説明

プレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置

【課題】 本発明は、詰込み工程から反転工程に移行する際において、ごみ収容箱からごみ投入箱へのごみの逆流を防止することで、ごみをごみ収容箱に円滑に積込むことのできるごみ逆流防止装置を提供する。
【解決手段】摺動板10及び押込板15の作動により反転・押潰し・圧縮・詰込み動作を行いごみ投入箱に投入されたごみをごみ収容箱6に積込むプレス式ごみ収集車において、押込板を詰込み動作終了状態から所定間隔下降させた後に、反転動作に移行するごみ逆流防止機能を備え、前記ごみ逆流機能を備えた積込動作と、通常の積込動作とが選択可能になされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押込板の反転・押潰し・圧縮・詰込み動作により、ごみをごみ収容箱に積込むプレス式ごみ収集車において、ごみ収容箱に積込まれたごみがごみ投入箱側に逆流するのを防止するごみ逆流防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来のごみ収集車の構成を示している。
【0003】
ごみ収集車1の車体2上には、ごみ収容箱3が載置されている。ごみ収容箱3内には、前後方向に摺動自在な排出板4が配設されており、排出板4とごみ収容箱3の前部との間に設けられた図示しない伸縮シリンダの伸縮作動により排出板4がごみ収容箱3内を前後方向に往復動可能になされている。
【0004】
前記ごみ収容箱3の後方開口部3aには、その上方で枢支5されたごみ投入箱6が連接されている。ごみ投入箱6は、ごみ収容箱3とごみ投入箱6との間に介装された図示しない昇降シリンダにより枢支5部回りに適宜傾動自在に構成されている。
【0005】
ごみ投入箱6の後部には投入口7が開口されるとともに、その内部にはごみ積込装置Aが装備されている。
【0006】
このごみ積込装置Aは、ごみ投入箱6内のごみを押潰し・圧縮してごみ収容箱3内に詰込むプレス式もので、以下、このごみ積込装置Aの構成について説明する。
【0007】
ごみ投入箱6の両側壁には溝型鋼で形成された案内溝部材8が補強枠を兼ねて前方上部より後方下部に向かって敷設されている。
【0008】
また、ごみ投入箱6内にはその横幅一杯に広がる摺動板10が収容され、この摺動板10の両側縁の上下には案内ローラ11が軸着され、これらの案内ローラ11は前記案内溝部材8の内壁に沿って摺動自在に嵌合されている。
【0009】
前記摺動板10の背面上部にはブラケットを介して枢軸12が軸支されている。この枢軸12の両端は前記案内溝部材8の背面に沿うとともに、摺動板10の摺動距離に合致してごみ投入箱6の側壁に形成された図示しない切欠きを越えてごみ投入箱6の内側より外側に突出するようになっている。
【0010】
そして、ごみ投入箱6の側壁を越えて外側に突出した枢軸12とごみ投入箱6の下部間には、ごみ投入箱6の外側に設けられる第一伸縮シリンダ13が案内溝部材8の傾斜方向に沿って、かつ、その上方に偏位した位置に配置された状態で連結され、この第一伸縮シリンダ13の伸縮作動によって摺動板10を案内溝部材8に沿って往復移動させることができる。
【0011】
また、前記摺動板10の下端には、ごみ投入箱6の横幅一杯に広がる押込板15が枢軸15aによって前後に揺動自在に軸支され、この押込板15の先端は前方に向かって屈曲されている。
【0012】
押込板15の背面に突設した突片15bと前記摺動板10の背面上部に設けられた枢軸12間には、第二伸縮シリンダ14が連結され、この第二伸縮シリンダ14の伸縮作動によって前記押込板15を前後に揺動させることができる。
【0013】
さらに、ごみ収容箱3とごみ投入箱6には、固縛シリンダ17により揺動自在な固縛爪18と、この固縛爪18が係脱自在な係合部材19とからなる固縛手段が設けられており、この固縛手段によりごみ投入箱6をごみ収容箱3に対して固縛・解除可能に構成されている。
【0014】
次に、図11乃至図15によってごみ積込装置Aの作動工程について説明すると、図11に示す状態はごみの詰込み工程の終了時、並びにごみの投入時を示しており、この状態では第一、第二伸縮シリンダ13、14は何れも伸長され、摺動板10が上昇位置にあって、押込板15が前方揺動位置にある。
【0015】
この状態で投入口7を通じてごみをごみ投入箱6の貯留室6aに投入し、図示しない作動スイッチを押すと、図11に示す詰込終了状態より第二伸縮シリンダ14のみを縮小作動させ、図12に示すように押込板15をその前面(ごみ押込面)が略水平状態になるまで反転させる(反転工程)。
【0016】
この後、第一伸縮シリンダ13を縮小作動させることで、摺動板10を案内溝部材8に沿って下降させ、これに連結された押込板15をその前面が略水平状態を保持したまま平行に下降させ、図13に示すように押込板15とごみ投入箱6底面の円弧面間でごみを押潰す(押潰し工程)。
【0017】
上述した押潰し工程が終了すると、今度は第二伸縮シリンダ14が伸長作動し、これによって押込板15が図14に示すようにその前面が略垂直状態になるまで時計方向に回動し、ごみを押込板15とごみ投入箱6の底面の平坦面間で二次的に圧縮する(圧縮工程)。
【0018】
そして、上記圧縮工程が終了すると、第一伸縮シリンダ13が伸長作動し、押込板15を略垂直状態を保持したまま平行に上昇させ、図15に示すように前工程にて圧縮したごみをごみ収容箱3内に詰込む(詰込み工程)。
【0019】
このようにしてごみ積込装置Aによる反転、押潰し、圧縮、詰込みの各工程を1サイクルとする積込動作が行われ、これによってごみがごみ収容箱3に積込まれる。
【0020】
この際、ごみ収容箱3内では積込んだごみがその前方に配置されている排出板4を前方側に押圧し、この押圧力が所定以上になると排出板4が当該押圧力に見合う分だけ前方に移動する。このように排出板4がごみの積込みに伴って順次移動することで、ごみをごみ収容箱3内で圧縮して効率よく積込んで行く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上記従来のプレス式のごみ収集車1においては、詰込み工程から反転工程に移行する際に、ごみ収容箱3に圧縮された状態で積込まれたごみの反発力により当該ごみが押込板15の後方への揺動に伴ってごみ収容箱3からごみ投入箱6側に逆流する現象が生じ、これによりごみ収容箱3へのごみの円滑な積込みを阻害し、作業性が低下するという問題があった。
【0022】
特に、前述したように収容箱3内に排出板4を設け、この排出板4をごみの積込みに伴ってごみ収容箱3内において前進させながらごみを積込む方式のものでは、ごみ収容箱3内のごみの反発力が強くなり上述した問題が顕著に表れる。
【0023】
本願の各発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、詰込み工程から反転工程に移行する際において、ごみ収容箱からごみ投入箱へのごみの逆流を防止することで、ごみをごみ収容箱に円滑に積込むことのできるごみ逆流防止装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
請求項1に係る発明のプレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置は、車枠上に搭載されたごみ収容箱の後方開口部にごみ投入箱が連設され、ごみ投入箱には、当該ごみ投入箱内を上下に往復摺動自在な摺動板と、該摺動板の下端に前後に揺動自在に設けられた押込板とを備えたごみ積込装置が設けられ、摺動板及び押込板の作動により反転・押潰し・圧縮・詰込み動作を行いごみ投入箱に投入されたごみをごみ収容箱に積込むプレス式ごみ収集車において、前記押込板を詰込み動作終了状態から所定間隔下降させた後に、反転動作に移行するごみ逆流防止機能を備え、前記ごみ逆流機能を備えた積込動作と、通常の積込動作とが選択可能になされたものである。
【0025】
請求項2に係る発明のプレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置は、車枠上に搭載されたごみ収容箱の後方開口部にごみ投入箱が連設され、ごみ投入箱には、当該ごみ投入箱内を上下に往復摺動自在な摺動板と、該摺動板の下端に前後に揺動自在に設けられた押込板とを備えたごみ積込装置が設けられ、摺動板及び押込板の作動により反転・押潰し・圧縮・詰込み動作を行いごみ投入箱に投入されたごみをごみ収容箱に積込むプレス式ごみ収集車において、前記押込板を詰込み動作終了状態から下降させながら反転動作に移行するごみ逆流防止機能を備え、前記ごみ逆流機能を備えた積込動作と、通常の積込動作とが選択可能になされたものである。
【発明の効果】
【0026】
以上述べたように、本発明によれば、反転・押潰し・圧縮・詰込み動作を行いごみ投入箱に投入されたごみをごみ収容箱に積込むプレス式ごみ収集車において、押込板を詰込み動作終了状態から所定間隔下降させた後に、反転動作に移行するごみ逆流防止機能を備えることにより、ごみ収容箱に積込んだごみがごみ投入箱側に逆流するのを確実に防止することができる。
【0027】
また、反転・押潰し・圧縮・詰込み動作を行いごみ投入箱に投入されたごみをごみ収容箱に積込むプレス式ごみ収集車において、押込板を詰込み動作終了状態から下降させながら反転動作に移行するごみ逆流防止機能を備えることによっても、ごみ収容箱に積込んだごみがごみ投入箱側に逆流するのを確実に防止することができる。
【0028】
さらに、上記ごみ逆流機能を備えた積込動作と、通常の積込動作とを選択可能にすることで、1台のごみ収集車によってごみの種別に応じた効率の良いごみ収集を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、プレス式ごみ収集車の逆流防止装置の構成を示している。この逆流防止装置は、押込板15のごみ押込面151側に補助板20を取り付けたことを特徴とするものである。
【0031】
具体的には、補助板20は、その横幅が押込板15の横幅と略同じ板状態であり、その上端部が押込板15のごみ押込面151の上部にブラケット21を介して枢軸20a(揺動中心)によって揺動自在に枢支されている。つまり、補助板20は、摺動板10に押込板15を軸支した枢軸15aとは同軸でなく、この枢軸15aからごみ押込面151側に偏心した位置に枢軸20aによって枢支されている。
【0032】
また、補助板20の上下幅は、その下端が押込板15の下端(先端)に近接する位置まで延長された長さを有する。
【0033】
補助板20と押込板15との間にはアクチュエータとして伸縮シリンダ22が介装されており、伸縮シリンダ22の伸縮動作により補助板20が押込板15のごみ押込面151と合致する位置から押込板15のごみ押込面151から離間する位置の間で前後に揺動自在に設けられている。
【0034】
なお、他の構成については、摺動板10や押込板15などの形状は異なるものの、その作用や積込動作については従来例で説明したごみ収集車1と同様であり、同じ部材には同符号を付して説明は省略する。また、摺動板10と押込板15を作動させるアクチュエータ(従来例おける第一、第二伸縮シリンダ)などごみ収集車の作動に関連する機構も従来例のものと同様であり、図1では図示を省略している。
【0035】
次に、このように構成されたごみプレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置によるごみの積込み動作について説明する。
【0036】
まず、図1は、ごみ投入が可能な状態であるごみの詰込み工程終了時の状態を示している。なお、この時の図示を省略している各アクチュエータの状態(第一、第二伸縮シリンダの伸縮状態など)は従来例で述べた状態と同様であり、この結果、摺動板10が上昇位置にあって、押込板15が前方揺動位置にある。
【0037】
また、補助板20は、伸縮シリンダ22の縮退によって押込板15のごみ押込面151に合致した状態になされている。
【0038】
この状態で投入口7を通してごみをごみ投入箱6の貯留室6aに投入し、図示しない作動スイッチを押すと、図1に示す詰込終了状態から反転工程に移行し、押込板15をそのごみ押込面151が略水平状態になるまで反転させる(図2参照)。
【0039】
このとき、補助板20は、伸縮シリンダ22の伸長動作により押込板15に対して前方に揺動し、図2に示す反転終了時においては、上記詰込み工程終了時の状態(図2二点鎖線参照)からやや後方に移動してごみ収容箱3とごみ投入箱6との間に形成されている連通口23の約上半分を閉塞するように垂下した状態で保持される。
【0040】
このように押込板15の反転動作に伴って補助板20が連通口23に配置されることで、ごみ収容箱3内に圧縮された状態で積込まれているごみが、その反発力によりごみ投入箱3側に逆流するのを防止する。
【0041】
この際、補助板20の位置も押込板15の反転により図1に示す詰込み終了状態の位置からやや後方に移動しており、この移動により補助板20に加わるごみの反発力を軽減することができ、各部材の負荷が軽減するため構造の簡素化、軽量化を図ることができる。但し、補助板20の後方への揺動により若干のごみの逆流は見込まれるが、補助板20がない場合に押込板15が詰込み工程から一挙に反転工程に移行した場合と比べるとごみの逆流は極端に少なくなる。
【0042】
この後、摺動板10を下降させ、これに連結された押込板15をそのごみ押込面151が略水平状態を保持したまま平行に下降させるとともに、この押込板15の下降初期に伸縮シリンダ22の縮退動作によって補助板20を後方に揺動させる反転動作を行うことで、当該補助板20を押込板15のごみ押込面151に合致させ、押込板15及び補助板20とごみ投入箱6底面の円弧面間でごみを押潰す押潰し工程に移行する(図3参照)。
【0043】
上述した押潰し工程が終了すると、今度は押込板15を図4に示すようにそのごみ押込面151が略垂直状態になるまで時計方向に回動させ、ごみを押込板15及び補助板20とごみ投入箱6の底面の平坦面との間で二次的に圧縮する(圧縮工程)。
【0044】
そして、上記圧縮工程が終了すると、押込板15及び補助板20を略垂直状態を保持したまま平行に上昇させ、図1に示すように圧縮したごみをごみ収容箱3内に詰込む(詰込み工程)。
【0045】
このようにしてごみ積込装置Aによる反転、押潰し、圧縮、詰込みの各工程を1サイクルとする積込動作が行われ、これによってごみ収容箱3からごみ投入箱6側へのごみの逆流を防止しながらごみをごみ収容箱3に円滑に積込むことができる。
【0046】
ここで、補助板20の揺動中心となる枢軸20aは、摺動板10に軸支した押込板15の枢軸15aからごみ押込面151側に偏心させた位置でこの補助板20を枢支しているため、枢軸15aと同軸に同じ長さの補助板20を枢支した場合に比べて、押込板15が反転工程に移行した際に補助板20の枢軸20aが押込板15の枢軸15aよりも下方に位置し、これにより前記連通口23の開口を最小にすることができ、ごみの逆流防止効果を高めている。
【0047】
また、上述のようにしてごみ収容箱3に収容したごみを排出する場合は、ごみ投入箱6を枢支5部を中心に上方に傾動させてごみ収容箱3の後方開口部3aを開口させた後、排出板4を前方から後方に摺動させることで行われる。
【0048】
前述した積込み動作は、例えば図5に一例を示す制御装置30によって制御されている。
【0049】
制御装置30は、CPU等からなる制御部31と、予め上述した積込動作や排出動作などの各制御パターンが設定された積込部32、排出部33と、インターフェース34、35を備えている。
【0050】
一方、ごみ収集車1には、摺動板10、押込板15及び補助板20、並びに排出板4などの各動作部の各作動位置を検出するための近接スイッチ36もしくはリミットスイッチなどがそれぞれ設けられている。
【0051】
上記各近接スイッチ36による検出信号は、制御部31に入力され、制御部31では、操作装置37からの各操作信号により各近接スイッチ36からの各検出信号、並びに予め設定され積込部32や排出部33に設定された制御パターンに基づいて、各アクチュエータを作動させるための油圧経路に設けられた各制御弁38に指令信号を出力し、各制御弁38を作動させて摺動板10、押込板15及び補助板20、並びに排出板4などを前述した如く作動するように制御する。
【0052】
さらに、前記補助板20は、押潰し工程の初期に押込板15側に反転する際の反転動作速度が可変になされている。
【0053】
例えば、ごみ収集車1により収集するごみがペットボトルなどように圧縮した後の反発力が大きいものである場合には、補助板20を反転させる速度をゆっくりとして補助板20によるごみ収容箱3内のごみ圧縮を少しでも長く維持することで、ごみの圧縮状態を安定させ、ごみの逆流防止効果を高めることができる。なお、空缶や一般ごみの場合でも、補助板20を上述のようにゆっくりと反転させることで、ごみの逆流防止効果が期待できる。
【0054】
これに対して、粗大ごみを収集する場合には、補助板20の反転速度を早くして、押潰し工程に入る初期の段階で補助板20を速やかに押込板15側に反転させるとこで、反転する補助板20がごみ投入箱3に投入された嵩の大きな粗大ごみに干渉しないようにする。
【0055】
これにより補助板20が完全に反転しない状態でこの補助板20が粗大ごみを押潰すことを防止し、補助板20の破損や動作不良を防止することができる。
【0056】
このように、補助板の反転動作速度を可変に構成し、ごみの種別に応じて補助板の反転動作速度を変更することで、一台のごみ収集車によってごみの種別の異なるごみでも当該ごみの逆流を確実に防止して収集できるとともに、補助板の損傷なども防止することができる。
【0057】
補助板20の反転速度を可変にする制御は、図5に示すように、補助板20を作動させる伸縮シリンダ22の油圧経路に可変の絞り弁39を設けるとともに、操作装置37にごみ選択スイッチ37aを設け、収集するごみに応じてごみ選択スイッチ37aを操作し、この選択信号に基づいて制御部31により絞り弁39を制御してその流量を調整することによって行われる。なお、絞り弁39は、手動により直接調整するようにしてもよい。
【0058】
また、上述したような押込板15の動作に伴う補助板20の動作を行わず、補助板20を押込板15のごみ押込面151に沿わせて配置した状態で、当該押込板15とともに作動する、通常の積込動作を行うようにすることも可能である。この場合には、操作装置37に図示しない選択スイッチを設け、この選択スイッチの操作により、補助板20を作動させる動作と作動させない動作とを選択するようにすればよい。
【0059】
図6は、プレス式ごみ収集車の逆流防止装置の他の実施の形態を示している。このプレス式ごみ収集車の逆流防止装置は、伸縮シリンダ22の基端部を押込板15側に取付ける取付位置を変更し、押込板15が反転した状態で補助板20を前述した実施の形態のものに比べて前方に配置させるようにしたもので、押込板15に設けるブラケット15bの形状を変えることで対応している。これにより押込板15が反転した時に補助板20が連通口23を閉塞する部分が大きくなり、ゴミの逆流防止効果をさらに高めることができる。
【0060】
図7は、プレス式ごみ収集車の逆流防止装置のさらに他の実施の形態を示している。
このプレス式ごみ収集車の逆流防止装置は、補助板20の基端部20bを延長して補助板20全体の長さを長くしたものである。これにより押込板15が反転した時に補助板20が連通口23を閉塞する部分がさらに大きくなり、ゴミの逆流防止効果をさらに高めることができる。
【0061】
図8は、プレス式ごみ収集車の逆流防止装置のさらに他の実施の形態を示している。
このプレス式ごみ収集車の逆流防止装置は、補助板20の先端20cが押込板15の先端と略同じ位置まで近接配置されるように、押込体15に対する補助板20の上下幅を長くしたもので、これにより上述と同様にゴミの逆流防止効果を高めることができる。
【0062】
次に、請求項1に記載のプレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置について説明する。
【0063】
このごみ収集車の基本的な構成は、従来例で説明したごみ収集車1と同様であり、その特徴とするところはごみの積込み時における押込板15の動作にある。
【0064】
具体的には、従来で説明した図11に示す詰込み工程と図12に示す反転工程との間において、押込板15を上記詰込み工程の状態から図9に示すように所定間隔下降させる工程を加え、この後に上記反転工程に移行するように構成されている。
【0065】
このように押込板15を詰込み工程終了状態から一旦所定間隔下降させることで、押込板15の反転タイミングを遅らせ、これより反転工程において押込板15が後方に反転した際にごみ収容箱3内のごみがごみ投入箱6側に逆流するのを防止することができる。
【0066】
また、請求項2記載のように上述した押込板15を詰込み工程終了状態から所定間隔下降させる動作と、押込板15の反転動作とを同時に行うことによっても、押込板15の反転タイミングが若干早くなるものの、上述したごみ逆流防止効果と遜色のない効果が期待できる。
【0067】
さらに、従来例で説明した従来のごみ積込装置Aによる積込動作と、上述した2種類のごみ逆流防止動作との3種類の動作の何れかの動作を選択可能にすることでごみの種別に合った収集を行うこともできる。
【0068】
例えば、図5に示す制御装置30の積込部32に上記3種類の積込パターンを予め設定するとともに、操作装置37に積込選択スイッチ37bを設け、この積込選択スイッチ37bで3種類の積込パターンのうちのいずれかを選択することで、制御部31ではこの選択した積込パターンに基づいて各制御弁38を制御し、当該選択した積込動作を行う。
【0069】
なお、押込板15を上記詰込み工程の状態から図9に示すように所定間隔下降させた後に反転工程に移行する制御を行うには、押込板15が上記下降位置に達したことを検出するリミットスイッチが新たに必要になる。
【0070】
図10は、上述した3種類の積込パターンに基づいて積込装置Aを制御する場合の簡単なフローを示している。
【0071】
まず、ステップS1では、積込選択スイッチ37bにより逆流防止仕様が設定されているか否かを判断し、逆流防止仕様が設定されていなければステップS2で通常の従来の積込動作を行う。
【0072】
また、選択スイッチ37bにより逆流防止仕様が設定されている場合には、ステップS3で逆流防止仕様パターンがNO1かNO2のどちらであるかを判断し、パターンNO1である場合にはステップS4に進み、押込板15を上記詰込み工程終了状態から図9に示すように所定間隔下降させた後に反転工程に移行させる積込動作を行いう。
【0073】
一方、パターンNO2である場合には、ステップS5に進み押込板15の詰込み工程から所定間隔下降させる動作と、押込板15の反転動作とを同時に行う積込動作を行う。
【0074】
このように選択スイッチ37bにより2種類の逆流防止仕様パターンと通常の積込パターンとの何れかを選択することで、1台のごみ収集車1によってごみの種別に応じた効率の良いごみ収集を行うことができる。
【0075】
なお、本例では、2種類の逆流防止仕様パターンと従来の積込パターンとの3種類の積込パターンから何れか一つの積込パターンを選択するようにしたものについて説明したが、2種類の逆流防止仕様パターンのどちらか一方のパターンと従来の積込パターンとの2種類の積込パターンからどちらかを選択するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】プレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置の構成を示す側面図である。
【図2】プレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置の動作(反転)を説明するための側面図である。
【図3】プレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置の動作(押潰し)を説明するための側面図である。
【図4】プレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置の動作(圧縮)を説明するための側面図である。
【図5】プレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置の制御系統を示すブロック図である。
【図6】プレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置の他の実施の形態を示す側面図である。
【図7】プレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置の他の実施の形態を示す側面図である。
【図8】プレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置の他の実施の形態を示す側面図である。
【図9】プレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置によるごみ逆流機能を説明するための図である。
【図10】3種類の積込パターンに基づいて積込装置を制御する場合のフロー図である。
【図11】従来のプレス式ごみ収集車の構成を示す側面図である。
【図12】従来のプレス式ごみ収集車による積込動作(反転)を説明するための図である。
【図13】従来のプレス式ごみ収集車による積込動作(押潰し)を説明するための図である。
【図14】従来のプレス式ごみ収集車による積込動作(圧縮)を説明するための図である。
【図15】従来のプレス式ごみ収集車による積込動作(詰込み)を説明するための図である。
【符号の説明】
【0077】
1 ごみ収集車
2 車枠
3 ごみ収容箱
3a 後方開口部
6 ごみ投入箱
10 摺動板
15 押込板
15a 枢軸(揺動中心)
151 ごみ押込面
20 補助板
20a 枢軸(揺動中心)
22 伸縮シリンダ
39 絞り弁
A 積込装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車枠上に搭載されたごみ収容箱の後方開口部にごみ投入箱が連設され、ごみ投入箱には、当該ごみ投入箱内を上下に往復摺動自在な摺動板と、該摺動板の下端に前後に揺動自在に設けられた押込板とを備えたごみ積込装置が設けられ、摺動板及び押込板の作動により反転・押潰し・圧縮・詰込み動作を行いごみ投入箱に投入されたごみをごみ収容箱に積込むプレス式ごみ収集車において、
前記押込板を詰込み動作終了状態から所定間隔下降させた後に、反転動作に移行するごみ逆流防止機能を備え、前記ごみ逆流機能を備えた積込動作と、通常の積込動作とが選択可能になされたことを特徴とするプレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置。
【請求項2】
車枠上に搭載されたごみ収容箱の後方開口部にごみ投入箱が連設され、ごみ投入箱には、当該ごみ投入箱内を上下に往復摺動自在な摺動板と、該摺動板の下端に前後に揺動自在に設けられた押込板とを備えたごみ積込装置が設けられ、摺動板及び押込板の作動により反転・押潰し・圧縮・詰込み動作を行いごみ投入箱に投入されたごみをごみ収容箱に積込むプレス式ごみ収集車において、
前記押込板を詰込み動作終了状態から下降させながら反転動作に移行するごみ逆流防止機能を備え、前記ごみ逆流機能を備えた積込動作と、通常の積込動作とが選択可能になされたことを特徴とするプレス式ごみ収集車のごみ逆流防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−290884(P2008−290884A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181332(P2008−181332)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【分割の表示】特願平11−322633の分割
【原出願日】平成11年11月12日(1999.11.12)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】