プリンタ
【課題】インクシートと用紙との長時間の接触による用紙全体へのインクの付着を防止しながら、印刷時の用紙の搬送回数を減少させることができ、かつ、印刷時に加圧機構を必要としないプリンタを提供する。
【解決手段】この昇華型プリンタ(プリンタ)は、インクシート29を収納するためのインクシートカートリッジ23が装着可能なように構成され、インクシート23に熱量を加えて用紙50にインクを付着させるために、用紙50およびインクシート29から所定の間隔を隔てた位置からレーザー光34を照射するレーザー照射部2dを含む印字ヘッド部2と、用紙50の搬送を行うための送りローラ4とを備え、インクシート29を矢印T3方向に搬送させるとともに、用紙50を平面的に見て矢印T1方向およびそれとは逆方向の両方向に搬送させながら、インクシート29と用紙50とを接触させた状態でレーザー照射部2dによりレーザー光34を照射することによって印刷を行う。
【解決手段】この昇華型プリンタ(プリンタ)は、インクシート29を収納するためのインクシートカートリッジ23が装着可能なように構成され、インクシート23に熱量を加えて用紙50にインクを付着させるために、用紙50およびインクシート29から所定の間隔を隔てた位置からレーザー光34を照射するレーザー照射部2dを含む印字ヘッド部2と、用紙50の搬送を行うための送りローラ4とを備え、インクシート29を矢印T3方向に搬送させるとともに、用紙50を平面的に見て矢印T1方向およびそれとは逆方向の両方向に搬送させながら、インクシート29と用紙50とを接触させた状態でレーザー照射部2dによりレーザー光34を照射することによって印刷を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタに関し、特に、レーザー光を照射することが可能な印字ヘッド部を備えたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザー光を照射することが可能な印字ヘッド部を備えたプリンタが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【0003】
上記特許文献1および2による印刷装置(プリンタ)では、用紙に重ねられた状態で、用紙とともに回転ドラムに巻き付けられたインクシートに、レーザー光を照射するように構成されている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1および2に記載の印刷装置(プリンタ)では、非印刷状態においても、インクシートが用紙と密着した状態で回転ドラムに巻き付けられているため、インクシートと用紙との長時間の接触によって用紙全体にインクシートのインクが薄く付着するという不都合がある。
【0005】
そこで、従来、上記のような不都合を解消するために、記録装置全体にインクシートのインクが薄く付着するのを抑制することが可能な技術が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0006】
上記特許文献3には、インクシートと用紙とを長時間重ね合わせる必要がないように、インクシート専用のボビン(カートリッジ)を備え、半円柱状の透明な押圧棒を用いてインクシートと用紙とを極めて狭い幅で接触させ、レーザー光による昇華を行うように構成することによって、用紙全体にインクが薄く付着することを防止することが可能なレーザー昇華型プリンタ装置が開示されている。
【0007】
また、従来では、特許文献4に開示されているように、クレジットカードなどの証印を有する基体にサーマルフォイルを加圧した状態でレーザー光による熱により、サーマルフォイルから基体に証印の転写を行うことが可能なプリントシステムも知られている。
【0008】
【特許文献1】特開08−290594号公報
【特許文献2】特開08−174871号公報
【特許文献3】特開07−171992号公報
【特許文献4】特表2005−503275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献3に記載のレーザー昇華型プリンタ装置は、インクシートと用紙とが押圧棒により接触された状態で、インクシートと用紙とを同時に、同方向(一方方向)に移動させながらインクシートのインクを用紙に付着させる構成となっている。このため、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)の3色のインクシートのインクを順次用紙に付着させて印刷を行う際に、1色の印刷が終わる毎に、用紙を上記一方方向とは逆の他方方向に搬送して、元の印刷開始位置に戻す必要があるので、印刷時の用紙の搬送回数が増加するという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献4に記載のプリントシステムでは、圧力と熱とによって証印を基体に転写するため、装置本体に、熱源としてのレーザー光に加えて圧力を加えるための加圧機構が必要であるという問題点がある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、インクシートと用紙との長時間の接触による用紙全体へのインクの付着を防止しながら、印刷時の用紙の搬送回数を減少させることができ、かつ、印刷時に加圧機構を必要としないプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
この発明の第1の局面によるプリンタは、インクシートに熱量を加えて用紙にインクを付着させるために、レーザー光を照射することが可能な印字ヘッド部を備えたプリンタにおいて、インクシートを収納するためのインクシートカートリッジが装着可能な装置本体と、用紙の搬送を行うための送りローラと、印字ヘッド部を、用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に見て直交する方向に移動させるためのヘッド駆動部とを備え、印字ヘッド部は、用紙およびインクシートから所定の間隔を隔てた位置からレーザー光を照射するレーザー照射部と、レーザー光を集光させるための集光レンズと、レーザー光の焦点を調整するためのレンズ駆動部とを含み、インクシートカートリッジは、インクシートを用紙と接触するように誘導するための第1ガイド部と、用紙をインクシートと接触するように誘導するための第2ガイド部とを含み、インクシートカートリッジの第1ガイド部および第2ガイド部は、それぞれ、レーザー光を通過させるための細長状の開口部を含み、インクシートを第1の方向に搬送させるとともに、用紙を平面的に見て第1の方向および第1の方向とは逆方向の両方向に搬送させながら、インクシートと用紙とを接触させた状態でレーザー照射部によりレーザー光を照射することによって印刷を行う。
【0013】
この第1の局面によるプリンタでは、上記のように、装置本体を、インクシートを収納するためのインクシートカートリッジの装着が可能なように構成することによって、非印刷状態において、インクシートと用紙とを別々に待機させることができるので、インクシートと用紙とが長時間接触することはなく、用紙全体にインクが薄く付着することを防止することができる。また、用紙およびインクシートから所定の間隔を隔てた位置からレーザー光を照射するレーザー照射部を含む印字ヘッド部を備えることによって、印字ヘッド部をインクシートに接触させることなく熱を加えることができるので、熱源としてのレーザー光に加えて圧力を加えるための加圧機構を必要としない。また、用紙の搬送を行うための送りローラを備え、インクシートを第1の方向に搬送させるとともに、用紙を平面的に見て第1の方向および第1の方向とは逆方向の両方向に搬送させながら、インクシートと用紙とを接触させた状態でレーザー照射部によりレーザー光を照射することによって印刷を行うように構成することによって、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)の3色のインクシートのインクを順次用紙に付着させて印刷を行う際に、用紙を第1の方向および第2の方向に順次搬送しながら連続的に印刷を行うことができる。これにより、用紙を第1の方向のみに搬送して印刷を行う場合と異なり、1色の印刷が終わる毎に、用紙を上記一方方向とは逆の他方方向に搬送して元の印刷開始位置に戻す必要がないので、印刷時の用紙の搬送回数を減少させることができる。
【0014】
また、第1の局面によるプリンタでは、インクシートを用紙と接触するように誘導するための第1ガイド部と、用紙をインクシートと接触するように誘導するための第2ガイド部とを含むことによって、インクシートと用紙とを、常にある一定の位置で接触させることができる。また、インクシートカートリッジの第1ガイド部および第2ガイド部が、それぞれ、レーザー光を通過させるための細長状の開口部を含むように構成することによって、レーザー光を開口部を介して直接インクシートに照射することができるので、容易にインクシートに熱を加えてインクを昇華させることにより用紙に付着させることができる。印字ヘッド部が、レーザー光を集光させるための集光レンズと、レーザー光の焦点を調整するためのレンズ駆動部とを含むように構成することによって、集光レンズを駆動させて、レーザー光の照射スポットのサイズを変化させることができるので、昇華するインクのサイズを変化させることができる。これにより、印画表現の幅を広げ、高精細な印刷を行うことができる。また、印字ヘッド部を、用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に見て直交する方向に移動させるためのヘッド駆動部を備えるように構成することによって、印字ヘッド部を用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に直交する方向に移動させながらレーザー光の照射を行うことができるので、1つのレーザー照射部によって、用紙の搬送方向と平面的に直交する方向にも、印刷を行うことができる。
【0015】
この発明の第2の局面によるプリンタは、インクシートを収納するためのインクシートカートリッジが装着可能な装置本体と、装置本体に設けられ、インクシートに熱量を加えて用紙にインクを付着させるために、用紙およびインクシートから所定の間隔を隔てた位置からレーザー光を照射するレーザー照射部を含む印字ヘッド部と、用紙の搬送を行うための送りローラとを備え、インクシートを第1の方向に搬送させるとともに、用紙を平面的に見て第1の方向および第1の方向とは逆方向の両方向に搬送させながら、インクシートと用紙とを接触させた状態でレーザー照射部によりレーザー光を照射することによって印刷を行う。
【0016】
この第2の局面によるプリンタでは、上記のように、装置本体を、インクシートを収納するためのインクシートカートリッジの装着が可能なように構成することによって、非印刷状態において、インクシートと用紙とを別々に待機させることができるので、インクシートと用紙とが長時間接触することはなく、用紙全体にインクが薄く付着することを防止することができる。また、用紙およびインクシートから所定の間隔を隔てた位置からレーザー光を照射するレーザー照射部を含む印字ヘッド部を備えることによって、印字ヘッド部をインクシートに接触させることなく熱を加えることができるので、熱源としてのレーザー光に加えて圧力を加えるための加圧機構を必要としない。また、用紙の搬送を行うための送りローラを備え、インクシートを第1の方向に搬送させるとともに、用紙を平面的に見て第1の方向および第1の方向とは逆方向の両方向に搬送させながら、インクシートと用紙とを接触させた状態でレーザー照射部によりレーザー光を照射することによって印刷を行うように構成することによって、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)の3色のインクシートのインクを順次用紙に付着させて印刷を行う際に、用紙を第1の方向および第2の方向に順次搬送しながら連続的に印刷を行うことができる。これにより、用紙を第1の方向のみに搬送して印刷を行う場合と異なり、1色の印刷が終わる毎に、用紙を上記一方方向とは逆の他方方向に搬送して元の印刷開始位置に戻す必要がないので、印刷時の用紙の搬送回数を減少させることができる。
【0017】
上記第2の局面によるプリンタにおいては、好ましくは、インクシートを用紙と接触するように誘導するための第1ガイド部と、用紙をインクシートと接触するように誘導するための第2ガイド部とを含む。このように構成すれば、インクシートと用紙とを、常にある一定の位置で接触させることができる。
【0018】
上記第2の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、インクシートカートリッジの第1ガイド部および第2ガイド部は、それぞれ、レーザー光を通過させるための細長状の開口部を含む。このように構成すれば、レーザー光を開口部を介して直接インクシートに照射することができるので、容易にインクシートに熱を加えてインクを昇華させることにより用紙に付着させることができる。
【0019】
上記第2の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、印字ヘッド部は、レーザー光を集光させるための集光レンズと、レーザー光の焦点を調整するためのレンズ駆動部とを含む。このように構成すれば、集光レンズを駆動させて、レーザー光の照射スポットのサイズを変化させることができるので、昇華させるインクのサイズを変化させることができる。これにより、印画表現の幅を広げ、高精細な印刷を行うことができる。
【0020】
上記第2の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、印字ヘッド部を、用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に見て直交する方向に移動させるためのヘッド駆動部を設ける。このように構成すれば、印字ヘッド部を用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に直交する方向に移動させながらレーザー光の照射を行うことができるので、1つのレーザー照射部によって、用紙の搬送方向と平面的に直交する方向にも、印刷を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの筐体を取り外した状態の分解斜視図である。図2〜図7は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの構成を説明するための図である。まず、図1〜図7を参照して、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの構造について説明する。なお、本実施形態では、プリンタの一例である昇華型プリンタに本発明を適用した場合について説明する。
【0023】
本発明の一実施形態による昇華型プリンタの装置本体は、図1に示すように、金属製のシャーシ1と、印字を行うための印字ヘッド部2と、印字ヘッド部2に対向するように配置されたプラテンローラ3(図2参照)と、金属製の送りローラ4(図2参照)と、送りローラギア5と、所定の押圧力で送りローラ4を押圧する金属製の押さえローラ6(図2参照)と、樹脂製の下部用紙ガイド7aと、樹脂製の上部用紙ガイド7bと、ゴム製の給紙ローラ8と、給紙ローラギア9と、ゴム製の排紙ローラ10と、排紙ローラギア11と、インクシート巻取リール12と、モータブラケット13と、用紙50を搬送するためのステッピングモータ14と、印字ヘッド部2を用紙搬送方向と平面的に見て直交する方向(矢印X1およびX2方向)に誘導するリードネジ15と、リードネジギア16と、リードネジギア16を回転させるためのステッピングモータ17と、揺動可能な揺動ギア18aおよび18bと、複数の中間ギア19〜22(図5参照)と、インクシートカートリッジ23を支持するインクシートカートリッジ支持部24と、昇華型プリンタの動作を制御する回路部25(図4参照)が実装された配線基板26と、天板27と、シャーシ1を内部に収納する筐体28(図3参照)とを備えている。また、本実施形態による昇華型プリンタには、図2に示すように、20枚の用紙50を印刷することが可能なインクシート29が収納されたインクシートカートリッジ23と、昇華型プリンタに供給する用紙50を収納するための用紙トレイ30とが着脱可能に装着されている。また、インクシートカートリッジ23は、図3に示すように、インクリート29を巻取る巻取部23aと、インクシート29を供給する供給部23dとを含む構成となっている。
【0024】
また、図1に示すように、シャーシ1は、一方側面1aと、他方側面1bと、底面1cとを有している。また、シャーシ1の一方側面1aには、上記したモータブラケット13が取り付けられている。また、シャーシ1の他方側面1bには、インクシートカートリッジ23を挿入するための挿入孔1dが設けられている。また、一方側面1aの上端部および他方側面1bの上端部には、それぞれ、配線基板26を取り付けるための取付部1eが2つずつ形成されている。また、取付部1eには、配線基板26を固定するためのネジ31が螺合されるネジ孔1fが形成されている。
【0025】
ここで、本実施形態では、印字ヘッド部2は、リードネジ15と印字ヘッド支持軸32とにより支持されている。また、印字ヘッド部2は、図2に示すように、レーザー素子部2aと、レンズ駆動部2bと、集光レンズ2cと、レーザー照射部2dとを含んでいる。また、印字ヘッド部2は、リードネジ15と螺合するネジ孔を有するリードネジ受け部2eと、印字ヘッド支持軸32を挿入する挿入孔を有する支持軸受け部2fとを含んでいる。リードネジ15は、リードネジ受け部2eのネジ孔に螺合するように挿入され、印字ヘッド支持軸32は、支持軸受け部2fの挿入孔に移動可能に挿入されている。また、レーザー素子部2aは、レーザーコントローラ33(図4参照)からの電圧印加によってレーザー光34を出射する機能を有する。また、レンズ駆動部2bは、集光レンズ2cを駆動させて、レーザー光34の焦点を変化させる機能を有する。また、レーザー素子部2aおよびレンズ駆動部2bを制御するために、印字ヘッド部2と回路部25とはケーブル35により電気的に接続されている。
【0026】
また、プラテンローラ3は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bに図示しないプラテンローラ軸受けを介して回転可能に取り付けられている。また、送りローラ4は、図5に示すように、送りローラギア5に挿入される送りローラギア挿入部4aを有する。また、送りローラ4は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bに取り付けられた図示しない送りローラ軸受けに回転可能に支持されている。また、押さえローラ6(図2参照)は、図示しない押さえローラ軸受けに回転可能に支持されている。また、リードネジ15は、図5に示すように、リードネジギア16に挿入されるリードネジギア挿入部15aを有する。また、リードネジ15は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bに取り付けられた図示しないリードネジ15の軸受けに回転可能に支持されている。また、リードネジ15は、リードネジ受け部2eのネジ孔と螺合するように構成されたネジ溝を全長にわたって有する。印字ヘッド支持軸32は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bに支持されている。
【0027】
また、図5に示すように、モータブラケット13に取り付けられたステッピングモータ14の軸部には、モータギア14aが取り付けられている。また、ステッピングモータ14は、インクシート巻取リール12のギア部12aと、給紙ローラギア9と、排紙ローラギア11と、送りローラギア5とを駆動させるための駆動源としての機能を有する。また、ステッピングモータ17は、モータギア17aを有し、印字ヘッド部2を用紙50の搬送方向と平面的に見て直交する方向(図1の矢印X1およびX2方向)に移動させるためのリードネジギア15の駆動源としての機能を有する。
【0028】
また、インクシート巻取リール12(図5参照)は、インクシートカートリッジ23(図2参照)の巻取部23aの内部に回転可能に配置された巻取ボビン23bに係合することによって、供給ボビン23cから供給されるインクシート29を巻取ボビン23bに巻き取るように構成されている。また、インクシート巻取リール12のギア部12aは、図5に示すように、揺動ギア18aまたは18bが揺動することによって係合するように配置されている。
【0029】
また、図2に示すように、下部用紙ガイド7aは、送りローラ4および押さえローラ6の近傍に配置されている。また、上部用紙ガイド7bは、図2に示すように、下部用紙ガイド7aの上部に取り付けられている。この上部用紙ガイド7bは、給紙時には、用紙50が下面側を通過するようにして印刷部への給紙経路に案内するとともに、排紙時には、用紙50が上面側を通過するようにして排紙経路に案内する機能を有する。
【0030】
また、インクシートカートリッジ支持部24は、図1に示すように、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの内側に配置されている。また、インクシートカートリッジ支持部24には、透過型のシート頭出しセンサ36の受光部36aが取り付けられている。なお、シート頭出しセンサ36の発光部36bは、シート頭出しセンサ36の受光部36aとインクシート29を挟んで対向するように、配線基板26に取り付けられている。
【0031】
また、配線基板26は、図1に示すように、天板27を介してシャーシ1の取付部1eに取り付けられている。具体的には、配線基板26は、配線基板26の4つの孔26aおよび天板27の4つの孔27aに通された4個のネジ31をシャーシ1の取付部1eのネジ孔1fに締め付けることによって固定されている。また、配線基板26には、回路部25を構成する電子部品26bと、上記したシート頭出しセンサ36の発光部36bとが取り付けられている。また、天板27には、配線基板26に取り付けられたシート頭出しセンサ36を構成する発光部36bがシャーシ1側に露出されるための孔部27bが形成されている。
【0032】
また、筐体28は、図3に示すように、蓋部材28aおよび28bと、印刷ボタン28cを含んでいる。また、筐体28の蓋部材28aは、用紙トレイ30を昇華型プリンタに装着するために設けられている。また、筐体28の蓋部材28bは、インクシートカートリッジ23を昇華型プリンタに装着するために設けられている。
【0033】
また、本実施形態では、シート頭出しセンサ36は、図2に示すように、受光部36aと発光部36bとの間に配置された後述するインクシート29の各色頭出し識別部29e〜29h(図6参照)を検出することにより、インクシート29の頭出しを行うために設けられている。
【0034】
また、本実施形態では、インクシートカートリッジ23の供給部23dの内部に、インクシート29が巻き付けられた供給ボビン23cが回転可能に配置されている。このインクシート29は、図6に示すように、インクシート29のインク巻取り方向の先頭側から順に、Y色(イエロー)印字シート29a、M色(マゼンダ)印字シート29bおよびC色(シアン)印字シート29cの3色のシートと、印刷された用紙50の印刷面を保護するための透明のOP(オーバーコート)シート29dとを、それぞれ、20組有している。
【0035】
また、図6に示すように、先端側のOP(オーバーコート)シート29d、Y色(イエロー)印字シート29a、M色(マゼンダ)印字シート29b、C色(シアン)印字シート29cおよびOP(オーバーコート)シート29dの境界部には、それぞれ、Y色(イエロー)頭出し識別部29e、M色(マゼンダ)頭出し識別部29f、C色(シアン)頭出し識別部29gおよびOP(オーバーコート)頭出し識別部29hが設けられている。また、各色頭出し識別部29e〜29hは、遮光部からなるとともに、約5mmのインクシート巻取り方向(矢印C方向)に沿った長さを有している。また、各色頭出し識別部29e〜29hは、シート頭出しセンサ36に検出されることによって、Y色(イエロー)印字シート29a、M色(マゼンダ)印字シート29b、C色(シアン)印字シート29cおよびOP(オーバーコート)シート29dを、それぞれ、各シートの印刷開始位置まで搬送させるために設けられている。
【0036】
また、図4に示すように、回路部25は、制御部37と、印字ヘッド部2に設けられたレーザー素子部2aのレーザー照射を制御するレーザーコントローラ33と、印字ヘッド部2に設けられたレンズ駆動部2bを制御してレーザー光34の焦点の調整を行うレーザー焦点調整部38と、ステッピングモータ14を制御するモータドライバ39と、ステッピングモータ17を制御するモータドライバ40とを含んでいる。制御部37は、印刷動作全体を制御する機能を有する。また、モータドライバ39および40は、それぞれ、ステッピングモータ14および17の回転を制御する機能を有する。
【0037】
次に、図2、図3および図7を参照し、インクシートカートリッジ23の構造について説明する。
【0038】
ここで、本実施形態では、インクシートカートリッジ23には、インクシート29を用紙50に接触するように誘導するための一対の第1ガイド部23eと、用紙50をインクシート29に接触するように誘導するための一対の第2ガイド部23fとが設けられている。また、第1ガイド部23eおよび第2ガイド部23fは、それぞれ、平面的に見て、用紙50の搬送方向と直交する方向(図3のX1方向およびX2方向)に延びる細長状の開口部23iおよび23jを含んでいる。一対の第1ガイド部23eは、細長状の開口部23iに向かって、下方に傾斜するように設けられている。また、一対の第2ガイド部23fは、ほぼ平坦な形状に形成されている。また、一対の第1ガイド部23eにガイドされて細長状の開口部23iから露出するインクシート29と、一対の第2ガイド部23fにガイドされて細長状の開口部23jから露出する用紙50とが、プラテンローラ3の上面において接触可能なように配置されている。また、細長状の開口部23iおよび23jの用紙50の搬送方向の幅は、用紙50とインクシート29とが接触可能で、かつ、レーザー照射部2dから照射されたレーザー光34が通過可能な必要最小限の幅に形成されている。これにより、インクシート29の露出される面積が小さくなるので、インクシート29の劣化を抑制することが可能となる。また、シート頭出しセンサ36の発光部36bおよび受光部36aのシート頭出し検出動作の障害とならないように、第1ガイド部23eおよび第2ガイド部23fは、図2および図3に示すように、それぞれ、開口23gおよび23hを備えている。
【0039】
図8〜図11は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。次に、図5、図6および図8〜図11を参照して、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作について説明する。本実施形態では、インクシート29をT3方向に巻取りながら、用紙50をT1方向およびT2方向の両方向に搬送して印刷動作を行う。以下、詳細に説明する。
【0040】
まず、用紙50の給紙時には、ステッピングモータ14が駆動するのに伴って、ステッピングモータ14に取り付けられたモータギア14aが図5の矢印A3方向に回転し、中間ギア19および20を介して、送りローラギア5が矢印A1方向に回転する。そして、送りローラギア5が図5の矢印A1方向に回転するのに伴って、中間ギア21および22を介して、給紙ローラギア9が図5の矢印A4方向に回転する。これにより、図8に示すように、給紙ローラ8が図8の矢印A4方向に回転するので、給紙ローラ8の下面側に接触する用紙50が給紙方向(図8の矢印T1方向)に搬送される。その結果、図9に示すように、用紙50は、下部用紙ガイド7aに案内されて、送りローラ4および押さえローラ6により印刷開始位置まで搬送される。
【0041】
この際、図5に示す揺動ギア18bは係合される方向(矢印A8方向)に揺動されて、揺動ギア18aおよびインクシート巻取リール12のギア部12aと係合する。これにより、インクシート巻取リール12のギア部12aは矢印B4方向に回転し、インクシート29は、巻取ボビン23bに巻き取られる。そして、シート頭出しセンサ36により、Y色(イエロー)頭出し識別部29e(図6参照)が検出された時点で、揺動ギア18aおよびインクシート巻取リール12のギア部12aに係合していた揺動ギア18bは、離間される方向(矢印B8方向)に揺動されて、揺動ギア18aおよびインクシート巻取リール12のギア部12aとは離間する。これにより、インクシート巻取リール12のギア部12aは回転しないので、インクシート29は巻取ボビン23bに巻き取られずに、用紙50のみが送りローラ4および押さえローラ6により図9に示した印刷開始位置まで搬送される。
【0042】
用紙50が図9に示した印刷開始位置まで搬送されると、印刷が開始される。この印刷時には、ステッピングモータ14の駆動に伴って、モータギア14aが矢印A3方向に回転し、中間ギア19および20を介して、送りローラギア5が矢印A1方向に回転する。これにより、送りローラ4は、矢印A2方向に回転するので、用紙50は搬送方向(矢印T1方向)に、インクカートリッジ23の第2ガイド部23fの細長状の開口部23jを、通過しながら搬送される。この際、揺動ギア18bは係合される方向(図5の矢印A8)に揺動されて、揺動ギア18aおよびインクシート巻取リール12のギア部12aと係合する。これにより、インクシート巻取リール12のギア部12aは矢印B4方向に回転し、インクシート29は巻取ボビン23bに巻き取られ、図10に示す矢印T3方向に搬送される。また、この際、印字ヘッド部2のレーザー照射部2dから照射されたレーザー光34は、インクシート29と用紙50の接触位置において、Y色(イエロー)印字シート29aを加熱して、インクを昇華させることにより用紙50に付着させる。上記のように、Y色(イエロー)の印刷の際には、インクシート29を矢印T3方向に搬送しながら、用紙50を矢印T3方向とは平面的に見て逆方向である矢印T1方向に搬送して印刷を行う。
【0043】
その後、シート頭出しセンサ36によってインクシート29のM色(マゼンダ)頭出し識別部29f(図6参照)が検出されると、今度はステッピングモータ14を逆方向に回転させてモータギア14aが図5に示す矢印B3方向に回転することによって、中間ギア19および20を介して、送りローラギア5が矢印B1方向に回転する。これにより、送りローラ4は、矢印B1方向に回転するので、用紙50はY色(イエロー)印刷時の矢印T1方向とは逆の排出方向(図11の矢印T2方向)に、印刷開始位置まで搬送される。この際、揺動ギア18bは、離間する方向(図5の矢印B8方向)に揺動されて、揺動ギア18aおよびインクシート巻取リール12のギア部12aと離間する。また、揺動ギア18aは、離間する方向(図5の矢印B2方向)に揺動されて、インクシート巻取リール12のギア部12aと離間する。これにより、インクシート巻取リール12のギア部12aは回転しないので、インクシート29は巻取ボビン23bに巻き取られずに、用紙50のみが排出方向(図11の矢印T2方向)に、印刷開始位置まで搬送される。これにより、用紙50の印刷開始位置と、M色(マゼンダ)印字シート29bの開始位置とが一致する。
【0044】
その後、揺動ギア18aは係合される方向(図5の矢印A2方向)に揺動されて、インクシート巻取リール12のギア部12aと係合する。これにより、ステッピングモータ14の駆動に伴ったモータギア14aの矢印B3方向の回転によって、中間ギア19、20、送りローラギア5および揺動ギア18aを介して、インクシート巻取リール12のギア部12aは、矢印B4方向に回転する。これにより、インクシート29は巻取ボビン23bに巻き取られ、図11の矢印T3方向に搬送される。なお、用紙50は継続して排出方向(図11の矢印T2方向)に搬送され、インクシート29および用紙50は、それぞれ矢印T3およびT2方向に搬送される。この際、上記と同様に、レーザー光34によってM色(マゼンダ)印字シート29bが加熱されて、インクを用紙50に付着させる。この工程は、インクシート29のC色(シアン)頭出し識別部29g(図6参照)がシート頭出しセンサ36によって検出されるまで継続する。上記のように、M色(マゼンダ)の印刷の際には、インクシート29を矢印T3方向に搬送しながら、用紙50を矢印T3方向と平面的に見て同一方向である矢印T2方向に搬送して印刷を行う。
【0045】
その後、上記Y色(イエロー)印字シート29aのインクを用紙50に付着させる工程と同様に、C色(シアン)印字シート29cのインクを用紙50に付着させる。すなわち、C色(シアン)の印刷を行う際には、インクシート29を矢印T3方向に搬送しながら、用紙50を矢印T3方向とは平面的に見て逆方向である矢印T1方向に搬送して印刷を行う。
【0046】
その後、上記M色(マゼンダ)印字シート29bのインクを用紙50に付着させる工程と同様に、OP(オーバーコート)シート29dによって用紙50にコーティングが施される。すなわち、OP(オーバーコート)シート29dによるコーティングを行う際には、インクシート29を矢印T3方向に搬送しながら、用紙50を矢印T3方向と平面的に見て同一方向である矢印T2方向に搬送して印刷を行う。
【0047】
上記のOP(オーバーコート)シート29dによるコーティングが終了した後、用紙50は排紙ローラ10によって、筐体28外部へ排出される。
【0048】
次に、図1、図5および図8を参照し、印字ヘッド部2の用紙50の搬送方向(図8の矢印T1およびT2方向)と平面的に見て直角方向(図1の矢印X1およびX2方向)への移動動作(レーザー光34のスキャン動作)について説明する。
【0049】
ステッピングモータ17の駆動に伴って、ステッピングモータ17に取り付けられたモータギア17aが矢印A6方向に回転し、モータギア17aと係合するリードネジギア16が矢印A7方向に回転する。これにより、図1に示すリードネジ15が矢印A7方向に回転する。この際に、印字ヘッド部2のリードネジ受け部2eが、リードネジ15のネジ溝と螺合するように構成されているため、リードネジ15の矢印A7方向の回転によって、印字ヘッド部2は、矢印X1方向に移動される。そして、印字ヘッド部2は、矢印X1方向に移動しながら、1ビット毎にレーザー光34をインクシート29および用紙50に向かって照射することによって、1ライン分の印刷が行われる。1ライン分の印刷が終わると、インクシート29および用紙50が1ライン分搬送される。そして、ステッピングモータ17を逆方向に回転させることにより、モータギア17aを矢印B6方向に回転させて、上記と反対に、印字ヘッド部2は、矢印X2方向に移動される。そして、印字ヘッド部2は、矢印X2方向に移動しながら、1ビット毎にレーザー光34をインクシート29および用紙50に向かって照射することによって、1ライン分の印刷が行われる。1ライン分の印刷が終わると、インクシート29および用紙50が1ライン分搬送される。その後、1ライン毎に、上記したX1方向およびX2方向へのレーザー光34のスキャン移動を繰り返す。このようにして、印刷時に矢印X1方向およびX2方向への印刷が行われる。なお、上記両方向(矢印X1およびX2方向)に印字ヘッド部2が移動される際に、印字ヘッド部2は、印字ヘッド支持軸32と、印字ヘッド部2の支持軸受け部2f(図2参照)とによって、矢印X1およびX2以外の方向への動きを制限される。
【0050】
本実施形態では、上記のように、昇華型プリンタの装置本体を、インクシート29を収納するためのインクシートカートリッジ23の装着が可能なように構成することによって、非印刷状態において、インクシート29と用紙50とを別々に待機させることができるので、インクシート29と用紙50とが長時間接触することはなく、用紙50全体にインクが薄く付着することを防止することができる。また、用紙50およびインクシート29から所定の間隔を隔てた位置からレーザー光34を照射するレーザー照射部2dを含む印字ヘッド部2を備えることによって、印字ヘッド部2をインクシート29に接触させることなく熱を加えることができるので、熱源としてのレーザー光34に加えて圧力を加えるための加圧機構を必要としない。
【0051】
また、本実施形態では、インクシート29を矢印T3方向(図10、図11参照)に搬送させるとともに、用紙50を平面的に見て矢印T1方向および矢印T2方向(図10、図11参照)の両方向に搬送させながら、インクシート29と用紙50とを接触させた状態でレーザー照射部2dによりレーザー光34を照射することによって印刷を行うように構成することによって、Y(イエロー)印字シート29a、M(マゼンダ)印字シート29b、C(シアン)印字シート29cの3色のインクシート29のインクを順次用紙に付着させて印刷を行う際に、用紙50を矢印T1方向および矢印T2方向に順次搬送しながら連続的に印刷を行うことができる。これにより、用紙50を一方方向のみに搬送して印刷を行う場合と異なり、1色の印刷が終わる毎に、用紙50を上記一方方向とは逆の他方方向に搬送して元の印刷開始位置に戻す必要がないので、印刷時の用紙50の搬送回数を減少させることができる。
【0052】
また、本実施形態では、インクシート29を用紙50と接触するように誘導するための第1ガイド部23eと、用紙50をインクシート29と接触するように誘導するための第2ガイド部23fとを含むように構成することによって、インクシート29と用紙50とを、常にある一定の位置で接触させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、インクシートカートリッジ23の第1ガイド部23eおよび第2ガイド部23fは、それぞれ、レーザー光34を通過させるための細長状の開口部23iおよび23jを含むように構成することによって、レーザー光34を開口部23iおよび23jを介して直接インクシート29に照射することができるので、容易にインクシート29に熱を加えてインクを昇華させることにより用紙50に付着させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、印字ヘッド部2は、レーザー光34を集光させるための集光レンズ2cと、レーザー光34の焦点を調整するためのレンズ駆動部2bとを含むように構成することによって、レーザー光34の焦点を変化させることができるので、昇華させるインクのサイズを変化させることができる。これにより、印画表現の幅を広げ、高精細な印刷を行うことができる。
【0055】
また、本実施形態では、印字ヘッド部2を、矢印X1方向および矢印X2方向(図1参照)に移動させるためのヘッド駆動部(リードネジ15、リードネジ受け部2e、リードネジギア16、ステッピングモータ17、モータギア17a)を設けることによって、印字ヘッド部2を矢印X1方向および矢印X2方向に移動させながらレーザー光34の照射を行うことができるので、1つのレーザー照射部2dによって、用紙50の搬送方向(図10および図11の矢印T1方向および矢印T2方向)と平面的に直交する方向(図1の矢印X1方向および矢印X2方向)にも、印刷を行うことができる。
【0056】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
たとえば、上記実施形態では、プリンタの一例として昇華型プリンタを示したが、本発明はこれに限らず、印字ヘッド部にレーザー照射部を備えるプリンタであれば、昇華型プリンタ以外のプリンタにも適用可能である。
【0058】
また、上記実施形態では、ヘッド駆動部にリードネジを設けて、用紙の搬送方向と平面的に見て直交する方向に印字ヘッド部を移動させる例を示したが、本発明はこれに限らず、他の構成による駆動手段を備えてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、印字ヘッド部に集光レンズを1枚のみ備える例を示したが、本発明はこれに限らず、複数枚の集光レンズを備える構成としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、Y色(イエロー)、M色(マゼンダ)、C(シアン)およびOP(オーバーコート)を順に配置するインクシートの例を示したが、本発明はこれに限らず、各色別個独立のインクシートを用いてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、インクシートカートリッジの第1ガイド部および第2ガイド部の形状を、図7に示すような形状として示したが、本発明はこれに限らず、インクシートと用紙とが接触し、その接触位置にレーザー光が照射可能で、かつ、インクシートと用紙とが接触状態にありながら平面的に見て相反する方向に搬送可能な構成であれば、他の形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態による昇華型プリンタの筐体を取り外した状態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの断面図である。
【図3】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの筐体およびインクシートカートリッジを示した図である。
【図4】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタに含まれる回路部の回路構成を示したブロック図である。
【図5】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタに含まれるギアの配置位置を示した図である。
【図6】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタに使用されるインクシートを示した平面図である。
【図7】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタのインクシートと用紙との接触状況を示した図である。
【図8】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための断面図である。
【図9】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための断面図である。
【図10】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための断面図である。
【図11】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0063】
2 印字ヘッド部
2b レンズ駆動部
2c 集光レンズ
2d レーザー照射部
4 送りローラ
15 リードネジ(ヘッド駆動部)
16 リードネジギア(ヘッド駆動部)
17 ステッピングモータ(ヘッド駆動部)
17a モータギア(ヘッド駆動部)
23 インクシートカートリッジ
23e 第1ガイド部
23f 第2ガイド部
23i 開口部
23j 開口部
29 インクシート
34 レーザー光
50 用紙
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタに関し、特に、レーザー光を照射することが可能な印字ヘッド部を備えたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザー光を照射することが可能な印字ヘッド部を備えたプリンタが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【0003】
上記特許文献1および2による印刷装置(プリンタ)では、用紙に重ねられた状態で、用紙とともに回転ドラムに巻き付けられたインクシートに、レーザー光を照射するように構成されている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1および2に記載の印刷装置(プリンタ)では、非印刷状態においても、インクシートが用紙と密着した状態で回転ドラムに巻き付けられているため、インクシートと用紙との長時間の接触によって用紙全体にインクシートのインクが薄く付着するという不都合がある。
【0005】
そこで、従来、上記のような不都合を解消するために、記録装置全体にインクシートのインクが薄く付着するのを抑制することが可能な技術が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0006】
上記特許文献3には、インクシートと用紙とを長時間重ね合わせる必要がないように、インクシート専用のボビン(カートリッジ)を備え、半円柱状の透明な押圧棒を用いてインクシートと用紙とを極めて狭い幅で接触させ、レーザー光による昇華を行うように構成することによって、用紙全体にインクが薄く付着することを防止することが可能なレーザー昇華型プリンタ装置が開示されている。
【0007】
また、従来では、特許文献4に開示されているように、クレジットカードなどの証印を有する基体にサーマルフォイルを加圧した状態でレーザー光による熱により、サーマルフォイルから基体に証印の転写を行うことが可能なプリントシステムも知られている。
【0008】
【特許文献1】特開08−290594号公報
【特許文献2】特開08−174871号公報
【特許文献3】特開07−171992号公報
【特許文献4】特表2005−503275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献3に記載のレーザー昇華型プリンタ装置は、インクシートと用紙とが押圧棒により接触された状態で、インクシートと用紙とを同時に、同方向(一方方向)に移動させながらインクシートのインクを用紙に付着させる構成となっている。このため、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)の3色のインクシートのインクを順次用紙に付着させて印刷を行う際に、1色の印刷が終わる毎に、用紙を上記一方方向とは逆の他方方向に搬送して、元の印刷開始位置に戻す必要があるので、印刷時の用紙の搬送回数が増加するという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献4に記載のプリントシステムでは、圧力と熱とによって証印を基体に転写するため、装置本体に、熱源としてのレーザー光に加えて圧力を加えるための加圧機構が必要であるという問題点がある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、インクシートと用紙との長時間の接触による用紙全体へのインクの付着を防止しながら、印刷時の用紙の搬送回数を減少させることができ、かつ、印刷時に加圧機構を必要としないプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
この発明の第1の局面によるプリンタは、インクシートに熱量を加えて用紙にインクを付着させるために、レーザー光を照射することが可能な印字ヘッド部を備えたプリンタにおいて、インクシートを収納するためのインクシートカートリッジが装着可能な装置本体と、用紙の搬送を行うための送りローラと、印字ヘッド部を、用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に見て直交する方向に移動させるためのヘッド駆動部とを備え、印字ヘッド部は、用紙およびインクシートから所定の間隔を隔てた位置からレーザー光を照射するレーザー照射部と、レーザー光を集光させるための集光レンズと、レーザー光の焦点を調整するためのレンズ駆動部とを含み、インクシートカートリッジは、インクシートを用紙と接触するように誘導するための第1ガイド部と、用紙をインクシートと接触するように誘導するための第2ガイド部とを含み、インクシートカートリッジの第1ガイド部および第2ガイド部は、それぞれ、レーザー光を通過させるための細長状の開口部を含み、インクシートを第1の方向に搬送させるとともに、用紙を平面的に見て第1の方向および第1の方向とは逆方向の両方向に搬送させながら、インクシートと用紙とを接触させた状態でレーザー照射部によりレーザー光を照射することによって印刷を行う。
【0013】
この第1の局面によるプリンタでは、上記のように、装置本体を、インクシートを収納するためのインクシートカートリッジの装着が可能なように構成することによって、非印刷状態において、インクシートと用紙とを別々に待機させることができるので、インクシートと用紙とが長時間接触することはなく、用紙全体にインクが薄く付着することを防止することができる。また、用紙およびインクシートから所定の間隔を隔てた位置からレーザー光を照射するレーザー照射部を含む印字ヘッド部を備えることによって、印字ヘッド部をインクシートに接触させることなく熱を加えることができるので、熱源としてのレーザー光に加えて圧力を加えるための加圧機構を必要としない。また、用紙の搬送を行うための送りローラを備え、インクシートを第1の方向に搬送させるとともに、用紙を平面的に見て第1の方向および第1の方向とは逆方向の両方向に搬送させながら、インクシートと用紙とを接触させた状態でレーザー照射部によりレーザー光を照射することによって印刷を行うように構成することによって、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)の3色のインクシートのインクを順次用紙に付着させて印刷を行う際に、用紙を第1の方向および第2の方向に順次搬送しながら連続的に印刷を行うことができる。これにより、用紙を第1の方向のみに搬送して印刷を行う場合と異なり、1色の印刷が終わる毎に、用紙を上記一方方向とは逆の他方方向に搬送して元の印刷開始位置に戻す必要がないので、印刷時の用紙の搬送回数を減少させることができる。
【0014】
また、第1の局面によるプリンタでは、インクシートを用紙と接触するように誘導するための第1ガイド部と、用紙をインクシートと接触するように誘導するための第2ガイド部とを含むことによって、インクシートと用紙とを、常にある一定の位置で接触させることができる。また、インクシートカートリッジの第1ガイド部および第2ガイド部が、それぞれ、レーザー光を通過させるための細長状の開口部を含むように構成することによって、レーザー光を開口部を介して直接インクシートに照射することができるので、容易にインクシートに熱を加えてインクを昇華させることにより用紙に付着させることができる。印字ヘッド部が、レーザー光を集光させるための集光レンズと、レーザー光の焦点を調整するためのレンズ駆動部とを含むように構成することによって、集光レンズを駆動させて、レーザー光の照射スポットのサイズを変化させることができるので、昇華するインクのサイズを変化させることができる。これにより、印画表現の幅を広げ、高精細な印刷を行うことができる。また、印字ヘッド部を、用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に見て直交する方向に移動させるためのヘッド駆動部を備えるように構成することによって、印字ヘッド部を用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に直交する方向に移動させながらレーザー光の照射を行うことができるので、1つのレーザー照射部によって、用紙の搬送方向と平面的に直交する方向にも、印刷を行うことができる。
【0015】
この発明の第2の局面によるプリンタは、インクシートを収納するためのインクシートカートリッジが装着可能な装置本体と、装置本体に設けられ、インクシートに熱量を加えて用紙にインクを付着させるために、用紙およびインクシートから所定の間隔を隔てた位置からレーザー光を照射するレーザー照射部を含む印字ヘッド部と、用紙の搬送を行うための送りローラとを備え、インクシートを第1の方向に搬送させるとともに、用紙を平面的に見て第1の方向および第1の方向とは逆方向の両方向に搬送させながら、インクシートと用紙とを接触させた状態でレーザー照射部によりレーザー光を照射することによって印刷を行う。
【0016】
この第2の局面によるプリンタでは、上記のように、装置本体を、インクシートを収納するためのインクシートカートリッジの装着が可能なように構成することによって、非印刷状態において、インクシートと用紙とを別々に待機させることができるので、インクシートと用紙とが長時間接触することはなく、用紙全体にインクが薄く付着することを防止することができる。また、用紙およびインクシートから所定の間隔を隔てた位置からレーザー光を照射するレーザー照射部を含む印字ヘッド部を備えることによって、印字ヘッド部をインクシートに接触させることなく熱を加えることができるので、熱源としてのレーザー光に加えて圧力を加えるための加圧機構を必要としない。また、用紙の搬送を行うための送りローラを備え、インクシートを第1の方向に搬送させるとともに、用紙を平面的に見て第1の方向および第1の方向とは逆方向の両方向に搬送させながら、インクシートと用紙とを接触させた状態でレーザー照射部によりレーザー光を照射することによって印刷を行うように構成することによって、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)の3色のインクシートのインクを順次用紙に付着させて印刷を行う際に、用紙を第1の方向および第2の方向に順次搬送しながら連続的に印刷を行うことができる。これにより、用紙を第1の方向のみに搬送して印刷を行う場合と異なり、1色の印刷が終わる毎に、用紙を上記一方方向とは逆の他方方向に搬送して元の印刷開始位置に戻す必要がないので、印刷時の用紙の搬送回数を減少させることができる。
【0017】
上記第2の局面によるプリンタにおいては、好ましくは、インクシートを用紙と接触するように誘導するための第1ガイド部と、用紙をインクシートと接触するように誘導するための第2ガイド部とを含む。このように構成すれば、インクシートと用紙とを、常にある一定の位置で接触させることができる。
【0018】
上記第2の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、インクシートカートリッジの第1ガイド部および第2ガイド部は、それぞれ、レーザー光を通過させるための細長状の開口部を含む。このように構成すれば、レーザー光を開口部を介して直接インクシートに照射することができるので、容易にインクシートに熱を加えてインクを昇華させることにより用紙に付着させることができる。
【0019】
上記第2の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、印字ヘッド部は、レーザー光を集光させるための集光レンズと、レーザー光の焦点を調整するためのレンズ駆動部とを含む。このように構成すれば、集光レンズを駆動させて、レーザー光の照射スポットのサイズを変化させることができるので、昇華させるインクのサイズを変化させることができる。これにより、印画表現の幅を広げ、高精細な印刷を行うことができる。
【0020】
上記第2の局面によるプリンタにおいて、好ましくは、印字ヘッド部を、用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に見て直交する方向に移動させるためのヘッド駆動部を設ける。このように構成すれば、印字ヘッド部を用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に直交する方向に移動させながらレーザー光の照射を行うことができるので、1つのレーザー照射部によって、用紙の搬送方向と平面的に直交する方向にも、印刷を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの筐体を取り外した状態の分解斜視図である。図2〜図7は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの構成を説明するための図である。まず、図1〜図7を参照して、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの構造について説明する。なお、本実施形態では、プリンタの一例である昇華型プリンタに本発明を適用した場合について説明する。
【0023】
本発明の一実施形態による昇華型プリンタの装置本体は、図1に示すように、金属製のシャーシ1と、印字を行うための印字ヘッド部2と、印字ヘッド部2に対向するように配置されたプラテンローラ3(図2参照)と、金属製の送りローラ4(図2参照)と、送りローラギア5と、所定の押圧力で送りローラ4を押圧する金属製の押さえローラ6(図2参照)と、樹脂製の下部用紙ガイド7aと、樹脂製の上部用紙ガイド7bと、ゴム製の給紙ローラ8と、給紙ローラギア9と、ゴム製の排紙ローラ10と、排紙ローラギア11と、インクシート巻取リール12と、モータブラケット13と、用紙50を搬送するためのステッピングモータ14と、印字ヘッド部2を用紙搬送方向と平面的に見て直交する方向(矢印X1およびX2方向)に誘導するリードネジ15と、リードネジギア16と、リードネジギア16を回転させるためのステッピングモータ17と、揺動可能な揺動ギア18aおよび18bと、複数の中間ギア19〜22(図5参照)と、インクシートカートリッジ23を支持するインクシートカートリッジ支持部24と、昇華型プリンタの動作を制御する回路部25(図4参照)が実装された配線基板26と、天板27と、シャーシ1を内部に収納する筐体28(図3参照)とを備えている。また、本実施形態による昇華型プリンタには、図2に示すように、20枚の用紙50を印刷することが可能なインクシート29が収納されたインクシートカートリッジ23と、昇華型プリンタに供給する用紙50を収納するための用紙トレイ30とが着脱可能に装着されている。また、インクシートカートリッジ23は、図3に示すように、インクリート29を巻取る巻取部23aと、インクシート29を供給する供給部23dとを含む構成となっている。
【0024】
また、図1に示すように、シャーシ1は、一方側面1aと、他方側面1bと、底面1cとを有している。また、シャーシ1の一方側面1aには、上記したモータブラケット13が取り付けられている。また、シャーシ1の他方側面1bには、インクシートカートリッジ23を挿入するための挿入孔1dが設けられている。また、一方側面1aの上端部および他方側面1bの上端部には、それぞれ、配線基板26を取り付けるための取付部1eが2つずつ形成されている。また、取付部1eには、配線基板26を固定するためのネジ31が螺合されるネジ孔1fが形成されている。
【0025】
ここで、本実施形態では、印字ヘッド部2は、リードネジ15と印字ヘッド支持軸32とにより支持されている。また、印字ヘッド部2は、図2に示すように、レーザー素子部2aと、レンズ駆動部2bと、集光レンズ2cと、レーザー照射部2dとを含んでいる。また、印字ヘッド部2は、リードネジ15と螺合するネジ孔を有するリードネジ受け部2eと、印字ヘッド支持軸32を挿入する挿入孔を有する支持軸受け部2fとを含んでいる。リードネジ15は、リードネジ受け部2eのネジ孔に螺合するように挿入され、印字ヘッド支持軸32は、支持軸受け部2fの挿入孔に移動可能に挿入されている。また、レーザー素子部2aは、レーザーコントローラ33(図4参照)からの電圧印加によってレーザー光34を出射する機能を有する。また、レンズ駆動部2bは、集光レンズ2cを駆動させて、レーザー光34の焦点を変化させる機能を有する。また、レーザー素子部2aおよびレンズ駆動部2bを制御するために、印字ヘッド部2と回路部25とはケーブル35により電気的に接続されている。
【0026】
また、プラテンローラ3は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bに図示しないプラテンローラ軸受けを介して回転可能に取り付けられている。また、送りローラ4は、図5に示すように、送りローラギア5に挿入される送りローラギア挿入部4aを有する。また、送りローラ4は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bに取り付けられた図示しない送りローラ軸受けに回転可能に支持されている。また、押さえローラ6(図2参照)は、図示しない押さえローラ軸受けに回転可能に支持されている。また、リードネジ15は、図5に示すように、リードネジギア16に挿入されるリードネジギア挿入部15aを有する。また、リードネジ15は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bに取り付けられた図示しないリードネジ15の軸受けに回転可能に支持されている。また、リードネジ15は、リードネジ受け部2eのネジ孔と螺合するように構成されたネジ溝を全長にわたって有する。印字ヘッド支持軸32は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bに支持されている。
【0027】
また、図5に示すように、モータブラケット13に取り付けられたステッピングモータ14の軸部には、モータギア14aが取り付けられている。また、ステッピングモータ14は、インクシート巻取リール12のギア部12aと、給紙ローラギア9と、排紙ローラギア11と、送りローラギア5とを駆動させるための駆動源としての機能を有する。また、ステッピングモータ17は、モータギア17aを有し、印字ヘッド部2を用紙50の搬送方向と平面的に見て直交する方向(図1の矢印X1およびX2方向)に移動させるためのリードネジギア15の駆動源としての機能を有する。
【0028】
また、インクシート巻取リール12(図5参照)は、インクシートカートリッジ23(図2参照)の巻取部23aの内部に回転可能に配置された巻取ボビン23bに係合することによって、供給ボビン23cから供給されるインクシート29を巻取ボビン23bに巻き取るように構成されている。また、インクシート巻取リール12のギア部12aは、図5に示すように、揺動ギア18aまたは18bが揺動することによって係合するように配置されている。
【0029】
また、図2に示すように、下部用紙ガイド7aは、送りローラ4および押さえローラ6の近傍に配置されている。また、上部用紙ガイド7bは、図2に示すように、下部用紙ガイド7aの上部に取り付けられている。この上部用紙ガイド7bは、給紙時には、用紙50が下面側を通過するようにして印刷部への給紙経路に案内するとともに、排紙時には、用紙50が上面側を通過するようにして排紙経路に案内する機能を有する。
【0030】
また、インクシートカートリッジ支持部24は、図1に示すように、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの内側に配置されている。また、インクシートカートリッジ支持部24には、透過型のシート頭出しセンサ36の受光部36aが取り付けられている。なお、シート頭出しセンサ36の発光部36bは、シート頭出しセンサ36の受光部36aとインクシート29を挟んで対向するように、配線基板26に取り付けられている。
【0031】
また、配線基板26は、図1に示すように、天板27を介してシャーシ1の取付部1eに取り付けられている。具体的には、配線基板26は、配線基板26の4つの孔26aおよび天板27の4つの孔27aに通された4個のネジ31をシャーシ1の取付部1eのネジ孔1fに締め付けることによって固定されている。また、配線基板26には、回路部25を構成する電子部品26bと、上記したシート頭出しセンサ36の発光部36bとが取り付けられている。また、天板27には、配線基板26に取り付けられたシート頭出しセンサ36を構成する発光部36bがシャーシ1側に露出されるための孔部27bが形成されている。
【0032】
また、筐体28は、図3に示すように、蓋部材28aおよび28bと、印刷ボタン28cを含んでいる。また、筐体28の蓋部材28aは、用紙トレイ30を昇華型プリンタに装着するために設けられている。また、筐体28の蓋部材28bは、インクシートカートリッジ23を昇華型プリンタに装着するために設けられている。
【0033】
また、本実施形態では、シート頭出しセンサ36は、図2に示すように、受光部36aと発光部36bとの間に配置された後述するインクシート29の各色頭出し識別部29e〜29h(図6参照)を検出することにより、インクシート29の頭出しを行うために設けられている。
【0034】
また、本実施形態では、インクシートカートリッジ23の供給部23dの内部に、インクシート29が巻き付けられた供給ボビン23cが回転可能に配置されている。このインクシート29は、図6に示すように、インクシート29のインク巻取り方向の先頭側から順に、Y色(イエロー)印字シート29a、M色(マゼンダ)印字シート29bおよびC色(シアン)印字シート29cの3色のシートと、印刷された用紙50の印刷面を保護するための透明のOP(オーバーコート)シート29dとを、それぞれ、20組有している。
【0035】
また、図6に示すように、先端側のOP(オーバーコート)シート29d、Y色(イエロー)印字シート29a、M色(マゼンダ)印字シート29b、C色(シアン)印字シート29cおよびOP(オーバーコート)シート29dの境界部には、それぞれ、Y色(イエロー)頭出し識別部29e、M色(マゼンダ)頭出し識別部29f、C色(シアン)頭出し識別部29gおよびOP(オーバーコート)頭出し識別部29hが設けられている。また、各色頭出し識別部29e〜29hは、遮光部からなるとともに、約5mmのインクシート巻取り方向(矢印C方向)に沿った長さを有している。また、各色頭出し識別部29e〜29hは、シート頭出しセンサ36に検出されることによって、Y色(イエロー)印字シート29a、M色(マゼンダ)印字シート29b、C色(シアン)印字シート29cおよびOP(オーバーコート)シート29dを、それぞれ、各シートの印刷開始位置まで搬送させるために設けられている。
【0036】
また、図4に示すように、回路部25は、制御部37と、印字ヘッド部2に設けられたレーザー素子部2aのレーザー照射を制御するレーザーコントローラ33と、印字ヘッド部2に設けられたレンズ駆動部2bを制御してレーザー光34の焦点の調整を行うレーザー焦点調整部38と、ステッピングモータ14を制御するモータドライバ39と、ステッピングモータ17を制御するモータドライバ40とを含んでいる。制御部37は、印刷動作全体を制御する機能を有する。また、モータドライバ39および40は、それぞれ、ステッピングモータ14および17の回転を制御する機能を有する。
【0037】
次に、図2、図3および図7を参照し、インクシートカートリッジ23の構造について説明する。
【0038】
ここで、本実施形態では、インクシートカートリッジ23には、インクシート29を用紙50に接触するように誘導するための一対の第1ガイド部23eと、用紙50をインクシート29に接触するように誘導するための一対の第2ガイド部23fとが設けられている。また、第1ガイド部23eおよび第2ガイド部23fは、それぞれ、平面的に見て、用紙50の搬送方向と直交する方向(図3のX1方向およびX2方向)に延びる細長状の開口部23iおよび23jを含んでいる。一対の第1ガイド部23eは、細長状の開口部23iに向かって、下方に傾斜するように設けられている。また、一対の第2ガイド部23fは、ほぼ平坦な形状に形成されている。また、一対の第1ガイド部23eにガイドされて細長状の開口部23iから露出するインクシート29と、一対の第2ガイド部23fにガイドされて細長状の開口部23jから露出する用紙50とが、プラテンローラ3の上面において接触可能なように配置されている。また、細長状の開口部23iおよび23jの用紙50の搬送方向の幅は、用紙50とインクシート29とが接触可能で、かつ、レーザー照射部2dから照射されたレーザー光34が通過可能な必要最小限の幅に形成されている。これにより、インクシート29の露出される面積が小さくなるので、インクシート29の劣化を抑制することが可能となる。また、シート頭出しセンサ36の発光部36bおよび受光部36aのシート頭出し検出動作の障害とならないように、第1ガイド部23eおよび第2ガイド部23fは、図2および図3に示すように、それぞれ、開口23gおよび23hを備えている。
【0039】
図8〜図11は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。次に、図5、図6および図8〜図11を参照して、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作について説明する。本実施形態では、インクシート29をT3方向に巻取りながら、用紙50をT1方向およびT2方向の両方向に搬送して印刷動作を行う。以下、詳細に説明する。
【0040】
まず、用紙50の給紙時には、ステッピングモータ14が駆動するのに伴って、ステッピングモータ14に取り付けられたモータギア14aが図5の矢印A3方向に回転し、中間ギア19および20を介して、送りローラギア5が矢印A1方向に回転する。そして、送りローラギア5が図5の矢印A1方向に回転するのに伴って、中間ギア21および22を介して、給紙ローラギア9が図5の矢印A4方向に回転する。これにより、図8に示すように、給紙ローラ8が図8の矢印A4方向に回転するので、給紙ローラ8の下面側に接触する用紙50が給紙方向(図8の矢印T1方向)に搬送される。その結果、図9に示すように、用紙50は、下部用紙ガイド7aに案内されて、送りローラ4および押さえローラ6により印刷開始位置まで搬送される。
【0041】
この際、図5に示す揺動ギア18bは係合される方向(矢印A8方向)に揺動されて、揺動ギア18aおよびインクシート巻取リール12のギア部12aと係合する。これにより、インクシート巻取リール12のギア部12aは矢印B4方向に回転し、インクシート29は、巻取ボビン23bに巻き取られる。そして、シート頭出しセンサ36により、Y色(イエロー)頭出し識別部29e(図6参照)が検出された時点で、揺動ギア18aおよびインクシート巻取リール12のギア部12aに係合していた揺動ギア18bは、離間される方向(矢印B8方向)に揺動されて、揺動ギア18aおよびインクシート巻取リール12のギア部12aとは離間する。これにより、インクシート巻取リール12のギア部12aは回転しないので、インクシート29は巻取ボビン23bに巻き取られずに、用紙50のみが送りローラ4および押さえローラ6により図9に示した印刷開始位置まで搬送される。
【0042】
用紙50が図9に示した印刷開始位置まで搬送されると、印刷が開始される。この印刷時には、ステッピングモータ14の駆動に伴って、モータギア14aが矢印A3方向に回転し、中間ギア19および20を介して、送りローラギア5が矢印A1方向に回転する。これにより、送りローラ4は、矢印A2方向に回転するので、用紙50は搬送方向(矢印T1方向)に、インクカートリッジ23の第2ガイド部23fの細長状の開口部23jを、通過しながら搬送される。この際、揺動ギア18bは係合される方向(図5の矢印A8)に揺動されて、揺動ギア18aおよびインクシート巻取リール12のギア部12aと係合する。これにより、インクシート巻取リール12のギア部12aは矢印B4方向に回転し、インクシート29は巻取ボビン23bに巻き取られ、図10に示す矢印T3方向に搬送される。また、この際、印字ヘッド部2のレーザー照射部2dから照射されたレーザー光34は、インクシート29と用紙50の接触位置において、Y色(イエロー)印字シート29aを加熱して、インクを昇華させることにより用紙50に付着させる。上記のように、Y色(イエロー)の印刷の際には、インクシート29を矢印T3方向に搬送しながら、用紙50を矢印T3方向とは平面的に見て逆方向である矢印T1方向に搬送して印刷を行う。
【0043】
その後、シート頭出しセンサ36によってインクシート29のM色(マゼンダ)頭出し識別部29f(図6参照)が検出されると、今度はステッピングモータ14を逆方向に回転させてモータギア14aが図5に示す矢印B3方向に回転することによって、中間ギア19および20を介して、送りローラギア5が矢印B1方向に回転する。これにより、送りローラ4は、矢印B1方向に回転するので、用紙50はY色(イエロー)印刷時の矢印T1方向とは逆の排出方向(図11の矢印T2方向)に、印刷開始位置まで搬送される。この際、揺動ギア18bは、離間する方向(図5の矢印B8方向)に揺動されて、揺動ギア18aおよびインクシート巻取リール12のギア部12aと離間する。また、揺動ギア18aは、離間する方向(図5の矢印B2方向)に揺動されて、インクシート巻取リール12のギア部12aと離間する。これにより、インクシート巻取リール12のギア部12aは回転しないので、インクシート29は巻取ボビン23bに巻き取られずに、用紙50のみが排出方向(図11の矢印T2方向)に、印刷開始位置まで搬送される。これにより、用紙50の印刷開始位置と、M色(マゼンダ)印字シート29bの開始位置とが一致する。
【0044】
その後、揺動ギア18aは係合される方向(図5の矢印A2方向)に揺動されて、インクシート巻取リール12のギア部12aと係合する。これにより、ステッピングモータ14の駆動に伴ったモータギア14aの矢印B3方向の回転によって、中間ギア19、20、送りローラギア5および揺動ギア18aを介して、インクシート巻取リール12のギア部12aは、矢印B4方向に回転する。これにより、インクシート29は巻取ボビン23bに巻き取られ、図11の矢印T3方向に搬送される。なお、用紙50は継続して排出方向(図11の矢印T2方向)に搬送され、インクシート29および用紙50は、それぞれ矢印T3およびT2方向に搬送される。この際、上記と同様に、レーザー光34によってM色(マゼンダ)印字シート29bが加熱されて、インクを用紙50に付着させる。この工程は、インクシート29のC色(シアン)頭出し識別部29g(図6参照)がシート頭出しセンサ36によって検出されるまで継続する。上記のように、M色(マゼンダ)の印刷の際には、インクシート29を矢印T3方向に搬送しながら、用紙50を矢印T3方向と平面的に見て同一方向である矢印T2方向に搬送して印刷を行う。
【0045】
その後、上記Y色(イエロー)印字シート29aのインクを用紙50に付着させる工程と同様に、C色(シアン)印字シート29cのインクを用紙50に付着させる。すなわち、C色(シアン)の印刷を行う際には、インクシート29を矢印T3方向に搬送しながら、用紙50を矢印T3方向とは平面的に見て逆方向である矢印T1方向に搬送して印刷を行う。
【0046】
その後、上記M色(マゼンダ)印字シート29bのインクを用紙50に付着させる工程と同様に、OP(オーバーコート)シート29dによって用紙50にコーティングが施される。すなわち、OP(オーバーコート)シート29dによるコーティングを行う際には、インクシート29を矢印T3方向に搬送しながら、用紙50を矢印T3方向と平面的に見て同一方向である矢印T2方向に搬送して印刷を行う。
【0047】
上記のOP(オーバーコート)シート29dによるコーティングが終了した後、用紙50は排紙ローラ10によって、筐体28外部へ排出される。
【0048】
次に、図1、図5および図8を参照し、印字ヘッド部2の用紙50の搬送方向(図8の矢印T1およびT2方向)と平面的に見て直角方向(図1の矢印X1およびX2方向)への移動動作(レーザー光34のスキャン動作)について説明する。
【0049】
ステッピングモータ17の駆動に伴って、ステッピングモータ17に取り付けられたモータギア17aが矢印A6方向に回転し、モータギア17aと係合するリードネジギア16が矢印A7方向に回転する。これにより、図1に示すリードネジ15が矢印A7方向に回転する。この際に、印字ヘッド部2のリードネジ受け部2eが、リードネジ15のネジ溝と螺合するように構成されているため、リードネジ15の矢印A7方向の回転によって、印字ヘッド部2は、矢印X1方向に移動される。そして、印字ヘッド部2は、矢印X1方向に移動しながら、1ビット毎にレーザー光34をインクシート29および用紙50に向かって照射することによって、1ライン分の印刷が行われる。1ライン分の印刷が終わると、インクシート29および用紙50が1ライン分搬送される。そして、ステッピングモータ17を逆方向に回転させることにより、モータギア17aを矢印B6方向に回転させて、上記と反対に、印字ヘッド部2は、矢印X2方向に移動される。そして、印字ヘッド部2は、矢印X2方向に移動しながら、1ビット毎にレーザー光34をインクシート29および用紙50に向かって照射することによって、1ライン分の印刷が行われる。1ライン分の印刷が終わると、インクシート29および用紙50が1ライン分搬送される。その後、1ライン毎に、上記したX1方向およびX2方向へのレーザー光34のスキャン移動を繰り返す。このようにして、印刷時に矢印X1方向およびX2方向への印刷が行われる。なお、上記両方向(矢印X1およびX2方向)に印字ヘッド部2が移動される際に、印字ヘッド部2は、印字ヘッド支持軸32と、印字ヘッド部2の支持軸受け部2f(図2参照)とによって、矢印X1およびX2以外の方向への動きを制限される。
【0050】
本実施形態では、上記のように、昇華型プリンタの装置本体を、インクシート29を収納するためのインクシートカートリッジ23の装着が可能なように構成することによって、非印刷状態において、インクシート29と用紙50とを別々に待機させることができるので、インクシート29と用紙50とが長時間接触することはなく、用紙50全体にインクが薄く付着することを防止することができる。また、用紙50およびインクシート29から所定の間隔を隔てた位置からレーザー光34を照射するレーザー照射部2dを含む印字ヘッド部2を備えることによって、印字ヘッド部2をインクシート29に接触させることなく熱を加えることができるので、熱源としてのレーザー光34に加えて圧力を加えるための加圧機構を必要としない。
【0051】
また、本実施形態では、インクシート29を矢印T3方向(図10、図11参照)に搬送させるとともに、用紙50を平面的に見て矢印T1方向および矢印T2方向(図10、図11参照)の両方向に搬送させながら、インクシート29と用紙50とを接触させた状態でレーザー照射部2dによりレーザー光34を照射することによって印刷を行うように構成することによって、Y(イエロー)印字シート29a、M(マゼンダ)印字シート29b、C(シアン)印字シート29cの3色のインクシート29のインクを順次用紙に付着させて印刷を行う際に、用紙50を矢印T1方向および矢印T2方向に順次搬送しながら連続的に印刷を行うことができる。これにより、用紙50を一方方向のみに搬送して印刷を行う場合と異なり、1色の印刷が終わる毎に、用紙50を上記一方方向とは逆の他方方向に搬送して元の印刷開始位置に戻す必要がないので、印刷時の用紙50の搬送回数を減少させることができる。
【0052】
また、本実施形態では、インクシート29を用紙50と接触するように誘導するための第1ガイド部23eと、用紙50をインクシート29と接触するように誘導するための第2ガイド部23fとを含むように構成することによって、インクシート29と用紙50とを、常にある一定の位置で接触させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、インクシートカートリッジ23の第1ガイド部23eおよび第2ガイド部23fは、それぞれ、レーザー光34を通過させるための細長状の開口部23iおよび23jを含むように構成することによって、レーザー光34を開口部23iおよび23jを介して直接インクシート29に照射することができるので、容易にインクシート29に熱を加えてインクを昇華させることにより用紙50に付着させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、印字ヘッド部2は、レーザー光34を集光させるための集光レンズ2cと、レーザー光34の焦点を調整するためのレンズ駆動部2bとを含むように構成することによって、レーザー光34の焦点を変化させることができるので、昇華させるインクのサイズを変化させることができる。これにより、印画表現の幅を広げ、高精細な印刷を行うことができる。
【0055】
また、本実施形態では、印字ヘッド部2を、矢印X1方向および矢印X2方向(図1参照)に移動させるためのヘッド駆動部(リードネジ15、リードネジ受け部2e、リードネジギア16、ステッピングモータ17、モータギア17a)を設けることによって、印字ヘッド部2を矢印X1方向および矢印X2方向に移動させながらレーザー光34の照射を行うことができるので、1つのレーザー照射部2dによって、用紙50の搬送方向(図10および図11の矢印T1方向および矢印T2方向)と平面的に直交する方向(図1の矢印X1方向および矢印X2方向)にも、印刷を行うことができる。
【0056】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
たとえば、上記実施形態では、プリンタの一例として昇華型プリンタを示したが、本発明はこれに限らず、印字ヘッド部にレーザー照射部を備えるプリンタであれば、昇華型プリンタ以外のプリンタにも適用可能である。
【0058】
また、上記実施形態では、ヘッド駆動部にリードネジを設けて、用紙の搬送方向と平面的に見て直交する方向に印字ヘッド部を移動させる例を示したが、本発明はこれに限らず、他の構成による駆動手段を備えてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、印字ヘッド部に集光レンズを1枚のみ備える例を示したが、本発明はこれに限らず、複数枚の集光レンズを備える構成としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、Y色(イエロー)、M色(マゼンダ)、C(シアン)およびOP(オーバーコート)を順に配置するインクシートの例を示したが、本発明はこれに限らず、各色別個独立のインクシートを用いてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、インクシートカートリッジの第1ガイド部および第2ガイド部の形状を、図7に示すような形状として示したが、本発明はこれに限らず、インクシートと用紙とが接触し、その接触位置にレーザー光が照射可能で、かつ、インクシートと用紙とが接触状態にありながら平面的に見て相反する方向に搬送可能な構成であれば、他の形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態による昇華型プリンタの筐体を取り外した状態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの断面図である。
【図3】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの筐体およびインクシートカートリッジを示した図である。
【図4】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタに含まれる回路部の回路構成を示したブロック図である。
【図5】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタに含まれるギアの配置位置を示した図である。
【図6】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタに使用されるインクシートを示した平面図である。
【図7】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタのインクシートと用紙との接触状況を示した図である。
【図8】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための断面図である。
【図9】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための断面図である。
【図10】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための断面図である。
【図11】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0063】
2 印字ヘッド部
2b レンズ駆動部
2c 集光レンズ
2d レーザー照射部
4 送りローラ
15 リードネジ(ヘッド駆動部)
16 リードネジギア(ヘッド駆動部)
17 ステッピングモータ(ヘッド駆動部)
17a モータギア(ヘッド駆動部)
23 インクシートカートリッジ
23e 第1ガイド部
23f 第2ガイド部
23i 開口部
23j 開口部
29 インクシート
34 レーザー光
50 用紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクシートに熱量を加えて用紙にインクを付着させるために、レーザー光を照射することが可能な印字ヘッド部を備えたプリンタにおいて、
前記インクシートを収納するためのインクシートカートリッジが装着可能な装置本体と、
前記用紙の搬送を行うための送りローラと、
前記印字ヘッド部を、前記用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に見て直交する方向に移動させるためのヘッド駆動部とをさらに備え、
前記印字ヘッド部は、前記用紙および前記インクシートから所定の間隔を隔てた位置からレーザー光を照射するレーザー照射部と、前記レーザー光を集光するための集光レンズと、前記レーザー光の焦点を調整するためのレンズ駆動部とを含み、
前記インクシートカートリッジは、前記インクシートを前記用紙と接触するように誘導するための第1ガイド部と、前記用紙を前記インクシートと接触するように誘導するための第2ガイド部とを含み、
前記インクシートカートリッジの前記第1ガイド部および前記第2ガイド部は、それぞれ、前記レーザー光を通過させるための細長状の開口部を含み、
前記インクシートを第1の方向に搬送させるとともに、前記用紙を平面的に見て前記第1の方向および前記第1の方向とは逆方向の両方向に搬送させながら、前記インクシートと前記用紙とを接触させた状態で前記レーザー照射部によりレーザー光を照射することによって印刷を行う、プリンタ。
【請求項2】
インクシートを収納するためのインクシートカートリッジが装着可能な装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記インクシートに熱量を加えて用紙にインクを付着させるために、前記用紙および前記インクシートから所定の間隔を隔てた位置からレーザー光を照射するレーザー照射部を含む印字ヘッド部と、
前記用紙の搬送を行うための送りローラとを備え、
前記インクシートを第1の方向に搬送させるとともに、前記用紙を平面的に見て前記第1の方向および前記第1の方向とは逆方向の両方向に搬送させながら、前記インクシートと前記用紙とを接触させた状態で前記レーザー照射部によりレーザー光を照射することによって印刷を行う、プリンタ。
【請求項3】
前記インクシートカートリッジは、前記インクシートを前記用紙と接触するように誘導するための第1ガイド部と、前記用紙を前記インクシートと接触するように誘導するための第2ガイド部とを含む、請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記インクシートカートリッジの前記第1ガイド部および前記第2ガイド部は、それぞれ、レーザー光を通過させるための細長状の開口部を含む、請求項2または3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記印字ヘッド部は、前記レーザー光を集光させるための集光レンズと、前記レーザー光の焦点を調整するためのレンズ駆動部とを含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記装置本体に設けられ、前記印字ヘッド部を、前記用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に見て直交する方向に移動させるためのヘッド駆動部をさらに備える、請求項2〜5のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項1】
インクシートに熱量を加えて用紙にインクを付着させるために、レーザー光を照射することが可能な印字ヘッド部を備えたプリンタにおいて、
前記インクシートを収納するためのインクシートカートリッジが装着可能な装置本体と、
前記用紙の搬送を行うための送りローラと、
前記印字ヘッド部を、前記用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に見て直交する方向に移動させるためのヘッド駆動部とをさらに備え、
前記印字ヘッド部は、前記用紙および前記インクシートから所定の間隔を隔てた位置からレーザー光を照射するレーザー照射部と、前記レーザー光を集光するための集光レンズと、前記レーザー光の焦点を調整するためのレンズ駆動部とを含み、
前記インクシートカートリッジは、前記インクシートを前記用紙と接触するように誘導するための第1ガイド部と、前記用紙を前記インクシートと接触するように誘導するための第2ガイド部とを含み、
前記インクシートカートリッジの前記第1ガイド部および前記第2ガイド部は、それぞれ、前記レーザー光を通過させるための細長状の開口部を含み、
前記インクシートを第1の方向に搬送させるとともに、前記用紙を平面的に見て前記第1の方向および前記第1の方向とは逆方向の両方向に搬送させながら、前記インクシートと前記用紙とを接触させた状態で前記レーザー照射部によりレーザー光を照射することによって印刷を行う、プリンタ。
【請求項2】
インクシートを収納するためのインクシートカートリッジが装着可能な装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記インクシートに熱量を加えて用紙にインクを付着させるために、前記用紙および前記インクシートから所定の間隔を隔てた位置からレーザー光を照射するレーザー照射部を含む印字ヘッド部と、
前記用紙の搬送を行うための送りローラとを備え、
前記インクシートを第1の方向に搬送させるとともに、前記用紙を平面的に見て前記第1の方向および前記第1の方向とは逆方向の両方向に搬送させながら、前記インクシートと前記用紙とを接触させた状態で前記レーザー照射部によりレーザー光を照射することによって印刷を行う、プリンタ。
【請求項3】
前記インクシートカートリッジは、前記インクシートを前記用紙と接触するように誘導するための第1ガイド部と、前記用紙を前記インクシートと接触するように誘導するための第2ガイド部とを含む、請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記インクシートカートリッジの前記第1ガイド部および前記第2ガイド部は、それぞれ、レーザー光を通過させるための細長状の開口部を含む、請求項2または3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記印字ヘッド部は、前記レーザー光を集光させるための集光レンズと、前記レーザー光の焦点を調整するためのレンズ駆動部とを含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記装置本体に設けられ、前記印字ヘッド部を、前記用紙の搬送方向である第1および第2の方向と平面的に見て直交する方向に移動させるためのヘッド駆動部をさらに備える、請求項2〜5のいずれか1項に記載のプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−105196(P2008−105196A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287914(P2006−287914)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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