プリント配線板の製造方法及びプリント配線板
【課題】導電性ペースト同士の短絡を抑制することができるプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】プリント配線板1の製造方法は、接続パッド22を端部に有する電気回路パターン20を絶縁性基板10に形成する電気回路形成工程S10と、接続パッド22を露出させた状態で、電気回路パターン20に絶縁層30を積層する第1の積層工程S20と、接続パッド22から絶縁層30に亘って導電性ペースト41を積層する第2の積層工程S30と、備えており、第2の積層工程S30において、パッド隣接部22bに第1の幅W1で導電性ペースト41を積層すると共に、パッド本体部22aに第2の幅W2で導電性ペースト41を積層し、第1の幅W1は、第2の幅W2よりも相対的に狭くなっている。
【解決手段】プリント配線板1の製造方法は、接続パッド22を端部に有する電気回路パターン20を絶縁性基板10に形成する電気回路形成工程S10と、接続パッド22を露出させた状態で、電気回路パターン20に絶縁層30を積層する第1の積層工程S20と、接続パッド22から絶縁層30に亘って導電性ペースト41を積層する第2の積層工程S30と、備えており、第2の積層工程S30において、パッド隣接部22bに第1の幅W1で導電性ペースト41を積層すると共に、パッド本体部22aに第2の幅W2で導電性ペースト41を積層し、第1の幅W1は、第2の幅W2よりも相対的に狭くなっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続パッドに導電性ペーストが積層されたプリント配線板の製造方法及びプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル配線基板に関し、銅などの導体の配線を腐食から保護するため、コネクタに接続する露出部分をめっきで覆い、露出部分以外を絶縁保護層フィルムで覆う手法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2005−252064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コネクタに接続される接続パッドにめっきなどの被覆層を形成する場合において、被覆層が意図しない場所に形成されると短絡の原因となるという問題があった。めっきに換えて導電性ペーストで被覆層を形成する場合には、導電性ペーストが滲み易く、短絡の問題は特に顕著である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、導電性ペースト同士の短絡を抑制できるプリント配線板の製造方法及びプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、接続パッドを端部に有する電気回路パターンを絶縁性基板に形成する電気回路形成工程と、前記接続パッドを露出させた状態で、前記電気回路パターンに絶縁層を積層する第1の積層工程と、前記接続パッドから前記絶縁層に亘って導電性ペーストを積層する第2の積層工程と、備えたプリント配線板の製造方法であって、前記第2の積層工程において、前記接続パッドにおける前記絶縁層との隣接部分に、第1の幅(W1)で前記導電性ペーストを積層すると共に、前記接続パッドにおけるその他の部分に、第2の幅(W2)で前記導電性ペーストを積層し、前記第1の幅(W1)は、前記第2の幅(W2)よりも相対的に狭いことを特徴とする。
【0007】
上記発明において、前記第1の幅(W1)と前記第2の幅(W2)は、下記式を満たしていてもよい。
【0008】
0.3≦W1/W2≦0.6
【0009】
上記発明において、前記接続パッドの幅(W0)と前記第1の幅(W1)は、下記式を満たしていてもよい。
【0010】
−20[μm]≦W1−W0≦20[μm]
【0011】
上記発明において、前記第2の積層工程では、スクリーン印刷により前記導電性ペーストを積層してもよい。
【0012】
本発明に係るプリント配線板は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板に積層され、接続パッドを端部に有する電気回路パターンと、前記接続パッドを露出させた状態で、前記電気回路パターンに積層された絶縁層と、硬化した導電性ペーストからなり、前記接続パッドから前記絶縁層に亘って積層された被覆層と、を備えたプリント配線板であって、前記絶縁層に積層された前記被覆層の幅は、末端に向かって狭くなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、接続パッドにおける絶縁層との隣接部分に積層される導電性ペーストの第1の幅を、接続パッドにおけるその他の部分に積層される導電性ペーストの第2の幅よりも相対的に狭くしているので、導電性ペースト同士の短絡を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施形態におけるプリント配線板の平面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図3の電気回路形成工程におけるプリント配線板の平面図である。
【図5】図5は、図3の第1の積層工程におけるプリント配線板の平面図である。
【図6】図6は、図3の第2の積層工程におけるプリント配線板の断面図である。
【図7】図7は、図3の第2の積層工程におけるプリント配線板の平面図である。
【図8】図8は、図3の第2の積層工程の第1変形例を示すプリント配線板の平面図である。
【図9】図9は、図3の第2の積層工程の第2変形例を示すプリント配線板の平面図である。
【図10】図10は、図3の第2の積層工程の第3変形例を示すプリント配線板の平面図である。
【図11】図11は、図3の第2の積層工程の第4変形例を示すプリント配線板の平面図である。
【図12】図12は、本発明の実施例及び本発明に対する比較例の短絡数及びパッド露出数を示すグラフである(その1)。
【図13】図13は、本発明の実施例及び本発明に対する比較例の短絡数及びパッド露出数を示すグラフである(その2)。
【図14】図14は、本発明に対する比較例1のプリント配線板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本実施形態におけるプリント配線板の平面図、図2は図1のII−II線に沿った断面図である。
【0017】
本実施形態におけるプリント配線板1は、例えば、ZIFコネクタ(ZIF:zero insertion force)等の接続部品に接続された状態で、デジタルカメラや携帯電話等の電子機器に組み込まれる。このようなプリント配線板1としては、例えば、メンブレン、フレキシブルプリント配線板(FPC:flexible printed circuit)、リジッドプリント配線板(rigid printed wiring board)等を挙げることができる。
【0018】
このプリント配線板1は、図1及び図2に示すように、絶縁性基板10と、電気回路パターン20と、絶縁層30と、被覆層40と、を備えている。
【0019】
絶縁性基板10は、図1に示すように、板状となっている。プリント配線板1がメンブレンやフレキシブルプリント配線板である場合には、絶縁性基板10は、例えばポリイミド(polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN: polyethylene naphthalate)等の可撓性を有する材料で構成されている。一方、プリント配線板1がリジッドプリント配線板の場合には、絶縁性基板10は、ガラスエポキシ系樹脂等の硬質な材料で構成される。
【0020】
電気回路パターン20は、図1及び図2に示すように、絶縁性基板10に形成されている。本実施形態における電気回路パターン20は、銅(Cu)からなる3本の配線21を有している。なお、配線21の数及び形状は、特に限定されない。また、本実施形態では配線21を銅で構成したが、特に限定されず、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)等の導電性を有する材料で構成してもよい。
【0021】
なお、本実施形態では、電気回路パターン20が絶縁性基板10の片面のみに形成されているが、電気回路パターン20を、絶縁性基板10の両面に形成してもよい。
【0022】
この電気回路パターン20は、図1及び2に示すように、配線21の端部に接続パッド22をさらに有している。
【0023】
接続パッド22は、ZIFコネクタ等の接続部品と電気的に接続される部分であり、図1に示すように、幅がW0となっている。なお、本実形態では、接続パッド22の幅W0は、配線21の幅と実質的に同一となっているが、特にこれに限定されない。
【0024】
この接続パッド22は、パッド本体部22aと、パッド隣接部22bと、から構成されている。
【0025】
パッド本体部22aは、接続パッド22において、プリント配線板1の先端側に位置する部分である。ここで、「先端側」とは、プリント配線板1の全体において一端1a側(図1中左側)を意味し、一方「後端側」とは、これとは逆側(他端側)を意味する。なお、パッド本体部22aは、本発明における「接続パッドにおけるその他の部分」の一例に相当する。
【0026】
パッド隣接部22bは、図1に示す平面視において、接続パッド22において絶縁層30との隣接部分(図1中模様を付した部分)であり、パッド本体部22aと絶縁層30との間に位置している。
【0027】
絶縁層30は、接続パッド22以外の電気回路パターン20(配線21)を保護している。この絶縁層30は、図2に示すように、接続パッド22を露出させた状態で、電気回路パターン20に積層されている。絶縁層30は、例えばポリイミドからなるフィルムに接着剤が積層されたカバーレイフィルムで構成されている。なお、絶縁層30を、硬化させた感光性樹脂フィルムや感光性樹脂インク等で構成してもよい。
【0028】
被覆層40は、図1及び図2に示すように、接続パッド22の全体(パッド本体部22a及びパッド隣接部22b)と絶縁層30の一部を被覆しており、接続パッド22の酸化や腐食を抑制している。この被覆層40は、硬化した導電性ペーストで構成されている。なお、導電性ペーストとしては、例えば、カーボンペースト、銀ペースト、金ペースト等を挙げることができる。
【0029】
被覆層40は、図1及び図2に示すように、後端側の末端が絶縁層30に乗り上がるように、接続パッド22から絶縁層30に亘って積層されており、被覆層40において絶縁層30に積層された部分は、図1に示す平面視において、当該末端に向かって幅が狭くなった三角形となっている。
【0030】
ここで、本実施形態では、接続パッド22のパッド隣接部22bと絶縁層30の端面31によって段差が形成されている。このため、硬化する前の導電性ペーストは、絶縁層30の端面31の周辺(段差部分)で最も滲み易く、被覆層40において絶縁層30の端面31に積層された部分の幅が最も広くなっている。
【0031】
次に、本実施形態におけるプリント配線板1の製造方法について説明する。
【0032】
図3は本実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示すフローチャート、図4は図3の電気回路形成工程におけるプリント配線板の平面図、図5は図3の第1の積層工程におけるプリント配線板の平面図、図6は図3の第2の積層工程におけるプリント配線板の断面図、図7は図3の第2の積層工程におけるプリント配線板の平面図、図8〜図11は図3の第2の積層工程の変形例を示すプリント配線板の平面図である。
【0033】
電気回路形成工程S10では、図4に示すように、接続パッド22を端部に有する電気回路パターン20を絶縁性基板10に形成する。具体的には、片面銅張積層板の銅箔をサブトラクティブ法(subtractive process)によりエッチングすることで電気回路パターン20を形成する。なお、電気回路パターン20を、絶縁性基板10の両面に形成する場合には、両面銅張積層板において両面に積層された銅箔をそれぞれサブトラクティブ法によりエッチングする。また、電気回路パターン20を、絶縁性基板10にアディティブ法(additive process)で直接的に形成してもよい。また、銀ペースト等の導電性ペーストを絶縁性基板10に印刷することで、電気回路パターン20を形成してもよい。
【0034】
第1の積層工程S20では、図5に示すように、接続パッド22を露出させた状態で、電気回路パターン20に絶縁層30を積層する。具体的には、例えばカバーレイフィルムの接着層を、接続パッド22を除く電気回路パターン20に貼り付けることで行う。なお、感光性樹脂フィルムや感光性樹脂インクを、接続パッド22を除く電気回路パターン20に積層し、露光して硬化させることで、絶縁層30を形成してもよい。
【0035】
第2の積層工程S30では、接続パッド22から絶縁層30に亘って導電性ペースト41を積層する。具体的には、スクリーン印刷で導電性ペースト41を印刷する。スクリーン印刷では、板状のメッシュ51の下面にマスク52を設けたスクリーン版50を用い、スキージ53でメッシュ51の上面から導電性ペースト41を押し付けながら移動させることで、導電性ペースト41を所定のパターンで印刷する(後述する図6を参照)。このように、本実施形態では、スクリーン印刷により導電性ペースト41を接続パッド22に積層するので、めっきで接続パッド22を被覆する場合と比較して、低コストとなっている。なお、導電性ペースト41としては、カーボンペースト、銀ペースト、金ペースト等を挙げることができる。
【0036】
ここで、絶縁層30が積層され、接続パッド22のパッド隣接部22bと絶縁層30の端面31により段差が形成された状態でプリント配線板1にスクリーン印刷をすると、図6に示すように、マスク52が絶縁層30と接触して、スクリーン版50が傾いた状態となる。このため、メッシュ51からパッド隣接部22bまでの距離が遠くなり、導電性ペースト41は、このパッド隣接部22bに積層された部分で最も滲み易くなる。
【0037】
また、導電性ペースト41が滲む際には、導電性ペースト41は、上記の段差を形成する絶縁層30の端面31により堰止められて、この端面31に沿って広がる。これにより、隣接する接続パッド22に積層された導電性ペースト41同士が短絡し易くなる。
【0038】
これに対し、本実施形態における第2の積層工程S30では、図7に示す平面視において、絶縁層30(端面31)との隣接部分であるパッド隣接部22b(図中模様を付した部分)に積層される導電性ペースト41の第1の幅W1を、パッド本体部22aに積層される導電性ペースト41の第2の幅W2よりも相対的に狭くしている(W1<W2)。これにより、導電性ペースト41が滲んでも、導電性ペースト41同士が短絡し難くなっている。
【0039】
一方、第2の幅W2に対して、第1の幅W1が狭過ぎると、接続パッド22が露出してしまう。そこで、第1の幅W1と第2の幅W2は、下記(1)式を満たすことが好ましい。
【0040】
0.3≦W1/W2≦0.6 …(1)式
【0041】
また、第1の幅W1と第2の幅W2は、下記(2)式を満たすことがより好ましい。
【0042】
0.4≦W1/W2≦0.6 …(2)式
【0043】
また、接続パッド22の幅W0と第1の幅W1は、下記(3)式を満たすことが好ましい。
【0044】
−20[μm]≦W1−W0≦20[μm] …(3)式
【0045】
このように、導電性ペースト41同士の短絡が抑制されることで、接続パッド22の狭ピッチ化を図ることができる。
【0046】
ここで、本実施形態では、図7に示す平面視において、パッド本体部22aには、第2の幅W2の帯形状41aで導電性ペースト41を積層し、パッド隣接部22bから絶縁層30に亘った部分には、底辺の幅を第2の幅W2とする二等辺三角形41bで導電性ペーストを積層している。
【0047】
なお、本実施形態において、隣接する接続パッド22間の距離を第1の距離L1とし、隣接して積層する導電性ペースト間の距離を第2の距離L2とし、二等辺三角形41bの底辺から絶縁層30の端面31までの距離を第3の距離L3とし、二等辺三角形41bの底辺から頂点までの距離を第4の距離L4とし、二等辺三角形41bの底角の角度をgとする。
【0048】
このように積層された導電性ペースト41は、滲みにより絶縁層30の端面31に沿って周囲に広がる。この導電性ペースト41を加熱して硬化させると、図1及び図2に示す被覆層40となる。
【0049】
本実施形態では、図7に示すように、パッド隣接部22bから絶縁層30に亘って二等辺三角形41bとなるように導電性ペースト41を積層しているが、パッド隣接部22bに導電性ペースト41を積層する際の第1の幅W1が、パッド本体部22aに導電性ペースト41を積層する際の第2の幅W2よりも相対的に狭くなっていれば、導電性ペースト41を積層する際の形状は、特に限定されない。
【0050】
例えば、二等辺三角形41bに換えて、単なる三角形や、図8に示すような台形41cや、図9に示すような半円41dにして、導電性ペースト41を積層してもよい。また、図10に示すように、第1の幅W1が第2の幅W2よりも相対的に狭くした帯形状41eで、パッド隣接部22bから絶縁層30に亘って導電性ペースト41を積層してもよい。また、図11に示すように、パッド隣接部22bから絶縁層30の亘る部分が括れた形状で、導電性ペースト41を積層してもよい。
【0051】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例】
【0052】
以下に、本発明をさらに具体化した実施例及び比較例により本発明の効果を確認した。以下の実施例及び比較例は、上述した実施形態におけるプリント配線板において、導電性ペースト間の短絡を抑制する効果を確認するためのものである。
【0053】
図12及び図13は実施例及び本発明に対する比較例の短絡数及びパッド露出数を示すグラフ、図14は本発明に対する比較例1のプリント配線板の平面図である。
【0054】
<実施例1>
実施例1では、上述した実施形態と同一構造のプリント配線板のサンプルを、上述した実施形態と同一の製造方法で、20個作製した。この実施例1のサンプルでは、表1に示すように、接続パッドの幅W0を100μmとし、第1の距離L1を200μmとした。また、1つのサンプルに対して接続パッドを20個形成し、接続パッドの総数を400個とした。また、被覆層40を構成する導電性ペーストには、粘度が35Pa・s〜45Pa・sのカーボンペーストを用いた。
【0055】
【表1】
この実施例1のサンプルを作製する際の第2の積層工程では、表1に示すように、第2の距離L2を100μmとし、第3の距離L3を500μmとし、第4の距離L4を1000μmとし、角度gを84度とし、第1の幅W1を100μmとし、第2の幅W2を200μmとした。
【0056】
この実施例1のサンプルに対し、顕微鏡を用いて外観検査(目視)を行い、導電性ペースト(被覆層)の短絡の有無と、接続パッドの露出の有無を調べた。導電性ペースト(被覆層)の短絡の有無については、隣接する接続パッドに積層された導電性ペースト同士(被覆層同士)が接続していれば短絡しているものとした。実施例1の結果を表2及び図12に示す。
【0057】
【表2】
なお、表2及び図12において、「短絡数」とは隣接する接続パッドに積層された導電性ペースト同士が短絡した数であり、「パッド露出数」とは導電性ペーストから露出した接続パッドの数であり、「短絡不良率」とは400個の接続パッドに積層した導電性ペーストの中で短絡した割合(短絡不良率[%]=短絡数/400)であり、「露出不良率」とは400個の接続パッドの中で露出した接続パッドの割合(露出不良率[%]=パッド露出数/400)である(後述する表4及び図13において同じ)。
【0058】
また、表2における「評価」では、短絡不良率が5%以上、又は露出不良率が10%以上であれば不合格の「×」とし、短絡不良率が5%未満であり、且つ露出不良率が10%未満であれば合格の「○」とし、短絡不良率が5%未満であり、且つ露出不良率が5%未満であれば合格の中でも好ましい「◎」とした(表4において同じ)。
【0059】
<実施例2>
実施例2では、表1に示すように、第3の距離L3を700μmとし、第1の幅W1を60μmとしたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルを20個作製した。この実施例2のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で外観検査を行った。実施例2の結果を表2及び図12に示す。
【0060】
<実施例3>
実施例3では、表3に示すように、第3の距離L3を200μmとし、第4の距離L4を500μmとし、角度gを79度とし、第1の幅W1を120μmとしたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルを20個作製した。この実施例3のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で外観検査を行った。実施例3の結果を、表4及び図13に示す。
【0061】
【表3】
【表4】
<実施例4>
実施例4では、表3に示すように、第3の距離L3を300μmとし、第4の距離L4を500μmとし、角度gを79度とし、第1の幅W1を80μmとしたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルを20個作製した。この実施例4のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で外観検査を行った。実施例4の結果を、表4及び図13に示す。
【0062】
<比較例1>
比較例1では、第2の積層工程において、角度gを90度とし、第1の幅W1を第2の幅W2と同一の200μmとし(W1=W2)、図14に示すような帯形状で、接続パッド23から絶縁層32に亘って導電性ペースト42を積層したこと以外は、実施例1のサンプルと同一構造のサンプルを20個作製した。この比較例1のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で外観検査を行った。比較例1の結果を、表2、図12及び図13に示す。
【0063】
<比較例2及び3>
比較例2及び3では、表1に示すように、第3の距離L3をそれぞれ100μm、300μmとし、第1の幅W1をそれぞれ180μm、140μmとしたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルを20個作製した。これらの比較例2及び3のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で外観検査を行った。比較例2及び3の結果を、表2及び図12に示す。
【0064】
<比較例4及び5>
比較例4及び5では、表3に示すように、第3の距離L3をそれぞれ50μm、400μmとし、第4の距離L4をそれぞれ500μmとし、角度gをそれぞれ79度とし、第1の幅W1をそれぞれ180μm、40μmとしたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルを20個作製した。これらの比較例4及び5のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で外観検査を行った。比較例4及び5の結果を、表4及び図13に示す。
【0065】
<考察>
比較例1〜4では、表2及び表4に示すように、短絡不良率が大きくなり、不合格となった。第2の幅W2に対して、第1の幅W1が広過ぎることが原因であると考えられる。
【0066】
一方、比較例5では、短絡不良率がゼロパーセントであったものの、露出不良率が大きくなり、不合格となった。これは、第2の幅W2及び接続パッドの幅W0に対して第1の幅W1が狭過ぎるために、導電性ペーストを積層する際の位置ずれにより接続パッドが露出したものと考えられる。
【0067】
これに対し、実施例1〜4は、合格であった。このことから、下記(1)式を満たすことで、プリント配線板を製造する際に、導電性ペースト同士の短絡を抑制しつつ、接続パッドの露出を抑制できることが分かる。
【0068】
0.3≦W1/W2≦0.6 …(1)式
【0069】
また、実施例1、3及び4では、短絡不良率及び露出不良率が共に5%以下となり、合格の中でも好ましい「◎」であった。このことから、下記(2)式或いは(3)式を満たすことで、導電性ペースト同士の短絡を効果的に抑制しつつ、接続パッドの露出をより確実に抑制できることが分かる。
【0070】
0.4≦W1/W2≦0.6 …(2)式
【0071】
−20[μm]≦W1−W0≦20[μm] …(3)式
【符号の説明】
【0072】
1…プリント配線板
10…絶縁性基板
20…電気回路パターン
21…配線
22…接続パッド
22a…パッド本体部
22b…パッド隣接部
30…絶縁層
40…被覆層
41…導電性ペースト
50…スクリーン版
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続パッドに導電性ペーストが積層されたプリント配線板の製造方法及びプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル配線基板に関し、銅などの導体の配線を腐食から保護するため、コネクタに接続する露出部分をめっきで覆い、露出部分以外を絶縁保護層フィルムで覆う手法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2005−252064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コネクタに接続される接続パッドにめっきなどの被覆層を形成する場合において、被覆層が意図しない場所に形成されると短絡の原因となるという問題があった。めっきに換えて導電性ペーストで被覆層を形成する場合には、導電性ペーストが滲み易く、短絡の問題は特に顕著である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、導電性ペースト同士の短絡を抑制できるプリント配線板の製造方法及びプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、接続パッドを端部に有する電気回路パターンを絶縁性基板に形成する電気回路形成工程と、前記接続パッドを露出させた状態で、前記電気回路パターンに絶縁層を積層する第1の積層工程と、前記接続パッドから前記絶縁層に亘って導電性ペーストを積層する第2の積層工程と、備えたプリント配線板の製造方法であって、前記第2の積層工程において、前記接続パッドにおける前記絶縁層との隣接部分に、第1の幅(W1)で前記導電性ペーストを積層すると共に、前記接続パッドにおけるその他の部分に、第2の幅(W2)で前記導電性ペーストを積層し、前記第1の幅(W1)は、前記第2の幅(W2)よりも相対的に狭いことを特徴とする。
【0007】
上記発明において、前記第1の幅(W1)と前記第2の幅(W2)は、下記式を満たしていてもよい。
【0008】
0.3≦W1/W2≦0.6
【0009】
上記発明において、前記接続パッドの幅(W0)と前記第1の幅(W1)は、下記式を満たしていてもよい。
【0010】
−20[μm]≦W1−W0≦20[μm]
【0011】
上記発明において、前記第2の積層工程では、スクリーン印刷により前記導電性ペーストを積層してもよい。
【0012】
本発明に係るプリント配線板は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板に積層され、接続パッドを端部に有する電気回路パターンと、前記接続パッドを露出させた状態で、前記電気回路パターンに積層された絶縁層と、硬化した導電性ペーストからなり、前記接続パッドから前記絶縁層に亘って積層された被覆層と、を備えたプリント配線板であって、前記絶縁層に積層された前記被覆層の幅は、末端に向かって狭くなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、接続パッドにおける絶縁層との隣接部分に積層される導電性ペーストの第1の幅を、接続パッドにおけるその他の部分に積層される導電性ペーストの第2の幅よりも相対的に狭くしているので、導電性ペースト同士の短絡を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施形態におけるプリント配線板の平面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図3の電気回路形成工程におけるプリント配線板の平面図である。
【図5】図5は、図3の第1の積層工程におけるプリント配線板の平面図である。
【図6】図6は、図3の第2の積層工程におけるプリント配線板の断面図である。
【図7】図7は、図3の第2の積層工程におけるプリント配線板の平面図である。
【図8】図8は、図3の第2の積層工程の第1変形例を示すプリント配線板の平面図である。
【図9】図9は、図3の第2の積層工程の第2変形例を示すプリント配線板の平面図である。
【図10】図10は、図3の第2の積層工程の第3変形例を示すプリント配線板の平面図である。
【図11】図11は、図3の第2の積層工程の第4変形例を示すプリント配線板の平面図である。
【図12】図12は、本発明の実施例及び本発明に対する比較例の短絡数及びパッド露出数を示すグラフである(その1)。
【図13】図13は、本発明の実施例及び本発明に対する比較例の短絡数及びパッド露出数を示すグラフである(その2)。
【図14】図14は、本発明に対する比較例1のプリント配線板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本実施形態におけるプリント配線板の平面図、図2は図1のII−II線に沿った断面図である。
【0017】
本実施形態におけるプリント配線板1は、例えば、ZIFコネクタ(ZIF:zero insertion force)等の接続部品に接続された状態で、デジタルカメラや携帯電話等の電子機器に組み込まれる。このようなプリント配線板1としては、例えば、メンブレン、フレキシブルプリント配線板(FPC:flexible printed circuit)、リジッドプリント配線板(rigid printed wiring board)等を挙げることができる。
【0018】
このプリント配線板1は、図1及び図2に示すように、絶縁性基板10と、電気回路パターン20と、絶縁層30と、被覆層40と、を備えている。
【0019】
絶縁性基板10は、図1に示すように、板状となっている。プリント配線板1がメンブレンやフレキシブルプリント配線板である場合には、絶縁性基板10は、例えばポリイミド(polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN: polyethylene naphthalate)等の可撓性を有する材料で構成されている。一方、プリント配線板1がリジッドプリント配線板の場合には、絶縁性基板10は、ガラスエポキシ系樹脂等の硬質な材料で構成される。
【0020】
電気回路パターン20は、図1及び図2に示すように、絶縁性基板10に形成されている。本実施形態における電気回路パターン20は、銅(Cu)からなる3本の配線21を有している。なお、配線21の数及び形状は、特に限定されない。また、本実施形態では配線21を銅で構成したが、特に限定されず、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)等の導電性を有する材料で構成してもよい。
【0021】
なお、本実施形態では、電気回路パターン20が絶縁性基板10の片面のみに形成されているが、電気回路パターン20を、絶縁性基板10の両面に形成してもよい。
【0022】
この電気回路パターン20は、図1及び2に示すように、配線21の端部に接続パッド22をさらに有している。
【0023】
接続パッド22は、ZIFコネクタ等の接続部品と電気的に接続される部分であり、図1に示すように、幅がW0となっている。なお、本実形態では、接続パッド22の幅W0は、配線21の幅と実質的に同一となっているが、特にこれに限定されない。
【0024】
この接続パッド22は、パッド本体部22aと、パッド隣接部22bと、から構成されている。
【0025】
パッド本体部22aは、接続パッド22において、プリント配線板1の先端側に位置する部分である。ここで、「先端側」とは、プリント配線板1の全体において一端1a側(図1中左側)を意味し、一方「後端側」とは、これとは逆側(他端側)を意味する。なお、パッド本体部22aは、本発明における「接続パッドにおけるその他の部分」の一例に相当する。
【0026】
パッド隣接部22bは、図1に示す平面視において、接続パッド22において絶縁層30との隣接部分(図1中模様を付した部分)であり、パッド本体部22aと絶縁層30との間に位置している。
【0027】
絶縁層30は、接続パッド22以外の電気回路パターン20(配線21)を保護している。この絶縁層30は、図2に示すように、接続パッド22を露出させた状態で、電気回路パターン20に積層されている。絶縁層30は、例えばポリイミドからなるフィルムに接着剤が積層されたカバーレイフィルムで構成されている。なお、絶縁層30を、硬化させた感光性樹脂フィルムや感光性樹脂インク等で構成してもよい。
【0028】
被覆層40は、図1及び図2に示すように、接続パッド22の全体(パッド本体部22a及びパッド隣接部22b)と絶縁層30の一部を被覆しており、接続パッド22の酸化や腐食を抑制している。この被覆層40は、硬化した導電性ペーストで構成されている。なお、導電性ペーストとしては、例えば、カーボンペースト、銀ペースト、金ペースト等を挙げることができる。
【0029】
被覆層40は、図1及び図2に示すように、後端側の末端が絶縁層30に乗り上がるように、接続パッド22から絶縁層30に亘って積層されており、被覆層40において絶縁層30に積層された部分は、図1に示す平面視において、当該末端に向かって幅が狭くなった三角形となっている。
【0030】
ここで、本実施形態では、接続パッド22のパッド隣接部22bと絶縁層30の端面31によって段差が形成されている。このため、硬化する前の導電性ペーストは、絶縁層30の端面31の周辺(段差部分)で最も滲み易く、被覆層40において絶縁層30の端面31に積層された部分の幅が最も広くなっている。
【0031】
次に、本実施形態におけるプリント配線板1の製造方法について説明する。
【0032】
図3は本実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示すフローチャート、図4は図3の電気回路形成工程におけるプリント配線板の平面図、図5は図3の第1の積層工程におけるプリント配線板の平面図、図6は図3の第2の積層工程におけるプリント配線板の断面図、図7は図3の第2の積層工程におけるプリント配線板の平面図、図8〜図11は図3の第2の積層工程の変形例を示すプリント配線板の平面図である。
【0033】
電気回路形成工程S10では、図4に示すように、接続パッド22を端部に有する電気回路パターン20を絶縁性基板10に形成する。具体的には、片面銅張積層板の銅箔をサブトラクティブ法(subtractive process)によりエッチングすることで電気回路パターン20を形成する。なお、電気回路パターン20を、絶縁性基板10の両面に形成する場合には、両面銅張積層板において両面に積層された銅箔をそれぞれサブトラクティブ法によりエッチングする。また、電気回路パターン20を、絶縁性基板10にアディティブ法(additive process)で直接的に形成してもよい。また、銀ペースト等の導電性ペーストを絶縁性基板10に印刷することで、電気回路パターン20を形成してもよい。
【0034】
第1の積層工程S20では、図5に示すように、接続パッド22を露出させた状態で、電気回路パターン20に絶縁層30を積層する。具体的には、例えばカバーレイフィルムの接着層を、接続パッド22を除く電気回路パターン20に貼り付けることで行う。なお、感光性樹脂フィルムや感光性樹脂インクを、接続パッド22を除く電気回路パターン20に積層し、露光して硬化させることで、絶縁層30を形成してもよい。
【0035】
第2の積層工程S30では、接続パッド22から絶縁層30に亘って導電性ペースト41を積層する。具体的には、スクリーン印刷で導電性ペースト41を印刷する。スクリーン印刷では、板状のメッシュ51の下面にマスク52を設けたスクリーン版50を用い、スキージ53でメッシュ51の上面から導電性ペースト41を押し付けながら移動させることで、導電性ペースト41を所定のパターンで印刷する(後述する図6を参照)。このように、本実施形態では、スクリーン印刷により導電性ペースト41を接続パッド22に積層するので、めっきで接続パッド22を被覆する場合と比較して、低コストとなっている。なお、導電性ペースト41としては、カーボンペースト、銀ペースト、金ペースト等を挙げることができる。
【0036】
ここで、絶縁層30が積層され、接続パッド22のパッド隣接部22bと絶縁層30の端面31により段差が形成された状態でプリント配線板1にスクリーン印刷をすると、図6に示すように、マスク52が絶縁層30と接触して、スクリーン版50が傾いた状態となる。このため、メッシュ51からパッド隣接部22bまでの距離が遠くなり、導電性ペースト41は、このパッド隣接部22bに積層された部分で最も滲み易くなる。
【0037】
また、導電性ペースト41が滲む際には、導電性ペースト41は、上記の段差を形成する絶縁層30の端面31により堰止められて、この端面31に沿って広がる。これにより、隣接する接続パッド22に積層された導電性ペースト41同士が短絡し易くなる。
【0038】
これに対し、本実施形態における第2の積層工程S30では、図7に示す平面視において、絶縁層30(端面31)との隣接部分であるパッド隣接部22b(図中模様を付した部分)に積層される導電性ペースト41の第1の幅W1を、パッド本体部22aに積層される導電性ペースト41の第2の幅W2よりも相対的に狭くしている(W1<W2)。これにより、導電性ペースト41が滲んでも、導電性ペースト41同士が短絡し難くなっている。
【0039】
一方、第2の幅W2に対して、第1の幅W1が狭過ぎると、接続パッド22が露出してしまう。そこで、第1の幅W1と第2の幅W2は、下記(1)式を満たすことが好ましい。
【0040】
0.3≦W1/W2≦0.6 …(1)式
【0041】
また、第1の幅W1と第2の幅W2は、下記(2)式を満たすことがより好ましい。
【0042】
0.4≦W1/W2≦0.6 …(2)式
【0043】
また、接続パッド22の幅W0と第1の幅W1は、下記(3)式を満たすことが好ましい。
【0044】
−20[μm]≦W1−W0≦20[μm] …(3)式
【0045】
このように、導電性ペースト41同士の短絡が抑制されることで、接続パッド22の狭ピッチ化を図ることができる。
【0046】
ここで、本実施形態では、図7に示す平面視において、パッド本体部22aには、第2の幅W2の帯形状41aで導電性ペースト41を積層し、パッド隣接部22bから絶縁層30に亘った部分には、底辺の幅を第2の幅W2とする二等辺三角形41bで導電性ペーストを積層している。
【0047】
なお、本実施形態において、隣接する接続パッド22間の距離を第1の距離L1とし、隣接して積層する導電性ペースト間の距離を第2の距離L2とし、二等辺三角形41bの底辺から絶縁層30の端面31までの距離を第3の距離L3とし、二等辺三角形41bの底辺から頂点までの距離を第4の距離L4とし、二等辺三角形41bの底角の角度をgとする。
【0048】
このように積層された導電性ペースト41は、滲みにより絶縁層30の端面31に沿って周囲に広がる。この導電性ペースト41を加熱して硬化させると、図1及び図2に示す被覆層40となる。
【0049】
本実施形態では、図7に示すように、パッド隣接部22bから絶縁層30に亘って二等辺三角形41bとなるように導電性ペースト41を積層しているが、パッド隣接部22bに導電性ペースト41を積層する際の第1の幅W1が、パッド本体部22aに導電性ペースト41を積層する際の第2の幅W2よりも相対的に狭くなっていれば、導電性ペースト41を積層する際の形状は、特に限定されない。
【0050】
例えば、二等辺三角形41bに換えて、単なる三角形や、図8に示すような台形41cや、図9に示すような半円41dにして、導電性ペースト41を積層してもよい。また、図10に示すように、第1の幅W1が第2の幅W2よりも相対的に狭くした帯形状41eで、パッド隣接部22bから絶縁層30に亘って導電性ペースト41を積層してもよい。また、図11に示すように、パッド隣接部22bから絶縁層30の亘る部分が括れた形状で、導電性ペースト41を積層してもよい。
【0051】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例】
【0052】
以下に、本発明をさらに具体化した実施例及び比較例により本発明の効果を確認した。以下の実施例及び比較例は、上述した実施形態におけるプリント配線板において、導電性ペースト間の短絡を抑制する効果を確認するためのものである。
【0053】
図12及び図13は実施例及び本発明に対する比較例の短絡数及びパッド露出数を示すグラフ、図14は本発明に対する比較例1のプリント配線板の平面図である。
【0054】
<実施例1>
実施例1では、上述した実施形態と同一構造のプリント配線板のサンプルを、上述した実施形態と同一の製造方法で、20個作製した。この実施例1のサンプルでは、表1に示すように、接続パッドの幅W0を100μmとし、第1の距離L1を200μmとした。また、1つのサンプルに対して接続パッドを20個形成し、接続パッドの総数を400個とした。また、被覆層40を構成する導電性ペーストには、粘度が35Pa・s〜45Pa・sのカーボンペーストを用いた。
【0055】
【表1】
この実施例1のサンプルを作製する際の第2の積層工程では、表1に示すように、第2の距離L2を100μmとし、第3の距離L3を500μmとし、第4の距離L4を1000μmとし、角度gを84度とし、第1の幅W1を100μmとし、第2の幅W2を200μmとした。
【0056】
この実施例1のサンプルに対し、顕微鏡を用いて外観検査(目視)を行い、導電性ペースト(被覆層)の短絡の有無と、接続パッドの露出の有無を調べた。導電性ペースト(被覆層)の短絡の有無については、隣接する接続パッドに積層された導電性ペースト同士(被覆層同士)が接続していれば短絡しているものとした。実施例1の結果を表2及び図12に示す。
【0057】
【表2】
なお、表2及び図12において、「短絡数」とは隣接する接続パッドに積層された導電性ペースト同士が短絡した数であり、「パッド露出数」とは導電性ペーストから露出した接続パッドの数であり、「短絡不良率」とは400個の接続パッドに積層した導電性ペーストの中で短絡した割合(短絡不良率[%]=短絡数/400)であり、「露出不良率」とは400個の接続パッドの中で露出した接続パッドの割合(露出不良率[%]=パッド露出数/400)である(後述する表4及び図13において同じ)。
【0058】
また、表2における「評価」では、短絡不良率が5%以上、又は露出不良率が10%以上であれば不合格の「×」とし、短絡不良率が5%未満であり、且つ露出不良率が10%未満であれば合格の「○」とし、短絡不良率が5%未満であり、且つ露出不良率が5%未満であれば合格の中でも好ましい「◎」とした(表4において同じ)。
【0059】
<実施例2>
実施例2では、表1に示すように、第3の距離L3を700μmとし、第1の幅W1を60μmとしたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルを20個作製した。この実施例2のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で外観検査を行った。実施例2の結果を表2及び図12に示す。
【0060】
<実施例3>
実施例3では、表3に示すように、第3の距離L3を200μmとし、第4の距離L4を500μmとし、角度gを79度とし、第1の幅W1を120μmとしたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルを20個作製した。この実施例3のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で外観検査を行った。実施例3の結果を、表4及び図13に示す。
【0061】
【表3】
【表4】
<実施例4>
実施例4では、表3に示すように、第3の距離L3を300μmとし、第4の距離L4を500μmとし、角度gを79度とし、第1の幅W1を80μmとしたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルを20個作製した。この実施例4のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で外観検査を行った。実施例4の結果を、表4及び図13に示す。
【0062】
<比較例1>
比較例1では、第2の積層工程において、角度gを90度とし、第1の幅W1を第2の幅W2と同一の200μmとし(W1=W2)、図14に示すような帯形状で、接続パッド23から絶縁層32に亘って導電性ペースト42を積層したこと以外は、実施例1のサンプルと同一構造のサンプルを20個作製した。この比較例1のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で外観検査を行った。比較例1の結果を、表2、図12及び図13に示す。
【0063】
<比較例2及び3>
比較例2及び3では、表1に示すように、第3の距離L3をそれぞれ100μm、300μmとし、第1の幅W1をそれぞれ180μm、140μmとしたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルを20個作製した。これらの比較例2及び3のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で外観検査を行った。比較例2及び3の結果を、表2及び図12に示す。
【0064】
<比較例4及び5>
比較例4及び5では、表3に示すように、第3の距離L3をそれぞれ50μm、400μmとし、第4の距離L4をそれぞれ500μmとし、角度gをそれぞれ79度とし、第1の幅W1をそれぞれ180μm、40μmとしたこと以外は、実施例1と同一構造のサンプルを20個作製した。これらの比較例4及び5のサンプルに対し、実施例1と同様の要領で外観検査を行った。比較例4及び5の結果を、表4及び図13に示す。
【0065】
<考察>
比較例1〜4では、表2及び表4に示すように、短絡不良率が大きくなり、不合格となった。第2の幅W2に対して、第1の幅W1が広過ぎることが原因であると考えられる。
【0066】
一方、比較例5では、短絡不良率がゼロパーセントであったものの、露出不良率が大きくなり、不合格となった。これは、第2の幅W2及び接続パッドの幅W0に対して第1の幅W1が狭過ぎるために、導電性ペーストを積層する際の位置ずれにより接続パッドが露出したものと考えられる。
【0067】
これに対し、実施例1〜4は、合格であった。このことから、下記(1)式を満たすことで、プリント配線板を製造する際に、導電性ペースト同士の短絡を抑制しつつ、接続パッドの露出を抑制できることが分かる。
【0068】
0.3≦W1/W2≦0.6 …(1)式
【0069】
また、実施例1、3及び4では、短絡不良率及び露出不良率が共に5%以下となり、合格の中でも好ましい「◎」であった。このことから、下記(2)式或いは(3)式を満たすことで、導電性ペースト同士の短絡を効果的に抑制しつつ、接続パッドの露出をより確実に抑制できることが分かる。
【0070】
0.4≦W1/W2≦0.6 …(2)式
【0071】
−20[μm]≦W1−W0≦20[μm] …(3)式
【符号の説明】
【0072】
1…プリント配線板
10…絶縁性基板
20…電気回路パターン
21…配線
22…接続パッド
22a…パッド本体部
22b…パッド隣接部
30…絶縁層
40…被覆層
41…導電性ペースト
50…スクリーン版
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続パッドを端部に有する電気回路パターンを絶縁性基板に形成する電気回路形成工程と、
前記接続パッドを露出させた状態で、前記電気回路パターンに絶縁層を積層する第1の積層工程と、
前記接続パッドから前記絶縁層に亘って導電性ペーストを積層する第2の積層工程と、備えたプリント配線板の製造方法であって、
前記第2の積層工程において、前記接続パッドにおける前記絶縁層との隣接部分に、第1の幅(W1)で前記導電性ペーストを積層すると共に、前記接続パッドにおけるその他の部分に、第2の幅(W2)で前記導電性ペーストを積層し、
前記第1の幅(W1)は、前記第2の幅(W2)よりも相対的に狭いことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記第1の幅(W1)と前記第2の幅(W2)は、下記式を満たすことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
0.3≦W1/W2≦0.6
【請求項3】
請求項1又は2記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記接続パッドの幅(W0)と前記第1の幅(W1)は、下記式を満たすことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
−20[μm]≦W1−W0≦20[μm]
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記第2の積層工程では、スクリーン印刷により前記導電性ペーストを積層することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板に積層され、接続パッドを端部に有する電気回路パターンと、
前記接続パッドを露出させた状態で、前記電気回路パターンに積層された絶縁層と、
硬化した導電性ペーストからなり、前記接続パッドから前記絶縁層に亘って積層された被覆層と、を備えたプリント配線板であって、
前記絶縁層に積層された前記被覆層の幅は、末端に向かって狭くなることを特徴とするプリント配線板。
【請求項1】
接続パッドを端部に有する電気回路パターンを絶縁性基板に形成する電気回路形成工程と、
前記接続パッドを露出させた状態で、前記電気回路パターンに絶縁層を積層する第1の積層工程と、
前記接続パッドから前記絶縁層に亘って導電性ペーストを積層する第2の積層工程と、備えたプリント配線板の製造方法であって、
前記第2の積層工程において、前記接続パッドにおける前記絶縁層との隣接部分に、第1の幅(W1)で前記導電性ペーストを積層すると共に、前記接続パッドにおけるその他の部分に、第2の幅(W2)で前記導電性ペーストを積層し、
前記第1の幅(W1)は、前記第2の幅(W2)よりも相対的に狭いことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記第1の幅(W1)と前記第2の幅(W2)は、下記式を満たすことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
0.3≦W1/W2≦0.6
【請求項3】
請求項1又は2記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記接続パッドの幅(W0)と前記第1の幅(W1)は、下記式を満たすことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
−20[μm]≦W1−W0≦20[μm]
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記第2の積層工程では、スクリーン印刷により前記導電性ペーストを積層することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板に積層され、接続パッドを端部に有する電気回路パターンと、
前記接続パッドを露出させた状態で、前記電気回路パターンに積層された絶縁層と、
硬化した導電性ペーストからなり、前記接続パッドから前記絶縁層に亘って積層された被覆層と、を備えたプリント配線板であって、
前記絶縁層に積層された前記被覆層の幅は、末端に向かって狭くなることを特徴とするプリント配線板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−166073(P2011−166073A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30295(P2010−30295)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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