説明

プリンタサーバ,印刷システム,プログラム及び印刷制御方法

【課題】 コンピュータで保存または表示している電子データを印刷する際に、無駄な印刷が行われることを抑制する。
【解決手段】 複数のコンピュータが電子データの印刷のために共有するプリンタサーバ1を設ける。このプリンタサーバ1とクライアントコンピュータ2とプリンタ3とが通信ネットワークに接続された印刷システムを構築する。プリンタサーバ1は、クライアントコンピュータ2から送信された電子データを、ページ記述言語形式に変換して記憶手段に格納する第1の手段と、クライアントコンピュータ2から印刷が指示されたことに応じて、この記憶手段に格納されたページ記述言語形式の電子データをプリンタ3に送信する第2の手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンピュータが電子データの印刷等のために共有するプリンタサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータで保存または表示している文書ファイル,図形ファイル,画像ファイル等の電子データを印刷するためには、従来から、その印刷対象の電子データを、コンピュータ自身にインストールしたプリンタドライバによってページ記述言語形式に変換して、コンピュータからスプール処理によってプリンタに送信するという方法が採られている。
【0003】
また、コンピュータで保存または表示している印刷可能な電子データをフォーマット変換するためには、従来から、コンピュータ自身にインストールしたプリンタドライバを用いてファイルに出力するという方法や、コンピュータ自身にインストールしたフォーマット変換用アプリケーションソフトウェアを用いるという方法が採られている。プリンタドライバを用いる方法としては、例えば、変換したいフォーマットの付加情報を電子データに追記して、API(Application Program Interface)を通して変換を行うという方法も提案されている(特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−181905号公報(段落番号0022〜0029、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の記従来の印刷方法には、次の(a)のような問題があった。
(a)印刷対象の電子データが、プリンタドライバによってページ記述言語形式に変換された後、直ちにスプール処理によってプリンタに送信されて印刷されるので、ユーザが印刷をキャンセルすることが困難である。そのため、無駄な印刷が行われることによる紙資源の浪費や印刷コストの増加を招いてしまう。こうした印刷の無駄には、同一ドキュメントの二重印刷や、印刷対象のドキュメントの取り違えなど様々な場合が考えられるが、大きなオフィスになればなるほど、この印刷の無駄が増え、紙資源の節約や印刷コスト削減へのニーズは多くなる。
【0006】
また、上述の従来のフォーマット変換方法には、次の(b)のような問題があった。
(b)電子データを直接目的のフォーマット変換にするので、その電子データを作成したツール(例えば文書作成ツール)の種類及びバージョンに対応したプリンタドライバやフォーマット変換ソフトをインストールしなければならない。逆に、コンピュータにインストールしているプリンタドライバやフォーマット変換ソフトが対応していない新しい種類やバージョンのツールで作成された電子データは、フォーマット変換できない。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑み、上記(a)の問題を解消して、コンピュータで保存または表示している電子データを印刷する際に、無駄な印刷が行われることを抑制することを課題とする。さらに本発明は、上記(b)の問題を解消して、電子データを作成したツールの種類及びバージョンに依存することなく、電子データを目的のフォーマットに変換できるようにすることをも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明は、複数のコンピュータが電子データの印刷のために共有するプリンタサーバを提案する。また本発明は、このプリンタサーバ、クライアントコンピュータ及びプリンタが通信ネットワークに接続された印刷システムを提案する。また本発明は、コンピュータをこうしたプリンタサーバとして機能させるプログラムを提案する。また本発明は、このプリンタサーバが実行する印刷制御方法を提案する。
【0009】
このプリンタサーバは、クライアントコンピュータから送信された電子データを、ページ記述言語形式に変換して記憶手段に格納する第1の手段と、このクライアントコンピュータから印刷が指示されたことに応じて、この記憶手段に格納されたページ記述言語形式の電子データをプリンタに送信する第2の手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
ユーザがクライアントコンピュータからこのプリンタサーバに印刷対象の電子データを送信すると、プリンタサーバにより、その電子データがページ記述言語形式に変換されて記憶手段に格納される。しかし、このページ記述言語形式の電子データは、直ちにはプリンタに送信されない。
【0011】
そして、その後ユーザがクライアントコンピュータで印刷を指示すると、その指示に応じて、プリンタサーバから、このページ記述言語形式の電子データがプリンタに送信される。
【0012】
このように、本発明によれば、印刷対象の電子データが、プリンタドライバによってページ記述言語形式に変換された後、直ちにプリンタに送信されるのではなく、ユーザの指示によって初めてプリンタに送信されて印刷される。
【0013】
したがって、ユーザは、電子データをプリンタサーバに送信した後、印刷を指示する前に、同一ドキュメントの二重印刷(プリンタサーバへの二重送信)や印刷対象のドキュメントの取り違え(印刷対象でない電子データのプリンタサーバへの送信)の有無等を確認して、最終的に印刷を指示するか否かを決定することができる。これにより、コンピュータで保存または表示している電子データを印刷する際に、無駄な印刷が行われることを抑制することができる。
【0014】
なお、一例として、このプリンタサーバに、第1の手段によって変換されたページ記述言語形式の電子データのイメージデータをクライアントコンピュータに送信する手段をさらに備えることが好適である。
【0015】
無駄な印刷が行われる場合としては、ユーザの思い通りのレイアウト(文字の大きさや余白の開け方等)にならなかったため印刷・修正を繰り返す場合もある。これに対し、ページ記述言語形式に変換された電子データのイメージデータをクライアントコンピュータに送信することにより、ユーザは、印刷対象の電子データがどのようなレイアウトで印刷されるかをクライアントコンピュータのモニタで閲覧して、最終的に印刷を指示するか否かを決定することができる。これにより、無駄な印刷が行われることをより一層抑制できるようになる。
【0016】
また、一例として、このプリンタサーバに、クライアントコンピュータから所定のフォーマットへの変換が指示されたことに応じて、記憶手段に格納されたページ記述言語形式の電子データをこの所定のフォーマットに変換してクライアントコンピュータに送信する手段をさらに備えることが好適である。
【0017】
それにより、ユーザがプリンタサーバに送信した電子データが、直接目的のフォーマットに変換されるのではなく、ページ記述言語のフォーマットを介して目的のフォーマットに変換されて、クライアントコンピュータに返送される。ページ記述言語は、文字・図形・画像といった属性やページ内での文字・図形・画像の位置情報等を記述する言語であり、この情報を元に目的のフォーマットに変換することにより、電子データを作成したツールの種類やバージョンに依存することなくフォーマット変換を行うことができる。
【0018】
そして、このようにフォーマット変換を行う場合には、このプリンタサーバの第2の手段は、記憶手段に格納されたページ記述言語形式の電子データを、プリンタに送信した後も記憶手段に格納させておくことが好適である。
【0019】
それにより、ユーザは、電子データを印刷した後も、フォーマット変換を指示して、その電子データを目的のフォーマットに変換できるようになる。
【0020】
また、一例として、このプリンタサーバに、クライアントコンピュータから削除が指示されたことに応じて、記憶手段に格納されたページ記述言語形式の電子データを削除する手段さらに備えることが好適である。
【0021】
それにより、ユーザがクライアントコンピュータからプリンタサーバに送信した電子データを、例えば印刷終了時または印刷指示をしないと決定したときに、ユーザの操作によってプリンタサーバ内から削除することができる。したがって、有限の記憶容量のプリンタサーバを、多数のコンピュータで共有することができるようになる。
【0022】
また、一例として、このプリンタサーバに、記憶手段に格納されたページ記述言語形式の電子データのリストを、プリンタサーバのモニタに表示させる手段と、プリンタサーバの操作によって削除が指示されたことに応じて、記憶手段に格納されたページ記述言語形式の電子データを削除する手段とをさらに備えることが好適である。
【0023】
それにより、プリンタサーバを管理する管理者も、各クライアントコンピュータから送信された電子データのリストをプリンタサーバのモニタで確認して、不要な電子データをプリンタサーバから削除することができるようになる。したがって、やはり、有限の記憶容量のプリンタサーバを、多数のコンピュータで共有することができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、コンピュータで保存または表示している電子データを印刷する際に、無駄な印刷が行われることを抑制できるという効果が得られる。さらに、電子データを作成したツールの種類及びバージョンに依存することなく、電子データを目的のフォーマットに変換できるという効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る印刷システムの全体構成例を示す図である。一つのオフォス内で、プリンタサーバ1と複数台のクライアントコンピュータ2とプリンタ3とがLAN回線4に接続されることによってイントラネットが構築されている。
【0026】
クライアントコンピュータ2は、ユーザ(オフィスの職員)が一人一台ずつ使用するパーソナルコンピュータである。クライアントコンピュータ2には、プリンタドライバはインストールされていないが、Webブラウザはインストールされている。
【0027】
プリンタサーバ1は、各クライアントコンピュータ2がプリンタ3での電子データの印刷等のために共有するサーバであり、例えばワークステーションから成っている。図2は、プリンタサーバ1の主要部の構成を示すブロック図である。プリンタサーバ1は、CPU11,ROM12,RAM)13,LANインタフェース14を有するとともに、ハードディスク15,キーボード16,マウス17,モニタ18がそれぞれ所定のインタフェース(図示略)を介して接続されている。
【0028】
ハードディスク15には、アプリケーションソフトウェアとして、プリンタドライバ19,フォーマット変換ソフト20,Webサーバソフト21がインストールされるとともに、印刷支援プログラム22がインストールされている。
【0029】
プリンタドライバ19は、印刷対象の電子データを、図1のプリンタ3が使用するページ記述言語(ここではPost Script とする)形式の電子データに変換するプログラムである。フォーマット変換ソフト20は、Post Script形式の電子データを、TIFF(Tagged Image File Format)形式やPDF(Portable Document Format)形式にフォーマット変換するプログラムである。Webサーバソフト21は、コンピュータにWebサーバの機能(WWWによる情報送信機能)を持たせるプログラムである。これらのプリンタドライバ19,フォーマット変換ソフト20,Webサーバソフト21としては、既存の適宜のアプリケーションソフトウェアを用いてよい。
【0030】
印刷支援プログラム22は、以上のプリンタドライバ19,フォーマット変換ソフト20,Webサーバソフト21を使用して、クライアントコンピュータから送信された電子データに対して印刷やフォーマット変換等の処理を行うためのプログラムである。
【0031】
図3は、この印刷支援プログラム22による処理内容を示すフローチャートである。この処理では、最初に、いずれかのクライアントコンピュータから新たな電子データを受信したか否かの判断(ステップS1)と、いずれかのクライアントコンピュータのWebブラウザからユーザ用Webページのデータの送信要求があったかか否かの判断(ステップS2)と、ユーザ用Webページでなんらかの指示があったか否かの判断(ステップS3)と、図2のキーボード16またはマウス17で管理者用画面を表示する操作が行われたか否かの判断(ステップS4)と、管理者用画面でなんらかの指示があったか否かの判断(ステップS5)とを、いずれかのステップでイエスになるまで繰り返す。
【0032】
ステップS1でイエスになると、送信された電子データを、図2のプリンタドライバ19によってPost Script形式の電子データに変換させる(ステップS6)。そして、そのPost Script形式の電子データを図2のハードディスク15に格納して(ステップS7)、ステップS1に戻る。
【0033】
ステップS2でイエスになると、その要求元のクライアントコンピュータからそれまでに送信されてハードディスク15にPost Script形式で格納された電子データのイメージデータを含んだユーザ用Webページのデータを、図2のWebサーバソフト21によって生成させて、その要求元のクライアントコンピュータに送信させる(ステップS8)。そしてステップS1に戻る。
【0034】
図4は、このステップS8の処理によって要求元のクライアントコンピュータに公開されるユーザ用Webページを示す図である。このユーザ用Webページには、その要求元のクライアントコンピュータからそれまでにプリンタサーバ1に送信されてPost Script形式に変換された各電子データのイメージ(ページ内でのレイアウト)31が縮小して一覧表示される。なお、モニタの画面に一度に全ての電子データのイメージ31を表示できないときには、スクロール表示を行う。各イメージ31の横には、チェックボックス32が一対一に対応させて表示される。
【0035】
また、このユーザ用Webページには、「一括印刷」,「選択印刷」,「一括TIFF変換」,「選択TIFF変換」,「一括PDF変換」,「選択PDF変換」,「一括削除」,「選択削除」と表記されたメニュー釦33が表示される。
【0036】
なお、図2のWebサーバソフト21は、このユーザ用Webページを含んだWebサイトを公開しており、そのWebサイトのトップページからこのユーザ用Webページにリンクするようになっている。図2の各クライアントコンピュータ2にはそれぞれIDとユーザが決定したパスワードとが割り当てられており、トップページでこのID及びパスワードを入力することにより、各クライアントコンピュータ2に専用に用意されたユーザ用Webページにリンクする。
【0037】
このユーザ用Webページでの操作方法は、次の(1),(2)のようになっている。
(1)イメージ31として一覧表示されている全ての電子データについて印刷,TIFF形式へのフォーマット変換,PDF形式へのフォーマット変換あるいは削除を指示する場合は、メニュー釦33の「一括印刷」,「一括TIFF変換」,「一括PDF変換」あるいは「一括削除」をクリックする。
【0038】
(2)イメージ31として一覧表示されている電子データのうちの一部の電子データのみについて印刷,TIFF形式へのフォーマット変換,PDF形式へのフォーマット変換あるいは削除を指示する場合は、その一部の電子データのイメージ31の横のチェックボックス32にチェックを入れた後で、メニュー釦33の「選択印刷」,「選択TIFF変換」,「選択PDF変換」あるいは「選択削除」をクリックする。
【0039】
図3のステッププS3では、それまでにクライアントコンピュータに公開しているこの図4のユーザ用Webページのうちのいずれかのページで、メニュー釦33がクリックされた否かの判断を行う。
【0040】
ノーであれば、そのままステップS1に戻る。他方イエスであれば、「一括印刷」または「選択印刷」のクリック(すなわち印刷の指示)であるのか、「一括TIFF変換」,「選択TIFF変換」,「一括PDF変換」または「選択PDF変換」のクリック(すなわちTIFF形式またはPDF形式へのフォーマット変換の指示)であるのか、メニュー釦33の「一括削除」または「選択削除」のクリック(すなわち削除の指示)であるのかを判別する(ステップS9)。
【0041】
印刷の指示である場合には、印刷を指示されたPost Script形式の電子データを、図2のプリンタドライバ19によって図2のハードディスク15からスプールデータとして図1のプリンタ3に送信させる(ステップS10)。そしてステップS1に戻る。なお、ステップS10では、プリンタ3への送信を終えた電子データも、ハードディスク15から削除することなく、引き続きハードディスク15に格納しておく。
【0042】
TIFF形式またはPDF形式へのフォーマット変換の指示である場合には、フォーマット変換を指示されたPost Script形式の電子データを、図2のフォーマット変換ソフト20によって指定された形式(TIFF形式またはPDF形式)にフォーマット変換させる(ステップS11)。そして、そのTIFF形式またはPDF形式の電子データを要求元のクライアントコンピュータに送信して(ステップS12)、ステップS1に戻る。
【0043】
削除の指示である場合には、削除を指示されたPost Script形式の電子データを、図2のハードディスク15から削除する(ステップS13)。そしてステップS1に戻る。
【0044】
ステップS3でイエスになると、図2のハードディスク15に格納されているPost Script形式の電子データのリストを含んだ管理者用画面を、図2のモニタ18に表示させる(ステップS14)。そしてステップS1に戻る。
【0045】
この管理者用画面には、図示は省略するが、ハードディスク15に格納されているPost Script形式の全ての電子データが、その電子データを送信したクライアントコンピュータ別に、受信日時やデータ量の情報を付加してリスト表示される。また、個々の電子データを選択して削除するためのチェックボックス及び釦が表示される。
【0046】
ステップS5では、この管理者用画面で削除が指示されたか否かが判断される。ノーであれば、そのままステップS1に戻る。他方イエスであれば、削除を指示されたPost Script形式の電子データを、ハードディスク15から削除する(ステップS15)。そしてステップS1に戻る。
【0047】
次に、この印刷システムにおいて、ユーザが電子データの印刷等を行う様子について説明する。
【0048】
ユーザが、クライアントコンピュータ2で保存または表示している印刷対象の電子データ(文書ファイル,図形ファイル,画像ファイル等)をプリンタサーバ1に送信すると、プリンタサーバ1内でその電子データがPost Script形式に変換される(図3のステップS1,S6及びS7)。しかし、このPost Script形式の電子データは、直ちにはプリンタ3に送信されない。
【0049】
その後、そのユーザが、クライアントコンピュータ2でプリンタサーバ1のWebサイトのトップページにアクセスしてID及びパスワードを入力すると、Post Script形式に変換されたこの印刷対象の電子データのイメージ31を含んだユーザ用Webページ(図4)が、クライアントコンピュータ2のモニタに表示される(図3のステップS2及びS6)。
【0050】
その際、各クライアントコンピュータ2のモニタには、それぞれそのクライアントコンピュータ2から送信した電子データだけのイメージ31が表示される。したがって、各クライアントコンピュータ2のモニタに、他のクライアントコンピュータ2から送信した電子データについてのイメージが表示されることはないし、各クライアントコンピュータ2から送信した電子データについてのイメージが、他のクライアントコンピュータ2のモニタに表示されることもない。これにより、セキュリティが確保されるとともにプライバシーが保護される。
【0051】
ユーザは、同一ドキュメントの二重印刷(プリンタサーバ1への二重送信)や印刷対象のドキュメントの取り違え(印刷対象でない電子データのプリンタサーバ1への送信)の有無等をこのユーザ用Webページのイメージ31から確認して、最終的に印刷を指示するか否かを決定する。また、印刷対象の電子データがどのようなレイアウト(文字の大きさや余白の開け方等)で印刷されるかをこのユーザ用Webページでイメージ31として閲覧して、最終的に印刷を指示するか否かを決定する。
【0052】
オフィス等において無駄な印刷が行われる場合としては、同一ドキュメントの二重印刷や、印刷対象のドキュメントの取り違えや、ユーザの思い通りのレイアウトにならなかったため印刷・修正を繰り返す場合などが考えられるが、このユーザ用Webページでの確認・閲覧により、こうした無駄な印刷が行われることを抑制することができる。
【0053】
ユーザが、この確認・閲覧の後、最終的に印刷を指示することを決定してメニュー釦33の「一括印刷」をクリックする(あるいはチェックボックス32にチェックを入れて「選択印刷」をクリックする)と、印刷を指示したPost Script形式の電子データが、プリンタサーバ1からスプール処理によってプリンタ3に送信され、プリンタ3で印刷される(図3のステップS3,S9及びS10)。
【0054】
また、ユーザが、このユーザ用Webページのメニュー釦33の「一括TIFF変換」または「一括PDF変換」をクリックする(あるいはチェックボックス32にチェックを入れて「選択TIFF変換」または「選択PDF変換」をクリックする)と、クライアントコンピュータ2からプリンタサーバ1に送信した電子データが、Post Script形式からTIFF形式またはPDF形式にフォーマット変換されて、プリンタサーバ1からクライアントコンピュータ2に送信される(図3のステップS3,S9,S11及びS12)。
【0055】
これにより、ユーザがプリンタサーバ1に送信した電子データが、直接目的のフォーマット(TIFF形式またはPDF形式)に変換されるのではなく、Post Scriptというページ記述言語のフォーマットを介して目的のフォーマットに変換されて、クライアントコンピュータ2に返送される。ページ記述言語は、文字・図形・画像といった属性やページ内での文字・図形・画像の位置情報等を記述する言語であり、この情報を元に目的のフォーマットに変換することにより、電子データを作成したツールの種類やバージョンに依存することなくフォーマット変換を行うことができる。
【0056】
そして、プリンタサーバ1のハードディスク15(図2)に格納されたPost Script形式の電子データは、ユーザの印刷指示によってプリンタ3に送信された後も、ハードディスク15から削除されることなく、引き続きハードディスク15に格納される(図3のステップS10)。したがって、ユーザは、電子データを印刷した後も、その電子データを作成したツールの種類やバージョンに依存することなくその電子データを目的のフォーマットに変換することができる。
【0057】
また、ユーザが、ユーザ用Webページのメニュー釦33の 「一括削除」をクリックする(あるいはチェックボックス32にチェックを入れて「選択削除」をクリックする)と、削除を指示したPost Script形式の電子データが、ハードディスク15から削除される(図3のステップS3,S9,S13)。
【0058】
これにより、ユーザがクライアントコンピュータ2からプリンタサーバ1に送信した電子データを、例えば印刷終了時または印刷指示をしないと決定したときに、ユーザの操作によってプリンタサーバ1内から削除することができる。
【0059】
他方、プリンタサーバ1の管理者も、プリンタサーバ1のモニタ18(図2)に表示させた管理者用画面で、各クライアントコンピュータ2から送信された電子データのリストを確認し、例えばユーザの了承を得た上で、不要な電子データをプリンタサーバから削除することができる。
【0060】
したがって、有限の記憶容量のプリンタサーバ1を、多数のクライアントコンピュータ2で共有することができる。
【0061】
なお、以上の例では、プリンタサーバ1からクライアントコンピュータ2に、Webページの形態でPost Script形式の電子データのイメージデータ(図3のイメージ31)を送信している。しかし、これに限らず、Webページ以外の形態でプリンタサーバ1からクライアントコンピュータ2にPost Script形式の電子データのイメージデータを送信し、クライアントコンピュータ2側では、なんらかのビューアによってそのイメージデータを閲覧して、印刷やフォーマット変換や削除の指示を行うようにしてもよい。
【0062】
なお、以上の例では、印刷支援プログラム22が、プリンタドライバ19,フォーマット変換ソフト20,Webサーバソフト21を使用して、Post Script形式への変換や、クライアントコンピュータ2へのイメージデータの送信や、印刷や、TIFF形式,PDF形式へのフォーマット変換を行っている。しかし、別の例として、プリンタドライバ19,フォーマット変換ソフト20,Webサーバソフト21のうちの少なくとも一つのプログラムの内容を、印刷支援プログラム22自体に含めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る印刷システムの全体構成例を示す図である。
【図2】プリンタサーバの主要部の構成を示すブロック図である。
【図3】印刷支援プログラムによる処理内容を示すフローチャートである。
【図4】ユーザ用Webページを示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 プリンタサーバ
2 クライアントコンピュータ
3 プリンタ
4 LAN回線
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 LANインタフェース
15 ハードディスク
16 キーボード
17 マウス
18 モニタ
19 プリンタドライバ
20 フォーマット変換ソフト
21 Webサーバソフト
22 印刷支援プログラム
31 電子データのイメージ
32 チェックボックス
33 メニュー釦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアントコンピュータから送信された電子データを、ページ記述言語形式に変換して記憶手段に格納する第1の手段と、
前記クライアントコンピュータから印刷が指示されたことに応じて、前記記憶手段に格納された前記ページ記述言語形式の電子データをプリンタに送信する第2の手段と
を備えたことを特徴とするプリンタサーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタサーバにおいて、
前記第1の手段によって変換された前記ページ記述言語形式の電子データのイメージデータを前記クライアントコンピュータに送信する手段
をさらに備えたことを特徴とするプリンタサーバ。
【請求項3】
請求項1に記載のプリンタサーバにおいて、
前記クライアントコンピュータから所定のフォーマットへの変換が指示されたことに応じて、前記記憶手段に格納された前記ページ記述言語形式の電子データを前記所定のフォーマットに変換して前記クライアントコンピュータに送信する手段
をさらに備えたことを特徴とするプリンタサーバ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタサーバにおいて、
前記第2の手段は、前記記憶手段に格納された前記ページ記述言語形式の電子データを、前記プリンタに送信した後も前記記憶手段に格納させておく
ことを特徴とするプリンタサーバ。
【請求項5】
請求項1に記載のプリンタサーバにおいて、
前記クライアントコンピュータから削除が指示されたことに応じて、前記記憶手段に格納された前記ページ記述言語形式の電子データを削除する手段
をさらに備えたことを特徴とするプリンタサーバ。
【請求項6】
請求項1に記載のプリンタサーバにおいて、
前記記憶手段に格納された前記ページ記述言語形式の電子データを、前記プリンタサーバのモニタに表示させる手段と、
前記プリンタサーバの操作によって削除が指示されたことに応じて、前記記憶手段に格納された前記ページ記述言語形式の電子データを削除する手段と
をさらに備えたことを特徴とするプリンタサーバ。
【請求項7】
プリンタサーバ、クライアントコンピュータ及びプリンタが通信ネットワークに接続されており、
前記プリンタサーバは、
前記クライアントコンピュータから送信された電子データを、ページ記述言語形式に変換して記憶手段に格納する第1の手段と、
前記クライアントコンピュータから印刷が指示されたことに応じて、前記記憶手段に格納された前記ページ記述言語形式の電子データを前記プリンタに送信する第2の手段と
を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
他のコンピュータから送信された電子データを、ページ記述言語形式に変換して記憶手段に格納する第1の手段、
前記他のコンピュータから印刷が指示されたことに応じて、前記記憶手段に格納された前記ページ記述言語形式の電子データをプリンタに送信する第2の手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項9】
クライアントコンピュータから送信された電子データを、ページ記述言語形式に変換して記憶手段に格納する第1のステップと、
前記クライアントコンピュータから印刷が指示されたことに応じて、前記記憶手段に格納された前記ページ記述言語形式の電子データをプリンタに送信する第2のステップと
を有することを特徴とする印刷制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−338281(P2006−338281A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−161523(P2005−161523)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】