説明

プラミペキソールの安定化医薬組成物およびその製造方法

プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および1種以上のデキストリン類を含む安定化医薬組成物、およびそれらの製造法。該安定化組成物は、プラミペキソール二塩酸塩、β−シクロデキストリンおよび1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む錠剤の形である。プラミペキソール二塩酸塩をポリビニルピロリドンと共に適当な溶媒に溶解し;シクロデキストリンと他の賦形剤の混合物を、造粒液としての上記溶液と造粒し;上記で形成した顆粒を乾燥させ;顆粒を流動促進剤および付着防止剤で滑らかにし;適当な錠剤装置を使用して顆粒を圧縮することを含む、安定化錠剤組成物の製造方法。プラミペキソール二塩酸塩−β−シクロデキストリン包接複合体を製造し;製造した包接複合体と他の賦形剤を混合し;乾式造粒法または湿式造粒法のいずれかを使用してまたは直接圧縮により造粒し;形成した顆粒を乾燥させ、篩い分けし、そして滑らかにし;適当な錠剤装置を使用して顆粒を圧縮して錠剤を形成することを含む、安定化錠剤組成物のさらなる製造方法。該組成物を含む包装系に酸素アブソーバーまたは不活性ガスを包含させることを含む、安定化医薬組成物の包装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および1種以上のデキストリン類を含む安定化医薬組成物、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
US4,886,812に開示のプラミペキソールは、パーキンソン病の処置に有用なドーパミンD2受容体アゴニストである。プラミペキソールの最も一般的に使用されている塩はプラミペキソール二塩酸塩であり、それは(S)−2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール二塩酸塩一水和物(図1)である。その経験的式はC1017S・2HCl・HOであり、分子量は302.27である。プラミペキソール二塩酸塩は白色ないしオフホワイト色の粉末物質である。その二塩酸塩としてのプラミペキソールは、Pharmacia & UpjohnのMIRAPEX錠として商業的に入手可能である。これらは、1日量0.375から4.5mgを提供するために1錠1日3回の経口投与のために設計された、0.125mg、0.25mg、0.5mg、1.0mgおよび1.5mg量の即時放出型錠剤である。ここでの量は、特記されない限りプラミペキソール二塩酸塩一水和物の量で記載する;1.0mg プラミペキソール二塩酸塩一水和物は、約0.7mg プラミペキソール塩基と等量である。
【化1】

図1:プラミペキソール二塩酸塩の構造。
【0003】
MIRAPEX錠について米国FDAに提出される新薬申請(NDA)は、固体状態でプラミペキソール二塩酸塩自体は良好な安定性を有するが、錠剤製剤は光分解に感受性であると記載している。賦形剤存在下でのプラミペキソール二塩酸塩は分解し、種々の安定条件で貯蔵した組成物の効力の低下をもたらす。これは最終的にプラミペキソール組成物の貯蔵寿命に影響する。
【0004】
故に、当分野でプラミペキソールの安定化医薬組成物の必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的
本発明の目的は、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および1種以上のデキストリン類を含む安定化医薬組成物の提供である。
【0006】
本発明の他の目的は、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および1種以上のデキストリン類を含む安定化医薬組成物の製造方法の提供である。
本発明の他の目的は、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および1種以上のデキストリン類を含む安定化医薬組成物の包装方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要約
本発明の一つの局面によって、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および1種以上のデキストリン類を含む安定化医薬組成物が提供される。
【0008】
本発明の他の局面によって、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および1種以上のデキストリン類およびさらに1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、安定化医薬組成物が提供される。
【0009】
本発明の別の局面によって、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および1種以上のデキストリン類を含む安定化医薬組成物の製造方法が提供される。
【0010】
他の局面によって、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および1種以上のデキストリン類を含む安定化医薬組成物の適当な包装系への、該組成物を含む包装系内の酸素を減少させる手段による包装方法が提供される。
【0011】
他の局面において、処置を必要とする哺乳動物における障害を処置する方法であって、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および1種以上のデキストリン類を含む、安定化医薬組成物を該哺乳動物に投与することにより作用させる、方法が提供される。このような障害の例は、パーキンソン病、下肢静止不能症候群などを含むが、これらに限定されない。
【0012】
発明の詳細な記載
本発明者らは、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を、医薬組成物中に、該組成物に1種以上のデキストリン類を包含させることにより安定化できることを、驚くべきことに発見した。
【0013】
好ましい態様において、プラミペキソールは、プラミペキソール二塩酸塩一水和物としても既知のその二塩酸塩の形で使用する。
安定化組成物中の1種以上のデキストリン類の割合は、組成物の0.01%から95%w/wで変化し得る。
【0014】
ここで使用する用語“安定化”は、例えば40℃、75%相対湿度および/または50℃などの加速安定条件に、0−24週間暴露後、組成物中に保持されるプラミペキソールの効果パーセントを意味する。保持されるプラミペキソールの効果パーセントは、90%、好ましくは95%である。あるいは、用語“安定化”はまた、例えば40℃、75%相対湿度および/または50℃などに0−24週間暴露後、組成物中に観察されるプラミペキソールの分解パーセントを意味する。プラミペキソールの分解パーセントを10%を超えず、好ましくは5%を超えない。
【0015】
ここで使用する用語“デキストリン”は、デンプンの加水分解により製造される全てのポリマーを意味する。デキストリン類の例は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、それらのアルキルまたはヒドロキシアルキル誘導体、例えば(2,6−ジ−o−メチル)−β−シクロデキストリン、無作為にメチル化されたβ−シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、スルホ−ブチル−エーテルβ−シクロデキストリン、マルトデキストリン、アミロデキストリンなどを含むが、これらに限定されない。
【0016】
好ましい態様において、デキストリンはシクロデキストリンである。さらに好ましい態様において、シクロデキストリンはβ−シクロデキストリンである。故に、好ましい局面において、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩およびβ−シクロデキストリンを含む安定化医薬組成物が提供される。
【0017】
シクロデキストリンは、さらに、安定化組成物中に共賦形剤として、またはプラミペキソールとの包接複合体(inclusion complex)として存在できる。好ましい態様において、シクロデキストリンが共賦形剤であるとき、安定化組成物中のシクロデキストリンのレベルは、組成物の1%から60%w/w、よりさらに好ましくは組成物の20%から40%w/wである。包接複合体の場合、プラミペキソール対シクロデキストリンのモル比は変わり得るが、好ましくは1:0.25から1:4、さらに好ましくは1:1である。組成物中の包接複合体のレベルは、組成物の0.01%から95%w/wで変わり得る。
【0018】
本組成物は、経口、経鼻、眼、尿道、口腔、経粘膜、筋肉内、静脈内、膣、局所、直腸送達などのために製剤できる。好ましい態様において、本組成物は、経口送達のために製造する。さらに好ましい態様において、本組成物は錠剤である。
【0019】
本組成物は、種々の放出プロファイルのプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩のために製剤できる。例えばプラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩は即時に放出され、またはその放出は改変され、例えば制御放出、脈動放出、持続放出、遅延放出、標的化放出、標的化遅延放出、またはそれらの組合せであり得る。
【0020】
プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および1種以上のデキストリンを含む安定化医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。
【0021】
ここで使用するフレーズ“薬学的に許容される賦形剤”は、医薬投与形態において使用される全ての生理学的に不活性な添加剤を含む。
【0022】
好ましい態様において、薬学的に許容される賦形剤は錠剤投与形態において必要な不活性添加剤である。このような賦形剤の例は結合剤、希釈剤、滑剤/流動促進剤、着色剤など、またはこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0023】
結合剤の例は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、前ゼラチン化デンプン、寒天、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、プロピレングリコールなど、またはこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。好ましい態様において、結合剤はポリビニルピロリドンである。
【0024】
希釈剤の例は、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微晶性セルロース、珪化微晶性セルロース、粉末化セルロース、カオリン、ラクチトール、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、デンプン前ゼラチン化、スクロース、圧縮性糖、粉砂糖など、またはこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。好ましい態様において、希釈剤はデンプン、マンニトールおよび微晶性セルロースの混合物である。
【0025】
滑剤および流動促進剤の例は、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、水素化ヒマシ油、脂肪酸のスクロースエステル、微晶性蝋、黄色蜜蝋、白色蜜蝋など、またはこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。好ましい態様において、コロイド状二酸化ケイ素および/またはステアリン酸マグネシウムを滑剤および流動促進剤として使用できる。
【0026】
着色剤は、経口使用のためにFDAが承認した全てのものから選択できる。着色剤の例は、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、アルミニウム粉末、酸化亜鉛、FD&C Blue No. 1、FD&C Blue No. 2、D&C Blue No. 4、FD&C Green No. 3、D&C Green No. 5、D&C Red No. 21、D&C Red No. 22、D&C Red No. 27、D&C Red No. 28、D&C Red No. 30、FD&C Red No. 40、FD&C Yellow No. 5、FD&C Yellow No. 6などを含むが、これらに限定されない。
【0027】
上記の賦形剤は単なる例として解釈すべきであり、本発明の組成物に包含できる賦形剤を限定するものではない。また、記載の賦形剤が何らかのいくつかの明白な機能のために使用されているため、上記に挙げた賦形剤の中で、相当な重複があることが認識される。用いる各賦形剤の量は、当業者に既知の範囲内で変化し得る。
【0028】
本発明の安定化組成物は、当分野で既知の適当な方法で製造できる。例えば錠剤を湿式造粒、乾式造粒または直接圧縮技術により製造できる。カプセルを、全ての成分を混合し、所望により湿式または乾式造粒を使用して混合物を造粒するかまたは球形化し、ペレット化し、空の硬ゼラチンまたはHPMCカプセル殻に充填することにより製造できる。本カプセルはまた軟ゼラチンカプセルの形でもよく、その中で、全ての成分が適当な媒体中に分散または溶解している。液体溶液は薬および他の賦形剤を適当な媒体に溶解することにより製造できる。
【0029】
好ましい態様において、プラミペキソールを含む安定化錠剤組成物は、乾式造粒、湿式造粒または直接圧縮を使用して、製造できる。乾式造粒は、例えば、ローラーコンパクターの使用により、あるいは、例えば、強打(slugging)の工程により実施できる。湿式造粒は、水性および/または非水性溶媒を使用して実施できる。造粒液として使用する溶媒の例は、塩化メチレン、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノール、エタノール、水またはこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0030】
さらに好ましい態様において、ここに開示のプラミペキソールを含む安定化錠剤組成物は、プラミペキソール二塩酸塩を、水のような適当な溶媒にポリビニルピロリドンと共に溶解することを含む工程により製造できる。次いで、β−シクロデキストリンと他の賦形剤の混合物を、上記溶液と共に造粒する。顆粒を乾燥させ、適当なメッシュを通して篩う。次いで、顆粒をコロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムを使用して滑らかにする。次いで、滑らかにした混合物を適当な錠剤装置を使用して圧縮する。本組成物を、例えばブリスター、HDPE容器など、当業者に既知の種々の包装材料を使用して包装できる。
【0031】
他の態様において、ここに開示のプラミペキソールの安定化錠剤組成物は、プラミペキソール二塩酸塩とβ−シクロデキストリンのモル比1:(0.25−4)、好ましくは1:1の包接複合体を、好ましくは当業者に既知の混練方法を使用して製造することを含む方法により製造できる。次いで、製造した包接複合体を適当な慣用の賦形剤と混合する。次いで、乾式造粒または水性もしくは非水性としてであり得る湿式造粒法のいずれかを使用して、造粒する。これらの顆粒をさらに乾燥させ、篩い、滑らかにする。この滑らかにした混合物を次いで適当な錠剤装置を使用して圧縮する。本組成物を、例えばブリスター、HDPE容器など、当業者に既知の種々の包装材料を使用して包装できる。
【0032】
他の好ましい態様において、安定化医薬組成物を、該安定化組成物を含む包装系の酸素含量を低下させる手段も含み得る適当な包装系に包装できる。このような手段の例は、酸素アブソーバー、不活性ガス、例えば窒素、アルゴンなどまたはそれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。酸素アブソーバーは、密閉容器中の酸素濃度を減らし、非常に低い酸素環境を作る。市販されている酸素アブソーバーの例は、O-busters(登録商標)などを含むが、これらに限定されない。これらの手段を、当業者に既知の技術および装置を使用して、安定化組成物を含む包装系に導入できる。
【0033】
故に、好ましい局面において、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩およびβ−シクロデキストリンを含み、さらに、1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む安定化錠剤製剤が提供され、ここで、安定化錠剤組成物が、容器中の酸素含量を低下させる手段も含む適当な容器に包含されている。このような手段の例は、酸素アブソーバー、不活性ガス、例えば窒素、アルゴンなどまたはそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0034】
さらに好ましい態様において、安定化錠剤組成物であって、該組成物が重量を基に:a)プラミペキソール二塩酸塩0.15%、b)β−シクロデキストリン27.0%、c)メイズデンプン35%、d)ポリビニルピロリドン2.0%、d)微晶性セルロース33.30%、e)コロイド状二酸化ケイ素1.10%およびf)ステアリン酸マグネシウム1.45%を含み、該錠剤組成物が、酸素アブソーバーまたは不活性ガス、例えば窒素、アルゴンまたはそれらの組合せのような該安定化組成物を含む包装系の酸素含量を低下させる手段を含む適当な包装系に包装されている。
【0035】
さらに好ましい態様において、プラミペキソールおよびβ−シクロデキストリンを含む安定化錠剤組成物を、所望により酸素アブソーバーまたは不活性ガス、例えば窒素、アルゴンまたはそれらの組合せのような酸素含量を低下させる手段を含む、内部を炭(black)で裏打ちされたHDPE容器に包装できる。
【0036】
本発明の錠剤組成物の安定性試験を、参考としての適当な錠剤組成物と共に、40℃、75%相対湿度;および/または50℃のような種々の加速安定条件で、種々の包装を使用して24週間の期間まで行った。
【0037】
本発明をその特異的態様の観点で記載しているが、一定の改変および同等物が当業者には明らかであり、本発明の範囲内に包含される。実施例を、記載の特定の局面を説明するために提供するが、特許請求の範囲により定義された本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0038】
実施例1
プラミペキソール二塩酸塩錠剤を、表1の組成を有して製造した。プラミペキソール二塩酸塩を精製水にポリビニルピロリドンと共に溶解した。マンニトールおよび/またはβ−シクロデキストリンおよび/またはメイズデンプンを混合し、上記溶液と造粒した。顆粒を50−60℃で乾燥させ、適当なメッシュを通して篩った。顆粒をコロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムを使用して滑らかにした。この滑らかにした混合物を適当な打錠機を使用して圧縮した。
【表1】

【0039】
加速安定性試験を実施例1の組成物で、40℃、75%相対湿度;および50℃で行った。結果を以下の表2に示す。
【表2】

【0040】
上記の表2に記載の結果から、製剤中のシクロデキストリン濃度パーセンテージの増加が製剤の安定性を増加させると結論付けることができる。シクロデキストリンを含む全ての製剤が、シクロデキストリンを含まない製剤(すなわちO)と比較して、24週間、40℃/75RH後に98.3%から102.3%、および4週間、50℃の後に98.6%から102.1%の効果を保持した。
【0041】
実施例2
プラミペキソール二塩酸塩錠剤を、表3の組成を有して製造した。モル比1:1のプラミペキソール二塩酸塩とβ−シクロデキストリンの包接複合体を、混練法を使用して製造した。製造した包接複合体を、次いで適当な慣用の賦形剤と混合した。造粒を、非水性‘湿式造粒’法を使用して行った。これらの顆粒をさらに乾燥させ、適当なメッシュを通して篩い、滑らかにした。この滑らかにした混合物を適当な打錠機を使用して圧縮した。
【表3】

【0042】
加速安定性試験を、実施例2の組成物について、40℃、75%相対湿度;および50℃で行った。結果を表4に示す。
【表4】

【0043】
上記の表4の結果から、製剤中の包接複合体のパーセンテージの増加が、シクロデキストリン包接複合体を含まない製剤(すなわちO)と比較して、製剤の安定性を増加させると結論付けることができる。
【0044】
実施例2の組成物をまた40℃、75%相対湿度;および50℃で、該組成物含有容器中に酸素アブソーバーおよび窒素を入れた安定性試験にも付した。結果を、酸素アブソーバーおよび窒素各々について表5および表6に示す。
【表5】

【0045】
【表6】

表5および表6の結果は、酸素アブソーバーおよび窒素を使用した安定化組成物の包装は、さらに組成物の安定性を増強することを示唆する。
【0046】
実施例3
プラミペキソール二塩酸塩錠剤を、表7の組成を有して製造した。プラミペキソール二塩酸塩を精製水にポリビニルピロリドンと共に溶解した。β−シクロデキストリンおよび/またはマンニトールおよび/またはメイズデンプンを混合し、上記溶液と造粒した。顆粒を50−60℃で乾燥させ、適当なメッシュを通して篩った。顆粒をコロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムを使用して滑らかにした。この滑らかにした混合物を適当な打錠機を使用して圧縮した。
【表7】

【0047】
表7の組成物を40℃、75%相対湿度;および50℃での加速安定性試験に付した。結果を表8に記載する。
【表8】

【0048】
上記表に記載の結果から、製剤中のシクロデキストリン濃度パーセンテージの増加が製剤の安定性を増加させると結論付けることができる。シクロデキストリンを含む全ての製剤が、シクロデキストリンを含まない製剤(すなわちO1)と比較して、24週間、40℃/75RH後に4.32%から1.16%、および4週間、50℃の後に5.35%から1.35%のプラミペキソール分解パーセントで増強された安定性を示した。
【0049】
実施例3の組成物をまた40℃、75%相対湿度;および50℃で、該組成物含有主要容器中に酸素アブソーバーおよび窒素を入れた安定性試験にも付した。結果を、酸素アブソーバーおよび窒素各々について表9および表10に示す。
【表9】

【0050】
【表10】

上記の結果は、酸素アブソーバーおよび窒素の存在下での安定化組成物の包装は、さらに組成物の安定性を増強することを示唆する。
【0051】
故に、結論として、プラミペキソール二塩酸塩と共賦形剤および包接複合体としてβ−シクロデキストリンを伴うプラミペキソール二塩酸塩錠剤は、β−シクロデキストリン無しの製剤と比較して、加速安定性条件でプラミペキソール二塩酸塩錠剤の少ない分解を示した。また、共賦形剤および包接複合体としてβ−シクロデキストリンを含むプラミペキソール二塩酸塩錠剤の、窒素パージおよび酸素アブソーバーを使用した包装は、β−シクロデキストリン無しの製剤と比較してさらなる安定性の増強を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩および1種以上のデキストリン類を含む、安定化医薬組成物。
【請求項2】
プラミペキソールがプラミペキソール二塩酸塩である、請求項1に記載の安定化医薬組成物。
【請求項3】
デキストリンが、組成物の0.01%から95%w/wのレベルで存在する、請求項1に記載の安定化医薬組成物。
【請求項4】
デキストリンがシクロデキストリンである、請求項1に記載の安定化医薬組成物。
【請求項5】
シクロデキストリンが共賦形剤として存在する、請求項4に記載の安定化医薬組成物。
【請求項6】
シクロデキストリンが、組成物の1%から60%w/wのレベルで存在する、請求項5に記載の安定化医薬組成物。
【請求項7】
シクロデキストリンが、組成物の20%から40%w/wのレベルで存在する、請求項5に記載の安定化医薬組成物。
【請求項8】
シクロデキストリンが包接複合体として存在する、請求項4に記載の安定化医薬組成物。
【請求項9】
包接複合体中のプラミペキソール対シクロデキストリンのモル比が1:0.25から1:4である、請求項8に記載の安定化医薬組成物。
【請求項10】
包接複合体中のプラミペキソール対シクロデキストリンのモル比が1:1である、請求項8に記載の安定化医薬組成物。
【請求項11】
包接複合体が、組成物の0.01%から95%w/wのレベルで存在する、請求項8に記載の安定化医薬組成物。
【請求項12】
シクロデキストリンがα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、(2,6−ジ−o−メチル)−β−シクロデキストリン、無作為にメチル化されたβ−シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびスルホ−ブチル−エーテルβ−シクロデキストリンのようなそれらのアルキルまたはヒドロキシアルキル誘導体から選択される、請求項4に記載の安定化医薬組成物。
【請求項13】
シクロデキストリンがβ−シクロデキストリンである、請求項4に記載の安定化医薬組成物。
【請求項14】
組成物が錠剤、カプセル剤、多粒子系、顆粒、粉末の形である、請求項1に記載の安定化医薬組成物。
【請求項15】
組成物が錠剤の形である、請求項1に記載の安定化医薬組成物。
【請求項16】
a) プラミペキソール二塩酸塩
b) β−シクロデキストリンおよび;
c) 1種以上の薬学的に許容される賦形剤
を含む、請求項15に記載の安定化錠剤。
【請求項17】
請求項15に記載の安定化錠剤の製造方法であって;
a) プラミペキソール二塩酸塩をポリビニルピロリドンと共に適当な溶媒に溶解し;
b) シクロデキストリンと他の賦形剤の混合物を、造粒液としての上記溶液と造粒し;
c) 上記で形成した顆粒を乾燥させ;
d) 顆粒を流動促進剤および付着防止剤で滑らかにし;
e) 適当な錠剤装置を使用して顆粒を圧縮する
ことを含む、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の安定化錠剤の製造方法であって;
a) プラミペキソール二塩酸塩−β−シクロデキストリン包接複合体を製造し;
b) 製造した包接複合体と他の賦形剤を混合し;
c) 乾式造粒法または湿式造粒法のいずれかを使用してまたは直接圧縮により造粒し;
d) 形成した顆粒を乾燥させ、篩い分けし、そして滑らかにし;
e) 適当な錠剤装置を使用して顆粒を圧縮して錠剤を形成する
ことを含む、方法。
【請求項19】
処置を必要とする哺乳動物における疾患の処置方法であって、プラミペキソールまたはその薬学的に許容される塩を、請求項1に記載の安定化医薬組成物を該哺乳動物に投与することにより作用させる、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の安定化医薬組成物を包装する方法であって、該組成物を含む包装系中に酸素アブソーバーを包含させることを含む、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の安定化医薬組成物を包装する方法であって、該組成物を含む包装系中に不活性ガスを包含させることを含む、方法。
【請求項22】
不活性ガスが窒素およびアルゴンから成る群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
a) プラミペキソール二塩酸塩
b) β−シクロデキストリン
c) メイズデンプン
d) ポリビニルピロリドン
e) 微晶性セルロース
f) コロイド状二酸化ケイ素および
g) ステアリン酸マグネシウム;
を含む安定化錠剤組成物であって、ここで、該錠剤組成物が酸素アブソーバーまたは不活性ガスまたはそれらの組合せを含む包装系でさらに包装されている、安定化錠剤組成物。
【請求項24】
不活性ガスが窒素である、請求項23に記載の安定化錠剤組成物。

【公表番号】特表2009−517460(P2009−517460A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542944(P2008−542944)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【国際出願番号】PCT/IN2006/000480
【国際公開番号】WO2007/072497
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(506267307)アレムビック・リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】ALEMBIC LIMITED
【Fターム(参考)】