プラントモデル開発システム
【課題】作業者が機器モデル及びプラントモデルの変更箇所や変更による影響を意識することなく、プラントモデル開発を行うことができるプラントモデル開発システムを提供することである。
【解決手段】機器モデル4Aとプラントモデル3Aとシミュレーション結果9Aとを管理する履歴管理手段25と、変更前の機器モデル4Aと変更後の機器モデル4B、変更前のプラントモデル4Aと変更後のプラントモデル4Bとを比較し変更データを抽出する変更データ抽出手段13と、シミュレーション結果9Bと変更データ14とを統合し作業者に変更データ14とシミュレーション結果9Bとの関連情報を提供するデータ統合手段11とを具備する。
【解決手段】機器モデル4Aとプラントモデル3Aとシミュレーション結果9Aとを管理する履歴管理手段25と、変更前の機器モデル4Aと変更後の機器モデル4B、変更前のプラントモデル4Aと変更後のプラントモデル4Bとを比較し変更データを抽出する変更データ抽出手段13と、シミュレーション結果9Bと変更データ14とを統合し作業者に変更データ14とシミュレーション結果9Bとの関連情報を提供するデータ統合手段11とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントの挙動を模擬したプラントモデルを開発するためのプラントモデル開発システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラント運転訓練装置やプラントの制御装置を開発するために、プラントの挙動を模擬したプラントモデルの開発・作成するためのプラントモデル開発システムがある。プラントモデルを開発するものとしては、プラントの構成要素である機器を独立したオブジェクトとして作成し、グラフィカルなインターフェース(GUI)により、画面上で配置、接続することによって、ユーザーがプラントモデルを熟知していなくとも、プラントモデルの構築及び修正が可能となるシステムが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
図13は従来のプラントモデル開発システムの構成図である。作業者はマンマシンインターフェースである入力手段1にて情報を作業用DB2Aに入力する。作業用DB2Aは、機器モデル4Aを作成する機器モデル作成手段23と、プラントモデル3Aを作成するプラントモデル作成手段24とを有する。機器モデル作成手段23はプラントを構成する各機器の特性を模擬したモデル(機器モデル4A)を作成する機能を具備する。機器モデル4Aには、例えば、機器の特性を表現する図形情報4A1、ソースコード4A2、入出力情報4A3が含まれる。
【0004】
また、プラントモデル作成手段24は、少なくとも2個以上の機器を有するプラント全体、または一部分を模擬するモデル(プラントモデル3A)を作成する機能を具備する。具体的には、機器モデル4AをGUI上で配置して接続し、プラントモデル図3A1を作成することと境界条件や定数値、初期値の設定をすることである。
【0005】
プラントモデルソース出力手段5は、作成されたプラントモデル3Aに基づいてプラントモデルソース6を出力する。プラントモデルソース6は、プラントモデル作成手段24で作成されたプラントモデル3Aから、プラント動特性シミュレーションを実行制御手段7にて実現するための汎用言語で記載されたものであある。また、プラントモデルソース6は記述された汎用言語のコンパイル環境によりコンパイルすることができる。出力手段8は実行制御手段7により実行されたシミュレーション結果9Aを出力する機能を具備し、例えば表示手段10に表示出力したり、プリンタに印刷出力したりする。
【特許文献1】特開2003−150890号公報
【特許文献2】特開平08−278808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、プラントの規模が大きく、開発・作成するプラントモデルが大規模な場合には、従来例のプラントモデル開発システムでは対応できないことがある。機器モデル・プラントモデルの開発・作成を複数の作業者が分担して行うことが一般的であるため、製作における変更管理が困難となる。また、機器モデル4Aは汎用的に作成され、複数のプラントモデル3Aで使用されており、また機器モデルどうしを接続するための入出力情報も複雑であるため、機器モデル及びプラントモデルが変更されると、他のモデルに与える影響を把握することが困難である。また、プラントモデルの変更がシミュレーション結果に与える影響範囲を把握することも困難である。
【0007】
本発明の目的は、作業者が機器モデル及びプラントモデルの変更箇所や変更による影響を意識することなく、プラントモデル開発を行うことができるプラントモデル開発システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプラントモデル開発システムは、プラントを構成する機器の特性を模擬するモデルを作成する機器モデル作成手段と、複数個の前記機器モデルをグラフィカルなインターフェースで配置し接続することでプラントの構成を表す配置接続図を作成し配置された機器モデルに設定値を設定することによりプラントモデルを作成するプラントモデル作成手段と、前記プラントモデルのソースを出力するプラントモデルソース出力手段と、前記プラントモデルのソースをコンパイルして実行する実行制御手段と、前記実行制御手段によりシミュレーション結果を出力する出力手段と、前記機器モデルと前記プラントモデルと前記シミュレーション結果とを管理する履歴管理手段と、変更前の機器モデルと変更後の機器モデル、変更前のプラントモデルと変更後のプラントモデルとを比較し変更データを抽出する変更データ抽出手段と、前記シミュレーション結果と前記変更データとを統合し作業者に前記変更データと前記シミュレーション結果との関連情報を提供するデータ統合手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業者が機器モデル及びプラントモデルの変更箇所や変更による影響を意識することなく、プラントモデル開発を行うことができるプラントモデル開発システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図である。この第1の実施の形態は、図13に示した従来例に対し、製作を行ったモデル及びシミュレーション結果の履歴を管理するデータ管理手段12を追加して設けたものである。図13と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0011】
データ管理手段12は、履歴DB2B、変更データ抽出手段13、データ統合手段11からなる。履歴DB2Bは、履歴管理手段25、プラントモデル(履歴DB)3B、機器モデル(履歴DB)4B、シミュレーション結果(履歴DB)9Bを有する。また、変更データ抽出手段13は抽出した変更データを有する。
【0012】
例えば、作業者は作業用DB2Aにて、機器モデル作成手段23及びプラントモデル作成手段24によって機器モデル4A及びプラントモデル3Aの作成作業を行う。そして、ある一定の作業が終了すると、作業者は、作成または変更したモデルについて、プラントモデル開発システムに対して確定処理を行う。これにより、プラントモデル開発システムはモデルに改訂番号を採番し、履歴DB2Bにそのモデルを登録する仕組みになっている。
【0013】
変更データ抽出手段13では作業用DB2Aの確定処理時に、履歴DB2Bのモデル3A、4Aと作業用DB2Aのモデル3B、4Bとを比較し、変更データ14を抽出し、変更データ14があるときはモデルに改訂番号を採番する。このようように、変更データ抽出手段13は、変更データ14を作成する機能と、改訂番号を採番する機能とを有している。
【0014】
また、実行制御手段7にて実行されたシミュレーション結果9Aもプラントモデル3A及び機器モデル4Aの管理番号と関連づけられて、履歴DB2Bに登録される。さらに登録されたシミュレーション結果9Bはプラントモデル3Bごとにプラントモデルの単体試験のエビデンスとして、履歴管理手段25にて管理されている。
【0015】
図2は変更データ抽出手段13の処理手順を示すフローチャートである。まず、変更データ抽出手段13は処理が開始されると更新ファイルを抽出し(ステップS1)、更新ファイルの抽出後に、機器モデル4A(B)の比較処理を行い(ステップS2)、更新前後の変更検出を行う(ステップS3)。変更が検出された場合には、機器モデル4Aに対して改訂番号の更新を行い、機器モデル4Aを構成する要素を管理する管理番号を更新する。さらに機器モデル4Aの変更情報を記載した機器モデル変更情報4Cも出力する(ステップS4)。
【0016】
また、プラントモデル3Aに関しても同様に、プラントモデル比較処理を行い(ステップS5)、その後に、変更検出を行い(ステップS6)、変更が検出された場合にはプラントモデル3Aに対しての改訂番号の更新、プラントモデル3Aを構成する要素を管理する管理番号の更新、プラントモデル3Aの変更情報を記載したプラントモデル変更情報3Cの出力を行う(ステップS7)。最後に出力された機器モデル変更情報4Cとプラントモデル変更情報3Cとを統合することにより変更データ14を作成する(ステップ8)。
【0017】
図3は機器モデル4Aとプラントモデル3Aとの構成例及び改訂番号・管理番号の管理例の説明図である。機器モデル4Aの構成要素として、図形情報4A1、ソースコード4A2、入出力情報4A3とし、それぞれの構成要素には改訂番号が付与されている。プラントモデル3Aの構成要素の例として、プラントモデル図3A1と、プラントモデル図3A1に配置された機器モデル4Aの構成情報を管理するプラント機器構成情報3A3と、モデルに設定された設定値リスト3A2と、これらを管理するプラントモデル管理情報3A4とから構成されている。
【0018】
ここで、図3の機器モデル4Aを構成するソースコード4A2に対して変更が行われたとすると、ソースコード4A2の改訂番号が更新され、次に機器モデル管理情報4A4の管理番号、プラント機器構成情報3A3の内容、プラント機器構成情報3A3の管理番号、プラントモデル管理情報3A4の内容、プラントモデル管理情報3A4の管理番号のような順で更新される。図1の履歴DB2Bでは履歴管理手段25によって、モデルの履歴だけではなく、機器モデル管理情報及びプラントモデル管理情報を含めて登録されている。
【0019】
またプラントモデル管理情報3A4の管理番号はシミュレーション結果9Aに関連付けされており、シミュレーション結果9Aがどのモデルにより作成されたのかが容易に判別できるようになっている。変更データ抽出手段13にて得られた変更データ14を参照することにより、作業者は他の複数の作業者による変更を把握するとともに、変更による影響を検討することが可能である。
【0020】
また、シミュレーション結果9A及び履歴DB2Bに登録されているシミュレーション結果9B及び変更データ14を図1のデータ統合手段11により統合し、同時に表示することにより、変更によるシミュレーション結果の差異を容易に比較することが可能となる。
【0021】
本発明の第1の実施の形態によれば、機器モデル、プラントモデル及びシミュレーション結果を管理し、変更管理及び変更による影響の把握を的確にすることで、作業者が機器モデル及びプラントモデルの変更箇所や変更による影響を意識することなく、プラントモデル開発を行うことが可能となり、プラントモデルの開発効率向上を図ることができる。
【0022】
(第2の実施の形態)
図4は本発明の第2実施の形態の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、影響範囲抽出手段15、影響範囲表示手段16及びプラントモデルソース自動出力手段26を追加して設けたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0023】
影響範囲抽出手段15は、変更データ抽出手段13により得られる変更データ14に基づいて変更による影響範囲を抽出するものである。影響範囲表示手段16は、影響範囲にあるプラントモデルソース6の再出力が必要な場合に再出力が必要なプラントモデル3Aを表示する。また、プラントモデルソース自動出力手段26は、作業者による要求により、プラントモデルソース6の再出力を自動的に行う。
【0024】
図5はプラントモデル3Aと機器モデル4Aとの関連図である。図5に示すように、1つのプラントモデル3Aは2つ以上の機器モデル4Aから構成されており、プラントモデル3Aの数が膨大であると、機器モデル4Aとの関連も膨大になる。ここで、ある機器モデル4Aに対して変更が生じたとすると、その影響はその機器モデル4Aを使用している多数のプラントモデル3Aに影響し、必要に応じて影響範囲内にあるプラントモデルソース6をプラントモデル出力手段5により再出力しなければならない。
【0025】
そこで、影響範囲抽出手段15では、変更データ抽出手段13により得られた変更データ14を用いて、プラントモデルソース6の再出力が必要なプラントモデル3Aを抽出し、影響範囲表示手段16によって影響範囲を表示し、作業者に的確に明示する。さらに、プラントモデルソース自動出力手段26では、作業者からのプラントモデル開発システムへの要求により、プラントモデルソース6の再出力を自動的に行う。
【0026】
図6は、影響範囲抽出手段15の処理内容を示すフローチャートである。影響範囲抽出手段15では、変更のある機器モデル4Aがあるか否かを判定し(ステップSS1)、変更されている機器モデル4Aがあるときは変更データ14の内容を解析する(ステップSS2)。そして、機器モデル4Aに接続されている隣接機器モデルに影響があるかを判断し(ステップSS3)、影響のある場合には機器モデルの修正を行う(ステップSS4)。
【0027】
次に、ステップSS1の判定で、変更されている機器モデルがないと判断されたときは、プラントモデルに関して変更のあるプラントモデルがあるか否かを判定する(ステップSS5)。変更されているプラントモデルがある場合には、変更データ14の内容を解析し(ステップSS6)、プラントモデルソース6に影響があるかを判定する(ステップSS7)。この処理をすべてのプラントモデル3Aに関して行うことにより影響範囲抽出処理を終了する。
【0028】
本発明の第2の実施の形態によれば、変更による影響範囲内にあるプラントモデルソース6の再出力を作業者が意識して行う必要がなくなり、必要な箇所のみ漏れなく行うことが可能となる。
【0029】
(第3の実施の形態)
図7は本発明の第3の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図である。この第3の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、影響範囲抽出手段15及び影響範囲表示手段16を追加して設け、影響範囲抽出手段15により、機器モデル4Aの一部の変更による影響範囲が抽出され機器モデル4Aと接続された機器モデル4Aに影響があると判断された場合に、影響範囲表示手段16は、プラントモデル3Aを作成する製作画面上に機器モデル4Aの変更によるすべての影響範囲を表示し、かつ接続された機器モデル4Aの修正すべき内容を提供するようにしたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0030】
図7において、影響範囲表示手段16で得られた影響範囲の出力は、プラントモデル3Aの製作画面(プラントモデル製作画面)上に表示される。そして、接続された機器モデル4Aの修正すべき内容を提供する。
【0031】
図8はプラントモデル製作画面上に影響範囲を表示する一例の説明図である。図8において、ある機器モデルXの入出力情報(A点)が変更されたとすると、その変更データは影響範囲抽出手段15に入力される。影響範囲抽出手段15においては、機器モデルXとプラントモデル上で接続されている機器モデル4A(隣接機器モデル)に影響があるかが判断され、変更により影響のある接続機器モデルであると判断されれば、機器モデルXが使用されているすべてのプラントモデル3Aを抽出する。
【0032】
そして、影響範囲表示手段16により、影響範囲表示画面(プラントサマリ)18上にプラントモデル3Aの強調表示を行う。作業者は確認したいプラントモデル3Aをマウス等で選択することにより、プラントモデル製作画面19に画面を展開させることができる。プラントモデル製作画面19では、A点の変更によるすべての影響範囲の表示を行っており、さらにA点をマウス等で選択することで、A点の変更内容や隣接機器モデルの修正すべき内容を提供することが可能である。
【0033】
本発明の第3の実施の形態によれば、ある機器モデルの変更による隣接機器モデルへの影響が明確になり、隣接機器モデルの修正を容易に行うことができる。
【0034】
(第4の実施の形態)
図9は本発明の第4の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの機器モデルの自動調整手段の機能を説明するためのプラントモデル製作画面の平面図である。この第4の実施の形態は、第3の実施の形態に対し、プラントモデルを作成する製作画面上にて接続された二つの機器モデルの間に入出力情報の不一致を有する場合に、不一致を吸収しプラントモデルの整合性をとることが可能になる変換部品を自動的に配置し接続する自動調整手段を設けたものである。
【0035】
図9において、図9(a)は機器モデル4Aの結線前のプラントモデル制作画面、図9(b)は機器モデル4Aの結線後のプラントモデル制作画面である。図9(b)に示すように、機器モデル4Aの結線後においては機器モデル4Aを接続するための変換部品20が自動的に作成される。
【0036】
いま、作業者はある二つの機器モデル4A(例えばポンプとバルブ)を接続する場合を考える。機器モデル4Aは機器の入出力の内容を規定する入出力情報4A3を有しており、接続する機器モデル4Aはお互いの入出力情報4A3が整合性の取れた接続ルールの条件を満たすことが必要である。
【0037】
図9(a)に示すように、プラントモデル製作画面(接続前)19において、ポンプ出口側の入出力情報4A3の一部である成分濃度の単位とバルブ入口側の成分濃度の単位とに不一致がある。このような場合、従来のシステムではバルブ側の単位とポンプ側の単位とを統一する必要が生じていた。そこで、例えば、バルブ入口側の単位をmol/lに変更することも考えられる。そうした場合、バルブ側の単位とポンプ側の単位とは一致するが、バルブ入口側に接続された他の機器モデル4Aにも影響を与える可能性があり、安易に変更することができなかった。また、再処理プラントのような実プラントでは、施設及び工程ごとに使用する単位が異なることがあり、シミュレーションを行うプラントモデル3Aにおいても、単位を統一することは容易なことではなかった。結果として機器モデル4Aの特性は同じであるが、単位だけが異なるという派生機器モデルを製作せざるを得なかった。
【0038】
一方、図9(b)のプラントモデル製作画面(接続後)19では、このような不一致を有する状態で接続を行った場合に、不一致を吸収しプラントモデルの整合性をとることが可能な変換部品20を自動的に生成して、配置・接続を行う機能(自動調整手段)を有している。自動調整手段は、不一致を有する状態で接続を行った場合に変換DB21の内容に基づいて適切な変換部品20を生成する。
【0039】
本発明の第4の実施の形態によれば、作業者は単位のような入出力情報4A3の不一致を意識しなくとも、容易にプラントモデルを作成することが可能となるだけでなく、単位だけが異なる冗長な派生機器モデルを製作するようなことが不必要になる。
【0040】
(第5の実施の形態)
図10は本発明の第5の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図である。この第5の実施の形態は、第4の実施の形態に対し、機器モデル4Aの一部の変更による影響範囲を抽出し、影響範囲を自動修正する影響範囲自動修正手段22を設け、影響範囲自動修正手段22は、機器モデル4Aに接続された他の機器モデルに影響があると判断された場合に、変換部品20によってプラントモデルを自動修正するようにしたものである。
【0041】
影響範囲自動修正手段22は、機器モデル4Aが変更されると、影響範囲抽出手段15によって影響範囲が抽出され、影響範囲のプラントモデル3Aを自動修正する。
【0042】
図11は本発明の第5の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの影響範囲自動修正手段22の機能を説明するためのプラントモデル製作画面の平面図である。図11(a)は機器モデル4Aの結線前のプラントモデル制作画面、図11(b)は機器モデル4Aの結線後のプラントモデル制作画面である。
【0043】
図11(a)に示すように、プラントモデル製作画面(単位変更前)19では、二つの機器モデル4Aの入出力情報4A3に接続ルールに反した不一致はなく、接続されている状態を表している。図11(b)に示すように、プラントモデル製作画面(単位変更後)19では、ポンプ出口の成分濃度の単位をmol/lからg/lに変更した状態を表している。
【0044】
この変更が行われた場合には、影響範囲抽出手段15によりバルブ入口側の単位を変更する必要があると判断され、作業者がシステムに対して要求することにより、影響範囲自動修正手段22は第4の実施の形態で述べた方法により、変換部品20を自動生成して、配置し接続することで、プラントモデル3Aを自動修正する。
【0045】
本発明の第5の実施の形態によれば、影響範囲自動修正手段22に変換部品20を生成する機能を設けたので、機器モデル4Aの変更による影響を小さくすることが可能となる。
【0046】
(第6の実施の形態)
図12は本発明の第6の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図である。この第5の実施の形態は、図4に示した第2の実施の形態に対し、影響範囲自動修正手段22及び自動試験手段27を設けたものである。図4と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0047】
自動試験手段27は、プラントモデルソース自動出力手段26により再出力を行ったプラントモデルソース6に対して、作業者の要求により、実行制御手段7を用いて自動的に連続実行する。
【0048】
シミュレーション結果9Bは、プラントモデル3Bごとにプラントモデル3Bの単体試験のエビデンスとして、履歴管理手段25により履歴DB2Bにて保存され管理されている。この場合、機器モデル4A及びプラントモデル3Aが変更された場合には、影響範囲を抽出し影響範囲内にあるプラントモデルの再試験しなければならないが、変更が起きるたびに、影響範囲内にあるプラントモデルの再試験を行うのは非常に作業効率が悪くなる。
【0049】
そこで、自動試験手段27は、プラントモデルソース自動出力手段26により、再出力を行ったすべてのプラントモデルソース6を、作業者の要求により、連続して実行し再試験をする。なお、影響範囲自動修正手段22は第5の実施の形態で述べたものと同じである。
【0050】
第6の実施の形態によれば、変更による影響のある個々のプラントモデル3Aに対して、手動で試験を行う必要がないため作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における変更データ抽出手段13の処理手順を示すフローチャート。
【図3】本発明の第1の実施の形態における機器モデルとプラントモデルとの構成例及び改訂番号・管理番号の管理例の説明図。
【図4】本発明の第2実施の形態の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図。
【図5】本発明の第2実施の形態の形態におけるプラントモデルと機器モデルとの関連図。
【図6】本発明の第2の実施の形態における影響範囲抽出手段15の処理内容を示すフローチャート。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図。
【図8】本発明の第3の実施の形態におけるプラントモデル製作画面上に影響範囲を表示する一例の説明図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの機器モデルの自動調整手段の機能を説明するためのプラントモデル製作画面の平面図。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの影響範囲自動修正手段の機能を説明するためのプラントモデル製作画面の平面図。
【図12】本発明の第6の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図。
【図13】従来のプラントモデル開発システムの構成図。
【符号の説明】
【0052】
1…入力手段、2A…作業用DB、2B…履歴DB、3A…プラントモデル、3A1…プラントモデル図、3A2…設定値リスト、3A3…プラント機器構成情報、3A4…プラントモデル管理情報、3B…プラントモデル(履歴DB)、3C…プラントモデル変更情報、4A…機器モデル、4A1…図形情報、4A2…ソースコード、4A3…入出力情報、4A4…機器モデル管理情報、4B…機器モデル(履歴DB)、4C…機器モデル変更情報、5…プラントモデルソース出力手段、6…プラントモデルソース、7…実行制御手段、8…出力手段、9A…シミュレーション結果、9B…シミュレーション結果(履歴DB)、10…表示手段、11…データ統合手段、12…データ管理手段、13…変更データ抽出手段、14…変更データ、15…影響範囲抽出手段、16…影響範囲表示手段、18…影響範囲表示画面、19…プラントモデル製作画面、20…変換部品、21…変換DB、22…影響範囲自動修正手段、23…機器モデル作成手段、24…プラントモデル作成手段、25…履歴管理手段、26…プラントモデルソース自動出力手段、27…自動試験手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントの挙動を模擬したプラントモデルを開発するためのプラントモデル開発システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラント運転訓練装置やプラントの制御装置を開発するために、プラントの挙動を模擬したプラントモデルの開発・作成するためのプラントモデル開発システムがある。プラントモデルを開発するものとしては、プラントの構成要素である機器を独立したオブジェクトとして作成し、グラフィカルなインターフェース(GUI)により、画面上で配置、接続することによって、ユーザーがプラントモデルを熟知していなくとも、プラントモデルの構築及び修正が可能となるシステムが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
図13は従来のプラントモデル開発システムの構成図である。作業者はマンマシンインターフェースである入力手段1にて情報を作業用DB2Aに入力する。作業用DB2Aは、機器モデル4Aを作成する機器モデル作成手段23と、プラントモデル3Aを作成するプラントモデル作成手段24とを有する。機器モデル作成手段23はプラントを構成する各機器の特性を模擬したモデル(機器モデル4A)を作成する機能を具備する。機器モデル4Aには、例えば、機器の特性を表現する図形情報4A1、ソースコード4A2、入出力情報4A3が含まれる。
【0004】
また、プラントモデル作成手段24は、少なくとも2個以上の機器を有するプラント全体、または一部分を模擬するモデル(プラントモデル3A)を作成する機能を具備する。具体的には、機器モデル4AをGUI上で配置して接続し、プラントモデル図3A1を作成することと境界条件や定数値、初期値の設定をすることである。
【0005】
プラントモデルソース出力手段5は、作成されたプラントモデル3Aに基づいてプラントモデルソース6を出力する。プラントモデルソース6は、プラントモデル作成手段24で作成されたプラントモデル3Aから、プラント動特性シミュレーションを実行制御手段7にて実現するための汎用言語で記載されたものであある。また、プラントモデルソース6は記述された汎用言語のコンパイル環境によりコンパイルすることができる。出力手段8は実行制御手段7により実行されたシミュレーション結果9Aを出力する機能を具備し、例えば表示手段10に表示出力したり、プリンタに印刷出力したりする。
【特許文献1】特開2003−150890号公報
【特許文献2】特開平08−278808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、プラントの規模が大きく、開発・作成するプラントモデルが大規模な場合には、従来例のプラントモデル開発システムでは対応できないことがある。機器モデル・プラントモデルの開発・作成を複数の作業者が分担して行うことが一般的であるため、製作における変更管理が困難となる。また、機器モデル4Aは汎用的に作成され、複数のプラントモデル3Aで使用されており、また機器モデルどうしを接続するための入出力情報も複雑であるため、機器モデル及びプラントモデルが変更されると、他のモデルに与える影響を把握することが困難である。また、プラントモデルの変更がシミュレーション結果に与える影響範囲を把握することも困難である。
【0007】
本発明の目的は、作業者が機器モデル及びプラントモデルの変更箇所や変更による影響を意識することなく、プラントモデル開発を行うことができるプラントモデル開発システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプラントモデル開発システムは、プラントを構成する機器の特性を模擬するモデルを作成する機器モデル作成手段と、複数個の前記機器モデルをグラフィカルなインターフェースで配置し接続することでプラントの構成を表す配置接続図を作成し配置された機器モデルに設定値を設定することによりプラントモデルを作成するプラントモデル作成手段と、前記プラントモデルのソースを出力するプラントモデルソース出力手段と、前記プラントモデルのソースをコンパイルして実行する実行制御手段と、前記実行制御手段によりシミュレーション結果を出力する出力手段と、前記機器モデルと前記プラントモデルと前記シミュレーション結果とを管理する履歴管理手段と、変更前の機器モデルと変更後の機器モデル、変更前のプラントモデルと変更後のプラントモデルとを比較し変更データを抽出する変更データ抽出手段と、前記シミュレーション結果と前記変更データとを統合し作業者に前記変更データと前記シミュレーション結果との関連情報を提供するデータ統合手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業者が機器モデル及びプラントモデルの変更箇所や変更による影響を意識することなく、プラントモデル開発を行うことができるプラントモデル開発システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図である。この第1の実施の形態は、図13に示した従来例に対し、製作を行ったモデル及びシミュレーション結果の履歴を管理するデータ管理手段12を追加して設けたものである。図13と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0011】
データ管理手段12は、履歴DB2B、変更データ抽出手段13、データ統合手段11からなる。履歴DB2Bは、履歴管理手段25、プラントモデル(履歴DB)3B、機器モデル(履歴DB)4B、シミュレーション結果(履歴DB)9Bを有する。また、変更データ抽出手段13は抽出した変更データを有する。
【0012】
例えば、作業者は作業用DB2Aにて、機器モデル作成手段23及びプラントモデル作成手段24によって機器モデル4A及びプラントモデル3Aの作成作業を行う。そして、ある一定の作業が終了すると、作業者は、作成または変更したモデルについて、プラントモデル開発システムに対して確定処理を行う。これにより、プラントモデル開発システムはモデルに改訂番号を採番し、履歴DB2Bにそのモデルを登録する仕組みになっている。
【0013】
変更データ抽出手段13では作業用DB2Aの確定処理時に、履歴DB2Bのモデル3A、4Aと作業用DB2Aのモデル3B、4Bとを比較し、変更データ14を抽出し、変更データ14があるときはモデルに改訂番号を採番する。このようように、変更データ抽出手段13は、変更データ14を作成する機能と、改訂番号を採番する機能とを有している。
【0014】
また、実行制御手段7にて実行されたシミュレーション結果9Aもプラントモデル3A及び機器モデル4Aの管理番号と関連づけられて、履歴DB2Bに登録される。さらに登録されたシミュレーション結果9Bはプラントモデル3Bごとにプラントモデルの単体試験のエビデンスとして、履歴管理手段25にて管理されている。
【0015】
図2は変更データ抽出手段13の処理手順を示すフローチャートである。まず、変更データ抽出手段13は処理が開始されると更新ファイルを抽出し(ステップS1)、更新ファイルの抽出後に、機器モデル4A(B)の比較処理を行い(ステップS2)、更新前後の変更検出を行う(ステップS3)。変更が検出された場合には、機器モデル4Aに対して改訂番号の更新を行い、機器モデル4Aを構成する要素を管理する管理番号を更新する。さらに機器モデル4Aの変更情報を記載した機器モデル変更情報4Cも出力する(ステップS4)。
【0016】
また、プラントモデル3Aに関しても同様に、プラントモデル比較処理を行い(ステップS5)、その後に、変更検出を行い(ステップS6)、変更が検出された場合にはプラントモデル3Aに対しての改訂番号の更新、プラントモデル3Aを構成する要素を管理する管理番号の更新、プラントモデル3Aの変更情報を記載したプラントモデル変更情報3Cの出力を行う(ステップS7)。最後に出力された機器モデル変更情報4Cとプラントモデル変更情報3Cとを統合することにより変更データ14を作成する(ステップ8)。
【0017】
図3は機器モデル4Aとプラントモデル3Aとの構成例及び改訂番号・管理番号の管理例の説明図である。機器モデル4Aの構成要素として、図形情報4A1、ソースコード4A2、入出力情報4A3とし、それぞれの構成要素には改訂番号が付与されている。プラントモデル3Aの構成要素の例として、プラントモデル図3A1と、プラントモデル図3A1に配置された機器モデル4Aの構成情報を管理するプラント機器構成情報3A3と、モデルに設定された設定値リスト3A2と、これらを管理するプラントモデル管理情報3A4とから構成されている。
【0018】
ここで、図3の機器モデル4Aを構成するソースコード4A2に対して変更が行われたとすると、ソースコード4A2の改訂番号が更新され、次に機器モデル管理情報4A4の管理番号、プラント機器構成情報3A3の内容、プラント機器構成情報3A3の管理番号、プラントモデル管理情報3A4の内容、プラントモデル管理情報3A4の管理番号のような順で更新される。図1の履歴DB2Bでは履歴管理手段25によって、モデルの履歴だけではなく、機器モデル管理情報及びプラントモデル管理情報を含めて登録されている。
【0019】
またプラントモデル管理情報3A4の管理番号はシミュレーション結果9Aに関連付けされており、シミュレーション結果9Aがどのモデルにより作成されたのかが容易に判別できるようになっている。変更データ抽出手段13にて得られた変更データ14を参照することにより、作業者は他の複数の作業者による変更を把握するとともに、変更による影響を検討することが可能である。
【0020】
また、シミュレーション結果9A及び履歴DB2Bに登録されているシミュレーション結果9B及び変更データ14を図1のデータ統合手段11により統合し、同時に表示することにより、変更によるシミュレーション結果の差異を容易に比較することが可能となる。
【0021】
本発明の第1の実施の形態によれば、機器モデル、プラントモデル及びシミュレーション結果を管理し、変更管理及び変更による影響の把握を的確にすることで、作業者が機器モデル及びプラントモデルの変更箇所や変更による影響を意識することなく、プラントモデル開発を行うことが可能となり、プラントモデルの開発効率向上を図ることができる。
【0022】
(第2の実施の形態)
図4は本発明の第2実施の形態の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、影響範囲抽出手段15、影響範囲表示手段16及びプラントモデルソース自動出力手段26を追加して設けたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0023】
影響範囲抽出手段15は、変更データ抽出手段13により得られる変更データ14に基づいて変更による影響範囲を抽出するものである。影響範囲表示手段16は、影響範囲にあるプラントモデルソース6の再出力が必要な場合に再出力が必要なプラントモデル3Aを表示する。また、プラントモデルソース自動出力手段26は、作業者による要求により、プラントモデルソース6の再出力を自動的に行う。
【0024】
図5はプラントモデル3Aと機器モデル4Aとの関連図である。図5に示すように、1つのプラントモデル3Aは2つ以上の機器モデル4Aから構成されており、プラントモデル3Aの数が膨大であると、機器モデル4Aとの関連も膨大になる。ここで、ある機器モデル4Aに対して変更が生じたとすると、その影響はその機器モデル4Aを使用している多数のプラントモデル3Aに影響し、必要に応じて影響範囲内にあるプラントモデルソース6をプラントモデル出力手段5により再出力しなければならない。
【0025】
そこで、影響範囲抽出手段15では、変更データ抽出手段13により得られた変更データ14を用いて、プラントモデルソース6の再出力が必要なプラントモデル3Aを抽出し、影響範囲表示手段16によって影響範囲を表示し、作業者に的確に明示する。さらに、プラントモデルソース自動出力手段26では、作業者からのプラントモデル開発システムへの要求により、プラントモデルソース6の再出力を自動的に行う。
【0026】
図6は、影響範囲抽出手段15の処理内容を示すフローチャートである。影響範囲抽出手段15では、変更のある機器モデル4Aがあるか否かを判定し(ステップSS1)、変更されている機器モデル4Aがあるときは変更データ14の内容を解析する(ステップSS2)。そして、機器モデル4Aに接続されている隣接機器モデルに影響があるかを判断し(ステップSS3)、影響のある場合には機器モデルの修正を行う(ステップSS4)。
【0027】
次に、ステップSS1の判定で、変更されている機器モデルがないと判断されたときは、プラントモデルに関して変更のあるプラントモデルがあるか否かを判定する(ステップSS5)。変更されているプラントモデルがある場合には、変更データ14の内容を解析し(ステップSS6)、プラントモデルソース6に影響があるかを判定する(ステップSS7)。この処理をすべてのプラントモデル3Aに関して行うことにより影響範囲抽出処理を終了する。
【0028】
本発明の第2の実施の形態によれば、変更による影響範囲内にあるプラントモデルソース6の再出力を作業者が意識して行う必要がなくなり、必要な箇所のみ漏れなく行うことが可能となる。
【0029】
(第3の実施の形態)
図7は本発明の第3の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図である。この第3の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、影響範囲抽出手段15及び影響範囲表示手段16を追加して設け、影響範囲抽出手段15により、機器モデル4Aの一部の変更による影響範囲が抽出され機器モデル4Aと接続された機器モデル4Aに影響があると判断された場合に、影響範囲表示手段16は、プラントモデル3Aを作成する製作画面上に機器モデル4Aの変更によるすべての影響範囲を表示し、かつ接続された機器モデル4Aの修正すべき内容を提供するようにしたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0030】
図7において、影響範囲表示手段16で得られた影響範囲の出力は、プラントモデル3Aの製作画面(プラントモデル製作画面)上に表示される。そして、接続された機器モデル4Aの修正すべき内容を提供する。
【0031】
図8はプラントモデル製作画面上に影響範囲を表示する一例の説明図である。図8において、ある機器モデルXの入出力情報(A点)が変更されたとすると、その変更データは影響範囲抽出手段15に入力される。影響範囲抽出手段15においては、機器モデルXとプラントモデル上で接続されている機器モデル4A(隣接機器モデル)に影響があるかが判断され、変更により影響のある接続機器モデルであると判断されれば、機器モデルXが使用されているすべてのプラントモデル3Aを抽出する。
【0032】
そして、影響範囲表示手段16により、影響範囲表示画面(プラントサマリ)18上にプラントモデル3Aの強調表示を行う。作業者は確認したいプラントモデル3Aをマウス等で選択することにより、プラントモデル製作画面19に画面を展開させることができる。プラントモデル製作画面19では、A点の変更によるすべての影響範囲の表示を行っており、さらにA点をマウス等で選択することで、A点の変更内容や隣接機器モデルの修正すべき内容を提供することが可能である。
【0033】
本発明の第3の実施の形態によれば、ある機器モデルの変更による隣接機器モデルへの影響が明確になり、隣接機器モデルの修正を容易に行うことができる。
【0034】
(第4の実施の形態)
図9は本発明の第4の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの機器モデルの自動調整手段の機能を説明するためのプラントモデル製作画面の平面図である。この第4の実施の形態は、第3の実施の形態に対し、プラントモデルを作成する製作画面上にて接続された二つの機器モデルの間に入出力情報の不一致を有する場合に、不一致を吸収しプラントモデルの整合性をとることが可能になる変換部品を自動的に配置し接続する自動調整手段を設けたものである。
【0035】
図9において、図9(a)は機器モデル4Aの結線前のプラントモデル制作画面、図9(b)は機器モデル4Aの結線後のプラントモデル制作画面である。図9(b)に示すように、機器モデル4Aの結線後においては機器モデル4Aを接続するための変換部品20が自動的に作成される。
【0036】
いま、作業者はある二つの機器モデル4A(例えばポンプとバルブ)を接続する場合を考える。機器モデル4Aは機器の入出力の内容を規定する入出力情報4A3を有しており、接続する機器モデル4Aはお互いの入出力情報4A3が整合性の取れた接続ルールの条件を満たすことが必要である。
【0037】
図9(a)に示すように、プラントモデル製作画面(接続前)19において、ポンプ出口側の入出力情報4A3の一部である成分濃度の単位とバルブ入口側の成分濃度の単位とに不一致がある。このような場合、従来のシステムではバルブ側の単位とポンプ側の単位とを統一する必要が生じていた。そこで、例えば、バルブ入口側の単位をmol/lに変更することも考えられる。そうした場合、バルブ側の単位とポンプ側の単位とは一致するが、バルブ入口側に接続された他の機器モデル4Aにも影響を与える可能性があり、安易に変更することができなかった。また、再処理プラントのような実プラントでは、施設及び工程ごとに使用する単位が異なることがあり、シミュレーションを行うプラントモデル3Aにおいても、単位を統一することは容易なことではなかった。結果として機器モデル4Aの特性は同じであるが、単位だけが異なるという派生機器モデルを製作せざるを得なかった。
【0038】
一方、図9(b)のプラントモデル製作画面(接続後)19では、このような不一致を有する状態で接続を行った場合に、不一致を吸収しプラントモデルの整合性をとることが可能な変換部品20を自動的に生成して、配置・接続を行う機能(自動調整手段)を有している。自動調整手段は、不一致を有する状態で接続を行った場合に変換DB21の内容に基づいて適切な変換部品20を生成する。
【0039】
本発明の第4の実施の形態によれば、作業者は単位のような入出力情報4A3の不一致を意識しなくとも、容易にプラントモデルを作成することが可能となるだけでなく、単位だけが異なる冗長な派生機器モデルを製作するようなことが不必要になる。
【0040】
(第5の実施の形態)
図10は本発明の第5の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図である。この第5の実施の形態は、第4の実施の形態に対し、機器モデル4Aの一部の変更による影響範囲を抽出し、影響範囲を自動修正する影響範囲自動修正手段22を設け、影響範囲自動修正手段22は、機器モデル4Aに接続された他の機器モデルに影響があると判断された場合に、変換部品20によってプラントモデルを自動修正するようにしたものである。
【0041】
影響範囲自動修正手段22は、機器モデル4Aが変更されると、影響範囲抽出手段15によって影響範囲が抽出され、影響範囲のプラントモデル3Aを自動修正する。
【0042】
図11は本発明の第5の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの影響範囲自動修正手段22の機能を説明するためのプラントモデル製作画面の平面図である。図11(a)は機器モデル4Aの結線前のプラントモデル制作画面、図11(b)は機器モデル4Aの結線後のプラントモデル制作画面である。
【0043】
図11(a)に示すように、プラントモデル製作画面(単位変更前)19では、二つの機器モデル4Aの入出力情報4A3に接続ルールに反した不一致はなく、接続されている状態を表している。図11(b)に示すように、プラントモデル製作画面(単位変更後)19では、ポンプ出口の成分濃度の単位をmol/lからg/lに変更した状態を表している。
【0044】
この変更が行われた場合には、影響範囲抽出手段15によりバルブ入口側の単位を変更する必要があると判断され、作業者がシステムに対して要求することにより、影響範囲自動修正手段22は第4の実施の形態で述べた方法により、変換部品20を自動生成して、配置し接続することで、プラントモデル3Aを自動修正する。
【0045】
本発明の第5の実施の形態によれば、影響範囲自動修正手段22に変換部品20を生成する機能を設けたので、機器モデル4Aの変更による影響を小さくすることが可能となる。
【0046】
(第6の実施の形態)
図12は本発明の第6の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図である。この第5の実施の形態は、図4に示した第2の実施の形態に対し、影響範囲自動修正手段22及び自動試験手段27を設けたものである。図4と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0047】
自動試験手段27は、プラントモデルソース自動出力手段26により再出力を行ったプラントモデルソース6に対して、作業者の要求により、実行制御手段7を用いて自動的に連続実行する。
【0048】
シミュレーション結果9Bは、プラントモデル3Bごとにプラントモデル3Bの単体試験のエビデンスとして、履歴管理手段25により履歴DB2Bにて保存され管理されている。この場合、機器モデル4A及びプラントモデル3Aが変更された場合には、影響範囲を抽出し影響範囲内にあるプラントモデルの再試験しなければならないが、変更が起きるたびに、影響範囲内にあるプラントモデルの再試験を行うのは非常に作業効率が悪くなる。
【0049】
そこで、自動試験手段27は、プラントモデルソース自動出力手段26により、再出力を行ったすべてのプラントモデルソース6を、作業者の要求により、連続して実行し再試験をする。なお、影響範囲自動修正手段22は第5の実施の形態で述べたものと同じである。
【0050】
第6の実施の形態によれば、変更による影響のある個々のプラントモデル3Aに対して、手動で試験を行う必要がないため作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における変更データ抽出手段13の処理手順を示すフローチャート。
【図3】本発明の第1の実施の形態における機器モデルとプラントモデルとの構成例及び改訂番号・管理番号の管理例の説明図。
【図4】本発明の第2実施の形態の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図。
【図5】本発明の第2実施の形態の形態におけるプラントモデルと機器モデルとの関連図。
【図6】本発明の第2の実施の形態における影響範囲抽出手段15の処理内容を示すフローチャート。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図。
【図8】本発明の第3の実施の形態におけるプラントモデル製作画面上に影響範囲を表示する一例の説明図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの機器モデルの自動調整手段の機能を説明するためのプラントモデル製作画面の平面図。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの影響範囲自動修正手段の機能を説明するためのプラントモデル製作画面の平面図。
【図12】本発明の第6の実施の形態に係わるプラントモデル開発システムの構成図。
【図13】従来のプラントモデル開発システムの構成図。
【符号の説明】
【0052】
1…入力手段、2A…作業用DB、2B…履歴DB、3A…プラントモデル、3A1…プラントモデル図、3A2…設定値リスト、3A3…プラント機器構成情報、3A4…プラントモデル管理情報、3B…プラントモデル(履歴DB)、3C…プラントモデル変更情報、4A…機器モデル、4A1…図形情報、4A2…ソースコード、4A3…入出力情報、4A4…機器モデル管理情報、4B…機器モデル(履歴DB)、4C…機器モデル変更情報、5…プラントモデルソース出力手段、6…プラントモデルソース、7…実行制御手段、8…出力手段、9A…シミュレーション結果、9B…シミュレーション結果(履歴DB)、10…表示手段、11…データ統合手段、12…データ管理手段、13…変更データ抽出手段、14…変更データ、15…影響範囲抽出手段、16…影響範囲表示手段、18…影響範囲表示画面、19…プラントモデル製作画面、20…変換部品、21…変換DB、22…影響範囲自動修正手段、23…機器モデル作成手段、24…プラントモデル作成手段、25…履歴管理手段、26…プラントモデルソース自動出力手段、27…自動試験手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントを構成する機器の特性を模擬するモデルを作成する機器モデル作成手段と、複数個の前記機器モデルをグラフィカルなインターフェースで配置し接続することでプラントの構成を表す配置接続図を作成し配置された機器モデルに設定値を設定することによりプラントモデルを作成するプラントモデル作成手段と、前記プラントモデルのソースを出力するプラントモデルソース出力手段と、前記プラントモデルのソースをコンパイルして実行する実行制御手段と、前記実行制御手段によりシミュレーション結果を出力する出力手段と、前記機器モデルと前記プラントモデルと前記シミュレーション結果とを管理する履歴管理手段と、変更前の機器モデルと変更後の機器モデル、変更前のプラントモデルと変更後のプラントモデルとを比較し変更データを抽出する変更データ抽出手段と、前記シミュレーション結果と前記変更データとを統合し作業者に前記変更データと前記シミュレーション結果との関連情報を提供するデータ統合手段とを具備することを特徴としたプラントモデル開発システム。
【請求項2】
前記変更データ抽出手段により得られる前記変更データに基づいて変更による影響範囲を抽出する影響範囲抽出手段と、影響範囲にある前記プラントモデルソースの再出力が必要な場合に再出力が必要なプラントモデルを表示する影響範囲表示手段と、作業者による要求により前記プラントモデルソースの再出力を自動的に行うプラントモデルソース自動出力手段とを具備することを特徴とする請求項1記載のプラントモデル開発システム。
【請求項3】
前記影響範囲抽出手段により、前記機器モデルの一部の変更による影響範囲が抽出され前記機器モデルと接続された機器モデルに影響があると判断された場合に、前記影響範囲表示手段は、前記プラントモデルを作成する製作画面上に前記機器モデルの変更によるすべての影響範囲を表示し、かつ接続された機器モデルの修正すべき内容を提供することを特徴とする請求項2記載のプラントモデル開発システム。
【請求項4】
プラントモデルを作成する製作画面上にて接続された二つの機器モデルの間に入出力情報の不一致を有する場合に、不一致を吸収し前記プラントモデルの整合性をとることが可能になる変換部品を自動的に配置し接続する自動調整手段を具備することを特徴とする請求項2または3記載のプラントモデル開発システム。
【請求項5】
前記機器モデルの一部の変更による影響範囲を抽出し、前記影響範囲を自動修正する影響範囲自動修正手段を設け、前記影響範囲自動修正手段は、前記機器モデルに接続された他の機器モデルに影響があると判断された場合に、前記変換部品によって前記プラントモデルを自動修正することを特徴とした請求項4記載のプラントモデル開発システム。
【請求項6】
前記プラントモデルソース自動出力手段により再出力を行った前記プラントモデルソースに対して、作業者の要求により、前記実行制御手段を用いて自動的に連続実行する自動試験手段を具備することを特徴とした請求項2記載のプラントモデル開発システム。
【請求項1】
プラントを構成する機器の特性を模擬するモデルを作成する機器モデル作成手段と、複数個の前記機器モデルをグラフィカルなインターフェースで配置し接続することでプラントの構成を表す配置接続図を作成し配置された機器モデルに設定値を設定することによりプラントモデルを作成するプラントモデル作成手段と、前記プラントモデルのソースを出力するプラントモデルソース出力手段と、前記プラントモデルのソースをコンパイルして実行する実行制御手段と、前記実行制御手段によりシミュレーション結果を出力する出力手段と、前記機器モデルと前記プラントモデルと前記シミュレーション結果とを管理する履歴管理手段と、変更前の機器モデルと変更後の機器モデル、変更前のプラントモデルと変更後のプラントモデルとを比較し変更データを抽出する変更データ抽出手段と、前記シミュレーション結果と前記変更データとを統合し作業者に前記変更データと前記シミュレーション結果との関連情報を提供するデータ統合手段とを具備することを特徴としたプラントモデル開発システム。
【請求項2】
前記変更データ抽出手段により得られる前記変更データに基づいて変更による影響範囲を抽出する影響範囲抽出手段と、影響範囲にある前記プラントモデルソースの再出力が必要な場合に再出力が必要なプラントモデルを表示する影響範囲表示手段と、作業者による要求により前記プラントモデルソースの再出力を自動的に行うプラントモデルソース自動出力手段とを具備することを特徴とする請求項1記載のプラントモデル開発システム。
【請求項3】
前記影響範囲抽出手段により、前記機器モデルの一部の変更による影響範囲が抽出され前記機器モデルと接続された機器モデルに影響があると判断された場合に、前記影響範囲表示手段は、前記プラントモデルを作成する製作画面上に前記機器モデルの変更によるすべての影響範囲を表示し、かつ接続された機器モデルの修正すべき内容を提供することを特徴とする請求項2記載のプラントモデル開発システム。
【請求項4】
プラントモデルを作成する製作画面上にて接続された二つの機器モデルの間に入出力情報の不一致を有する場合に、不一致を吸収し前記プラントモデルの整合性をとることが可能になる変換部品を自動的に配置し接続する自動調整手段を具備することを特徴とする請求項2または3記載のプラントモデル開発システム。
【請求項5】
前記機器モデルの一部の変更による影響範囲を抽出し、前記影響範囲を自動修正する影響範囲自動修正手段を設け、前記影響範囲自動修正手段は、前記機器モデルに接続された他の機器モデルに影響があると判断された場合に、前記変換部品によって前記プラントモデルを自動修正することを特徴とした請求項4記載のプラントモデル開発システム。
【請求項6】
前記プラントモデルソース自動出力手段により再出力を行った前記プラントモデルソースに対して、作業者の要求により、前記実行制御手段を用いて自動的に連続実行する自動試験手段を具備することを特徴とした請求項2記載のプラントモデル開発システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−226090(P2008−226090A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66457(P2007−66457)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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