説明

プリント処理システム

【課題】その課題は、消耗品に対する処置時間を考慮した仕上がり予想時間の設定を可能とし、オーダーの納期遅れを改善するプリント処理システムを提供することである。
【解決手段】写真プリントを作成するための画像データを含むオーダーデータをオーダー単位で保存し、オーダーデータを登録するに際し、各オーダーの仕上がり予想時間と顧客引渡し時間の設定を行う写真プリントシステムであって、消耗品の消耗量を算出する消耗量算出部5hと、消耗量に基づいて消耗時期を判定する消耗時期判定部5jを有し、処理時間設定部5gは、消耗時期にプリント処理が実行されるオーダーの仕上がり予想時間を設定する場合に、当該消耗品の処置時間を加算するように構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真プリントを作成するための画像データを含むオーダーデータをオーダー単位で保存するオーダーデータ保存部を有し、消耗品の交換等の処置を考慮した仕上がり予想時間を設定可能とするプリント処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
写真プリントを作成するプリント処理システムにおいては、適宜の画像形成媒体から画像データを取得し、オーダー単位でオーダーデータ保存部に一旦保存される。ここで、1オーダーとは、ネガフィルム1本に含まれる画像データ、記録メディア1個に格納される画像データのことを指す。プリント処理の注文が多い場合は、オーダーデータ保存部に多数のオーダーが登録され、設定されたプリント順序に従い登録されたオーダーについてプリント処理が行なわれていく。
【0003】
ここで設定されたプリント順序とは、通常はオーダーを受け付けた順序であり、早く受け付けたオーダーほど早くプリント処理が行われるように設定される。また、プリント処理の仕上がり納期に関して、顧客から指定されることもあり、登録されるオーダーの順番はオーダーの受付順序だけではなく、仕上がりの優先度も考慮して設定する必要がある。
【0004】
そして、登録されるオーダーの仕上がり予想時間が設定される。この仕上がり予想時間は、待ち時間に処理時間を加算して得られる。「待ち時間」とは、注目しているオーダーよりもプリント順序が早い全てのオーダーの処理時間の合計のことである。「処理時間」は、プリント処理時間に余裕時間を加算して得られる。「プリント処理時間」は、プリント1枚当たりの処理時間にプリント枚数を乗算して得られる。「余裕時間」は、優先度(特急仕上げ、通常仕上げ)の設定で異なり、また、割り込みオーダーに備えた予備時間、トラブルに備えた予備時間などが含まれる。
【0005】
以上のようにプリント処理システムにおいては、登録されたオーダー順序に従って、オーダー単位にプリント処理が実行され、仕上がり予想時間に、プリント処理が終了する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、写真感光材料であるペーパーは、ロール状に収容されたペーパーマガジンとして写真処理装置にセットされている。プリント処理されるに従いペーパーは消費されていくものである。通常、ペーパーの送り出された長さは、ペーパー送り長さ検出手段(例えば、マガジンの回転数検出するロータリーエンコーダーや、センサー等)によって検出され、ペーパー交換時期が判定され、オペレータに通知(音出力、画面に表示)されている。
【0007】
また、露光処理されたペーパーは、現像処理されるが、この現像処理液は、現像処理の回数が増加するにつれて減少していくため、適宜補充する必要がある。さらに、現像液は、現像処理能力が限定されているため、所定期間現像処理に用いられると新しい現像液と交換され、交換された古い現像液は廃液として回収される必要がある。
【0008】
すなわち、連続したプリント処理中においては、ペーパー交換や、現像液補充、廃液回収等の消耗品に対する処理が必要になり、プリント処理を予期しない要因で停止しなければならない場合がある。このことは、オーダーの登録時に設定した仕上がり予想時間を越えて、プリント処理が終了することとなり、オーダーの納期遅れの原因の一つとなっており、改善が要望されていた。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、消耗品に対する処置時間を考慮した仕上がり予想時間の設定を可能とし、オーダーの納期遅れを改善するプリント処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明に係るプリント処理システムは、
写真プリントを作成するための画像データを含むオーダーデータをオーダー単位で保存するオーダーデータ保存部と、オーダーデータを登録するに際し、各オーダーの仕上がり予想時間と顧客引渡し時間の設定を行う処理時間設定部とを備える写真プリントシステムであって、
消耗品の消耗量を算出する消耗量算出部と、
前記消耗量に基づいて消耗時期を判定する消耗時期判定部とをさらに備え、
前記処理時間設定部は、
前記判定された消耗時期にプリント処理が実行されるオーダーの仕上がり予想時間を設定する場合に、当該消耗品の処置時間を加算するように構成したことを特徴とする。
【0011】
かかるプリント処理システムの作用・効果を説明する。画像データを含むオーダーデータは、オーダーデータ保存部にオーダー単位で保存される。新規オーダーをオーダーデータ保存部に登録する場合には、プリント順序設定部によりプリント順序が設定され、優先度やオーダー受付順序に基づいて順番が設定される。例えば、早く受け付けたものほど早くプリント処理され、高優先度オーダーは低優先度オーダーに優先して順序が設定される。「優先度」とは、仕上がり納期に関するものであり「特急仕上げ」、「通常仕上げ」などである。すなわち、プリント処理の対象となる画像データは、オーダーデータ保存部に保存された後、プリント処理が行われることになるため、オーダーデータ保存部にデータが保存できないとプリント処理を行うことができない仕組みとなっている。
【0012】
また、処理時間設定部を備えており、各オーダーについて仕上がり予想時間と顧客引渡し時間の設定を行なうことができる。「仕上がり予想時間」とは、写真プリント作成が完了する時間のことであり、「顧客引渡し時間」とは顧客に仕上がりの写真プリントを渡すことができる時間のことである。従って、納期を遵守するためには、仕上がり予想時間は顧客引渡し時間内に収まるようにしなければならない。
【0013】
そして、消耗量算出部は、所定の消耗品の消耗量を算出する。消耗時期判定部は、所定の消耗品の消耗時期を、消耗量に基づいて算出する。所定の消耗品は、例えば、写真感光材料のプリントペーパー、現像液、裏印字手段であるインクジュットプリンタ等のインク、装置の消耗部品等である。
【0014】
そして、処理時間設定部は、判定された消耗時期にプリント処理が実行されるオーダーの仕上がり予想時間を設定する場合に、当該消耗品の処置時間を加算して設定する。処置時間は、予め格納手段に格納されているものであり、消耗品の種類によって、処置時間は異なる値である。
【0015】
この構成によれば、消耗品に対する処置時間を考慮した仕上がり予想時間の設定を可能とし、オーダーの納期遅れをなくせるものとなる。また、消耗品の処置に関与しないオーダーに対しては、処置時間を加算せずに仕上がり予想時間を設定することができるので、仕上がり予想時間を精度良く設定できる。すなわち、全てのオーダーの仕上がり予想時間に一律に、消耗品の処置時間を加算せず、消耗品の処置タイミングのオーダーのみに処置時間を加算して仕上がり予想時間を算出・設定できるので、プリント処理の稼動効率を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る写真処理システムの好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、システム全体の構成を示す模式図である。
【0017】
<システムの全体構成>
図1において、写真処理装置100は、取得されたデジタルの画像データに基づいて、写真プリントを作成する機能を有する。画像データは、写真処理装置100に設けられるフィルムスキャナーから取得される現像済みネガフィルムのコマ画像の画像データや、ネットワーク経由で送信されてくる画像データなどがあげられる。
【0018】
受付端末20は、店頭に設置され、デジタルカメラの記録メディアやその他の記録メディアに格納された画像データを受け付けることができる。記録メディアの種類としては、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア(登録商標)、メモリスティック(登録商標)、CD−R、DVD−Rなどが例としてあげられる。受付端末20は、主として顧客により操作されるものであり、顧客が自分で持参した記録メディアを挿入し、プリント処理の対象となる画像データの選択、プリント枚数、プリントサイズの設定などを行うことができる。もちろん、店員が受付端末20を操作するようにしてもよい。
【0019】
記録装置40は、写真処理装置100が取得した画像データをCD−R、DVD−R等の記録メディアに書き込む機能を有する。ネット受付端末50(パソコンにより構成)は、インターネット経由でのプリント注文に係る画像データを受け付ける機能を有する。写真処理装置100、受付端末20、記録装置40、ネット受付端末50は、ネットワーク(例えば、LAN)により接続されている。また、写真処理装置100、受付端末20、記録装置40、ネット受付端末50の設置台数は1台に限定されるものではなく、必要に応じて複数台を設置することができる。
【0020】
インターネット上に設置されるサーバー60は、オンラインでのプリント注文を受け付ける機能を提供する。プリント注文を行なう場合は、インターネットに接続されるパソコン70から、プリント処理に係る画像データをアップロードすると、サーバー60に画像データが保存される。ネット受付端末50から、当該画像データをサーバー60からダウンロードすることで、プリント処理を行なうことができる。オンラインでプリント処理を受け付けるシステムについては、公知のシステムを利用することができる。
【0021】
<写真処理システムの機能ブロック構成>
図2は、写真処理システムの中心をなす写真処理装置100の機能を示すブロック図である。フィルムスキャナー1(画像入力手段の一つに相当する)は、現像済みネガフィルム(写真フィルム)に形成されているコマ画像をスキャニングしてデジタルの画像データを取得する。画像取得部2(画像入力手段の一つに相当する)は、主としてネットワーク経由で送信されてくる画像データを取得する。ネットワークを介して通信を行なうために通信制御部3が設けられる。画像取得部2が取得する画像データは、デジタルカメラの記録メディアに格納されていた画像データや、インターネットサーバー60に保存されていた画像データである。なお、写真処理装置100自身に記録メディアを装着することができるようにし、直接記録メディアから画像データを取得できるように構成してもよい。
【0022】
<画像判定部の構成>
画像判定部4は、取得した画像データに対する判定をオペレータが行なうための機能を提供し、かかる機能は主としてソフトウェアにより提供される。これは、画像データに基づいて写真プリントを作成する前に、適切な画質の写真プリントが作成されるか否かを判定するものであり、かかる作業をプレジャッジと称することとする。画像判定部4には、補正データ設定部4a、プリントデータ設定部4b、サムネイル画像作成部4cが主たる機能として設けられており、補正データ設定部4aは、上記のような色や濃度を補正するための補正データを入力する機能を提供するものであり、かかる補正データの入力は必要に応じて設定される。その他の補正データの設定としては、赤目補正、逆光補正などの特殊補正の設定が例としてあげられる。また、プレジャッジ画面から、仕上がり希望納期を入力可能に構成されている。
【0023】
プリント枚数の設定としては、フィルムスキャナー1から取得した画像データに関してはデフォルトで1が設定されているが、オペレータの入力操作により変更することができる。また、ネットワーク経由で取得した画像データについては、顧客により注文にかかるプリント枚数が既に設定されているため、オペレータにより設定変更できないようにすることが好ましい。このプリント枚数の設定データは、プリントデータに含まれるものであり、プリントデータ設定部4bの機能により提供される。プリントデータには、プリント枚数の他にプリントサイズ、ペーパー面質(光沢面や絹目など)、縁有りプリントか否かについても含まれるものとする。
【0024】
プレジャッジ画面に表示されるコマ画像は、サムネイル画像であり、取得した画像データを縮小処理することで得られるものである。画像取得部2が取得した画像データの場合は、取得したオリジナルの画像データに基づいてサムネイル画像を作成することができる。フィルムスキャナー1からネガフィルムの画像データを取得する場合は、ネガフィルムをプレスキャンした画像データに基づいて、サムネイル画像を作成することができる。サムネイル画像の作成は、サムネイル画像作成部4cの機能により行われる。
【0025】
<オーダー制御部の構成>
オーダー制御部5は、プリント処理すべき画像データをオーダー単位に管理する機能を提供する。ここで1オーダーとは、フィルム1本分あるいは記録メディア1個分についてのプリント注文に係る画像データ群を指すものであるが、これに限定されるものではなく、1オーダーの概念はオペレータにより適宜設定することができる。
【0026】
オーダー登録部5aは、画像判定部4によりプレジャッジの終了したオーダーデータを記憶装置6に登録・保存する機能を有する。記憶装置6は概念的に、スプーラ6a(オーダーデータ保存部に相当)と呼ばれる部分と、その他の記憶部6bとで構成される。プリント処理すべきオーダーデータは、すべてスプーラ6aに保存される。従って、スプーラ6aにオーダーデータを保存することでオーダーの管理を行なうことができ、プリント処理の順番や割り込みなどの制御を行なうことができる。スプーラ6aと、記憶部6bは、いずれもハードディスクのような大容量記憶装置により構成することができるが、スプーラ6aと記憶部6bは、ハードウェア的に別々のハードディスクにより構成してもよいし、1つのハードディスクの記憶領域を分割して、スプーラ6aとして機能する領域と、それ以外の領域を形成してもよい。
【0027】
なお、オーダーデータとは1オーダー分のデータのことを指すが、1オーダーに含まれる画像データ群と、プレジャッジにより設定された補正データやプリント枚数などのプリントデータ、オーダーを特定するデータ(オーダー識別ID、顧客の氏名、住所、会員IDなどのデータ)により構成される。
【0028】
プリント処理制御部5bは、プリント処理の対象となるオーダーのオーダーデータをプリント処理するように指令を与える。図3は、オーダー管理画面の構成例を示す図であり、処理待ちオーダーのリストと、完了済みオーダーのリストが表示されている。処理待ちオーダーのリストには、基本的にはプリント処理が行なわれる順番にオーダーのリストが表示されている。状態表示欄には、オーダーの処理状態が示されており、1番上のオーダーがプリント処理中であること、その他のオーダーについてはプリント処理待ちの状態であることが示されている。プリント処理が完了すると、完了済みオーダーの表示欄へと移行し、状態表示もプリント処理完了に変わる。
【0029】
プリント順序設定部5eは、オーダーデータをスプーラ6aに登録するに際して、オーダーのプリント順序を優先度や受付順序に基づいて設定する。基本的には、受付順序が早いほど先にプリント処理がされる。図3に示す管理画面において、処理待ちオーダーのリストは、プリント処理がされる順番にオーダーがリスト表示されている。すなわち、一番上のオーダーが現在プリント処理中のオーダーであり、以下順番に繰り上がってプリント処理が行なわれていく。
【0030】
処理時間設定部5gは、各オーダーの仕上がり予想時間と顧客引渡し時間を設定する機能を有する。「仕上がり予想時間」とは、写真プリントの仕上がり予定時間のことであり、「顧客引渡し時間」については、商品としての写真プリントを顧客に引き渡すことが可能な時間である。これらの処理時間の演算方法については後述する。
【0031】
消耗量算出部5hは、各種消耗品の消耗量を算出する。プリントペーパーの場合、例えば、オーダーデータに含まれるプリントデータのプリント枚数とプリントサイズからペーパー使用量を算出することで、各オーダーのペーパーの消耗量(使用予定量)を得ることができる。
【0032】
消耗時期判定部5jは、算出された消耗品の消耗量に基づいて、各種消耗品の消耗時期を判定する。判定方法の詳細は後述する。
【0033】
オーダー制御部5、消耗量算出部5h、消耗時期判定部5jは、通常、ソフトウェアで構成され、CPU、メモリ等のハードウェア資源と協働して動作するものであるが、専用回路、ファームウエア等を組み合わせて構成してもよい。当該ソフトウエアプログラムは、ROM等のメモリに予め格納されている。
【0034】
図2に戻り、モニター7は、プレジャッジを行なうための画面やオーダー管理画面等を表示させるものであり、プリント処理等を行うために必要な画面を提供する。入力操作部8は、キーボードやマウス等により構成され、プリント処理に必要なデータ入力や設定、各種指令を行う。
【0035】
画像処理基板9は、スプーラ6aから画像データと補正データを受け取り、補正データに基づいて画像データに対する画像処理を行い、写真プリントを作成するために用いられるプリント用画像データを生成する。画像処理基板9は、入力メモリ、処理回路部、展開メモリにより構成され、処理回路部において指定された画像処理が行なわれる。具体的には、補正データに基づく色・濃度の補正、設定されたプリントサイズに従ったデータの拡縮処理などである。
【0036】
次に、図2においてプリント処理部の構成を簡単に説明する。ペーパーマガジン10には、写真感光材料であるペーパーがロール状に収容されている。ペーパーマガジン10は、2台を設置することができ、例えば、ペーパー幅の異なるペーパーを予めセットしておくことができる。ペーパーカッター11は、ペーパーマガジン10から引き出された長尺状のペーパーを設定されたプリントサイズになるように切断する。
【0037】
露光エンジン12aは、画像処理基板9の展開メモリから送信されてくるプリント用画像データを受け取り、このプリント用画像データに基づいて、ペーパーの乳剤面に画像を焼付露光する。露光エンジン12としては、特定の方式のものに限定されるものではなく、例えば、レーザーエンジン、CRTエンジン、PLZTエンジンなどを用いることができる。
【0038】
裏印字手段12bは、ペーパーの裏面に、オーダー識別ID、コマナンバー、プリント処理済枚数、プリント要求枚数、補正テータ等をプリントする機能を有する。裏印字手段12bは、例えば、ドットインパクトプリンタ、熱転写式プリンタ、インクジェットプリンタ等で実現される。
【0039】
現像処理部13は、画像が焼付露光されたペーパーの現像処理を行い、乾燥処理部14は、現像処理されたペーパーの乾燥処理を行なう。ペーパー排出部15から仕上がりの写真プリントが装置本体外部に排出され、所定の集積装置によりオーダー単位で集積される。
【0040】
ペーパーセンサー16は、ペーパー排出部15から排出されるペーパーを検出し、あるオーダーの写真プリントが全て排出されたか否かを検出する。センサー制御部17は、ペーパーセンサー16の駆動制御を行なうと共に、ペーパーセンサー16からの信号を受信して解析する。オーダー制御部5のオーダーデータ削除部5cは、あるオーダーについての写真プリントが全て排出されたとセンサー制御部17により検出された場合、そのオーダーについてのオーダーデータをスプーラ6aから削除するようにする。
【0041】
<オーダー管理の設定画面>
次に、オーダー制御部5によりオーダーの管理を行う場合の設定画面の一例を図4に示す。ネットオーダーモードの設定欄25は、有効もしくは無効の設定を行うことができ、有効を選択することで受付端末20からのオーダーを受け付けることができる。
【0042】
データ保存設定欄21では、オーダーデータを保存するスプーラ6aに関する設定を行うことができる。ドライブ設定欄21はスプーラ6aを配置するドライブを指定することができる。一度指定したドライブを変更することもできる。スプーラ容量設定欄21bには、スプーラ6aとして使用する領域の要領を設定することができる。プリント処理をスムーズに行なうのに必要な容量(例えば、3GB)を設定することができる。残容量が少なくなってきた場合、この設定値を増やすことで対処することもできる。スプーラ使用容量表示欄21cには、スプーラ6aに保存されている全オーダーデータのデータ量を表示する。
【0043】
リオーダー用保存容量設定欄21dは、リオーダー用(焼き増し用など)に設定する保存容量を設定することができる。この保存容量は、スプーラ6aとは別の記憶部6bに保存領域を確保することができる。これは、後日焼き増しプリントの依頼を受けた場合、リオーダー用に確保された領域からオーダーデータを読み出すことで、直ちにプリント処理を開始できるという利点がある。従って、フィルムスキャナー1による画像データの読み取り動作などが不要になり、効率よく作業を行うことができる。リオーダー用に確保されたオーダーデータは、所定期間保存され、所定期間が経過した後に削除される。完了済みオーダー保存容量表示欄21eには、リオーダー用に保存されている全オーダーデータのデータ量が表示される。
【0044】
ソート対象データ設定欄22は、図4に示したオーダーリストを表示するソート順の基準について設定を行う欄である。通常は図4に例示するように「受付日時」が選択される。受付日時を選択した場合、オーダーリストには受け付け順に各オーダーが表示され、基本的に受け付け順にプリント処理が行われていく。基準として「マガジン」を選択することもでき、マガジンに対して付与されているマガジンコード順にソートされる。ただし、装置本体に装着可能なマガジンは2種類であるため、現在装着されているマガジンが上位にソートされる。
【0045】
仕上がり予定時間設定エリア23は、仕上がり予想時間を演算するために必要なデータを設定入力する。このエリア23は、オーダーの仕上がり時間を演算するために、写真プリント出力の予定時間等を設定するものであり、各写真店の事情に合わせて設定することができる。演算された仕上がり予想時間は、図4に示したリストに表示される。予想時間は、仕上がりの時刻で表示しても良いし、オーダーを受け付けてからオーダーが仕上がるまでに要する処理時間を表示してもよい。オーダーの受付時点とは、例えば、記録メディアを受付端末20に装着して受付処理を完了した時点、プレジャッジ作業を開始した時点、スプーラ6aに新規オーダーを登録した時点など適宜定義することができる。オーダーの仕上がり時点とは、1オーダー分の写真プリントが全て装置外部に排出された時点、集積装置に集積された時点など適宜定義することができる。このような定義は、写真店ごとに決めることができる。
【0046】
エリア23aには、標準プリントサイズ(図例はL判)で24コマ分プリントするのに要する時間を設定する。エリア23bには、標準プリントサイズよりも大きな大サイズ(図例では6つ切)で12コマ分プリントするのに要する時間を設定する。エリア23cには、特大サイズ(長尺サイズ)で8コマ分プリントするのに要する時間を設定する。エリア23dには、記録装置40を利用してCD−R1枚に画像データを書き込む時間を設定する。エリア23eには、顧客に仕上がり写真プリントを渡すまでの時間を設定する。これは、オペレータが写真プリントをDP袋に袋詰めする時間などを考慮して設定する。
【0047】
余裕時間設定エリア24には、余裕時間を優先度ごとに設定するものであり、優先度には「特急仕上げ」「通常仕上げ」「ゆっくり仕上げ」の3段階があるが、更に段階を増やしてもよい。このような優先度は顧客からの要望に基づいてオーダーごとに設定されるものである。余裕時間とは、割り込みオーダーに備えた予備時間、トラブルに備えた予備時間などが含まれる。そして、各エリア24a〜24cには、各優先度が指定されたオーダーに対する余裕時間を設定することができ、優先度が低くなるほど余裕時間を大きく設定する。
【0048】
処置時間設定エリア26には、各種消耗品の処置時間を設定できるものであり、例えば、ペーパーエンド時(ペーパー終了時)のペーパーマガジンの交換時間、又はプリントチャンネル切換時間、現像液の補充時間、廃液回収の時間、インクジェットプリンタのインクの交換時間、その他の消耗部品の交換時間等を設定できる。
【0049】
ここで、具体的な仕上がり予想時間の演算方法の一例を説明する。仕上がり予想時間については、基本的に、
仕上がり予想時間=待ち時間+処理時間
により演算する。ここで、(処理時間=プリント処理時間+余裕時間)であり、余裕時間については、優先度の違いに応じて余裕時間設定エリア24において設定した時間である。プリント処理時間については、仕上がり予定時間設定エリア23にて設定したデータに基づいて演算することができる。「待ち時間」とは、注目しているオーダーよりもプリント順序が早い全てのオーダーの処理時間の合計のことである。以上のように、仕上がり予想時間を各オーダーにつき求めることができる。
【0050】
しかし、消耗時期判定部5jで判定された消耗時期にプリント処理が実行されるオーダーの仕上がり予想時間を設定する場合には、当該消耗品の処置時間を処理時間に加算するように構成され、仕上がり予想時間については、
仕上がり予想時間=待ち時間+処理時間
処理時間=プリント処理時間+余裕時間+処置時間
により演算する。
【0051】
処置時間は、各種消耗品によって異なる時間であり、処置時間設定エリア26において設定した時間である。
【0052】
なお、仕上がり予想時間と比較される顧客引渡し時間については、各オーダーごとに入力されるものであり、例えば、新規オーダーを受け付けるときや、スプーラ6aに登録するときに設定することができる。
【0053】
<仕上がり予想時間の設定手順>
次に、新規のオーダーの仕上がり予想時間の設定手順を図5のフローチャートにより説明する。
【0054】
新規オーダーを受付端末20、記録装置40、ネット受付端末50から受け付ける。或いは、現像済みネガフォルムから画像データを読み取ることで新規オーダーを受け付ける(S1)。受付端末20、記録装置40、ネット受付端末50から新規オーダーを受け付けた場合、通常、プリントデータ(例えば、コマ毎にプリントサイズ、プリント枚数等のデータ)が設定されており、画像データと共にオーダーデータとして、記憶装置6或いは不図示のメモリに格納される。このオーダーデータに対してオペレータはプレジャッジ処理が可能であり、プレジャッジで補正データやプリントデータが設定されると、新規オーダーとしてスプーラ6aに登録・保存される。なお、プレジャッジ処理をせずに、直接、スプーラ6aに新規オーダーとして登録・保存されても良い。また、現像済みネガフォルムから画像データを読み取って、新規オーダーを受け付ける場合には、オペレータがプレジャッジ処理することで、補正データ、プリントデータを設定し、プレジャッジ後、画像データ、補正データ及びプリントデータをオーダーデータとして構成して、スプーラ6aに登録・保存する。
【0055】
次いで、処理時間設定部5gは、プリントサイズやプリント枚数のデータを取得し(S2)、このデータに基づいて、新規オーダーの処理時間(プリント処理時間+余裕時間)を算出する(S3)。
【0056】
次いで、消耗量算出部5hは、新規オーダーの各種消耗品の消耗量を算出する(S4)。例えば、プリントペーパーの消耗量は、プリントサイズ(送り長さ)とプリント枚数との積で得られる。
【0057】
次いで、消耗時期判定部5jは、算出された消耗品の消耗量に基づいて、各種消耗品の消耗時期を判定する。プリントペーパーの消耗時期は、新規オーダーのペーパー消耗量(使用量)が、使用可能ペーパー量より大きい場合に、ペーパーの消耗時期であると判定する(S5)。「使用可能ペーパー量」は、ペーパーマガジンに収納されている未使用のプリントペーパーから登録済みのオーダーが使用する予定のプリントペーパー分を差し引いたものである。この判定結果により、処理時間にペーパーマガジン交換の処置時間が加算され、仕上がり予想時間及び顧客引渡し時間が算出・設定される(S6)。なお、ペーパーマガジンに収納されている未使用のプリントペーパーの長さは、上述のように、プリントサイズとプリント枚数から算出することもできるが、その他の方法として、例えば、ペーパーマガジンから送り出されるペーパーの長さを検出し、或いはセンサー16で検出される写真プリントのプリントサイズ及びプリント累積枚数からペーパーの使用された長さを算出し、初期値のペーパー長さからその算出された長さを減算して得ることもできる。
【0058】
また、現像液の消耗量は、写真プリント一枚あたりの消耗量(経験値、実測値を採用し、例えば、1ミリリットル)とプリント枚数との積で得ることができる(S7)。得られた現像液の消耗量を加算した累積の現像液の消耗量が所定値(例えば、200ミリリットル)以上になった場合に、補充時期であると判定することができる。累積の現像液の消耗量は、補充液が補充されると初期化される。この判定結果により、処理時間に現像液補充のための処置時間が加算され、仕上がり予想時間及び顧客引渡し時間が算出・設定される(S8)。
【0059】
また、プリント処理中にリアルタイムに現像液の量をセンサーで検出し、検出結果の量が所定値以上になったら補充時期であると判定するように構成してもよい。また、現像液の補充時期を新規オーダーのペーパー消耗量から判定することができる。例えば、新規オーダーのペーパー消耗量を加算した累積のペーパー消耗量が所定値以上になった場合に、補充時期であると判定される。累積のペーパー消耗量は、補充液が補充されると初期化される。所定値は、ペーパー消耗量に比例して現像液が減少するという観点から適宜設定されるものであり、例えば、271万(プリントサイズ「89×127」×24枚×10オーダー分に相当する)等でもよい。
【0060】
また、現像液の廃液回収時期をペーパー消耗量から判定することができる(S9)。例えば、新規オーダーのペーパー消耗量を加算した累積のペーパー消耗量が所定値以上になった場合に、廃液回収時期であると判定される。累積のペーパー消耗量は、廃液回収処置がなされると初期化されるが、補充液が補充された際にも初期化されるように構成されている場合には、各々別の変数に置き換えて記録されているものとする。所定値は、ペーパー消耗量に比例して現像液の処理能力が低下するという観点から適宜設定されるものであり、例えば、1355万(プリントサイズ「89×127」×24枚×50オーダー分に相当する)等でもよい。この判定結果により、処理時間に廃液回収のための処置時間が加算され、仕上がり予想時間及び顧客引渡し時間が算出・設定される(S10)。
【0061】
また、その他の消耗品の消耗時期をペーパー消耗量から判定する。例えば、インクジェットプリンタ(裏印字手段12bの一例)は、写真プリントの裏印字に用いられ、通常すべての写真プリントの裏面に、識別情報、補正データ等が印字される。よって、プリント枚数に略比例して、インクが消耗することが分かっている。そこで、インクの消耗量を、プリント枚数から算出することができる。例えば、新しくインクを補充又は交換した時からの累積プリント枚数が所定値(例えば、1000枚)以上となる場合に、インク補充又は交換時期であると判定される(S11)。この判定結果により、処理時間にインク補充又は交換のための処置時間が加算され、仕上がり予想時間及び顧客引渡し時間が算出・設定される(S12)。
【0062】
また、裏印字手段12bのインクジェットプリンタのインクの消耗量は、写真プリント一枚あたりのインク使用量(経験値、実測値を採用)とプリント枚数との積で得られる。その他の消耗品の消耗量は、写真プリント一枚あたりの消耗量とプリント枚数の積で得られる。
【0063】
また、装置の消耗部品の消耗は、経験的に、プリント処理累積回数(或いは累積プリント枚数)に略比例することが分かっている。そこで、消耗部品の消耗量を、プリント枚数から算出し、消耗時期(交換時期)を、その部品を組み込んでからの累積プリント枚数から判定することができる。例えば、その部品を組み込んでからの累積プリント枚数が所定値(例えば、1万等)以上となる場合に、消耗時期であると判定される(S11)。消耗部品は、例えば、レーザー部品、センサー部品、搬送部品等が例示され、各々の部品ごとに消耗時期は異なるものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】写真処理システムの構成を示す概念図
【図2】写真処理装置の機能を示すブロック図
【図3】オーダー管理画面の構成例を示す図
【図4】オーダー管理の設定画面の構成例を示す図
【図5】仕上がり予測時間の設定手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0065】
4 画像判定部
5 オーダー制御部
5a オーダー登録部
5b プリント処理制御部
5c オーダーデータ削除部
5e プリント順序設定部
5g 処理時間設定部
5h 消耗量算出部
5j 消耗時期判定部
6 記憶装置
6a スプーラ
6b 記憶部
20 受付端末
40 記録装置
100 写真処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真プリントを作成するための画像データを含むオーダーデータをオーダー単位で保存するオーダーデータ保存部と、オーダーデータを登録するに際し、各オーダーの仕上がり予想時間と顧客引渡し時間の設定を行う処理時間設定部とを備える写真プリントシステムであって、
消耗品の消耗量を算出する消耗量算出部と、
前記消耗量に基づいて消耗時期を判定する消耗時期判定部とをさらに備え、
前記処理時間設定部は、
前記判定された消耗時期にプリント処理が実行されるオーダーの仕上がり予想時間を設定する場合に、当該消耗品の処置時間を加算するように構成したことを特徴とするプリント処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−98885(P2007−98885A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−294738(P2005−294738)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】