説明

プリンタの紙詰まり防止方法

【課題】記録紙排出口が塞がれた場合の紙詰まりを確実に防止できるプリンタを提案すること。
【解決手段】プリンタ1の記録紙排出側ユニット10は、固定側紙案内14と可動側紙案内15によって記録紙排出口11に記録紙2を導く記録紙排出路16が形成されている。紙送りローラ5から送り出される記録紙2は、回動不可の状態に保持されている可動側紙案内15によって確実に排出側に導かれる。記録紙2の先端2aが固定側紙案内14および可動側紙案内15の間に送り込まれると、記録紙2の先端2aによって可動側紙案内15が浮き上がり、回動可能な状態に切り換わる。記録紙排出口11が塞がれた場合には、可動側紙案内15が記録紙2によって押されて上方に回動して、記録紙2をループ状に滞留させる滞留空間50が形成され、他の狭い間隔の記録紙排出路部分において紙詰まり状態が発生することを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙排出口が指などで塞がれた場合に、排出される記録紙が記録紙排出口近傍の記録紙排出路内において紙詰まり状態に陥ることを防止するためのプリンタの紙詰まり防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタの記録紙排出口から記録紙が排出される動作中において、指などで記録紙排出口が塞がれると、紙送りローラから送り出される記録紙の後続部分が記録紙排出路内において紙詰まり状態に陥るおそれがある。記録紙排出口が塞がれることに起因する記録紙の紙詰まりを回避するための機構としては、下記の特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
この特許文献に開示されている機構では、記録紙排出口を規定している排出スロットと、内部の記録紙排出路との間に、記録紙直交方向に広い空間が設けられている。排出スロットが指などで塞がれた状態で記録紙の排出動作が行われた場合には、記録紙の先端が指などに当ってその位置に止まるが、記録紙の後続部分は排出側に向けて継続して押し出される。しかるに、排出スロットの手前には空間が形成されているので、記録紙の後続部分はループを描きながら当該空間内に止まる。よって、間隔の狭い記録紙排出路内において紙詰まり状態が発生することが防止される。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0184861号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、排出スロットの手前に記録紙をループ状に滞留させることのできる空間を設けると、他の間隔の狭い記録紙排出路内における紙詰まりを防止できる。しかしながら、カールなど先端に曲がり癖が付いたままの記録紙が排出される場合などにおいては、間隔の広がった当該空間に記録紙の先端が排出されると、記録紙の紙面方向に直交する方向への変形が自由になるので、当該先端部分が排出スロットの方向とは異なる方向に曲がってしまう。この状態のまま記録紙が排出されると、その先端部分が排出スロット内に導かれずに、空間内に滞留したままとなり、当該空間内において紙詰まり状態が発生するおそれがある。
【0005】
この空間を狭くすれば、記録紙をより円滑に排出スロット内に導くことが可能である。しかし、空間を狭くすると、そこに滞留可能な記録紙の量が少なくなるので、紙詰まり防止効果が低減してしまうので好ましくない。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、記録紙排出口が塞がれた状態で記録紙の排出動作が行われた場合の紙詰まりを確実に防止できる広い空間を形成できると共に、曲がり癖のついた記録紙などが当該空間に滞留して紙詰まりが発生することのないプリンタの紙詰まり防止方法を提案することにある。
【0007】
また、本発明の課題は、かかる紙詰まり防止方法によって記録紙排出口近傍の記録紙排出路における紙詰まりを防止可能な機構を備えたプリンタを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のプリンタの紙詰まり防止方法は:紙送りローラによって送り出された記録紙を記録紙排出口に導くための記録紙排出路の少なくとも一部を、固定側紙案内と、前記記録紙排出口の側の部位を中心として前記固定側紙案内から離れる方向に回動可能な可動側紙案内とによって規定し;前記可動側紙案内を回動不可の状態に保持し;前記可動側紙案内および前記固定側紙案内の間の所定位置まで記録紙が送り込まれた後は、前記可動側紙案内を回動可能な状態に切り換え;記録紙の排出動作中において、前記記録紙排出口の側において指などで記録紙の排出動作が阻止された場合に、記録紙によって前記可動側紙案内を回動させ、当該可動側紙案内と前記固定側紙案内の間に、記録紙をループ状に滞留させるための空間を形成することを特徴としている。
【0009】
記録紙排出口が指などで塞がれていない正常な状態では、記録紙は、固定側紙案内および可動側紙案内によって規定される記録紙排出路部分を含む間隔の狭い記録紙排出路を通って記録紙排出口に導かれて、ここから外部に排出される。
【0010】
記録紙が固定側紙案内および可動側紙案内の間に所定量送り込まれるまでの間は、可動側紙案内は回動不可の状態に保持されている。よって、カールなど先端に曲がり癖のついている記録紙が排出される場合であっても、このような記録紙の先端によって可動側紙案内が回動してしまうことがない。したがって、固定側紙案内および可動側紙案内によって規定される記録紙排出路部分は、それらの間に記録紙の先端が送り込まれるまでは狭い間隔に保持されるので、記録紙が記録紙排出口に向けて円滑に案内される。
【0011】
記録紙排出口が指などで塞がれた状態で記録紙の排出が行われると、記録紙の先端は、固定側紙案内および可動側紙案内の間を通過して記録紙排出口に導かれた後に、記録紙排出口において、そこを塞いでいる指などに当り、その位置に止まってしまう。しかるに、記録紙の後続部分は紙送りローラによって排出側に送り出され続ける。この結果、記録紙の後続部分は記録紙排出路内においてリープ状に滞留しはじめる。
【0012】
ここで、記録紙排出路の一部を規定している可動側紙案内は記録紙が通過したことにより回動可能な状態となっている。よって、当該可動側紙案内がループ状になった記録紙の部分によって押されて回動し、固定側紙案内から離れる。この結果、固定側紙案内と可動側紙案内の間に間隔の広い記録紙滞留用の滞留空間ができる。この滞留空間にループ状に記録紙の部分が滞留することにより、狭い間隔の他の記録紙排出路部分内において記録紙が紙詰まり状態に陥ることが防止される。
【0013】
本発明の方法において、前記可動側紙案内が回動したか否かを監視し、当該可動側紙案内が回動した場合には、記録紙の排出動作が滞っている旨を出力することが望ましい。このようにすれば、操作者は、当該出力に基づき、記録紙の排出が適切に行われていないことを認識でき、迅速に対応することができる。
【0014】
次に、本発明のプリンタは:紙送りローラによって送り出された後の記録紙を記録紙排出口に導くための記録紙排出路と;この記録紙排出路の少なくとも一部分を規定している固定側紙案内および、前記記録紙排出口側の部位を中心として前記固定側紙案内から離れる方向回動可能な可動側紙案内と;前記固定側紙案内および前記可動側紙案内の間に記録紙が送り込まれるまでは、前記可動側紙案内を回動不可の状態に保持し、記録紙が送り込まれた後は当該可動側紙案内を回動可能に切り換える支持機構とを有していることを特徴としている。
【0015】
また、本発明のプリンタは、上記構成に加えて、前記可動側紙案内が回動したことを検出する検出部と、前記可動側紙案内が回動したことが検出されると、記録紙の排出動作が滞っている旨を出力する出力部とを有していること特徴としている。
【0016】
さらに、本発明のプリンタの前記支持機構は:前記可動側紙案内の回動中心を規定する支軸と;この支軸を回転可能な状態で支持していると共に、前記固定側紙案内に対し接近および離れる方向にスライド可能な状態で支持している軸穴と;前記可動側紙案内の回動を阻止しているストッパとを備えており;前記支軸および前記軸穴の一方が前記可動側紙案内に形成され、他方が固定した位置に形成される。また、前記可動側紙案内には、当該可動側紙案内および前記固定側紙案内の間に送り込まれる記録紙の先端に押されると、当該可動側紙案内を前記固定側紙案内から離れる方向にスライドさせる力が作用する当接面が形成されている。さらに、前記可動側紙案内が前記固定側紙案内から離れる方向に所定量スライドすると、当該可動側紙案内が前記ストッパから外れるようになっている。
【0017】
この構成の支持機構を備えたプリンタでは、記録紙が固定側紙案内と可動側紙案内の間に入り込むと、記録紙の先端に押されて可動側紙案内が固定側紙案内から浮き上がる(スライドする)。可動側紙案内が所定量以上浮き上がると、当該可動側紙案内がストッパから外れ、回動可能な状態に切り換わる。この機構では、記録紙の搬送力を利用して可動側紙案内をスライドさせて、それを回動不可の状態から可動可能な状態に切り換えている。したがって、可動側紙案内を回動不可および回動可能な状態に切り換えるための機構を小型でコンパクトに構成できる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明のプリンタの紙詰まり防止方法では、記録紙が固定側紙案内および可動側紙案内に送り込まれた後、すなわち、記録紙が記録紙排出口に向けて案内された後に、記録紙をループ状に滞留させることのできる滞留空間を形成できるようにしている。したがって、滞留空間が最初から設けられている場合とは異なり、曲がり癖のついている記録紙などが滞留空間から記録紙排出口に案内されずに、当該滞留空間内において紙詰まり状態に陥ってしまうといった弊害を解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したプリンタの実施の形態を説明する。
【0020】
図1は本実施の形態に係るプリンタにおける記録紙排出側ユニットを示す斜視図であり、図2はその側面図を中心に示す概略構成図である。プリンタ1の全体構成は一般的に使用されているものを用いることができ、記録紙2を供給する給紙部3と、記録紙2を印字ヘッド4による印字位置を経由して搬送する紙送りローラ5などからなる記録紙搬送機構とを有している。紙送りローラ5を介して送り出された記録紙2は、記録紙排出側ユニット10を介して、その排出側端に形成されている記録紙排出口11からプリンタ外部に排出されるようになっている。
【0021】
記録紙排出側ユニット10は、プリンタ幅方向に水平に配置されているユニットフレーム12を有しており、このユニットフレーム12はプリンタ本体フレーム(図示せず)に固定されている。ユニットフレーム12には、上面部分にプリンタ前後方向に延びる一定幅の多数本のリブ13が形成された固定側紙案内14が一体形成されている。各リブ13の上面部分が、記録紙2を案内するための下側案内面14aとして機能する。この固定側紙案内14の上側には可動側紙案内15が対向配置されている。可動側紙案内15の下面部分に形成されている上側紙案内面15aと、固定側紙案内14の下側紙案内面14aの間が記録紙排出路16となっている。
【0022】
ユニットフレーム12の垂直な後端面12aには、水平にプリンタ後方側に突出する状態で排出ガイド17が取り付けられている。排出ガイド17の先端には記録紙排出口11が開いている。この記録紙排出口11における幅方向の中央部分には、ここから排出される記録紙2の先端部分を指などで摘み易いように、半円形の切り込み11aが形成されている。排出ガイド17の内部には、記録紙排出路16と記録紙排出口11の間をつなぐ記録紙排出路18が形成されている。
【0023】
ここで、可動側紙案内15はユニットフレーム12によって支持されており、本例では、上下方向に僅かにスライド可能であると共に、その記録紙排出口11の側の部位を中心として上下方向に回動可能な状態で支持されている。また、可動側紙案内15は、記録紙2の先端2aが、固定側紙案内14および可動側紙案内15の間の記録紙排出路16における所定位置まで送り込まれるまでは回動不可の状態に保持されるようになっている。
【0024】
詳しく説明すると、本例の可動側紙案内15の上側紙案内面15aは、プリンタ前方側の部分がプリンタ前方に向かって僅かに上方に傾斜した紙案内面31となっており、当該紙案内面31の前側部分が上方に向けて円弧状に湾曲している湾曲面32となっている。上側紙案内面15aのプリンタ後方側の部分は一定間隔でプリンタ前後方向に延びる複数の垂直リブ33によって規定されており、これらの垂直リブ33の下端面は、下方に突出した円弧状紙案内面34とされている。円弧状紙案内面34のプリンタ前方側の部分は紙案内面31に滑らかに連続した傾斜面34a(当接面)となっている。
【0025】
これらの円弧状紙案内面34が形成されている垂直リブ33は、下側の固定側紙案内14を規定している各リブ13の間に嵌り込んだ状態となっている。したがって、記録紙2が記録紙排出路16に送り込まれると、その先端2aが円弧状紙案内面34に当る。円弧状紙案内面34のプリンタ前方側の部分は下方向および記録紙排出口側に傾斜している傾斜面34aであるので、記録紙2の先端2aに押されると、当該円弧状紙案内面34には、可動側紙案内15を上方に押し上げる分力が作用する。後述するように、記録紙2は可動側紙案内15が押し上げながら記録紙排出口11に向けて排出される。
【0026】
次に、可動側紙案内15の左右の端板部分35、36におけるプリンタ後方側の部分には、上下に長い長円形の軸穴21がそれぞれ形成されている。これらの軸穴21には、プリンタ幅方向に向けて水平に配置されている円形断面の支軸22の両端部分がスライドおよび回転可能な状態で貫通している。支軸22は、左右の軸穴21の内側の部位において、ユニットフレーム12のプリンタ後方側の部位に形成されている左右の端板部分12a、12bによって支持されている。したがって、上下に長い軸穴21が形成されている可動側紙案内15は、支軸22を中心として上下方向に回動可能であると共に、軸穴21に沿って上下方向にスライド可能である。なお、軸穴21を固定側、すなわち、ユニットフレーム12の側に形成し、支軸22を可動側紙案内15に取り付けることも可能である。
【0027】
可動側紙案内15の一方の端板部分35において、軸穴21の下側の部位には、下方に垂直に延びるフック23が形成されている。このフック23のプリンタ前方側に向いている垂直端面23aは、ユニットフレーム12の同一側の端部に形成されているプリンタ後方側に向いている垂直端面24aを備えたストッパ24に当接している。したがって、これらの係合によって、可動側紙案内15の支軸22を中心とした固定側紙案内14から離れる方向への回動が阻止されている。
【0028】
可動側紙案内15を支軸22に対して上方にスライドさせると、当該可動側紙案内15の垂直端面23aを固定側紙案内14の側の垂直端面24aから外して、可動側紙案内15を回動可能な状態に切り換えることができる。本例では、可動側紙案内15を上方にスライドさせて、その円弧状紙案内34が、固定側紙案内14におけるリブ13の上面によって規定されている下側紙案内面14aの高さ位置より上側に浮き上がると、係合が外れるように設定されている。
【0029】
また、本例の可動側紙案内15の端板部分35には、プリンタ幅方向に突出しているセンサ用リブ41が形成されている。このセンサ用リブ41は、ユニットフレーム12に取り付けたホトカプラ42の検出領域42aに位置している。可動側紙案内15が上方に回動してセンサ用リブ41が検出領域42aから外れると、ホトカプラ42の出力を監視しているプリンタ制御部43は紙詰まり状態である旨を表す表示、警告音などを出力部44から出力させるようになっている。プリンタ制御部43はプリンタ1に接続されているホストコンピュータ(図示せず)に、紙詰まり状態である旨の情報を送信することも可能である。
【0030】
(記録紙排出動作)
図3、4はプリンタ1の記録紙排出動作を示す説明図である。これらの図も参照して、記録紙排出側ユニット10の動作を説明する。記録紙2が紙送りローラ5の側から排出されていない状態では、可動側紙案内15は図2に示す状態にある。この状態では、可動側紙案内15の後側(記録紙排出側)の紙案内面34が固定側紙案内14の各下側紙案内面14aの間に嵌っており、したがって、記録紙排出路16が封鎖された状態にある。また、フック23がストッパ24に当接しているので、可動側紙案内15が固定側紙案内14から離れる方向(上方向)への回動が阻止されている。
【0031】
紙送りローラ5の側から記録紙2が排出されると、記録紙2の先端2aは固定側紙案内14の下側案内面14aと、可動側紙案内15の上側紙案内面15aの間に送り込まれる。可動側紙案内15は上方への回動が阻止されているので、定まった位置(紙案内位置)に保持される。よって、例えば先端部が上方にカールしている記録紙2が送り込まれた場合であっても、当該記録紙2の先端2aが、可動側紙案内15の上側案内面31によって確実に案内されて、記録紙排出口11に向けて送り込まれる。
【0032】
記録紙2の先端2aが記録紙排出路16に送り込まれると、可動側紙案内15の傾斜面34aに当る。この後は、送り込まれる記録紙2の先端2aによって傾斜面34aが上方に押される。可動側紙案内15は上下方向にスライド可能であるので、全体として上方に浮き上がり、図3に示す状態になる。この結果、記録紙2の先端2aが、固定側紙案内14の下側案内面14aと、浮き上がった上側の円弧状紙案内面34との間を通って、排出ガイド17の記録紙排出路18に送り込まれる。よって、この後は、記録紙2の先端2aが記録紙排出口11から徐々に排出される。
【0033】
ここで、可動側紙案内15が排出される記録紙2によって浮き上がると、そのフック23がストッパ24から外れる。この結果、可動側紙案内15は上方に回動可能な状態に切り換わる。なお、図3に示すように、浮き上がった状態では、センサ用リブ41は、ホトカプラ42の検出領域42aに依然として位置しており、ホトカプラ42の出力状態に変化はない。
【0034】
次に、記録紙排出時に、指などによって記録紙排出口11が塞がれた場合の動作例を説明する。記録紙排出口11が塞がれると、この位置に達した記録紙2の先端2aはそれ以上前に進むことができなくなる。しかるに、記録紙2の後続部分は紙送りローラ5によって送り出されている。この結果、記録紙排出路16、17内において記録紙2がループ状に撓み始める。
【0035】
可動側紙案内15は上方に回動可能な状態に切り換わっている。よって、記録紙2がループ状に撓み始めると、当該記録紙2の部分によって可動側紙案内15が押されて上方に回動する。この結果、可動側紙案内15と固定側紙案内14の間には、記録紙2をループ状に滞留させることのできる滞留空間50が形成され、ここに、送り出される記録紙2の部分がループ状に滞留する。図4にはこの状態を示してある。よって、記録紙2が間隔の狭い他の記録紙排出路部分において紙詰まり状態に陥ってしまうことを回避できる。
【0036】
また、可動側紙案内15が上方に回動すると、そのセンサ用リブ41がホトカプラ42の検出領域42aから外れる。この結果、ホトカプラ42の出力が変化し、これを検出した制御部43は、紙詰まり状態になっていることを表す警告を、出力部44を介して出力する。プリンタ1の操作者は、出力部44の警告出力によって、記録紙2の排出動作に異常が発生していることを認識でき、迅速に対応することができる。
【0037】
例えば、少量の記録紙2が滞留空間50に溜まっただけの状態では、記録紙排出口11が塞がれている状態が解除されると、そのままで、記録紙2の排出が可能になる。多量の記録紙2が滞留空間50に溜まった場合には、可動側紙案内15を全開状態となるまで開けば、当該滞留空間50に溜まっている記録紙2を簡単に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明を適用したプリンタの記録紙排出側ユニットを示す斜視図である。
【図2】図1の記録紙排出側ユニットの側面を中心に示すプリンタの概略構成図である。
【図3】図1の記録紙排出側ユニットの動作を示す説明図である。
【図4】図1の記録紙排出側ユニットの動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 プリンタ、2 記録紙、2a 記録紙の先端、3 給紙部、4 印字ヘッド、5 紙送りローラ、10 記録紙排出側ユニット、11 記録紙排出口、12 ユニットフレーム、14 固定側紙案内、14a 下側紙案内面、15 可動側紙案内、15a 上側紙案内面、16 記録紙排出路、17 排出ガイド、18 記録紙排出路、21 軸穴、22 支軸、23 フック、23a 垂直端面、24 ストッパ、24a 垂直端面、31 紙案内面、32 湾曲面、33 垂直リブ、34 円弧状紙案内面、34a 傾斜面(当接面)、41 センサ用リブ、42 ホトカプラ、42a 検出領域、43 プリンタ制御部、44 出力部、50 滞留空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙送りローラによって送り出された記録紙を記録紙排出口に導くための記録紙排出路の少なくとも一部を、固定側紙案内と、前記記録紙排出口の側の部位を中心として前記固定側紙案内から離れる方向に回動可能な可動側紙案内とによって規定し、
前記可動側紙案内を回動不可の状態に保持し、
前記可動側紙案内および前記固定側紙案内の間の所定位置まで記録紙が送り込まれた後は、前記可動側紙案内を回動可能な状態に切り換え、
記録紙の排出動作中において、前記記録紙排出口の側において記録紙の排出動作が阻止された場合に、記録紙によって前記可動側紙案内を回動させ、当該可動側紙案内と前記固定側紙案内の間に、記録紙をループ状に滞留させるための滞留空間を形成することを特徴とするプリンタの紙詰まり防止方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記可動側紙案内が回動したか否かを監視し、
当該可動側紙案内が回動した場合には、記録紙の排出動作が滞っている旨を出力することを特徴とするプリンタの紙詰まり防止方法。
【請求項3】
紙送りローラによって送り出された後の記録紙を記録紙排出口に導くための記録紙排出路と、
この記録紙排出路の少なくとも一部分を規定している固定側紙案内および、前記記録紙排出口側の部位を中心として前記固定側紙案内から離れる方向に回動可能な可動側紙案内と、
前記固定側紙案内および前記可動側紙案内の間に記録紙が送り込まれるまでは、前記可動側紙案内を回動不可の状態に保持し、記録紙が送り込まれた後は当該可動側紙案内を回動可能に切り換える支持機構とを有していることを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項3において、
前記可動側紙案内が回動したことを検出する検出部と、
前記可動側紙案内が回動したことが検出されると、記録紙の排出動作が滞っている旨を出力する出力部とを有していることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記支持機構は、
前記可動側紙案内の回動中心を規定する支軸と、
この支軸を回転可能な状態で支持していると共に、前記固定側紙案内に対し接近および離れる方向にスライド可能な状態で支持している軸穴と、
前記可動側紙案内の回動を阻止しているストッパとを備えており、
前記支軸および前記軸穴の一方が前記可動側紙案内に形成され、他方が固定した位置に形成されており、
前記可動側紙案内には、当該可動側紙案内および前記固定側紙案内の間に送り込まれる記録紙の先端に押されると、当該可動側紙案内を前記固定側紙案内から離れる方向にスライドさせる力が作用する当接面が形成されており、
前記可動側紙案内が前記固定側紙案内から離れる方向に所定量スライドすると、当該可動側紙案内が前記ストッパから外れるようになっていることを特徴とするプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−213414(P2006−213414A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24986(P2005−24986)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】