説明

プラズマ発生用電源

【課題】無声放電負荷に対してリアクトルが接続されてなる共振回路のマッチングを制御する上で、簡単な回路構成でありながら常に効率良くかつ安定してマッチングが取れた共振状態を維持することが可能なプラズマ発生用電源を提供する。
【解決手段】無声放電負荷5に対してリアクトル6を接続して構成される共振回路7を用いて交流電源1からの電力を無声放電負荷5に供給して当該無声放電負荷5を駆動する場合に、リアクトル6のインダクタンスLが電流によって変化して無声放電負荷5の等価静電容量Cγの変化を相殺するように、無声放電負荷5の等価静電容量Cγとリアクトル6のインダクタンスLとの積が、リアクトル6に流れる電流の電流可変範囲において略一定になるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾナイザなどの無声放電負荷の交流駆動電源となるプラズマ発生用電源に関する。
【背景技術】
【0002】
無声放電は、電極間で誘電体を介して交流放電させるものであり、オゾナイザ(オゾン発生器)や炭酸ガスレーザなどの各種の産業用として広く利用されている。この無声放電は、電極間で誘電体を介して交流放電させるので、基本的には容量性負荷である。また放電を利用しているので、一般に数kVなどの高電圧を印加する必要があり、そのため、最も一般的には共振によって昇圧する方法が用いられている。
【0003】
図9はこのような無声放電を行うためのプラズマ発生用電源の回路構成図である。
【0004】
このプラズマ発生用電源は、交流電源1からトランス2を介して受電し、これを整流回路3で直流に変換した後、インバータ4で所望の周波数の交流波形に変換する。そして、インバータ4と無声放電負荷(この例ではオゾナイザ)5との間にはリアクトル6が設けられ、このリアクトル6と無声放電負荷5とが直列に接続されることにより共振回路7が構成されており、リアクトル6と無声放電負荷5の静電容量との直列共振によって無声放電負荷5の両端に高圧の交流電圧が印加される。
【0005】
なお、図ではリアクトル6が無声放電負荷5に直列に接続されてなる共振回路7で直列共振させる例を示しているが、その他に、無声放電負荷5にリアクトル6を並列にして並列共振させる場合や、インバータ4の出力に図示しないトランスを設けて一旦昇圧する場合や、そのトランスの励磁インダクタンスや漏れインダクタンスで共振回路を構成する場合など、目的に応じて様々な共振回路が用いられる(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0006】
このように、共振を利用して無声放電負荷5に適切な電圧を印加するには、共振回路7の調整が非常に重要になる。また、この例のオゾナイザのような無声放電負荷5は、その特徴として、投入電力によって無声放電負荷5の見かけの静電容量(以下、これを等価静電容量という)が変化するという特性がある。
【0007】
ここで、無声放電負荷5に電力を効率良く供給するためには、共振回路7のマッチングを制御する必要がある。その場合、上記のように、無声放電負荷5の等価静電容量は電力に対して変化するという特性があるため、従来、電力に対して電源の周波数を変化させて共振回路7のマッチングを制御するという方法が採用されている。すなわち、従来技術では、電流検出器9と制御回路10とを設け、電流検出器9で無声放電負荷5に供給される電流からその周波数を求め、無声放電負荷5の等価静電容量が変化した場合は、これに応じて制御回路10でインバータ4の周波数を変化させることで対処している(例えば、下記の特許文献2参照)。
【0008】
このように、共振回路7のマッチングを制御することは、無声放電負荷5に適切な電圧を印加すると同時に、無声放電負荷5の放電の安定性にも影響するので、インバータ4の出力から見たときの共振回路7が、電圧に対して電流が遅れ位相であることが放電を安定に維持する条件である。このため、上記の特許文献2では、インバータ4の周波数を制御することによって、共振回路7を常に遅れ位相に保ち、かつ適切な電圧が印加されるように制御するという方法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3719352号
【特許文献2】特許第4108108号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、従来技術では、無声放電負荷5に対してリアクトル6が接続されてなる共振回路7のマッチング制御を行う際に、リアクトル6のインダクタンスを調整するといった観点はなく、専ら無声放電負荷5の等価静電容量が変化した場合は、これに応じてインバータ4の周波数を変化させることで対処するようにしている。そのため、適切なマッチング制御を行うためには、インバータ4の周波数も一定周波数ではなくて可変できるようにすること、つまり、無声放電負荷5に供給される電力や電流を検出してフィードバック制御を行うことが不可欠である。
【0011】
しかし、このようにインバータ4の周波数をフィードバック制御するためには、特に周波数が高い場合に、高速な制御回路10や高精度な周波数調整機構が必要になるため、余分なコストアップを招くという課題がある。
【0012】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、無声放電負荷に対してリアクトルが接続されて共振回路が構成されている場合に、当該共振回路のマッチングを制御する上で、従来のような周波数変化のためのフィードバック制御を行わなくても、簡単な回路構成でありながら常に効率良くかつ安定してマッチングが取れた共振状態を維持することが可能なプラズマ発生用電源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、無声放電負荷に対してリアクトルを接続して構成される共振回路を用いて交流電源からの電力を上記無声放電負荷に供給して当該無声放電負荷を駆動するプラズマ発生用電源において、
上記無声放電負荷の等価静電容量と上記リアクトルのインダクタンスとの積が、上記リアクトルを流れる電流の電流可変範囲において略一定になるように設定されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無声放電負荷の等価静電容量とリアクトルのインダクタンスとの積が、電流値が変化した場合でも電流可変範囲において略一定になるように設定されているので、従来のようにインバータの周波数を可変することなく略一定であっても、常にマッチングがとれた安定した共振状態を維持することができる。このため、簡単な回路構成でありながら常に安定した共振状態を維持でき、その結果、無声放電負荷の放電が安定し、高速な制御でも損失が少なく、余分なコストアップを抑えながらエネルギ効率の良いプラズマ発生用電源を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1におけるプラズマ発生用電源の回路構成図である。
【図2】無声放電負荷の等価静電容量の電流依存性を示す特性図である。
【図3】リアクトルのインダクタンスの電流依存性を示す特性図である。
【図4】互いに種類の異なる磁性材料からなるコアを有する各リアクトルのインダクタンスの電流依存性の関係を示す特性図である。
【図5】互いに種類の異なるコアを有する各リアクトルのインダクタンスと、これらの各リアクトルを組み合わせた場合に得られる合成インダクタンスの各電流依存性の関係を示す特性図である。
【図6】2種類の磁性材料からなるコアとコイルとを用いてリアクトルを製作する場合の一例を示す正面図である。
【図7】2種類の磁性材料からなるコアとコイルとを用いてリアクトルを製作する場合の他の一例を示す正面図である。
【図8】2種類の磁性材料からなるコアとコイルとを用いてリアクトルを製作する場合のさらに他の一例を示す斜視図である。
【図9】無声放電を行うための従来のプラズマ発生用電源の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1におけるプラズマ発生用電源の回路構成図である。
【0017】
この実施の形態1のプラズマ発生用電源は、交流電源1からトランス2を介して受電し、これを整流回路3で直流に変換した後、インバータ4で所望の周波数の交流波形に変換する。そして、インバータ4と無声放電負荷(この例ではオゾナイザ)5との間にはリアクトル6が設けられ、このリアクトル6と無声放電負荷5とが直列に接続されることにより共振回路7が構成されており、リアクトル6と無声放電負荷5の静電容量との直列共振によってオゾナイザ5の両端に高圧の交流電圧が印加される。
【0018】
特に、この実施の形態1の特徴として、共振回路7を構成するリアクトル6が、インバータ4の電流可変範囲内において電流変化に対するインダクタンスの変化が互いに異なる特性を有する2つのリアクトル61,62を直列接続して構成されている。そして、これらの各リアクトル61,62の合成インダクタンスと無声放電負荷5の等価静電容量との積が、リアクトル6(61および62)に流れる電流の電流可変範囲において略一定になるように設定されている。ここで、上記の電流可変範囲とは、装置として動作が想定されている電流の範囲のことを指すものとする。例えば、電源は0%から100%まで出力を変化しうるが、電源の仕様としてそのうち80%から100%までが想定されている場合には、その想定された範囲が電流可変範囲となる。
【0019】
次に、図1の構成を備えた本発明のプラズマ発生用電源の共振回路7における作用原理について詳しく説明する。
【0020】
いま無声放電負荷5の等価静電容量をCγとすると、この等価静電容量Cγは、次式で表される(前述の特許文献1参照)。
【0021】
【数1】

【0022】
ここに、Cdは誘電体の静電容量、Vpは無声放電負荷5の両端に印加されている電圧(ピーク値)、V*は放電維持電圧である。
【0023】
また、無声放電負荷5の投入電力Pozは、下記の式で表される(前述の特許文献2参照)。
【0024】
【数2】

【0025】
ここに、Cgは放電空間の静電容量、fはインバータ4の周波数である。(2)式から分かるように、投入電力Pozは無声放電負荷5の両端に印加される電圧Vpによって変化する。
【0026】
また、無声放電負荷5に流れる電流(実効値)Irmsは、次式で表される(前述の特許文献2参照)。
【0027】
【数3】

【0028】
(3)式から分かるように、無声放電負荷5に流れる電流Irmsは、投入電力Pozと共に増大し、一対一の関係にある。そして、電流Irmsが投入電力Pozと共に増大すると、(1)式の関係から、無声放電負荷5の両端に印加される電圧Vpも大きくなる。その結果、等価静電容量Cγは、電流Irmsに依存して変化する。
【0029】
この場合の電流Irms変化に伴う無声放電負荷5の等価静電容量Cγの変化傾向は、概ね図2に示すようになる。つまり、電流Irmsあるいは電力Pozが増加すると、等価静電容量Cγも見かけ上増加する。
【0030】
ここで、一般に共振回路7がリアクトルとコンデンサとで構成されている場合に、リアクトルのインダクタンスをL、コンデンサの静電容量をCとすると、その共振周波数fは次の(4)式で表される。
【0031】
【数4】

【0032】
回路を共振に近い状態で駆動するか、あるいは先の特許文献2で述べられているように遅れ位相気味で駆動するかは回路の制御上の課題であるが、いずれにしても、電流Irmsあるいは電力Pozにしたがって等価静電容量Cγが変化した場合、共振状態を維持しようとすると、(4)式の関係から分かるように、インバータ4の周波数あるいはインダクタンスLをそれに応じて変化させる必要がある。
【0033】
次に、電流Irmsの変化に伴い、インダクタンスLは概ね図3に示すように変化するように設計する。すなわち、電流Irmsが増加すると、インダクタンスLは見かけ上減少するようにする。この特徴は、リアクトルを構成するコアに使用される磁性材料の特性に依存する。
【0034】
一方、図2に示したように、電流Irmsが増加すると、等価静電容量Cγも見かけ上増加する。したがって、インダクタンスLと等価静電容量Cγとの積は、電流値Irmsが変化した場合でも略一定にすることができる。つまり、インダクタンスLが等価静電容量Cγに概ね反比例するように設定すれば、そのとき、(4)式の右辺はほぼ一定の値に保たれ、インバータ4の周波数を変化させずとも、一定の共振状態が維持できることになる。
【0035】
電流Irmsの値は連続的に変化し、また、図3に示したようなインダクタンスLの電流依存性はそのリアクトルのコアの材質に依存する特性となるので、インバータ4の電流可変範囲の全域にわたって、インダクタンスLと等価静電容量Cγとの積が厳密に一定となることは略あり得ない。したがって、ここでは厳密に一定値を維持することを目指すのではなく、略一定の値をとるように設定しておくことになる。
【0036】
実際、前述の特許文献2に記載されているように、電流が遅れ位相となるような範囲が安定な動作領域であり、実際の動作では多少共振点から進み位相気味に運転しても大きな問題は生じない。すなわち、実用上は周波数の許容設定範囲にはある程度の幅がある。したがって、共振の取り具合にもある幅が許容されるので、インダクタンスLと等価静電容量Cγとの積は、ある程度の許容範囲に入っていれば良いということになる。
【0037】
図3に示したようなインダクタンスLの電流依存性を具体的にどのようにして実現するかについて次に説明する。
【0038】
インダクタンスLの電流依存性を大きく左右するのは、リアクトルのコアに用いる磁性材料の特性である。図4にそのイメージ図を示す。
【0039】
リアクトルを構成するためのコアに用いられる磁性材料には、珪素鋼のような鉄系の材料や、アモルファス、フェライト、ダストなどの種類がある。これらの磁性材料は、それぞれ異なる特性をもつが、ここでは高周波領域でよく用いられるコア材として、フェライトとダストコア(圧縮磁芯材)とを比較すると、図4に示すようになる。それぞれのコアの種類に応じてそのインダクタンスL1,L2に電流依存性があり、電流Irmsを増加させるとインダクタンスL1,L2が低下するという点は共通しているものの、その低下曲線は互いに大きく異なる。
【0040】
すなわち、フェライトをコア材にしてリアクトルを作成した場合のインダクタンス(図中一点鎖線)L1は、電流Irmsに対してあまり変化しないが、あるところで急激に減少する。一方、ダストコアをコア材にしてリアクトルを作成した場合のインダクタンス(図中破線)L2は、電流Irmsの増加に対して緩やかに低下している。このことから、異なる種類の磁性材料を用いて、各インダクタンスL1,L2の電流依存性をある範囲で調整することが可能である。
【0041】
そこで、図5に示すように、一方のリアクトル61を例えばフェライトコアで、他方のリアクトル62をダストコアでそれぞれ製作すれば、一方のリアクトル61のインダクタンスL1は電流Irmsの変化に対して比較的平坦で、あるところで急激に低下するような特性を持ち、他方のリアクトル62のインダクタンスL2は電流Irmsの変化に伴って単調に緩やかに値が低下する。したがって、両リアクトル61,62を直列に接続した場合、全体のインダクタンスLtはこの2つのインダクタンスL1,L2の合成(和)であり、図5中、実線で示すような曲線になると想像される。
【0042】
このように、インダクタンスL1,L2の電流依存性が互いに異なる2つのリアクトル61,62を組み合わせて使用することにより、その合成インダクタンスLtが無声放電負荷5の等価静電容量Cγ(図1)の変化に反比例するような電流依存性(図3)をもつように設計すると、合成インダクタンスLtと等価静電容量Cγとの積が電流Irmsの可変範囲の全域で略一定の値をとるようにすることができる。
【0043】
そして、合成インダクタンスLtと等価静電容量Cγとの積が電流Irmsの可変範囲の全域で略一定の値をとるように設計されておれば、インバータ4は電流値によらず一定の周波数で駆動すればよいので、従来の周波数制御のための機構や検出機構が不要となる。この場合の周波数は通常は回路の共振周波数か、あるいはそれよりも若干遅れ位相気味で調整される。
【0044】
なお、図1に示す実施の形態1では、2つのリアクトル61,62を直列接続しているが、並列接続することも考えられる。ただし、並列接続する場合、電流が共通ではなく、リアクトル61,62のインダクタンスの変化にしたがって電流の分流が変化し、電流の増加によってインダクタンスがより低下した方により多くの電流が流れてしまうため、設計と電流容量に注意が必要である。また、図1ではリアクトル6が無声放電負荷5に直列
に接続されてなる共振回路7で直列共振させる例を示しているが、無声放電負荷5にリア
クトル6を並列にして並列共振させる場合にも適用することができる。
【0045】
次に、図5の実線で示したような合成インダクタンスLtの電流依存性を実現するために使用される各リアクトル61,62の具体例について説明する。
【0046】
電流Irms変化に伴う合成インダクタンスLtの変化は、コアに用いる複数種類の磁性材料の特性に基づく透磁率の変化であるので、異なる材質の磁性材料からなる複数のコアを組み合わせてリアクトル6(61,62)を製作する方法が考えられる。
【0047】
図6はその一例で、ブロック型の2種類の磁性材料からなるコア21,22とコイル23とを用いてリアクトル6(61,62)を製作する場合である。その際、一方のコア21をフェライトコアとし、他方のコア22をダストコアとして、各コア21,22のギャップやコイル23の巻数を調整する等により、2つのリアクトル61,62が構成される。この場合、全体としてのリアクトル6の特性は、これらのリアクトル61,62のコア21,22の特性に基づくインダクタンスL1,L2を合成したものになるので、しかるべき設計を行えば、合成インダクタンスLtは、図5の実線に示すような所望の特性を得ることが可能である。
【0048】
なお、図6に示した構成のもの以外に、例えば図7、図8に示すような構成を採用することも可能である。すなわち、図7では2つのE型のフェライトコア21の一部をダストコア22に置き換えたものである。また、図8では通常入手しやすい円環状のトロイダルコアをフェライトコア21とダストコア22とを組み合わせて構成したものである。いずれの場合も、異なる材質のコア61,62を組み合わせれば、その合成インダクタンスLtは、各コア21,22のインダクタンスL1,L2を合成したものになるので、図6の場合と同様、図5の実線に示すような所望の特性を得ることが可能である。
【0049】
また、上記の実施の形態1では、異なる材質の磁性材料からなる2つのコア21,22を組み合わせてリアクトル6(61,62)を構成しているが、このように複数のコア21,22を組み合わせなくても、単一のコアを適用することによりそのインダクタンスLが図3に示したような無声放電負荷5の等価静電容量Cγの変化に反比例するような電流依存性をもつように設計することが可能である。
【0050】
例えば、ダストコアは、磁性材料の粉末と絶縁体とを加圧成型したものの総称であり、磁性材料と絶縁体との混合比率を変えることにより、ダストコアのみでも図5の実線で示すようなインダクタンスLの電流依存性をもたせることができる。
【0051】
すなわち、図4の破線で示したように、ダストコアは電流Irmsに対するインダクタンスLの変化が緩やかで、図2に示したような無声放電負荷5の等価静電容量Cγの特性に合わせ易い。したがって、このようなダストコアを用いて単一のリアクトル6を構成すれば、必ずしも異なる材質の磁性材料からなる複数のコアを組み合わせて2つのリアクトル61,62を構成しなくても、無声放電負荷5の等価静電容量Cγとリアクトル6のインダクタンスLとの積が、電流可変範囲の全域において略一定になるように設定することが可能である。
【0052】
本発明のプラズマ発生用電源は、無声放電を用いる一般のアプリケーションに広く適用可能である。無声放電のアプリケーションで最も重要なものの一つは、この実施の形態1で主に無声放電負荷5として対象としてきたオゾナイザである。オゾナイザは、共振回路7を用いて高圧の交流電圧を印加する必要があり、本発明を適用すると極めて有利である。特に、10kHz以上などの比較的高い周波数でオゾナイザを駆動する場合、インバータ4の特殊な周波数制御無しに常に安定な共振状態で駆動することが可能となり、特にその効果を高めることができる。
【0053】
さらに、上記の実施の形態1では、直流を交流に変換するインバータ4を使用している。このインバータ4は、所望の周波数の交流電流を得る上で適したものであるが、無声放電負荷5の等価静電容量Cγとリアクトル6のインダクタンスLとの積が、電流可変範囲の全域において略一定になるように設定できれば、交流電流の周波数を可変する必要がないので、無声放電負荷5を駆動する上でインバータ4は必須のものではない。したがって、例えばインバータ4に代えて所望の一定周波数の交流電流を出力する発振器等を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 交流電源、2 変圧器、3 整流器、4 インバータ、
5 無声放電負荷(オゾナイザ)、6,61,62 リアクトル、7 共振回路、
21 フェライトコア、22 ダストコア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無声放電負荷に対してリアクトルを接続して構成される共振回路を用いて交流電源からの電力を上記無声放電負荷に供給して当該無声放電負荷を駆動するプラズマ発生用電源であって、
上記無声放電負荷の等価静電容量と上記リアクトルのインダクタンスとの積が、上記リアクトルを流れる電流の電流可変範囲において略一定になるように設定されているプラズマ発生用電源。
【請求項2】
上記リアクトルは、上記電流可変範囲内において電流変化に対するインダクタンスの変化が互いに異なる特性を有する複数のリアクトルを組み合わせて構成されており、これらの各リアクトルの合成インダクタンスと上記無声放電負荷の等価静電容量との積が、電流可変範囲において略一定になるように設定されている請求項1に記載のプラズマ発生用電源。
【請求項3】
上記リアクトルのコアには複数種類の磁性材料が用いられている請求項1または請求項2に記載のプラズマ発生用電源。
【請求項4】
上記リアクトルのコアにダストコアが用いられている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ発生用電源。
【請求項5】
上記交流電源は、一定の周波数で駆動されている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプラズマ発生用電源。
【請求項6】
上記無声放電負荷は、オゾナイザである請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のプラズマ発生用電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−79454(P2012−79454A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221395(P2010−221395)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】