プラットホーム用ステップ装置
【課題】プラットホームと停車車両との間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置において、可動ステップの進退動作がスムーズで確実な停止状態が得られるものを提供する。
【解決手段】このステップ装置1は、プラットホーム30に凹設された収納部34に装着され、駆動装置6で回動されるクランクディスク7と、乗客が乗降の際の踏板となる可動ステップ3とをリンクアーム10で接続して、クランクディスク7の半回転毎に可動ステップ3を前進および後退させて、上記停止状態を確実に保持するようにした。
【解決手段】このステップ装置1は、プラットホーム30に凹設された収納部34に装着され、駆動装置6で回動されるクランクディスク7と、乗客が乗降の際の踏板となる可動ステップ3とをリンクアーム10で接続して、クランクディスク7の半回転毎に可動ステップ3を前進および後退させて、上記停止状態を確実に保持するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラットホームと停車車両との間の隙間に乗客が転落することを防止するために、プラットホーム側に設けられたプラットホーム用ステップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプラットホーム用ステップ装置は、プラットホーム側から板状の可動体を車両側へ平行移動させて進出するもので、上記移動はラックアンドピニオン機構による駆動方式が採られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、従来のプラットホーム用ステップ装置について、模式的に示した図13、図14により説明する。
図14において、駅のプラットホーム50は上面52と前端面51を有する。上面52と前端面51が交わる角部は端縁部53を形成している。プラットホーム50の一部(停車車両のドア付近)には、端縁部53を所定厚さに、かつ矩形状に削り取るようにして収納部54が形成されている。また、収納部54の底面の所定位置に貫通孔55が穿設されている。収納部54には、図13に示す転落防止装置60が嵌め込まれて上面はプラットホームの上面52と段差が無いように設置される。
【0004】
転落防止装置60は、図13に示すように、板状の転落防止部材61、この転落防止部材と連結した中央プレート62、端部プレート63、これら中央プレート62、端部プレート63が載るベース70、71が嵌入する切り込み部69を有するベースフレーム68、及びベースフレーム68の上面を覆い、上面を平坦面とする天井部材(図示せず)とを備えている。
なお、図13ではベースフレーム68、ベース70、71、転落防止部材61を分解した状態で離して模式的に表示しているが、ベース70、71はベースフレーム68の切り込み部69に嵌入し、転落防止部材61はベース70、71に載った中央プレート62、端部プレート63の一端部にボルトなどにより固着されて一体化している。
また、中央プレート62には、ラック部材64が延設され固着されており、このラック部材64が駆動モータ66に軸支されているピニオン65と噛合い、中央プレート62を線路と直角方向へ移動可能としている。
【0005】
ガイド機構67は、ベースフレーム68に形成された中央部の切り込み部69に、中央プレート62が載るベース70が嵌入され、両端部の切り込み部69には端部プレート63が載るベース71がそれぞれ嵌入されている。また、中央ベース70には一対のガイドレール72が延設され、両側のベース71にはガイドレール73が延設されている。中央プレート62及び端部プレート63はガイドレール72、73に移動可能にそれぞれ嵌合することにより、転落防止部材61がプラットホーム50の収納部54に収容された没入位置と、プラットホーム50の前端面51から線路側へ突出した突出位置とに、出没可能に案内されている。
【0006】
次に、転落防止装置60の動作について説明する。
列車がプラットホーム50に到着する前においては、転落防止部材61は没入位置にあって、収納部54に収納されている。
列車がプラットホーム50に到着し、列車が停止すると、プラットホーム50に設置されている、図示しない可動ホーム柵装置の開動作に応答して、駆動モータ66が作動し、ピニオン65がラック部材64を前方へ繰り出し、中央プレート62および端部プレート63が、ガイドレール72およびガイドレール73に案内され線路側へ前進する。
それにより、転落防止部材61が没入位置から突出位置の線路側に突出して、プラットホーム50と車両間の隙間を塞ぎ、乗客の乗降が開始される。
【0007】
乗降が終了し、図示しない可動ホーム柵装置の閉動作に応答して駆動モータ66が逆 転して、ピニオン65がラック部材64を介して、中央プレート62、端部プレート63をガイドレール72、73をガイドとして後退し、これら中央プレート62、端部プレート63に固着された転落防止部材61が突出位置から没入位置に後退し、収納部54に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−53035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のプラットホームの転落防止装置におけるステップ装置は、転落防止部材の移動がラックアンドピニオン機構による駆動なので、ラックの取付位置が少しでもずれると、ピニオンとの良好な噛合いが得られず、スムーズに駆動できない事情から、敷設時に厳密な調整作業が必要である。また、地盤沈下等の影響で設置面が変動した場合に、ステップのスムーズな駆動が失われ易く、ラックの取付位置を再調整するメンテナンス作業が必要になるなどの問題点があった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、可動ステップの移動の起動停止がスムーズで、かつ確実に実施できるプラットホーム用ステップ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るプラットホーム用ステップ装置は、プラットホームの端縁に、車両に対向する方向に開口する箱体からなるステップ装置本体を設置し、この装置本体内に設けられた可動ステップと、この可動ステップを車両側に進退させて、進退位置で固定できるスライダークランク装置を設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、プラットホームと停車車両との問の隙間を覆うように動作する可動ステップを進退させる駆動を、スライダークランク装置で構成したので、特別な制御装置を用いること無しに、起動停止が実現できると共に、ノイズに強く誤動作防止ができる安全性の高いプラットホーム用ステップ装置が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係るプラットホーム用ステップ装置を示す平面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るプラットホーム用ステップ装置を示す側面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るプラットホーム用ステップ装置を示すスライダークランク装置の平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るプラットホーム用ステップ装置を示すクランクディスクの動作図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るプラットホーム用ステップ装置のプラットホームを示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係るプラットホーム用ステップ装置のクランクディスクを示す平面図である。
【図7】図6の取付部を示す側面図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係るプラットホーム用ステップ装置の過負荷保護装置を示す動作図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係るプラットホーム用ステップ装置の可動ステップの脱落防止装置を示すガイドの平面図である。
【図10】図9の側面断面図である。
【図11】この発明の実施の形態6に係るプラットホーム用ステップ装置の平面図である。
【図12】この発明の実施の形態6に係るプラットホーム用ステップ装置の箱体の前面部の側面図である。
【図13】従来のプラットホーム用ステップ装置を分解して模式的に示す平面図である。
【図14】従来のプラットホーム用ステップ装置のプラットホームを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1であるプラットホーム用ステップ装置の平面図であり、図2は図1の側面図、図3はスライダークランク装置の平面図であり、図4はクランクディスクの動作図、図5はプラットホームの端縁部を示す斜視図である。
図1〜図4において、プラットホーム用ステップ装置は、箱体で形成され、一端部に開口部2を設けたステップ装置本体1と、上記ステップ装置本体1より小なる箱体で、ステップ装置本体1内に収納され、開口部2から進退容易に設けられた可動ステップ3と、上記可動ステップ3の下面に、上記開口部2方向に延設して併設されたガイド4と、上記ステップ装置本体1の内部底面に、上記開口部2方向に延設して併設され、上記ガイド4を両側から挟持して進退摺動させるカムフォロアーからなるローラーガイド5と、ステップ装置本体1の底面に下方に突出して設置された電磁ブレーキ付誘導電動機からなる駆動装置6と、上記駆動装置6の出力ステップ装置本体1の箱体内に突出した軸に固着され、径方向に異なった位置に複数のネジ穴等からなる穴部7aが複数設けられた円板状のクランクディスク7と、ステップ装置本体1の箱体内に、開口部2方向に延設して併設され、スライダー8を開口部2方向に容易に進退させるように挟持して設けられたリニアガイド9と、上記クランクディスク7の上面の所定の穴部7aに一端が旋回自在に係止され、他端がスライダー8に図示しないピン部等で旋回自在に係止されたリンクアーム10と、上記スライダー8に装着され、スライダーの進退方向に動作するアキシャルガードからなる過負荷保護装置11とで構成されている。
【0015】
図5において、30は駅のプラットホームで、前端面31と上面32とにより端縁部33が形成されている。34は収納部で、端縁部33の上面32を所定厚さに、かつ矩形状に削り取るようにして形成されている。収納部34の底面の所定位置に貫通孔35が穿設されている。
【0016】
このように構成されたプラットホーム用ステップ装置においては、箱体からなるステップ装置本体1内に、駆動装置6で回動されるクランクディスク7の穴部7aに、一端が旋回自在に係止され、他端がスライダー8に旋回自在に係止されたリンクアーム10を連設した。
スライダー8にはアキシャルガードとなる過負荷保護装置11が設置され、その一端が可動ステップ3に固着されている。
スライダー8は併設されたリニアガイド9間に設置され、進退摺動自在に設けられている。
また、可動ステップ3に併設して固着されたガイド4は、併設されたローラガイド5間に設置され、進退摺動自在に設けられ、これにより可動ステップ3を進退自在に移動させることができる。
【0017】
上記のように、各種部材を内部に内蔵したステップ装置本体1が、プラットホーム30に凹設された収納部34に載置され、駆動装置6は貫通孔35内に収納される。この際、ステップ装置本体1の上面は、プラットホーム30の上面32と同一面となるように設けられている。
【0018】
ステップ装置本体1の設置場所は、プラットホーム30の端縁部33近傍に設置されている乗客の安全を確保する可動ホーム柵装置40の乗降口41を開閉する乗降扉43の下方に設置されている。なお、乗降扉43の開放時にはプラットホーム30に固定されている戸袋柵42に収納されるようになっている。
【0019】
次に動作について説明する。
列車がプラットホーム30に進行してきた後、停車して列車の乗降扉が開くと同時に、常時は閉鎖中だった可動ホーム柵装置40の乗降扉43が開状態となる。
上記、乗降扉43の開状態と連動して、ステップ装置本体1の駆動装置6が設定により起動すると、出力軸に固着されたクランクディスク7が半回動し、これに伴って一端が固着されたリンクアーム10を介して、スライダー8を車両方向へ前進させ、これにより可動ステップ3が、後退位置から車両方向に前進して、プラットホーム30と図示しない車両との間の隙間を塞いで、乗客の乗降を安全なものにする。
【0020】
乗客の乗降が終了し、列車の乗降扉が閉まると、プラットホーム30の可動ホーム柵装置40の乗降扉43が動作して、乗降口41を開状態から閉状態とする。
上記、乗降扉43の閉状態と連動して、ステップ装置本体1の駆動装置6が起動し、回動軸に固着されたクランクディスク7が回動し、これに伴って一端が固着されたリンクアーム10を介して、スライダー8を車両方向からステップ装置本体1内に後退させ、これにより可動ステップ3が前進位置からステップ装置本体1内に後退して保持される。
【0021】
この実施の形態1によれば、プラットホームと停車車両との問の隙間を覆うように動作する可動ステップを進退させる駆動を、スライダークランク装置で構成したので、特別な制御装置を用いること無しに、起動停止が実現できると共に、ノイズに強く誤動作防止ができる安全性の高いプラットホーム用ステップ装置が得られる効果がある。
【0022】
また、可動ステップとクランクディスクをリンクアームで連結し、クランクディスクの回動により、可動ステップの進退速度が正弦波状となり、可動ステップの進行初期、および停止時に微速となり、安全で、かつ、装置の衝撃が少なく、耐用年数が増加する効果がある。
【0023】
また、クランクディスクとリンクアームとの係合部を、クランクディスクの径方向に沿ってスライド移動させて、可動ステップのストローク調整するようにしたので、リンクアームを長短させるネジ調節が不用で、剛性の高いリンクアームが得られる効果がある。
【0024】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2によるプラットホーム用ステップ装置のクランクディスクを示す平面図であり、図7は図6の取付部を示す側面図である。
図において、13はクランクディスク7の上面に、径方向に沿って所定長さ形成されたT状溝、14はT状溝13内に径方向に摺動容易に設けられたT状のスライド部材で、リンクアーム10の厚みにより若干高く設定されたピン部14aと、ねじ部14bが上方に突出して設けられている。14cはT状部の段部、15はナット、16はスライド部材14に高さ方向に貫通して設けられたねじ穴で、ピン部14aより内径方向の位置に設けられ、ボルト17が螺入されている。
【0025】
先に説明した実施の形態1では、クランクディスク7に径方向に異なった位置に複数設けられた穴部7aにリンクアーム10を旋回自在に取り付けたものを示したが、実施の形態2においては、図6の図中に示すように、クランクディスク7に径方向に沿って形成されたT状溝13内にT状のスライド部材14を装着し、所定位置でねじ穴16に螺入されているボルト17をねじ込み動作すると、ボルト17の先端がT状溝13の底面に当接し、この挿入外力によって、スライド部材14のT状の段部14cがT状溝13の段部と当接して摩擦力でスライド部材14が強固に位置保持される。
次に、スライド部材14のピン部14aに、リンクアーム10の一端部の穴部を嵌合し、ねじ部14bにナット15を挿着して締め付け固着すると、リンクアーム10は旋回自在に装着される。
【0026】
この実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様に、クランクディスク7の径方向にリンクアーム10の係止位置を変えることで、可動ステップ3の前進ストロークを簡単に変更、調節ができる。
なお、クランクディスク7へのリンクアーム10の取付位置は、図4(a)に示すように可動ステップ3の収納後退位置で進退方向後方、前進位置で前方となるように設定され、駆動装置6の起動動作は、出力軸が半回動に設定されているので、図4(b)に示すようにクランクディスク7の半回動毎に、正弦波状の進退速度で移動し、各停止点で確実な停止状態を維持する。
【0027】
実施の形態3.
図8は、この発明の実施の形態3によるプラットホーム用ステップ装置のアキシャルガードとなる過負荷保護装置11を示す断面図であり、図8(a)は運転時(連結状態)を示し、図8(b)は過負荷時(トリップ状態)を示す。
運転時を示す図8(a)において、11は過負荷保護装置である。18は所定長さで設けられたスライド軸、19はスライド軸18の所定位置に外周に沿ってリング状に設けられた溝部、20は溝部19内に周方向に沿って複数配設されている鋼球である。21は筒状ケースで、底部に設けられた穴部21aでスライド軸18に摺動容易に嵌着され、内底面が鋼球20と当接するように設けられている。22はリング状の受金で、内径22aでスライド軸18に摺動容易に嵌着され、傾斜を付けた一側面が鋼球20と当接し、もう一方の側面に弾性部材である皿バネ23が複数枚配設されている。
【0028】
24はリング状の調節部材で、外径に形成されたねじ部24aで、筒状のケース21の内径に形成されたねじ穴21bと螺合して皿バネ23を所定圧力となるように調整押圧する。リング状調節部材24の内径24bは、スライド軸18の外径と若干の隙間を有するように設けられている。
なお、図1、図3に示すように、過負荷保護装置11のスライド軸18の一端部は可動ステップ3に固着されており、筒状ケース21はスライダー8に固着されている。これにより、可動ステップ3とスライダー8は過負荷保護装置11を介して接続されていることになる。
【0029】
次に、動作について説明する。車両がプラットホームに接近し、可動ステップ3が線路方向に前進状態となったときに、車両が可動ステップ3に当接して軸方向に設定力以上の外力が作用した際(過負荷時)は、スライド軸18の溝部19に装着されている鋼球20が、皿バネ23の押付力に抗して溝部19から押し上げられ、スライド軸18上に乗り上げて図8(b)に示すようにトリップ状熊となる。
【0030】
以上の動作により、過負荷保護装置11のスライド軸18に固着されている可動ステップ3と、筒状ケース21に固着されているスライダー8とは、軸方向の保持力が消失し、可動ステップ3は外力に押されてステップ装置本体内に損傷することなく後退する。
【0031】
次に、過負荷保護装置11の正常動作復帰について説明する。可動ステップ3に、軸方向の外力が継続して作用してないことを確認して、可動ステップ3を線路方向へ引っ張ると、過負荷保護装置11のスライド軸18が筒状ケース21内を容易に摺動でき、摺動中のスライド軸18の溝部19に、筒状ケース21内に保持されていた鋼球20が落下して装着する。
以上の動作により、溝部19に保持された鋼球20は皿バネ23の所定の弾性力で押圧され、スライド軸18と筒状ケース21が所定の固着力で合体し、正常に復帰する。
【0032】
この実施の形態3のものにおいては、可動ステップとリンクアームの係合部に、過負荷保護装置を設けたので、可動ステップに設定以上の外力が作用しても、可動ステップおよび駆動装置等が損傷することを防止できる効果がある。
【0033】
実施の形態4.
図9は、この発明の実施の形態4によるプラットホーム用ステップ装置の可動ステップの脱落防止装置を示す一部断面の平面図、図10は図9の側面図である。
図において、25はガイド4の下面に、可動ステップ3の進行方向に沿って併設された深さHに設定された溝部、26はローラ等からなる摺動部材で、溝部25にピン等の係止部材26aで回動容易に設けられている。
【0034】
27はステップ装置本体1の上面に、高さhに設定されて突出して設けられた脱落防止装置となるガイドストッパーであり、ガイド4を両側から挟んで進退摺動させるローラガイド5の先端(線路側)の端部間を接続して設けられている。
なお、ガイドストッパー27の高さhは、ガイド4の溝部25の深さHよりも低くなる ように設定されている。
【0035】
次に、動作について説明する。前記のように、駆動装置6によりクランクディスク7が回動し、リンクアーム10を介してスライダー8を直線状に摺動させる。これによりスライダー8に固着されている可動ステップ3を線路方向へ進出させる。可動ステップ3に固着されているガイド4は、両側面をローラガイド5で挟持され、下面に摺動部材26を設けて、上記可動ステップ3の進退動作を容易となるようにしている。
【0036】
次いで異常時の動作について説明する。可動ステップ3の線路方向への進出動作中に、例えばリンクアーム10の切断、またはリンクアーム10の両端の係止部が破損した場合、可動ステップ3の進行動作がフリーとなり、線路方向へ進行動作の惰力で移動する。
しかし、ガイド4の下面の溝部25に設けられた進行方向先頭の摺動部材26が、ローラガイド5端部間に横設されたガイドストッパー27と当接し、可動ステップ3の線路方向への脱落を防止する。
なお、上記進行方向先頭の摺動部材26と、ガイドストッパー27との距離はリンクアーム10の最大ストロークより若干長く設けられているので、可動ステップ3の通常の進出動作に影響はない。
【0037】
この実施の形態4のものにおいては、可動ステップに固着されたガイドに、脱落防止装置を設置したので、可動ステップを進退させるリンクアーム等が破断した場合でも、可動ステップは規定ストローク位置で停止するので、可動ステップが脱落損傷しない効果がある。
【0038】
実施の形態5.
図11は、この発明の実施の形態5によるプラットホーム用ステップ装置の配置を示す平面図で、図において、28は線路方向に沿って隣接されたステップ装置本体1を、横方向に接続する板状の連結部材、29はボルト等の固着部材である。
【0039】
次に動作について説明する。前述の実施の形態1と同様に、図示しないプラットホームの端縁部に凹設された収納部に、線路方向に沿って幅方向が小形化されたステップ装置本体1を幅方向に接続して設置し、隣接するガイド4、4を横方向に連架して連結部材28を装着し、固着部材29でそれぞれのガイド4、4に固着する。
これにより2台のステップ装置本体1は一体化され、それぞれのクランクディスク7の駆動によって可動ステップ3、3は同時に進退動作する。
【0040】
この実施の形態5のものについては、プラットホーム用ステップ装置を、線路方向に沿って小形化して複数個隣接して設置したので、装置が小形軽量化され、運搬および据付作業が容易となる効果がある。
【0041】
実施の形態6.
図12は、この発明の実施の形態6によるプラットホーム用ステップ装置の箱体の線路側端部を示す側面図で、図において、1aはステップ装置本体1の箱体の線路側開口部2の上端部を傾斜して設けられたスロープ部である。
【0042】
次に動作について説明する。プラットホーム30の端縁部33とほぼ同位置に、ステップ装置本体1の前端部に開口部2が設けられている。車両が停車すると、可動ステップ3が前進して、乗降客の乗降が開始される。この際、ステップ装置本体1の箱体の開口部2の上面端部は、可動ステップ3方向にスロープ部1aが形成されているので、段差が殆どない。
【0043】
この実施の形態6のものにおいては、ステップ装置本体の箱体の車両側の上縁部を傾斜させてスロープ部を設けたので、乗客が乗降の際に、足元が安定し、安全に乗降できる効果がある。
【符号の説明】
【0044】
1 ステップ装置本体、 1a スロープ部、 2 開口部、 3 可動ステップ、 4 ガイド、 5 ローラガイド、 6 駆動装置、 7 クランクディスク、 8 スライダー、 9 リニアガイド、 10 リンクアーム、 11 過負荷保護装置、 13 T状溝、 14 スライド部材、 18 スライド軸、 19 溝部、 20 鋼球、 21 筒状ケース、 25 溝部、 26 摺動部材、 27 ガイドストッパー、 28 連結部材、 29 固着部材、 30 プラットホーム、 33 端縁部、 34 収納部、 40 可動ホーム柵。
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラットホームと停車車両との間の隙間に乗客が転落することを防止するために、プラットホーム側に設けられたプラットホーム用ステップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプラットホーム用ステップ装置は、プラットホーム側から板状の可動体を車両側へ平行移動させて進出するもので、上記移動はラックアンドピニオン機構による駆動方式が採られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、従来のプラットホーム用ステップ装置について、模式的に示した図13、図14により説明する。
図14において、駅のプラットホーム50は上面52と前端面51を有する。上面52と前端面51が交わる角部は端縁部53を形成している。プラットホーム50の一部(停車車両のドア付近)には、端縁部53を所定厚さに、かつ矩形状に削り取るようにして収納部54が形成されている。また、収納部54の底面の所定位置に貫通孔55が穿設されている。収納部54には、図13に示す転落防止装置60が嵌め込まれて上面はプラットホームの上面52と段差が無いように設置される。
【0004】
転落防止装置60は、図13に示すように、板状の転落防止部材61、この転落防止部材と連結した中央プレート62、端部プレート63、これら中央プレート62、端部プレート63が載るベース70、71が嵌入する切り込み部69を有するベースフレーム68、及びベースフレーム68の上面を覆い、上面を平坦面とする天井部材(図示せず)とを備えている。
なお、図13ではベースフレーム68、ベース70、71、転落防止部材61を分解した状態で離して模式的に表示しているが、ベース70、71はベースフレーム68の切り込み部69に嵌入し、転落防止部材61はベース70、71に載った中央プレート62、端部プレート63の一端部にボルトなどにより固着されて一体化している。
また、中央プレート62には、ラック部材64が延設され固着されており、このラック部材64が駆動モータ66に軸支されているピニオン65と噛合い、中央プレート62を線路と直角方向へ移動可能としている。
【0005】
ガイド機構67は、ベースフレーム68に形成された中央部の切り込み部69に、中央プレート62が載るベース70が嵌入され、両端部の切り込み部69には端部プレート63が載るベース71がそれぞれ嵌入されている。また、中央ベース70には一対のガイドレール72が延設され、両側のベース71にはガイドレール73が延設されている。中央プレート62及び端部プレート63はガイドレール72、73に移動可能にそれぞれ嵌合することにより、転落防止部材61がプラットホーム50の収納部54に収容された没入位置と、プラットホーム50の前端面51から線路側へ突出した突出位置とに、出没可能に案内されている。
【0006】
次に、転落防止装置60の動作について説明する。
列車がプラットホーム50に到着する前においては、転落防止部材61は没入位置にあって、収納部54に収納されている。
列車がプラットホーム50に到着し、列車が停止すると、プラットホーム50に設置されている、図示しない可動ホーム柵装置の開動作に応答して、駆動モータ66が作動し、ピニオン65がラック部材64を前方へ繰り出し、中央プレート62および端部プレート63が、ガイドレール72およびガイドレール73に案内され線路側へ前進する。
それにより、転落防止部材61が没入位置から突出位置の線路側に突出して、プラットホーム50と車両間の隙間を塞ぎ、乗客の乗降が開始される。
【0007】
乗降が終了し、図示しない可動ホーム柵装置の閉動作に応答して駆動モータ66が逆 転して、ピニオン65がラック部材64を介して、中央プレート62、端部プレート63をガイドレール72、73をガイドとして後退し、これら中央プレート62、端部プレート63に固着された転落防止部材61が突出位置から没入位置に後退し、収納部54に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−53035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のプラットホームの転落防止装置におけるステップ装置は、転落防止部材の移動がラックアンドピニオン機構による駆動なので、ラックの取付位置が少しでもずれると、ピニオンとの良好な噛合いが得られず、スムーズに駆動できない事情から、敷設時に厳密な調整作業が必要である。また、地盤沈下等の影響で設置面が変動した場合に、ステップのスムーズな駆動が失われ易く、ラックの取付位置を再調整するメンテナンス作業が必要になるなどの問題点があった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、可動ステップの移動の起動停止がスムーズで、かつ確実に実施できるプラットホーム用ステップ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るプラットホーム用ステップ装置は、プラットホームの端縁に、車両に対向する方向に開口する箱体からなるステップ装置本体を設置し、この装置本体内に設けられた可動ステップと、この可動ステップを車両側に進退させて、進退位置で固定できるスライダークランク装置を設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、プラットホームと停車車両との問の隙間を覆うように動作する可動ステップを進退させる駆動を、スライダークランク装置で構成したので、特別な制御装置を用いること無しに、起動停止が実現できると共に、ノイズに強く誤動作防止ができる安全性の高いプラットホーム用ステップ装置が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係るプラットホーム用ステップ装置を示す平面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るプラットホーム用ステップ装置を示す側面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るプラットホーム用ステップ装置を示すスライダークランク装置の平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るプラットホーム用ステップ装置を示すクランクディスクの動作図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るプラットホーム用ステップ装置のプラットホームを示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係るプラットホーム用ステップ装置のクランクディスクを示す平面図である。
【図7】図6の取付部を示す側面図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係るプラットホーム用ステップ装置の過負荷保護装置を示す動作図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係るプラットホーム用ステップ装置の可動ステップの脱落防止装置を示すガイドの平面図である。
【図10】図9の側面断面図である。
【図11】この発明の実施の形態6に係るプラットホーム用ステップ装置の平面図である。
【図12】この発明の実施の形態6に係るプラットホーム用ステップ装置の箱体の前面部の側面図である。
【図13】従来のプラットホーム用ステップ装置を分解して模式的に示す平面図である。
【図14】従来のプラットホーム用ステップ装置のプラットホームを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1であるプラットホーム用ステップ装置の平面図であり、図2は図1の側面図、図3はスライダークランク装置の平面図であり、図4はクランクディスクの動作図、図5はプラットホームの端縁部を示す斜視図である。
図1〜図4において、プラットホーム用ステップ装置は、箱体で形成され、一端部に開口部2を設けたステップ装置本体1と、上記ステップ装置本体1より小なる箱体で、ステップ装置本体1内に収納され、開口部2から進退容易に設けられた可動ステップ3と、上記可動ステップ3の下面に、上記開口部2方向に延設して併設されたガイド4と、上記ステップ装置本体1の内部底面に、上記開口部2方向に延設して併設され、上記ガイド4を両側から挟持して進退摺動させるカムフォロアーからなるローラーガイド5と、ステップ装置本体1の底面に下方に突出して設置された電磁ブレーキ付誘導電動機からなる駆動装置6と、上記駆動装置6の出力ステップ装置本体1の箱体内に突出した軸に固着され、径方向に異なった位置に複数のネジ穴等からなる穴部7aが複数設けられた円板状のクランクディスク7と、ステップ装置本体1の箱体内に、開口部2方向に延設して併設され、スライダー8を開口部2方向に容易に進退させるように挟持して設けられたリニアガイド9と、上記クランクディスク7の上面の所定の穴部7aに一端が旋回自在に係止され、他端がスライダー8に図示しないピン部等で旋回自在に係止されたリンクアーム10と、上記スライダー8に装着され、スライダーの進退方向に動作するアキシャルガードからなる過負荷保護装置11とで構成されている。
【0015】
図5において、30は駅のプラットホームで、前端面31と上面32とにより端縁部33が形成されている。34は収納部で、端縁部33の上面32を所定厚さに、かつ矩形状に削り取るようにして形成されている。収納部34の底面の所定位置に貫通孔35が穿設されている。
【0016】
このように構成されたプラットホーム用ステップ装置においては、箱体からなるステップ装置本体1内に、駆動装置6で回動されるクランクディスク7の穴部7aに、一端が旋回自在に係止され、他端がスライダー8に旋回自在に係止されたリンクアーム10を連設した。
スライダー8にはアキシャルガードとなる過負荷保護装置11が設置され、その一端が可動ステップ3に固着されている。
スライダー8は併設されたリニアガイド9間に設置され、進退摺動自在に設けられている。
また、可動ステップ3に併設して固着されたガイド4は、併設されたローラガイド5間に設置され、進退摺動自在に設けられ、これにより可動ステップ3を進退自在に移動させることができる。
【0017】
上記のように、各種部材を内部に内蔵したステップ装置本体1が、プラットホーム30に凹設された収納部34に載置され、駆動装置6は貫通孔35内に収納される。この際、ステップ装置本体1の上面は、プラットホーム30の上面32と同一面となるように設けられている。
【0018】
ステップ装置本体1の設置場所は、プラットホーム30の端縁部33近傍に設置されている乗客の安全を確保する可動ホーム柵装置40の乗降口41を開閉する乗降扉43の下方に設置されている。なお、乗降扉43の開放時にはプラットホーム30に固定されている戸袋柵42に収納されるようになっている。
【0019】
次に動作について説明する。
列車がプラットホーム30に進行してきた後、停車して列車の乗降扉が開くと同時に、常時は閉鎖中だった可動ホーム柵装置40の乗降扉43が開状態となる。
上記、乗降扉43の開状態と連動して、ステップ装置本体1の駆動装置6が設定により起動すると、出力軸に固着されたクランクディスク7が半回動し、これに伴って一端が固着されたリンクアーム10を介して、スライダー8を車両方向へ前進させ、これにより可動ステップ3が、後退位置から車両方向に前進して、プラットホーム30と図示しない車両との間の隙間を塞いで、乗客の乗降を安全なものにする。
【0020】
乗客の乗降が終了し、列車の乗降扉が閉まると、プラットホーム30の可動ホーム柵装置40の乗降扉43が動作して、乗降口41を開状態から閉状態とする。
上記、乗降扉43の閉状態と連動して、ステップ装置本体1の駆動装置6が起動し、回動軸に固着されたクランクディスク7が回動し、これに伴って一端が固着されたリンクアーム10を介して、スライダー8を車両方向からステップ装置本体1内に後退させ、これにより可動ステップ3が前進位置からステップ装置本体1内に後退して保持される。
【0021】
この実施の形態1によれば、プラットホームと停車車両との問の隙間を覆うように動作する可動ステップを進退させる駆動を、スライダークランク装置で構成したので、特別な制御装置を用いること無しに、起動停止が実現できると共に、ノイズに強く誤動作防止ができる安全性の高いプラットホーム用ステップ装置が得られる効果がある。
【0022】
また、可動ステップとクランクディスクをリンクアームで連結し、クランクディスクの回動により、可動ステップの進退速度が正弦波状となり、可動ステップの進行初期、および停止時に微速となり、安全で、かつ、装置の衝撃が少なく、耐用年数が増加する効果がある。
【0023】
また、クランクディスクとリンクアームとの係合部を、クランクディスクの径方向に沿ってスライド移動させて、可動ステップのストローク調整するようにしたので、リンクアームを長短させるネジ調節が不用で、剛性の高いリンクアームが得られる効果がある。
【0024】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2によるプラットホーム用ステップ装置のクランクディスクを示す平面図であり、図7は図6の取付部を示す側面図である。
図において、13はクランクディスク7の上面に、径方向に沿って所定長さ形成されたT状溝、14はT状溝13内に径方向に摺動容易に設けられたT状のスライド部材で、リンクアーム10の厚みにより若干高く設定されたピン部14aと、ねじ部14bが上方に突出して設けられている。14cはT状部の段部、15はナット、16はスライド部材14に高さ方向に貫通して設けられたねじ穴で、ピン部14aより内径方向の位置に設けられ、ボルト17が螺入されている。
【0025】
先に説明した実施の形態1では、クランクディスク7に径方向に異なった位置に複数設けられた穴部7aにリンクアーム10を旋回自在に取り付けたものを示したが、実施の形態2においては、図6の図中に示すように、クランクディスク7に径方向に沿って形成されたT状溝13内にT状のスライド部材14を装着し、所定位置でねじ穴16に螺入されているボルト17をねじ込み動作すると、ボルト17の先端がT状溝13の底面に当接し、この挿入外力によって、スライド部材14のT状の段部14cがT状溝13の段部と当接して摩擦力でスライド部材14が強固に位置保持される。
次に、スライド部材14のピン部14aに、リンクアーム10の一端部の穴部を嵌合し、ねじ部14bにナット15を挿着して締め付け固着すると、リンクアーム10は旋回自在に装着される。
【0026】
この実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様に、クランクディスク7の径方向にリンクアーム10の係止位置を変えることで、可動ステップ3の前進ストロークを簡単に変更、調節ができる。
なお、クランクディスク7へのリンクアーム10の取付位置は、図4(a)に示すように可動ステップ3の収納後退位置で進退方向後方、前進位置で前方となるように設定され、駆動装置6の起動動作は、出力軸が半回動に設定されているので、図4(b)に示すようにクランクディスク7の半回動毎に、正弦波状の進退速度で移動し、各停止点で確実な停止状態を維持する。
【0027】
実施の形態3.
図8は、この発明の実施の形態3によるプラットホーム用ステップ装置のアキシャルガードとなる過負荷保護装置11を示す断面図であり、図8(a)は運転時(連結状態)を示し、図8(b)は過負荷時(トリップ状態)を示す。
運転時を示す図8(a)において、11は過負荷保護装置である。18は所定長さで設けられたスライド軸、19はスライド軸18の所定位置に外周に沿ってリング状に設けられた溝部、20は溝部19内に周方向に沿って複数配設されている鋼球である。21は筒状ケースで、底部に設けられた穴部21aでスライド軸18に摺動容易に嵌着され、内底面が鋼球20と当接するように設けられている。22はリング状の受金で、内径22aでスライド軸18に摺動容易に嵌着され、傾斜を付けた一側面が鋼球20と当接し、もう一方の側面に弾性部材である皿バネ23が複数枚配設されている。
【0028】
24はリング状の調節部材で、外径に形成されたねじ部24aで、筒状のケース21の内径に形成されたねじ穴21bと螺合して皿バネ23を所定圧力となるように調整押圧する。リング状調節部材24の内径24bは、スライド軸18の外径と若干の隙間を有するように設けられている。
なお、図1、図3に示すように、過負荷保護装置11のスライド軸18の一端部は可動ステップ3に固着されており、筒状ケース21はスライダー8に固着されている。これにより、可動ステップ3とスライダー8は過負荷保護装置11を介して接続されていることになる。
【0029】
次に、動作について説明する。車両がプラットホームに接近し、可動ステップ3が線路方向に前進状態となったときに、車両が可動ステップ3に当接して軸方向に設定力以上の外力が作用した際(過負荷時)は、スライド軸18の溝部19に装着されている鋼球20が、皿バネ23の押付力に抗して溝部19から押し上げられ、スライド軸18上に乗り上げて図8(b)に示すようにトリップ状熊となる。
【0030】
以上の動作により、過負荷保護装置11のスライド軸18に固着されている可動ステップ3と、筒状ケース21に固着されているスライダー8とは、軸方向の保持力が消失し、可動ステップ3は外力に押されてステップ装置本体内に損傷することなく後退する。
【0031】
次に、過負荷保護装置11の正常動作復帰について説明する。可動ステップ3に、軸方向の外力が継続して作用してないことを確認して、可動ステップ3を線路方向へ引っ張ると、過負荷保護装置11のスライド軸18が筒状ケース21内を容易に摺動でき、摺動中のスライド軸18の溝部19に、筒状ケース21内に保持されていた鋼球20が落下して装着する。
以上の動作により、溝部19に保持された鋼球20は皿バネ23の所定の弾性力で押圧され、スライド軸18と筒状ケース21が所定の固着力で合体し、正常に復帰する。
【0032】
この実施の形態3のものにおいては、可動ステップとリンクアームの係合部に、過負荷保護装置を設けたので、可動ステップに設定以上の外力が作用しても、可動ステップおよび駆動装置等が損傷することを防止できる効果がある。
【0033】
実施の形態4.
図9は、この発明の実施の形態4によるプラットホーム用ステップ装置の可動ステップの脱落防止装置を示す一部断面の平面図、図10は図9の側面図である。
図において、25はガイド4の下面に、可動ステップ3の進行方向に沿って併設された深さHに設定された溝部、26はローラ等からなる摺動部材で、溝部25にピン等の係止部材26aで回動容易に設けられている。
【0034】
27はステップ装置本体1の上面に、高さhに設定されて突出して設けられた脱落防止装置となるガイドストッパーであり、ガイド4を両側から挟んで進退摺動させるローラガイド5の先端(線路側)の端部間を接続して設けられている。
なお、ガイドストッパー27の高さhは、ガイド4の溝部25の深さHよりも低くなる ように設定されている。
【0035】
次に、動作について説明する。前記のように、駆動装置6によりクランクディスク7が回動し、リンクアーム10を介してスライダー8を直線状に摺動させる。これによりスライダー8に固着されている可動ステップ3を線路方向へ進出させる。可動ステップ3に固着されているガイド4は、両側面をローラガイド5で挟持され、下面に摺動部材26を設けて、上記可動ステップ3の進退動作を容易となるようにしている。
【0036】
次いで異常時の動作について説明する。可動ステップ3の線路方向への進出動作中に、例えばリンクアーム10の切断、またはリンクアーム10の両端の係止部が破損した場合、可動ステップ3の進行動作がフリーとなり、線路方向へ進行動作の惰力で移動する。
しかし、ガイド4の下面の溝部25に設けられた進行方向先頭の摺動部材26が、ローラガイド5端部間に横設されたガイドストッパー27と当接し、可動ステップ3の線路方向への脱落を防止する。
なお、上記進行方向先頭の摺動部材26と、ガイドストッパー27との距離はリンクアーム10の最大ストロークより若干長く設けられているので、可動ステップ3の通常の進出動作に影響はない。
【0037】
この実施の形態4のものにおいては、可動ステップに固着されたガイドに、脱落防止装置を設置したので、可動ステップを進退させるリンクアーム等が破断した場合でも、可動ステップは規定ストローク位置で停止するので、可動ステップが脱落損傷しない効果がある。
【0038】
実施の形態5.
図11は、この発明の実施の形態5によるプラットホーム用ステップ装置の配置を示す平面図で、図において、28は線路方向に沿って隣接されたステップ装置本体1を、横方向に接続する板状の連結部材、29はボルト等の固着部材である。
【0039】
次に動作について説明する。前述の実施の形態1と同様に、図示しないプラットホームの端縁部に凹設された収納部に、線路方向に沿って幅方向が小形化されたステップ装置本体1を幅方向に接続して設置し、隣接するガイド4、4を横方向に連架して連結部材28を装着し、固着部材29でそれぞれのガイド4、4に固着する。
これにより2台のステップ装置本体1は一体化され、それぞれのクランクディスク7の駆動によって可動ステップ3、3は同時に進退動作する。
【0040】
この実施の形態5のものについては、プラットホーム用ステップ装置を、線路方向に沿って小形化して複数個隣接して設置したので、装置が小形軽量化され、運搬および据付作業が容易となる効果がある。
【0041】
実施の形態6.
図12は、この発明の実施の形態6によるプラットホーム用ステップ装置の箱体の線路側端部を示す側面図で、図において、1aはステップ装置本体1の箱体の線路側開口部2の上端部を傾斜して設けられたスロープ部である。
【0042】
次に動作について説明する。プラットホーム30の端縁部33とほぼ同位置に、ステップ装置本体1の前端部に開口部2が設けられている。車両が停車すると、可動ステップ3が前進して、乗降客の乗降が開始される。この際、ステップ装置本体1の箱体の開口部2の上面端部は、可動ステップ3方向にスロープ部1aが形成されているので、段差が殆どない。
【0043】
この実施の形態6のものにおいては、ステップ装置本体の箱体の車両側の上縁部を傾斜させてスロープ部を設けたので、乗客が乗降の際に、足元が安定し、安全に乗降できる効果がある。
【符号の説明】
【0044】
1 ステップ装置本体、 1a スロープ部、 2 開口部、 3 可動ステップ、 4 ガイド、 5 ローラガイド、 6 駆動装置、 7 クランクディスク、 8 スライダー、 9 リニアガイド、 10 リンクアーム、 11 過負荷保護装置、 13 T状溝、 14 スライド部材、 18 スライド軸、 19 溝部、 20 鋼球、 21 筒状ケース、 25 溝部、 26 摺動部材、 27 ガイドストッパー、 28 連結部材、 29 固着部材、 30 プラットホーム、 33 端縁部、 34 収納部、 40 可動ホーム柵。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームと停車車両との間の隙間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置であって、プラットホームの車両に対向する端縁上面に設置され車両に対向する方向に開口部を有する箱体からなる装置本体、この装置本体内に設置された可動ステップと、この可動ステップを車両方向に対して進退させる駆動装置とを備え、上記駆動装置と連動して上記可動ステップを進出位置および後退位置で保持するスライダークランク装置を備えたことを特徴とするプラットホーム用ステップ装置。
【請求項2】
前記スライダークランク装置は、駆動装置によって回動されるクランクディスクに一端部を係合し、他端部を可動ステップに係合されたリンクアームで連結され、上記駆動装置による上記クランクディスクの回動により、上記可動ステップの進出速度および後退速度を正弦波状としたことを特徴とする請求項1に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項3】
前記可動ステップのストローク調節は、クランクディスクとリンクアームとの係合部を、クランクディスクの径方向に沿って移動調節可能に設けたことを特徴とする請求項2に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項4】
前記可動ステップとリンクアームの係合部に過負荷保護装置を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項5】
前記可動ステップの進行方向に、可動ステップの脱落防止装置を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項6】
前記ステップ装置本体を、同一設置場所で線路に沿って複数連設して、連結部材で接続したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項7】
前記装置本体の箱体の車両と相対する上部端面を下方に傾斜してスロープ部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項1】
プラットホームと停車車両との間の隙間に乗客が転落することを防止するプラットホーム用ステップ装置であって、プラットホームの車両に対向する端縁上面に設置され車両に対向する方向に開口部を有する箱体からなる装置本体、この装置本体内に設置された可動ステップと、この可動ステップを車両方向に対して進退させる駆動装置とを備え、上記駆動装置と連動して上記可動ステップを進出位置および後退位置で保持するスライダークランク装置を備えたことを特徴とするプラットホーム用ステップ装置。
【請求項2】
前記スライダークランク装置は、駆動装置によって回動されるクランクディスクに一端部を係合し、他端部を可動ステップに係合されたリンクアームで連結され、上記駆動装置による上記クランクディスクの回動により、上記可動ステップの進出速度および後退速度を正弦波状としたことを特徴とする請求項1に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項3】
前記可動ステップのストローク調節は、クランクディスクとリンクアームとの係合部を、クランクディスクの径方向に沿って移動調節可能に設けたことを特徴とする請求項2に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項4】
前記可動ステップとリンクアームの係合部に過負荷保護装置を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項5】
前記可動ステップの進行方向に、可動ステップの脱落防止装置を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項6】
前記ステップ装置本体を、同一設置場所で線路に沿って複数連設して、連結部材で接続したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【請求項7】
前記装置本体の箱体の車両と相対する上部端面を下方に傾斜してスロープ部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラットホーム用ステップ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−105193(P2011−105193A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263500(P2009−263500)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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