説明

プリント管理装置、プリント管理方法及びプログラム

【課題】印刷データが印刷可能なファイルの条件を満足しない場合においても、ユーザにとって適切なプリント端末でのプリントをユーザに案内することができる。
【解決手段】ユーザの移動経路に近いプリント端末を適切なプリント端末と特定し、そのプリント端末が接続されたプリントシステムに対応させるように、携帯端末から受信した印刷データのファイルサイズ、用紙サイズ、ファイル形式等を改変し、改変した印刷データをプリントシステムに送信する。これにより、印刷データがプリント端末で印刷可能なファイルの条件を満足しない場合等においても、適切なプリント端末でのプリントが可能となる。また、携帯端末の位置情報を取得し、携帯端末とプリント端末との距離が所定の距離以下になった場合に初めて改変した印刷データを送信する。これにより、セキュアな印刷方法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント管理装置、プリント管理方法及びプログラムに係り、特に携帯端末を利用したプリント管理装置、プリント管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、携帯端末の位置情報から印刷可能な店舗又は印刷機を特定し、その店舗又は印刷機の位置情報を携帯端末に通知するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−102653号公報
【特許文献2】特開2006−53614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載の発明においては、印刷可能なファイルの形式等が異なる場合の対応について記載されていない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、印刷データが印刷可能なファイルの条件を満足しない場合においても、ユーザにとって適切なプリント端末でのプリントをユーザに案内することができるプリント管理装置、プリント管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のプリント管理装置は、異なる場所に設置された複数のプリント端末の位置情報と、プリント端末で印刷可能なファイルの条件を示す情報と、印刷データとを記憶する記憶手段と、ユーザが所有する携帯端末の位置情報を受信する受信手段と、前記受信した携帯端末の位置情報と、前記記憶手段に記憶された複数のプリント端末の位置情報とに基づいて、前記複数のプリント端末のなかから適切なプリント端末を特定する端末特定手段と、前記記憶手段に記憶されたファイルの条件を満たすように前記印刷データのファイルの形式を改変するデータ改変手段と、前記データ改変手段により改変された印刷データを前記適切なプリント端末に送信する送信手段と、前記記憶手段に記憶されたプリント端末の位置情報から前記適切なプリント端末の位置情報を抽出し、当該抽出された位置情報を前記携帯端末に通知する通知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載のプリント管理装置によれば、記憶手段には、複数のプリント端末の位置情報が記憶されており、ユーザが所有する携帯端末の位置情報を受信すると、受信した携帯端末の位置情報と、記憶手段に記憶された位置情報とに基づいて複数のプリント端末のなかから適切なプリント端末を特定する。記憶手段には、プリント端末で印刷可能なファイルの条件を示す情報が記憶されており、このファイルの条件を満たすように印刷データのファイルの形式を改変し、改変された印刷データを適切なプリント端末に送信する。それと共に、記憶手段に記憶された位置情報のなかから適切なプリント端末の位置情報を抽出し、その位置情報を携帯端末に通知する。これにより、プリント端末によって印刷可能なファイルの形式が異なる場合や、印刷データのファイルの形式とプリント端末が対応可能なファイルの形式が異なる場合等においても、ユーザにとって適切なプリント端末でのプリントをユーザに案内することができる。
【0008】
請求項2に記載のプリント管理装置は、請求項1に記載のプリント管理装置において、前記記憶手段は、前記プリント端末で印刷可能なファイルの条件を示す情報としてファイルサイズ、用紙サイズ、ファイル形式のうちの少なくとも1つを記憶することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のプリント管理装置によれば、プリント端末で印刷可能なファイルの条件を示す情報として、ファイルサイズ、用紙サイズ、ファイル形式のうちの少なくとも1つを記憶し、印刷データのファイルサイズ、用紙サイズ、ファイル形式のうちの少なくとも1つを改変することにより、印刷データを適切なプリント端末で印刷可能となる。
【0010】
請求項3に記載のプリント管理装置は、異なる場所に設置された複数のプリント端末の位置情報と、印刷データとが記憶された記憶手段と、ユーザが所有する携帯端末の位置情報を受信する受信手段と、前記受信した携帯端末の位置情報と、前記記憶手段に記憶された複数のプリント端末の位置情報とに基づいて、前記複数のプリント端末のなかから適切なプリント端末を特定する端末特定手段と、前記記憶手段に記憶された印刷データを前記適切なプリント端末に送信する送信手段と、前記携帯端末の位置情報と前記プリント端末の位置情報とに基づいて、前記携帯端末が前記適切なプリント端末から所定の範囲内に入ったか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記携帯端末が前記適切なプリント端末から所定の範囲内に入ったと判断された場合にのみ前記適切なプリント端末での印刷が可能となるように制御する制御手段と、前記記憶手段に記憶されたプリント端末の位置情報から前記適切なプリント端末の位置情報を抽出し、当該抽出された位置情報を前記携帯端末に通知する通知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載のプリント管理装置によれば、記憶手段には、複数のプリント端末の位置情報が記憶されており、ユーザが所有する携帯端末の位置情報を受信すると、受信した携帯端末の位置情報と、記憶手段に記憶された位置情報とに基づいて複数のプリント端末のなかから適切なプリント端末を特定する。携帯端末の位置情報と適切なプリント端末の位置情報とに基づいて、携帯端末が適切なプリント端末から所定の範囲内に入ったか否かを判断し、携帯端末が適切なプリント端末から所定の範囲内に入ったと判断された場合にのみ適切なプリント端末での印刷が可能となる。これにより、他人に印刷物を見られる、他人が印刷データを印刷する等という危険を減らすことができる。したがって、セキュアな印刷方法を提供することができる。
【0012】
請求項4に記載のプリント管理装置は、請求項3に記載のプリント管理装置において、前記制御手段は、前記判断手段により前記携帯端末が前記適切なプリント端末から所定の距離の範囲内に入ったと判断された場合に前記印刷データを前記適切なプリント端末に送信するように前記送信手段を制御することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載のプリント管理装置によれば、携帯端末が適切なプリント端末から所定の距離の範囲内に入ったと判断された場合に印刷データを適切なプリント端末に送信する。これにより、他人が印刷データを印刷するという危険を減らすことができる。
【0014】
請求項5に記載のプリント管理装置は、請求項1から4のいずれかに記載のプリント管理装置において、前記受信手段は、前記携帯端末を所有するユーザの移動経路に関する情報を受信し、前記端末特定手段は、前記受信した移動経路に関する情報に基づいて前記ユーザの移動経路を特定し、当該特定したユーザの移動経路から所定の範囲内にあるプリント端末を前記適切なプリント端末として特定することを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載のプリント管理装置によれば、携帯端末を所有するユーザの移動経路に関する情報を受信し、受信した移動経路に関する情報に基づいてユーザの移動経路を特定し、特定した移動経路から所定の範囲内にあるプリント端末を適切なプリント端末として特定する。これにより、移動経路に近い場所にあるプリント端末を適切なプリント端末とすることができる。
【0016】
請求項6に記載のプリント管理装置は、請求項5に記載のプリント管理装置において、前記受信手段は、前記ユーザの目的地を取得し、前記端末特定手段は、前記受信した目的地と、前記携帯端末の位置情報とに基づいて前記ユーザの移動経路を特定することを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載のプリント管理装置によれば、ユーザの目的地と、携帯端末の位置情報とに基づいてユーザの移動経路を特定することができる。
【0018】
請求項7に記載のプリント管理装置は、請求項1から4のいずれかに記載のプリント管理装置において、前記現在時刻を取得する現在時刻取得手段を備え、前記記憶手段は、前記ユーザのスケジュールを記憶し、前記端末特定手段は、前記ユーザのスケジュールと、前記取得された現在時刻とに基づいて前記ユーザの移動経路を特定し、当該特定したユーザの移動経路から所定の範囲内にあるプリント端末を前記適切なプリント端末として特定することを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載のプリント管理装置によれば、現在時刻とユーザのスケジュールとに基づいてユーザの移動経路を特定することができる。
【0020】
請求項8に記載のプリント管理方法は、ユーザが所有する携帯端末の位置情報を受信するステップと、前記受信した携帯端末の位置情報と、記憶手段に記憶された複数のプリント端末の位置情報とに基づいて、前記複数のプリント端末のなかから適切なプリント端末を特定するステップと、前記記憶手段に記憶されたプリント端末で印刷可能なファイルの条件を満たすように、前記記憶手段に記憶された印刷データのファイルの形式を改変するステップと、前記改変された印刷データを前記適切なプリント端末に送信するステップと、前記プリント端末の位置情報から前記適切なプリント端末の位置情報を抽出し、当該抽出された位置情報を前記携帯端末に通知するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載のプリント管理方法は、ユーザが所有する携帯端末の位置情報を受信するステップと、前記受信した携帯端末の位置情報と、記憶手段に記憶された複数のプリント端末の位置情報とに基づいて、前記複数のプリント端末のなかから適切なプリント端末を特定するステップと、前記記憶手段に記憶された印刷データを前記適切なプリント端末に送信するステップと、前記携帯端末の位置情報と前記プリント端末の位置情報とに基づいて、前記携帯端末が前記適切なプリント端末から所定の範囲内に入ったか否かを判断するステップと、前記携帯端末が前記適切なプリント端末から所定の範囲内に入ったと判断された場合にのみ前記適切なプリント端末での印刷が可能となるように制御するステップと、前記記憶手段に記憶されたプリント端末の位置情報から前記適切なプリント端末の位置情報を抽出し、当該抽出された位置情報を前記携帯端末に通知するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項10に記載のプログラムは、請求項8又は9に記載のプリント管理方法を演算装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、印刷データが印刷可能なファイルの条件を満足しない場合においても、ユーザにとって適切なプリント端末でのプリントをユーザに案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態のプリント管理システム1の概略図である。
【図2】携帯端末11の概略図である。
【図3】プリント管理サーバ12の概略図である。
【図4】プリント管理システム1の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】携帯端末11から送信される携帯端末11に関する情報の一例である。
【図6】データベース13に記憶されたユーザ情報の一例である。
【図7】端末特定部36がユーザの移動経路を特定する方法を説明する模式図である。
【図8】データベース13に記憶されたプリント端末の位置情報の一例である。
【図9】データベース13に記憶されたプリントシステム情報の一例である。
【図10】印刷制限が科されている場合の印刷リクエスト(ステップS21)の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係るプリント管理システム1の全体構造の概略図である。プリント管理システム1は、主として、携帯端末11と、プリント管理サーバ12と、データベース13と、A店プリントシステム14と、A店プリント端末14−1・・・と、B店プリントシステム15と、B店プリント端末15−1・・・と、ネットワーク16とで構成される。なお、図1においては、プリントシステムとしてA店プリントシステム14とB店プリントシステム15との2つのプリントシステムが記載されているが、プリントシステムの数は2つに限られない。また、図1においては、A店プリント端末としてA店プリント端末14−1が記載され、B店プリント端末としてB店プリント端末15−1が記載されているが、A店プリント端末、B店プリント端末の数は1個に限らず、2個以上あってもよい。
【0026】
携帯端末11は、プリント管理サーバ12とインターネット等のネットワークを介して接続され、図2に示すように、主として、中央演算装置21と、ネットワークI/F(インターフェース)22と、メモリ23と、操作制御部24と、操作ボタン25と、表示制御部26と、ディスプレイ27と、位置情報取得部28で構成される。
【0027】
中央演算装置21は、所定の制御プログラムに従って携帯端末11の全体を統括制御する。また、中央演算装置21は、中央演算装置21の演算作業用領域として利用するメモリ領域を有する。
【0028】
ネットワークI/F22は、プリント管理サーバ12へ携帯端末11に関する情報、印刷データ等を送信する。また、ネットワークI/F22は、プリント管理サーバ12から送信されたプリント端末の位置情報等を受信する。
【0029】
メモリ23は、制御プログラム及び制御に必要な各種データ等が格納されている。またメモリ23には、携帯端末11の端末ID、ユーザが設定したパスワード、ユーザに関する情報(目的地、経由地、交通手段等)等)、印刷データ等が記憶されている。
【0030】
操作制御部24は、テンキー等の各種操作ボタン25への入力が行われると、これを検出し、どのボタンへの入力が行われたかを判断し、判断結果を中央演算装置21へ出力する。
【0031】
表示制御部26は、プリント端末14−1、15−1等の位置情報等をディスプレイ27に表示する。
【0032】
ディスプレイ27は、例えばカラー表示が可能な液晶ディスプレイで構成されている。また、ディスプレイ27は、各種設定操作を行なう際のユーザインターフェース(GUI)表示パネルとして利用される。
【0033】
位置情報取得部28は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム:Global Positioning System)を用いて、複数のGPS衛星からの電波を受信して携帯端末11の位置情報を取得する。なお、位置情報取得部28では、GPSを用いて携帯端末11の位置情報を取得したが、位置情報を取得する方法はこれに限らず、携帯端末11と通信された基地局の位置から特定される範囲を位置情報として取得するようにしてもよい。
【0034】
プリント管理サーバ12は、図3に示すように、主として、中央演算装置31と、ネットワークI/F(インターフェース)32と、ストレージ制御部33と、ストレージ34と、ユーザ特定部35と、端末特定部36と、データ改変部37と、データ送信部38とで構成される。
【0035】
中央演算装置31は、所定の制御プログラムに従ってプリント管理サーバ12の全体を統括制御する。また、中央演算装置31は、中央演算装置31の演算作業用領域として利用するメモリ領域を有する。更に、中央演算装置31は、データベース13へのデータの入出力を制御する。
【0036】
ネットワークI/F32は、送信された携帯端末11の情報、印刷データ等を携帯端末11から受信する。また、ネットワークI/F32は、最適なプリント端末の情報等を携帯端末11に送信する。さらに、ネットワークI/F32は、A店プリントシステム14、B店プリントシステム15等に印刷データを送信する。
【0037】
ストレージ制御部33は、ストレージ34へのデータの入出力を制御する。
【0038】
ストレージ34は、例えばハードディスクドライブ(HDD)であり、携帯端末11から入力された印刷データ等を記憶する。
【0039】
ユーザ特定部35は、携帯端末11から送信され、ネットワークI/F32により受信された携帯端末11に関する情報と、データベース13に記憶されたユーザ情報とに基づいて、携帯端末11を所有するユーザを特定する。
【0040】
端末特定部36は、携帯端末11から送信され、ネットワークI/F32により受信された携帯端末11に関する情報と、データベース13に記憶されたプリント端末の位置情報とに基づいて、携帯端末11を所有するユーザにとって最適なプリント端末を特定する。
【0041】
データ改変部37は、データベース13に記憶されたプリントシステム情報を参照し、端末特定部36が特定したプリント端末で印刷可能なファイルサイズ、ファイル形式、用紙サイズとなるように印刷データを改変する。
【0042】
データ送信部38は、端末特定部36が特定したプリント端末のプリントシステムにデータ改変部37が改変した印刷データ等を送信する。
【0043】
データベース13は、プリント管理サーバ12と接続されており、ユーザ情報、プリント端末の位置情報、プリントシステム情報、地図情報等の各種情報が記憶される。データベース13に記録された各種情報については、後に詳述する。
【0044】
A店プリントシステム14は、A店プリント端末14−1等の全てのA店プリント端末が接続され、B店プリントシステム15は、B店プリント端末15−1等の全てのB店プリント端末が接続される。A店プリントシステム14、B店プリントシステム15は、所定の形式の印刷データを保存し、必要に応じてそれぞれA店プリント端末、B店プリント端末に印刷データをそれぞれ出力する。
【0045】
A店プリント端末14−1は、A店に設けられたプリント端末であり、B店プリント端末15−1は、B店に設けられたプリント端末である。
【0046】
このように構成されたプリント管理システム1の作用について説明する。図4は、プリント管理システム1の処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
ユーザが携帯端末11の操作ボタン25を操作することにより、携帯端末11は、プリント管理サーバ12へ印刷要求を送信する(ステップS10)。具体的には、操作制御部24は操作ボタン25が操作されたことを受け付け、操作制御部24はその結果を中央演算装置21に出力し、中央演算装置21は位置情報取得部28に指令を出し、位置情報取得部28は携帯端末11の位置情報を取得する。
【0048】
そして、中央演算装置21は、ネットワークI/F22を介して、位置情報取得部28が取得した位置情報と、メモリ23に記憶された各種情報(携帯端末11の端末ID、ユーザが設定したパスワード、ユーザに関する情報(目的地、経由地、交通手段等)等で構成される携帯端末11に関する情報(図5参照)と、印刷データとを印刷要求としてプリント管理サーバ12へ送信する。
【0049】
プリント管理サーバ12のネットワークI/F32は、ステップS10で携帯端末11から送信された情報を受信し、中央演算装置31へ出力する(ステップS11)。中央演算装置31はユーザ特定部35へ指示を出し、ユーザ特定部35は携帯端末11から受信した情報(例えば、図5参照)と、データベース13に記憶されたユーザ情報とに基づいて携帯端末11を所有するユーザを特定する(ステップS12)。
【0050】
図6は、ユーザ情報の一例である。ユーザ情報は、端末IDと、パスワードと、ユーザの情報(ユーザID、名前、ユーザのスケジュール等)と、契約プリント会社と、印刷制限距離と、印刷検索範囲とを関連付けて記憶したものである。携帯端末11から受信した情報(図5参照)には、端末IDが「1080021」とあるため、ユーザ特定部35は、その端末IDを図6の端末IDの欄と照らし合わせ、端末ID「1080021」を所有するユーザが「太郎」であると特定する。
【0051】
ユーザ特定部35は、ステップS12で特定したユーザが誰であるかを示す情報を中央演算装置31へ出力し、中央演算装置31は、ユーザが誰であるかを示す情報を端末特定部36へ出力するとともに、適切なプリント端末を特定するように端末特定部36へ指令を出す(ステップS13)。
【0052】
端末特定部36の処理について図7を用いて具体的に説明する。端末特定部36は、携帯端末11から受信した情報のうちの目的地、経由地、交通手段と、ユーザ情報のスケジュール等を参照(スケジュールを参照する場合には、あわせて現在時刻の情報も参照)し、ユーザの移動経路を特定する。
【0053】
プリント管理サーバ12は、携帯端末11から経由地が「朝霞台駅」であり、交通手段が「電車」であるという情報を受信している。ユーザ情報には、スケジュールとして「15時〜16時は六本木本社、17時からは朝霞事業所」という情報が記憶されている。本実施の形態ではスケジュールの情報を用いるため、端末特定部36はプリント管理サーバ12の内部時計(図示せず)等から現在時刻を取得する。現在時刻が16時半であることが取得されると、端末特定部36は、スケジュールを参照し、ユーザは六本木本社から朝霞事業所へ移動していると判断する。
【0054】
そして、端末特定部36は、データベース13に記憶された地図情報と、経由地「朝霞台駅」及び交通手段「電車」の情報とに基づいてユーザの移動経路(図7太線参照)を特定する。
【0055】
ユーザの移動経路を特定したら、端末特定部36は、データベース13から店舗情報を取得し、移動経路と店舗の位置との関係を把握する。店舗情報は、図8に示すように、店舗IDと、店舗の種類(A店、B店・・・等)、プリントシステム(A店プリントシステム14、B店プリントシステム15・・・等)、店舗名、店舗の位置情報とで構成される。そして、端末特定部36は、ユーザ情報(図6参照)を参照し、契約プリント会社及び店舗検索範囲を取得し、ユーザの移動経路から店舗検索範囲内に存在する契約プリント会社の店舗を検索する(ステップS14)。
【0056】
本実施の形態では、端末特定部36は、ユーザ「太郎」のユーザ情報(図6参照)を参照し、契約プリント会社がA店であること、及び店舗検索範囲が「30m」であることを取得する。そして、端末特定部36は、ユーザの移動経路から店舗検索範囲である30m以内に、契約プリント会社であるA店があるか否かを検索する。
【0057】
ユーザの移動経路から店舗検索範囲内に契約プリント会社の店舗がある場合(ステップS14でYES)には、その店舗にあるプリント端末をユーザに適切なプリント端末であると特定する。図7に示す例においては、端末特定部36は、ユーザの移動経路から30m以内にあるA店の店舗ID「0002」の朝霞○○店にあるプリント端末がユーザ「太郎」にとっての適切なプリント端末であると特定する。なお、ユーザの移動経路から店舗検索範囲内に契約プリント会社の店舗が複数ある場合には、移動経路から最も近い店舗を適切な店舗とする。
【0058】
ユーザの移動経路から店舗検索範囲内に契約プリント会社の店舗が無い場合(ステップS14でNO)には、端末特定部36は、店舗検索範囲を広げ(ステップS15)、再度契約プリント会社の店舗を検索し、最初に検索された店舗にあるプリント端末をユーザに適切なプリント端末であると特定する(ステップS14)。
【0059】
端末特定部36は、特定したプリント端末の情報を中央演算装置31に出力する。中央演算装置31は、特定したプリント端末の情報をネットワークI/F32を介して携帯端末11に送信する(ステップS16)。携帯端末11のネットワークI/F22は、プリント管理サーバ12から出力されたプリント端末の情報を受信して表示制御部26に出力し、表示制御部26はプリント端末の情報をディスプレイ27に表示する(ステップS17)。
【0060】
中央演算装置31は、データベース13に記憶されたプリントシステム情報を参照して、携帯端末11から送信された印刷データ(ステップS11で受信後、ストレージ34に記憶されている)がステップS14で特定されたプリント端末のプリントシステムに対応しているかどうか判断する。
【0061】
図9は、プリントシステム情報の一例である。プリントシステム情報は、1ファイル当たりの最大ファイルサイズ、印刷可能な用紙サイズ、印刷可能な時間帯、印刷可能なファイルフォーマット等のプリント可能なファイルの条件がプリントシステムと対応付けて記憶されたものである。中央演算装置31は、印刷データのファイルの条件がA店プリントシステム14のファイルの条件を満足するか否かを判断する。本実施の形態では、特定されたプリント端末のプリントシステムはA店プリントシステム14であるため、中央演算装置31は、ファイルサイズが3メガバイト以下であるか、用紙サイズの指定がA3又はA4であるか、ファイルフォーマットがpdfかdocのいずれかであるかを判断する。
【0062】
中央演算装置31は、ステップS13〜S15で特定されたプリント端末のプリントシステムに対応している場合には何も行わないが、ステップS13〜S15で特定されたプリント端末のプリントシステムに対応している場合には、データ改変部37に指令を出し、データ改変部37は、そのプリントシステムに対応するように印刷データを改変する(ステップS18)。
【0063】
中央演算装置31は、ユーザ情報(図6参照)を参照して印刷制限距離を取得し、印刷制限が科されているか否かを判断する(ステップS19)。本実施の形態では、ユーザ「太郎」のユーザ情報の印刷制限距離は「200m」であるため、中央演算装置31は200mで印刷制限が科されていると判断する。
【0064】
印刷制限が科されていない場合(ステップS19でNO)には、印刷データ又はステップS18で改変された印刷データと、印刷を依頼したユーザの情報とをステップS13〜S15で特定されたプリント端末のプリントシステムに即時に送信することにより、印刷リクエストを行う(ステップS20)。
【0065】
印刷制限が科されている場合(ステップS19でYES)には、中央演算装置31は、ステップS11で受信した携帯端末11の位置情報と、ステップS14で特定されたプリント端末との距離を測定し、距離が印刷制限距離以下となった場合には、印刷データ又はステップS18で改変された印刷データと、印刷を依頼したユーザの情報とをステップS13〜S15で特定されたプリント端末のプリントシステムに送信することにより、印刷リクエストを行う(ステップS21)。
【0066】
ステップS21の処理について、図10を用いて説明する。本実施の形態では、ステップS13〜S15において、店舗IDが「0002」のA店にあるプリント端末がユーザに適切なプリント端末として特定されている。ステップS11で受信した位置情報がC地点である場合には、C地点と店舗IDが「0002」のA店との距離が印刷制限距離である200m以上はなれているため、中央演算装置31は、印刷データ等の送信を行わない。ステップS11で受信した位置情報がD地点となった場合、すなわちユーザの現在位置と店舗IDが「0002」のA店との距離が印刷制限距離である200mとなった場合には、中央演算装置31は、印刷データ等の送信を行う。
【0067】
ステップS18において印刷データがプリントシステムに対応しない場合にはプリントシステムに対応するように改変されているため、ステップS20、S21においては、プリント管理サーバ12は、プリントシステムのAPIを用いて印刷リクエストを行うことができる。
【0068】
ステップS20、S21により印刷データ等がプリント管理サーバ12からA店プリントシステム14に送信されると、A店プリントシステム14はこれを受信し(ステップS23)、受信結果及び印刷を受け付けたことを示す情報をプリント管理サーバ12に送信する(ステップS23)。
【0069】
プリント管理サーバ12は、プリントシステムが印刷を受け付けたことを示す情報を携帯端末11に送信し(ステップS24)、携帯端末11はこれを受信する(ステップS25)。これにより、ユーザは、印刷リクエストが受け付けられたことを知ることができる。
【0070】
そして、ユーザがステップS13〜S15で特定されたプリント端末を操作し、パスワード等を入力すると、プリント端末はステップS22で受信されたユーザの情報と照らし合わせることによりプリント端末を操作しているのが印刷リクエストをしたユーザと同一であるかを確認し、同一であることが確認されると、プリント端末はプリントシステムから印刷データを取得し、印刷する(ステップS26)。
【0071】
本実施の形態によれば、ユーザの移動経路を特定し、移動経路に近い場所にあるプリント端末を適切なプリント端末とすることができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、プリント端末によって印刷可能なファイルの形式が異なる場合や、印刷データがプリント端末で印刷可能なファイルの条件を満足しない場合等においても、ユーザにとって適切なプリント端末でのプリントが可能となる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、携帯端末が適切なプリント端末から所定の距離の範囲内に入ったと判断された場合に印刷データを適切なプリント端末に送信するため、他人に印刷物を見られる、他人が印刷データを印刷する等という危険を減らすことができる。したがって、セキュアな印刷方法を提供することができる。
【0074】
現在普及しているプリント管理システムでは、8桁の数字で印刷を管理しており、印刷リクエスト後、ユーザはプリント管理システムから8桁の数字を受信し、店頭でその8桁の数字を打ち込む事で印刷を行う。しかしながら、そのような場合には、他者が適当に8桁の数字を打ち込んだ場合においても印刷が実行されてしまう恐れがある。
【0075】
それに対し、本実施の形態によれば、ユーザとプリント端末との距離によって印刷制限を行い、印刷申し込みと印刷までの時間を短くする事で、他人が印刷データを印刷するという危険を減らし、安全性の向上を図ることができる。
【0076】
なお、本実施の形態では、プリント管理サーバ12がA店プリントシステム14、B店プリントシステム15に接続され、A店プリントシステム14が複数のA店のプリント端末を一括管理し、B店プリントシステム15が複数のB店のプリント端末を一括管理しているが、プリント管理サーバ12がプリントシステムの役割も兼ね、プリント管理サーバ12が各プリント端末と直接接続されていてもよい。
【0077】
また、本実施の形態では、ステップS13において、スケジュールと現在時刻とに基づいて移動経路を特定したが、スケジュールは必須ではない。例えば目的地が分かれば、ステップS11で受信した位置情報と、目的地とに基づいて経路を特定すればよいし、目的地と経由地が分かれば、ステップS11で受信した位置情報と、経由地と、目的地とに基づいて経路を特定すればよい。
【0078】
また、本実施の形態では、ステップS18において、印刷データがプリントシステムに対応しない場合には、データベース13に記憶されたプリントシステム情報を参照して印刷データをプリントシステムに対応するように改変しているが、プリントシステム情報ではなく、ユーザ情報に予めプリントシステム情報と同等な情報を記録させておき、それに基づいて印刷データを改変するようにしてもよい。
【0079】
また、本実施の形態では、他人に印刷物を見られる、他人が印刷データを印刷する等という危険を減らすため、携帯端末が適切なプリント端末から所定の距離の範囲内に入ったと判断された場合に印刷データを適切なプリント端末に送信するようにしたが、他人が印刷データを印刷するという危険を減らす方法はこれに限らない。例えば、携帯端末が適切なプリント端末から所定の距離の範囲内に入った場合以外はプリントシステムからプリント端末への印刷データのダウンロードを不可能とするようにしてもよいし、携帯端末が適切なプリント端末から所定の距離の範囲内に入った場合以外はプリント端末での印刷を不可能とするようにしてもよい。
【0080】
また、本実施の形態では、携帯端末11から送信された印刷データを印刷したが、別の端末から予め印刷データを送信する等により、予めデータベース13やストレージ34に記憶された印刷データを印刷するようにしてもよい。
【0081】
本発明は、携帯端末11、プリント管理サーバ12等の装置を備えたプリント管理システムとして提供する場合に限らず、プリント管理サーバ12等の装置単独での提供も可能である。また、装置やシステムに限らず、装置やシステムに適用するプログラムとして提供することもできる。
【符号の説明】
【0082】
1:プリント管理システム、11:携帯端末、12:プリント管理サーバ、13:データベースバ、14:A店プリントシステム、15:B店プリントシステム、16:ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる場所に設置された複数のプリント端末の位置情報と、プリント端末で印刷可能なファイルの条件を示す情報と、印刷データとを記憶する記憶手段と、
ユーザが所有する携帯端末の位置情報を受信する受信手段と、
前記受信した携帯端末の位置情報と、前記記憶手段に記憶された複数のプリント端末の位置情報とに基づいて、前記複数のプリント端末のなかから適切なプリント端末を特定する端末特定手段と、
前記記憶手段に記憶されたファイルの条件を満たすように前記印刷データのファイルの形式を改変するデータ改変手段と、
前記データ改変手段により改変された印刷データを前記適切なプリント端末に送信する送信手段と、
前記記憶手段に記憶されたプリント端末の位置情報から前記適切なプリント端末の位置情報を抽出し、当該抽出された位置情報を前記携帯端末に通知する通知手段と、
を備えたことを特徴とするプリント管理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記プリント端末で印刷可能なファイルの条件を示す情報としてファイルサイズ、用紙サイズ、ファイル形式のうちの少なくとも1つを記憶することを特徴とする請求項1に記載のプリント管理装置。
【請求項3】
異なる場所に設置された複数のプリント端末の位置情報と、印刷データとが記憶された記憶手段と、
ユーザが所有する携帯端末の位置情報を受信する受信手段と、
前記受信した携帯端末の位置情報と、前記記憶手段に記憶された複数のプリント端末の位置情報とに基づいて、前記複数のプリント端末のなかから適切なプリント端末を特定する端末特定手段と、
前記記憶手段に記憶された印刷データを前記適切なプリント端末に送信する送信手段と、
前記携帯端末の位置情報と前記プリント端末の位置情報とに基づいて、前記携帯端末が前記適切なプリント端末から所定の範囲内に入ったか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記携帯端末が前記適切なプリント端末から所定の範囲内に入ったと判断された場合にのみ前記適切なプリント端末での印刷が可能となるように制御する制御手段と、
前記記憶手段に記憶されたプリント端末の位置情報から前記適切なプリント端末の位置情報を抽出し、当該抽出された位置情報を前記携帯端末に通知する通知手段と、
を備えたことを特徴とするプリント管理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記判断手段により前記携帯端末が前記適切なプリント端末から所定の距離の範囲内に入ったと判断された場合に前記印刷データを前記適切なプリント端末に送信するように前記送信手段を制御することを特徴とする請求項3に記載のプリント管理装置。
【請求項5】
前記受信手段は、前記携帯端末を所有するユーザの移動経路に関する情報を受信し、
前記端末特定手段は、前記受信した移動経路に関する情報に基づいて前記ユーザの移動経路を特定し、当該特定したユーザの移動経路から所定の範囲内にあるプリント端末を前記適切なプリント端末として特定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプリント管理装置。
【請求項6】
前記受信手段は、前記ユーザの目的地を取得し、
前記端末特定手段は、前記受信した目的地と、前記携帯端末の位置情報とに基づいて前記ユーザの移動経路を特定することを特徴とする請求項5に記載のプリント管理装置。
【請求項7】
前記現在時刻を取得する現在時刻取得手段を備え、
前記記憶手段は、前記ユーザのスケジュールを記憶し、
前記端末特定手段は、前記ユーザのスケジュールと、前記取得された現在時刻とに基づいて前記ユーザの移動経路を特定し、当該特定したユーザの移動経路から所定の範囲内にあるプリント端末を前記適切なプリント端末として特定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプリント管理装置。
【請求項8】
ユーザが所有する携帯端末の位置情報を受信するステップと、
前記受信した携帯端末の位置情報と、記憶手段に記憶された複数のプリント端末の位置情報とに基づいて、前記複数のプリント端末のなかから適切なプリント端末を特定するステップと、
前記記憶手段に記憶されたプリント端末で印刷可能なファイルの条件を満たすように、前記記憶手段に記憶された印刷データのファイルの形式を改変するステップと、
前記改変された印刷データを前記適切なプリント端末に送信するステップと、
前記プリント端末の位置情報から前記適切なプリント端末の位置情報を抽出し、当該抽出された位置情報を前記携帯端末に通知するステップと、
を備えたことを特徴とするプリント管理方法。
【請求項9】
ユーザが所有する携帯端末の位置情報を受信するステップと、
前記受信した携帯端末の位置情報と、記憶手段に記憶された複数のプリント端末の位置情報とに基づいて、前記複数のプリント端末のなかから適切なプリント端末を特定するステップと、
前記記憶手段に記憶された印刷データを前記適切なプリント端末に送信するステップと、
前記携帯端末の位置情報と前記プリント端末の位置情報とに基づいて、前記携帯端末が前記適切なプリント端末から所定の範囲内に入ったか否かを判断するステップと、
前記携帯端末が前記適切なプリント端末から所定の範囲内に入ったと判断された場合にのみ前記適切なプリント端末での印刷が可能となるように制御するステップと、
前記記憶手段に記憶されたプリント端末の位置情報から前記適切なプリント端末の位置情報を抽出し、当該抽出された位置情報を前記携帯端末に通知するステップと、
を備えたことを特徴とするプリント管理方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のプリント管理方法を演算装置に実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−218234(P2010−218234A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64507(P2009−64507)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】