説明

プレキャスト部材の取り付け方法及びプレキャスト部材

【課題】プレキャスト部材を迅速かつ確実に水上構造物の下面側に固定できるプレキャスト部材の取り付け方法を提供する。
【解決手段】水上に張り出された桟橋1の下面側11aに防舷材壁2を取り付けるプレキャスト部材の取り付け方法である。
そして、PC鋼棒22が突出された防舷材壁を製作する工程と、その工程と並行又は前後して、PC鋼棒を挿通させる貫通孔14と吊りワイヤ321を挿通させる開口部15が水上に張り出された張出部12に形成された桟橋を構築する工程と、PC鋼棒が上方に突出された状態で防舷材壁2を開口部に挿通させた吊りワイヤによって吊り下げる工程と、防舷材壁を吊り上げて貫通孔にPC鋼棒を挿通させる工程と、PC鋼棒を緊張して防舷材壁と張出部とを接合する工程とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶を係留させる岸壁やケーソンや桟橋などの水上構造物に、プレキャスト部材を取り付ける際の方法、及びそれに使用されるプレキャスト部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶を接舷する際の衝撃を緩和させるために、岸壁やケーソンや桟橋などの水上構造物に防舷材を取り付けることが知られている(特許文献1−3など参照)。
【0003】
この防舷材は、水面に隣接して配置されるため、その取り付けは潜水士によっておこなわれる。
【0004】
また、これらの特許文献に開示されているように、施工条件の悪い水上での作業を減らして、高品質の構造物を効率的に構築するためにプレキャスト部材を利用する方法が知られている。
【特許文献1】特開平3−100217号公報
【特許文献2】特開2007−32003号公報
【特許文献3】特開平9−137424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにプレキャスト部材を利用すると現場での作業を減らすことができるが、本体構造物とプレキャスト部材とを如何にして迅速に一体化させるかという課題が残る。
【0006】
特に、水上構造物の下面側にプレキャスト部材を取り付ける場合は、波浪などの影響を受けやすいので、迅速、かつ、確実に固定される方法の開発が望まれる。
【0007】
そこで、本発明は、プレキャスト部材を迅速かつ確実に水上構造物の下面側に固定できるプレキャスト部材の取り付け方法、及びそれに使用されるプレキャスト部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のプレキャスト部材の取り付け方法は、水上に張り出された水上構造物の下面側にプレキャスト部材を取り付けるプレキャスト部材の取り付け方法において、PC鋼棒が突出されたプレキャスト部材を製作する工程と、前記工程と並行又は前後して、前記PC鋼棒を挿通させる貫通孔と吊りワイヤを挿通させる開口部が水上に張り出された張出部に形成された水上構造物を構築する工程と、前記PC鋼棒が上方に突出された状態で前記プレキャスト部材を前記開口部に挿通させた吊りワイヤによって吊り下げる工程と、前記プレキャスト部材を吊り上げて前記貫通孔に前記PC鋼棒を挿通させる工程と、前記PC鋼棒を緊張して前記プレキャスト部材と前記張出部とを接合する工程とを備えたことを特徴とする。
【0009】
ここで、前記プレキャスト部材を吊り下げる工程においては、前記プレキャスト部材を第1のクレーンで吊り下げた状態で、第2のクレーンの吊りワイヤを前記開口部に挿通させて前記プレキャスト部材に連結させ、前記第2のクレーンの吊りワイヤに荷重を移して吊り下げさせることができる。
【0010】
また、前記プレキャスト部材と前記張出部とを接合する工程において、前記プレキャスト部材の上面と前記張出部の下面とを接着剤を介して接合させてもよい。
【0011】
さらに、前記プレキャスト部材と前記張出部とを接合する工程において、前記プレキャスト部材の上面と前記張出部の下面とを凹凸嵌合を介して接合させる構成とすることもできる。
【0012】
また、前記プレキャスト部材と前記張出部とを接合する工程において、前記貫通孔の前記PC鋼棒との隙間に充填材を充填することもできる。
【0013】
そして、前記プレキャスト部材は、一側面に防舷材が取り付けられた部材を使用することができる。
【0014】
また、本発明のプレキャスト部材は、水上に張り出された水上構造物の下面側に取り付けられるプレキャスト部材であって、コンクリートによって成形される壁部と、その壁部の上面から突出されるPC鋼棒と、前記壁部の一側面に取り付けられる防舷材とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このように構成された本発明のプレキャスト部材の取り付け方法は、PC鋼棒が突出されたプレキャスト部材を使用し、水上構造物の張出部に設けられた貫通孔にPC鋼棒を下から挿入し、PC鋼棒を緊張することで、張出部の下面側にプレキャスト部材を接合する。
【0016】
このため、プレキャスト部材を、迅速かつ確実に水上構造物の下面側に固定することができる。また、PC鋼棒と貫通孔とによって位置合わせがおこなわれるので、正確な位置にプレキャスト部材を取り付けることができる。
【0017】
さらに、張出部に貫通孔の他に吊りワイヤを挿通させる開口部を設けることで、その開口部を利用して、貫通孔の真下にPC鋼棒が位置するようにプレキャスト部材を吊り下げることができ、迅速に接合作業をおこなうことができる。
【0018】
また、2台のクレーンを利用して荷重を移し換える方法であれば、位置合わせを容易におこなうことができる。
【0019】
さらに、接着剤を併用することで、より強固にプレキャスト部材と張出部とを接合することができる。また、凹凸嵌合を介して接合させることで、せん断抵抗を高めることができる。
【0020】
また、貫通孔のPC鋼棒との隙間に充填材を充填することで、防食性能を高めることができる。
【0021】
さらに、防舷材が側面に取り付けられたプレキャスト部材であれば、プレキャスト部材を取り付けるだけで防舷材も所定の位置に配置されるので、潜水士によって後から防舷材を取り付けるというような作業を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態のプレキャスト部材としての防舷材壁2を、水上構造物としての桟橋1の下面側11aに取り付ける工程を説明する断面図、図2は同じく桟橋1に防舷材壁2を取り付ける工程を説明する平面図である。
【0024】
まず、この桟橋1について説明すると、この桟橋1は、水面Wから上部が突出される鋼管杭などの杭13と、その杭13に支持されるスラブ11とによって主に構成される。
【0025】
このスラブ11は、鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリートなどによって構築される版状部材で、下面側11aが梁状に形成されるとともに、杭13より外側の水面W上に張り出された張出部12が形成されている。
【0026】
また、この張出部12には、上面側11bから下面側11aに貫通する複数の孔が設けられている。これらの孔の一部は、後述するPC鋼棒22を挿通させる貫通孔14,・・・で、残りは吊りワイヤ321を挿通させる開口部15,15となる。すなわち、この貫通孔14,・・・には、防舷材壁2のPC鋼棒22,・・・を挿通させる。
【0027】
この防舷材壁2は、鉄筋コンクリートなどによって成形される壁部21と、その上面から突出される複数のPC鋼棒22,・・・と、同じく上面から上方に突設される截頭四角錐状の凸部23と、壁部21の一側面に取り付けられる防舷材24とから主に構成される。
【0028】
この防舷材24は、船舶を接舷させる際の外力を受ける緩衝材で、ゴム、積層ゴム、タイヤコードなどによって形成される。また、ボルト24a,・・・によって壁部21に固定される。
【0029】
また、この壁部21の上面には、第1のクレーン31の吊りワイヤ311を連結させる吊り金具25,25が装着されている。また、壁部21の防舷材24を取り付けた面に直交する両側面には、第2のクレーン32の吊りワイヤ321を連結させる吊り金具26,26が装着されている。ここで、壁部21の上面に装着される吊り金具25,25は、利用後に取り外せるように着脱可能に構成されるが、側面に設ける吊り金具26,26は、着脱可能であっても、埋設してあってもいずれでもよい。
【0030】
さらに、この吊り金具26,26は、吊りワイヤ321,321で防舷材壁2を吊り下げたときに、壁部21の上面が水平になり、PC鋼棒22,・・・が鉛直上方に向けて延伸されるように、防舷材壁2の吊り重心の位置に合わせて取り付けられる。
【0031】
一方、PC鋼棒22,・・・は、下半部が壁部21に埋設されて、上半部が上方に突出している。このPC鋼棒22,・・・を設ける本数は、防舷材壁2に作用する荷重及び所望される接合強度に合わせて、任意に設定することができる。
【0032】
そして、図1,2に示すように、このPC鋼棒22,・・・の数と位置に合わせて、張出部12の対応する位置に、PC鋼棒22,・・・の外径より大きな内径の貫通孔14,・・・を設ける。
【0033】
また、この貫通孔14,・・・にPC鋼棒22,・・・を挿通させた際に配置される吊り金具26,26の真上の位置に、開口部15,15を設ける。このような位置関係で貫通孔14,・・・と開口部15,15を設けることで、開口部15,15から吊り下げられた吊りワイヤ321,321を真上に吊り上げれば、自ずと貫通孔14,・・・にPC鋼棒22,・・・が挿入されることになる。
【0034】
次に、本実施の形態の防舷材壁2の取り付け方法について説明する。
【0035】
まず、上述したプレキャスト部材としての防舷材壁2を、工場又は製作ヤードにおいて製作する。この防舷材壁2は、鉄筋コンクリートによって、PC鋼棒22,・・・が突出された壁部21を成形し、所定の強度に達した後に、その壁部21の一側面に防舷材24をボルト24a,・・・によって固定することによって製作する。
【0036】
また、この防舷材壁2の製作と並行又は前後して、桟橋1及びその張出部12を構築する。ここで、張出部12には、防舷材壁2を取り付ける位置に合わせて、貫通孔14,・・・及び開口部15,15をそれぞれ設ける。
【0037】
また、桟橋1のスラブ11の上には、図2に示すように2台のクレーン31,32が設置される。これらのクレーン31,32は、ブーム314,324と、その先端から垂下されて巻き上げ、巻き下げされるワイヤ313,323と、その下端に設けられるフック312,322と、フック312,322に吊り下げられる吊りワイヤ311,321とをそれぞれ備えている。
【0038】
さらに、防舷材壁2を設置する箇所を両側から挟むような足場4(図7参照)を、クレーン31を使って設置する。なお、図1−図6では、他の説明の支障となるため、足場4の図示は省略してある。この足場4は、PC鋼棒22,・・・を貫通孔14,・・・に挿入させる際の補助作業、後述するクレーン31,32の吊り換え作業、防舷材壁2の接合面に接着剤を塗布する作業、接合部の表面処理作業などで作業足場として使用される。
【0039】
そして、取り付ける数に合わせて工場で製作された防舷材壁2,・・・を、スラブ11上に搬入し、第1のクレーン31から吊り下げられた吊りワイヤ311を、防舷材壁2の吊り金具25,25に連結する。
【0040】
ここで、防舷材壁2の姿勢が図1に示すような向きでない場合は、姿勢を変えてPC鋼棒22,・・・が上方に向けて突出する向きにして防舷材壁2を吊り上げる。
【0041】
この防舷材壁2は、最初は、第1のクレーン31によって吊り上げられて、図1,2に示すように、張出部12の外側の水面W上まで横方向に移動される。続いて、PC鋼棒22,・・・の上端がスラブ11の下面側11aに衝突しない位置までワイヤ313が巻き下げられる。
【0042】
一方、第2のクレーン32の吊りワイヤ321は、それぞれの開口部15,15に挿入し、図1に示すように下面側11aから吊りワイヤ321の下端が下方に突出された状態にしておく。
【0043】
そして、足場4(図7参照)に配置された作業員により、図3に示すように、吊りワイヤ321の下端が防舷材壁2の吊り金具26に連結される。図4は、このように2台のクレーン31,32によって防舷材壁2が吊り下げられている状態を示した正面図である。
【0044】
また、図5は、第1のクレーン31から第2のクレーン32に吊り換えをおこなう作業を説明する説明図である。この吊り換えをおこなう前は、防舷材壁2の荷重はすべて第1のクレーン31の吊りワイヤ311によって支持されている。
【0045】
そして、吊り換えに際して、クレーン31のワイヤ313を巻き下げるとともに、第2のクレーン32のワイヤ323を巻き上げる。すると、防舷材壁2は、開口部15の真下に向けて横移動するとともに、防舷材壁2の荷重はクレーン31からクレーン32に徐々に移動することになる。
【0046】
このようにして防舷材壁2の側面の吊り金具26が開口部15の真下の位置にくるまで移動させると、吊りワイヤ321は鉛直に垂れ下がることになり、この状態で第1のクレーン31の吊りワイヤ311を吊り金具25から外し、壁部21の上面から突出した吊り金具25,25を取り外す。また、この壁部21の上面は、接合面となるため清掃し、接着剤を塗布する。この接着剤には、例えば硬化後の圧縮強度が60N/mm以上の高強度の接着剤が使用できる。
【0047】
そして、図6に示すように、第2のクレーン32のワイヤ323を巻き上げて防舷材壁2を吊り上げる。ここで、開口部15に隣接して設けられた貫通孔14,・・・の平面位置と、開口部15から鉛直に吊り下げられた吊りワイヤ321に吊られた防舷材壁2のPC鋼棒22,・・・の平面位置とは、位置合わせされているので、防舷材壁2を真上に吊り上げると、PC鋼棒22,・・・が貫通孔14,・・・にそれぞれ挿入されることになる。なお、作業中は、波浪により揺れが生じるので、足場4にいる作業員が補助することで微調整をしながらこの挿入作業をおこなう。
【0048】
また、壁部21の上面がスラブ11の下面側11aに当接されるまで吊り上げると、壁部21の上面に突設された凸部23が下面側11aに設けられた凹部16に嵌り、凹凸嵌合が形成される。
【0049】
このようにしてスラブ11の上面側11bに突出されたPC鋼棒22,・・・の上端には、支圧板及びナットなどからなる定着具22a,・・・を装着して仮固定し、吊りワイヤ321をフック322から外す。
【0050】
そして、図7に示すように定着具22aの上方からPC鋼棒22の上端に、緊張ジャッキ5を装着する。
【0051】
このPC鋼棒22は、偏圧が作用しないように各PC鋼棒22,・・・に順次、緊張ジャッキ5で緊張力を導入し、設計緊張力を導入した後に定着具22aで固定する。このようにしてすべてのPC鋼棒22,・・・に設計緊張力を導入して定着具22a,・・・で固定させると、防舷材壁2と張出部12とが一体化されたことになる。
【0052】
この緊張作業は、接合面に塗布した接着剤が硬化する前におこなうため、防舷材壁2と張出部12との境界の表面に接着剤が漏れ出すことがあり、そのような漏れ出た接着剤は、除去したり均したりするなどして接合部の表面処理をおこなう。
【0053】
また、貫通孔14の下部には、図8に示すような注入ホース14aが予め接続されており、その注入ホース14aから貫通孔14とPC鋼棒22との隙間に充填材としての無収縮グラウトを充填する。なお、図示していないが、貫通孔14の上端と定着具22aとの間には隙間があり、そこから空気が抜けるので、貫通孔14内に無収縮グラウトを充満させることができる。また、作業終了後は、不要となった足場4を撤去し、別の防舷材壁2を取り付ける箇所で再利用する。
【0054】
次に、本実施の形態の防舷材壁2の取り付け方法の作用について説明する。
【0055】
このように構成された本実施の形態の防舷材壁2の取り付け方法は、PC鋼棒22,・・・が突出された防舷材壁2を使用し、桟橋1の張出部12に設けられた貫通孔14,・・・にPC鋼棒22,・・・を下から挿入し、PC鋼棒22,・・・を緊張することで、張出部12の下面側11aに防舷材壁2を接合する。
【0056】
このため、短時間で防舷材壁2を桟橋1の下面側11aに固定することができる。また、PC鋼棒22,・・・を緊張することによる接合であれば、信頼性が高く、確実に両者を一体化することができる。すなわち、従来のように接合部で鉄筋を組んだり、接合部に充填したコンクリートが硬化するまで養生したりする必要がない。
【0057】
さらに、PC鋼棒22,・・・が貫通孔14,・・・に挿入されることによって壁部21が所定の位置に導かれるため、正確な位置に防舷材壁2を取り付けることができる。すなわち、張出部12に、貫通孔14の他に吊りワイヤ321を挿通させる開口部15を設けることで、その開口部15を利用して、貫通孔14の真下にPC鋼棒22が位置するように防舷材壁2を吊り下げることができ、位置合わせに時間を浪費されることなく迅速に接合作業をおこなうことができる。
【0058】
また、2台のクレーン31,32を利用して荷重を移し換える方法であれば、常にいずれかのクレーン31,32で防舷材壁2を支持させておくことができ、作業性が良く、位置合わせも容易におこなうことができる。
【0059】
さらに、接着剤を併用することで、より強固に防舷材壁2と張出部12とを接合することができる。また、凹凸嵌合を介して接合させることで、防舷材壁2に水平方向の外力が作用しても、凸部23がせん断キーとなるため、せん断抵抗を高めることができる。なお、この凹凸嵌合は、防舷材壁2側が凹部、下面側11aが凸部であってもよい。
【0060】
また、貫通孔14のPC鋼棒22との隙間に充填材を充填することで、雨水や海水が隙間に浸入してPC鋼棒22を腐蝕させることがなく、防食性能を高めることができる。
【0061】
さらに、防舷材24が側面に取り付けられた防舷材壁2を取り付けるのであれば、この防舷材壁2の取り付け作業だけで防舷材24も所定の位置に配置されるので、潜水士によって後から壁部21に防舷材24を取り付けるというような作業を省くことができる。
【0062】
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0063】
例えば、前記実施の形態では、吊りワイヤ321を挿通させる開口部15を孔として説明したが、これに限定されるものではなく、一側が開放された切欠きを開口部とすることもできる。
【0064】
また、前記実施の形態では、2台のクレーン31,32を使用して防舷材壁2を取り付ける方法について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば防舷材壁2を筏や船で張出部12の真下まで運び、クレーン32の吊りワイヤ321を吊り金具26に連結させる方法であってもよい。
【0065】
さらに、前記実施の形態では、マッチキャスト方式で形成された接合面による凹凸嵌合の接合をおこなったが、これに限定されるものではなく、防舷材壁2と張出部12との接合面の精度が確保できない場合は、スラブ11の下面側11aと壁部21上面との境界となる縁部に型枠を設置し、防舷材壁2と張出部12との間に無収縮グラウトを充填することで接合をおこなってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の最良の実施の形態の防舷材壁の取り付け方法を説明する断面図である。
【図2】本発明の最良の実施の形態の防舷材壁の取り付け方法を説明する平面図である。
【図3】2台のクレーンを使って防舷材壁を張出部の真下に引き寄せる工程を説明する断面図である。
【図4】2台のクレーンを使って防舷材壁を吊り下げた状態を説明する正面図である。
【図5】防舷材壁の荷重を2台のクレーンで吊り換える工程を説明する説明図である。
【図6】防舷材壁を上方に吊り上げる工程を説明する説明図である。
【図7】PC鋼棒に緊張力を導入する工程を説明する説明図である。
【図8】貫通孔にグラウトを注入し、足場を撤去する工程を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0067】
W 水面
1 桟橋(水上構造物)
11a 下面側
12 張出部
14 貫通孔
15 開口部
16 凹部(凹凸嵌合)
2 防舷材壁(プレキャスト部材)
22 PC鋼棒
23 凸部(凹凸嵌合)
24 防舷材
31 クレーン(第1のクレーン)
32 クレーン(第2のクレーン)
321 吊りワイヤ
5 緊張ジャッキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上に張り出された水上構造物の下面側にプレキャスト部材を取り付けるプレキャスト部材の取り付け方法において、
PC鋼棒が突出されたプレキャスト部材を製作する工程と、
前記工程と並行又は前後して、前記PC鋼棒を挿通させる貫通孔と吊りワイヤを挿通させる開口部が水上に張り出された張出部に形成された水上構造物を構築する工程と、
前記PC鋼棒が上方に突出された状態で前記プレキャスト部材を前記開口部に挿通させた吊りワイヤによって吊り下げる工程と、
前記プレキャスト部材を吊り上げて前記貫通孔に前記PC鋼棒を挿通させる工程と、
前記PC鋼棒を緊張して前記プレキャスト部材と前記張出部とを接合する工程とを備えたことを特徴とするプレキャスト部材の取り付け方法。
【請求項2】
前記プレキャスト部材を吊り下げる工程においては、前記プレキャスト部材を第1のクレーンで吊り下げた状態で、第2のクレーンの吊りワイヤを前記開口部に挿通させて前記プレキャスト部材に連結させ、前記第2のクレーンの吊りワイヤに荷重を移して吊り下げさせることを特徴とする請求項1に記載のプレキャスト部材の取り付け方法。
【請求項3】
前記プレキャスト部材と前記張出部とを接合する工程において、前記プレキャスト部材の上面と前記張出部の下面とを接着剤を介して接合させることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレキャスト部材の取り付け方法。
【請求項4】
前記プレキャスト部材と前記張出部とを接合する工程において、前記プレキャスト部材の上面と前記張出部の下面とを凹凸嵌合を介して接合させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプレキャスト部材の取り付け方法。
【請求項5】
前記プレキャスト部材と前記張出部とを接合する工程において、前記貫通孔の前記PC鋼棒との隙間に充填材を充填することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプレキャスト部材の取り付け方法。
【請求項6】
前記プレキャスト部材は、一側面に防舷材が取り付けられた部材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプレキャスト部材の取り付け方法。
【請求項7】
水上に張り出された水上構造物の下面側に取り付けられるプレキャスト部材であって、
コンクリートによって成形される壁部と、その壁部の上面から突出されるPC鋼棒と、前記壁部の一側面に取り付けられる防舷材とを備えたことを特徴とするプレキャスト部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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