説明

プラズマ衝撃波を用いたコーティング方法

【課題】プラズマによる衝撃波を用いてコーティングを形成する。コーティングの厚みを容易に制御でき、溶射よりも高速な粒子衝突速度による密着力等の優れたコーティングを形成する。
【解決手段】被コーティング部材1の表面に形成され、粉体4と樹脂3が混合されてなる粉体樹脂混合層2の表面にパルスレーザ7を照射してプラズマ8を発生させ、プラズマ8による衝撃波により粉体を被コーティング部材の表面に衝突させて、粉体を材料とするコーティング11を被コーティング部材の表面上に形成する。粉体4と樹脂3が混合された材料を被コーティング部材の表面に塗布することにより粉体樹脂混合層を形成する。また、粉体樹脂混合層に2種以上の粉体を混在させて行うことにより、2種以上の材料が混在したコーティング12を形成したり、異種の粉体が2層に分かれた粉体樹脂混合層を形成して行うことにより、2層状のコーティング13を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ衝撃波を用いたコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマ衝撃波を用い、機械部品等の表面に残留応力を与えて改質する方法としてレーザピーニング法が用いられている。
一般に、レーザピーニング法による加工は、レーザビームを被加工面に集光照射し、発生するプラズマを被加工面上に形成された水、油その他の液体の慣性媒体中に閉じ込め、これにより発生する衝撃波圧力を被加工面に与えることにより行う。プラズマによる衝撃波圧力を被加工面に効果的に与えるため、プラズマを閉じ込める水、油その他の液体を被加工面上に形成する必要がある。
【0003】
特許文献1、2及び4には、被加工面上に水膜その他の液膜を形成し、この液膜によりプラズマを閉じ込めるレーザピーニング法が記載されている。なお、同文献によれば、被加工面には、予め黒色ペイント等の保護膜が塗布される。また、特許文献2段落0013には、水膜として流水を用いることが記載されている。
【0004】
特許文献3には、水中にレーザ照射ヘッド及び被加工物を設置して行うレーザピーニング法が記載されている(同文献段落0004,図10,11参照)。
また、同文献には、ウォータージェット・レーザ併用ピーニング法が記載されている(同文献特許請求の範囲,図1等参照)
【0005】
また特許文献4には、レーザを照射した際に発生するプラズマの衝撃波により粉体を被加工面に打ち込むレーザピーニング法が記載されている。
このレーザピーニング法によれば、ベースシートの一方の面に粉体が保持されたシートを予め製作し、これを被加工面に敷設してレーザを照射し、粉体を被加工面に打ち込む(同文献段落0040〜0044及び図1)。その結果、粉体が埋め込まれた被加工面を得る。これにより摺動抵抗の低減や耐摩耗性の向上を図らんとする(同文献段落0045,0046及び図2)。
【特許文献1】特開2000−246468号公報
【特許文献2】特開2006−122969号公報
【特許文献3】特開2002−346847号公報
【特許文献4】特開2007−169753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献4記載の技術は、被加工面に粉体を散点的に埋め込む技術であって、被膜、すなわち、コーティングを形成する技術ではない。また、粉体を埋め込むために大きなエネルギーが必要なため、大掛りな装置とならざるを得ない(同文献段落0043,0047)。
コーティング技術としては、フレーム溶射、爆発溶射、電気式溶射(アーク溶射、プラズマ溶射等)、高速フレーム溶射(英:HVOF)、コールドスプレー等の溶射(ようしゃ、Thermal spraying)が利用されている。
【0007】
本発明は、プラズマによる衝撃波を用いてコーティングを形成するコーティング方法を提供することを課題とする。また本発明は、プラズマによる衝撃波を用いてコーティングの厚みを容易に制御できるコーティング方法を提供することを課題とする。また本発明はレーザピーニング法の利点を活かして溶射よりも高速な粒子衝突速度により密着力等の優れたコーティングを形成できるコーティング方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、被コーティング部材の表面に形成され、粉体と樹脂が混合されてなる粉体樹脂混合層の表面にパルスレーザを照射してプラズマを発生させ、前記プラズマによる衝撃波により前記粉体を前記被コーティング部材の表面に衝突させて、前記粉体を材料とするコーティングを前記被コーティング部材の表面上に形成するプラズマ衝撃波を用いたコーティング方法である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記粉体と前記樹脂が混合された材料を前記被コーティング部材の表面に塗布した後、前記樹脂を硬化させることにより、前記粉体樹脂混合層を被コーティング部材の表面に形成し、前記パルスレーザの照射を行う請求項1に記載のプラズマ衝撃波を用いたコーティング方法である。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記粉体樹脂混合層に2種以上の前記粉体を混在させた状態で、前記パルスレーザの照射を行う請求項1に記載のプラズマ衝撃波を用いたコーティング方法である。
【0011】
請求項4記載の発明は、層毎に異なる種類の粉体が混合された2層以上の前記粉体樹脂混合層が形成された状態で、前記パルスレーザの照射を行う請求項1に記載のプラズマ衝撃波を用いたコーティング方法である。
【0012】
請求項5記載の発明は、層毎に異なる混合比率で2種以上の粉体が混合された2層以上の前記粉体樹脂混合層が形成された状態で、前記パルスレーザの照射を行う請求項3に記載のプラズマ衝撃波を用いたコーティング方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、粉体樹脂混合層中の樹脂は粉体を保持する役割を有し、粉体の混合率及び粉体樹脂混合層の厚みを選択することにより、被コーティング部材の表面上に保持される粉体の単位面積当たりの量を十分に確保することができるので、プラズマによる衝撃波により十分な量の粉体を被コーティング部材の表面に衝突させて、この粉体を材料とするコーティングを被コーティング部材の表面上に形成することができる。
また本発明によれば、粉体の混合率及び粉体樹脂混合層の厚みを選択することにより、プラズマによって形成されるコーティングの厚みを制御することができる。
また本発明によれば、粉体樹脂混合層の表面にパルスレーザを照射して発生させたプラズマによる衝撃波により粉体を加速するため、溶射よりも高速な粒子衝突速度を得ることができ、これにより被コーティング面への高い密着力を有し、内部にポアが少なく高密に凝集されたコーティングを形成することができる。
また本発明によれば、溶射に比較して粉体の発熱は少ないので、コーティングにほとんど残留応力を残すことが無く、また、熱負荷による被コーティング部材の特性低下も無いため、溶射に比較しても疲労特性の低下が少ないコーティングを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0015】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態につき、図1〜図4を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る粉体樹脂混合層の形成工程の様子を示す断面模式図である。図2及び図3は、本発明の第1実施形態に係るコーティング形成工程の様子を示す断面模式図である。
【0016】
まず、図1に示すように被コーティング部材1の表面に粉体樹脂混合層2を形成する。
被コーティング部材1となるものとしては、特に限定は無いが、機械部品や構造部品、工具を構成する金属、合金、セラミックスなどが対象とされる。
粉体樹脂混合層2を構成する樹脂3の材料としては、常温硬化型、加熱硬化型等の熱硬化性樹脂や、瞬間硬化型樹脂、可視光硬化型、紫外線硬化型等の光硬化性樹脂等から選択することがよいが、施工性や、粉体樹脂混合層を構成する粉体との適合性に影響するので、それらの必要に応じて選択する。
【0017】
粉体樹脂混合層2を構成する粉体4の材料としては、樹脂、金属、金属間化合物、金属酸化物、金属炭化物、金属酸化物、セラミックス、ガラス、超硬合金、ダイヤモンド、カーボン、カーボンナノチューブ、フラーレン、立方晶窒化ホウ素等から選択することができる。被コーティング部材1との適合性、コーティングに求める特性に応じて粉体4の材料を選択する。
【0018】
被コーティング部材1の表面に粉体樹脂混合層2を形成する方法としては、まず樹脂3に粉体4を混ぜ合わせた材料を、被コーティング部材1の表面に塗布する。塗布には、塗装等に使用されるスプレーを用いるとよい。塗布する方法によらず、シート状に形成した粉体樹脂混合層を移動させて被コーティング部材1の表面に配置することによって被コーティング部材1の表面に粉体樹脂混合層2を形成することとしてもよい。本実施形態にあっては塗布する方法によるので、任意の形状の面の任意の範囲に施工することが容易である。
さらに、被コーティング部材1の表面に塗布した粉体樹脂混合層2中の樹脂3を硬化させる。樹脂3を硬化させることにより、粉体4の保持力が高まるため、レーザ照射前に樹脂3を硬化させることが好ましい。
【0019】
次に、例えば図2又は図3に示すようにして、少なくともプラズマを照射する部分の粉体樹脂混合層2の表面を透明液体で被い、粉体樹脂混合層2の表面にパルスレーザ7をレンズ6を介して集光、照射し、プラズマ8を発生させる。
図2に示すように粉体樹脂混合層2が付設された被コーティング部材1を透明液体5中に沈めたり、図3に示すように粉体樹脂混合層2上に透明液体膜10を形成したりする方法が採り得る。
ここで透明液体には、水、油等を適用する。透明液体膜10は、流水のように流れた状態で形成するか、粘度の高いもの、半固体状のものであれば、粉体樹脂混合層2の表面上に留まった状態で形成する。
【0020】
以上のようにしてパルスレーザ7の照射により発生したプラズマ8により衝撃波が発生する。この衝撃波によって粉体樹脂混合層2中の粉体4を高速で被コーティング部材1の表面に衝突させる。その衝突速度は粉体4および樹脂3の材料や混合比、レーザの照射条件によって異なるが、図4に示すように大凡溶射に比較しても速いものとなる。図4には、主な溶射技術の粒子衝突速度及び粒子温度と本発明のそれらとの比較を示した。本発明においては、粒子温度を室温相当の約20℃から約300℃の範囲内とし、また粒子衝突速度を500m/sec以上、より好適には約500〜1600m/secとすることが望ましい。
【0021】
プラズマ8の衝撃波により、図2及び図3に示すように被コーティング部材1の表面を微細に陥没するように塑性変形させて粗面化処理しつつ、粉体4がその面に密着接合していく。またほぼ同時にその上に粉体4が高速で衝突、積層し、コーティング11が形成される。パルスレーザ7の照射ポイントを移動して必要範囲にコーティング11を形成する。
コーティング11の厚みは、被コーティング部材1の表面上に保持されていた粉体樹脂混合層2中の粉体4の単位面積当たりの量に応じた厚みとなる。したがって、粉体4の混合率及び粉体樹脂混合層2の厚みを選択することにより、プラズマ8によって形成されるコーティング11の厚みを制御することができる。粉体4の材料や粒径にもよるが、コーティング11の厚みを5〜50μm程度の範囲で形成することが可能である。
【0022】
本発明者らは、被コーティング部材1をアルミニウム部材とし、樹脂3をエポキシ樹脂とし、粉体4をセラミックス粉末として実施した。パルスレーザの照射条件は、パルスエネルギーを10mJから80mJとし、レンズ6により0.4mmから1mmに絞り込んでパルスレーザを照射した。これにより、粉体4を被コーティング部材1に埋め込むことなくアルミニウム部材の表面に5〜10μm程度の厚みのセラミックスコーティングを形成することができ、アルミニウム部材の耐摩耗性を向上することができた。
【0023】
以上のように本発明のコーティング方法により、粉体4の材料の特性に応じて被コーティング部材1の表面に耐摩耗性、耐食性等の様々な機能、特性をもったコーティングを形成することができる。
しかも、そのコーティング11は、図4に示すように溶射よりも高速な粒子衝突速度で粉体4を衝突させることができるので、これにより被コーティング面への高い密着力を有し、衝撃波の高い圧力によって粉体4が圧縮固化されるため内部にポアが少なく高密に凝集されたコーティング11を形成することができる。
また図4に示すように、溶射に比較して加工時の温度が低く粉体4の発熱は少ないので、コーティング11にほとんど残留応力を残すことが無く、また、熱負荷による被コーティング部材の特性低下も無いため、溶射に比較しても疲労特性の低下が少ないコーティング11を形成することができる。
【0024】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態につき、図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6は、本発明の第2実施形態に係るコーティング形成工程の様子を示す断面模式図である。本実施形態の方法は第1実施形態の方法に対して粉体4を2種の粉体4a,4bとする点で異なり、その他は同様である。
【0025】
樹脂3に2種の粉体4a,4bを混ぜ合わせた材料を、被コーティング部材1の表面に塗布し樹脂3を硬化させる。粉体樹脂混合層2には2種の粉体4a,4bが混在する。
次に図5又は図6に示すようにして、粉体樹脂混合層2に2種の粉体4a,4bを混在させた状態で、第1実施形態と同様にパルスレーザ7の照射を行う。パルスレーザ7の照射によりプラズマ8が発生して、その衝撃波により粉体4a,4bが被コーティング部材1の表面に高速で衝突し、コーティング12が形成される。パルスレーザ7の照射ポイントを移動して必要範囲にコーティング12を形成する。
図5及び図6に示すように、2種の材料(粉体4aの材料及び粉体4bの材料)が混在したコーティング12が形成され、複合的な機能、特性を有するコーティング12を形成することができる。
もちろん、樹脂3に3種以上の粉体を混合してもよい。
【0026】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態につき、図7及び図8を参照して説明する。図7及び図8は、本発明の第3実施形態に係るコーティング形成工程の様子を示す断面模式図である。本実施形態の方法は第2実施形態の方法に対して粉体樹脂混合層を2層にする点で異なり、その他は同様である。
【0027】
樹脂3に粉体4bを混ぜ合わせた材料を、被コーティング部材1の表面に塗布し、塗布された樹脂3を硬化させる。その上に、樹脂3に粉体4aを混ぜ合わせた材料を塗布して2層状の粉体樹脂混合層2を形成する。塗布された樹脂3を硬化させる。
【0028】
粉体4aと粉体4bとは異なる種類の材料である。粉体4aの性質と粉体4bの性質との違いによっては、粉体4aと混ぜ合わせる樹脂3と、粉体4bと混ぜ合わせる樹脂3とが異なる材料である場合も考えられるし、同じ材料で足りる場合も考えられる。
図7及び図8に示すように、2層の粉体樹脂混合層2中の下層に粉体4bが配置され、上層に粉体4aが配置される。
【0029】
次に図7又は図8に示すようにして、2層の粉体樹脂混合層2の上下層に分けて2種の粉体4a,4bが配置された状態で、第1実施形態と同様にパルスレーザ7の照射を行う。パルスレーザ7の照射によりプラズマ8が発生して、その衝撃波により粉体4a,4bが被コーティング部材1の表面に高速で衝突するとともに粉体4aが粉体4bと衝突し圧縮されることによって、コーティング13が形成される。パルスレーザ7の照射ポイントを移動して必要範囲にコーティング13を形成する。
このとき、粉体4bを被コーティング部材1に埋め込むほどの大きなパルスエネルギーで処理を行うと、粉体4bとが粉体4aが混合されてしまう。このため特許文献4記載のパルスエネルギーよりも小さなパルスエネルギーで処理を行うことが望ましい。たとえば、パルスエネルギーを10mJから80mJとし、レンズ6によって0.4mmから1mmに絞り込んでパルスレーザを照射すると、図7及び図8に示すように、粉体4bの材料が比較的下層に配置され、粉体4aの材料が比較的上層に配置された2層状のコーティング13を形成することができる。
【0030】
本実施形態により例えば、被コーティング部材1をアルミニウムとし、粉体4aをカーボン、粉体4bをセラミックスとすることにより、アルミニウムとカーボンの間にセラミックスを介在させて、アルミニウムとの相性の悪いカーボンのコーティングをアルミニウム部品の外表面に形成することができる。化学的又は、熱応力などの機械的な理由などにより直接被コーティング部材1上に形成することに不都合がある材料のコーティングを形成したり、異なる材料よりなる2層のコーティングによる複合的な機能、特性を得ることができる。もちろん、3層以上としてもよい。
【0031】
異なる材料よりなる2層のコーティングは、上記第1実施形態の工程を2回繰り返すことでも形成することができる。これに対し本実施形態によれば、一度のレーザ照射工程で2層のコーティングを形成することが可能であるので工程的に有利である。また、パルスエネルギーや照射径など照射するレーザの条件を適切に制御することにより、層間の混合の程度を制御することが可能であり、いわゆる傾斜機能を実現することも可能である。
【0032】
〔第4実施形態〕
以上の第2、第3実施形態の応用として、図9及び図10に示すように上層及び下層に粉体4a、4bの材料が混在し、上層と下層とで粉体4a、4bの材料混合比率が異なるコーティング14を形成することもできる。このとき、層数、各層の混合比率、各層に混合する粉体の種類や種類数は任意であり、2種以上の粉体が混在する層の上又は下に1種の粉体のみが混在する層を付け加えることも任意である。
図9及び図10には、粉体4a、4bの材料が1:2で混在した層の上に、粉体4a、4bの材料が2:1で混在した層が設けられたコーティング14を形成する例を示す。これを例にして形成方法と説明すると、まず、樹脂3に粉体4a:粉体4bを1:2の割合で混ぜ合わせた材料を被コーティング部材1の表面に塗布し、塗布された樹脂3を硬化させる。その上に、樹脂3に粉体4a:粉体4bを2:1の割合で混ぜ合わせた材料を塗布して2層状の粉体樹脂混合層2を形成する。塗布された樹脂3を硬化させる。後は上記と同様にパルスレーザ7の照射を行う。このように、層毎に異なる混合比率で2種以上の粉体が混合された2層以上の粉体樹脂混合層2が形成された状態で、パルスレーザの照射を行う。
層毎に異なる異種粉体比を持つ2層の粉体樹脂混合層2を形成することにより、層毎に材料の比率の異なるコーティングを形成することができる。図9及び図10の例では、粉体4bの材料の混合比率の高い層が比較的下層に配置され、粉体4aの材料の混合比率が高い層が比較的上層に配置された2層状のコーティング14を形成することができる。3層以上として、混合比率を微小に変化させることによって、連続的な比率変化をもたらすことも可能であるし、隣接する層間において混合比率を大きく変化させて不連続にすることも可能である。
被コーティング部材1の表面から離れるに従ってコーティング特性が段階的その他の不連続的又は連続的に変化し、コーティングの構成材料、特性に深度変化性、例えば、深度に従って漸増・漸減する傾斜的な変化特性を持たせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る粉体樹脂混合層の形成工程の様子を示す断面模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るコーティング形成工程の様子を示す断面模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るコーティング形成工程の様子を示す断面模式図である。
【図4】主な溶射技術の粒子衝突速度及び粒子温度と本発明のそれらとの比較を示したグラフである。
【図5】本発明の第2実施形態に係るコーティング形成工程の様子を示す断面模式図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るコーティング形成工程の様子を示す断面模式図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るコーティング形成工程の様子を示す断面模式図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るコーティング形成工程の様子を示す断面模式図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るコーティング形成工程の様子を示す断面模式図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係るコーティング形成工程の様子を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0034】
1 被コーティング部材
2 粉体樹脂混合層
3 樹脂
4 粉体
4a,4b 粉体
5 透明液体
6 レンズ
7 パルスレーザ
8 プラズマ
9 大気
10 透明液体膜
11 コーティング
12 コーティング
13 コーティング
14 コーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被コーティング部材の表面に形成され、粉体と樹脂が混合されてなる粉体樹脂混合層の表面にパルスレーザを照射してプラズマを発生させ、前記プラズマによる衝撃波により前記粉体を前記被コーティング部材の表面に衝突させて、前記粉体を材料とするコーティングを前記被コーティング部材の表面上に形成するプラズマ衝撃波を用いたコーティング方法。
【請求項2】
前記粉体と前記樹脂が混合された材料を前記被コーティング部材の表面に塗布した後、前記樹脂を硬化させることにより、前記粉体樹脂混合層を被コーティング部材の表面に形成し、前記パルスレーザの照射を行う請求項1に記載のプラズマ衝撃波を用いたコーティング方法。
【請求項3】
前記粉体樹脂混合層に2種以上の前記粉体を混在させた状態で、前記パルスレーザの照射を行う請求項1に記載のプラズマ衝撃波を用いたコーティング方法。
【請求項4】
層毎に異なる種類の粉体が混合された2層以上の前記粉体樹脂混合層が形成された状態で、前記パルスレーザの照射を行う請求項1に記載のプラズマ衝撃波を用いたコーティング方法。
【請求項5】
層毎に異なる混合比率で2種以上の粉体が混合された2層以上の前記粉体樹脂混合層が形成された状態で、前記パルスレーザの照射を行う請求項3に記載のプラズマ衝撃波を用いたコーティング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−65253(P2010−65253A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231025(P2008−231025)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】