説明

プリント配線板の表示部構造

【課題】 本発明は、プリント配線板に対する表示部構造の占有面積を少なくして電子部品を高密度で実装することができるとともに、近接する表示部構造を容易に識別することができるプリント配線板の表示部構造を提供するものである。
【解決手段】 ランドマーク13a、13bの外側ではなくランドマーク13a、13bの間に設けられたスペースに抵抗器の機種情報を示すマークを表示する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線板の表示部構造に関し、詳しくは、プリント配線板上の電子部品を実装する際に該電子部品の種類と実装方向を容易に視認することができプリント配線板の実装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】電子装置に搭載されるプリント配線板には、電子装置の機能を満たすために電子部品が搭載され、各々の電子部品はプリント配線板上に印刷された導体を介して電源端子や接地端子、あるいは電子部品相互が接続されている。
【0003】ところが、電子部品の実装方向や電子部品の種類が正確でなければ、電子装置は動作しない上に部品の故障の原因となってしまう。
【0004】そこで、プリント配線板を作製するときにシルクスクリーン等によって電子部品の実装位置、電子部品の記号(種類)や実装方向を予め印刷しておき、電子部品の実装にあっては、そのシルクスクリーンを参照しながらプリント配線板上に電子部品を取付けるようになっている。
【0005】従来のこの種のプリント配線板の表示部構造としては、例えば、特開平10−98240号公報に記載されたものがあり、図4のように示される。まず、図4(a)において、1はプリント配線板上にシルクスクリーンによって印刷された実装方向が限定されない抵抗器等の表示部構造であり、この表示部構造1は、抵抗器の実装位置を示すランドマーク2a、2bと、このランドマーク2a、2bを囲むように印刷され、ランドマーク2a、2bに半田等によって実装される部品が抵抗器のような無極性2端子電子部品である旨を示すシルクマーク3とからなっている。
【0006】また、図4(b)において、4はプリント配線板上にシルクスクリーンによって印刷されたダイオードの表示部構造であり、この表示部構造4は、ダイオードの実装位置を示すランドマーク5a、5bと、このランドマーク5a、5bを囲むように印刷され、ランドマーク5a、5bに半田等によって実装される部品がダイオードである旨を示すシルクマーク6と、ダイオードの実装方向を示すシルクマーク7とからなっている。
【0007】また、その他のダイオードの表示構造としては、図4(c)に示すようなものもある。図4(c)において、8はプリント配線板上にシルクスクリーンによって印刷されたダイオードの表示部構造であり、この表示部構造8は、ダイオードの実装位置を示すランドマーク9a、9bと、このランドマーク9a、9bを囲むように印刷され、ランドマーク9a、9bに半田等によって実装される部品がダイオードである旨を示すシルクマーク10とからなっており、ダイオードの実装方向を示す表示はカソードラインを示すシルクマーク10の端部10aを濃くまたは太くしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような表示部構造1、4、8にあっては、ランドマーク2a、2b、5a、5b、9a、9bの外側に電子部品の種類や実装方向を示すシルクマーク3、6、7、10を印刷するようにしていたため、以下のような問題が発生してしまった。
【0009】シルクスクリーン法の寸法公差は、通常±0.3mm程度であるため、ランド2a、2b等から0.3mm以上離して印刷しなければならないことから、近時のように電子部品を高密度化して実装する際に、配線基板上の実装スペースが上記寸法分だけ無駄になってしまった。
【0010】特に、高密度に電子部品を実装すると、具体的には、図4(a)に示す抵抗器と図4(c)に示すダイオードを高密度に実装するために、配線板上に表示部構造1と表示部構造8を印刷すると、図5に示すように何れの表示部構造が抵抗器なのかダイオードなのか視認することができないという問題が発生してしまった。
【0011】そこで本発明は、プリント配線板に対する表示部構造の占有面積を少なくして電子部品を高密度で実装することができるとともに、近接する表示部構造を容易に識別することができるプリント配線板の表示部構造を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、上記課題を解決するために、電子部品の実装位置を示すランドマークの間に電子部品の情報を示すマークを表示したことを特徴としている。
【0013】その場合、ランドマークの外側ではなくランドマークの間に設けられたスペースに電子部品の情報を示すマークを表示したため、プリント配線板に対する表示部構造の占有面積を少なくすることができ、電子部品を高密度で実装することができる。
【0014】また、ランドマークの間に電子部品の情報を示すマークを表示したため、電子部品を高密度に実装するために表示部構造を近接させた場合であっても、このマークを挟んでランドマークに電子部品を実装するようにランドマークの間のマークから表示部構造を容易に認識することできる。
【0015】請求項2記載の発明は、上記課題を解決するために、請求項1記載の発明において、前記マークは、電子部品の種類と実装方向を示すマークであることを特徴としている。
【0016】その場合、電子部品の種類と実装方向を容易に視認することができる。
【0017】請求項3記載の発明は、上記課題を解決するために、請求項1または2記載の発明において、前記電子部品の方向を示すマークを電子部品の外形寸法よりも長くしたことを特徴としている。
【0018】その場合、プリント配線板に電子部品を実装した後、実装部品からはみ出したマークから実装部品の実装方向を容易に認識することができる。
【0019】請求項4記載の発明は、上記課題を解決するために、請求項1〜3何れかに記載の発明において、前記電子部品の情報を示すマークの反射率が電子部品の反射率よりも高いことを特徴としている。
【0020】その場合、電子部品の実装前のマークの反射率と電子部品の実装後のマークの反射率を比較することにより、電子部品の取付け不良を容易に確認することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】図1は本発明に係るプリント配線板の表示部構造の第1実施形態を示す図であり、請求項1または4記載の発明に対応している。
【0023】まず、構成を説明する。図1において、11はシルク印刷によってプリント配線板12上に形成された表示部構造であり、この表示部構造11は図示しない電子部品として実装方向が限定されない抵抗器等の実装位置を示すランドマーク13a、13bを有し、この抵抗器はランドマーク13a、13bに半田等によって実装されるようになっている。
【0024】また、ランドマーク13a、13bの間には抵抗器である旨の機種情報を示すシルクマーク14が印刷されており、このシルクマーク14は太線からなっている。
【0025】本実施形態では、このようにランドマーク13a、13bの外側ではなくランドマーク13a、13bの間に設けられたスペースに抵抗器の機種情報を示すマークを表示したため、プリント配線板12に対する表示部構造11の占有面積を少なくすることができ、抵抗器を含んだ電子部品をプリント配線板12上に高密度で実装することができる。
【0026】また、ランドマーク13a、13bの間に抵抗器の機種情報を示すシルクマーク14を表示したため、電子部品を高密度に実装するために表示部構造11を近接させた場合であっても、このシルクマーク14を挟んでランドマーク13a、13bに抵抗器を実装するようにシルクマーク14から表示部構造11を容易に認識することできる。
【0027】また、シルクマーク14の光の反射率は抵抗器等の電子部品の反射率よりも高いため、抵抗器の実装前のマークの反射率と抵抗器の実装後のマークの反射率を比較することにより、抵抗器の取付け不良を容易に確認することができる。
【0028】図2は本発明に係るプリント配線板の表示部構造の第2実施形態を示す図であり、請求項1〜4何れかに記載の発明に対応している。
【0029】まず、構成を説明する。図2において、21はシルク印刷によってプリント配線板22上に形成された表示部構造であり、この表示部構造21は図示しない電子部品としてのダイオードの実装位置を示すランドマーク23a、23bを有し、このダイオードはランドマーク23a、23bに半田等によって実装されるようになっている。
【0030】また、ランドマーク23a、23bの間にはダイオードである旨の機種情報とダイオードの実装方向を示すシルクマーク24が印刷されており、このシルクマーク24はカソードラインが図2中、左側であることが認識可能なように実装方向を示すマーク24aが左側の部分だけ長くなっている上に、このマーク24aはダイオードの外形寸法よりも長くなっている。
【0031】本実施形態では、このようにランドマーク23a、23bの外側ではなくランドマーク23a、23bの間に設けられたスペースにダイオードの機種情報および実装方向を示すシルクマーク24を表示したため、プリント配線板22に対する表示部構造21の占有面積を少なくすることができ、ダイオードを含んだ電子部品をプリント配線板22上に高密度で実装することができる。
【0032】また、ランドマーク23a、23bの間にダイオードの機種情報および実装方向を示すシルクマーク24を表示したため、電子部品を高密度に実装するために表示部構造21を近接させた場合であっても、このシルクマーク24を挟んでランドマーク23a、23bにダイオードを実装するようにシルクマーク24から表示部構造21を容易に認識することできる。
【0033】また、シルクマーク24をダイオードの種類と実装方向を示すマークから構成したため、ダイオードの種類と実装方向を容易に視認することができる。
【0034】さらに、ダイオードの方向を示すマーク24aをダイオードの外形寸法よりも長くしたため、プリント配線板22にダイオードを実装した後、ダイオードからはみ出したマーク24aからダイオードの実装方向を容易に認識することができる。
【0035】なお、本実施形態でもシルクマーク24の光の反射率はダイオードの反射率よりも高いため、ダイオードの実装前のマークの反射率とダイオードの実装後のマークの反射率を比較することにより、ダイオードの取付け不良を容易に確認することができる。
【0036】また、本実施形態では、ランドマーク23a、23bの間にダイオードを識別するシルクマーク24を印刷しているが、これに限らず、図3に示すようにツェナーダイオードを示すとともにこのダイオードの実装方向を示すランドマーク25を設けても良い。
【0037】この場合、シルクマーク25はカソードラインが図3中、左側であることが認識可能なように実装方向を示すマーク25aを左側の部分だけ長くする上に、このマーク25aをツェナーダイオードの外形寸法よりも長くしていることは勿論である。
【0038】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、ランドマークの外側ではなくランドマークの間に設けられたスペースに電子部品の情報を示すマークを表示したため、プリント配線板に対する表示部構造の占有面積を少なくすることができ、電子部品を高密度で実装することができる。
【0039】また、ランドマークの間に電子部品の情報を示すマークを表示したため、電子部品を高密度に実装するために表示部構造を近接させた場合であっても、このマークを挟んでランドマークに電子部品を実装するようにランドマークの間のマークから表示部構造を容易に認識することできる。
【0040】請求項2記載の発明によれば、電子部品の種類と実装方向を容易に視認することができる。
【0041】請求項3記載の発明によれば、プリント配線板に電子部品を実装した後、実装部品からはみ出したマークから実装部品の実装方向を容易に認識することができる。
【0042】請求項4記載の発明によれば、部品の実装前のマークの反射率と部品の実装後のマークの反射率を比較することにより、部品の取付け不良を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリント配線板の表示部構造の第1実施形態を示す図であり、その構成図である。
【図2】本発明に係るプリント配線板の表示部構造の第2実施形態を示す図であり、その構成図である。
【図3】第2実施形態を表示部構造の他の構成を示す図である。
【図4】(a)(b)(c)共に従来の表示部構造の構成図である。
【図5】従来の2つの表示部構造を近接させた状態を示す図である。
【符号の説明】
11、21 表示部構造
12、22 プリント配線板
13a、13b、23a、23b ランドマーク
14、24、25 シルクマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】電子部品の実装位置を示すランドマークの間に電子部品の情報を示すマークを表示したことを特徴とするプリント配線板の表示部構造。
【請求項2】前記マークは、電子部品の種類と実装方向を示すマークであることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板の表示部構造。
【請求項3】前記電子部品の方向を示すマークを電子部品の外形寸法よりも長くしたことを特徴とする請求項2記載のプリント配線板の表示部構造。
【請求項4】前記電子部品の情報を示すマークの反射率が電子部品の反射率よりも高いことを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のプリント配線板の表示部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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