説明

プリンタ

【課題】高精度に、かつ効率的にマークの検出をすることが可能なプリンタを提供すること。
【解決手段】本発明は、ロール紙110に付されたマーク114a及びマーク114bを検出し、かつマーク114a及びマーク114bに関する情報を検出するセンサ12a及びセンサ12bと、センサ12aにより検出されたマーク114aに関する情報、及びセンサ12bにより検出されたマーク114bに関する情報の各々に基づいて、マーク検出のための動作条件の設定を行う動作条件設定部22と、を具備するプリンタ100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタには、例えばレシート等を印刷するためのサーマルプリンタがある。サーマルプリンタの印刷用紙として、例えばページの区切りを示すために、マーク付きの用紙が用いられることがある。特許文献1には、マークを電子ペンで読み取る技術が記載されている。また、特許文献2には、携帯型のサーマルプリンタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−332351号公報
【特許文献2】特開2008−73935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用する用紙によって、マークの位置、マークの大きさ等が変わる場合がある。このように複数種類の用紙を用いる際は、用紙に対応してマークを検出するためのセンサの動作条件の設定を行うことが要求される。しかしながら、用紙を変更するたびに動作条件の設定を行うのは、ユーザの作業効率の低下を招く。また、設定のミスが生じる可能性もある。本発明は上記課題に鑑み、高精度に、かつ効率的にマークの検出をすることが可能なプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、用紙に付されたマークを検出し、かつ前記マークに関する情報を検出するセンサと、前記センサにより検出されたマークに関する情報に基づいて、前記マークを検出するための動作条件の設定を行う動作条件設定部と、を具備するプリンタである。本発明によれば、高精度に、かつ効率的にマークの検出をすることが可能となる。
【0006】
上記構成において、前記センサは、光の反射率を測定するセンサであり、前記マークに関する情報は、前記マークにおける光の反射率、前記用紙の前記マーク以外の領域における光の反射率、及び前記マークの幅を含む構成とすることができる。
【0007】
上記構成において、前記動作条件設定部は、前記マークに関する情報に基づき、前記光の反射率の閾値を設定し、かつ前記マークの幅に基づきマーク検出幅を設定し、前記センサは、測定した前記光の反射率が前記閾値以下の領域が、前記マーク検出幅以上である場合、前記マークを検出する構成とすることができる。この構成によれば、高精度に、かつ効率的にマークを検出することが可能となる。
【0008】
上記構成において、前記動作条件設定部は、前記センサにより検出された前記マークの幅から所定の範囲の幅を前記マーク検出幅として設定する構成とすることができる。この構成によれば、検出の精度をより高めることができる。
【0009】
上記構成において、前記マークに関する情報は、複数の前記マーク間の距離を含む構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記用紙の搬送を制御する搬送制御部を具備し、前記マークは、前記用紙におけるページの区切りを示すものであり、前記動作条件設定部は、前記複数のマーク間の距離に基づいて限界長を設定し、前記用紙の搬送された距離が前記限界長以上である場合、前記搬送制御部は前記マークの検出の有無に関わらず、前記用紙はページの終わりまで搬送されたと判断する構成とすることができる。この構成によれば、適切な印刷、及びマークの検出が可能となる。
【0011】
上記構成において、2つの前記センサの各々は、前記用紙の表面と裏面との各々に対応して設けられ、前記2つのセンサのうち、前記マークを検出したセンサは動作し、前記マークを検出しなかったセンサは動作を停止する構成とすることができる。この構成によれば、より効率的にマークの検出をすることが可能となる。また、消費電力の節約も可能となる。
【0012】
上記構成において、ユーザからの要求、又は前記用紙のオートローディングが行われたことに応じて、前記センサは前記マークに関する情報を検出し、かつ前記動作条件設定部は前記動作条件の設定を行う構成とすることができる。上記構成によれば、より高精度に、かつ効率的にマークの検出をすることが可能となる。
【0013】
上記構成において、前記動作条件設定部による動作条件の設定が行われた後、前記動作条件設定部は、前記オートローディングに応じた前記動作条件の設定は行わず、かつ前記ユーザからの要求に応じた前記動作条件の設定を行う構成とすることができる。上記構成によれば、より高精度に、かつ効率的にマークの検出をすることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高精度に、かつ効率的にマークの検出をすることが可能なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(a)及び図1(b)は、マーク付きロール紙を例示する模式図である。
【図2】図2(a)は、実施例1に係るプリンタを例示するブロック図であり、図2(b)は、実施例1に係るプリンタを例示する機能ブロック図である。
【図3】図3は、実施例1に係るプリンタの制御を例示するフローチャートである。
【図4】図4は、実施例1に係るプリンタのコマンド解析制御を例示するフローチャートである。
【図5】図5は、実施例1に係るプリンタの動作条件設定制御を例示するフローチャートである。
【図6】図6は、実施例1に係るプリンタの動作条件設定制御を例示するフローチャートである。
【図7】図7は、実施例1に係るプリンタのマーク検出制御を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を用いて、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
まず、マーク付きの印刷用紙の例として、ロール紙110について説明する。図1(a)及び図1(b)は、ロール紙を例示する模式図である。
【0018】
図1(a)に示すように、ロール紙110の表面112aには、マーク114aが付されている。また、図1(b)に示すように、ロール紙の裏面112bには、マーク114bが付されている。マーク114a及びマーク114bは、例えば黒く塗りつぶされた領域である。これに対し、ロール紙110の、マーク114a及びマーク114b以外の紙面の色は、例えば白である。マーク114aとマーク114bとは、例えばロール紙110の紙面を介して対向するように設けられている。隣り合うマーク間距離Lは例えば15mmである。マーク幅Wは例えば5mmである。マーク114a及びマーク114bは、複数ページが連続しているロール紙110において、ページの終端を示す(図中の点線参照)。このため、マーク114aの下端又はマーク114bの下端までロール紙110を搬送させることで、ページの頭出しが可能となる。また、例えばマーク114aの下端から距離Lの位置、又はマーク114bの下端から距離Lの位置をページの終端としてもよい(図中の破線参照)。この場合、マーク114aの下端から距離Lの位置、又はマーク114bの下端から距離Lの位置までロール紙110を搬送させることで、ページの頭出しが可能となる。このように、マーク114a及びマーク114bは、ロール紙110のページの区切りを表す。プリンタは、ロール紙110のページごとに、例えば印刷の内容を変更する、ロール紙110をカットする、印刷を停止する等の動作を行うことができ、利便性が高まる。実施例1に係るプリンタ100は、ロール紙110のような、マーク付きの用紙を使用することができる。
【0019】
次に実施例1に係るプリンタについて説明する。図2(a)は、実施例1に係るプリンタを例示するブロック図であり、図2(b)は、実施例1に係るプリンタを例示する機能ブロック図である。
【0020】
図2(a)に示すように、実施例1に係るプリンタ100は、印刷部10、搬送部11、センサ12a及びセンサ12b、カバーセンサ13、タイマ14、インターフェース16、記憶部18、及び制御部20を備える。
【0021】
印刷部10は、例えばサーマルヘッド等であり、ロール紙110等の用紙に印刷を行う。搬送部11は、例えばローラ等であり、ロール紙110等の用紙を搬送する。カバーセンサ13は、例えばスイッチ等であり、プリンタ100のカバーの開閉を検出する。カバーは、例えばロール紙110をプリンタ100にセットする際に開閉される。センサ12a及びセンサ12bは例えばフォトセンサであり、光の反射率を測定することができる。センサ12aは、図1(a)に示したロール紙110の表面112aに付されたマーク114aを検出するためのセンサである。センサ12bは、図1(b)に示したロール紙110の裏面112bに付されたマーク114bを検出するためのセンサである。また、センサ12a及びセンサ12bの各々は、マーク114a及びマーク114bの各々に関する情報、例えばマーク間距離L、マーク幅W、光の反射率等を検出することができる。詳しくは後述する。タイマ14は、例えば時計であり時間を計測する。センサ12a及びセンサ12bは、タイマ14が計測した一定時間ごとに反射率の測定を行うことができる。一定時間とは、例えば1msec、又は10msec等のように任意に定めることができる。インターフェース16は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ポート、LAN(Local Area Network)ポート等のインターフェースであり、例えばPC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)等の外部機器とプリンタ100との通信を仲介する。記憶部18は、例えばHDD(Hard Disc Drive:ハードディスクドライブ)又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。後述するように、記憶部18は、センサ12a及びセンサ12bの動作条件を記憶することができる。制御部20は例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)である。なお、タイマ14は、例えば制御部20に含まれるRTC(Real Time Crock:リアルタイムクロック)であってもよい。
【0022】
図2(b)に示すように、制御部20は、動作条件設定部22、センサ制御部24、印刷制御部26、搬送制御部28、及び通信制御部30として機能する。動作条件設定部22は、センサ12aがマーク114aを検出するための動作条件、及びセンサ12bがマーク114bを検出するための動作条件を生成し、かつ動作条件の設定を行う。また動作条件設定部22は、搬送部11の動作条件を生成し、かつ動作条件の設定を行う。動作条件については後述する。センサ制御部24は、動作条件設定部22が設定した動作条件に基づいて、センサ12a及びセンサ12bを動作させる。またセンサ制御部24は、センサ12a及びセンサ12bによる反射率の測定結果を取得する。印刷制御部26は、印刷部10を制御する。搬送制御部28は、搬送部11の制御を行う。通信制御部30は、インターフェース16を介した通信の制御を行う。
【0023】
次にセンサ12a及びセンサ12bによるマークの検出、及び設定について説明する。センサ12aは表面112aに対向して設けられている。センサ12bは裏面112bに対向して設けられている。ロール紙110の白い紙面と、黒く塗りつぶされたマーク114a及びマーク114bとでは、光の反射率が異なる。このため、センサ12a及びセンサ12bは、ロール紙110の紙面において、白い領域と黒い領域とを区別して検出することができる。これにより、センサ12aはマーク114aを検出することができ、センサ12bはマーク114bを検出することができる。また、センサ12a及びセンサ12bは、ロール紙110において黒い領域が続いた距離をマーク幅Wとして検出することができる。またセンサ12a及びセンサ12bは、ロール紙110の紙面が黒い領域から白い領域に移ってから、再び紙面が白い領域から黒い領域に移るまでの距離をマーク間距離Lとして検出することができる。
【0024】
動作条件設定部22は、センサ制御部24を介して、センサ12a又はセンサ12bが測定したマーク間距離L、マーク幅W、及び光の反射率等、マーク114a及びマーク114bに関する情報を取得する。動作条件設定部22は、動作条件として、光の反射率の閾値R、マーク検出幅W、及び限界長Lを定める。閾値Rとは、ロール紙110の紙面における黒い領域を検出するための閾値である。マーク検出幅Wとは、検出された黒い領域がマークであるか判断するための幅である。限界長Lとは、マーク検出がされない場合に、ページの終端とされるまでの長さである。詳しくは後述する。
【0025】
次に実施例1に係るプリンタの制御について説明する。図3、図4、図5、図6、及び図7は、実施例1に係るプリンタの制御を例示するフローチャートである。
【0026】
図3に示すように、制御部20はコマンド解析を行う(ステップS1)。コマンド解析制御については、図4において詳しく説明する。ステップS1の後、制御部20は印刷データがあるか判断する(ステップS2)。Noの場合、制御はステップS1に戻る。Yesの場合、印刷制御部26は印刷部10を起動させ、搬送制御部28は搬送部11を起動させる。これにより、搬送部11はロール紙110を搬送する。印刷部10は、印刷制御部26から転送された印刷データをロール紙110に印刷する。ステップS3の後、制御は終了する。
【0027】
次にコマンド解析について説明する。図4は、実施例1に係るプリンタのコマンド解析制御を例示するフローチャートである。
【0028】
図4に示すように、制御部20は動作条件設定コマンドが入力されたか判断する(ステップS10)。動作条件設定コマンドとは、センサ12a及びセンサ12bの動作条件を設定する制御を開始するためのコマンドである。動作条件設定コマンドは、例えばユーザがプリンタ100の外部のPCから入力することができる。また、プリンタ100に用紙をセットした際のオートローディングをトリガとして、動作条件設定コマンドが入力されてもよい。なお、オートローディングとは、ユーザによりプリンタ100にセットされた用紙が、自動的にプリンタ100内の所定位置に搬送されることをいう。
【0029】
Yesの場合、制御部20は動作条件設定制御を行う(ステップS11)。動作条件設定制御は、図5において詳しく説明する。ステップS10においてNoの場合、動作条件設定部22は、調整コマンドがあるか判断する(ステップS12)。調整とは、動作条件の調整のことである。例えば閾値、マーク検出幅、限界長等の少なくとも1つについての動作条件を、ユーザが変更することができる。調整コマンドは、例えばユーザがプリンタ100の外部のコンピュータから入力することができる。Yesの場合、動作条件設定部22は動作条件の調整を行う(ステップS13)。Noの場合、制御部20は、通知コマンドがあるか判断する(ステップS14)。
【0030】
通知コマンドとは、動作条件をユーザに通知するためのコマンドである。Yesの場合、制御部20は動作条件をユーザに通知するための制御を行う(ステップS15)。通知は、例えば印刷部10が動作条件を印刷すること、又はインターフェース16がユーザの使用するPCに動作条件を通知することにより行われる。Noの場合、センサ制御部24は、マーク検出コマンドがあるか判断する(ステップS16)。Yesの場合、センサ制御部24はセンサ12a及びセンサ12bを動作させる。センサ12a及びセンサ12bは、ステップS11において設定された動作条件に従い、マークを検出する(ステップS17)。マーク検出制御は、図7において後述する。Noの場合、制御は終了する。
【0031】
次に動作条件設定制御について説明する。図5及び図6は、実施例1に係るプリンタの動作条件設定制御を例示するフローチャートである。
【0032】
図5に示すように、センサ制御部24は、センサ12a及びセンサ12bを起動させる(ステップS20)。ステップS20の後、搬送制御部28は搬送部11を起動させる。搬送部11はロール紙110を搬送する(ステップS21)。ステップS21の後、センサ制御部24は、センサ12a及びセンサ12bのうち、いずれか一方が黒を検出したか、つまりロール紙110において黒の領域を検出したか判断する(ステップS22)。ロール紙110における黒の領域は、マーク114a及びマーク114bである。つまりステップS22においてセンサ制御部24は、センサ12aが反射率を測定する領域が、ロール紙110の表面112aの白い領域からマーク114aに入ったか判断する。またセンサ12bが反射率を測定する領域が裏面112bの白い領域からマーク114bに入ったか判断する。
【0033】
Noの場合、搬送制御部28はロール紙110の搬送された長さ(搬送距離)が、限界長に達したか判断する(ステップS23)。Noの場合、制御はステップS21に戻る。つまり、ページの終端には達していないため、搬送部11はさらにロール紙110の搬送を行う。ステップS23においてYesの場合、制御は終了する(図5及び図6の“B”参照)。このとき搬送制御部28はページの終端に達したと判断する。ページの終端においては、例えば印刷制御部26が印刷の内容を変更する、搬送制御部28が搬送部11によるロール紙110の搬送を停止させる等の制御を行うことがある。
【0034】
ステップS22においてYesの場合、動作条件設定部22は、黒い領域における光の反射率Rを取得する(ステップS24)。また、センサ制御部24は、黒を検出しなかったセンサ(「他方のセンサ」)を停止させる(ステップS25)。ここでは、例えば図1(a)に示した表面112aにはマーク114aが付され、図1(b)に示した裏面112bにはマーク114bが付されていない場合を考える。この場合、ステップS22においてセンサ12aは黒を検出し、センサ12bは黒を検出しない。従って、ステップS24においてセンサ12bは動作を停止する。
【0035】
ステップS25の後、センサ制御部24は、センサ12aが白を検出したか、つまりセンサ12aの測定する領域がマーク114aから白い紙面に入ったか判断する(ステップS26)。Noの場合、制御はステップS23に進む。Yesの場合、動作条件設定部22は、白い領域における光の反射率Rを取得する(ステップS27)。なお、反射率Rは、ステップS22の前、つまりセンサ12aの反射率を測定する領域が、黒い領域に入る前において検出されてもいてもよい。ステップS27の後、動作条件設定部22は、反射率R及びRに基づき、閾値Rを算出する(ステップS28)。また動作条件設定部22は、マーク幅Wを取得し(図5及び図6の“A”参照、ステップS29)、マーク幅Wに基づきマーク検出幅Wを設定する(ステップS30)。
【0036】
図6に示すように、センサ制御部24は、センサ12aが2個目のマーク114aを検出したか判断する(ステップS31)。Noの場合、制御はステップS21に戻る。Yesの場合、(図5及び図6の“C”参照、ステップS27)。ステップS27の後、さらに動作条件設定部22は、ステップS22からS26において検出された1個目のマーク114aと、ステップS31において検出された2個目のマーク114aとの距離、すなわちマーク間距離Lを取得する(ステップS32)。動作条件設定部22は、マーク間距離Lに基づいて限界長Lを設定する(ステップS33)。このように動作条件設定部22は、動作条件として閾値R、マーク検出幅W、限界長Lを設定する。ステップS33の後、動作条件設定部22は、動作条件を記憶部18に記憶させる(ステップS34)。ステップS34の後、制御は終了する。
【0037】
次にマーク検出制御について説明する。図7は、実施例1に係るプリンタのマーク検出制御を例示するフローチャートである。ここでは、センサ12a及びセンサ12bのうち、センサ12aを例にして説明するが、センサ12bについても同様の制御が行われる。
【0038】
図7に示すように、センサ制御部24は、センサ12aの測定した反射率が閾値R以下であるか判断する(ステップS40)。Noの場合は後述する。Yesの場合、センサ制御部24は、反射率が閾値R以下である領域の幅が、マーク検出幅W以上であるか判断する(ステップS42)。Noの場合、制御はステップS40に戻る。Yesの場合、センサ制御部24は、センサ12aがマーク114aを検出したと判断する(ステップS43)。制御部20は、ページの区切りを行う(ステップS44)。具体的には、印刷制御部26が印刷部10にページに対応した印刷を実行させる。また、ロール紙110がページごとにカットされることもある。ステップS40においてNoの場合、ロール紙110の搬送距離が限界長L以上であるか判断する(ステップS41)。これは、図6のステップS23と同じ制御である。Noの場合、制御はステップS40に戻る。Yesの場合、制御はステップS44に進む。言い換えれば、搬送距離が限界長L以上である場合、マークが検出されなくとも、制御部20はページの区切りを行う。
【0039】
実施例1に係るプリンタ100は、センサ12a及びセンサ12bと、センサ12aにより検出されたマーク114aに関する情報、及びセンサ12bにより検出されたマーク114bに関する情報に基づいて動作条件の設定を行う動作条件設定部22と、を備える。実施例1によれば、図5に示した動作条件設定制御において、動作条件設定部22が自動的に動作条件の設定を行う。センサ12a及びセンサ12bの各々は、設定された動作条件に従い、マーク114a及びマーク114bの各々の検出を行う(図4のステップS17、及び図7)。このため、高精度に、かつ効率的にマークを検出することが可能となる。
【0040】
次に、動作条件について詳しく説明する。前述のように、動作条件設定部22は、動作条件として、光の反射率の閾値R、マーク検出幅W、及び限界長Lを定める。表1は、動作条件設定部22が設定する動作条件を例示するデータテーブルである。
【表1】

センサ12a又はセンサ12bが測定する光の反射率には、マーク114a又はマーク114bにおける光の反射率R、及びロール紙110のマーク以外の領域(白い領域)における光の反射率Rが含まれる。表1に示すように、動作条件設定部22は、光の反射率の閾値Rを例えば次の式により算出する。
【数1】

式中の0.5は係数である。係数は0.5以外に、0<、かつ<1の範囲の数とすることができる。反射率R及びRとして、複数回の測定結果の平均値を用いてもよい。また数1以外の式を用いて閾値Rを定めてもよい。また動作条件設定部22は、マーク検出幅WをW±2mm、限界長Lを2Lとする。
【0041】
センサ制御部24は、検出した光の反射率が閾値R以上である場合は紙面のうち白い領域を、反射率が閾値R以下である場合は黒い領域が検出されたと判断する。反射率が閾値R以上である領域(黒い領域)がマーク検出幅Wにわたって続いて検出された場合、センサ12aは当該黒い領域をマーク114aとして検出する。言い換えれば、センサ制御部24は、マーク114aが検出されたと判断する。センサ12bも同様にしてマーク114bを検出する。なお、マーク検出幅WがW±2mmであるとは、黒い領域がW−2mmからW+2mmまでの範囲に含まれる幅だけ続いた場合、マーク検出されることを意味する。
【0042】
次に、限界長Lについて説明する。例えばマーク114a及びマーク114bが検出されない場合、ページの終端が不明となり、適切な印刷が困難となる恐れがある。ロール紙110のページの先頭からの搬送距離が限界長L以上である場合、マーク114a又はマーク114bが検出されなくとも、搬送制御部28はページの終端と判断する。このように印刷を適切に行うためには、限界長Lが定められていることが好ましい。また、マーク検出を適切に行うためには、限界長Lが十分な大きさであることが好ましい。表1において限界長Lはマーク間距離Lの2倍の長さであるが、例えばマーク間距離L以上、又はマーク間距離Lの2倍以上でもよい。このように限界長Lは、マーク間距離Lに基づいて定められる。
【0043】
ロール紙110の種類に応じて、紙面の白い領域の反射率R、マーク114a及びマーク114bの反射率R、マーク幅W、マーク間距離L等が変わることがある。効率的なマーク検出のためには、センサ12a及びセンサ12bがロール紙110の種類に応じた動作条件の設定をされていることが好ましい。しかしながら、ロール紙110の種類を変更する度に動作条件の設定をやり直すと、工数が増大し効率が悪い。また、ユーザが設定を行う場合、設定のミスも生じ得る。実施例1では、センサ12a及びセンサ12bの各々がマーク114a及びマーク114bの各々を検出した際に、動作条件設定部22がマークに関する情報を取得し、当該情報に基づいて自動的に動作条件の設定を行う。このため、高精度に、かつ効率的にマークを検出することが可能となる。
【0044】
動作条件設定部22は、例えば表1に示したもの以外に、別の動作条件を設定してもよい。表2は、別の動作条件を例示するデータテーブルである。
【表2】

表2に示すように、マーク検出幅Wはマーク幅Wと等しい幅としてもよい。しかし、マーク検出幅Wを実際に測定されたマーク幅Wから所定の範囲の幅とすることで、例えばロール紙110のマーク114a又はマーク114bの幅のバラつき、位置のバラつき、又はセンサ12a及びセンサ12bの位置バラつき、感度のバラつき等がある場合でも、より高精度、かつ効果的にマークを検出することができる。従って、動作条件設定部22は、マーク検出幅Wをマーク幅Wよりも広くすることが好ましく、例えばマーク幅Wから1mm、3mm、又は4mm程度の範囲とすることが好ましい。
【0045】
動作条件設定部22が限界長Lをマーク間距離Lの2倍以上とすることで、適切な印刷、及びマーク検出が可能となる。図1(a)及び図1(b)に破線で示したように、1ページの長さがマーク間距離LよりもLだけ長い場合、限界長Lも変更されることが好ましい。表3は、さらに別の動作条件を例示するデータテーブルである。
【表3】

表3に示すように、限界長Lは、マーク間距離Lの2倍である2Lより2Lだけ長い。これは、1ページの長さがマーク間距離Lよりも長いL+Lである場合に対応したものである(図1(a)の破線参照)。この場合、例えばロール紙110のマーク114a及びマーク114bの付される位置のバラつき、又はセンサ12a及びセンサ12bの位置バラつき、感度のバラつき等がある場合でも、効果的にページの終端を検出することができる。動作条件設定部22は、限界長Lを例えば2ページ分の長さ2L+2Lと定める。これにより、適切な印刷、及びマーク検出が可能となる。Lは、例えば1mm、2mm、3mm等、任意の長さとすることができる。なお、動作条件設定部22は閾値R、マーク検出幅W、及び限界長Lのうち、少なくとも1つを設定するとしてもよい。
【0046】
ユーザの要求に応じて、動作条件設定部22は動作条件の調整を行うことができる(図4のステップS12及びS13)。具体的には、例えば閾値R、又は閾値Rを算出するための数式を変更することができる。また、例えばマーク検出幅Wを、測定されたマーク幅Wよりどの程度広くするか、等を定めることができる。限界長Lを、マーク間距離Lよりどの程度大きくするか、また距離Lの大きさ、等を定めることができる。
【0047】
図4のステップS10において説明したように、図5に示した動作条件設定制御を行うための動作条件設定コマンドは、ユーザからの要求、又はオートローディングに応じて制御部20に入力される。言い換えれば、ユーザからの要求、又はオートローディングに応じて、動作条件設定制御が行われる。このため、ユーザは任意のタイミングで動作条件設定制御を開始させることができる。また、オートローディングは、例えばユーザが用紙のセット後に、プリンタ100のカバーを閉めることに応じて行われる。従って、プリンタのカバーの開閉を行うだけの簡単な作業により、動作条件設定制御を開始させることができる。特に、プリンタ100に使用する用紙の種類を変更する場合には、新たな用紙に適した動作条件を、自動的にかつ迅速に設定することができるため、より高精度かつ効率的にマークの検出をすることが可能となる。
【0048】
また、動作条件設定制御が行われた後は、オートローディングに応じて動作条件設定コマンドが入力されなくてもよい。言い換えれば、オートローディングに応じて、制御部20は動作条件設定制御を行わなくてもよい。これにより、一度設定された動作条件に従ってセンサ12a及びセンサ12bが動作し続けることができ、効率化を図ることができる。特に、同じ種類の用紙を使用する場合には、不要な動作条件設定制御を省略でき、より効率的にマークの検出をすることが可能となる。また、ミスを抑制することもできるため、より高精度にマーク検出をすることが可能となる。用紙の種類を変更する場合は、ユーザの要求に応じて動作条件設定制御を行えばよい。
【0049】
記憶部18は不揮発性メモリであるため、プリンタ100の電源がオフにされた後も、記憶部18は動作条件を記憶することができる。従って、プリンタ100の電源が再びオンにされた後でも、動作条件設定部22が記憶部18から動作条件を読み出し、動作条件を設定することができる。言い換えれば、動作条件設定制御を行うことなく、センサ12a及びセンサ12bは、記憶部18に記憶された動作条件に従って動作することができる。このため、より高精度かつ効率的にマークを検出することができる。特に、同じ種類の用紙を使用する場合には、効率化を図ることができる。記憶部18は、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリとしてもよい。しかし、プリンタ100を再起動した場合等に、効率的にマークを検出するためには、記憶部18は不揮発性メモリであることが好ましい。
【0050】
図4のステップS14及びS15において説明したように、例えば通信制御部30が、インターフェースを介してコンピュータに動作条件を送信することにより、ユーザに動作条件を通知することができる。また、印刷制御部26が印刷部10に、動作条件を印刷させることにより、ユーザに動作条件を通知することができる。このように、通信制御部30及び印刷制御部26は、動作条件を通知する通知部として機能する。これにより、ユーザは、適切な動作条件が設定されているか迅速に判断することができ、高精度かつ効率的にマークを検出することが可能となる。
【0051】
センサ12a及びセンサ12bの各々は、表面112a及び裏面112bの各々に対応して設けられている。図5のステップS24において、黒い領域を検出しなかったセンサ(実施例1ではセンサ12b)は動作を停止する。言い換えれば、マーク114bを検出しなかったセンサ12bは動作を停止する。これにより、プリンタ100の動作が簡略化されるため、より効率的なマーク検出が可能となる。また、プリンタ100の消費電力の節約が可能となる。なお、マーク114aが検出されなかった場合、センサ12aは動作を停止する。マーク114a及びマーク114bの両方が検出された場合、センサ12a及びセンサ12bの両方が動作を続ける。
【0052】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
印刷部 10
搬送部 11
センサ 12a,12b
カバーセンサ 13
記憶部 18
制御部 20
動作条件設定部 22
センサ制御部 24
印刷制御部 26
搬送制御部 28
通信制御部 30
プリンタ 100
ロール紙 110
表面 112a
裏面 112b
マーク 114a、114b

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に付されたマークを検出し、かつ前記マークに関する情報を検出するセンサと、
前記センサにより検出されたマークに関する情報に基づいて、前記マークを検出するための動作条件の設定を行う動作条件設定部と、を具備することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記センサは、光の反射率を測定するセンサであり、
前記マークに関する情報は、前記マークにおける光の反射率、前記用紙の前記マーク以外の領域における光の反射率、及び前記マークの幅を含むことを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記動作条件設定部は、前記マークに関する情報に基づき、前記光の反射率の閾値を設定し、かつ前記マークの幅に基づきマーク検出幅を設定し、
前記センサは、測定した前記光の反射率が前記閾値以下の領域が、前記マーク検出幅以上である場合、前記マークを検出することを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記動作条件設定部は、前記センサにより検出された前記マークの幅から所定の範囲の幅を前記マーク検出幅として設定することを特徴とする請求項3記載のプリンタ。
【請求項5】
前記マークに関する情報は、複数の前記マーク間の距離を含むことを特徴とする請求項1から4いずれか一項記載のプリンタ。
【請求項6】
前記用紙の搬送を制御する搬送制御部を具備し、
前記マークは、前記用紙におけるページの区切りを示すものであり、
前記動作条件設定部は、前記複数のマーク間の距離に基づいて、限界長を設定し、
前記用紙の搬送された距離が前記限界長以上である場合、前記搬送制御部は前記マークの検出の有無に関わらず、前記用紙はページの終わりまで搬送されたと判断することを特徴とする請求項5記載のプリンタ。
【請求項7】
2つの前記センサの各々は、前記用紙の表面と裏面との各々に対応して設けられ、
前記2つのセンサのうち、前記マークを検出したセンサは動作し、前記マークを検出しなかったセンサは動作を停止することを特徴とする請求項1から6いずれか一項記載のプリンタ。
【請求項8】
ユーザからの要求、又は前記用紙のオートローディングが行われたことに応じて、前記センサは前記マークに関する情報を検出し、
かつ前記動作条件設定部は前記動作条件の設定を行うことを特徴とする請求項1から7いずれか一項記載のプリンタ。
【請求項9】
前記動作条件設定部による動作条件の設定が行われた後、前記動作条件設定部は、前記オートローディングに応じた前記動作条件の設定は行わず、かつ前記ユーザからの要求に応じた前記動作条件の設定を行うことを特徴とする請求項8記載のプリンタ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−183774(P2012−183774A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49545(P2011−49545)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】