To1であり、Ao(r)からS(r)までが実質的な第rサブフィールド期間To2となる。
【0096】
一方、放電セルCevenについては、Ae(r)のアドレス動作が終了した後、Ae(r+1)が始まる前までに発生する放電が、第rサブフィールドにおける実質的な維持放電となる。即ち、Ae(r)の最後からAo(r+1)までが第rサブフィールドにおける実質的な維持期間Te1であり、Ae(r)からAo(r+1)までが、実質的な第rサブフィールド期間Te2となる。
即ち、放電セルCoddとCevenとでは、同一サブフィールドにおける実質的な発光期間が異なっている。
【0097】
実質的に第rサブフィールドSF(r)の維持放電とみなせる放電のタイミングを、放電セルCoddとCevenとのそれぞれについて、図10に矢印で示す。
放電セルCoddについては、S(r)に発生する放電の他に、Ao(r)の最後に行われる放電が2回(矢印1、2)、Ae(r)の最初に、共通電極XoddにアドレスキャンセルパルスPacが印加されて電圧が立ち上がることにより行われる放電が1回(矢印3)、Ae(r)の最後に走査電極Y1〜Ynに印加される維持パルスによる放電が1回(矢印4)行われる。
従って、維持S(r)の維持放電回数をu回とすると、第rサブフィールドSF(r)においては、u+4回の維持放電が行われることになる。
【0098】
一方、放電セルCevenについて同様に考えると、S(r)に発生する放電の他に、Ae(r)の最後に行われる放電が2回(矢印1、2)、Ao(r+1)の最初に、共通電極XevenにアドレスキャンセルパルスPacが印加されて電圧が立ち上がることにより行われる放電が1回(矢印3)、Ao(r+1)の最後に走査電極Yに印加される維持パルスによる放電が1回(矢印4)行われる。
従って、放電セルCevenについても、放電セルCoddと同様、u+4回の維持放電が行われる。
即ち、各サブフィールドにおける維持放電回数は、CoddとCevenとで同じであり、実質的なサブフィールドが異なっているにも関わらず、CoddとCevenとの間に輝度の差が生じることはない。
【0099】
なお、駆動期間中最後のサブフィールドSF(s)については、上述のAo(r+1)に行われる放電と同様の放電が、次の駆動期間におけるAo(1)において行われる。
【0100】
この実施の形態1によれば、1本の走査電極Yが隣り合う2行の表示ラインLで共用されるPDP1に、プログレッシブ表示を行うにあたっての動作を安定化させ、駆動電圧マージンを広くすることができ、更にリセットのために必要な期間を削減、短縮することができ、良好なコントラスト特性、良好な階調特性、高い輝度のプログレッシブ表示を実現することが可能となるが、これらの効果を奏する具体的な理由のついて以下に説明する。
【0101】
本発明における駆動方法においては、アドレス期間に先立つ壁電荷の設定を、維持放電、或いは実質的に維持放電の一部と考えられる放電のみによって行うようにしているが、このことにより以下のような効果を得ることができる。
【0102】
第1に、第2サブフィールドSF(2)以降は、リセットのために特別な期間を設ける必要が無くなり、その分、アドレス期間や維持期間に用いることのできる時間を長くすることが可能となる。或いはサブフィールド数を増やすことが可能となった。従って、動作が安定で、輝度が高く、階調特性の良いPDPを実現することが可能となった。
【0103】
第2に、壁電荷を設定するために、このような強い放電を利用しているにもかかわらず、維持放電は表示発光、即ち表示データに基づく発光を伴う放電である(維持放電による発光は画像表示に有効に利用され、リセット放電のようにバックグラウンド発光を強めるようなことがない)ので、画像のコントラストを良好に保つことが可能となった。
【0104】
なお、本発明において維持放電を、アドレス期間に先立つ壁電荷の設定に利用することが可能になったのは、「サブフィールド順次消去駆動方式」において、アドレス放電によって消去するまでは必ず維持放電が行われているという特性を有効に利用したためである。即ち、アドレス放電を起こす必要のある放電セルにおいては、その直前に必ず維持放電が行われており、従って、アドレス動作に先立つ壁電荷の設定が必ず行われるのである。
【0105】
一方、一旦消去アドレス放電が行われたら、その駆動期間中は維持放電が発生しないので、壁電荷の再設定は行われないが、消去アドレス放電は、1つの駆動期間中に同一放電セルで2度以上行う必要がないので問題は生じない。逆に、一旦消去された放電セルでは維持放電が起きないばかりでなくアドレス放電も起きないという点は、消去状態が、より完全に保たれることを意味しており、動作をさらに安定化するのに役立っている。
【0106】
尚、図8、図9において、放電セルCoddに対するリセット期間Roと、放電セルCevenに対するリセット期間Reとを別に設け、第1サブフィールドSF(1)を、Ro―Ao(1)―Re―Ae(1)―S(1)の順で構成したが、放電セルCoddに対するリセットと、放電セルCevenに対するリセットとを、共通のリセット期間Roeにおいて同時に行い(全ての放電セルで同時にリセット放電を行う)、第1サブフィールドSF(1)をRoe―Ao(1)―Ae(1)―S(1)の順で構成してもよい。そのためには、共通電極に印加する負のプライミングパルスを、共通電極XoddとXevenに同時に印加すれば良い。
【0107】
また、図9において、アドレスキャンセルパルスPacの電圧は、アドレス動作中、一定電圧Vsを保つことととしたが、これは、アドレス動作の前に一旦Vsのパルスを印加した後、アドレス動作中はVsよりも低い電位としても良い。
【0108】
更に、本明細書で説明したの駆動方法において、Xevenに印加する駆動波形とXoddに印加する駆動波形とを入れ替えても構わない。この場合、共通電極Xevenが第1の共通電極群、共通電極Xoddが第2の共通電極群となり、各サブフィールドにおいては、共通電極Xevenと走査電極Yによって構成される表示ラインLevenに対するアドレス動作が先に行われ、共通電極Xoddと走査電極によって構成される表示ラインLoddに対するアドレス動作が後に行われることになる。
【0109】
更にまた、駆動期間(フレーム期間)毎に、表示ラインLoddに対するアドレス動作と表示ラインLevenに対するアドレス動作との順序を、交互に入れ替えても良い。
この場合、少なくとも連続する複数のフレームを通じて、互いのアドレス動作の順序が略同一となるようにすれば、アドレス動作を先に行うか後に行うかによって、表示発光強度やアドレス放電の確実性などの特性に、仮に何らかの違いが生じてしまったとしても、表示ラインLoddとLevenとの差をより確実に解消することが可能となる。
【0110】
更にまた、実施の形態1で説明した放電セルは図4に示した第1の例を説明したが、図5(b)に示すように、表示ライン間を分離する隔壁121の代わりに、バス電極105に対面するMgO保護膜107上に、MgOよりも2次電子放出係数の低い材質により成る放電不活性膜108を設ける構造の第2の例としても良い。
この場合、隔壁121を作り込まないため、製造コスト上のメリットが有る。
【0111】
更にまた、放電セルを図6に示す放電不活性膜108が無い構造の第3の例や、図7に示す透明電極104がT字型でない構造の第4の例であっても同様の効果を奏することは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の活用例として、PDPを用いたTV、及びモニタに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1を適用するPDPの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1を適用するPDPの、走査電極及び共通電極と、表示ラインとの関係を示す平面図である。
【図4】本発明の駆動方法を適用するPDPの放電セル構造の第1の例を示す断面図である。
【図5】本発明の駆動方法を適用するPDPの放電セル構造の第2の例を示す断面図である。
【図6】本発明の駆動方法を適用するPDPの放電セル構造の第3の例を示す断面図である。
【図7】本発明の駆動方法を適用するPDPの放電セル構造の第4の例を示す断面図である。
【図8】本発明の駆動方法を説明するための、1駆動期間におけるタイミングチャートである。
【図9】本発明においてPDPの各電極へ印加する駆動波形図である。
【図10】本発明の駆動方法における放電セル内の電荷及び放電の様子を模式的にあらわした図である。
【図11】実質的に維持放電とみなせる放電のタイミングを説明するための図である。
【符号の説明】
【0114】
1 PDP、2 駆動装置、3 走査電極駆動回路、4 共通電極駆動回路、41 共通電極駆動回路、42 共通電極駆動回路、5アドレス電極駆動回路、6 制御回路、7 電源回路、101 前面ガラス基板、102 放電空間、103 背面ガラス基板、104 透明電極、105 バス電極、106誘電体層、107 MgO保護膜、110 オーバーグレーズ層、111 隔壁、112 蛍光体層、X 共通電極、Xodd 奇数番目の共通電極、Xeven 偶数番目の共通電極、Y 走査電極、A アドレス電極、DG 放電ギャップ、L 表示ライン群、Lodd 表示ライン群、Leven 表示ライン群、C 放電セル、Codd 放電セル、Ceven 放電セル、Ppy プライミングパルス、Ppx プライミングパルス、Pps 壁電圧安定化パルス、Pa アドレスパルス、Psc 走査パルス、Pac アドレスキャンセルパルス、Pas 壁電圧安定化パルス、Ps 維持パルス、To1 実質的な維持期間、Te1 実質的な維持期間、To2 実質的なサブフィールド期間、Te2 実質的なサブフィールド期間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電空間を挟んで互いに平行に配設された第1基板及び第2基板、
前記第1基板上に配設された複数の走査電極、
前記第1基板上に、前記走査電極と交互に配設された複数の共通電極、
前記第2基板上に、前記走査電極及び共通電極と交差する方向に配設された複数のアドレス電極を備え、
前記複数の共通電極は、交互に第1の共通電極群と第2の共通電極群とに分類され、
前記第1の共通電極群と前記走査電極との間に第1の表示ライン群が規定され、
前記第2の共通電極群と前記走査電極との間に第2の表示ライン群が規定され、
前記第1及び第2の表示ライン群と、前記複数のアドレス電極との交差部に表示セルが規定されるプラズマディスプレイパネルの駆動方法において、
前記第1の表示ライン群に属する表示セルを維持放電可能状態にする過程、
前記第1の表示ライン群において、選択消去アドレス動作を行う過程、
前記第2の表示ライン群に属する表示セルを維持放電可能状態にする過程、
前記第2の表示ライン群において、選択消去アドレス動作を行う過程、
前記第1及び第2の表示ライン群に属する表示セルに対して維持放電動作を行う過程、
を順次行う第1の期間と、
前記第1の表示ライン群又は前記第2の表示ライン群のいずれか一方の表示ライン群において、選択消去アドレス動作を行う過程、
前記第1の表示ライン群又は前記第2の表示ライン群の他方の表示ライン群において、選択消去アドレス動作を行う過程、
前記第1及び第2の表示ライン群に属する表示セルに対して維持放電動作を行う過程、
を順次行う第2の期間とを有し、
1つの駆動期間には、前記第1の期間に引き続き、前記第2の期間を繰り返し行う期間とを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項2】
維持放電可能状態にする過程とは、共通電極と走査電極間に電位差が生じるように、前記共通電極と走査電極の双方に逆極性の鈍波パルス若しくは矩形波パルスを1回、又はいずれか一方に鈍波パルス及び他方に前記鈍波パルスと逆極性の矩形波パルスを1回、その後順次1回ずつ維持パルス電圧と略同一の電圧の壁電荷安定化パルスを印加する過程、
選択消去アドレス動作を行う過程とは、例えば第1の表示ライン群において選択消去アドレス動作を行う場合は、第2の共通電極群に維持パルスと略同一の電圧のアドレスキャンセルパルスを印加した状態で、前記走査電極に順次走査パルスを印加すると共に、所定の映像情報に基づきアドレス電極に選択的にアドレスパルスを印加し、全ての前記走査電極の走査終了後、第1の共通電極と前記走査電極に順に1回ずつ維持パルス電圧と略同一の電圧の壁電荷安定化パルスを印加する過程、
であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項3】
第1の期間は、第1及び第2の表示ライン群に属する表示セルを同時に維持放電可能状態にする過程だけであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項4】
第1の表示ライン群に属する表示セルに対する維持放電回数と第2の表示ライン群に属する表示セルに対する維持放電回数が略同一であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項5】
放電空間を挟んで互いに平行に配設された第1基板及び第2基板、
前記第1基板上に配設された複数の走査電極、
前記第1基板上に、前記走査電極と交互に配設された複数の共通電極、
前記第2基板上に、前記走査電極及び共通電極と交差する方向に配設された複数のアドレス電極を備え、
前記複数の共通電極は、交互に第1の共通電極群と第2の共通電極群とに分類され、
前記第1の共通電極群と前記走査電極との間に第1の表示ライン群が規定され、
前記第2の共通電極群と前記走査電極との間に第2の表示ライン群が規定され、
前記第1及び第2の表示ライン群と、前記複数のアドレス電極との交差部に表示セルが規定されるプラズマディスプレイパネルの駆動方法において、
前記第1の表示ライン群と前記第2の表示ライン群のうち、いずれか一方の表示ライン群をアドレス可能とする第1の過程、
前記第1の表示ライン群と前記第2の表示ライン群のうち、他方の表示ライン群をアドレス可能とする第2の過程
を有するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、
前記第1の過程及び第2の過程は、表示発光を伴う放電を行う過程を備えたことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項6】
1つの駆動期間が複数のサブフィールド期間により構成される請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法において、
前記複数のサブフィールド期間は前記第1の過程と第2の過程を有し、
少なくとも1つの前記サブフィールド期間における前記第1の過程及び第2の過程は、バックグラウンド発光を伴う放電を行う過程を備え、
他のサブフィールド期間における前記第1の過程及び第2の過程は、表示発光を伴う放電を行う過程を備えたことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項7】
第1の表示ライン群における第1の過程と維持放電動作を行う過程における表示発光を伴う放電を行うために印加される電圧パルスの印加頻度と、
第2の表示ライン群における第2の過程と維持放電動作を行う過程における表示発光を伴う放電を行うために印加される電圧パルスの印加頻度とが、
少なくとも連続する複数のフレームを通じて略同一となるように設定されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載された駆動方法を適用し、表示部の画素の点灯、非点灯状態によって画像を表示し、上記各画素の点灯、非点灯の期間をもって上記画像の階調を表現することを特徴とするプラズマディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−11299(P2006−11299A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191951(P2004−191951)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】