説明

プリンタおよび決済システム

【課題】署名情報を消滅させることなく、短時間でカード決済を行う。
【解決手段】印刷部110が売上情報を印刷した売上伝票を、搬送部140が利用者情報を記入するためにプリンタ100の筺体に開けられた窓部170の位置へ搬送し、入力部150に所定の指示が入力された後、搬送部140が売上伝票をスキャナ部120へ搬送し、スキャナ部120が利用者情報を売上伝票から画像として読み取り、制御部160がその画像を上位装置へ送信し、上位装置から所定の信号が送信されてきた後、搬送部140が売上伝票をスキャナ部120から排出部130へ搬送し、排出部130が売上伝票をプリンタ100の外部へ排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、売上伝票を出力するプリンタおよび決済システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、クレジットカードを用いて決済(カード決済)を行う場合、クレジットカード決済端末本体にて印刷されたカードブランド用売上伝票を、店員がカード会員である利用者に手渡し、当該利用者がカードブランド用売上伝票に署名をして店員へ返却する。
【0003】
また、近年では、タッチパネル機能を備えたサイン入力手段を用いて、利用者が署名を行う技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−282530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カードブランド用売上伝票の受け渡しを行う場合、その受け渡しの作業に時間がかかってしまうという問題点がある。そのため、短時間で決済を完了させたいカード会員が、カードブランド用売上伝票の受け渡し作業が不要な現金決済を選択してしまう場合がある。
【0006】
また、特許文献1に記載された技術においては、タッチパネル機能に障害が発生した場合、ペン入力手段に入力した署名情報が消滅してしまうおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決するプリンタおよび決済システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプリンタは、
プリンタであって、
所定の紙に売上情報を印刷する印刷部と、
前記売上情報が印刷された紙である売上伝票に、当該プリンタの外部から利用者が利用者情報を記入するために当該プリンタの筺体に開けられた窓部と、
前記利用者情報が記入された売上伝票から、該利用者情報を画像として読み取るスキャナ部と、
前記利用者情報が読み取られた売上伝票を、当該プリンタの外部へ排出する排出部と、
前記スキャナ部が読み取った画像を、当該プリンタと接続された上位装置へ送信する制御部と、
前記売上伝票を、前記印刷部から前記排出部まで搬送する搬送部と、
所定の指示を入力する入力部とを有し、
前記搬送部は、前記売上伝票が前記窓部の位置に搬送されてきてから前記入力部に前記指示が入力されるまでの間と、前記制御部が前記画像を送信してから前記上位装置から所定の信号が送信されてくるまでの間とにおいて、前記売上伝票の搬送を停止するプリンタ。
【0009】
また、本発明の決済システムは、
プリンタと、該プリンタと接続された上位装置とから構成される決済システムにおいて、
前記上位装置は、前記プリンタから送信されてきた画像を表示する表示部を有し、
前記プリンタは、
所定の紙に売上情報を印刷する印刷部と、
前記売上情報が印刷された紙である売上伝票に、当該プリンタの外部から利用者が利用者情報を記入するために当該プリンタの筺体に開けられた窓部と、
前記利用者情報が記入された売上伝票から、該利用者情報を画像として読み取るスキャナ部と、
前記利用者情報が読み取られた売上伝票を、当該プリンタの外部へ排出する排出部と、
前記スキャナ部が読み取った画像を、前記上位装置へ送信する制御部と、
前記売上伝票を、前記印刷部から前記排出部まで搬送する搬送部と、
所定の指示を入力する入力部とを有し、
前記搬送部は、前記売上伝票が前記窓部の位置に搬送されてきてから前記入力部に前記指示が入力されるまでの間と、前記制御部が前記画像を送信してから前記上位装置から所定の信号が送信されてくるまでの間とにおいて、前記売上伝票の搬送を停止することを特徴とする決済システム。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、署名情報を消滅させることなく、短時間でカード決済を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の決済システムの実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示したプリンタの内部構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1に示したプリンタの内部構造の一例を示す構造図である。
【図4】図1に示したプリンタの外観の一例を示す外観図である。
【図5】本形態における処理を説明するためのシーケンス図である。
【図6】ステップS7にて決済装置に表示された画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の決済システムの実施の一形態を示す図である。
【0014】
本形態は図1に示すように、プリンタ100と、決済装置200とから構成されており、プリンタ100と決済装置200とが、伝送ケーブル300を用いて接続されている。
【0015】
プリンタ100は、クレジットカード決済時に、カードブランド用売上伝票および利用者用売上伝票(以下、売上伝票)を印刷して排出する。
【0016】
決済装置200は、プリンタ100の上位装置であり、外部接続ケーブル400を介して、アクワイアラ(加盟店契約会社)と接続し、クレジットカード決済を行う。また、決済装置200は、利用者の署名(サイン)の確認を行うための装置である。
【0017】
図2は、図1に示したプリンタ100の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
図3は、図1に示したプリンタ100の内部構造の一例を示す構造図である。
【0019】
図1に示したプリンタ100には図2に示すように、印刷部110と、スキャナ部120と、排出部130と、搬送部140と、入力部150と、制御部160とが設けられている。
【0020】
また、図1に示したプリンタ100には図3に示すように、窓部170が設けられている。
【0021】
印刷部110は、図3に示したようにプリンタ100に格納されたロール紙に売上情報を印刷する。この売上伝票に示す情報は、決済装置200から送信されてきたカードブランド用売上伝票および利用者用売上伝票の情報である。また、このとき、サーマルヘッド111を用いて印刷を行う。
【0022】
窓部170は、図3に示すように、印刷部110にて売上情報が印刷された売上伝票の所定の位置に、プリンタ100の外部から利用者が利用者情報を記入するためにプリンタ100の筺体に開けられた開口部である。この窓部170が設けられているため、プリンタ100内部を搬送されている売上伝票の所定の位置に、利用者が手書きで署名をする(利用者情報を記入する)ことができる。
【0023】
スキャナ部120は、利用者情報となる署名が記入された売上伝票が搬送されてくると、当該売上伝票から、利用者情報を画像として読み取る。また、スキャナ部120は、読み取った画像を制御部160へ出力する。
【0024】
排出部130は、スキャナ部120で利用者情報が読み取られた売上伝票を、プリンタ100の外部へ排出する。このとき、排出部130は、売上伝票をロール紙から切り離して排出する。
【0025】
入力部150は、所定の指示を入力する。ここで、入力部150は、利用者が利用者情報を記入した後に、利用者情報の記入が完了したことを入力するために押下される確定キー(ボタン)である。
【0026】
制御部160は、スキャナ部120から出力されてきた画像を、決済装置200へ送信する。
【0027】
搬送部140は、ローラーから構成され、ロール紙(売上伝票)を、印刷部110から排出部130まで搬送する。図3にて太線で示したものがロール紙の搬送経路を示すものである。また、搬送部140は、売上伝票が窓部170の位置に搬送されてきてから、入力部150に所定の指示が入力されるまでの間、売上伝票の搬送を停止する。また、搬送部140は、制御部160が画像を送信してから、決済装置200から所定の信号が送信されてくるまでの間、売上伝票の搬送を停止する。
【0028】
また、搬送部140は、決済装置200から第1の信号が送信されてきた場合、売上伝票をスキャナ部120の位置から排出部130へ搬送する。また、搬送部140は、決済装置200から第2の信号が送信されてきた場合は、売上伝票をスキャナ部120の位置から窓部170の位置へ搬送し戻す。この「第1の信号」および「第2の信号」については、後述する。
【0029】
図4は、図1に示したプリンタ100の外観の一例を示す外観図である。
【0030】
図1に示したプリンタ100の外観は図4に示すように、プリンタ100の筺体の1つの面に、窓部170と入力部150とが配置されている。また、窓部170が開口部となっているため、利用者が、プリンタ100の内部を搬送されている売上伝票180に示されたサイン記入箇所181(図4中、破線で囲った部分)にサイン(署名)を記入することができる構造となっている。また、入力部150は、「確定」等の表示がされ、利用者がサイン記入完了後に押下することができるボタン構造となっている。また、窓部170と入力部150とが配置されている面と垂直の面に排出部130が開口部となって設けられている。
【0031】
以下に、本形態における処理について説明する。
【0032】
図5は、本形態における処理を説明するためのシーケンス図である。なお、利用者が商品等を購入して、決済装置200から売上伝票を示す情報がプリンタ100へ送信されてくる処理は、一般的なものと同じであるため、ここではその後の処理について説明する。
【0033】
決済装置200から伝送ケーブル300を介して送信されてきた情報に基づいて、印刷部110によって売上伝票がロール紙に印刷される(ステップS1)。このとき、カードブランド用売上伝票が先に印刷され、続いて、利用者用売上伝票が印刷される。
【0034】
印刷後、搬送部140によって、売上伝票が窓部170の位置まで搬送される(ステップS2)。このとき、売上伝票のうちカードブランド用売上伝票に示されたサイン記入箇所が窓部170に含まれるような位置に売上伝票が搬送される。つまり、この位置は、カードブランド用売上伝票に示されたサイン記入箇所に、プリンタ100の外部から利用者がサインを記入することが可能な位置である。
【0035】
そして、利用者がサイン記入箇所に筆記具でサイン(署名)を記入する。
【0036】
その後、入力部150が押下されたかどうかが制御部160によって判断される(ステップS3)。
【0037】
入力部150が押下されていない場合、搬送部140による売上伝票の搬送は再開されない。
【0038】
また、入力部150が押下された場合、搬送部140による売上伝票の搬送が再開され、搬送部140によって当該売上伝票がスキャナ部120の位置まで搬送される(ステップS4)。具体的には、売上伝票のうちのカードブランド用売上伝票に示されたサイン記入箇所がスキャナ部120で読み取ることができる位置へ、売上伝票が搬送される。
【0039】
すると、スキャナ部120によって、売上伝票のうちのカードブランド用売上伝票に示されたサイン記入箇所に記入されたサイン(署名)が画像として読み取られる(ステップS5)。
【0040】
読み取られた画像は、スキャナ部120から制御部160へ出力され、制御部160から伝送ケーブル300を介して決済装置200へ送信される(ステップS6)。
【0041】
プリンタ100から送信された画像が決済装置200にて受信されると、当該画像が決済装置200にて表示される(ステップS7)。
【0042】
図6は、ステップS7にて決済装置200に表示された画像の一例を示す図である。
【0043】
図6に示すように、プリンタ100から送信されてきたサイン画像が、決済装置200に設けられている表示部210に表示される。表示部210に表示されたサインは、利用者がプリンタ100の窓部170から露出している売上伝票のサイン記入箇所に記入し、スキャナ部120で読み取られたものである。
【0044】
そして、表示部210に表示されているサインと、クレジットカード裏面に記入されているサインとの照合を、加盟店の店員が目視にて行う。
【0045】
その後、入力部220が押下されたかどうかが決済装置200にて判断される(ステップS8)。この入力部220は図6に示すように、「OK」および「NG」が表示された確定キー等であり、店員が、表示部210に表示されているサインと、クレジットカード裏面に記入されているサインとが同じものであるか否かを入力する入力ボタンである。店員が、表示部210に表示されているサインと、クレジットカード裏面に記入されているサインとが同じものであると判断した場合、入力部220の「OK」が押下される。また、店員が、表示部210に表示されているサインと、クレジットカード裏面に記入されているサインとが同じものではないと判断した場合、入力部220の「NG」が押下される。
【0046】
入力部220が押下された場合、入力部220のボタンに応じた信号が決済装置200から伝送ケーブル300を介してプリンタ100へ送信される(ステップS9)。ここで、「OK」が押下された場合、決済装置200からプリンタ100へ第1の信号が送信される。また、「NG」が押下された場合、決済装置200からプリンタ100へ第2の信号が送信される。この第1の信号は、サインの照合結果が一致した旨をプリンタ100にて認識することができるものであれば良い。また、この第2の信号は、サインの照合結果が一致しなかった旨をプリンタ100にて認識することができるものであれば良い。
【0047】
すると、決済装置200から送信されてきた信号に基づいて、搬送部140によって売上伝票が搬送され、排出部130から排出される(ステップS10)。
【0048】
具体的には、決済装置200から第1の信号が送信されてきた場合、搬送部140によって、売上伝票の搬送が再開され、売上伝票がスキャナ部120の位置から排出部130へ搬送され、排出部130から排出される。このとき、売上伝票のうち、カードブランド用売上伝票が先に排出され、続いて、利用者用売上伝票が排出される。また、排出される際、それぞれの伝票は図示しない切断手段によって切り離される。
【0049】
一方、決済装置200から第2の信号が送信されてきた場合、搬送部140によって、売上伝票の搬送が再開され、売上伝票がスキャナ部120の位置から窓部170の位置へ搬送し戻される。つまり、搬送部140によって、売上伝票のうちカードブランド用売上伝票に示されたサイン記入箇所が窓部170に含まれるような位置に売上伝票が搬送し戻される。
【0050】
また、決済装置200の代わりにクレジットカード決済機能付きPOS(販売時点管理システム)を、プリンタ100と接続するものであっても良い。
【0051】
上述したような本発明においては、以下のような効果を奏する。
【0052】
第1の効果は、カード会員側に置いたサイン読取機能付きのプリンタ100にて、利用者にサインを記入してもらうカードブランド用売上伝票を印刷しているため、カードブランド用売上伝票を店員がカード会員である利用者に渡す手間が省けることである。
【0053】
第2の効果は、カード会員である利用者が記入したサインを、サイン読取機能付きのプリンタ100で読み取り、決済装置200の表示部210に表示するため、店員は、カード会員のサインを記入したカードブランド用売上伝票を受け取らず、確認ができることである。
【0054】
第3の効果は、タッチパネル・タッチパッドなどの電子部材にサインを記入する方式とは異なり、ロール紙にサインを記入するため、装置故障が発生した場合においても、記入したサインを残すことができることである。
【符号の説明】
【0055】
100 プリンタ
110 印刷部
111 サーマルヘッド
120 スキャナ部
130 排出部
140 搬送部
150,220 入力部
160 制御部
170 窓部
180 売上伝票
181 サイン記入箇所
200 決済装置
210 表示部
300 伝送ケーブル
400 外部接続ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタであって、
所定の紙に売上情報を印刷する印刷部と、
前記売上情報が印刷された紙である売上伝票に、当該プリンタの外部から利用者が利用者情報を記入するために当該プリンタの筺体に開けられた窓部と、
前記利用者情報が記入された売上伝票から、該利用者情報を画像として読み取るスキャナ部と、
前記利用者情報が読み取られた売上伝票を、当該プリンタの外部へ排出する排出部と、
前記スキャナ部が読み取った画像を、当該プリンタと接続された上位装置へ送信する制御部と、
前記売上伝票を、前記印刷部から前記排出部まで搬送する搬送部と、
所定の指示を入力する入力部とを有し、
前記搬送部は、前記売上伝票が前記窓部の位置に搬送されてきてから前記入力部に前記指示が入力されるまでの間と、前記制御部が前記画像を送信してから前記上位装置から所定の信号が送信されてくるまでの間とにおいて、前記売上伝票の搬送を停止するプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記搬送部は、前記上位装置から第1の信号が送信されてきた場合、前記売上伝票を前記スキャナ部から前記排出部へ搬送し、前記上位装置から第2の信号が送信されてきた場合は、前記売上伝票を前記スキャナ部から前記窓部の位置へ搬送し戻すことを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプリンタにおいて、
前記排出部は、前記売上伝票を切り離して排出することを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリンタにおいて、
前記印刷部は、当該プリンタに格納されたロール紙に印刷することを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリンタと、該プリンタと接続された上位装置とから構成される決済システムにおいて、
前記上位装置は、前記プリンタから送信されてきた画像を表示する表示部を有することを特徴とする決済システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−25451(P2013−25451A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157762(P2011−157762)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】