説明

プレストレスト構造物

【課題】 グラウトの漏れや水分等の液体の浸入を効率良く防止することのできるプレストレスト構造物を提供する。
【解決手段】 プレストレスト構造物において、PC鋼材が挿入されるとともに、充填材が充填されるシース(10,11)と、シースに接続される接続部材(12)と、シース及び接続部材の接続部分に配置され、液体の吸収に伴う膨張によってシース及び接続部材に密接可能な膨張体(20,21)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填材の漏れや、PC鋼材に対する水分等の液体の浸入を阻止することのできるプレストレスト構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
橋、道路、建物など各種のコンクリート構造物において、圧縮強度に強いコンクリートの性能を発揮させるために、PC鋼材によりコンクリート躯体にプレストレスを導入したプレストレストコンクリート構造が近年増加しつつある。このプレストレス構造には、PC鋼材をコンクリート躯体内に挿通する内ケーブル方式と、PC鋼材がコンクリート躯体外を挿通する外ケーブル方式がある。これらの方式において、PC鋼材は、通常シース内を挿通することによって保護されている。
【0003】
ここで、複数のシースを接続して長尺のシースを構成する場合には、一方のシースの端部を他方のシースの端部に挿入し、この接続部分に対してビニールテープを巻き付けていた。これにより、シース内に充填されるグラウトがシース外に漏れてしまうのを防止しつつ、シース外の水分等がシース内に浸入するのを防止するようにしていた。
【特許文献1】特開平09−144210号公報
【特許文献2】特開2004−251065号公報
【特許文献3】特開2003−301560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シースの接続部分をビニールテープで巻き付けた構成では、シース外へのグラウトの漏れや、シース内への水分等の浸入を防止する点において、不十分であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、グラウトの漏れや水分等の液体の浸入を効率良く防止することのできるプレストレスト構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明であるプレストレスト構造物は、PC鋼材が貫通する貫通孔を備え、充填材が充填される領域と充填材が充填されない領域とに仕切るための仕切り部材を有しており、貫通孔における少なくとも一部が、液体の吸収に伴う膨張によってPC鋼材に密接可能な膨張体によって構成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、PC鋼材が挿入されるとともに、充填材が充填されるシースを有している場合には、このシースの内部に仕切り部材を配置することができる。また、PC鋼材の定着に用いられる定着具を有している場合には、この定着具の内部に仕切り部材を配置することができる。さらに、上述した定着具及びシースを備えた構成において、定着具を、該定着具に接続されるシースに対して重力方向に配置することができる。
【0008】
仕切り部材としては、PC鋼材と直交する面内に位置する板部材と、板部材に固定され、液体の吸収によって膨張可能な膨張体とで構成することができる。また、上述した膨張体としては、液体を吸収可能な材料を含む不織布によって構成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、貫通孔に設けられた膨張体が液体の吸収に伴う膨張によってPC鋼材に密接するため、貫通孔における密閉性を向上させることができる。すなわち、貫通孔を介した充填材の漏れ及び水分等の液体の浸入を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の実施例1であるプレストレスト構造物について、図1を用いて説明する。ここで、図1は、2つのシースの端部をジョイントシースによって接続した構造を示す断面図である。
【0012】
シース10,11は、プラスチック等の樹脂によって円筒状に形成されており、互いに略等しい径を有している。そして、シース10,11の端部10a,11aは、互いに当接するようになっている。また、各シース10,11は、外周面及び内周面が凹凸状に形成されている。言い換えれば、各シース10,11の断面形状は、図1に示すように、波形状に形成されている。
【0013】
シース10,11の内部には、PC鋼材(不図示)が挿入されるとともに、充填材としてのグラウトが充填される。これにより、シース10,11の内部は、PC鋼材及びグラウトによって占められることになる。
【0014】
ジョイントシース12は、プラスチック等の樹脂によって円筒状に形成されており、各シース10,11の径(最外径)よりも大きな径(内径)を有している。また、ジョイントシース12は、シース10,11の接続部分を覆うように配置され、シース10,11と同様に、断面が波形状に形成されている。ここで、ジョイントシース12の内部には、各シース10,11が一端側から挿入される。なお、ジョイントシース12の長さ(図1の左右方向における長さ)は、適宜設定することができる。
【0015】
ジョイントシース12の一端における内周面と、シース10の外周面との間には、シース10の周方向に沿って配置されるシート状の膨張体20が配置されている。すなわち、膨張体20は、ジョイントシース12及びシース10の間で挟まれている。ここで、膨張体20の表面は、ジョイントシース12の内周面および、シース10の外周面に接触している。図1では、膨張体20を平坦な構造として示しているが、実際には、膨張体20は、ジョイントシース12やシース10の凹凸形状に沿うように配置されている。
【0016】
ここで、ジョイントシース12の内周面とシース10の外周面との間の隙間(クリアランス)は、膨張体20の厚さ以下とすれば、膨張体20をジョイントシース12及びシース10に密接させることができる。なお、膨張体20は、ジョイントシース12の内周面や、シース10の外周面に接触させなくてもよい。この場合には、後述するように、水分等の吸収に伴う膨張体20の膨張によって、膨張体20がジョイントシース12及びシース10に接触するものであればよい。
【0017】
同様に、ジョイントシース12の他端における内周面と、シース11の外周面との間には、シース11の周方向に沿って配置されるシート状の膨張体21が配置されている。すなわち、膨張体21は、ジョイントシース12及びシース11の間で挟まれている。また、膨張体21の厚さを、ジョイントシース12の内周面とシース11の外周面との間の隙間(クリアランス)以上とすれば、膨張体21をジョイントシース12及びシース11に密接させることができる。なお、膨張体21は、ジョイントシース12の内周面や、シース11の外周面に接触させなくてもよい。この場合には、後述するように、水分等の吸収に伴う膨張体21の膨張によって、膨張体21がジョイントシース12及びシース11に接触するものであればよい。
【0018】
本実施例では、図1に示すように、各膨張体20,21の一部がジョイントシース12の外部に露出しているが、これに限るものではない。すなわち、各膨張体20,21をジョイントシース12の内部に収容させることもできる。また、本実施例では、各膨張体20,21の厚さを、シース10,11の長手方向に関して略等しくしているが、これに限るものではない。例えば、膨張体20,21のうち、ジョイントシース12の中央側(端部10a,11a側)に位置する一端側の厚さを、他端側の厚さよりも厚くすることができる。この場合において、膨張体20,21にテーパ面を形成すれば、膨張体20,21の厚さを異ならせることができる。
【0019】
次に、膨張体20,21の構成について具体的に説明する。ここで、膨張体20,21は、同一の構成となっている。
【0020】
各膨張体20,21は、水分等の液体を吸収することによって膨張する材料によって構成されている。膨張体20,21としては、例えば、不織布形状のものを用いることができる。不織布の構成としては、不織布としての形状、機能を維持するための基材繊維と、水分等を吸収する吸水膨張性繊維からなり、基材繊維としては、特に合成樹脂繊維であることが望ましく、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維などの合成樹脂繊維が使用できる。さらに、基材繊維は、繊維の吸水性を高めるために、中空構造や微細な隙間を有する構造の繊維であることがより望ましい。このような吸水性繊維としては、例えば、アクアマーブル(登録商標)等を用いることができる。吸水膨張性繊維としては、例えば、ベルオアシス(登録商標)、ランシール(登録商標)等を用いることができる。
【0021】
また、膨張体20,21としては、不織布、織布、発泡体や金属等の母材に、粉末状の吸水性樹脂を固定するもの、粉末状の吸水性樹脂をそのまま用いたもの、吸水性樹脂をシート状に形成したものを用いることができる。ここで、粉末状の吸水性樹脂をそのまま用いる場合には、粉末状の吸水性樹脂をジョイントシース12又はシース10,11に接着剤等によって固定しておけばよい。
【0022】
なお、膨張体20,21の形状はいかなる形状であってもよく、例えば、シース10,11の外周面に沿ったリング状に形成したり、長尺状のシート体を用いたりすることができる。ここで、長尺状のシート体を用いる場合には、このシート体をシース10,11の外周に沿って配置し、シート体の両端を重ねればよい。
【0023】
シース10,11の内部に、PC鋼材を挿入するとともにグラウトを充填する構成では、グラウトがシース10,11の当接部分(接続部分)及び、ジョイントシース12及び各シース10,11の隙間を介して、外部に漏れてしまうおそれがある。しかし、本実施例では、上述したように、ジョイントシース12及び各シース10,11の間に、ジョイントシース12及び各シース10,11に接触する膨張体20,21を配置しているため、グラウトの漏れを効率良く阻止することができる。
【0024】
また、ジョイントシース12の外部に存在する水分等が、ジョイントシース12及び各シース10,11の隙間に浸入すると、膨張体20,21が水分等を吸収して膨張することによって、ジョイントシース12及び各シース10,11に圧接することになる。これにより、水分等がジョイントシース12の内部(言い換えれば、シース10,11の内部)に浸入するのを阻止することができる。特に、本実施例のシース10,11を、海岸線に近い場所といった、塩害を受けやすい場所に設置する場合には、膨張体20,21が水分等を吸収して、この浸入を阻止することにより、シース10,11の内部に配置されたPC鋼材が錆びたりしてしまうのを防止することができる。
【0025】
ここで、膨張体20,21を、ジョイントシース12及び各シース10,11の間に配置する際に、膨張体20,21に水分等の液体を予め吸収させて膨張させておいてもよい。この場合にも、上述した効果を得ることができる。
【0026】
なお、本実施例では、ジョイントシース12の両端側に、膨張体20,21を配置した構成について説明したが、これに限るものではない。すなわち、膨張体を用いて、シース10,11の内部に充填されたグラウトがシース10,11の外部に漏れるのを防止するとともに、シース10,11の外部に存在する水分等がシース10,11の内部に浸入するのを防止する構成であればよい。例えば、ジョイントシース12の内周面全体に、膨張体を配置することもできる。この場合には、1つの膨張体を用いればよい。ただし、本実施例のように、ジョイントシース12の両端側にのみ膨張体を配置することにより、膨張体の体積を小さくでき、コストを低減することができる。
【0027】
次に、本実施例の変形例について、図2,3を用いて説明する。ここで、図2,3は、実施例1の変形例におけるプレストレスト構造物の一部を示す断面図であり、図1に対応する図である。なお、図1で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いている。
【0028】
図2に示す構成では、各シース10,11及びジョイントシース12を、この全長において径が略均一な円筒形状に形成している。他の構成は、図1に示す構成と同様である。すなわち、ジョイントシース12の両端部と、各シース10,11との間には、水分等の吸収によって膨張する膨張体20,21が配置されている。そして、膨張体20,21は、水分等を吸収する前の状態において、ジョイントシース12の内周面及び、各シース10,11の外周面に接触している。なお、膨張体20,21は、水分等を吸収する前の状態において、ジョイントシース12の内周面や、各シース10,11の外周面から離れていてもよい。この場合には、水分等の吸収に伴う膨張体20,21の膨張によって、膨張体20,21がジョイントシース12及び各シース10,11に接触するものであればよい。
【0029】
図3に示す構成では、接続される2つのシースのうち、一方のシース10を図1に示す構成とし、他方のシース11を図2に示す構成としたものである。また、シース10,11の接続部分を覆うジョイントシース12は、図1に示す形状と同様である。ここで、ジョイントシース12は、図2に示す形状とすることもできる。
【0030】
図3において、ジョイントシース12の両端部と、各シース10,11との間には、水分等の吸収によって膨張する膨張体20,21が配置されている。そして、膨張体20,21は、水分等を吸収する前の状態において、ジョイントシース12の内周面及び、各シース10,11の外周面に接触している。なお、膨張体20,21は、水分等を吸収する前の状態において、ジョイントシース12の内周面や、各シース10,11の外周面から離れていてもよい。この場合には、水分等の吸収に伴う膨張体20,21の膨張によって、膨張体20,21がジョイントシース12及び各シース10,11に接触するものであればよい。
【0031】
図2,3に示す変形例においても、本実施例と同様の効果を得ることができる。また、上述した実施例及び変形例におけるシースの接続構造は、内ケーブル方式及び外ケーブル方式のプレストレスコンクリート構造に適用することができる。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明の実施例2であるプレストレスト構造物について、図4を用いて説明する。本実施例は、シース及び定着具の接続部分における密閉構造に関するものである。ここで、図4では、シースの一端側における構成を示しているが、シースの他端側も同様の構成となっている。
【0033】
図4において、シース40の一端は、定着具41の一端に接続される。ここで、シース40の形状としては、いかなる形状であってもよい。例えば、シース40として、実施例1の図1に示したように凹凸形状を有するものでもよいし、実施例1の図2に示したように全長において略均一な径を有する円筒形状を有するものでもよいし、凹凸形状及び円筒形状を組み合わせたものでもよい。
【0034】
定着具41は、中空構造となっており、PC鋼材(不図示)をシース40に導くようになっている。そして、定着具41は、PC鋼材を定着するために用いられ、シース40の内部に挿入されたPC鋼材は、定着具41に固定される。また、シース40の内部には、定着具41を介して、充填材としてのグラウトが充填される。
【0035】
定着具41の内周面には、段差部41aが形成されている。ここで、定着具41の内周面のうち、段差部41aよりも一端側(図4の左端側)の領域41bは、径が連続的に変化している。また、定着具41の内周面のうち、段差部41aよりも他端側(シース40との接続側)の領域41cは、段差部41aの径よりも大きな径を有している。領域41cには、シース40の一端が挿入されるようになっており、領域41cの内径は、シース40の外径(シース40の外表面が凹凸形状を有している場合には、最外径)以上となっている。
【0036】
一方、シース40の外周面と、定着具41の内周面における領域41cとの間には、膨張体42が配置されている。膨張体42は、シース40の周方向に沿って配置されており、定着具41の内周面及びシース40の外周面に接触している。ここで、膨張体42の厚さを、定着具41の領域41cとシース40の外周面との間における隙間(クリアランス)以上とすれば、膨張体42を定着具41及びシース40に密接させることができる。なお、膨張体42は、定着具41の内周面又はシース40の外周面に接触していなくてもよい。この場合には、水分等の吸収に伴う膨張体42の膨張によって、膨張体42が定着具41及びシース40に接触するものであればよい。
【0037】
また、定着具41の外周面及び膨張体42の外周面には、テープ43が巻かれている。テープ43を用いることにより、定着具41及びシース40の内部に水分等が浸入するのを遅らせることができる。本実施例では、膨張体42の一部が、定着具41の外部に露出しているが、これに限るものではなく、定着具41(領域41c)の内部に膨張体42の全体を収容させることもできる。そして、領域41cの全面に膨張体42が配置されるようにすることもできる。
【0038】
膨張体42は、実施例1で説明した膨張体20,21と同様の構成となっている。すなわち、膨張体42は、水分等の液体を吸収することによって膨張する材料によって構成されている。ここで、膨張体42の形状はいかなる形状であってもよく、例えば、シース40の外周面に沿ったリング状に形成したり、長尺状のシート体を用いたりすることができる。ここで、長尺状のシート体を用いる場合には、このシート体をシース40の周方向に沿って配置し、シート体の両端を重ね合わせればよい。
【0039】
本実施例の構成によれば、定着具41及びシース40の接続部分において、定着具41(領域41cの一部)及びシース40に接触する膨張体42を設けているため、シース40の内部に充填されるグラウトが定着具41及びシース40の接続部分を介してシース40の外部に漏れてしまうのを阻止することができる。
【0040】
また、シース40の外部に水分等が存在する場合には、膨張体42が水分等を吸収して膨張することにより、膨張体42が定着具41及びシース40に密接することになる。これにより、定着具41及びシース40の接続部分を介して、シース40の内部に水分等が浸入するのを阻止することができる。特に、本実施例で説明した定着具41及びシース40を、塩害を受けやすい場所(海岸線に近い場所等)に設置する場合には、膨張体42が酸性又はアルカリ性を有する水分を吸収することにより、シース40の内部に配置されたPC鋼材が錆びたりしてしまうのを防止することができる。
【0041】
次に、本実施例の変形例について、図5を用いて説明する。本変形例では、定着具の構成を変更したものである。
【0042】
本変形例における定着具50は、支圧板51と、コーンジョイント52とを有している。支圧板51は、コンクリートに対して緊張力を与えるために用いられ、鋼等の金属によって形成されている。コーンジョイント52は、PC鋼材をガイドさせるために用いられ、鋼等の金属によって形成されている。コーンジョイント52は、支圧板51に固定されている。
【0043】
コーンジョイント52の一端には、円筒状のシース53が接続される。ここで、シース53の内径は、コーンジョイント52の一端における外径よりも大きくなっている。なお、シース53は、上述した実施例1,2と同様に、いかなる形状であってもよい。そして、シース53及び定着具50の内部には、PC鋼材が挿入されるとともに、充填材としてのグラウトが充填される。
【0044】
コーンジョイント52の外周面とシース53の内周面との間には、シース53の周方向に沿って膨張体54が配置されている。そして、膨張体54は、コーンジョイント52及びシース53に接触している。ここで、膨張体54の厚さを、コーンジョイント52及びシース53の間における隙間(クリアランス)以上とすれば、膨張体54を、コーンジョイント52及びシース53に密接させることができる。なお、膨張体54は、コーンジョイント52の外周面や、シース53の内周面に接触していなくてもよい。この場合には、水分等の吸収に伴う膨張体54の膨張によって、膨張体54がコーンジョイント52及びシース53に接触するものであればよい。
【0045】
膨張体54は、上述した膨張体42と同様であり、水分等を吸収して膨張することができる材料によって構成されている。膨張体54の具体的な構成は、実施例1で説明した膨張体と同様である。シース53及び膨張体54の外周には、テープ55が巻かれている。テープ55を用いることにより、シース53及びコーンジョイント52の内部に水分等が浸入するのを遅らせることができる。
【0046】
本変形例によれば、定着具50(コーンジョイント52)及びシース53の接続部分において、コーンジョイント52及びシース53に接触する膨張体54を設けているため、シース53の内部に充填されるグラウトがコーンジョイント52及びシース53の接続部分を介してシース53の外部に漏れてしまうのを阻止することができる。
【0047】
また、シース53の外部に水分等が存在する場合には、膨張体54が水分等を吸収して膨張することにより、膨張体54がコーンジョイント52及びシース53に密接することになる。これにより、コーンジョイント52及びシース53の接続部分を介して、シース53の内部に水分等が浸入するのを阻止することができる。特に、本変形例で説明した定着具50及びシース53を、塩害を受けやすい場所(海岸線に近い場所等)に設置する場合には、膨張体54が水分等を吸収して、この浸入を阻止することにより、シース53の内部に配置されたPC鋼材が錆びたりしてしまうのを防止することができる。
【0048】
ここで、本変形例で説明した構成を用いて、以下に説明する実験を行った。この実験方法は、JHS 421 2004 (構造関係試験方法、内ケーブル用ポリエチレン製シース)5.2定着具接続部外圧試験に準拠して行った。具体的には、水を満たした鋼製の容器に後述する試験体を入れて密閉し、容器内の圧力を0.1MPaまで加圧し、この状態で5分間放置した。その後、容器から試験体を取り出して、試験体(シース)内への浸水の有無を確認した。
【0049】
試験体としては、図5に示す構成を用い、シース53の両端に定着具50を取り付けたものを用いた。ここで、シースとしては、内径φ70mmの内ケーブル用ポリエチレン製シースを用い、膨張体としては、水を吸収可能な材料で形成された不織布を用いた。
【0050】
そして、不織布の幅(図5の左右方向における長さ)を、20mm、40mm、70mmとしたものを試験体No.1〜4とし、70mmの幅を有する不織布を用いるとともに、定着具及びシースの接続部分をビニールテープで覆ったものを試験体No.4とした。
【0051】
以下の表1に、上述した実験結果を示す。
【表1】

【0052】
表1に示すように、試験体No.2〜4については、シースの内部に水が浸入していなかった。一方、試験体No.1については、シースの内部に、わずかであるが水が浸入していることが確認された。ここで、試験体No.1については、シース及び定着具に対して、幅が狭い不織布を取り付け難かったため、シースの内部に水が浸入してしまったものと考えられる。
【実施例3】
【0053】
本発明の実施例3であるプレストレスト構造物について、図6を用いて説明する。ここで、図6(A)は、プレストレスト構造物の一部分における断面図であり、図6(B)は、図6(A)のA−A断面図である。
【0054】
シース61は、プラスチック等の樹脂によって円筒状に形成されており、ジョイントシース62に対してネジ63によって固定されている。ここで、シース61及びジョイントシース62の接続部分には、2つのシール部材64,65が配置されている。シール部材64は、ジョイントシース62の外周面及びシース61の外周面に対してネジ63によって固定されており、シース61及びジョイントシース62の間における隙間を塞いでいる。シール部材64としては、例えば、熱収縮可能なチューブを用いることができる。また、シール部材65は、シース61の外周面及びジョイントシース62の内周面との間に配置され、ネジ63によって固定されている。シール部材65としては、例えば、ブチルテープを用いることができる。
【0055】
シース61及びジョイントシース62の内部には、複数のPC鋼材66が配置されている。また、シース61及びジョイントシース62の内部には、充填材としてのグラウトが充填されている。ここで、ジョイントシース62には、グラウトを充填する際に、ジョイントシース62内の気体を外部に逃がすための排気口62aが設けられている。
【0056】
ジョイントシース62のうち、シース61との接続側とは異なる端部には、カバー部材67が設けられている。カバー部材67は、ジョイントシース62の外周面に固定され、PC鋼材66の外周を覆うようになっている。
【0057】
また、ジョイントシース62の内部には、仕切り部材68が配置されている。ここで、仕切り部材68は、PC鋼材66の長手方向(図6の左右方向)に対して直交する面内に配置されている。仕切り部材68の外縁は、ジョイントシース62の内周面に沿った形状に形成されており、ジョイントシース62の内周面に固定されている。
【0058】
仕切り部材68は、膨張体68aと、膨張体68aを挟むように配置された板部材68bとを有している。また、仕切り部材68(膨張体68a及び板部材68b)には、図6(B)に示すように、複数のPC鋼材66を貫通させるための複数の貫通孔68cが形成されている。貫通孔68cの数は、PC鋼材66の数に対応するものであり、貫通孔68cの位置は、適宜設定することができる。
【0059】
ここで、板部材68bは、各PC鋼材66を支持するために用いられ、金属やプラスチック等で形成することができる。また、板部材68bにおける貫通孔68cの内径は、各PC鋼材66の外径よりも大きくなっており、各PC鋼材66を通しやすくしている。また、膨張体68aにおける貫通孔68cは、この内周面が各PC鋼材66の外周面に当接している。膨張体68aは、実施例1で説明した膨張体と同様に、水分等を吸収して膨張することができる材料によって構成されている。ここで、水分等を吸収して膨張する機能を有する不織布を用いる場合には、複数の不織布を積層させて膨張体68aを構成することができる。
【0060】
本実施例の構成では、シース61の内部にグラウトが充填されるとともに、ジョイントシース62の内部のうち仕切り部材68が配置された位置までグラウトが充填される。すなわち、仕切り部材68に対してシース61側の領域(図6の左側の領域)では、グラウトが充填され、カバー部材67側の領域(図6の右側の領域)では、グラウトが充填されていない。
【0061】
本実施例では、仕切り部材68における膨張体68aが各PC鋼材66に当接しているため、仕切り部材68の貫通孔68cを介してグラウトが外部に漏れてしまうのを防止することができる。また、カバー部材67側から水分等が浸入した場合には、仕切り部材68の膨張体68aが水分等を吸収することによって膨張し、水分等が貫通孔68cを通過するのを阻止することができる。
【0062】
また、水分等の吸収によって膨張した膨張体68aが、ジョイントシース62の内周面にも密接することになるため、ジョイントシース62及び仕切り部材68の当接部分を介して水分等が浸入したり、グラウトが漏れたりしてしまうのを阻止することができる。
【0063】
本実施例では、PC鋼材66の長手方向と直交する面内に位置するように膨張体68aを配置し、膨張体68aの両側に板部材68bを配置した構成としているが、これに限るものではない。すなわち、仕切り部材のうちPC鋼材と接触する部分(言い換えれば、貫通孔が形成されている部分)を膨張体で構成しておけばよい。このように構成すれば、上述したように、外部へのグラウトの漏れを防止することができるとともに、シース61及びジョイントシース62の内部に水分等が浸入するのを阻止することができる。
【0064】
また、本実施例では、膨張体68aを2つの板部材68bで挟むことにより、仕切り部材68を構成しているが、これに限るものではない。すなわち、少なくとも1つの板部材68bと、膨張体68aとによって、仕切り部材68を構成することができる。具体的には、1つの板部材68bの一方の面又は両面に、膨張体68aを固定することによって、仕切り部材68を構成することができる。また、複数の板部材68bと、複数の膨張体68aとを交互に配置して、仕切り部材68を構成することもできる。
【実施例4】
【0065】
次に、本発明の実施例4であるプレストレスト構造物について、図7を用いて説明する。ここで、図7(A)は、プレストレスト構造物の一部分における断面図である。また、図7(B)は、定着具の内部に固定される仕切り部材の断面図であり、図7(A)のA−A断面図である。
【0066】
シース70の一端は、定着具71の一端に接続される。ここで、シース70の形状としては、実施例1でも説明したように、いかなる形状であってもよい。定着具71は、中空構造となっており、PC鋼材72をシース70に導くようになっている。また、定着具71は、実施例2(図4)で説明した定着具と同様の構成となっている。そして、シース70の内部に挿入されたPC鋼材72は、定着具71に固定される。また、シース70の内部には、定着具71を介して、充填材としてのグラウトが充填される。
【0067】
定着具71の一端(シース70との接続側とは反対側)には、定着ブロック73が固定されている。定着ブロック73は、各PC鋼材72を貫通させるための貫通孔73aを有している。
【0068】
定着具71の内部には、仕切り部材74が配置されている。仕切り部材74の外縁は、定着具71の内周面に沿った形状に形成されており、定着具71の内周面に固定される。仕切り部材74は、定着ブロック73側に位置する板部材74aと、板部材74aに対してシース70側で固定された膨張体74bとを有している。板部材74aは、PC鋼材72を支持するために用いられ、鋼やプラスチック等によって形成することができる。そして、板部材74aのうち膨張体74bが設けられた面とは反対側の面は、定着ブロック73に当接している。膨張体74bは、実施例1で説明した膨張体と同様に、水分等を吸収して膨張することができる材料によって構成されている。
【0069】
また、仕切り部材74には、PC鋼材72を貫通させるための貫通孔74cが形成されている。そして、複数の貫通孔74cは、図7(B)に示すように、仕切り部材74の外周に沿って等間隔に配置されている。
【0070】
板部材74aにおける貫通孔74cの内径は、PC鋼材72を貫通させるだけの余裕分だけ、PC鋼材72の外径よりも大きくなっている。また、膨張体74bにおける貫通孔74cは、PC鋼材72の外周面に接触している。
【0071】
本実施例によれば、膨張体74bの貫通孔74cがPC鋼材72に接触しているため、定着具71及びシース70の内部にグラウトを充填した際に、グラウトが仕切り部材74の貫通孔74cを介して外部(定着ブロック73側)に漏れてしまうのを防止することができる。
【0072】
特に、定着具71及びシース70を、図8に示すように配置した場合において、グラウトの漏れを効率良く防止することができる。図8は、定着具71及びシース70がプレストレストコンクリート橋80内に配置された構成(内ケーブル方式)を示している。ここで、シース70は、上方(重力方向とは逆方向)に向かって凸となるように湾曲しており、シース70の両端部に接続される定着具71が重力方向において最も低い位置にある。
【0073】
図8に示す構成では、重力の作用によってシース70内のグラウトが定着具71側に移動しやすくなっているため、本実施例のように、定着具71の内部に仕切り部材74を配置することで、グラウトの漏れを効率良く防止することができる。
【0074】
一方、定着具71の内部には、膨張体74bが配置されているため、定着具71の外部に存在する水分等が定着具71の内部(グラウトが充填された領域)に浸入しようとしても、膨張体74bが水分等の吸収に伴う膨張によってPC鋼材72や定着具71に密接することにより、水分等の浸入を阻止することができる。これにより、水分等の浸入によって、定着具71及びシース70の内部に配置されたPC鋼材72が錆びたりしてしまうのを防止することができる。また、仕切り部材74(板部材74a)を定着ブロック73に当接させる位置に配置しているため、仕切り部材74の位置決めを容易に行うことができる。
【0075】
なお、本実施例における仕切り部材74の構成は、定着ブロック73の側に板部材74aを配置し、シース70の側に膨張体74bを配置しているがこれに限るものではない。すなわち、仕切り部材74は、少なくとも1つの板部材74aと、少なくとも1つの膨張体74bとを用いて構成することができる。具体的には、定着ブロック73の側に膨張体74bを配置し、シース70の側に板部材74aを配置して、仕切り部材74を構成することができる。また、1つの板部材74aにおける一方の面又は両面に膨張体74bを固定して、仕切り部材74を構成することができる。さらに、2つの板部材74aによって膨張体74bを挟むようにして、仕切り部材74を構成することができる。また、複数の板部材74a及び複数の膨張体74bを交互に配置して、仕切り部材74を構成することができる。
【実施例5】
【0076】
次に、本発明の実施例5であるプレストレスト構造物について図9を用いて説明する。ここで、図9(A)は、プレストレスト構造物の一部分における断面図である。また、図9(B)は、支圧板の正面図であって、図9(A)のA−A断面図である。
【0077】
シース90の一端には、支圧板91が固定されている。シース90の構成は、実施例1で説明したものと同様である。また、支圧板91のうち、シース90との当接面とは反対側の面には、スリーブ92が配置されている。スリーブ92は、ウェッジ93が挿入される溝部92aを有している。
【0078】
ウェッジ93は、PC鋼材94が貫通する溝部93aを有している。ここで、溝部93aにPC鋼材94が挿入されたウェッジ93を、スリーブ92の溝部92aに挿入することで、PC鋼材94を固定することができる。そして、PC鋼材94を緊張させることにより、支圧板91を介してプレストレストコンクリート95に緊張力を与えることができる。上述した支圧板91、スリーブ92及びウェッジ93によって、定着具が構成される。
【0079】
支圧板91は、PC鋼材94の緊張力をコンクリート95に付与するための機能を有している。また、支圧板91は、PC鋼材94を貫通させるための貫通孔91aを有しており、貫通孔91aの一端(コンクリート95と当接する端)には、膨張体96が設けられている。膨張体96は、実施例1で説明した膨張体と同様に、水分等を吸収して膨張することができる材料によって構成されている。
【0080】
膨張体96は、PC鋼材94を貫通させるための貫通孔96aを有しており、この貫通孔96aの内周面は、PC鋼材94の外周面に接触するようになっている。
【0081】
本実施例において、シース90の内部には、PC鋼材94が配置されるとともに、充填材としてのグラウトが充填されるようになっている。ここで、膨張体96の貫通孔96aは、PC鋼材94の外周面に密接するようになっているため、シース90の内部に充填されたグラウトが支圧板91の貫通孔91aを介して外部に漏れてしまうのを防止することができる。
【0082】
また、支圧板91の外部に存在する水分等が貫通孔91aを介してシース90側に浸入しようとしても、膨張体96が水分等を吸収して膨張することにより、水分等の浸入を阻止することができる。これにより、シース90の内部に配置されるPC鋼材94が、水分等によって錆びてしまうのを防止することができる。また、膨張体96が水分等を吸収して膨張することで、グラウトの漏れを効率良く阻止することができる。
【0083】
なお、本実施例では、支圧板91の一端面に膨張体96を設けた場合について説明したが、これに限るものではない。すなわち、支圧板91の貫通孔91aのいかなる位置に膨張体を設けてもよい。この場合にも、膨張体をPC鋼材94の外周面に接触させておけばよい。
【実施例6】
【0084】
次に、本発明の実施例6であるプレストレスト構造物について、図10を用いて説明する。ここで、図10は、2つのシースの端部をジョイントシースによって接続した構造を示す断面図である。なお、実施例1(図1)で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いる。
【0085】
図10において、ジョイントシース12は、シース10,11の接続部分を覆っている。ここで、膨張体20は、ジョイントシース12の一端に位置する外周部分と、シース10の一部における外周部分とを覆うように配置されている。具体的には、膨張体20は、ジョイントシース12及びシース10の間に形成された隙間を覆うように、ジョイントシース12及びシース10の外周面に配置されている。
【0086】
膨張体20は、テープ30を巻き付けることにより、シース10及びジョイントシース12の外周面に接触している。ここで、テープ30は、一方の面が粘着性を有しており、この粘着面がジョイントシース12、シース10及び膨張体20の外周面に接触している。
【0087】
一方、膨張体21は、ジョイントシース12の他端に位置する外周部分と、シース11の一部における外周部分とを覆うように配置されている。具体的には、膨張体21は、ジョイントシース12及びシース11の間に形成された隙間を覆うように、ジョイントシース12及びシース11の外周面に配置されている。
【0088】
膨張体21は、テープ31を巻き付けることにより、シース11及びジョイントシース12の外周面に接触している。ここで、テープ31は、一方の面が粘着性を有しており、この粘着面がジョイントシース12、シース10及び膨張体20の外周面に接触している。
【0089】
本実施例において、テープ30,31としては、ビニールテープが用いられている。なお、膨張体20,21をジョイントシース12やシース10,11に密接させるものであれば、いかなる材質のテープ30,31を用いてもよい。また、本実施例では、テープ30,31をジョイントシース12やシース10,11の外周面にも密着させているが、これらの外周面に密着させなくてもよい。すなわち、テープ30,31の巻き付け力を用いて、ジョイントシース12及びシース10,11の間に形成された隙間部分に膨張体20,21を密接させるだけでもよい。
【0090】
また、テープ30,31を巻き付ける代わりに、円筒形状の弾性体を用いることもできる。具体的には、膨張体20,21の外周に位置するように、円筒形状の弾性体を取り付け、この弾性体の弾性力を用いて、ジョイントシース12及びシース10,11の外周面に膨張体20,21を密接させるようにすればよい。ここで、円筒形状の弾性体は、シース10,11の外径や、ジョイントシース12の外径よりも小さな外径を有している必要がある。このように構成することで、円筒形状の弾性体を弾性変形させた状態において、膨張体20,21の内周面を、ジョイントシース12やシース10,11の外周面に密接させることができる。
【0091】
本実施例の構成によっても、シース10,11の内部に充填されたグラウトがシース10,11の外部に漏れるのを防止することができるとともに、シース10,11の外部に存在する水分等がシース10,11の内部に浸入するのを防止することができる。
【0092】
なお、本実施例では、全長において、外径が略均一なシース10,11やジョイントシース12を用いているが、これに限るものではなく、図1及び図3に示すように、断面が波形状のものを用いることもできる。
【0093】
また、本実施例では、ジョイントシース12と、各シース10,11との接続部分に、テープ30,31を用いて膨張体20,21を固定する構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、本実施例のシース10,11を外ケーブル方式に用いる場合において、シース10(11)の損傷部分に対して、本実施例の構成を用いることができる。具体的には、シース10(11)の損傷部分に対して、膨張体20(21)を配置し、テープ30(31)を巻き付けることができる。これにより、シース10(11)の損傷部分からグラウトが漏れてしまうのを防止することができるとともに、損傷部分を介してシース10(11)の内部に水分等が浸入してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施例1であるプレストレスト構造物の一部の構成を示す断面図である。
【図2】実施例1の変形例であるプレストレスト構造物の一部の構成を示す断面図である。
【図3】実施例1の他の変形例であるプレストレスト構造物の一部の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例2であるプレストレスト構造物の一部の構成を示す断面図である。
【図5】実施例2の変形例であるプレストレスト構造物の一部の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例3であるプレストレスト構造物の一部の構成を示す断面図(A)及び、(A)におけるA−A断面図(B)である。
【図7】本発明の実施例4であるプレストレスト構造物の一部の構成を示す断面図(A)及び、(A)におけるA−A断面図(B)である。
【図8】実施例4において、シース及び定着具を備えたプレストレストコンクリート橋の断面図である。
【図9】本発明の実施例5であるプレストレスト構造物の一部の構成を示す断面図である。
【図10】本発明の実施例6であるプレストレスト構造物の一部の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0095】
10,11,40,53,61,70:シース
12,62:ジョイントシース
20,21,42,54,68a,74b:膨張体
41,50,71:定着具
51:支圧板
52:コーンジョイント
68,74:仕切り部材
66,94:PC鋼材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
PC鋼材が貫通する貫通孔を備え、充填材が充填される領域と充填材が充填されない領域とに仕切るための仕切り部材を有しており、
前記貫通孔における少なくとも一部が、液体の吸収に伴う膨張によって前記PC鋼材に密接可能な膨張体によって構成されていることを特徴とするプレストレスト構造物。
【請求項2】
前記PC鋼材が挿入されるとともに、充填材が充填されるシースを有しており、
前記仕切り部材は、前記シースの内部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプレストレスト構造物。
【請求項3】
前記PC鋼材の定着に用いられる定着具を有しており、
前記仕切り部材は、前記定着具の内部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプレストレスト構造物。
【請求項4】
前記PC鋼材が挿入されるとともに、充填材が充填されるシースを有しており、
前記定着具は、該定着具に接続される前記シースに対して重力方向に位置していることを特徴とする請求項3に記載のプレストレスト構造物。
【請求項5】
前記仕切り部材は、前記PC鋼材と直交する面内に位置する板部材と、前記板部材に固定され、液体の吸収によって膨張可能な膨張体とを有していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のプレストレスト構造物。
【請求項6】
前記膨張体は、液体を吸収可能な材料を含む不織布によって構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のプレストレスト構造物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−133179(P2009−133179A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69158(P2008−69158)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【分割の表示】特願2008−69055(P2008−69055)の分割
【原出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000163110)極東鋼弦コンクリート振興株式会社 (29)
【Fターム(参考)】