プリント配線基板設計支援装置、プリント配線基板設計支援方法、及びプリント配線基板設計支援プログラム
【課題】 複雑な形状、構造を有するプリント配線基板であっても、温度変化による変位を容易、且つ低コストに予測することができる基板設計支援装置、方法、プログラムを提供する。
【解決手段】 本発明のプリント配線基板設計支援プログラムは、データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてコンピュータに実行させる。
【解決手段】 本発明のプリント配線基板設計支援プログラムは、データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてコンピュータに実行させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板のたわみ量や反り量を算出するプリント配線基板設計支援装置、プリント配線基板設計支援方法、及びプリント配線基板設計支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線基板における配線パターン設計は、設計ルール(配線幅、厚さ、間隔など)に基づく自動ツールなどが用いられており、材料選定や製造プロセス条件などは考慮されず製造されている。このため、完成後に温度プロセス過程における温度変化の影響を受けたたわみ(変位)などが大きくなる場合が発生し、このような場合は設計変更を行って再度製造を試みるということが繰り返されている。
【0003】
なお、従来、プリント配線基板の補強部の位置を簡易にかつ、より合理的な方法で決定することができる技術として、多面取りプリント配線基板の溝部にその周辺部位と比較して剛性を低下させたダミー材料を埋め込む工程と、ダミー材料が埋め込まれた状態の多面取りプリント配線基板に対して反り変形シミュレーションを行って、溝部の応力あるいは変形量分布を求める工程と、得られた応力あるいは変形量分布に基づいて、溝部における高応力部あるいは高変形量部を特定する技術が知られる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−93206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、プリント配線基板を製造して初めて問題が判明するため、設計を行って製造を行うというサイクルでの繰り返しが多くなり、開発期間が長くなると共にコスト高となる。また、変位が大きくなる場合について事前に考えられる問題について、三次元解析などを用い予測しようとすると、従来の解析手法では、膨大な要素数となってしまうため、その解析が複雑となり、労力的、時間的コストを要するという問題がある。
なお、上述した特許文献1においても、このような複雑なプリント配線基板の温度による変位を容易に予測し得るものではない。
【0005】
本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたものであり、プリント配線基板の温度変化による変位を容易、且つ低コストに予測することができるプリント配線基板設計支援装置、プリント配線基板設計支援方法、及びプリント配線基板設計支援プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明は、プリント配線基板に生じる変位を算出するプリント配線基板設計支援装置であって、データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割部と、前記メッシュ分割部により分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出部と、前記メッシュ変位算出部により算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続部と、前記メッシュ変位接続部により得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出部とを備えてなる。
【0007】
ここで、前記変位算出部は、前記プリント配線基板の二つのコーナの変位が零となるように回転補正を行う回転補正演算部を備え、該回転補正演算部により回転補正が行われた前記全体変位に対して、変位を算出することを特徴とすることができる。また、前記メッシュ分割部は、プリント配線基板を直行座標系におけるx、y軸に沿って分割し、前記メッシュ変位接続部はx軸の所定の始点側のメッシュ(x1、ym(m=1〜N2))よりx軸方向に終点側のメッシュ(xN1、ym)にかけて、各メッシュ縁部の(x、z)平面におけるx軸に対する傾きが連続するように接続すると共に、(xn(n=0〜N1)、y1)よりy軸方向に終点側のメッシュ(xn、yN2)にかけて、各メッシュの縁部の(y、z)平面におけるy軸に対する傾きが連続するように接続することを特徴とすることができる。
【0008】
また、前記変位算出部は、x、yの両軸に対してそれぞれ算出されたz軸に対する変位を二乗平均して変位とする平均変位算出部を備えていることを特徴とすることができる。また、前記変位算出部は、前記平均変位算出部において算出されたプリント配線基板の二つのコーナのz座標値を合わせるように回転補正をかける回転補正演算部を備え、前記回転補正演算部により回転補正された各メッシュのz座標値において変位を算出することを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明において、前記プリント配線基板を構成する各層ごとにその層を構成する主要材料について、所定のルールで基板面積に対する平均厚さを求める層厚演算部と、前記層厚演算部で演算された層厚の層を積層して単純積層モデルを作成し、前記プリント配線基板の解析用モデルとする積層モデル作成部とを備えることができる。ここで、前記所定のルールとして、前記層厚演算部は、第1の層に隣合う第2の層において第1の層の主要材料と同じ材料が含まれる場合は、該第2の層における第1の層の主要材料と同じ材料についての体積を前記第1の層の主要材料についての体積に含めて第1の層の平均厚さを求めることを特徴とすることができる。また、前記所定のルールとして、前記層厚演算部は、第3の層に隣合う第4の層において第3の層の主要材料と同じ材料が含まれる場合は、該第4の層における前記主要材料と同じ材料についての体積を前記第3の層の主要材料についての体積に含めることなく第3の層の平均厚さを求めることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明は、プリント配線基板に生じる変位をコンピュータに算出させるプリント配線基板設計支援プログラムであって、データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、プリント配線基板に生じる変位を算出するプリント配線基板設計支援方法であって、データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてなる。
【発明の効果】
【0012】
以上に説明したように、本発明によれば、複雑な形状、構造を有するプリント配線基板であっても、温度変化による変位を容易、且つ低コストに予測することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は本実施の形態における基板設計支援装置を示すブロック図である。この基板設計支援装置は、プリント配線基板を設計したCADデータを記憶するCADデータファイル記憶部1と、CADデータファイル記憶部1に記憶されたCADデータファイルを用いて形状変換を行って解析用モデルを作成する解析用モデル作成部2と、解析用モデル作成部2で作成された解析用モデルを一時的に記憶する解析用データファイル記憶部3と、解析用データファイル記憶部3に記憶された解析用データファイルを用いて温度プロセスにより生じる変位を演算する解析部(変位演算部)4と、変位演算部4により演算された変位に基づいて、基板表面の変位を演算する基板表面変位演算部5と、解析に用いられる必要なデータを供給するためのデータベース部6と、基板表面変位演算部5において用いられる凹凸情報をCADデータファイル記憶部1から取得する凹凸情報取得部7とを備える。
【0015】
変位演算部4は、プリント配線基板をメッシュ状に分割するメッシュ分割部4aと、メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出部4bと、メッシュ変位を全メッシュについて接続するメッシュ変位接続部4cと、全体変位算出部4dを備え、全体変位算出部4dは、全体変位を回転補正するための回転補正演算部4d−1を備えている。
【0016】
上記構成において、解析用モデル作成部2は、CADデータファイルに基づいて、プリント配線基板の解析モデルを作成するものであり、プリント配線基板を構成する複数の層における各層についての層厚を求める層厚演算部21と、演算された層厚からなる層を積層することにより、解析用の単純積層モデル(解析モデル)を作成する積層モデル作成部22とを備える。
【0017】
また、データベース(DB)部6は、製造過程におけるプロセス温度等を記憶するプロセスデータDB61と、プリント配線基板の各層を構成する主要材料、すなわち積層モデル作成部22で作成される各層の材料に関する物性情報として、例えば熱膨張係数、ヤング率など温度変位を算出するのに必要な物性情報を記憶した構成材料DB62とを備える。
【0018】
そして、凹凸情報取得部7は、CADデータファイル記憶部1から後述するようにして凹凸情報を取得する。
【0019】
以下、実施の形態1の動作について説明する。
図2は、解析用モデル作成部2における解析用モデル作成動作を示すフローチャートである。まず、CADデータファイル記憶部1から得られるプリント配線基板データにおいて、該基板を構成する各層ごとにその層を構成する主要材料について所定のルールで体積を算出する(ステップS1,S2)。例えば図3に示すように、プリント配線基板が最下層より配線層(d4)、絶縁層(d3)、配線層(d2)、絶縁層(d1)とある場合、各配線層の体積を算出し(ステップS1)、次に各絶縁層の体積を算出する(ステップS2)。
【0020】
ステップS1の動作において、第1のルールとして、配線層(本発明の第1の層に対応:例えばd2)内に主要材料である配線材料と異なる絶縁材量が含まれる場合は、その配線層内の絶縁材量の体積は無視されると共に、その配線層に隣合う(下側に重なる)絶縁層(第2の層に対応:d3)にビアなどにより該配線層と同じ配線材料が含まれる場合はその配線材料の体積が配線層(d2)の主要材料の体積に加算されて配線層(d3)の体積が算出される。
【0021】
また、ステップS2の動作において、第2のルールとして、絶縁層(第3の層に対応:d3)内にビア等による配線材料がある場合、その配線材料の体積は無視される(その上層側の配線層の体積に含められる)と共に、その絶縁層に隣合う(下側に重なる)配線層(第4の層に対応:d4)に該絶縁層と同じ絶縁材料が含まれていても、その絶縁材料の体積は第1のルール1のように絶縁層(d3)に加えられることなく、該絶縁層の体積が算出される。
【0022】
こうして、各層の体積が算出されると、次に各層の平均厚さ算出する(ステップS3)。これは各層の体積を基板面積で除算することにより行われる。各層の平均厚さが算出されると、その平均厚さを有する各層を重ね合わせて簡素化された単純積層モデル(解析用モデル)が作成される(ステップS4)。
【0023】
図3は解析用モデル作成の説明の便宜のために、簡単な例を示したが、図4に示されるように、もっと複雑な構造を有するプリント配線基板においても同様に適用される。図4において、図4(a)はプリント配線基板の断面構造を示し、図4(b)はその一部の詳細断面構造を示し、図4(c)は図4(b)に示した部分の構造が図2、図3に示したと同じ処理により簡素化(単純化)された場合を示し、図4(d)は図4(a)の全体の構造が図2、図3に示したと同じ処理により簡素化(単純化)された場合を示している。すなわち、図4(d)は図4(a)のプリント配線基板から作成される単純積層モデル(解析用モデル)を示している。
【0024】
こうして、解析用モデル作成部2は、複雑な構造を有するプリント配線基板からそのプリント配線基板を構成する各層ごとにその層を構成する主要材料(例えば配線材料と絶縁材料)について所定のルール(第1、第2のルール)で基板面積に対する平均厚さを求め、求められた層厚の層を積層して単純積層モデル(プリント配線基板の解析モデル)を作成する。
【0025】
次に、作成された単純積層モデルを使用し、プリント配線基板の変位を演算する変位演算部4の動作と、得られた変位を用いて基板の表面変位を演算する基板表面変位演算部5の動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0026】
まず、変位演算部4は解析用データファイル記憶部から単純積層モデルデータを取得し(ステップS11)、メッシュ分割部4aによりモデルをメッシュ状に格子分割する(ステップS12)。この格子分割は、図6に示されるように、例えば長方形状のプリント配線基板の平面が直行座標系におけるz=0において、x、y軸から構成される(x、y)平面と重なるように配置すると共に、x軸及びy軸に沿って等間隔に複数(例えばN1、N2)分割する。
【0027】
次にステップS13では、格子分割された各メッシュ毎に、メッシュ変位算出部4bがプロセス温度変化分に対応する変位を演算する(ステップS13)。変位(変位量)は、図7(a)に示すような各メッシュである片持ち梁状のモデルが温度変化を受けたときに、その熱膨張率及びヤング率の相異から、図7(b)に示すように生じる変位である。熱膨張率やヤング率は構成材料DB62から取得し、プロセス温度変化はプロセスデータDB61から取得する。
【0028】
この算出方法は周知であり、ここでの説明は省略するが、一例として日本機械学会論文集59巻563号1993-7、機械多層はり理論によるプリント配線基板の応力・変形の評価(尾田十八 他)で示される、多層積層板の熱膨張係数の違いによる反りの計算式を用いることができる。
【0029】
こうして温度変化に伴う変位が全てのメッシュについて演算されると、メッシュ変位接続部4cは各メッシュについて算出された変位を次のように接続していく(ステップS14)。
【0030】
(1)x軸方向に対する処理
a)図6に示す原点(x1、y1)におけるメッシュを始点メッシュ(1番目のメッシュ)としてx軸方向にスタートし、1番目のメッシュの変位(反り)を用いて、その曲率で分割境界まで曲線を描く。
【0031】
b)次に分割境界において接線を引き、それを軸に2番目のメッシュの変位(反り)を描く。これをx軸方向に最後のメッシュであるN1番目のメッシュ(xN1、y1)まで繰り返す。図8はこれらの処理過程を示す図であり、結果を図9(a)に示す。
【0032】
c)以上と同様の処理a),b)を、原点(x1、y1)のメッシュとy軸方向に隣接するメッシュ(x1、y2)を始点メッシュとして、行い、以下同様にかかる処理を(x1,ym)のメッシュについて繰り返す(m=1〜N2とし、ここでは3以上)。図10(a)は以上の結果得られた表示画面を示す図である。
【0033】
(2)y軸方向に対する処理
a)図6に示す原点(x1、y1)におけるメッシュを始点メッシュ(1番目のメッシュ)としてy軸方向にスタートし、1番目のメッシュの変位(反り)を用いて、その曲率で分割境界まで曲線を描く。
【0034】
b)次に分割境界において接線を引き、それを軸に2番目のメッシュの変位(反り)を描く。これをy軸方向に最後のメッシュであるN2番目のメッシュ(x1、yN2)まで繰り返す。結果を図9(b)に示す。
【0035】
c)以上と同様の処理a)、b)を、原点(x1、y1)のメッシュとx軸方向に隣接するメッシュ(x2、y1)を始点メッシュとして、行い、以下同様にかかる処理を(xn,y1)のメッシュについて繰り返す(n=1〜N1とし、ここでは3以上)。図10(b)は以上の結果得られた表示画面を示す図である。
【0036】
こうして、各メッシュのx、y軸方向への変位がそれぞれ得られると、次に全体変位算出部4dがメッシュ全体についての変位を算出する(ステップS15)。まず、全体変位算出部4dは、各メッシュにおいて、x、y軸方向にそれぞれ算出された変位について、これらの値を二乗平均し、その値を各メッシュにおける算出変位とする。なお、図9(c)はx、y軸方向にそれぞれ算出された変位Δx、Δyと、それらを二乗平均した変位Δを示している。また、図10(c)はx、y軸方向にそれぞれ算出された変位を同一メッシュ上にそれぞれ重ね合わせて三次元状に示した図であり、図10(d)は変位Δを三次元状に示した図である。
【0037】
次に、全体変位算出部4dは上述のように変位が得られると、その回転補正演算部4d−1により、プリント配線基板の二つのコーナ(例えば(x1、y1)のメッシュコーナと、(xN1,yN2)のメッシュコーナ)の高さを合わせるように、回転補正を行う。この二つのコーナは最もz軸方向に変位が大きくなる二つのコーナ(2点)を選択することができる。この回転補正の結果における変位を三次元状に示したのが図11である。
【0038】
図12は回転補正を行う様子を示しており、最大変位差を生じる二点のコーナ図12(a)のA,B、及び図12(b)のC,Dが選択されて図12(c)のように回転補正が行われている。なお、各コーナの高さが同じ場合は、回転補正を行う必要がないことは言うまでもない。
【0039】
こうして回転補正が行われると、その回転結果より全てのメッシュの補正された変位(補正変位)を得ることができると共に、その変位の値より最大値と最小値との差を演算して最大変位を算出し、最大反りや歪みを得ることができる。
【0040】
次に、基板表面変位演算部5は、全体変位算出部4dにより得られた各メッシュの補正変位を用いて基板表面変位を演算する。すなわち、基板表面変位演算部5は、凹凸情報取得部7によりCADデータファイル記憶部1の設計データにおいて得ることができるプリント配線基板表面の凹凸量を、変位演算部4で求められた変量に対して加減算してプリント配線基板表面の変位を求める(ステップS13)。
【0041】
この凹凸は配線層の厚さが基板の面内方向で異なることにより生じるものであり、配線層が薄い領域においては、配線層の厚い領域に比べて凹部が形成されやすい(配線層の厚い領域は薄い領域に比べて凸部が形成されやすい)。このため、例えば図13(a)に示されるように配線層の厚さが一定の基板においては、単純積層モデルにより、図13(b)のように得られる変位において基板表面各部を表せるが、図13(c)のように例えば配線層が薄い領域においては、表面に凹部ができてその変位はステップS12において演算された変位にその凹部の深さを加算したものとすることが好ましい。
【0042】
図14は、凹凸情報取得部7による凹凸情報取得動作を示すフローチャートである。まず、設計時の基板表面変位データがCADデータファイルから取得される(ステップS21)。次に凹凸情報取得部7は、基板を所定の形状によって分割し(ステップS22)、分割された各領域における基板平均厚さを算出する(ステップS23)。次に各分割領域における基板平均厚さと、基板全領域における基板厚さの平均値との差を求める(ステップS24)。
【0043】
図5に示した変位演算(ステップS13)では、ステップS24で求められた厚さの差をステップS15において得られた各領域における変位に加算して基板の表面変位を得る。なお、ここでは凹凸を加味する表面変位の演算方法の一例について説明したが、基板の最小厚さを基準にする方法、基板の最大厚さを基準にする方法など、上述した基板の平均厚さを基準にする以外の方法もとり得ることは言うまでもない。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を配線層と絶縁層からなる多層に適用した場合について説明したが、配線層と絶縁層以外の層を含むものでも本発明は適用できることは言うまでもない。なお、本実施の形態によれば、上述した図5のフローチャートにおける各ステップを基板設計支援装置を構成するコンピュータに実行させる基板設計支援プログラムとして提供することができる。上述したプログラムは、コンピュータにより読取り可能な記録媒体に記憶させることによって、基板設計支援装置を構成するコンピュータに実行させることが可能となる。ここで、上記コンピュータにより読取り可能な記録媒体としては、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体や、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータ並びにそのデータベースや、更に回線上の伝送媒体をも含むものである。
(付記1) プリント配線基板に生じる変位を算出するプリント配線基板設計支援装置であって、
データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割部と、
前記メッシュ分割部により分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出部と、
前記メッシュ変位算出部により算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続部と、
前記メッシュ変位接続部により得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出部と
を備えてなるプリント配線基板設計支援装置。
(付記2) 付記1に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記変位算出部は、前記プリント配線基板の二つのコーナの変位が零となるように回転補正を行う回転補正演算部を備え、該回転補正演算部により回転補正が行われた前記全体変位に対して、変位を算出することを特徴とするプリント配線基板設計支援装置。
(付記3) 付記1に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記メッシュ分割部は、プリント配線基板を直行座標系におけるx、y軸に沿って分割し、前記メッシュ変位接続部はx軸の所定の始点側のメッシュ(x1、ym(m=1〜N2))よりx軸方向に終点側のメッシュ(xN1、ym)にかけて、各メッシュ縁部の(x、z)平面におけるx軸に対する傾きが連続するように接続すると共に、(xn(n=0〜N1)、y1)よりy軸方向に終点側のメッシュ(xn、yN2)にかけて、各メッシュの縁部の(y、z)平面におけるy軸に対する傾きが連続するように接続することを特徴とするプリント配線基板設計支援装置。
(付記4) 付記3に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記変位算出部は、x、yの両軸に対してそれぞれ算出されたz軸に対する変位を二乗平均して変位とする平均変位算出部を備えていることを特徴とするプリント配線基板設計支援装置。
(付記5) 付記4に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記変位算出部は、前記平均変位算出部において算出されたプリント配線基板の二つのコーナのz座標値を合わせるように回転補正をかける回転補正演算部を備え、
前記回転補正演算部により回転補正された各メッシュのz座標値において変位を算出することを特徴とするプリント配線基板設計支援装置。
(付記6) 付記1に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記プリント配線基板を構成する各層ごとにその層を構成する主要材料について、所定のルールで基板面積に対する平均厚さを求める層厚演算部と、
前記層厚演算部で演算された層厚の層を積層して単純積層モデルを作成し、前記プリント配線基板の解析用モデルとする積層モデル作成部と
を備えてなるプリント配線基板設計支援装置。
(付記7) 付記6に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記所定のルールとして、前記層厚演算部は、第1の層に隣合う第2の層において第1の層の主要材料と同じ材料が含まれる場合は、該第2の層における第1の層の主要材料と同じ材料についての体積を前記第1の層の主要材料についての体積に含めて第1の層の平均厚さを求めることを特徴とする基板設計支援装置。
(付記8) 付記7に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記所定のルールとして、前記層厚演算部は、第3の層に隣合う第4の層において第3の層の主要材料と同じ材料が含まれる場合は、該第4の層における前記主要材料と同じ材料についての体積を前記第3の層の主要材料についての体積に含めることなく第3の層の平均厚さを求めることを特徴とする基板設計支援装置。
(付記9) プリント配線基板に生じる変位をコンピュータに算出させるプリント配線基板設計支援プログラムであって、
データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、
前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、
前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、
前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてコンピュータに実行させることを特徴とするプリント配線基板設計支援プログラム。
(付記10) 付記9に記載のプリント配線基板設計支援プログラムにおいて、
前記変位算出ステップは、前記プリント配線基板の二つのコーナの変位が零となるように回転補正を行う回転補正演算ステップを備え、該回転補正演算ステップにより回転補正が行われた前記全体変位に対して、変位を算出することを特徴とするプリント配線基板設計支援プログラム。
(付記11) 付記9に記載のプリント配線基板設計支援プログラムにおいて、
前記メッシュ分割ステップでは、プリント配線基板を直行座標系におけるx、y軸に沿って分割し、前記メッシュ変位接続部はx軸の所定の始点側のメッシュ(x1、ym(m=1〜N2))よりx軸方向に終点側のメッシュ(xN1、ym)にかけて、各メッシュ縁部の(x、z)平面におけるx軸に対する傾きが連続するように接続すると共に、(xn(n=0〜N1)、y1)よりy軸方向に終点側のメッシュ(xn、yN2)にかけて、各メッシュの縁部の(y、z)平面におけるy軸に対する傾きが連続するように接続することを特徴とするプリント配線基板設計支援プログラム。
(付記12) 付記11に記載のプリント配線基板設計支援プログラムにおいて、
前記変位算出ステップは、x、yの両軸に対してそれぞれ算出されたz軸に対する変位を二乗平均して変位とする平均変位算出ステップを備えていることを特徴とするプリント配線基板設計支援プログラム。
(付記13) 付記11に記載のプリント配線基板設計支援プログラムにおいて、
前記変位算出ステップは、前記平均変位算出ステップにおいて算出されたプリント配線基板の二つのコーナのz座標値を合わせるように回転補正をかける回転補正演算ステップを備え、
前記回転補正演算ステップにより回転補正された各メッシュのz座標値において変位を算出することを特徴とするプリント配線基板設計支援プログラム。
(付記14) 付記9に記載のプリント配線基板設計支援プログラムにおいて、
前記メッシュ分割ステップ前に備えられ、変位算出を行うための前記プリント配線基板の簡素化モデルをデータとして取得するプリント配線基板取得ステップであって、
プリント配線基板を構成する各層ごとにその層を構成する主要材料について、所定のルールで基板面積に対する平均厚さを求める層厚演算ステップと、
前記層厚演算ステップで演算された層厚の層を積層して単純積層モデルを作成し、前記変位が算出される前記プリント配線基板を得る積層モデル作成ステップと
を備えてなるプリント配線基板設計支援プログラム。
(付記15) プリント配線基板に生じる変位を算出するプリント配線基板設計支援方法であって、
データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、
前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、
前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、
前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてなるプリント配線基板設計支援方法。
(付記16) 付記15に記載のプリント配線基板設計支援方法において、
前記変位算出ステップは、前記プリント配線基板の二つのコーナの変位が零となるように回転補正を行う回転補正演算ステップを備え、該回転補正演算ステップにより回転補正が行われた前記全体変位に対して、変位を算出することを特徴とするプリント配線基板設計支援方法。
(付記17) 付記15に記載のプリント配線基板設計支援方法において、
前記メッシュ分割ステップでは、プリント配線基板を直行座標系におけるx、y軸に沿って分割し、前記メッシュ変位接続部はx軸の所定の始点側のメッシュ(x1、ym(m=1〜N2))よりx軸方向に終点側のメッシュ(xN1、ym)にかけて、各メッシュ縁部の(x、z)平面におけるx軸に対する傾きが連続するように接続すると共に、(xn(n=0〜N1)、y1)よりy軸方向に終点側のメッシュ(xn、yN2)にかけて、各メッシュの縁部の(y、z)平面におけるy軸に対する傾きが連続するように接続することを特徴とするプリント配線基板設計支援方法。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における解析用モデル(単純積層モデル)作成動作を示すフローチャートである。
【図3】単純積層モデルを作成する際に用いるルールを説明するための図である。
【図4】具体的な解析用モデルの作成を概念的に示す図である。
【図5】本実施の形態の動作としての表面変位演算処理動作を示すフローチャートである。
【図6】プリント配線基板の解析用モデルの分割方法の一例を示す説明図である。
【図7】変位演算の概念を説明する図である。
【図8】メッシュ変位を複数のメッシュで接続していく様子を示す説明図である。
【図9】メッシュ変位接続結果を示す図である。
【図10】メッシュ変位接続結果を三次元状に示した図である。
【図11】全体変位を三次元状に示した図である。
【図12】回転補正の動作を示す説明図である。
【図13】基板の凹凸情報を示す図である。
【図14】凹凸情報取得動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 CADデータファイル記憶部、2 解析用モデル作成部、3 解析用データファイル記憶部、4 変位演算部、4a メッシュ分割部、4b メッシュ変位算出部、4c メッシュ変位接続部、4d 全体変位算出部、4d−1 回転補正演算部、5 基板表面変位演算部、6 データベース部、7 凹凸情報取得部、21 層厚演算部 22 積層モデル作成部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板のたわみ量や反り量を算出するプリント配線基板設計支援装置、プリント配線基板設計支援方法、及びプリント配線基板設計支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線基板における配線パターン設計は、設計ルール(配線幅、厚さ、間隔など)に基づく自動ツールなどが用いられており、材料選定や製造プロセス条件などは考慮されず製造されている。このため、完成後に温度プロセス過程における温度変化の影響を受けたたわみ(変位)などが大きくなる場合が発生し、このような場合は設計変更を行って再度製造を試みるということが繰り返されている。
【0003】
なお、従来、プリント配線基板の補強部の位置を簡易にかつ、より合理的な方法で決定することができる技術として、多面取りプリント配線基板の溝部にその周辺部位と比較して剛性を低下させたダミー材料を埋め込む工程と、ダミー材料が埋め込まれた状態の多面取りプリント配線基板に対して反り変形シミュレーションを行って、溝部の応力あるいは変形量分布を求める工程と、得られた応力あるいは変形量分布に基づいて、溝部における高応力部あるいは高変形量部を特定する技術が知られる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−93206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、プリント配線基板を製造して初めて問題が判明するため、設計を行って製造を行うというサイクルでの繰り返しが多くなり、開発期間が長くなると共にコスト高となる。また、変位が大きくなる場合について事前に考えられる問題について、三次元解析などを用い予測しようとすると、従来の解析手法では、膨大な要素数となってしまうため、その解析が複雑となり、労力的、時間的コストを要するという問題がある。
なお、上述した特許文献1においても、このような複雑なプリント配線基板の温度による変位を容易に予測し得るものではない。
【0005】
本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたものであり、プリント配線基板の温度変化による変位を容易、且つ低コストに予測することができるプリント配線基板設計支援装置、プリント配線基板設計支援方法、及びプリント配線基板設計支援プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明は、プリント配線基板に生じる変位を算出するプリント配線基板設計支援装置であって、データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割部と、前記メッシュ分割部により分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出部と、前記メッシュ変位算出部により算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続部と、前記メッシュ変位接続部により得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出部とを備えてなる。
【0007】
ここで、前記変位算出部は、前記プリント配線基板の二つのコーナの変位が零となるように回転補正を行う回転補正演算部を備え、該回転補正演算部により回転補正が行われた前記全体変位に対して、変位を算出することを特徴とすることができる。また、前記メッシュ分割部は、プリント配線基板を直行座標系におけるx、y軸に沿って分割し、前記メッシュ変位接続部はx軸の所定の始点側のメッシュ(x1、ym(m=1〜N2))よりx軸方向に終点側のメッシュ(xN1、ym)にかけて、各メッシュ縁部の(x、z)平面におけるx軸に対する傾きが連続するように接続すると共に、(xn(n=0〜N1)、y1)よりy軸方向に終点側のメッシュ(xn、yN2)にかけて、各メッシュの縁部の(y、z)平面におけるy軸に対する傾きが連続するように接続することを特徴とすることができる。
【0008】
また、前記変位算出部は、x、yの両軸に対してそれぞれ算出されたz軸に対する変位を二乗平均して変位とする平均変位算出部を備えていることを特徴とすることができる。また、前記変位算出部は、前記平均変位算出部において算出されたプリント配線基板の二つのコーナのz座標値を合わせるように回転補正をかける回転補正演算部を備え、前記回転補正演算部により回転補正された各メッシュのz座標値において変位を算出することを特徴とすることができる。
【0009】
また、本発明において、前記プリント配線基板を構成する各層ごとにその層を構成する主要材料について、所定のルールで基板面積に対する平均厚さを求める層厚演算部と、前記層厚演算部で演算された層厚の層を積層して単純積層モデルを作成し、前記プリント配線基板の解析用モデルとする積層モデル作成部とを備えることができる。ここで、前記所定のルールとして、前記層厚演算部は、第1の層に隣合う第2の層において第1の層の主要材料と同じ材料が含まれる場合は、該第2の層における第1の層の主要材料と同じ材料についての体積を前記第1の層の主要材料についての体積に含めて第1の層の平均厚さを求めることを特徴とすることができる。また、前記所定のルールとして、前記層厚演算部は、第3の層に隣合う第4の層において第3の層の主要材料と同じ材料が含まれる場合は、該第4の層における前記主要材料と同じ材料についての体積を前記第3の層の主要材料についての体積に含めることなく第3の層の平均厚さを求めることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明は、プリント配線基板に生じる変位をコンピュータに算出させるプリント配線基板設計支援プログラムであって、データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、プリント配線基板に生じる変位を算出するプリント配線基板設計支援方法であって、データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてなる。
【発明の効果】
【0012】
以上に説明したように、本発明によれば、複雑な形状、構造を有するプリント配線基板であっても、温度変化による変位を容易、且つ低コストに予測することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は本実施の形態における基板設計支援装置を示すブロック図である。この基板設計支援装置は、プリント配線基板を設計したCADデータを記憶するCADデータファイル記憶部1と、CADデータファイル記憶部1に記憶されたCADデータファイルを用いて形状変換を行って解析用モデルを作成する解析用モデル作成部2と、解析用モデル作成部2で作成された解析用モデルを一時的に記憶する解析用データファイル記憶部3と、解析用データファイル記憶部3に記憶された解析用データファイルを用いて温度プロセスにより生じる変位を演算する解析部(変位演算部)4と、変位演算部4により演算された変位に基づいて、基板表面の変位を演算する基板表面変位演算部5と、解析に用いられる必要なデータを供給するためのデータベース部6と、基板表面変位演算部5において用いられる凹凸情報をCADデータファイル記憶部1から取得する凹凸情報取得部7とを備える。
【0015】
変位演算部4は、プリント配線基板をメッシュ状に分割するメッシュ分割部4aと、メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出部4bと、メッシュ変位を全メッシュについて接続するメッシュ変位接続部4cと、全体変位算出部4dを備え、全体変位算出部4dは、全体変位を回転補正するための回転補正演算部4d−1を備えている。
【0016】
上記構成において、解析用モデル作成部2は、CADデータファイルに基づいて、プリント配線基板の解析モデルを作成するものであり、プリント配線基板を構成する複数の層における各層についての層厚を求める層厚演算部21と、演算された層厚からなる層を積層することにより、解析用の単純積層モデル(解析モデル)を作成する積層モデル作成部22とを備える。
【0017】
また、データベース(DB)部6は、製造過程におけるプロセス温度等を記憶するプロセスデータDB61と、プリント配線基板の各層を構成する主要材料、すなわち積層モデル作成部22で作成される各層の材料に関する物性情報として、例えば熱膨張係数、ヤング率など温度変位を算出するのに必要な物性情報を記憶した構成材料DB62とを備える。
【0018】
そして、凹凸情報取得部7は、CADデータファイル記憶部1から後述するようにして凹凸情報を取得する。
【0019】
以下、実施の形態1の動作について説明する。
図2は、解析用モデル作成部2における解析用モデル作成動作を示すフローチャートである。まず、CADデータファイル記憶部1から得られるプリント配線基板データにおいて、該基板を構成する各層ごとにその層を構成する主要材料について所定のルールで体積を算出する(ステップS1,S2)。例えば図3に示すように、プリント配線基板が最下層より配線層(d4)、絶縁層(d3)、配線層(d2)、絶縁層(d1)とある場合、各配線層の体積を算出し(ステップS1)、次に各絶縁層の体積を算出する(ステップS2)。
【0020】
ステップS1の動作において、第1のルールとして、配線層(本発明の第1の層に対応:例えばd2)内に主要材料である配線材料と異なる絶縁材量が含まれる場合は、その配線層内の絶縁材量の体積は無視されると共に、その配線層に隣合う(下側に重なる)絶縁層(第2の層に対応:d3)にビアなどにより該配線層と同じ配線材料が含まれる場合はその配線材料の体積が配線層(d2)の主要材料の体積に加算されて配線層(d3)の体積が算出される。
【0021】
また、ステップS2の動作において、第2のルールとして、絶縁層(第3の層に対応:d3)内にビア等による配線材料がある場合、その配線材料の体積は無視される(その上層側の配線層の体積に含められる)と共に、その絶縁層に隣合う(下側に重なる)配線層(第4の層に対応:d4)に該絶縁層と同じ絶縁材料が含まれていても、その絶縁材料の体積は第1のルール1のように絶縁層(d3)に加えられることなく、該絶縁層の体積が算出される。
【0022】
こうして、各層の体積が算出されると、次に各層の平均厚さ算出する(ステップS3)。これは各層の体積を基板面積で除算することにより行われる。各層の平均厚さが算出されると、その平均厚さを有する各層を重ね合わせて簡素化された単純積層モデル(解析用モデル)が作成される(ステップS4)。
【0023】
図3は解析用モデル作成の説明の便宜のために、簡単な例を示したが、図4に示されるように、もっと複雑な構造を有するプリント配線基板においても同様に適用される。図4において、図4(a)はプリント配線基板の断面構造を示し、図4(b)はその一部の詳細断面構造を示し、図4(c)は図4(b)に示した部分の構造が図2、図3に示したと同じ処理により簡素化(単純化)された場合を示し、図4(d)は図4(a)の全体の構造が図2、図3に示したと同じ処理により簡素化(単純化)された場合を示している。すなわち、図4(d)は図4(a)のプリント配線基板から作成される単純積層モデル(解析用モデル)を示している。
【0024】
こうして、解析用モデル作成部2は、複雑な構造を有するプリント配線基板からそのプリント配線基板を構成する各層ごとにその層を構成する主要材料(例えば配線材料と絶縁材料)について所定のルール(第1、第2のルール)で基板面積に対する平均厚さを求め、求められた層厚の層を積層して単純積層モデル(プリント配線基板の解析モデル)を作成する。
【0025】
次に、作成された単純積層モデルを使用し、プリント配線基板の変位を演算する変位演算部4の動作と、得られた変位を用いて基板の表面変位を演算する基板表面変位演算部5の動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0026】
まず、変位演算部4は解析用データファイル記憶部から単純積層モデルデータを取得し(ステップS11)、メッシュ分割部4aによりモデルをメッシュ状に格子分割する(ステップS12)。この格子分割は、図6に示されるように、例えば長方形状のプリント配線基板の平面が直行座標系におけるz=0において、x、y軸から構成される(x、y)平面と重なるように配置すると共に、x軸及びy軸に沿って等間隔に複数(例えばN1、N2)分割する。
【0027】
次にステップS13では、格子分割された各メッシュ毎に、メッシュ変位算出部4bがプロセス温度変化分に対応する変位を演算する(ステップS13)。変位(変位量)は、図7(a)に示すような各メッシュである片持ち梁状のモデルが温度変化を受けたときに、その熱膨張率及びヤング率の相異から、図7(b)に示すように生じる変位である。熱膨張率やヤング率は構成材料DB62から取得し、プロセス温度変化はプロセスデータDB61から取得する。
【0028】
この算出方法は周知であり、ここでの説明は省略するが、一例として日本機械学会論文集59巻563号1993-7、機械多層はり理論によるプリント配線基板の応力・変形の評価(尾田十八 他)で示される、多層積層板の熱膨張係数の違いによる反りの計算式を用いることができる。
【0029】
こうして温度変化に伴う変位が全てのメッシュについて演算されると、メッシュ変位接続部4cは各メッシュについて算出された変位を次のように接続していく(ステップS14)。
【0030】
(1)x軸方向に対する処理
a)図6に示す原点(x1、y1)におけるメッシュを始点メッシュ(1番目のメッシュ)としてx軸方向にスタートし、1番目のメッシュの変位(反り)を用いて、その曲率で分割境界まで曲線を描く。
【0031】
b)次に分割境界において接線を引き、それを軸に2番目のメッシュの変位(反り)を描く。これをx軸方向に最後のメッシュであるN1番目のメッシュ(xN1、y1)まで繰り返す。図8はこれらの処理過程を示す図であり、結果を図9(a)に示す。
【0032】
c)以上と同様の処理a),b)を、原点(x1、y1)のメッシュとy軸方向に隣接するメッシュ(x1、y2)を始点メッシュとして、行い、以下同様にかかる処理を(x1,ym)のメッシュについて繰り返す(m=1〜N2とし、ここでは3以上)。図10(a)は以上の結果得られた表示画面を示す図である。
【0033】
(2)y軸方向に対する処理
a)図6に示す原点(x1、y1)におけるメッシュを始点メッシュ(1番目のメッシュ)としてy軸方向にスタートし、1番目のメッシュの変位(反り)を用いて、その曲率で分割境界まで曲線を描く。
【0034】
b)次に分割境界において接線を引き、それを軸に2番目のメッシュの変位(反り)を描く。これをy軸方向に最後のメッシュであるN2番目のメッシュ(x1、yN2)まで繰り返す。結果を図9(b)に示す。
【0035】
c)以上と同様の処理a)、b)を、原点(x1、y1)のメッシュとx軸方向に隣接するメッシュ(x2、y1)を始点メッシュとして、行い、以下同様にかかる処理を(xn,y1)のメッシュについて繰り返す(n=1〜N1とし、ここでは3以上)。図10(b)は以上の結果得られた表示画面を示す図である。
【0036】
こうして、各メッシュのx、y軸方向への変位がそれぞれ得られると、次に全体変位算出部4dがメッシュ全体についての変位を算出する(ステップS15)。まず、全体変位算出部4dは、各メッシュにおいて、x、y軸方向にそれぞれ算出された変位について、これらの値を二乗平均し、その値を各メッシュにおける算出変位とする。なお、図9(c)はx、y軸方向にそれぞれ算出された変位Δx、Δyと、それらを二乗平均した変位Δを示している。また、図10(c)はx、y軸方向にそれぞれ算出された変位を同一メッシュ上にそれぞれ重ね合わせて三次元状に示した図であり、図10(d)は変位Δを三次元状に示した図である。
【0037】
次に、全体変位算出部4dは上述のように変位が得られると、その回転補正演算部4d−1により、プリント配線基板の二つのコーナ(例えば(x1、y1)のメッシュコーナと、(xN1,yN2)のメッシュコーナ)の高さを合わせるように、回転補正を行う。この二つのコーナは最もz軸方向に変位が大きくなる二つのコーナ(2点)を選択することができる。この回転補正の結果における変位を三次元状に示したのが図11である。
【0038】
図12は回転補正を行う様子を示しており、最大変位差を生じる二点のコーナ図12(a)のA,B、及び図12(b)のC,Dが選択されて図12(c)のように回転補正が行われている。なお、各コーナの高さが同じ場合は、回転補正を行う必要がないことは言うまでもない。
【0039】
こうして回転補正が行われると、その回転結果より全てのメッシュの補正された変位(補正変位)を得ることができると共に、その変位の値より最大値と最小値との差を演算して最大変位を算出し、最大反りや歪みを得ることができる。
【0040】
次に、基板表面変位演算部5は、全体変位算出部4dにより得られた各メッシュの補正変位を用いて基板表面変位を演算する。すなわち、基板表面変位演算部5は、凹凸情報取得部7によりCADデータファイル記憶部1の設計データにおいて得ることができるプリント配線基板表面の凹凸量を、変位演算部4で求められた変量に対して加減算してプリント配線基板表面の変位を求める(ステップS13)。
【0041】
この凹凸は配線層の厚さが基板の面内方向で異なることにより生じるものであり、配線層が薄い領域においては、配線層の厚い領域に比べて凹部が形成されやすい(配線層の厚い領域は薄い領域に比べて凸部が形成されやすい)。このため、例えば図13(a)に示されるように配線層の厚さが一定の基板においては、単純積層モデルにより、図13(b)のように得られる変位において基板表面各部を表せるが、図13(c)のように例えば配線層が薄い領域においては、表面に凹部ができてその変位はステップS12において演算された変位にその凹部の深さを加算したものとすることが好ましい。
【0042】
図14は、凹凸情報取得部7による凹凸情報取得動作を示すフローチャートである。まず、設計時の基板表面変位データがCADデータファイルから取得される(ステップS21)。次に凹凸情報取得部7は、基板を所定の形状によって分割し(ステップS22)、分割された各領域における基板平均厚さを算出する(ステップS23)。次に各分割領域における基板平均厚さと、基板全領域における基板厚さの平均値との差を求める(ステップS24)。
【0043】
図5に示した変位演算(ステップS13)では、ステップS24で求められた厚さの差をステップS15において得られた各領域における変位に加算して基板の表面変位を得る。なお、ここでは凹凸を加味する表面変位の演算方法の一例について説明したが、基板の最小厚さを基準にする方法、基板の最大厚さを基準にする方法など、上述した基板の平均厚さを基準にする以外の方法もとり得ることは言うまでもない。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を配線層と絶縁層からなる多層に適用した場合について説明したが、配線層と絶縁層以外の層を含むものでも本発明は適用できることは言うまでもない。なお、本実施の形態によれば、上述した図5のフローチャートにおける各ステップを基板設計支援装置を構成するコンピュータに実行させる基板設計支援プログラムとして提供することができる。上述したプログラムは、コンピュータにより読取り可能な記録媒体に記憶させることによって、基板設計支援装置を構成するコンピュータに実行させることが可能となる。ここで、上記コンピュータにより読取り可能な記録媒体としては、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体や、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータ並びにそのデータベースや、更に回線上の伝送媒体をも含むものである。
(付記1) プリント配線基板に生じる変位を算出するプリント配線基板設計支援装置であって、
データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割部と、
前記メッシュ分割部により分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出部と、
前記メッシュ変位算出部により算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続部と、
前記メッシュ変位接続部により得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出部と
を備えてなるプリント配線基板設計支援装置。
(付記2) 付記1に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記変位算出部は、前記プリント配線基板の二つのコーナの変位が零となるように回転補正を行う回転補正演算部を備え、該回転補正演算部により回転補正が行われた前記全体変位に対して、変位を算出することを特徴とするプリント配線基板設計支援装置。
(付記3) 付記1に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記メッシュ分割部は、プリント配線基板を直行座標系におけるx、y軸に沿って分割し、前記メッシュ変位接続部はx軸の所定の始点側のメッシュ(x1、ym(m=1〜N2))よりx軸方向に終点側のメッシュ(xN1、ym)にかけて、各メッシュ縁部の(x、z)平面におけるx軸に対する傾きが連続するように接続すると共に、(xn(n=0〜N1)、y1)よりy軸方向に終点側のメッシュ(xn、yN2)にかけて、各メッシュの縁部の(y、z)平面におけるy軸に対する傾きが連続するように接続することを特徴とするプリント配線基板設計支援装置。
(付記4) 付記3に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記変位算出部は、x、yの両軸に対してそれぞれ算出されたz軸に対する変位を二乗平均して変位とする平均変位算出部を備えていることを特徴とするプリント配線基板設計支援装置。
(付記5) 付記4に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記変位算出部は、前記平均変位算出部において算出されたプリント配線基板の二つのコーナのz座標値を合わせるように回転補正をかける回転補正演算部を備え、
前記回転補正演算部により回転補正された各メッシュのz座標値において変位を算出することを特徴とするプリント配線基板設計支援装置。
(付記6) 付記1に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記プリント配線基板を構成する各層ごとにその層を構成する主要材料について、所定のルールで基板面積に対する平均厚さを求める層厚演算部と、
前記層厚演算部で演算された層厚の層を積層して単純積層モデルを作成し、前記プリント配線基板の解析用モデルとする積層モデル作成部と
を備えてなるプリント配線基板設計支援装置。
(付記7) 付記6に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記所定のルールとして、前記層厚演算部は、第1の層に隣合う第2の層において第1の層の主要材料と同じ材料が含まれる場合は、該第2の層における第1の層の主要材料と同じ材料についての体積を前記第1の層の主要材料についての体積に含めて第1の層の平均厚さを求めることを特徴とする基板設計支援装置。
(付記8) 付記7に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記所定のルールとして、前記層厚演算部は、第3の層に隣合う第4の層において第3の層の主要材料と同じ材料が含まれる場合は、該第4の層における前記主要材料と同じ材料についての体積を前記第3の層の主要材料についての体積に含めることなく第3の層の平均厚さを求めることを特徴とする基板設計支援装置。
(付記9) プリント配線基板に生じる変位をコンピュータに算出させるプリント配線基板設計支援プログラムであって、
データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、
前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、
前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、
前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてコンピュータに実行させることを特徴とするプリント配線基板設計支援プログラム。
(付記10) 付記9に記載のプリント配線基板設計支援プログラムにおいて、
前記変位算出ステップは、前記プリント配線基板の二つのコーナの変位が零となるように回転補正を行う回転補正演算ステップを備え、該回転補正演算ステップにより回転補正が行われた前記全体変位に対して、変位を算出することを特徴とするプリント配線基板設計支援プログラム。
(付記11) 付記9に記載のプリント配線基板設計支援プログラムにおいて、
前記メッシュ分割ステップでは、プリント配線基板を直行座標系におけるx、y軸に沿って分割し、前記メッシュ変位接続部はx軸の所定の始点側のメッシュ(x1、ym(m=1〜N2))よりx軸方向に終点側のメッシュ(xN1、ym)にかけて、各メッシュ縁部の(x、z)平面におけるx軸に対する傾きが連続するように接続すると共に、(xn(n=0〜N1)、y1)よりy軸方向に終点側のメッシュ(xn、yN2)にかけて、各メッシュの縁部の(y、z)平面におけるy軸に対する傾きが連続するように接続することを特徴とするプリント配線基板設計支援プログラム。
(付記12) 付記11に記載のプリント配線基板設計支援プログラムにおいて、
前記変位算出ステップは、x、yの両軸に対してそれぞれ算出されたz軸に対する変位を二乗平均して変位とする平均変位算出ステップを備えていることを特徴とするプリント配線基板設計支援プログラム。
(付記13) 付記11に記載のプリント配線基板設計支援プログラムにおいて、
前記変位算出ステップは、前記平均変位算出ステップにおいて算出されたプリント配線基板の二つのコーナのz座標値を合わせるように回転補正をかける回転補正演算ステップを備え、
前記回転補正演算ステップにより回転補正された各メッシュのz座標値において変位を算出することを特徴とするプリント配線基板設計支援プログラム。
(付記14) 付記9に記載のプリント配線基板設計支援プログラムにおいて、
前記メッシュ分割ステップ前に備えられ、変位算出を行うための前記プリント配線基板の簡素化モデルをデータとして取得するプリント配線基板取得ステップであって、
プリント配線基板を構成する各層ごとにその層を構成する主要材料について、所定のルールで基板面積に対する平均厚さを求める層厚演算ステップと、
前記層厚演算ステップで演算された層厚の層を積層して単純積層モデルを作成し、前記変位が算出される前記プリント配線基板を得る積層モデル作成ステップと
を備えてなるプリント配線基板設計支援プログラム。
(付記15) プリント配線基板に生じる変位を算出するプリント配線基板設計支援方法であって、
データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、
前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、
前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、
前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてなるプリント配線基板設計支援方法。
(付記16) 付記15に記載のプリント配線基板設計支援方法において、
前記変位算出ステップは、前記プリント配線基板の二つのコーナの変位が零となるように回転補正を行う回転補正演算ステップを備え、該回転補正演算ステップにより回転補正が行われた前記全体変位に対して、変位を算出することを特徴とするプリント配線基板設計支援方法。
(付記17) 付記15に記載のプリント配線基板設計支援方法において、
前記メッシュ分割ステップでは、プリント配線基板を直行座標系におけるx、y軸に沿って分割し、前記メッシュ変位接続部はx軸の所定の始点側のメッシュ(x1、ym(m=1〜N2))よりx軸方向に終点側のメッシュ(xN1、ym)にかけて、各メッシュ縁部の(x、z)平面におけるx軸に対する傾きが連続するように接続すると共に、(xn(n=0〜N1)、y1)よりy軸方向に終点側のメッシュ(xn、yN2)にかけて、各メッシュの縁部の(y、z)平面におけるy軸に対する傾きが連続するように接続することを特徴とするプリント配線基板設計支援方法。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における解析用モデル(単純積層モデル)作成動作を示すフローチャートである。
【図3】単純積層モデルを作成する際に用いるルールを説明するための図である。
【図4】具体的な解析用モデルの作成を概念的に示す図である。
【図5】本実施の形態の動作としての表面変位演算処理動作を示すフローチャートである。
【図6】プリント配線基板の解析用モデルの分割方法の一例を示す説明図である。
【図7】変位演算の概念を説明する図である。
【図8】メッシュ変位を複数のメッシュで接続していく様子を示す説明図である。
【図9】メッシュ変位接続結果を示す図である。
【図10】メッシュ変位接続結果を三次元状に示した図である。
【図11】全体変位を三次元状に示した図である。
【図12】回転補正の動作を示す説明図である。
【図13】基板の凹凸情報を示す図である。
【図14】凹凸情報取得動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 CADデータファイル記憶部、2 解析用モデル作成部、3 解析用データファイル記憶部、4 変位演算部、4a メッシュ分割部、4b メッシュ変位算出部、4c メッシュ変位接続部、4d 全体変位算出部、4d−1 回転補正演算部、5 基板表面変位演算部、6 データベース部、7 凹凸情報取得部、21 層厚演算部 22 積層モデル作成部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線基板に生じる変位を算出するプリント配線基板設計支援装置であって、
データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割部と、
前記メッシュ分割部により分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出部と、
前記メッシュ変位算出部により算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続部と、
前記メッシュ変位接続部により得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出部と
を備えてなるプリント配線基板設計支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記変位算出部は、前記プリント配線基板の二つのコーナの変位が零となるように回転補正を行う回転補正演算部を備え、該回転補正演算部により回転補正が行われた前記全体変位に対して、変位を算出することを特徴とするプリント配線基板設計支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記メッシュ分割部は、プリント配線基板を直行座標系におけるx、y軸に沿って分割し、前記メッシュ変位接続部はx軸の所定の始点側のメッシュ(x1、ym(m=1〜N2))よりx軸方向に終点側のメッシュ(xN1、ym)にかけて、各メッシュ縁部の(x、z)平面におけるx軸に対する傾きが連続するように接続すると共に、(xn(n=0〜N1)、y1)よりy軸方向に終点側のメッシュ(xn、yN2)にかけて、各メッシュの縁部の(y、z)平面におけるy軸に対する傾きが連続するように接続することを特徴とするプリント配線基板設計支援装置。
【請求項4】
プリント配線基板に生じる変位をコンピュータに算出させるプリント配線基板設計支援プログラムであって、
データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、
前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、
前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、
前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてコンピュータに実行させることを特徴とするプリント配線基板設計支援プログラム。
【請求項5】
プリント配線基板に生じる変位を算出するプリント配線基板設計支援方法であって、
データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、
前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、
前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、
前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてなるプリント配線基板設計支援方法。
【請求項1】
プリント配線基板に生じる変位を算出するプリント配線基板設計支援装置であって、
データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割部と、
前記メッシュ分割部により分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出部と、
前記メッシュ変位算出部により算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続部と、
前記メッシュ変位接続部により得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出部と
を備えてなるプリント配線基板設計支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記変位算出部は、前記プリント配線基板の二つのコーナの変位が零となるように回転補正を行う回転補正演算部を備え、該回転補正演算部により回転補正が行われた前記全体変位に対して、変位を算出することを特徴とするプリント配線基板設計支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線基板設計支援装置において、
前記メッシュ分割部は、プリント配線基板を直行座標系におけるx、y軸に沿って分割し、前記メッシュ変位接続部はx軸の所定の始点側のメッシュ(x1、ym(m=1〜N2))よりx軸方向に終点側のメッシュ(xN1、ym)にかけて、各メッシュ縁部の(x、z)平面におけるx軸に対する傾きが連続するように接続すると共に、(xn(n=0〜N1)、y1)よりy軸方向に終点側のメッシュ(xn、yN2)にかけて、各メッシュの縁部の(y、z)平面におけるy軸に対する傾きが連続するように接続することを特徴とするプリント配線基板設計支援装置。
【請求項4】
プリント配線基板に生じる変位をコンピュータに算出させるプリント配線基板設計支援プログラムであって、
データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、
前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、
前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、
前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてコンピュータに実行させることを特徴とするプリント配線基板設計支援プログラム。
【請求項5】
プリント配線基板に生じる変位を算出するプリント配線基板設計支援方法であって、
データとして取得されたプリント配線基板の解析用モデルをメッシュ状に分割するメッシュ分割ステップと、
前記メッシュ分割ステップにより分割されたプリント配線基板の各メッシュ毎に変位を算出するメッシュ変位算出ステップと、
前記メッシュ変位算出ステップにより算出された変位を各メッシュの縁部の傾きが連続するように接続するメッシュ変位接続ステップと、
前記メッシュ変位接続ステップにより得られたプリント配線基板の全体変位より変位を算出する変位算出ステップを備えてなるプリント配線基板設計支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−261381(P2006−261381A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76719(P2005−76719)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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