説明

プリント配線原板のせん断加工方法

【課題】効率よくせん断加工でき、しかも金型への負荷を効果的に分散できるプリント配線原板のせん断加工方法を提供する。
【解決手段】プリント配線原板1を、第1のプリント回路板3のための回路パターンが印刷された第1の実装用基板部分5と、第2のプリント回路板7のための回路パターンが印刷された第2の実装用基板部分9と、を有するように構成する。第1の実装用基板部分5と第2の実装用基板部分9とを点対称に形成しておく。プリント配線原板1を金型11内に搬送し、第1のせん断を行う。第1のせん断作業が完了したら、プリント配線原板1を板表面に沿って180度回転させ、再び金型11内に搬送し、第2のせん断を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路板の製造方法に関し、より具体的には、複数のプリント回路板の回路パターンが印刷されたプリント配線原板に、プリント回路板部分に対する切断用スリットを形成し、実装用基板を切り出すプリント配線原板のせん断加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に使用されるプリント回路板は、絶縁材料で形成された基板に回路パターンを印刷し、電子部品を実装することにより製造される。例えば、プリント回路板が、小型の電子機器に使用される小片状のものである場合には、基板に複数の又は多数のプリント回路板の回路パターンを印刷してプリント配線原板を形成し、せん断用の金型を用いて、それぞれのプリント回路板部分に対する切断用スリットをプリント配線原板に形成するとともに、電子部品の実装機で処理するための実装用基板をプリント配線原板から切り出す。そして、切り出された実装用基板を実装機で処理して、必要な電子部品を実装用基板に実装する。実装機による実装用基板への電子部品の実装作業が終了したら、実装用基板から電子部品が実装されたプリント回路板を切り離し、製品としてのプリント回路板を製造する。
【0003】
ところで、プリント配線原板にプリント回路板部分に対する所定の切断用スリットを形成する場合に、切断用スリット全部を一度にせん断形成しようとすると、形成すべき切断用スリットが密集している場合には、せん断時に金型に大きな局部的負荷が生じるので、金型がこのような局部的負荷に耐えられないおそれがある。そこで、例えば特許文献1に記載されているように、切断用スリットを2回に分けて形成するせん断方法が採用されている。
【0004】
特許文献1に記載されたプリント配線原板のせん断方法と同一の原理に基づくせん断方法を図13及び図14を用いて概念的に説明すると、図13に示されているように、プリント配線原板Aには、搬送方向(矢印参照)に並んで複数(図では2つ)の同一形状(同一外形)の実装用基板部分B、Cが設定され(実装用基板部分B、Cはそれぞれ、点線の内側の部分)、この実装用基板部分B、Cのそれぞれには、同一形状のプリント回路板部分D、Eが設定されていて(プリント回路板部分D、Eはそれぞれ、点線の内側の部分)、プリント回路板部分D、Eには回路パターン(図示せず)が形成されている。このようなプリント配線原板Aはまず、第1の金型Fに搬送される(図13a)。そして、金型Fのスリット形成手段Gによって実装用基板部分Bにプリント回路板部分Dに対する切断用スリットHが形成され(図13b)、続いて、金型Fのスリット形成手段Gによって実装用基板部分Cにプリント回路板部分Eに対する切断用スリットIが形成される(図13c)。切断用スリットHと切断用スリットIは、プリント回路板部分D、Eに関して同一位置に形成されている。
【0005】
次に、プリント配線原板Aは第2の金型Jに搬送される(矢印参照、図14a)。そして、金型Jのスリット形成手段Kによって実装用基板部分Bにプリント回路板部分Dに対する切断用スリットLが形成され(図14b)、続いて、金型Jのスリット形成手段Kによって実装用基板部分Cにプリント回路板部分Eに対する切断用スリットMが形成される(図14c)。切断用スリットLと切断用スリットMは、プリント回路板部分D、Eに関して同一位置に形成されている。また、切断用スリットHと切断用スリットLは、プリント回路板部分Dに関して異なる位置に形成され、かつ、互いに連なり連続した切断用スリットを構成し、切断用スリットIと切断用スリットMも、プリント回路板部分Eに関して異なる位置に形成され、かつ、互いに連なり連続した切断用スリットを構成している。なお、金型Jには穿孔手段Nが設けられていて、プリント回路板部分Dに対する切断用スリットLを形成するときに同時に、この穿孔手段Nによって実装用基板Bを切り出し、プリント回路板部分Eに対する切断用スリットMを形成するときに同時に、穿孔手段Nによって実装用基板Cを切り出すように構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−313628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなプリント配線原板のせん断加工方法では、加工工程が多くなってしまうし、実装用基板を切り出すときに金型に大きな局部的負荷が生じるおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、効率よくせん断加工でき、しかも金型への負荷を効果的に分散できるプリント配線原板のせん断加工方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するための本発明のプリント配線原板のせん断加工方法は、プリント配線原板を金型内に搬送してせん断加工を行うプリント配線原板のせん断加工方法であって、第1のプリント回路板のための回路パターンが印刷された第1の実装用基板部分と、第2のプリント回路板のための回路パターンが印刷された第2の実装用基板部分と、を有するプリント配線原板を準備する工程と、第1の金型領域及び第2の金型領域が構成されている金型内に前記プリント配線原板を搬送し、前記第1の金型領域に設けられた第1のせん断手段によって前記第1の実装用基板部分についてせん断を行うとともに、同時に、前記第2の金型領域に設けられた第2のせん断手段によって前記第2の実装用基板部分についてせん断を行う工程と、を備え、前記第1のせん断手段は、第1のプリント回路板部分に対する切断用スリットをせん断形成する第1のスリット形成手段及び前記第1の実装用基板部分に対する切断孔をせん断形成する第1の穿孔手段を有し、前記第2のせん断手段は、第2のプリント回路板部分に対する切断用スリットをせん断形成する第2のスリット形成手段及び前記第2の実装用基板部分に対する切断孔をせん断形成する第2の穿孔手段を有し、前記第1の実装用基板部分と前記第2の実装用基板部分とは点対称又は線対称に形成又は設定され、前記第1のスリット形成手段によりせん断形成される前記切断用スリット及び前記第1の穿孔手段によりせん断形成される前記切断孔の前記第1の実装用基板部分に関する位置は、前記第2のスリット形成手段によりせん断形成される前記切断用スリット及び前記第2の穿孔手段によりせん断形成される前記切断孔の前記第2の実装用基板部分に関する位置と異なるように構成されていて、前記プリント配線原板のせん断加工方法はさらに、前記第1のせん断手段によって前記第1の実装用基板部分について前記切断用スリット及び前記切断孔をせん断形成するとともに、前記第2のせん断手段によって前記第2の実装用基板部分について前記切断用スリット及び前記切断孔をせん断形成してから、前記プリント配線原板を180度回転させ又は裏返し、前記金型内に前記プリント配線原板を再び搬送し、前記第1のせん断手段の前記第1のスリット形成手段及び前記第1の穿孔手段によって前記第2の実装用基板部分について切断用スリット及び切断孔をせん断形成するとともに、同時に、前記第2のせん断手段の前記第2のスリット形成手段及び前記第2の穿孔手段によって前記第1の実装用基板部分について切断用スリット及び切断孔をせん断形成するものである。本発明では、第1の実装用基板部分(平面的形状として捉えた場合の第1の実装用基板部分)と第2の実装用基板部分(平面的形状として捉えた場合の第2の実装用基板部分)とは点対称又は線対称に形成又は設定されている。すなわち、第1のプリント配線板部分を含んだ第1の実装用基板部分を中心点(例えば、プリント配線原板の幅方向中心を通過する線(長さ方向線)上の点、第1の実装用基板部分の中心を通るプリント配線原板の幅方向に延びる線(幅方向線)上の点、あるいは長さ方向線と幅方向線との交点)について点対称移動させたものとして第2のプリント配線板部分を含んだ第2の実装用基板部分が形成又は設定される。あるいは、第1のプリント配線板部分を含んだ第1の実装用基板部分を中心線又は対称軸(例えば、プリント配線原板の幅方向中心を通過する線、あるいはプリント配線原板の幅方向に延びる線)について線対称移動させたものとして第2のプリント配線板部分を含んだ第2の実装用基板部分が形成又は設定される。第1の実装用基板部分と第2の実装用基板部分とが点対称に形成されているときには、プリント配線原板を180度回転させて再び金型内に搬送すると、第1の金型領域に対する第1の実装用基板部分の位置関係と同一の位置関係で第1の金型領域に対して第2の実装用基板部分が配置され、かつ、第2の金型領域に対する第2の実装用基板部分の位置関係と同一の位置関係で第2の金型領域に対して第2の実装用基板部分が配置される。また、第1の実装用基板部分と第2の実装用基板部分とが線対称に形成されているときには、プリント配線原板を裏返し(例えば対称軸を中心としての裏返し又は反転)にして再び金型内に搬送すると、第1の金型領域に対する第1の実装用基板部分の位置関係と同一の位置関係で第1の金型領域に対して第2の実装用基板部分が配置され、かつ、第2の金型領域に対する第2の実装用基板部分の位置関係と同一の位置関係で第2の金型領域に対して第2の実装用基板部分が配置される。そして、第1の金型領域に対して配置された第2の実装用基板部分に、第1のスリット形成手段により切断用スリットを、第1の穿孔手段により切断孔をせん断形成するが、ここで形成される切断用スリット及び切断孔の位置は、第2の金型領域で第2の実装用基板部分に形成された切断用スリット及び切断孔とは位置が異なっている。同様に、第2の金型領域に対して配置された第1の実装用基板部分に、第2のスリット形成手段により切断用スリットを、第2の穿孔手段により切断孔をせん断形成するが、ここで形成される切断用スリット及び切断孔の位置は、第1の金型領域で第1の実装用基板部分に形成された切断用スリット及び切断孔とは位置が異なっている。すなわち、第1及び第2の実装用基板部分について最終的に形成されるべき切断用スリット(切り離し部分)及び切断孔(分離部分)を2回に分けて形成する。1回目(第1のせん断)で、切り離し部分及び分離部分の一部分を形成し、2回目(第2のせん断)で切り離し部分及び分離部分残りの一部分を形成する。ここでは、例えば、第1のスリット形成手段により第1の実装用基板部分に形成される切断用スリットと、第2のスリット形成手段により第1の実装用基板部分に形成される切断用スリットとが一部重複するように構成されることもある。
【0010】
第1の実装用基板部分に、複数の第1のプリント回路板のための回路パターンを印刷し、第2の実装用基板部分にも、複数の第2のプリント回路板のための回路パターンを印刷することができる。すなわち、第1の実装用基板部分及び第2の実装用基板部分に複数の第1のプリント回路板部分及び複数の第2のプリント回路板部分を形成又は設定できる。
【0011】
また、第1の実装用基板部分と第2の実装用基板部分とを、プリント配線原板の搬送方向と直交する方向に並んで設けると、プリント配線原板のせん断加工作業をより効率的に実行できる。
【0012】
次に、本発明のプリント配線原板のせん断加工方法を図1乃至図6を用いてより詳細に説明すると、図1に示すように、プリント配線原板1は、第1のプリント回路板3(点線の内側の部分)のための回路パターン(図示せず)が印刷された第1の実装用基板部分5(点線の内側の部分)と、第2のプリント回路板7(点線の内側の部分)のための回路パターン(図示せず)が印刷された第2の実装用基板部分9(点線の内側の部分)と、を有し、第1の実装用基板部分5と第2の実装用基板部分9とは搬送方向(矢印X方向)と直交する方向に並んで形成されている。なお、プリント配線原板1には、このような第1の実装用基板部分5及び第2の実装用基板部分9の組が、搬送方向に4組乃至6組程度形成される。また、金型11は、可動(可動部分12を有する)上型13と固定下型15とを有し、この上型13及び下型15の間に、第1の金型領域17及び第2の金型領域19を構成している。第1の金型領域17と第2の金型領域19とは、プリント配線原板1の搬送方向(矢印X方向)と直交する方向に並んで構成されている。そして、プリント配線原板1を金型11内に搬送し、第1の金型領域17に配置された第1のスリット形成手段(上型13のポンチ21と下型15のスリット23)によって第1の実装用基板部分5の第1のプリント回路板部分3に対する切断用スリット25(第1のプリント回路板部分3の外周に沿った部分的なあるいは非連続な切断用スリット)を打ち抜き形成し、かつ、第2の金型領域19に設けられた第2のスリット形成手段(上型13のポンチ27と下型15のスリット29)によって第2の実装用基板部分9の第2のプリント回路板部分7に対する切断スリット31(第2のプリント回路板部分7の外周に沿った部分的なあるいは非連続な切断用スリット)を打ち抜き形成する(図2参照:第1のせん断)。また、第1の金型領域17は第1の穿孔手段(上型13のポンチ33、35、37と下型15のスリット39、41、43)を有し、この第1の穿孔手段によって第1の実装用基板部分5に対する切断孔45、47、49(第1の実装用基板部分5の外周に沿った部分的なあるいは非連続な切断孔)を打ち抜き形成し、かつ、第2の金型領域19は第2の穿孔手段(上型13のポンチ51、53、37と下型15のスリット55、57、43)を有し、この第2の穿孔手段によって第2の実装用基板部分9の切断孔59、61、49(第2の実装用基板部分9の外周に沿った部分的なあるいは非連続な切断孔)を打ち抜き形成する。第1のプリント回路板部分3を含んだ第1の実装用基板部分5と、第2のプリント回路板部分7を含んだ第2の実装用基板部分9とは、点O(プリント配線原板1の幅方向の中心を通過する線と、第1の実装用基板部分5の中心を通ってプリント配線原板1の幅方向に延びる線との交点)を中心として点対称に形成又は設定されている。すなわち、第1のプリント回路板部分3と第2のプリント回路板部分7とは、点Oを中心として点対称に設定され、第1の実装用基板部分5の外形(正方形状)と第2の実装用基板部分9の外形(正方形状)も、点Oを中心として点対称に形成されている。また、第1のスリット形成手段によって形成される切断用スリット25と、第2のスリット形成手段によって形成される切断用スリット31とは、プリント回路板部分3、7に対する位置が異なるように構成され、かつ、第1の穿孔手段によって形成される切断孔45、47、49と、第2の穿孔手段によって形成される切断孔59、61、49も、実装用基板部分5、9に対する位置が異なるように構成されている。なお、第1のプリント回路板部分3に対する切断用スリット25、第2のプリント回路板部分7に対する切断スリット31、第1の実装用基板部分5に対する切断孔45、47、49及び第2の実装用基板部分9に対する切断孔59、61、49の打ち抜き形成(第1のせん断)は、第1の実装用基板部分5及び第2の実装用基板部分9のそれぞれの組について順次行われる。
【0013】
第1のスリット形成手段及び第1の穿孔手段は第1のせん断手段を構成し、第2のスリット形成手段及び第2の穿孔手段は第2のせん断手段を構成する。
【0014】
第1のせん断作業が完了したら、プリント配線原板1を板表面に沿って180度回転させ、再び金型11内に搬送する(図3参照)。ここでは、第1のせん断時に搬送方向後端となっていたプリント配線原板1の端が搬送方向先端となっている。そして、第1の金型領域17に配置された第1のスリット形成手段によって第2の実装用基板部分9の第2のプリント回路板部分7に対する切断用スリット25を形成し、かつ、第2の金型領域19に配置された第2のスリット形成手段によって第1の実装用基板部分5の第1のプリント回路板部分3に対する切断用スリット31を形成する。また、第1の金型領域17の第1の穿孔手段によって第2の実装用基板部分9に対する切断孔45、47、49を形成し、かつ、第2の金型領域19の第2の穿孔手段によって第1の実装用基板部分5に対する切断孔59、61、49を形成する(図4参照:第2のせん断)。第1のプリント回路板部分3及び第2のプリント回路板部分7の外周にはそれぞれ、切断用スリット25及び切断用スリット31が形成されるが、切断用スリット25と切断用スリット31は互いに連なり、連続した切断用スリットを第1のプリント回路板部分3及び第2のプリント回路板部分7の外周に形成する。その結果、第1のプリント回路板3及び第2のプリント回路板7は、短い連結部63、65のみを介して第1の実装用基板部分5及び第2の実装用基板部分9に接続されることとなる。また、第1の実装用基板部分5及び第2の実装用基板部分9の外周にはそれぞれ、切断孔45、47、49、59、61が形成されるが、切断孔45、47、49、59、61は連続した切断孔を形成して第1の実装用基板部分5及び第2の実装用基板部分9をプリント配線原板1から切り離す。その結果、図5に示すように、一組の第1の実装用基板部分5及び第2の実装用基板部分9から、2枚の同一の実装用基板5、9が切り出される。
【0015】
なお、図6に示すように、プリント配線原板1を、第1のプリント回路板69(点線の内側の部分)のための回路パターン(図示せず)が印刷された第1の実装用基板部分71(点線の内側の部分)と、第2のプリント回路板73(点線の内側の部分)のための回路パターン(図示せず)が印刷された第2の実装用基板部分75(点線の内側の部分)とを、搬送方向(矢印X方向)と直交する方向に並べて、しかも、線CLを中心又は軸として線対称に形成することにより構成し、また、金型11の第1の金型領域17が、プリント配線原板1の第1の実装用基板部分71の搬送方向前側を打ち抜くように配置された第1のスリット形成手段77及び第1の穿孔手段79を有し、かつ、金型11の第2の金型領域19が、プリント配線原板1の第2の実装用基板部分75の搬送方向後側を打ち抜くように配置された第2のスリット形成手段81及び第2の穿孔手段83を有するように構成する場合には(第1のスリット形成手段77、第1の穿孔手段79、第2のスリット形成手段81及び第2の穿孔手段83はそれぞれ、上型13のポンチ及び下型15のスリットから構成される)、第1のせん断作業が終了した後に、プリント配線原板1を裏返し(幅方向一端と幅方向他端との位置が逆になるように裏返す)、金型11内に再び搬送して(矢印X参照)第2のせん断を行う。ここでも、プリント配線原板1には、このような第1の実装用基板部分71及び第2の実装用基板部分75の組が、搬送方向に4組乃至6組程度形成される。
【0016】
また、第1の実装用基板部分5及び第2の実装用基板部分9を長さ方向(搬送方向)に並べてプリント配線原板1´を構成する場合には、プリント配線原板1´を矢印Y方向に搬送し、金型11内に送り込んで第1のせん断を行ってから(第1の実装用基板部分5及び第2の実装用基板部分9の組は長さ方向に複数組設けられ、第1のせん断はそれぞれの組に対して順次行われる)、プリント配線原板1´を板表面に沿って180度回転させ、再び矢印Y方向に搬送して第2のせん断を行う(図1参照、第2のせん断はそれぞれの組に対して順次行われる)。そして、第1の実装用基板部分71及び第2の実装用基板部分75を長さ方向に並べてプリント配線原板1´を構成する場合には、プリント配線原板1´を矢印Y方向に搬送し、金型11内に送り込んで第1のせん断を行ってから(第1の実装用基板部分71及び第2の実装用基板部分75の組は長さ方向に複数組設けられ、第1のせん断はそれぞれの組に対して順次行われる)、プリント配線原板1´を裏返し(搬送方向先端と搬送方向後端との位置が逆になるように裏返す)、再び矢印Y方向に搬送して第2のせん断を行う(図6参照、第2のせん断はそれぞれの組に対して順次行われる)。
【発明の効果】
【0017】
本発明のプリント配線原板のせん断加工方法を用いれば、金型に無理な負荷が加わるのを避けながら少ない工数でプリント配線原板についてのせん断を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を図面の参照により説明する。
【0019】
図7は本発明のプリント配線原板のせん断加工方法に用いるプリント配線原板の平面図、図8はプリント配線原板に第1のせん断を行った場合を示す平面図、図9はプリント配線原板に第2のせん断を行った場合を示す平面図である。
【0020】
プリント配線原板85は、第1の実装用基板部分87と第2の実装用基板部分89とを、金型(図1の金型11を用いることができる)への搬送方向(矢印X方向)と直交する方向に並べて形成することにより構成されている。外形が長方形状の第1の実装用基板部分87内には、多数の形状が異なる第1のプリント回路板91の回路パターン(図示せず)が形成され、やはり外形が長方形状の第2の実装用基板部分89内には、第1のプリント回路板91全体と点対称となる多数の形状が異なる第2のプリント回路板93のための回路パターン(図示せず)が形成されていて、第1のプリント回路板部分91を含んだ第1の実装用基板部分87と、第2のプリント回路板部分93を含んだ第2の実装用基板部分89とは、平面的形状として捉えた場合に、点O(プリント配線原板85の幅方向の中心を通過する線と、第1の実装用基板部分87の中心を通ってプリント配線原板85の幅方向に延びる線との交点)を中心として全体的に点対称に形成されている。なお、第1の実装用基板部分87及び第2の実装用基板部分89の組は、搬送方向に4組乃至6組程度形成される。
【0021】
プリント配線原板85は矢印X方向に搬送され、金型11によって第1のせん断が行われる(第1のせん断は第1の実装用基板部分87及び第2の実装用基板部分89の組それぞれに順次行われる)。第1のせん断により、第1のプリント回路板部分91の外周には、第1の切断用スリット95が間欠的に形成され、第2のプリント回路板部分93には、第2の切断用スリット97が間欠的に形成される。また、第1のせん断により、第1の実装用基板部分87の外周に第1の切断孔99が間欠的に形成され、第2の実装用基板部分89の外周に第2の切断孔101が間欠的に形成される。ここで用いられる金型11では、切断用スリット95を形成するように第1の金型領域17の第1のスリット形成手段が構成され 切断用スリット97を形成するように第2の金型領域19の第2のスリット形成手段が構成され、切断孔99を形成するように、第1の金型領域17の第1の穿孔手段が構成され、切断孔101を形成するように第2の金型領域19の第2の穿孔手段が構成されている。
【0022】
次に、プリント配線原板85は板表面に沿って180度回転させられ、矢印X方向に搬送されて、金型11により第2のせん断が行われる(第2のせん断は第1の実装用基板部分87及び第2の実装用基板部分89の組それぞれに順次行われる)。第2のせん断により、第1のプリント回路板部分91の外周には、第2の切断用スリット97が間欠的に形成され、第1の切断用スリット95と連なって、長い切断用スリットを形成する。また、第2のプリント回路板部分93の外周には、第1の切断用スリット95が間欠的に形成され、第2の切断用スリット97と連なって、長い切断用スリットを形成する。そして、第2のせん断により、第1の実装用基板部分87の外周に第2の切断孔101が間欠的に形成され、この第2の切断孔101が第1の切断孔99と連なり、第1の実装用基板部分87を分離させる。さらに、第2の実装用基板部分89の外周に第1の切断孔99が間欠的に形成され、この第1の切断孔99が第2の切断孔101と連なり、第2の実装用基板部分89を分離させる。このようにして、実装機で処理される実装用基板87、89を得ることができる。ここでは、第1のプリント回路板91、第2のプリント回路板93が複数個所で第1の実装用基板87、第2の実装用基板89に連結されている。
【0023】
図10は本発明のプリント配線原板のせん断加工方法に用いる別のプリント配線原板の平面図、図11は別のプリント配線原板に第1のせん断を行った場合を示す平面図、図12は別のプリント配線原板に第2のせん断を行った場合を示す平面図である。
【0024】
別のプリント配線原板103は、第1の実装用基板部分105と第2の実装用基板部分107とを、金型(図1の金型11を用いることができる)への搬送方向(矢印X方向)と直交する方向に並べて形成し、かつ、第1の実装用基板部分105及び第2の実装用基板部分107の組を長さ方向(搬送方向)に5組設けることにより構成されている。外形が長方形状の第1の実装用基板部分105内には、複数の第1のプリント回路板部分109の回路パターン(図示せず)が形成され、やはり外形が長方形状の第2の実装用基板部分107内には、第1のプリント回路板部分109全体と点対称となる複数の第2のプリント回路板部分111のための回路パターン(図示せず)が形成されている。すなわち、第1のプリント回路板部分109を含んだ第1の実装用基板部分105と、第2のプリント回路板部分111を含んだ第2の実装用基板部分107とは、平面形状として捉えた場合に、全体的に点対称(プリント配線原板103の幅方向の中心を通過する線と、第1の実装用基板部分105の中心を通ってプリント配線原板103の幅方向に延びる線との交点Oを中心点とする)に形成されている。
【0025】
プリント配線原板103は矢印X方向に搬送され、金型11によって第1のせん断が行われる。第1のせん断により、第1のプリント回路板部分109の外周には、第1の切断用スリット113が間欠的に形成され、第2のプリント回路板部分111の外周には、第2の切断用スリット115が間欠的に形成される。また、第1のせん断により、第1の実装用基板部分105の外周に第1の切断孔117が間欠的に形成され、第2の実装用基板部分107の外周に第2の切断孔119が間欠的に形成される。ここで用いられる金型11では、切断用スリット113を形成するように第1の金型領域17の第1のスリット形成手段が構成され 切断用スリット115を形成するように第2の金型領域19の第2のスリット形成手段が構成され、切断孔117を形成するように、第1の金型領域17の第1の穿孔手段が構成され、切断孔119を形成するように第2の金型領域19の第2の穿孔手段が構成されている。
【0026】
次に、プリント配線原板103は板表面に沿って180度回転させられ、矢印X方向に搬送されて、金型11により第2のせん断が行われる。第2のせん断により、第1のプリント回路板部分109の外周には、第2の切断用スリット115が間欠的に形成され、第1の切断用スリット113と連なって、長い切断用スリットを形成する。また、第2のプリント回路板部分111の外周には、第1の切断用スリット113が間欠的に形成され、第2の切断用スリット115と連なって、長い切断用スリットを形成する。そして、第2のせん断により、第1の実装用基板部分105の外周に第2の切断孔119が間欠的に形成され、この第2の切断孔119が第1の切断孔117と連なり、第1の実装用基板部分105を分離させる。さらに、第2の実装用基板部分107の外周に第1の切断孔117が間欠的に形成され、この第1の切断孔117が第2の切断孔119と連なり、第2の実装用基板部分107を分離させる。このようにして、実装機で処理される実装用基板105、107を得ることができる。ここでは、第1のプリント回路板109、第2のプリント回路板111が1個所で第1の実装用基板105、第2の107に連結されている。
【0027】
なお、第1の実装用基板部分及び第2の実装用基板部分の外形が長方形状である場合には、第1の実装用基板部分及び第2の実装用基板部分を縦長(搬送方向に長い状態)で横並び(搬送方向と直交する方向に並んでいる状態)に配置しておき、プリント配線原板を180度回転又は裏返しする態様、縦長で縦並び(搬送方向に並んでいる状態)に配置しておき、180度回転又は裏返しする態様、第1の実装用基板部分及び第2の実装用基板部分を横長(搬送方向と直交する方向に長い状態)で横並びに配置しておき、プリント配線原板を180度回転又は裏返しする態様又は横長で縦並びに配置しておき、180度回転又は裏返しする態様を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上説明したように、本発明のプリント配線原板のせん断加工方法は、携帯電話機などに用いる小型のプリント回路板を製造する場合に効果的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のプリント配線原板のせん断加工方法を説明するための斜視図である。
【図2】プリント配線原板に第1のせん断を行った場合を示す図である。
【図3】プリント配線原板を180度回転させて搬送する場合を示す図である。
【図4】プリント配線原板に第2のせん断を行った場合を示す図である。
【図5】得られたプリント配線板を示す図である。
【図6】本発明のプリント配線原板の別のせん断加工方法を説明するための斜視図である。
【図7】本発明のプリント配線原板のせん断加工方法に用いる具体的なプリント配線原板の平面図である。
【図8】具体的なプリント配線原板に第1のせん断を行った場合を示す平面図である。
【図9】具体的なプリント配線原板に第2のせん断を行った場合を示す平面図である。
【図10】本発明のプリント配線原板のせん断加工方法に用いる別の具体的なプリント配線原板の平面図である。
【図11】別の具体的なプリント配線原板に第1のせん断を行った場合を示す平面図である。
【図12】別の具体的なプリント配線原板に第2のせん断を行った場合を示す平面図である。
【図13】従来のプリント配線原板のせん断加工方法の前半を説明するための図である。
【図14】従来のプリント配線原板のせん断加工方法の後半を説明するための図である。
【符号の説明】
【0030】
1、1´、85、103 プリント配線原板
3、69、91、109 第1のプリント回路板部分
5、71、87、105 第1の実装用基板部分
7、73、93、111 第2のプリント回路板部分
9、75、89、107 第2の実装用基板部分
11 金型
17 第1の金型領域
19 第2の金型領域
21 ポンチ(第1のスリット形成手段)
23 スリット(第1のスリット形成手段)
27 ポンチ(第2のスリット形成手段)
29 スリット(第2のスリット形成手段)
33、35、37 ポンチ(第1の穿孔手段)
37、51、53 ポンチ(第2の穿孔手段)
39、41、43 スリット(第1の穿孔手段)
43、55、57 スリット(第2の穿孔手段)
77 第1のスリット形成手段
79 第1の穿孔手段
81 第2のスリット形成手段
83 第2の穿孔手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線原板を金型内に搬送してせん断加工を行うプリント配線原板のせん断加工方法であって、
第1のプリント回路板のための回路パターンが印刷された第1の実装用基板部分と、第2のプリント回路板のための回路パターンが印刷された第2の実装用基板部分と、を有するプリント配線原板を準備する工程と、
第1の金型領域及び第2の金型領域が構成されている金型内に前記プリント配線原板を搬送し、前記第1の金型領域に設けられた第1のせん断手段によって前記第1の実装用基板部分についてせん断を行うとともに、同時に、前記第2の金型領域に設けられた第2のせん断手段によって前記第2の実装用基板部分についてせん断を行う工程と、を備え、
前記第1のせん断手段は、第1のプリント回路板部分に対する切断用スリットをせん断形成する第1のスリット形成手段及び前記第1の実装用基板部分に対する切断孔をせん断形成する第1の穿孔手段を有し、前記第2のせん断手段は、第2のプリント回路板部分に対する切断用スリットをせん断形成する第2のスリット形成手段及び前記第2の実装用基板部分に対する切断孔をせん断形成する第2の穿孔手段を有し、
前記第1の実装用基板部分と前記第2の実装用基板部分とは点対称又は線対称に設定され、
前記第1のスリット形成手段によりせん断形成される前記切断用スリット及び前記第1の穿孔手段によりせん断形成される前記切断孔の前記第1の実装用基板部分に関する位置は、前記第2のスリット形成手段によりせん断形成される前記切断用スリット及び前記第2の穿孔手段によりせん断形成される前記切断孔の前記第2の実装用基板部分に関する位置と異なるように構成されていて、
前記プリント配線原板のせん断加工方法はさらに、
前記第1のせん断手段によって前記第1の実装用基板部分について前記切断用スリット及び前記切断孔をせん断形成するとともに、前記第2のせん断手段によって前記第2の実装用基板部分について前記切断用スリット及び前記切断孔をせん断形成してから、前記プリント配線原板を180度回転させ又は裏返し、前記金型内に前記プリント配線原板を再び搬送し、前記第1のせん断手段の前記第1のスリット形成手段及び前記第1の穿孔手段によって前記第2の実装用基板部分について切断用スリット及び切断孔をせん断形成するとともに、同時に、前記第2のせん断手段の前記第2のスリット形成手段及び前記第2の穿孔手段によって前記第1の実装用基板部分について切断用スリット及び切断孔をせん断形成する、ことを特徴とするプリント配線原板のせん断加工方法。
【請求項2】
前記第1の実装用基板部分には、複数の第1のプリント回路板のための回路パターンが印刷され、前記第2の実装用基板部分にも、複数の第2のプリント回路板のための回路パターンが印刷されている、ことを特徴とする請求項1記載のプリント配線原板のせん断加工方法。
【請求項3】
前記第1の実装用基板部分と前記第2の実装用基板部分とは、プリント配線原板の搬送方向と直交する方向に並んで設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2記載のプリント配線原板のせん断加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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