説明

プラズマディスプレイ

【課題】 ユーザに与える違和感を少なくしながら画面の焼き付きを防止するプラズマ
ディスプレイを提供することである。
【解決手段】 プラズマディスプレイ10は、PDP25と、輝度制御部28と、画素
単位の電圧を検出する画素電圧検出部30と、時間を計測する計時部26とを備え、画素
電圧検出部30は、画素単位の経時的な電圧変化を検出し、輝度制御部28は、電圧が所
定時間以上一定である画素の輝度を経時的であって段階的に所定の輝度まで低下させ、前
記所定時間は、検出される画素の電圧の高低に応じて決定する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルと輝度制御部とを有するプラズマディスプレイ
に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマディスプレイが、大型化、広視野角という点から注目されている。この
プラズマディスプレイは、長時間表示をすると蛍光体の劣化等が原因で画面の焼き付きが
生じる。プラズマディスプレイは放電により発生する真空紫外線を利用した蛍光体のフォ
トルミネッセンスを利用している。このため、放電による電極表面の劣化並びにイオン衝
撃及び真空紫外線暴露等による蛍光体の劣化が起こる。このような電極表面の劣化及び蛍
光体の劣化は放電回数に依存する。即ち、表示の輝度が高いほど、つまり単位時間あたり
の放電回数が多いほど、蛍光体の劣化が早く、部分的に高輝度で発光させると、周囲の部
分との輝度に差が生じ、短時間で焼き付きが発生しやすい。この焼き付きを防止するため
に以下のような方法が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、入力信号が変化している場合の輝度より入力信号が変化してい
ない場合の輝度を低く制御するプラズマディスプレイ装置が開示されている。
【0004】
また特許文献2は、CRTディスプレイ装置において、画面上有効となる部分の画素を
デジタルデータとして取り出し、フレーム又はフィールド間の同一が素管でデータを比較
し、データに変化がないかどうかを判定する。そして、現在CRT蛍光体上に映し出して
いる映像が静止画であるかを検出し、且つ、前記で取り出された画素の信号振幅値をデジ
タルデータとして取り扱うことにより、デジタルデータの最小値と最大値を取り出し、現
在の映像の高輝度部分と低輝度部分のコントラストがCRT焼き付きの可能性が予想され
るほど大きいことを検出し、映像が静止画で且つ、高輝度部分と低輝度部分のコントラス
トがCRT焼き付きの可能性が予想されるほど大きいという前記二つの検出結果が同時に
成り立つ状態の継続時間を常に計測し、継続時間が任意の保護動作を行うことにより、C
RT蛍光体の焼き付きを防止するという作用を有する。
【0005】
また特許文献3には、静止画が継続される場合輝度を抑制する方向で制御し、パネル温
度上昇を抑制してパネル信頼性を向上させるプラズマディスプレイパネルの駆動方法が開
示されている。
【特許文献1】特開2001−306026号公報
【特許文献2】特開2002−44569号公報
【特許文献3】特開2001−125536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3では焼き付き防止のために輝度を下げる場合に画面全体
の輝度を下げており、これは焼き付きの心配がない動画部分の輝度も一緒に下げることに
なる。例えばOSD表示で受信中のチャンネル番号を表示している場合には、静止画があ
ると判断して画面全体の輝度を下げてしまい、見づらい画面となる。またこの現象を回避
するために画面のOSD表示されない一部分を検出して静止画か動画かを判断すると、映
像の一部分が静止し、他の部分が動いている場合は、必ずしも検出部分が静止画であると
は限らず、適切に輝度を下げることができない。
【0007】
本発明は、ユーザに与える違和感を少なくしながら画面の焼き付きを防止するプラズマ
ディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、プラズマディスプレイパネルと輝度制御部とを有
するプラズマディスプレイにおいて、画素単位の電圧を検出する画素電圧検出部と、時間
を計測する計時部とを備え、前記画素電圧検出部は、所定電圧より高い電圧の画素につい
て経時的な電圧変化を検出し、前記輝度制御部は、画素単位の経時的な電圧変化を検出し
、OSD表示されている画素の電圧が第1の所定時間以上一定である場合は、該画素の輝
度を経時的であって段階的に前記所定の輝度まで低下させ、映像信号が表示されている画
素の電圧が第2の所定時間以上一定である場合は、全画素の輝度を経時的であって段階的
に前記所定の輝度まで低下させ、前記第1の所定時間は、検出される画素の電圧の高低に
応じて決定し、前記第2の所定時間は、ユーザにより設定された輝度レベルの高低に応じ
て決定することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、プラズマディスプレイパネルと輝度制御部とを有するプラズマディスプ
レイにおいて、画素単位の電圧を検出する画素電圧検出部と、時間を計測する計時部とを
備え、前記画素電圧検出部は、画素単位の経時的な電圧変化を検出し、前記輝度制御部は
、電圧が所定時間以上一定である画素の輝度を低下させることを特徴とする。
【0010】
なお、前記輝度の低下は、経時的であって段階的に所定の輝度まで低下させるものとす
ることができる。
【0011】
また、前記電圧変化が検出される画素は、OSD表示されている画素又は映像信号が表
示されている画素とすることができる。
【0012】
また、前記所定時間は、検出される画素の電圧の高低に応じて決定することができる。
【0013】
また、ユーザにより複数の輝度レベルの中から所望の輝度レベルが設定されている場合
、前記所定時間は、該輝度レベルの高低に応じて決定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、静止画か否かを画素単位で判断し、長時間静止画を表示している画素
の輝度を徐々に下げることにより、ユーザに与える違和感を少なくしながら画面の焼き付
きを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、デジタルテレビジョン放送に対応したプラズマディスプレイを例に説明する。図
1は、プラズマディスプレイ10の構成を示すブロック図である。11はユーザが電源の
オン/オフ操作、選局操作、音量や輝度レベルの調整操作等の各種操作を行う操作部であ
る。なお、操作部11は遠隔操作可能なリモコンとしてもよい。12はデジタル放送波を
受信するアンテナ部であり、13はアンテナ部12で受信したデジタル放送波から所望の
チャンネルの放送を選局するチューナ部、14はチューナ部13からの出力波をデジタル
信号に変換するA/D変換部、15はその出力をデータに復調する復調部である。
【0016】
また、16は復調部15で復調されたデータを種別毎に分離して出力するTSデマルチ
プレクサであり、17はその分離されたデータを記憶するRAM、18はデジタルテレビ
10の動作に必要な情報を記憶しているROMである。なお、ROM18には後述するO
SD制御のためのOSDデータも記憶されている。19はRAM17に記憶されたデータ
中の音声データをアナログ化するD/A変換部であり、20はD/A変換部19によりア
ナログ化された音声データを出力する音声信号出力部、21は音声を放音するスピーカで
ある。
【0017】
また、22はRAM17に記憶されたデータ中の映像データを圧縮前の映像データに復
号化するMPEG2デコード部であり、23はその復号化された映像データをNTSC復
号テレビジョン信号に復号化するNTSCエンコード部、24はそのNTSC復号テレビ
ジョン信号を出力したり、後述するOSD表示を出力したりする映像信号・OSD出力部
、25は映像を表示するPDP(Plasma Display Panel)である。
【0018】
また、26は時間を計測する計時部である。27は音量などの音声信号を制御する音声
制御部であり、28はPDP25の輝度を制御する輝度制御部、29はPDP25へのメ
ニューの表示、又は音声や輝度レベル調整の表示を制御するOSD(On Screen Display
)制御部、30は画素単位の電圧を検出する画素電圧検出部、31はプラズマディスプレ
イ10の動作を制御するMPUである。
【0019】
図2は、各画素に対するプラズマディスプレイ10の動作を示すフローチャートである
。PDP25の駆動中に、ステップS10において画素電圧検出部30は各画素の印加電
圧を検出し、ステップS11へ進んで各電圧が予め設定された所定電圧(例えば最大電圧
の50%)より高いか否かを判別する。ステップS11において画素の電圧が所定電圧以
下の場合は、輝度が低く焼き付き防止の処理が必要ないと判断して、ステップS10に戻
る。一方、ステップS11において画素の電圧が所定電圧よりも高い場合は、ステップS
12へ進んで計時部26で電圧が変化するまでの時間を計測する。電圧が変化した場合は
時間をリセットしてから計測する。
【0020】
次にステップS12からステップS13へ進んで計時部26の計測時間が所定時間以上
であるか否かを判別する。つまり静止画が所定時間以上表示されているか否かを判別する
。ステップS13において所定時間未満である場合は、まだ焼き付きの心配はないと判断
して、ステップS10に戻る。一方、ステップS13において所定時間以上である場合は
、ステップS14へ進んで焼き付き防止処理を実行する。その後、ステップS10に戻る

【0021】
この焼き付き防止処理は、焼き付きが起こりにくい低電圧(例えば最大電圧の50%)
に下げる処理とすることができる。また、静止画が続く限り経時的であって段階的に所定
の電圧まで低下させる処理とすることができる。例えば、5分毎に電圧を10%ずつ低下
させ、最大電圧の50%まで低下させる方法とすることができる。なお、5分毎に輝度を
10%ずつ低下させ、最大輝度の50%まで低下させるように電圧を制御しても効果は同
じである。
【0022】
上記ステップS13における所定時間は、検出される画素の電圧の高低に応じて決定す
ることができる。つまり、電圧が予め設定された基準値より高ければ、焼き付きが早く起
こりやすいので、上記所定時間を短くする(例えば3分)。一方、電圧が上記基準値より
低ければ焼き付きが起こりにくいので上記所定時間を長くする(例えば5分)。なお、所
定時間の切り替えは上記のように2段階とするだけでなく、3段階以上としてもよい。
【0023】
また上記ステップS13における所定時間は、ユーザにより複数の輝度レベルの中から
所望の輝度レベルが設定されている場合、該輝度レベルの高低に応じて決定することがで
きる。つまり、設定された輝度レベルが予め設定された基準値より高ければ、焼き付きが
早く起こりやすいので、上記所定時間を短くする(例えば3分)。一方、設定された輝度
レベルが上記基準値より低ければ焼き付きが起こりにくいので上記所定時間を長くする(
例えば5分)。なお、所定時間の切り替えは上記のように2段階とするだけでなく、3段
階以上としてもよい。例えば、ユーザが設定可能な輝度レベルが10段階ある場合は、1
0段階の所定時間を設けることができる。
【0024】
なお、上記ステップS10で検出する各画素に現在表示されている画像が、チューナ部
13からの映像信号か、又はROM18から読み出されたOSD表示かをMPU31が判
断することは可能である。
【0025】
そこで、OSD表示されている画素の電圧が第1の所定時間以上一定である場合は、該
画素の輝度を経時的であって段階的に所定の輝度まで低下させ、一方、映像信号が表示さ
れている画素の電圧が第2の所定時間以上一定である場合は、全画素の輝度を経時的であ
って段階的に所定の輝度まで低下させるように制御してもよい。更に、第1の所定時間は
、検出される画素の電圧の高低に応じて決定し、第2の所定時間は、ユーザにより設定さ
れた輝度レベルの高低に応じて決定してもよい。
【0026】
このOSD表示されている画素の焼き付き防止処理は図2と同様の動作とすることがで
きる。これにより、静止画であるOSD表示部分のみの輝度を低下させ、テレビジョン放
送の映像は変化させないので、ユーザに違和感を与えることなく画面の焼き付きを防止で
きる。
【0027】
一方、映像信号が表示されている画素の焼き付き防止処理は、全画素の輝度を低下させ
ることにより行うので、映像の一部が静止画である場合でも全画素の輝度を低下させるこ
とになる。換言すれば映像の一部が静止画である場合でも静止している画素のみの輝度を
低下させることがない。従って、映像のコントラストを変えずに輝度を下げるので、映像
の奥行きを保つことができる。
【0028】
なお、本発明において静止画の検出は画素の電圧の変化を検出する以外の手段を用いて
もよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のプラズマディスプレイは、デジタルやアナログ放送対応のプラズマディスプレ
イをはじめ、映像を表示するプラズマディスプレイに広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】プラズマディスプレイの構成を示すブロック図である。
【図2】各画素に対するプラズマディスプレイの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
10 プラズマディスプレイ
25 PDP(プラズマディスプレイパネル)
26 計時部
28 輝度制御部
30 画素電圧検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマディスプレイパネルと輝度制御部とを有するプラズマディスプレイにおいて、
画素単位の電圧を検出する画素電圧検出部と、時間を計測する計時部とを備え、
前記画素電圧検出部は、所定電圧より高い電圧の画素について経時的な電圧変化を検出
し、
前記輝度制御部は、画素単位の経時的な電圧変化を検出し、
OSD表示されている画素の電圧が第1の所定時間以上一定である場合は、該画素の輝
度を経時的であって段階的に前記所定の輝度まで低下させ、
映像信号が表示されている画素の電圧が第2の所定時間以上一定である場合は、全画素
の輝度を経時的であって段階的に前記所定の輝度まで低下させ、
前記第1の所定時間は、検出される画素の電圧の高低に応じて決定し、
前記第2の所定時間は、ユーザにより設定された輝度レベルの高低に応じて決定するこ
とを特徴とするプラズマディスプレイ。
【請求項2】
プラズマディスプレイパネルと輝度制御部とを有するプラズマディスプレイにおいて、
画素単位の電圧を検出する画素電圧検出部と、時間を計測する計時部とを備え、
前記画素電圧検出部は、画素単位の経時的な電圧変化を検出し、
前記輝度制御部は、電圧が所定時間以上一定である画素の輝度を低下させることを特徴
とするプラズマディスプレイ。
【請求項3】
前記輝度の低下は、経時的であって段階的に所定の輝度まで低下させることを特徴とす
る請求項2記載のプラズマディスプレイ。
【請求項4】
前記電圧変化が検出される画素は、OSD表示されている画素であることを特徴とする
請求項2又は3記載のプラズマディスプレイ。
【請求項5】
前記電圧変化が検出される画素は、映像信号が表示されている画素であることを特徴と
する請求項2又は3記載のプラズマディスプレイ。
【請求項6】
前記所定時間は、検出される画素の電圧の高低に応じて決定することを特徴とする請求
項2〜5の何れかに記載のプラズマディスプレイ。
【請求項7】
ユーザにより複数の輝度レベルの中から所望の輝度レベルが設定されている場合、前記
所定時間は、該輝度レベルの高低に応じて決定することを特徴とする請求項2〜5の何れ
かに記載のプラズマディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−11082(P2006−11082A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188646(P2004−188646)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】