説明

プラズマ処理方法およびプラズマ処理装置

【課題】効率的よく被処理物を実質的に均一な表面状態に処理でき、さらに接着性改善効果が高くなるプラズマ処理方法およびプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】相互に対向する2つの電極間4,11に所定のガスを連続的に導入および排出させながら、両電極4,11に高周波電力を印加して、プラズマを発生させ、両電極4,11間に配置した被処理物3の表面処理を行う時、前記高周波電力を、前記所定のガスが前記被処理物3を通過する時間に同期させて、両電極に間欠的に印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素樹脂等の親水性に乏しく、難接着性の基材の表面の親水性や接着性の向上を目的とする表面改質処理に関するものであって、フッ素樹脂等をプラズマを発生させる圧力雰囲気下でプラズマを生成させて表面処理することによって、表面改質を行うプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材表面を処理して、表面に親水性、接着性等を与えるための表面改質法(表面処理方法)として、乾式でクリーンな処理方法であるグロープラズマ処理が知られている。
【0003】
そして、グロープラズマによる表面処理としては、従来、低圧グロープラズマ処理が一般的であったが、低圧グロープラズマ処理の場合は、通常1.3kPa以下の低圧において行うために、実施には大型の真空装置が必要となり、設備費や処理コストが大きくなるという欠点や処理中に熱が発生し易く低融点物質からなる被処理物には適用し難いという欠点があった。
【0004】
上記のような低圧グロープラズマ処理の欠点を解決する処理方法として、大気圧下でプラズマ処理を行う大気圧グロープラズマ法による処理方法が開発され、例えば、大気圧グロープラズマ法によりフッ素樹脂等の部材表面の接着性を向上させるための処理方法が提案されている。(特許文献1)
【特許文献1】特開平04−145139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の大気圧プラズマ処理においては、表面改質効果が充分ではなく、被処理物の表面状態が不均一になっていることが分かった。さらに詳しく調査したところ、ガス排出口に近い箇所ほど表面処理の程度が低くなっていることが分かった。
【0006】
上記ガス排出口に近い箇所ほど表面処理の程度が低くなる問題の発生原因について、検討した結果、以下のことが分かった。
即ち、従来の大気圧プラズマ処理では、相互に対向する2つの電極間に被処理物が配置された状態で、処理ガスを導入口より排出口に連続的に流しながら、高周波電力を連続的に印加して、被処理物の処理を行っていた。
【0007】
しかし、この方法を用いた場合、導入されたガスは、順次プラズマを発生しつつ排出口に移動、排出されるので、その移動間で活性化されたガスの濃度、即ちプラズマの発生量が低下する。その結果、被処理物の面内で、被処理物の表面に到達する活性ガス濃度が一定せず、ガス排出口に近い箇所ほど表面処理の程度が低くなっていた。即ち、面内ばらつきが発生していた。
【0008】
上記の問題を解決する一つの方法として、処理室にガスを導入した後、密閉して、高周波電力を連続的に印加して処理を行い、その後処理室のガスを交換して処理を繰り返すことが考えられるが、この方法では、頻繁なガス交換や、処理室の密閉、開放等余分な工程が必要となり、生産性を低下させる問題がある。
【0009】
このため、処理ガスを導入口より排出口に連続的に流しながらも、被処理物の面内ばらつきの発生が抑制されて、効率的よく被処理物を実質的に均一な表面状態に処理でき、さらに接着性改善効果が高くなるプラズマ処理方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意検討の結果、高周波電力を、ガスが被処理物を通過する時間よりも長い時間間隔で、両電極に間欠的に印加することによって、被処理物の表面に到達するプラズマを一定の量に管理でき、その結果、被処理物の面内ばらつきの発生が抑制されて、効率的よく被処理物を実質的に均一な表面状態に処理でき、さらに接着性改善効果が高くなることを見いだし、本発明を完成するに至った。
以下、各請求項の発明を説明する。
【0011】
請求項1に記載の発明は、
相互に対向する2つの電極間に所定のガスを連続的に導入および排出させながら、両電極に高周波電力を印加して、プラズマを発生させる圧力雰囲気下でプラズマ放電させ、両電極間に配置した被処理物の表面処理を行うプラズマ処理方法であって、
前記高周波電力を、前記所定のガスが前記被処理物を通過する時間に同期させて、両電極に間欠的に印加することを特徴とするプラズマ処理方法である。
【0012】
本請求項のプラズマ処理においては、高周波電力を、所定のガスが被処理物を通過する時間に同期させて、両電極に間欠的に印加する。ここにいう所定のガスが被処理物を通過する時間とは、被処理物表面に接するガスが新鮮なガスに交換されるに必要な時間を意味する。また、前記所定のガスが前記被処理物を通過する時間に同期させて、両電極に間欠的に印加するとは、前記所定のガスが前記被処理物を通過する時間、印加オフにしながら、間欠的に印加するということを意味する。本発明は、このように所定の時間に同期させて、両電極に高周波電力を間欠的に印加するため、印加時には、常に新鮮なガスが満たされた状態となっている。その結果、被処理物の表面に到達するプラズマを一定の量に管理でき、被処理物の面内ばらつきの発生が抑制され、効率的よく被処理物を実質的に均一な表面状態に処理でき、さらに接着性改善効果が高くなる。
【0013】
本請求項における所定のガスとは、空気を除くガスであってプラズマの生成に適したガスであればよく、特に限定されないが、例えばHe、Ne、Ar、N等の不活性ガスやこれら不活性ガスを主成分とし、被処理物と反応して被処理物の表面に親水性の官能基を付与する、COやハロゲンその他のガスを少量混合したガスである。
【0014】
プラズマを生成させる手段には、グロー放電の他にコロナ放電やアーク放電などの放電があり、本発明においてプラズマを生成させる手段は特に限定されるものではないが、面内ばらつきなどの処理むらをより制御できる点からは、グロー放電が好適である。ここに、グロー放電を行うためには、少なくとも一方の電極の表面を固体誘電体で被覆する必要があるが、固体誘電体としてはセラミック、ガラス、プラスチック等が適用でき、その材質は特に限定されるものではないが、誘電率の高いセラミックやガラスが好適である。
【0015】
電極の形状としては、相互に対向する平板状の電極同士の組み合わせ、相互に対向する円筒状電極同士の組み合わせ、あるいは円筒状電極と軸状電極との組み合わせ等、その形状や組み合わせは特に限定されない。
【0016】
本発明を薄膜デポシションに適用した場合、処理ガスの導入口および排出口の近傍において、薄膜の成長速度を均一化させることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記のプラズマ処理方法であって、
前記被処理物が、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂より選択された樹脂であることを特徴とするプラズマ処理方法である。
【0018】
本請求項の発明においては、従来被処理物表面の親水性、接着性等に問題のあったフッ素樹脂の表面改質処理において本発明の効果を顕著に発揮することができる。
本請求項の発明において被処理物であるフッ素樹脂は特に限定されないが、例えば、画像形成装置の画像の転写や定着用の多層エンドレスベルトやローラの表層として好適なポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が挙げられる。
また、本請求項の発明におけるフッソ樹脂には、純粋なフッ素樹脂の他、フッ素樹脂に例えば可塑剤やフィラー等の他の物質が添加されたフッ素含有樹脂組成物を含む。
【0019】
また、本請求項の発明は、電子材料に用いられるポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂においても、その効果を顕著に発揮することができる。即ち、樹脂表面に加速されたプラズマ(イオン)がぶつかることで、印刷時のインキの密着性が向上して、印刷性がよくなる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、
相互に対向する2つの電極、
前記電極間に所定のガスを連続的に導入および排出させるガス導入・排出手段、
および前記所定のガスが被処理物を通過する時間に同期させて、両電極に間欠的に高周波電力を印加する高周波電力印加手段を有していることを特徴とするプラズマ処理装置である。
【0021】
本請求項の発明は、方法の発明である請求項1の発明を、装置の面から捉えたものである。
【0022】
本請求項の発明におけるプラズマ処理装置は、従来のプラズマ処理装置における高周波電力印加手段を、間欠的に高周波電力を印加する高周波電力印加手段に変更するだけで対応できるため、コストの上昇を招くことは殆どない。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、処理ガスを導入口より排出口に連続的に流しながらも、被処理物の面内ばらつきの発生が抑制されて、効率的よく被処理物を実質的に均一な表面状態に処理でき、さらに接着性改善効果が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、画像形成装置用の転写ベルトを例にとり、本発明を最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0025】
(イ)表層の形成
第1に、本実施の形態においてプラズマ処理を施す対象物である画像形成装置用転写ベルトの表層の形成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る転写ベルトの表層3の形成方法を概念的に示す図である。図1において、4は第1の円筒状電極である。第1の円筒状電極4は、内径は169.2mmであり、長さが500mmであって、所定の厚さのステンレス製の電極である。第1の円筒状電極4の内周面に三井デュポンフロロケミカル社製のPFAディスパージョン(PFAグレード950HP)を所定量塗布した後、400℃で焼成し第1の円筒状電極4の内面上に、長さ470mm、厚さ8μmの表層3を形成する。
【0026】
(ロ)表層のプラズマ処理
第2に、前記表層のプラズマ処理について説明する。
a.プラズマ処理
本実施の形態においては、両電極間に間欠的に高周波電力を印加することにより、絶えず新鮮な所定のガス雰囲気下でグロープラズマを発生させてプラズマ処理を行う。具体的には、高周波電力を印加する間隔を、所定のガスが被処理物を通過する時間に同期させてプラズマを発生させる。
【0027】
高周波電力を印加する間隔を、所定のガスが被処理物を通過する時間に同期させることにより、処理空間内を常に新鮮な所定のガス雰囲気状態で印加して、プラズマを発生させることになるため、プラズマ処理を行っている間、所定のガスの活性度をほぼ一定に保つことが可能となり、処理むら(面内ばらつき)を低減させることができる。
以下具体的に本実施の形態を説明する。
【0028】
図2と図3は、本実施の形態に係る表層3のプラズマ処理を行う様子を概念的に示す図である。図2は、正面から見た図である。図3は、A−A’で示す箇所を矢視したときの形状を概念的に示す図である。
図2において13は、円筒状の容器及び蓋からなる第2の耐圧容器12によって囲まれたプラズマ処理室である。
【0029】
プラズマ処理室13の内部には、第1の円筒状電極4と同じ長さであって、外径が第1の円筒状電極4の内径に比べて小さい外径152mmの第2の円筒状電極11が設置されている。次に、内周面に表層3を形成した第1の円筒状電極4を、第2の円筒状電極11を取り囲むように設置する。第1の円筒状電極4を設置すると同時に、第1の円筒状電極4の軸心と第2の円筒状電極11の軸心とが一致するように第1の円筒状電極4が位置決めされ、直径の大きさが異なる2つの円筒状電極は、二重の円筒をなし、2つの円筒状電極の間に表層3が配置される。
【0030】
第2の円筒状電極11は、外部に設置した、高周波電力電源20の一方の電極に接続され、第1の円筒状電極4は接地される(印加手段については図示せず)。なお、図3に示すように、第1の円筒状電極4は、ステンレス製の円筒41からなり、第2の円筒状電極11は、アルミニウム製の円筒111およびその外周面を厚さ4mmのパイレックスガラス(旭テクノグラス社製)で被覆した固体誘電体112で構成されている。
【0031】
第2の耐圧容器12の蓋には、所定のガスをプラズマ処理室13に供給するための給気管14とプラズマ処理室13のガスを排除して真空にするための真空排気管18が取り付けられ、給気管14と真空排気管18には、それぞれ弁15、弁19が取り付けられている。また、第2の耐圧容器12の底壁には、プラズマ処理室13内のガスを外へ放出するための排気管16が取り付けられ、排気管16には、弁17が取り付けられている。給気管14は、所定のガス(Heガス)の高圧ボンベ(図示せず)に接続され、真空排気管18は、第2の真空ポンプ21に接続されている。
【0032】
前記弁15、弁17を閉とし、弁19を開にして第2の真空ポンプ21を作動させ、プラズマ処理室13内の空気を、第一計器製作所製のHNT−221A型圧力ゲージ(圧力レンジ:大気圧を中心として、−0.1MPa〜0.1MPa)(図示せず)が、−0.1MPaを指すまで排除する。次いで、弁19を閉とし、弁15を開にして給気管14からプラズマ処理室13に所定のガス(Heガス)を10l/分の流量で、プラズマ処理室の圧力がプラズマを発生させる所定の圧力(大気圧)になるまで供給する。プラズマ処理室13の圧力がプラズマを発生させる所定の圧力(大気圧)になった後は、弁15より所定のガス(Heガス)を供給しながら、弁17をわずかに開にし、プラズマ処理室13内のガスを外に排出できるようにする。即ち、プラズマ処理室の圧力がプラズマを発生させる所定の圧力(大気圧)を維持するように、弁17の開き具合を調整する。
【0033】
次いで、前記両円筒状電極4と11の間に出力700W、電圧30kV、周波数20kHzの高周波電力を間欠的に印加し、印加している間のみ、両円筒状電極4と11の間の空間にグロープラズマを発生させ、表層3のプラズマ処理を行う。具体的には、高周波電力の印加を2秒間の印加と、2秒間の印加オフを1サイクルとして、30サイクルの印加(合計印加時間:60秒)を行う。
2秒間の印加オフの時間を設けることにより、プラズマ処理室内部の新旧ガスが置換された状態でプラズマ処理が行われる。
【0034】
本実施の形態においては、印加オフの時間を所定のガスが被処理物を通過する時間に同期させることにより、処理空間内を常に新鮮な所定のガス雰囲気状態で印加して、プラズマを発生させることになるため、プラズマ処理を行っている間、所定のガスの活性度をほぼ一定に保つことが可能となり、処理むら(面内ばらつき)を低減させることができる。
【0035】
(ハ)転写ベルトの作製と性能評価
次に、前記実施の形態において作製した表層を適用して転写ベルトを作製する。
a.転写ベルトの構成
先ず、本実施の形態に係る転写ベルトの構成について説明する。
転写ベルトは、主に機械的強度を担うベース層、ベルトに弾性を付与するための中間層、転写機能を担う表層の3層で構成される。
図4は、本実施の形態に係る画像形成装置用の転写ベルトの構成を概念的に示す図であって、転写ベルトの断面の一部を拡大した図である。図4において、1はポリイミド樹脂を基材とするベース層であり、2は水性ウレタンを基材とするエラストマーからなる中間層であり、3は離トナー性に優れたフッ素樹脂からなる表層であり、隣り合う層と層は接着されている。本発明に係る転写ベルトにおいては、表層3と中間層2とが接着層を介さずに、直に接着されている。
なお、各層の厚さは、ベース層が60μm、中間層が200μm、表層が8μmである。
【0036】
b.転写ベルトの作製手順
次に、本実施の形態に係る転写ベルトの作製手順について説明する。
本実施の形態においては、前記ベース層1と中間層2を積層させた積層体を形成し、内周面にプラズマ処理を施した表層3に嵌合させて両者を押圧することにより中間層2と表層3を接着させて転写ベルトとする。
【0037】
以下に、転写ベルトを構成する各層の形成について説明する。
c.ベース層と中間層を積層させた積層体の形成
ドラム状金型を回転させながら、その外側に所定量のポリイミドワニスを塗布し、その後金型を加熱してイミド化反応を行い、ドラム状金型の周囲に、厚みが60μmのポリイミド樹脂からなる筒状のベース層1を形成する。
次に、ベース層1を一旦ドラム状金型からは外し、別のドラム状金型の外周面に嵌合させる。
別途、水性ウレタンに増粘剤を加え約10Pa・sの粘度とし、さらに脱泡を行ったウレタン溶液を用意し、前記ベース層1の表面上に所定量塗布する。塗布後、常温にて水分を乾燥させ、さらに160℃でアニールを行い、ベース層1の表面上に厚み200μmのポリウレタンからなる中間層2を形成し、筒状の積層体とする。
図5は、ドラム状金型5の外周面にベース層1、中間層2からなる積層体を形成した様子を概念的に示す図である。
【0038】
次いで、積層体と表層の接着について説明する。
d.積層体と表層の接着
ここでは、前記積層体を表層3に嵌合させて両者を押圧することにより積層体の中間層2と表層3を接着する具体的な方法について説明する。
図6は、前記積層体と表層3を押圧することにより中間層2と表層3を接着する接着工程を概念的に示す図である。
図6において、6は一種の流体容器であって、シリコンゴム製の膜からなる、両端部が閉じられた中空円筒状の容器(以下、「ウオーターバック」という)である。前記筒状の積層体をドラム状金型5からとり外し、ウォーターバック6の外周に嵌め込む。
【0039】
積層体を嵌め込んだウォーターバック6を、内周面に表層3が形成された第1の円筒状電極4の内側に挿入し、ウォーターバック6および第1の円筒状電極4を第1の耐圧容器8によって囲まれた真空室7の内部に設置する。次いで、ポンプ9を作動させてウォーターバック6の内部に流体を圧入してウォーターバックの圧力を0.5MPaにまで上昇させると同時に第1の真空ポンプ10を作動させて真空室7を真空にする。
【0040】
内圧で膨らんだウォーターバック6の胴部と第1の円筒状電極4の内面により、ウォーターバック6の外周にある積層体と、第1の円筒状電極4の内周にある表層3とは、相互に押圧されている。ウォーターバック6は、シリコンゴム製の膜であるため、全体が均一に樹脂層を第1の円筒状電極4の内側面に押圧することとなる。また、この際真空室7の内部が真空になっているため、一層効果的に押圧されることとなる。その結果、中間層2と表層3とが強固に接着される。ただし、前記のように、本実施の形態においては、押圧に先だって表層3の内周面にプラズマ処理を施す。
このようにして、ベース層1、中間層2、表面層3の3層からなる転写ベルトを得る。
【0041】
本実施の形態に基づくことにより、転写機能に優れ、かつ耐久性も優れた転写ベルトが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】転写用ベルトの表層の形成工程を概念的に示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るプラズマ処理を正面から見た概念図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るプラズマ処理を上側から見た概念図である。
【図4】転写用ベルトの一部拡大断面図である。
【図5】転写用ベルトの積層体の形成工程を概念的に示す図である。
【図6】転写用ベルトの表層と積層体の接着工程を概念的に示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ベース層
2 中間層
3 表層
4 第1の円筒状電極
5 ドラム状金型
6 ウォーターバック
7 真空室
11 第2の円筒状電極
12 第2の耐圧容器
13 プラズマ処理室
14 給気管
16 排気管
18 真空排気管
20 高周波電力電源
21 第2の真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に対向する2つの電極間に所定のガスを連続的に導入および排出させながら、両電極に高周波電力を印加して、プラズマを発生させる圧力雰囲気下でプラズマ放電させ、両電極間に配置した被処理物の表面処理を行うプラズマ処理方法であって、
前記高周波電力を、前記所定のガスが前記被処理物を通過する時間に同期させて、両電極に間欠的に印加することを特徴とするプラズマ処理方法。
【請求項2】
前記被処理物が、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂より選択された樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理方法。
【請求項3】
相互に対向する2つの電極、
前記電極間に所定のガスを連続的に導入および排出させるガス導入・排出手段、
および前記所定のガスが被処理物を通過する時間に同期させて、両電極に間欠的に高周波電力を印加する高周波電力印加手段を有していることを特徴とするプラズマ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−204797(P2008−204797A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39437(P2007−39437)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(599109906)住友電工ファインポリマー株式会社 (203)
【出願人】(502303164)株式会社イー・スクエア (10)
【Fターム(参考)】