説明

プレス型およびプレス方法

【課題】簡単な構成で、シワの発生を抑制しつつ曲げ工程と歪み取り工程とを連続して一工程により行うことができるプレス型およびプレス方法を提供する。
【解決手段】プレス型1は、板状のワークWを負角に曲げ加工するためのものであって、相対向して配置され、相対的に近接・遠退する一対の型10、20を備えており、一方の型10には、ワークWの曲部を押圧する曲刃11と、この曲刃11を揺動可能に支持する支持機構12とを備えており、他方の型20には、プレス方向に対する負角部21aが形成されたダイス21と、ダイス21に対する曲刃11のプレス方向への相対的な近接移動に伴って、支持機構12に支持された曲刃11をダイス21の負角部21aと対応して揺動させるバックアップガイド22と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス型およびプレス方法に関し、特に、板状のワークを負角に曲げ加工するためのプレス型およびプレス方法に関するものである。ここで、負角に曲げ加工するとは、プレス方向を超えて内側に曲げる加工をいう。
【背景技術】
【0002】
板状のワークを負角に曲げ加工する場合には、一般に、最初に図6に示すように、ワークを曲げプレス型2の下型40のダイス41上にセットし、上型30と下型40とを相対的に近接移動させて、ワークWをダイス41と曲刃31によりプレス方向に曲げる曲げ工程を行う。その後、上型30と下型40とを相対的に離間移動させて曲刃31がワークWから離れると、図7に矢印で示すように、曲げ加工されたワークWは、その弾性回復によりスプリングバックが生じる。そのため、寄曲げプレス型3を使用して負角にさらに曲げ加工して、曲げ加工されたワークWのスプリングバックを矯正する歪み取り工程が行われている。図8に示すように、寄曲げプレス型3は、一般に、負角部61aが形成されたダイス61と、上型50と下型60との相対的な近接移動によりダイス61の負角部61aにワークWの曲げ部Waを押し付け負角に曲げ加工する寄せカム機構51とを有している。そして、寄せカム機構51は、下型60に設けられダイス61に対して近接・遠退するよう摺動するスライドカム52と、上型50に設けられ上型50と下型60との相対的な近接移動により、図8の矢印V方向に移動してスライドカム52のカム面を押圧することにより図8の矢印H方向に摺動させるドライブカム53とにより構成されている。
【0003】
このように曲げプレス型2と寄曲げプレス型3とを用いて、曲げ工程と歪み取り工程とを個別に行う従来の技術にあっては、曲げプレス型2による曲げ工程で曲刃31によりプレス方向のみにワークWを押圧するために、ワークWのシワの発生を抑制することが困難であり、また、曲げ工程で曲げ加工されたワークWを別の工程である歪み取り工程で寄曲げプレス型3により負角にさらに曲げ加工する際に、スライドカム52によってダイス61の負角部61aに押し付けるだけではワークWに発生したシワを潰すことが困難である。また、曲げプレス型2と寄曲げプレス型3とを用いる場合には、これらのプレス型2、3を個別に製造するのにコストがかかるとともに、プレス型2、3を設置するために大きなスペースを必要とし、また、工程数が多く成形サイクルタイムが長くなるなどの問題があった。
【0004】
そこで、仮曲げ(曲げ工程)と仕上げ曲げとしての寄曲げ(歪み取り工程)とを一工程で行うことができ、ひいてはプレス成形品の製造コストの低減を図ることのできる曲げおよび寄曲げ用複合プレス型を提供することを目的とした特許文献1が知られている。特許文献1には、上型には、ワークを上下方向に曲げ加工するためのポンチと、ドライブカムとを備える一方、下型には、前記ドライブカムの下降に伴って水平方向に移動してワークを寄曲げするためのスライドカムと、ワークを下方から支持するパッドとを備え、前記ポンチは、ワークの曲げに要する押圧力よりも強く、上型の型締め力よりも弱いロッド突出し力を有するシリンダによって下方に押圧された状態で上下方向に摺動可能に支持されたことを特徴とする曲げおよび寄曲げ用複合プレス型が開示されている。
【0005】
【特許文献1】実開平5‐53722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1にあっては、ワークをポンチの押圧によってパッドとの間で挟んだ状態で曲刃としてのスライドカムにより曲げ加工した後に、ドライブカムとスライドカムからなるカム機構によってワークを負角に成形するものであり、ただ単に個別の工程を順次行うものであるため、図6に示した曲げプレス型2と同様に、ワークのシワの発生を抑制することが困難であり、また、図8に示した寄曲げプレス型3と同様に、スライドカムによってダイスの負角部に押し付けるだけではワークに発生したシワを潰すことが困難であるという問題があった。そして、上記特許文献1にあっては、図8に示した寄曲げプレス型の寄せカム機構と同様に、スライドカムがドライブカムによってポンチに向かって確実に移動するためのカム面を含む長さと、スライドカムがポンチに向かって移動する距離を必要とすることから、このようなプレス型を設置するために大きなスペースを必要とするなどの問題があった。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、シワの発生を抑制しつつ曲げ工程と歪み取り工程とを連続して一工程により行うことができるプレス型およびプレス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1のプレス型に係る発明は、板状のワークを負角に曲げ加工するプレス型であって、プレス方向に対する負角部が形成されたダイスと、ワークの曲部を押圧する曲刃と、該曲刃を揺動可能に支持する支持機構と、ダイスに対する曲刃のプレス方向への相対的な近接移動に伴って、前記支持機構に支持された曲刃を、前記ダイスの負角部と対応して揺動させるバックアップガイドと、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、請求項2のプレス方法に係る発明は、板状のワークを負角に曲げ加工するプレス方法であって、ワークの曲部を押圧する曲刃を揺動可能に支持し、該曲刃とプレス方向に対する負角部が形成されたダイスとの間にワークを配置して、前記曲刃とダイスとを相対的に近接移動させることにより、前記曲刃をダイスの負角部と対応して揺動させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、プレス方向に対する負角部が形成されたダイスと、ワークの曲部を押圧する曲刃と、該曲刃を揺動可能に支持する支持機構と、ダイスに対する曲刃のプレス方向への相対的な近接移動に伴って、前記支持機構に支持された曲刃を、前記ダイスの負角部と対応して揺動させるバックアップガイドと、を備えていることにより、ダイスに対する曲刃のプレス方向への相対的な近接移動に伴って、前記支持機構に支持された曲刃を、バックアップガイドによってダイスの負角部と対応して揺動させて、シワの発生を抑制しつつ曲げ工程と歪み取り工程とを連続して一工程により行うことが可能なプレス型を提供することができる。
【0011】
また、請求項2の発明によれば、ワークの曲部を押圧する曲刃を揺動可能に支持し、該曲刃とプレス方向に対する負角部が形成されたダイスとの間にワークを配置して、前記曲刃とダイスとを相対的に近接移動させることにより、前記曲刃をダイスの負角部と対応して揺動させると、シワの発生を抑制しつつ曲げ工程と歪み取り工程とを連続して一工程により行うことが可能なプレス方法を提供することができる。
【0012】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(4)項が請求項2に相当する。
【0013】
(1) 板状のワークを負角に曲げ加工するプレス型であって、
プレス方向に対する負角部が形成されたダイスと、
ワークの曲部を押圧する曲刃と、
該曲刃を揺動可能に支持する支持機構と、
ダイスに対する曲刃のプレス方向への相対的な近接移動に伴って、前記支持機構に支持された曲刃を、前記ダイスの負角部と対応して揺動させるバックアップガイドと、
を備えていることを特徴とするプレス型。
【0014】
(1)項に記載の発明では、ダイスに対する曲刃のプレス方向への相対的な近接移動に伴って、前記支持機構に支持された曲刃を、バックアップガイドによってダイスの負角部と対応して揺動させることにより、曲げ工程と歪み取り工程とを連続して一工程によりシワの発生を抑制しつつ板状のワークを負角に曲げ加工することが可能なプレス型を提供することができる。
【0015】
(2)前記支持機構が前記曲刃の基端部をプレス方向と直交する方向にスライド可能に支持していることを特徴とする(1)項に記載のプレス型。
【0016】
(2)項に記載の発明では、(1)項に記載の発明において、曲刃の基端部が支持機構によってプレス方向と直交する方向にスライドすることができることにより、バックアップガイドによって曲刃がその中間位置を中心として、先端部と基端部をダイスの負角部と対応して回動するよう適切に揺動される。
【0017】
(3) 前記バックアップガイドによって揺動された曲刃を、ダイスに対する相対的な離間移動に伴って復帰させる復帰手段をさらに備えていることを特徴とする(1)または(2)のいずれか1項に記載のプレス型。
【0018】
(3)項に記載の発明では、(1)または(2)のいずれか1項に記載の発明において、バックアップガイドによって揺動された曲刃を、ダイスに対する相対的な離間移動に伴って復帰させる復帰手段をさらに備えていることにより、一プレス成形サイクルが終了した直後から次のプレス成形サイクルを確実に開始することができる。
【0019】
(4) 板状のワークを負角に曲げ加工するプレス方法であって、
ワークの曲部を押圧する曲刃を揺動可能に支持し、
該曲刃とプレス方向に対する負角部が形成されたダイスとの間にワークを配置して、
前記曲刃とダイスとを相対的に近接移動させることにより、前記曲刃をダイスの負角部と対応して揺動させることを特徴とするプレス方法。
【0020】
(4)項に記載の発明では、ワークの曲部を押圧する曲刃を揺動可能に支持し、該曲刃とプレス方向に対する負角部が形成されたダイスとの間にワークを配置して、前記曲刃とダイスとを相対的に近接移動させることにより、前記曲刃をダイスの負角部と対応して揺動させると、曲げ工程と歪み取り工程とを連続して一工程によりシワの発生を抑制しつつ板状のワークを負角に曲げ加工することが可能なプレス方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明によるプレス型の実施の一形態を、図1〜図5に基づいて説明する。同一符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
本発明のプレス型1は、概略、板状のワークWを負角に曲げ加工するためのものであって、相対向して配置され、相対的に近接・遠退する一対の型10、20を備えており、一方の型10には、ワークWの曲部を押圧する曲刃11と、この曲刃11を揺動可能に支持する支持機構12とを備えており、他方の型20には、プレス方向に対する負角部21aが形成されたダイス21と、ダイス21に対する曲刃11のプレス方向への相対的な近接移動に伴って、支持機構12に支持された曲刃11をダイス21の負角部21aと対応して揺動させるバックアップガイド22と、を備えている。
【0022】
この実施の形態におけるプレス型1は、一対の型10、20が相対向して上下に配置されており、上型10がプレス装置のラムなどに接続され、下型20がボルスタなどに支持されており、上型10が下型20に対して昇降移動するよう構成されている。したがって、この実施の形態におけるプレス方向は、図1、図4、および図5における垂直方向となる。
【0023】
上型10の下面には、バッキングプレート13が取り付けられている。図2に示すように、曲刃11は、ワークWの負角に曲げ加工する部分の形状に応じて、後述する下型20のダイス21の周囲に複数配置され、ダイス21と対向する成形面がダイス21の形状と対応するように形成されている。曲刃11を揺動可能に支持する支持機構12は、一対の吊りフックにより構成されている。吊りフック12は、図2に矢印で示すように、各曲刃11の揺動する方向に沿ってそれぞれ延在するように、バッキングプレート13に取付けられている。図3に示すように、吊りフック12は、バッキングプレート13から垂下するように取付けられる垂直部12aと、この垂直部12aの下端から水平に延びる水平部12bとからなる断面L字形の型材が使用されており、この型材を互いの水平部12bを向かい合わせて所定の間隔をおいて配列することにより構成されている。
【0024】
曲刃11の基端部には、吊りフック12の水平部12bに対して摺動可能に係合され支持される溝部11bが形成されている。また、図1などに示されているように、曲刃11の基端面(上端面)11aは、曲刃11の揺動を妨げることがないように所定の曲率で円弧状に形成されている。一方、曲刃11の下端のワークWと接する角部およびバックアップガイド22と接する角部は、面取り加工されており、所定の角度で傾斜する傾斜面11c、11dが形成されている。曲刃11を揺動可能に支持する支持機構12は、曲刃11の溝部11bを支持している吊りフック12により構成されている。曲刃11は、その上端を中心として、または、その中間部の所定の点(一定とは限らない)を中心として下端と上端が旋回するように、吊りフック12によって揺動可能に支持されている。曲刃11がその中間部を中心として上端が旋回するとき、曲刃11の溝部11bが吊りフック12に対して、すなわち、プレス方向である垂直方向と直交する水平方向にスライドする。
【0025】
下型20には、ワークWの成形する形状に応じた形状のダイス21が取り付けられている。ダイス21の側面には、ワークWの負角に形成する曲げ部Waに応じて、プレス方向(この実施の形態では図1に鎖線で示した垂直方向)よりも内側に傾斜する負角部21aが形成されている。
【0026】
下型20の上面であって、上型10に設けられた各曲刃11と対応する位置の後方(図2の外側)には、それぞれバックアップガイド22が設けられている。バックアップガイド22のダイス21と対向する面は、その上方位置22aがプレス方向に沿って垂直に形成されており、中間位置22bが所定の高さから下方に向かって漸次ダイス21に近付くように傾斜している。図1に示すように、バックアップガイド22の上方位置22aは、ダイス21の最も外側の位置に対してワークWの板厚と曲刃11の厚さ(図1における幅)とを合せた長さと略等しい間隔に設定されている。また、図4および図5に示すように、バックアップガイド22の傾斜した中間位置22bは、ダイス21の負角部21aに対してワークWの板厚と曲刃11の厚さ(図5における幅)とを合せた長さと略等しい間隔に設定されており、この傾斜した中間位置22bよりも下方位置22cは、プレス方向に沿って垂直に形成されている。
【0027】
なお、本発明のプレス型1は、上述した実施の形態に限定されることはなく、成形するワークWの形状などに応じて曲刃11とこれを支持する吊りフック12、および、ダイス21の配置や形状を変更することができる。また、バックアップガイド22によって揺動された曲刃11を、ダイス21に対する相対的な離間移動に伴って垂直に復帰させるよう付勢するバネなどを使用した復帰手段を設けることもできる。さらに、平板状のワークWを曲げ成形するために、下型20のダイス21と対応するパッドを上型10に設けてもよい。さらにまた、上型10にダイス21とバックアップガイド22を設け、下型11に曲刃11とこれを支持する支持機構12を設け、ワークWを支持するとともに上型10のダイス21と協働してワークWを曲げ成形するパッドを下型20に設けてもよい。また、上型10を固定して下型20を昇降移動させるよう構成することもできる。
【0028】
次に、本発明のプレス方法を、上述したように構成されたプレス型1を用いる場合によって説明する。
本発明のプレス方法は、概略、板状のワークWを負角に曲げ加工するためのもので、ワークWの曲部Waを押圧する曲刃11を揺動可能に支持しておき、この曲刃11とプレス方向に対する負角部21aが形成されたダイス21との間にワークWを配置して、曲刃11とダイス21とを相対的に近接移動させることにより、曲刃11をダイス21の負角部21aと対応して揺動させ、ワークWの負角部Waをダイス21の負角部21aに押し付けるようにして負角に曲げ成形するものである。
【0029】
上述したように構成されたプレス型1は、ワークWを負角に曲げ成形するに際して、上型10が下型20から離間するよう上昇した状態とされている。ダイス21の側面は、内側に向かって傾斜する負角部21aとなっている。この状態での曲刃11は、垂直方向に垂下するよう吊りフック12に支持されている。
【0030】
この状態で、ダイス21上にワークWを位置決め載置し、上型10を下型20に向かって下降させて、曲刃11をダイス21に対してプレス方向に近接移動させる。これにより、ワークWの端縁の曲げ部Waは、図1に示したように、曲刃11の先端に押圧されて、プレス方向に沿って曲げ加工される。このとき、曲刃11の背面は、バックアップガイド22の垂直な面である上方位置22aに摺接し、揺動することなく案内される。そして、図4に示したように、さらに上型10が下降して曲刃11の先端の面取り加工された傾斜面11dがバックアップガイド22の傾斜した中間位置22bに接すると、曲刃11は、その先端がダイス21の負角部21aである側面に近づくように揺動し、図5に示したように、さらに上型10が下降して曲刃11の先端の面取り加工された傾斜面11dがバックアップガイド22の傾斜した中間位置22bと下方位置22cとの境界を越えると、曲刃11の成形面がダイス21の負角部21aである側面と略平行となるように揺動し、ワークWの曲げ部Waは負角に曲げ加工されることとなる。
【0031】
このように、本発明では、曲刃11が下降することによりワークWの曲げ部Waを曲刃11の先端でプレス方向に押圧して曲げ加工する曲げ工程を行い、これと連続して、曲刃11がさらに下降することにより揺動されて曲刃11の成形面で曲げ部Waをその基端からダイス21の負角部21aに押しつけるように負角に曲げ加工する歪み取り工程を一の工程で行うことができる。したがって、シワを発生させることなく、確実に、板状のワークWを負角に曲げ加工することができる。そして、曲刃11を揺動させることにより、これら一連の工程を行うのであって、従来の技術(図6および図8を参照)のように異なる工程を順次個別に行うこととは異なるため、ワークWを短時間で適切に負角に曲げ加工することができる。また、本発明では、曲刃11を揺動させるよう構成したことにより、従来の技術(図8および特許文献1を参照)のようにスライドカムを設ける必要がないことから、プレス型の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明によるプレス型の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】支持機構を説明するために示した部分拡大断面図である。
【図4】図1の状態からさらに上型が下降して曲刃が僅かに揺動された状態を示す断面図である。
【図5】図4の状態からさらに上型が下降して曲刃が揺動されワークを負角に曲げ加工した状態を示す断面図である。
【図6】従来の技術で使用されていた曲げプレス型を説明するために示した断面図である。
【図7】図6に示した曲げプレス型により曲げ加工されたワークから曲刃が離れてワークにスプリングバックが生じた状態を示す断面図である。
【図8】従来の技術で使用されていた寄曲げプレス型を説明するために示した断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1:プレス型、 10:上型、 11:曲刃、 12:吊りフック(支持機構)、 20:下型、 21:ダイス、 22:バックアップガイド、 W:ワーク、 Wa:曲げ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークを負角に曲げ加工するプレス型であって、
プレス方向に対する負角部が形成されたダイスと、
ワークの曲部を押圧する曲刃と、
該曲刃を揺動可能に支持する支持機構と、
ダイスに対する曲刃のプレス方向への相対的な近接移動に伴って、前記支持機構に支持された曲刃を、前記ダイスの負角部と対応して揺動させるバックアップガイドと、
を備えていることを特徴とするプレス型。
【請求項2】
板状のワークを負角に曲げ加工するプレス方法であって、
ワークの曲部を押圧する曲刃を揺動可能に支持し、
該曲刃とプレス方向に対する負角部が形成されたダイスとの間にワークを配置して、
前記曲刃とダイスとを相対的に近接移動させることにより、前記曲刃をダイスの負角部と対応して揺動させることを特徴とするプレス方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate