説明

プルタブ操作補助具

【課題】単純な構成とすることができ、小型化が可能であり、かつ操作を容易とすることが可能なプルタブ操作補助具を提供する。
【解決手段】プルタブ24を引き起こす操作を補助するプルタブ操作補助具10であって、前記プルタブ24に形成された挿通孔25に挿通可能であるとともに、挿通孔25に挿通された状態で前記プルタブ24の前記挿通孔25の両側に係合可能に構成された挿通係合部12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプルタブ操作補助具に関し、プルトップ方式の缶を開ける際等に用いられるものに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や食物などを封入した缶において、上蓋の一部に切込部を形成し、この切込部に連結してプルタブを設け、このプルタブを外側に起立させることにより切込部を上蓋から切り離して内部へ押し込み開口させるプルトップ方式が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなプルトップ方式の缶を開ける際には、一般的に、操作者の爪をプルタブと上蓋の上面との間に挿入してプルタブに引っ掛けた状態で引き起こしている。このとき、プルタブの先端を所定の力で引き上げるため、爪に負荷がかかり、爪が損傷する原因となる。また、爪が短い場合には操作が困難となる。
【0004】
このような事情に鑑みて、開缶操作を補助するためのプルタブ操作補助具が提供されている(例えば、特許文献1参照)。このプルタブ操作補助具は、一端に当接部、中央に鉤型部、他端に摘み部、を備えており、操作者が摘み部を把持し、当接部でプルタブの基端を押さえ、かつ、鉤型部をプルタブ先端に引っ掛けた状態で、摘み部を上方に持ち上げることにより、プルタブを上に引き上げる操作を補助している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−109186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の技術では、支点、力点、作用点の間の距離を大きくとって上方からプルタブを引っ掛けるため、大型で、複雑な構造となるという問題がある。また各箇所の位置合わせや作業工程も複雑となる。
【0007】
そこで、本発明は、単純な構成とすることができ、小型化が可能であり、かつ操作を容易とすることが可能なプルタブ操作補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係るプルタブ操作補助具は、プルタブを引き起こす操作を補助するプルタブ操作補助具であって、前記プルタブに形成された前記挿通孔に挿通可能であるとともに、前記挿通孔に挿通された状態で前記プルタブの前記挿通孔の挿通方向両側に係合可能に構成された挿通係合部を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の他の一形態に係るプルタブ操作補助具は、長手方向一端側に配される前記挿通係合部と、長手方向他端側に配されて操作者が把持するつまみ部とが連続して一体に設けられたことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の一形態に係るプルタブ操作補助具は、前記挿通係合部は、前記プルタブの挿通孔の幅よりも狭い幅寸法を有し、その先端側が前記プルタブの自由端側から前記プルタブの裏側に挿入され、前記挿通孔を通って表側に乗り上げるように前記挿通孔に挿通可能であり、挿通状態において前記プルタブの前記挿通孔の挿通方向基端側の部材の裏側と挿通方向先端側の部材の表側に係合するように、曲成された曲部を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の一形態に係るプルタブ操作補助具は、前記つまみ部に、ストラップ取付部が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、単純な構成とすることができ、小型化が可能であり、かつ操作を容易とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプルタブ操作補助具の構成を示す斜視図。
【図2】同実施形態に係るプルタブ操作補助具の構成を示す平面図。
【図3】同実施形態に係るプルタブ操作補助具の構成を示す側面図。
【図4】同実施形態に係るプルタブ操作補助具を用いた開缶動作の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかるプルタブ操作補助具の構成について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、プルタブ操作補助具の構成を示す斜視図であり、図2は同平面図、図3は同側面図である。図中矢印X,Y,Zはそれぞれ互いに直交する3方向を示す。また、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。
【0015】
開缶操作の対象となるプルトップ缶20は、内部に液体等を封入する円筒状の収容部21と、収容部21の上面を塞ぐ蓋部22と、蓋部22の一部に形成され開口を形成する切込片23と、切込片23に取り付けられたプルタブ24と、を有して構成されている。
【0016】
プルタブ24は、切込片23の上に支持部28、29を介して重ねて取り付けられるとともに曲げ変形可能な取付片24aと、切込片23上に配され開操作の際に切込片23を下方に押圧する押圧部24bと、支持部28から離間した自由端において幅方向に延びる第1フレーム24cと、第1フレーム24cと支点28との間において幅方向に延びる第2フレーム24dと、第1フレーム24c及び第2フレーム24dの幅方向両端部と押圧部24bとを連結する2本の連結フレーム24e,24eと、を一体に備え、フレーム24c〜24eによって囲まれる領域に開口となる挿通孔25を形成している。
【0017】
第1フレーム24c及び第2フレーム24dはそれぞれ図中X方向に沿う幅方向に平行に延びている。第1フレーム24c、第2フレーム24d、支持部28、押圧部24bの順で、Y方向に沿う長さ方向において互いに離間して並列している。Y方向一方の第1フレーム24c側が自由端となっている。
【0018】
開缶操作の対象となるプルトップ缶20は、例えば、プルタブ24の長さ寸法Y1=約25mm、プルタブ24の幅寸法X1=約16mm、挿通孔25の幅寸法X2=約12mm、第2フレーム24dから自由端である第1フレーム24cまでの長さ寸法Y2=約10mmに寸法設定されている。
【0019】
プルタブ操作補助具は、プルタブ24缶のプルタブ24を引き起こす操作を補助する補助具であって、例えば強化プラスチックからなる一枚の板状部材10aで構成され、つまみ部11と挿通係合部12とが一体に連続して構成されている。Y軸に沿う長手方向一端側に挿通係合部12が配され、長手方向他端側に操作者が例えば2本の指でつまんで把持するつまみ部11が配されている。
【0020】
プルタブ操作補助具は、平面視において、細長円形状のつまみ部11と、つまみ部11よりも幅の狭い細長円形状の挿通係合部12とが、さらに幅が小さい連結部13を介して連続している。
【0021】
挿通係合部12は、挿通孔25よりも狭い幅寸法を有して形成され、プルタブ24に形成された挿通孔25に挿通可能になっている。
【0022】
挿通係合部12は曲成され、図3に示す側面視において湾曲した曲部14と、曲部14から先端において表側に向かって傾斜する返し部15とを有して構成されている。
【0023】
挿通係合部12は、先端側がプルタブ24の自由端側からプルタブ24の第1フレーム24cの裏側と蓋部22の上面との間の隙間に挿入され、さらに挿通孔25を通って表側に乗り上げることにより、挿通状態で第1フレーム24c及び第2フレーム24dに係合可能に構成されている。
【0024】
返し部15は厚み寸法が先端に向かって低減するようにテーパ状に構成されている。このテーパ状の構成により、プルタブ24の自由端側と蓋部との間に挿入しやすい構成になっている。例えば返し部15の先端部15aの厚さ寸法T2は2mm以下が望ましい。
【0025】
つまみ部11は、操作者が2本の指でつまんで支持可能な所定の板状に構成され、その長手方向端部にストラップ取付孔16(ストラップ取付部)が形成されている。このストラップ取付孔16を介して、例えば携帯電話のストラップ30等が取り付け可能となっている。
【0026】
本実施形態のプルタブ操作補助具は、例えば、プルタブ操作補助具の長さ寸法Y3=40mm、つまみ部11の幅寸法X3=15mm、つまみ部11の厚さ寸法T1=4mm、挿通係合部12の長さ寸法Y4=10mm、挿通係合部12の幅寸法X4=0.8mm、返し部15先端の厚さ寸法T2=1mmに寸法設定されている。
【0027】
以下、本実施形態にかかるプルタブ操作補助具を用いた開缶動作について、図4を参照して説明する。図4はプルタブ操作補助具を用いた開缶動作を示す断面図であり、図4(a)は挿入動作、図4(b)は挿通動作、図4(c)は引き起こし動作を、それぞれ示している。
【0028】
まず、図4(a)に示すように、操作者はつまみ部11を2本の指31でつまみ、プルタブ24プルタブ操作補助具を保持する。この状態で、プルタブ24の自由端側から、第1フレーム24cの裏側の間隙に先端部を挿入させる(挿入動作)。
【0029】
つぎに、図4(b)に示すように、つまみ部11を下方に移動させるようにプルタブ操作補助具を寝かせるように傾けて、先端部分を上方に向けながら、第2フレーム24dに向かって移動させ、挿通孔25に挿通する(挿通動作)。この挿通動作により、先端が第1フレーム24cの裏側から挿通孔25を縫うように通って第2フレーム24dの表側に乗り上げる。
【0030】
図4(b)のように、プルタブ操作補助具が横臥した状態の側面視においては、つまみ部11は先端側が下方に位置するように直線状に傾斜し、曲部14が最も下方に位置し、返し部15が曲部14から連続して先端側が上方に向かうように傾斜している。
【0031】
この挿通状態では、曲部14の上面が第1フレーム24cの下面に当接し、返し部15の下面が第2フレーム24dの上面に当接し、プルタブ操作補助具がプルタブ24の挿通孔25の両側においてフレーム24c,24dに係合することにより、プルタブ24の自由端側に、プルタブ操作補助具が連結した状態となる。
【0032】
この状態から、図4(c)に示すように、つまみ部11を保持したまま上方へ回動移動させる(引き起こし動作)。以上により、支持部28を中心としてプルタブ24が回動し、起立する。同時に、曲げ変形可能に構成された取付片24aが屈曲し、押圧部24bが切込片23を下方に押し下げることにより、切込片23が蓋部22から切り離されて内部へ押し込まれ、開口する。
【0033】
この引き起こし動作の際には、プルタブ24の自由端にプルタブ操作補助具が連結した状態となっているため、プルタブ操作補助具がプルタブ24の自由端側に突出した長さの分、力点と支点の長さが延長する。したがって、支持部28近傍の支点から力点となるつまみ部11までの距離を大きくとることができるので、引き起こすための力は少なくても容易に起立させることができる。
【0034】
さらに、プルタブ操作補助具の係合を外し、起立したプルタブ24の自由端側を元に戻すように横臥させることにより、開缶作業が完了する。
【0035】
本実施形態にかかるプルタブ操作補助具によれば、プルタブ24に形成された挿通孔25に挿通可能であるとともに、挿通状態で挿通孔25の両側に係合可能に構成したことにより、単純な形状で、小型化が可能であり、かつ操作も容易にすることができる。
【0036】
すなわち、挿通孔25及び2つのフレーム24c,24dを有する一般的なプルタブ24の構成を利用して、挿通孔25を通してその両側に係合させるだけの簡単な構造で、容易に係合させることができる。このため、係合するための鉤部などを形成する必要がなく、一枚の板状部材で構成される単純形状とすることができる。このため設計の自由度が高く、平面視において様々な形状を適用でき、各種模様などの所望の造形とすることができる。先端を湾曲させた構成により、一連の動作で滑らかに挿入動作及び挿通動作を行うことができ、作業工程を少なくすることが可能である。
【0037】
先端側の挿通係合部12をプルタブ24の自由端側に連結させて支点からの距離を延長することができるので、プルタブ操作補助具を小型にしながらも、操作に必要な力を少なくすることが出来る。例えば一般的な飲料の缶の規格に適用する場合には全長を4cm以下としても十分な効果が得られる。このため、携帯電話のストラップなどに適用でき、実用性が高い。さらに、支点などの位置合わせも不要であるため、作業を単純にすることができる。
【0038】
なお、本発明は上記各実施形態で例示したものに限られるものではなく、各部の形状や材質などの具体的構成について適宜変更可能である。例えば、上記実施形態ではつまみ部11や挿通係合部12を平面視長円形板状として連結させた形状を例示したが、これに限られるものではなく、矩形、棒状、球状、多角形など、他の形状であっても本発明を適用できる。また、側面視において、つまみ部11を一直線状として、曲部14及び返し部15を有して曲成した形状を例示したがこれに限られるものではなく、挿通係合が可能であればよく、他の形状も適用できる。
【0039】
この他、本発明は、実施段階においてその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…操作補助具、10a…板状部材、11…つまみ部、12…挿通係合部、
13…連結部、14…曲部、15…返し部、15a…先端部、
16…ストラップ取付孔(ストラップ取付部)、20…プルトップ缶、21…収容部、
22…蓋部、23…切込片、24…プルタブ、24a…取付片、24b…押圧部、
24c…第1フレーム、24d…第2フレーム、24e.24e…連結フレーム、
25…挿通孔、28.29…支持部、30…ストラップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プルタブを引き起こす操作を補助するプルタブ操作補助具であって、
前記プルタブに形成された挿通孔に挿通可能であるとともに、前記挿通孔に挿通された状態で前記プルタブの前記挿通孔の挿通方向両側に係合可能に構成された挿通係合部を備えたことを特徴とする、プルタブ操作補助具。
【請求項2】
長手方向一端側に配される前記挿通係合部と、長手方向他端側に配されて操作者が把持するつまみ部とが連続して一体に設けられたことを特徴とする請求項1記載のプルタブ操作補助具。
【請求項3】
前記挿通係合部は、前記プルタブの前記挿通孔の幅よりも狭い幅寸法を有し、その先端側が前記プルタブの自由端側から前記プルタブの裏側に挿入され、前記挿通孔を通って表側に乗り上げるように前記挿通孔に挿通可能であり、挿通状態において前記プルタブの前記挿通孔の挿通方向基端側の部材の裏側と挿通方向先端側の部材の表側に係合するように、曲成された曲部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のプルタブ操作補助具。
【請求項4】
前記つまみ部に、ストラップ取付部が設けられたことを特徴とする請求項3記載のプルタブ操作補助具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−63278(P2011−63278A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213648(P2009−213648)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(509259507)
【Fターム(参考)】