説明

プラズマディスプレイ装置及びその駆動方法

【課題】本発明は、サステイン期間時に発生するEMIが防止できるプラズマディスプレイ装置及びプラズマディスプレイ装置の駆動方法を提供するためのものである。
【解決手段】本発明は、複数の維持電極対が形成されたプラズマディスプレイパネルと、前記維持電極対のうち、少なくともいずれか一つの電極にサステイン波形を供給する経路にフィルタ部が含まれるサステイン波形駆動部と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイ装置(Plasma Display Apparatus)に関し、より詳しくは、EMI(electromagnetic interference)を防止するためのプラズマディスプレイ装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラズマディスプレイ装置(Plasma Display Apparatus)は、前面基板と後面基板との間に形成された隔壁が一つの単位セルをなすプラズマディスプレイパネルを含む。各セル内には、ネオン(Ne)、ヘリウム(He)、または、ネオン及びヘリウムの混合気体(Ne+He)のような主放電気体と、少量のキセノンを含有する不活性ガスとが充填されている。高周波電圧により放電される際、不活性ガスは真空紫外線(Vacuum Ultraviolet rays)を発生し、隔壁間に形成された蛍光体を発光させて画像が具現される。このようなプラズマディスプレイ装置は、薄くて、かつ、軽い構成が可能であるので次世代の表示装置として脚光を浴びている。
【0003】
図1は、一般的なプラズマディスプレイパネルの構造を示す図である。
【0004】
図1に示すように、プラズマディスプレイパネルは、画像がディスプレイされる表示面である前面ガラス101にスキャン電極102とサステイン電極103が対をなして形成された複数の維持電極対が配列された前面基板100、及び、背面をなす後面ガラス111上に上述の複数の維持電極対と交差するように複数のアドレス電極113が配列された後面基板110が一定距離を置いて平行するように結合される。
【0005】
前面基板100には、一つの放電セルで相互放電させ、セルの発光を維持するためのスキャン電極102及びサステイン電極103が形成されている。スキャン電極及びサステイン電極のぞれぞれは、透明なITO(IndiumThin Oxide)物質で形成された透明電極(a)と、金属材質で製作されたバス電極(b)とからなる。スキャン電極102及びサステイン電極103は放電電流を制限し、電極対間を絶縁させる一つ以上の誘電体層104により覆われ、上部誘電体層104の上面には放電条件を容易にするために酸化マグネシウム(MgO)を蒸着した保護層105が形成される。
【0006】
後面基板110は、複数個の放電空間、即ち、放電セルを形成させるためのストライプタイプ(または、ウェルタイプ)の隔壁112が略平行に配列される。また、アドレス放電を遂行して真空紫外線を発生させる多数のアドレス電極113が隔壁112に対し平行に配置される。後面基板110の上側面には、サステイン放電の際、画像表示のための可視光線を放出するR、G、B蛍光体114が塗布される。アドレス電極113と蛍光体114との間には、アドレス電極113を保護するための誘電体層115が形成される。
【0007】
図2は、従来のプラズマディスプレイ装置の画像階調を具現する方法を示す図である。
【0008】
図2に示すように、従来のプラズマディスプレイ装置の画像階調(Gray Level)表現方法は、1フレームを発光回数が異なる種々なるサブフィールドに分けられる。各サブフィールドは、更に、全てのセルを初期化させるためのリセット期間(RPD)、放電されるセルを選択するためのアドレス期間(APD)、及び、放電回数によって階調を具現するサステイン期間(SPD)に分けられる。例えば、256階調で画像を表示しようとする場合に1/60秒に該当するフレーム期間(16.67ms)は、図3のように8個のサブフィールド(SF1乃至SF8)に分けられる。8個のサブフィールド(SF1乃至SF8)の各々は、リセット期間、アドレス期間及びサステイン期間に更に分けられることになる。
【0009】
各サブフィールドのリセット期間及びアドレス期間は、各サブフィールド毎に同一である。放電されるセルを選択するためのアドレス放電は、スキャン電極である透明電極とアドレス電極との間の電圧差により起こる。サステイン期間は、各サブフィールドにおいて、2n(但し、n=0、1、2、3、4、5、6、7)の割合で増加する。このように、各サブフィールドでサステイン期間の長さが変わることになるので、各サブフィールドのサステイン期間、即ち、サステイン放電回数を調節して画像の階調を表現することになる。
【0010】
一方、従来のプラズマディスプレイ装置は、リセット期間、アドレス期間、サステイン期間に分けられ、各期間に駆動波形が印加されることによって、プラズマディスプレイパネル前面方向にEMIが発生する。
【0011】
特に、サステイン期間には、スキャン電極とサステイン電極に、高周波、高電圧のサステイン波形が交互に印加されることにより発生する電流ピーキング(Peaking)成分によりEMIが増加する問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、サステイン期間時に発生するEMIを防止できるプラズマディスプレイ装置及びプラズマディスプレイ装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るプラズマディスプレイ装置は、複数の維持電極対が形成されたプラズマディスプレイパネルと、前記維持電極対のうち、少なくともいずれか一つの電極にサステイン波形を供給する経路にフィルタ部が含まれるサステイン波形駆動部と、を含むことを特徴とする。
【0014】
前記維持電極対は、スキャン電極とサステイン電極を含み、前記サステイン波形駆動部は、スキャン駆動部及びサステイン駆動部を含むことを特徴とする。
【0015】
前記サステイン波形駆動部は、前記サステイン波形供給時に発生するエネルギーを回収し、前記回収されたエネルギーを前記プラズマディスプレイパネルに再供給するエネルギー回収及び供給部を更に含むことを特徴とする。
【0016】
前記エネルギー回収及び供給部は、エネルギー格納部に格納されたエネルギーを所定のインダクタンスを有する供給経路を通じて前記維持電極対に供給及び回収するインダクタ部と、前記維持電極対にエネルギーを供給した後、サステイン電圧を供給するサステイン電圧供給制御部と、前記維持電極対に供給されたエネルギーを回収した後、基底電圧を供給する基底電圧供給制御部と、を含むことを特徴とする。
【0017】
前記フィルタ部は、前記インダクタ部とサステイン電圧供給制御部の共通段から前記維持電極対に供給されるエネルギー供給経路上に並列で連結されることを特徴とする。
【0018】
前記フィルタ部の電気容量は、1000pF以上4000pF以下であることを特徴とする。
【0019】
前記フィルタ部は、略30MHz乃至70MHzの周波数帯域をフィルタリングすることを特徴とする。
【0020】
本発明のプラズマディスプレイ装置は、複数の維持電極対が形成されたプラズマディスプレイパネルと、前記維持電極対のうち、少なくともいずれか一つの電極にサステイン波形を供給する経路にフィルムキャパシタが含まれるサステイン波形駆動部と、を含むことを特徴とする。
【0021】
前記維持電極対は、スキャン電極とサステイン電極を含み、前記サステイン波形駆動部は、スキャン駆動部及びサステイン駆動部を含むことを特徴とする。
【0022】
前記サステイン波形駆動部は、前記サステイン波形供給時に発生するエネルギーを回収し、前記回収されたエネルギーを前記プラズマディスプレイパネルに再供給するエネルギー回収回路を更に含むことを特徴とする。
【0023】
前記エネルギー回収回路は、エネルギー格納部に格納されたエネルギーを所定のインダクタンスを有する供給経路を通じて前記維持電極対に供給及び回収するインダクタと、前記維持電極対にエネルギーを供給した後、サステイン電圧を供給するサステイン電圧供給制御スイッチと、前記維持電極対に供給されたエネルギーを回収した後、基底電圧を供給する基底電圧供給制御スイッチと、を含むことを特徴とする。
【0024】
前記フィルムキャパシタは、前記インダクタとサステイン電圧供給制御スイッチの共通段から前記維持電極対に供給されるエネルギー供給経路上に並列で連結されることを特徴とする。
【0025】
前記フィルムキャパシタの電気容量は、1000pF以上4000pF以下であることを特徴とする。
【0026】
前記フィルムキャパシタは、少なくとも一つ以上で形成されることを特徴とする。
【0027】
前記フィルムキャパシタが複数個の場合、前記フィルムキャパシタは、互いに直列または並列のうちいずれか一つに連結されることを特徴とする。
【0028】
前記維持電極対に印加される電流の周波数帯域に応じて、前記フィルムキャパシタの個数が変わることを特徴とする。
【0029】
前記維持電極対に印加される電流の周波数帯域に応じて、前記フィルムキャパシタの連結関係が変わることを特徴とする。
【0030】
前記フィルムキャパシタは、略30MHz乃至70MHz程度の周波数帯域をフィルタリングすることを特徴とする。
【0031】
本発明の複数の維持電極対にサステイン波形を供給するプラズマディスプレイ装置の駆動方法は、前記維持電極対のうち、少なくともいずれか一つの電極にエネルギーをフィルタリングして供給する段階と、前記エネルギー供給に続いてサステイン電圧を前記電極に供給する段階と、前記電極から前記エネルギーをフィルタリングして回収する段階と、前記エネルギー回収に続いて基底電圧を前記電極に供給する段階と、を含むことを特徴とする。
【0032】
前記供給されるエネルギーまたは回収されるエネルギーのうちいずれか一つは、略30MHz乃至70MHzの周波数帯域でフィルタリングされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明のプラズマディスプレイ装置は、サステイン波形印加の際、高周波成分により発生できるEMIを減らすことができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明のプラズマディスプレイ装置を詳細に説明する。
【0035】
図3は、本発明の一実施形態に係るプラズマディスプレイ装置を説明するための図である。
【0036】
図3を参照すれば、本発明の一実施形態に係るプラズマディスプレイ装置は、プラズマディスプレイパネル200、スキャン駆動部502、サステイン駆動部504及びデータ駆動部506を具備する。ここで、本発明の複数の維持電極対は、スキャン電極とサステイン電極を含む。サステイン波形を供給するサステイン波形駆動部は、それぞれの電極を駆動するためのスキャン駆動部502とサステイン駆動部504とを含む。サステイン波形駆動部としてのスキャン駆動部502は、スキャン電極を駆動する。サステイン波形駆動部としてのサステイン駆動部504は、サステイン電極を駆動する。
【0037】
プラズマディスプレイパネル200は、前面基板(図示していない)と後面基板(図示していない)とが合着して形成される。この際、前面基板には、スキャン電極ライン(Y1乃至Ym)とサステイン電極ライン(Z1乃至Zm)が対をなして形成され、後面基板にはスキャン電極ライン(Y1乃至Ym)とサステイン電極ライン(Z1乃至Zm)に略直交して立体的に交差するようにデータ電極ライン(X1乃至Xn)が形成されており、m×n個の放電セル1がマトリックス形態で配置される。
【0038】
スキャン駆動部502は、リセット期間の間、スキャン電極ライン(Y1乃至Ym)にセットアップ波形とセットダウン波形を供給し、アドレス期間の間、スキャン電極ライン(Y1乃至Ym)にスキャン基準電圧から負極性スキャン電圧へ下降するスキャン波形(スキャンパルス)を供給し、サステイン期間の間、スキャン電極ライン(Y1乃至Ym)にサステイン電圧から基底電圧に振れる(スイングする)サステイン波形を供給する。
【0039】
サステイン駆動部504は、セットダウン期間またはアドレス期間の間、サステイン電極ライン(Z1乃至Zm)に所定の基準電圧を供給し、サステイン期間の間、前記スキャン電極ライン(Y1乃至Ym)に供給されるサステイン波形と交互にサステイン電極ライン(Z1乃至Zm)にサステイン電圧から基底電圧に振れる(スイングする)サステイン波形を供給する。
【0040】
ここで、本発明の一実施形態に係るスキャン駆動部502またはサステイン駆動部504のうち、少なくともいずれか一つの駆動部は、サステイン波形を供給する経路にフィルタ部を含む。これによって、サステイン波形供給時に発生する電流のピーキング成分を低減させて、EMIが発生することを防止することができる。これに関するより詳細な説明は、図4乃至図6を通じて後述する。
【0041】
データ駆動部506は、アドレス期間の間、アドレス電極ライン(X1乃至Xn)に前記スキャン波形と同期するように映像データに係るアドレス波形(データパルス)を供給する。
【0042】
このような本発明の一実施形態に係るサステイン波形供給部、即ちスキャン駆動部502及びサステイン駆動部504は、サステイン期間の間、プラズマディスプレイパネルに供給されるエネルギーを回収して再使用又は再利用するエネルギー回収回路から構成されるエネルギー回収及び供給部を次の図4のように含む。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態に係るサステイン波形駆動部を説明するための図である。
【0044】
図4を考察すると、サステイン波形駆動部、例えばスキャン駆動部またはサステイン駆動部のうちいずれか一つは、エネルギー格納部51、エネルギー供給制御部52、インダクタ部53、サステイン電圧供給制御部54、エネルギー回収制御部55及び基底電圧供給制御部56から構成されるエネルギー回収及び供給部と、フィルタ部57と、を含む。
【0045】
まず、エネルギー格納部51は、サステイン放電に必要なエネルギーが格納された供給及び回収用キャパシタ(Css)を含む。供給及び回収用キャパシタ(Css)の一端は、エネルギー供給制御部52の一端及びエネルギー 回収制御部55の一端と共通連結される。
【0046】
エネルギー供給制御部52は、第1スイッチ(Q1)と第1ダイオード(D1)を含み、第1スイッチ(Q1)はターンオン(Turn on)されてエネルギー格納部51の供給及び回収用キャパシタ(Css)に格納されていたエネルギーをプラズマディスプレイパネル(Cp)に供給する。第1ダイオード(D1)は、パネル(Cp)から第1スイッチ(Q1)を経由して供給及び回収用キャパシタ(Css)の方に流れる逆電流を遮断する。このような第1ダイオード(D1)は、カソード段がインダクタ部53に含まれた第1インダクタ(L)の一端に連結され、アノード段が第1スイッチ(Q1)の一端に連結される。
【0047】
インダクタ部53は、プラズマディスプレイパネル(Cp)と直列LC共振回路を構成するインダクタを含む。エネルギー格納部51に格納されたエネルギーがエネルギー供給制御部52によりプラズマディスプレイパネル(Cp)に供給される際、プラズマディスプレイパネル(Cp)はインダクタ部53を経由して供給される共振波形で充電され始めて、サステイン電圧(Vs)まで充電される。また、プラズマディスプレイパネル(Cp)のエネルギーがエネルギー格納部53に回収される際、第3スイッチ(Q3)のターンオンによって無効電力回収経路を形成する。したがって、エネルギー格納部51は、インダクタ部53を経由して回収される無効電力の電圧成分でエネルギーが充電される。
【0048】
サステイン電圧供給制御部55は、プラズマディスプレイパネル(Cp)の維持電極対にエネルギー供給後、サステイン電圧に維持させるためのサステイン電圧供給制御スイッチである第2スイッチ(Q2)を含む。第2スイッチ(Q2)の一端は、サステイン電圧(Vs)を供給する外部のサステイン電圧源と連結され、第2スイッチ(Q2)はプラズマディスプレイパネル(Cp)に供給されるエネルギーがサステイン電圧(Vs)になった時にターンオンされて、プラズマディスプレイパネル(Cp)がサステイン電圧(Vs)を維持するようにする。
【0049】
エネルギー回収制御部55は、第3スイッチ(Q3)と第2ダイオード(D2)を含み、前記第3スイッチ(Q3)はターンオンされてサステイン放電の際、無効電力の電圧成分がエネルギー格納部51の供給及び回収用キャパシタ(Css)に回収されるようにする。第2ダイオード(D2)は、供給及び回収用キャパシタ(Css)から第3スイッチ(Q3)を経由してパネル(Cp)の方に流れる逆電流を遮断する。このような第2ダイオード(D2)は、アノード段がインダクタ部53に含まれた第2インダクタ(L2)の一端に連結され、カソード段が第3スイッチ(Q3)の一端に連結される。
【0050】
基底電圧供給制御部56は、プラズマディスプレイパネル(Cp)の維持電極対に供給されたエネルギーを回収した後、基底電圧に維持するようにするための基底電圧供給制御スイッチである第4スイッチ(Q4)を含む。第4スイッチ(Q4)の一端は、外部の基底電圧源(GND)と連結され、エネルギー格納部51にエネルギーがVs/2まで充電された後、ターンオンされて、プラズマディスプレイパネル(Cp)は基底電圧源(GND)が供給する基底電圧の電圧値0Vを維持することになる。
【0051】
フィルタ部57は、サステイン期間の間供給されるサステイン波形により発生するEMIを防止するためのフィルムキャパシタ(Cf)を含む。
【0052】
フィルタ部57は、一端がインダクタ部53とサステイン電圧供給制御部54の共通段からプラズマディスプレイパネル(Cp)に供給されるエネルギー供給パス(エネルギー供給経路)上に並列で連結されている。内部のフィルムキャパシタは、プラズマディスプレイパネル(Cp)に供給される電流のうち、高周波電流ピーキング成分をフィルタリングすることになる。
【0053】
フィルタ部に含まれたフィルムキャパシタ(Cf)は、少なくとも一つ以上からなる。ここで、プラズマディスプレイパネル(Cp)の維持電極対に印加される電流の周波数帯域によってフィルムキャパシタ(Cf)の個数を互いに異なるようにすることができる。
【0054】
また、フィルムキャパシタ(Cf)が複数個をなす場合には、フィルタリングしようとする電流の高周波帯域によって並列または直列で連結する。即ち、フィルタリングしようとする電流の周波数帯域を広くしようとする場合にはフィルムキャパシタは並列で連結し、フィルタリングしようとする電流の周波数帯域を狭くしようとする場合にはフィルムキャパシタを直列連結することが可能である。
【0055】
これは、パネルへのエネルギー供給時、フィルムキャパシタンス値によって共振周波数のバンドギャップが調節され、これによって、フィルタリングしようとする周波数帯域が調節されるためである。この際、フィルムキャパシタの静電容量は、プラズマディスプレイパネル(Cp)の静電容量の1/10の値を有するようにする。好ましくは、本発明の一実施形態に係るフィルムキャパシタ(Cf)の静電容量は、1000pF以上4000pF以下の値を有する。
【0056】
また、本発明の一実施形態に係るフィルムキャパシタ(Cf)は、略30MHz乃至70MHz程度の周波数帯域をフィルタリングするようにする。これはサステイン期間間略30MHz乃至70MHzの周波数帯域でプラズマディスプレイパネルの前面方向に多くのEMIが発生するためである。
【0057】
図5は、本発明の一実施形態に係るプラズマディスプレイ装置の駆動方法を説明するための図である。
【0058】
図5を図4のサステイン波形駆動部と結び付けて考察すると、次のような段階によりプラズマディスプレイ装置が駆動される。
【0059】
エネルギー供給段階(State1)では、第1スイッチQ1がターンオンされ、残りの第2スイッチ乃至第4スイッチ(Q2、Q3、Q4)は全てターンオフされる。したがって、供給及び回収用キャパシタ(Css)に格納されていたエネルギーがプラズマディスプレイパネル(Cp)の維持電極対に供給される。エネルギーが供給される経路は、供給及び回収用キャパシタ(Css)から、第1スイッチ(Q1)−第1ダイオード(D1)−インダクタ部53−プラズマディスプレイパネル(Cp)からなる。この際、プラズマディスプレイパネル(Cp)に供給されるエネルギー、即ち、EMIソースである高周波電流成分のうち、ピーキング成分はフィルタリングされる。例えば、図5のエネルギー供給段階(State 1)で電流(I)のピーキング成分がフィルタリングされて実線から破線に低減することが見られる。
【0060】
サステイン電圧維持段階(State2)では、第2スイッチ(Q2)がターンオンされ、残りの第1、3、4スイッチ(Q1、Q3、Q4)はターンオフされる。これによって、プラズマディスプレイパネル(Cp)にはエネルギー供給に続いてサステイン電圧(Vs)が印加及び維持されてサステイン放電を維持することになる。
【0061】
エネルギー回収段階(State3)では、第3スイッチ部(Q3)がターンオンされ、残りの第1、2、4スイッチ(Q1、Q2、Q4)はターンオフされる。したがって、サステイン放電の際、パネルの無効電力電圧成分が供給及び回収キャパシタ(Css)にエネルギーで回収される。このように回収されるエネルギーの経路は、パネル(Cp)−インダクタ部53−第2ダイオード(D2)−第3スイッチ(Q3)−供給及び回収用キャパシタ(Css)からなる。この際、プラズマディスプレイパネル(Cp)から回収されるエネルギー、即ちEMIソースである高周波電流成分のうち、ピーキング成分はフィルタリングされる。例えば、図5のエネルギー回収段階(State3)で電流(−I)のペッキング成分がフィルタリングされて実線から破線に低減することが見られる。
【0062】
基底電圧維持及びエネルギー補充段階(State4)では、第4スイッチ(Q4)がターンオンされ、第1、2スイッチ(Q1、Q2)はターンオフされる。ここで、第3スイッチ(Q3)の状態はターンオフまたはターンオンのいずれでも関係ない。言い換えれば、第3スイッチ(Q3)の状態はターンオン又はターンオフの何れの状態であっても良い。したがって、プラズマディスプレイパネル(Cp)に印加される電圧はグラウンドレベル(GND)になる。
【0063】
図6は、本発明の一実施形態に係るプラズマディスプレイ装置駆動時に発生するEMI特性を説明するための図である。
【0064】
図6に示すように、周波数帯域に係るEMIのレベルを示すグラフであって、(a)は従来のプラズマディスプレイ装置の駆動時に発生するEMI特性曲線である。(b)は本発明の一実施形態に係るプラズマディスプレイ装置の駆動時に発生するEMI特性曲線である。(a)と(b)を比較すると、フィルタ部が含まれた本発明の一実施形態に係るプラズマディスプレイ装置が従来のプラズマディスプレイ装置に比べてEMI特性が格段に向上することが分る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】一般的なプラズマディスプレイパネルの構造を示す図である。
【図2】従来のプラズマディスプレイ装置の画像階調を具現する方法を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプラズマディスプレイ装置を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るサステイン波形駆動部を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るプラズマディスプレイ装置の駆動方法を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るプラズマディスプレイ装置駆動時に発生するEMI特性を説明するための図である。
【符号の説明】
【0066】
100 前面基板
101 前面ガラス
102 スキャン電極
103 サステイン電極
104 誘電体層
105 保護層
110 後面基板
111 後面ガラス
112 隔壁
113 アドレス電極
114 蛍光体
115 誘電体層
200 プラズマディスプレイパネル
502 スキャン駆動部
504 サステイン駆動部
506 データ駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の維持電極対が形成されたプラズマディスプレイパネルと、
前記維持電極対のうち、少なくともいずれか一つの電極にサステイン波形を供給する経路にフィルタ部が含まれるサステイン波形駆動部と、
を含むことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項2】
前記複数の維持電極対は、スキャン電極とサステイン電極を含み、
前記サステイン波形駆動部は、スキャン駆動部及びサステイン駆動部を含むことを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項3】
前記サステイン波形駆動部は、
前記サステイン波形供給時に発生するエネルギーを回収し、前記回収されたエネルギーを前記プラズマディスプレイパネルに再供給するエネルギー回収及び供給部を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項4】
前記エネルギー回収及び供給部は、
エネルギー格納部に格納されたエネルギーを所定のインダクタンスを有する供給経路を通じて前記維持電極対に供給及び回収するインダクタ部と、
前記維持電極対にエネルギーを供給した後、サステイン電圧を供給するサステイン電圧供給制御部と、
前記維持電極対に供給されたエネルギーを回収した後、基底電圧を供給する基底電圧供給制御部と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項5】
前記フィルタ部は、前記インダクタ部とサステイン電圧供給制御部の共通段から前記維持電極対に供給されるエネルギー供給経路上に並列で連結されることを特徴とする、請求項4に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項6】
前記フィルタ部の電気容量は、1000pF以上4000pF以下であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項7】
前記フィルタ部は略30MHz乃至70MHzの周波数帯域をフィルタリングすることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項8】
複数の維持電極対が形成されたプラズマディスプレイパネルと、
前記維持電極対のうち、少なくともいずれか一つの電極にサステイン波形を供給する経路にフィルムキャパシタが含まれるサステイン波形駆動部と、
を含むことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項9】
前記維持電極対はスキャン電極とサステイン電極を含み、
前記サステイン波形駆動部は、スキャン駆動部及びサステイン駆動部を含むことを特徴とする請求項8に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項10】
前記サステイン波形駆動部は、
前記サステイン波形供給時に発生するエネルギーを回収し、前記回収されたエネルギーを前記プラズマディスプレイパネルに再供給するエネルギー回収回路を更に含むことを特徴とする、請求項8に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項11】
前記エネルギー回収回路は、
エネルギー格納部に格納されたエネルギーを所定のインダクタンスを有する供給経路を通じて前記維持電極対に供給及び回収するインダクタと、
前記維持電極対にエネルギーを供給した後、サステイン電圧を供給するサステイン電圧供給制御スイッチと、
前記維持電極対に供給されたエネルギーを回収した後、基底電圧を供給する基底電圧供給制御スイッチと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項12】
前記フィルムキャパシタは、
前記インダクタとサステイン電圧供給制御スイッチの共通段から前記維持電極対に供給されるエネルギー供給経路上に並列で連結されることを特徴とする、請求項10に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項13】
前記フィルムキャパシタの電気容量は、1000pF以上4000pF以下であることを特徴とする、請求項8に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項14】
前記フィルムキャパシタは、少なくとも一つ以上で形成されることを特徴とする、請求項8に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項15】
前記維持電極対に印加される電流の周波数帯域に応じて、前記フィルムキャパシタの個数が変わることを特徴とする、請求項14に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項16】
前記フィルムキャパシタが複数個の場合、前記フィルムキャパシタは、互いに直列または並列のうちいずれか一つに連結されることを特徴とする、請求項14に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項17】
前記維持電極対に印加される電流の周波数帯域に応じて、前記フィルムキャパシタの連結関係が変わることを特徴とする、請求項16に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項18】
前記フィルムキャパシタは、略30MHz乃至70MHz程度の周波数帯域をフィルタリングすることを特徴とする、請求項7に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項19】
複数の維持電極対にサステイン波形を供給するプラズマディスプレイ装置の駆動方法において、
前記維持電極対のうち、少なくともいずれか一つの電極にエネルギーをフィルタリングして供給する段階と、
前記エネルギー供給に続いてサステイン電圧を前記電極に供給する段階と、
前記電極から前記エネルギーをフィルタリングして回収する段階と、
前記エネルギー回収に続いて基底電圧を前記電極に供給する段階と、
を含むことを特徴とするプラズマディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項20】
前記供給されるエネルギーまたは回収されるエネルギーのうちいずれか一つは、略30MHz乃至70MHzの周波数帯域でフィルタリングされることを特徴とする、請求項19に記載のプラズマディスプレイ装置の駆動方法。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−221164(P2006−221164A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25629(P2006−25629)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(590001669)エルジー電子株式会社 (296)
【Fターム(参考)】