説明

プログラム、情報記憶媒体及び画像生成システム

【課題】これまでにない操作インターフェース環境を提供できるプログラム、情報記憶媒体及び画像生成システムを提供すること。
【解決手段】 画像生成システムは、タッチパネルディスプレイ190に表示される画像の表示制御を行う表示制御部110と、移動オブジェクトを移動させる制御を行う移動制御部111と、プレーヤがタッチパネルディスプレイ190を用いて入力した形状の認識処理を行う形状認識部117と、プレーヤの入力形状が直線形状であると認識された場合に、その描画方向を特定する描画方向特定部118と、直線形状に移動オブジェクトがヒットしたか否かを判断するヒットチェック部119を含み、移動制御部111が、直線形状に移動オブジェクトがヒットした場合に、特定された描画方向に応じて移動オブジェクトの移動方向を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報記憶媒体及び画像生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム画像を生成する一般的な画像生成システムにおいては、プレーヤは、ゲームコントローラに設けられた方向指示キーやボタンなどを操作して、ディスプレイに表示されるプレーヤキャラクタ(広義には移動オブジェクト)を移動させたり、プレーヤキャラクタに敵キャラクタを攻撃させて、ゲームを楽しむ。
【0003】
また、例えばゲームコントローラにタッチパネルディスプレイを設け、このタッチパネルディスプレイを用いてプレーヤがゲーム操作を行うタイプの画像生成システムも提案されている。この従来の画像生成システムでは、方向指示キーやボタンを模したアイコン画像が、タッチパネルディスプレイに表示される。そしてプレーヤは、これらのレバーやボタンのアイコン画像をタッチすることで、所望のゲーム操作を行う。
【0004】
しかしながら、この従来の画像生成システムでは、方向指示キーやボタンのアイコン画像をタッチするなどの単純なゲーム操作しかできないという課題があった。
【特許文献1】特開平6−285259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、これまでにない操作インターフェース環境を提供できるプログラム、情報記憶媒体及び画像生成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、画像を生成するためのプログラムであって、タッチパネルディスプレイに表示される画像の表示制御を行う表示制御部と、前記タッチパネルディスプレイに表示される移動オブジェクトを移動させる制御を行う移動制御部と、プレーヤが前記タッチパネルディスプレイを用いて入力した入力形状の認識処理を行う形状認識部と、プレーヤの入力形状が直線形状であると認識された場合に、直線形状の描画方向を特定する描画方向特定部と、認識された直線形状に前記移動オブジェクトがヒットしたか否かを判断するヒットチェック部とを含み、前記移動制御部が、直線形状に前記移動オブジェクトがヒットした場合に、特定された前記描画方向に応じて、前記移動オブジェクトの移動方向を変化させる制御を行う画像生成システムに関係する。また本発明は、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラムに関係する。また本発明は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラムを記憶(記録)した情報記憶媒体に関係する。
【0007】
本発明によれば、プレーヤの入力形状が直線形状であると認識され、その直線形状に移動オブジェクトがヒットすると、直線形状の描画方向に応じて、移動オブジェクトの移動方向が変化する。このようにすれば、プレーヤは、タッチパネルディスプレイに直線形状を描くだけで移動オブジェクトの移動方向を制御できるようになり、これまでにない直感的な操作インターフェース環境を提供できる。
【0008】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記描画方向特定部が、第1〜第N(Nは4以上の整数)の方向の中から、入力形状の方向に最も近い方向を選択することで、直線形状の描画方向を特定し、前記移動制御部が、直線形状の描画方向として第K(1≦K≦N)の方向が選択された場合には、前記移動オブジェクトの移動方向を前記第Kの方向に変化させる制御を行うようにしてもよい。
【0009】
このようにすれば、描画方向の特定処理や移動オブジェクトの移動方向の制御処理を簡素化でき、処理負荷を軽減できる。
【0010】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記ヒットチェック部が、プレーヤが前記タッチパネルディスプレイを用いて入力したタッチ入力位置が、前記移動オブジェクトの位置を含むヒットエリア内に位置するか否かを判断し、前記移動制御部が、プレーヤのタッチ入力位置が前記ヒットエリア内に位置していると判断された場合には、前記移動オブジェクトの移動を停止又は制限する制御を行うようにしてもよい。
【0011】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記移動制御部が、プレーヤのタッチ入力位置が前記ヒットエリア内に位置している状態で、プレーヤのタッチ入力位置がドラッグされた場合には、ドラッグ方向に前記移動オブジェクトを移動させる制御を行うようにしてもよい。
【0012】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記表示制御部が、プレーヤの入力形状が移動オブジェクトの形状であると認識された場合に、プレーヤの入力形状に応じた移動オブジェクトを発生して表示する制御を行うようにしてもよい。
【0013】
このようにすれば、プレーヤは、自身が所望する形状の移動オブジェクトをゲームフィールドに発生させて、ゲームプレイを楽しむことが可能になる。
【0014】
また本発明は、画像を生成する画像生成システムであって、タッチパネルディスプレイに表示される画像の表示制御を行う表示制御部と、前記タッチパネルディスプレイに表示される移動オブジェクトを移動させる制御を行う移動制御部と、プレーヤが前記タッチパネルディスプレイを用いて入力したタッチ入力位置が、前記移動オブジェクトの位置を含むヒットエリア内に位置するか否かを判断するヒットチェック部とを含み、前記移動制御部が、プレーヤのタッチ入力位置が前記ヒットエリア内に位置していると判断された場合には、前記移動オブジェクトの移動を停止又は制限する制御を行う画像生成システムに関係する。また本発明は、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラムに関係する。また本発明は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラムを記憶(記録)した情報記憶媒体に関係する。
【0015】
本発明によれば、プレーヤのタッチ入力位置が移動オブジェクトのヒットエリア内にあると判断されると、移動オブジェクトの移動が停止又は制限されるようになる。このようにすれば、プレーヤは、タッチパネルディスプレイで移動オブジェクトにタッチするだけで、移動オブジェクトの移動を停止したり制限することが可能になり、これまでにない直感的な操作インターフェース環境を提供できる。
【0016】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記移動制御部が、プレーヤのタッチ入力位置が前記ヒットエリア内に位置している状態で、プレーヤのタッチ入力位置がドラッグされた場合には、ドラッグ方向に前記移動オブジェクトを移動させる制御を行うようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、プレーヤは、移動オブジェクトを所望の位置までドラッグ移動することが可能になり、利便性を向上できる。
【0018】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、プレーヤが前記タッチパネルディスプレイを用いて入力した入力形状の認識処理を行う形状認識部を含み(形状認識部としてコンピュータを機能させ)、前記表示制御部が、プレーヤの入力形状が移動オブジェクトの形状であると認識された場合には、プレーヤの入力形状に応じた移動オブジェクトを発生して表示する制御を行うようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、プレーヤは、自身が所望する形状の移動オブジェクトをゲームフィールドに発生させて、ゲームプレイを楽しむことが可能になる。
【0020】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記表示制御部が、前記タッチパネルディスプレイに表示されるゲームフィールドの外に前記移動オブジェクトが移動したと判断された場合には、前記移動オブジェクトを消滅させる表示制御を行うようにしてもよい。
【0021】
このようにすれば、プレーヤは、プレーヤキャラクタがゲームフィールドの外に出て消滅してしまわないように、プレーヤキャラクタの移動方向を変えたりプレーヤキャラクタを停止させるゲーム操作を楽しめるようになる。
【0022】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、第1のディスプレイである前記タッチパネルディスプレイに表示される第1のゲームフィールドでのゲームプレイにより変化するゲームパラメータに基づいて、前記第1のゲームフィールドから第2のディスプレイに表示される第2のゲームフィールドへの前記移動オブジェクトの移動を許可する移動許可条件が満たされたか否かを判断する移動許可条件判断部を含み(移動許可条件判断部としてコンピュータを機能させ)、前記移動制御部が、前記移動許可条件が満たされた場合に、前記第1のゲームフィールドから前記第2のゲームフィールドに前記移動オブジェクトを移動させる制御を行うようにしてもよい。
【0023】
本発明によれば、第1のゲームフィールドでのゲームプレイにより変化するゲームパラメータ(得点、ポイント、獲得アイテム等)に基づいて、第1のゲームフィールドから第2のゲームフィールドへの移動許可条件が満たされたか否かが判断される。そして移動許可条件が満たされた場合には、第1のゲームフィールドから第2のゲームフィールドへの移動オブジェクトの移動が可能になる。このようにすれば、第1のディスプレイ(タッチパネルディスプレイ)の第1のゲームフィールドで移動していた移動オブジェクトを、第2のディスプレイの第2のゲームフィールドに登場させることができ、複数のディスプレイの有効活用を図ることが可能になる。
【0024】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記移動許可条件が満たされた場合に、前記第1のゲームフィールドから前記第2のゲームフィールドへの通過経路を前記移動オブジェクトが通過するための通過条件が満たされたか否かを判断する通過条件判断部を含み(通過条件判断部としてコンピュータを機能させ)、前記移動制御部が、前記通過条件が満たされた場合に、前記第1のゲームフィールドから前記第2のゲームフィールドに前記移動オブジェクトを移動させる制御を行うようにしてもよい。
【0025】
このようにすれば、移動許可条件に加えて通過条件を判断して、第2のゲームフィールドに移動オブジェクトを移動させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0027】
1.構成
図1に本実施形態の画像生成システムの外観図を示す。この画像生成システムは、第1のディスプレイであるタッチパネルディスプレイ190と、第2のディスプレイであるディスプレイ191が設けられている。また方向指示キー(十字キー)やボタンなどの操作部160(操作パネル)や、プレーヤが音入力(音声入力)を行うための音入力装置162(マイク)が設けられている。
【0028】
タッチパネルディスプレイ190、ディスプレイ191には種々の画像(ゲーム画像、表示物)が表示される。即ちプレーヤが操作するプレーヤキャラクタ(広義には移動オブジェクト)や、敵キャラクタ(広義には移動オブジェクト、ターゲットオブジェクト)や、背景などの画像が表示される。また得点、ポイント、ステータスなどの各種ゲーム状況情報を知らせる画像が表示される。
【0029】
プレーヤは、タッチパネルディスプレイ190をタッチ操作して、タッチパネルディスプレイ190に所望の入力形状(軌跡形状、サイン)を描くことで、キャラクタを発生させたり、キャラクタの移動(動作)を制御したり、コマンドを入力するなどのゲーム操作を行うことができる。ここでタッチパネルディスプレイ190へのタッチ操作(手書き入力)は、ペンなどの入力機器を用いて行ってもよいし、指先を用いて行ってもよい。またプレーヤは、操作部160の方向指示キーやボタンを操作したり、音入力装置162に音声を入力することによっても、ゲーム操作を行うこともできる。
【0030】
なお図1では、本実施形態を携帯型ゲーム装置に適用した場合について示しているが、本実施形態は、業務用ゲーム装置(代価を支払ってゲームを行うことができる装置)や、携帯型以外の家庭用ゲーム装置などにも適用できる。
【0031】
図2に本実施形態の画像生成システムの機能ブロック図の例を示す。なお本実施形態の画像生成システムは図2の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0032】
操作部160は、プレーヤが操作データを入力するためのものであり、その機能は、方向指示キー、ボタン、或いはレバーなどにより実現できる。音入力装置162は、プレーヤが音声や手拍子などの音を入力するためのものであり、その機能はマイクなどにより実現できる。記憶部170は、処理部100や通信部196などのワーク領域となるもので、その機能はRAM(VRAM)などにより実現できる。
【0033】
情報記憶媒体180(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、メモリーカード、ハードディスク、或いはメモリー(ROM)などにより実現できる。処理部100は、情報記憶媒体180に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体180には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
【0034】
タッチパネルディスプレイ190(広義には第1のディスプレイ)は、プレーヤがゲーム操作を行ったり、本実施形態により生成された画像を表示出力するためのものである。タッチパネル方式としては、抵抗膜方式(4線式、5線式)、静電容量結合方式、超音波表面弾性波方式、赤外線走査方式などがある。またゲーム操作としては、例えばオブジェクト(プレーヤキャラクタ、敵キャラクタ、背景)を発生させたり、オブジェクトの移動(動作)を制御したり、ゲームを進行させたり各種指示を与えるためのコマンドを入力したり、各種情報(プレーヤ情報、文字情報、図形情報等)を入力するための操作などがある。またタッチパネルディスプレイ190には、移動オブジェクト(プレーヤキャラクタ、敵キャラクタ、ボール、アイテム)や背景オブジェクトやゲームフィールド(ゲーム空間、オブジェクト空間)などの画像を表示できる。またプレーヤに種々のゲーム状況情報(ステータス、得点、ポイント、制限時間等)を伝えるための画像を表示できる。なお第1のディスプレイとしてタッチパネル式ではないディスプレイを用いてもよい。
【0035】
ディスプレイ191(広義には第2のディスプレイ)は、本実施形態により生成された画像を表示出力するものであり、その機能は、LCD(液晶表示装置)、CRT、或いは有機ELディスプレイなどにより実現できる。なお第2のディスプレイとしてタッチパネル式のディスプレイを用いてもよい。
【0036】
音出力部192は、本実施形態により生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカ、或いはヘッドフォンなどにより実現できる。
【0037】
携帯型情報記憶装置194は、プレーヤの個人データやゲームのセーブデータなどが記憶されるものであり、この携帯型情報記憶装置194としては、メモリカードなどがある。通信部196は外部(例えばホスト装置や他の画像生成システム)との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0038】
なお本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(データ)は、ホスト装置(サーバー)が有する情報記憶媒体からネットワーク及び通信部196を介して情報記憶媒体180(記憶部170)に配信してもよい。このようなホスト装置(サーバー)の情報記憶媒体の使用も本発明の範囲内に含めることができる。
【0039】
処理部100(プロセッサ)は、操作部160からの操作データやプログラムなどに基づいて、ゲーム演算処理、画像生成処理、或いは音生成処理などを行う。この処理部100は記憶部170をワーク領域として各種処理を行う。処理部100の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0040】
処理部100は、表示制御部110、移動制御部111、ゲーム演算部112、移動許可条件判断部113、通過条件判断部114、オブジェクト変更部115、カウント部116、形状認識部117、描画方向特定部118、ヒットチェック部119、画像生成部120、音生成部130を含む。なおこれらの一部を省略する構成としてもよい。
【0041】
表示制御部110は、タッチパネルディスプレイ190、ディスプレイ191(第1、第2のディスプレイ)に表示される画像(オブジェクト)の表示制御を行う。具体的には、表示すべきオブジェクト(キャラクタ、標的、車、ボール、アイテム、建物、樹木、柱、壁、マップ)を発生させたり、オブジェクトの表示や表示位置を指示したり、オブジェクトを消滅させたりするなどの表示制御を行う。即ち発生したオブジェクトをオブジェクトリスト(キャラクタ管理リスト)に登録したり、オブジェクトリストを画像生成部120等に転送したり、消滅したオブジェクトをオブジェクトリスト(キャラクタ管理リスト)から削除したりするなどの表示制御を行う。
【0042】
移動制御部111は、ゲームフィールド(ゲーム空間、2次元又は3次元のオブジェクト空間)でオブジェクト(2次元又は3次元のオブジェクト)を移動させるための処理を行う。即ち操作部160やタッチパネルディスプレイ190を用いてプレーヤが入力した操作データや、プログラム(移動アルゴリズム)や、各種データ(オブジェクトリスト)などに基づいて、オブジェクトを移動させる処理を行う。更に具体的には、オブジェクトの移動情報(位置、回転角度、速度、或いは加速度)を、1フレーム(1/60秒)毎に順次求める処理を行う。また移動制御部(動作制御部)111は、オブジェクトを動作させるための処理も行うことができる。即ち操作部160やタッチパネルディスプレイ190を用いてプレーヤが入力した操作データや、プログラム(動作アルゴリズム)や、各種データ(モーションデータ、アニメーションデータ)などに基づいて、オブジェクトを動作(モーション、アニメーション)させる処理を行う。更に具体的には、オブジェクトの動作情報(各パーツオブジェクトの位置、回転角度、或いは形状)を、1フレーム(1/60秒)毎に順次求める処理を行う。なおフレームは、オブジェクトの移動制御処理や動作制御処理や画像生成処理を行う時間の単位である。
【0043】
ゲーム演算部112はゲーム画像やゲーム音を生成するためのゲーム演算処理を行う。ゲーム演算処理としては、ゲームの内容やゲームモードを決定する処理、ゲーム開始条件が満たされた場合にゲームを開始する処理、ゲームを進行させる処理、ゲームプレイにより変化するゲームパラメータ(ゲーム結果)を演算する処理、或いはゲーム終了条件が満たされた場合にゲームを終了する処理などがある。
【0044】
ここでゲームパラメータ(ゲーム結果パラメータ、ゲーム状況パラメータ)は、移動オブジェクト等を用いたゲームプレイにより変化する変数又はフラグである。即ちプレーヤのゲームプレイの結果(途中結果、最終結果)やゲーム進行に応じてその値が随時変化する変数又はフラグである。このゲームパラメータは例えばプログラムにおいて変数又はフラグとして宣言される。また、ゲーム進行中においては、随時更新されるゲームパラメータの値がゲームパラメータ記憶部174に記憶されて保持される。このゲームパラメータとしては、プレーヤの得点又はポイント(ゲームの途中結果、最終結果)を表すためのパラメータ、プレーヤが倒した敵の種類又は数を表すためのパラメータ(フラグ)、プレーヤが獲得したアイテムの種類又は数を表すためのパラメータ(フラグ)、プレーヤ(キャラクタ)のステータス(能力、レベル)を表すためのパラメータ、ゲームの進行度合い(クリアしたゲームステージ数、制限時間の経過)を表すためのパラメータ、或いはゲーム中に発生したゲームイベント(会話イベント、対戦開始イベント、ステージクリアイベント、シナリオ分岐イベント)の種類又は数を表すためのパラメータ(フラグ)などがある。
【0045】
移動許可条件判断部113は、タッチパネルディスプレイ190に表示される第1のゲームフィールドからディスプレイ191に表示される第2のゲームフィールドへの移動オブジェクトの移動(或いは第2のゲームフィールドから第1のゲームフィールドへの移動)を許可する条件が満たされたか否かの判断処理を行う。ここでゲームフィールドは移動オブジェクトが移動することができるフィールドであり、プレーヤがゲームプレイを行うフィールド(ゲーム空間、2次元又は3次元のオブジェクト空間、ゲームステージ)である。また第1、第2のゲームフィールドは、全く別個のゲームフィールド(別個のゲームが行われるフィールド)であってもよいし、第1、第2のゲームフィールドが結合することで1つのゲームフィールドが表されるようなフィールドであってもよい。
【0046】
移動許可条件は、第1のゲームフィールドから第2のゲームフィールド(或いは第2のゲームフィールドから第1のゲームフィールド)への移動オブジェクトの移動を許可する(移動を可能にする)ための条件である。この移動許可条件が満たされた場合には無条件に、移動オブジェクトが第1のゲームフィールドから第2のゲームフィールドに移動(自動移動)するようにしてもよいし、この移動許可条件に加えて他の条件(通過条件等)が満たされた場合に、移動オブジェクトが第1のゲームフィールドから第2のゲームフィールドに移動するようにしてもよい。
【0047】
そして本実施形態では、第1のゲームフィールドでのゲームプレイにより変化するゲームパラメータ(第1のゲームフィールドでのゲーム結果)に基づいて、移動許可条件が満たされたか否かが判断される。具体的には、得点又はポイントが所定(所与)値になった場合や、所定種類の敵を倒したり所定数の敵を倒した場合や、所定種類のアイテムを獲得したり所定数のアイテムを獲得した場合や、ステータス(能力、レベル)が所定値になったり所定のステータスを獲得した場合や、ゲームが所定の進行度合い(ゲームステージ)になった場合や、或いは所定種類のゲームイベントや所定数のゲームイベントが発生した場合に、移動許可条件が満たされたと判断される。そして移動制御部111は、移動許可条件が満たされた場合に、第1のゲームフィールドから第2のゲームフィールドに移動オブジェクトを移動させる制御を行うことになる。また表示制御部110は、移動許可条件が満たされた場合に、通過経路に表示されていた障害物を非表示にする処理(オブジェクトリストから障害物オブジェクトを削除する処理)を行う。
【0048】
通過条件判断部114は、移動許可条件が満たされた場合に、第1のゲームフィールドから第2のゲームフィールド(或いは第2のゲームフィールドから第1のゲームフィールド)に移動オブジェクトが通過するための通過条件が満たされたか否かの判断処理を行う。
【0049】
通過条件は、第1のゲームフィールドから第2のゲームフィールド(或いは第2のゲームフィールドから第1のゲームフィールド)への通過経路(仮想的な通過経路、入り口、通路、移動経路)を移動オブジェクトが通過するための条件である。具体的には本実施形態では通過条件判断部(ヒットチェック部)114が、通過判定用のヒットエリア(線のエリア、2次元エリア、3次元エリア)と移動オブジェクトとのヒットチェックを行う。そして通過判定用のヒットエリア(通過経路の大きさや位置に応じて設定されたヒットエリア)に移動オブジェクトがヒットしたと判断された場合に、通過条件が満たされたと判断する。そして移動制御部111は、移動許可条件に加えて通過条件が満たされた場合に、第1のゲームフィールドから第2のゲームフィールドに移動オブジェクトを移動させる制御を行うことになる。
【0050】
オブジェクト変更部115は、移動オブジェクトのサイズ及び形状の少なくとも一方を変更するための処理を行う。具体的にはオブジェクト変更部115は、移動オブジェクトが通過経路を通過する際に、移動オブジェクトのサイズ及び形状の少なくとも一方を変更する。更に具体的には、通過経路の大きさに応じて移動オブジェクトの縮小処理や拡大処理を行う。或いは通過経路の大きさや形状に応じて移動オブジェクトの形状を変化させる。なお拡縮処理は座標変換処理(オブジェクトの各点の座標変換処理)などにより実現できる。また移動オブジェクトの形状を変化させる処理は、アニメーションパターンやモーションデータを変更することで実現できる。
【0051】
カウント部116は制限時間のカウント処理を行う。例えば1フレームが経過する毎に、制限時間をデクリメントするカウント処理を行う。そして移動制御部111は、カウント部116でカウントされる制限時間内に移動許可条件(通過条件)が満たされたことを条件に、第1のゲームフィールドから第2のゲームフィールド(或いは第2のゲームフィールドから第1のゲームフィールド)に移動オブジェクトを移動させる制御を行う。具体的には制限時間内に移動許可条件が満たされなかった場合には、移動許可条件を満たすためにそれまでに蓄積していたゲームポイントの値(得点、ポイント、敵を倒した数、アイテムの獲得数等)をクリアする。
【0052】
形状認識部117は、プレーヤが入力した入力形状の認識処理を行う。具体的には、プレーヤがタッチパネルディスプレイ190(或いはタッチパネルディスプレイ以外の手書き形状の入力装置)を用いて入力した入力形状(手書き形状)と予め用意された形状パターンとのマッチング処理を行って、プレーヤの入力形状を認識する。更に具体的には、プレーヤがタッチパネルディスプレイ190を用いて所望の形状を入力すると、そのタッチ位置の座標データと、タッチ位置間を結ぶ線分間の角度データを、入力形状のデータとして入力形状記憶部176に記憶する。そして、この記憶された入力形状(角度データの集まり)と、形状パターン記憶部178に辞書データとして登録された形状パターン(角度データの集まり)とのマッチング(照合)処理を行う。即ち入力形状の角度データと形状パターンの角度データの類似度を演算する。そして演算された類似度に基づいて、入力形状が特定の形状パターンと同一又は類似していると判断された場合には、入力形状がその特定の形状パターンとマッチングしたと判断する。
【0053】
そして入力形状が、登録されている形状パターン(直線形状、円形状、移動オブジェクト形状)とマッチングして、その形状が認識されると、認識された形状の種類に応じた処理が行われる。
【0054】
例えば、入力形状が直線形状であると認識されると、その直線形状と移動オブジェクトとのヒットチェックを行い、ヒットした場合には、移動制御部111が、移動オブジェクトの移動方向を変化させる処理を行う。
【0055】
また入力形状が移動オブジェクトの形状であると認識されると、表示制御部110が、その入力形状に応じた移動オブジェクトを発生して表示する制御を行う。ここで入力形状に応じた移動オブジェクトとは、入力形状と、その形状及びサイズが同一又は類似する移動オブジェクトである。
【0056】
例えば入力形状のデータ(タッチ位置データ)をそのまま用いて移動オブジェクトを発生して表示するようにすれば、プレーヤが入力した形状と同一形状の移動オブジェクトを表示できる。この場合に、入力形状の一部(例えば口の部分)だけを、他の置換形状に置き換えて、アニメーション表示するようにしてもよい。一方、入力形状にマッチングするお手本形状の移動オブジェクトを検索し、そのお手本形状の移動オブジェクトを発生して表示するようにすれば、入力形状と類似形状の移動オブジェクトを表示できる。この場合には、例えばプレーヤの入力形状が大きなサイズの移動オブジェクトであれば、お手本形状の移動オブジェクトのうち大きなサイズの移動オブジェクトを選択して表示するようにする。
【0057】
描画方向特定部118は、各種形状の描画方向を特定するための処理を行う。具体的には、形状認識部117によりプレーヤの入力形状が直線形状であると認識されると、描画方向決定部118がその直線形状の描画方向(引かれた方向、ベクトル方向)を特定し、特定された描画方向のデータを描画方向記憶部179に記憶する。なお直線形状の描画方向は、タッチ位置の始点(ペンダウン位置)から終点(ペンアップ位置)へと向かう方向とすることができる。
【0058】
更に具体的には描画方向特定部118は、第1〜第N(Nは4以上の整数)の方向の中から、直線形状であると認識された入力形状の方向に最も近い方向を選択することで、直線形状の描画方向を特定する。例えば第1、第2、第3、第4の方向が水平方向に対して、各々、0度、90度、180、270度の方向であったとする。この場合、直線形状の方向が例えば、315度〜45度の範囲内である時には第1の方向が選択され、45度〜135度の範囲内である場合には第2の方向が選択され、135度〜225度の範囲内である場合には第3の方向が選択され、225度〜315度の範囲内である場合には第4の方向が選択される。そして選択された方向が直線形状の方向に設定される。
【0059】
ヒットチェック部119は移動オブジェクトについてのヒットチェック処理を行う。具体的には、形状認識部117により入力形状が直線形状であると認識された場合には、認識された直線形状に移動オブジェクトがヒットしたか否かを判断する。このヒットチェック処理は、例えば直線形状の始点や終点(始点と終点を結ぶベクトル)と、移動オブジェクトの代表点或いは移動オブジェクトに設定されたヒットエリア(ヒットボックス)とを用いることで実現できる。また移動オブジェクトとのヒットチェックの対象となる直線形状は、プレーヤの入力形状に対応する方向パターン(第1〜第Nの方向の線分、ベクトル)であってもよいし、プレーヤの入力形状そのものであってもよいし、
直線形状に移動オブジェクトがヒットしたとヒットチェック部119により判断された場合には、移動制御部111は、描画方向特定部118で特定された描画方向に応じて、移動オブジェクトの移動方向を変化させる処理を行う。具体的には、直線形状の描画方向又は描画方向に近い方向に、移動オブジェクトの移動方向を向けたり或いは移動方向を徐々に変化させる。
【0060】
更に具体的には、例えば描画方向特定部118が、第1〜第Nの方向の中から、入力形状(直線形状)の方向に最も近い方向として第K(1≦K≦N)の方向を選択したとする。この場合には、移動制御部111は、第Kの方向又は第Kの方向に近い方向に移動オブジェクトの移動方向を向けたり、或いは移動方向を徐々に変化させる。
【0061】
またヒットチェック部119は、プレーヤがタッチパネルディスプレイ190を用いて入力したタッチ入力位置(指示位置、ペンダウン位置)が、移動オブジェクトの位置を含むヒットエリア内に位置するか否かを判断する。ここでヒットエリアは、移動オブジェクトの形状そのものであってもよいし、移動オブジェクトの形状を近似した多角形、円、直方体、球等のヒットボックスであってもよい。そしてこのヒットチェック処理は、タッチ入力位置がヒットエリア内に位置するか否かの内外判定処理を行うことで実現できる。
【0062】
そしてプレーヤのタッチ入力位置がヒットエリア内に位置していると判断された場合には、移動制御部111は、移動オブジェクトの移動を停止する制御を行う。なお、移動オブジェクトの移動を完全には停止せずに、移動オブジェクトの移動を制限する制御(減速する制御)を行ってもよい。また移動オブジェクトを停止した場合に、移動オブジェクトに停止用のアニメーション(モーション)を行わせてもよい。
【0063】
また移動制御部111は、プレーヤのタッチ入力位置が移動オブジェクトのヒットエリア内に位置している状態で(移動オブジェクトの移動が停止又は制限された後に)、プレーヤのタッチ入力位置がドラッグされた場合(移動した場合)には、ドラッグ方向(移動方向)に移動オブジェクトを移動させる制御を行う。即ち、プレーヤのペンや指先が、タッチパネルディスプレイ190上の移動オブジェクト(ヒットエリア)に触れたままで移動した場合には、その移動方向に移動オブジェクトを移動させる。
【0064】
なお本実施形態では、タッチパネルディスプレイ190のゲームフィールドの外に移動オブジェクトが移動したと判断された場合には、表示制御部110が、移動オブジェクトを消滅させる処理を行う。具体的には、オブジェクトリスト(オブジェクト管理リスト、キャラクタ管理リスト)から、ゲームフィールド外に移動した移動オブジェクトを削除する処理を行う。
【0065】
画像生成部120は、処理部100で行われる種々の処理(ゲーム処理)の結果に基づいて描画処理を行い、これにより画像を生成し、タッチパネルディスプレイ190やディスプレイ191に出力する。この場合、画像生成部120が生成する画像は、いわゆる2次元画像であってもよいし、3次元画像であってもよい。そして3次元画像を生成する場合には、まず、座標変換(ワールド座標変換、カメラ座標変換)、クリッピング処理、或いは透視変換等のジオメトリ処理が行われ、その処理結果に基づいて、描画データ(プリミティブ面の頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ、法線ベクトル或いはα値等)が作成される。そして、この描画データ(プリミティブ面データ)に基づいて、透視変換後(ジオメトリ処理後)のオブジェクト(1又は複数プリミティブ面)を描画バッファ172(フレームバッファ、中間バッファなどのピクセル単位で画像情報を記憶できるバッファ。VRAM)に描画する。これにより、オブジェクト空間内において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像が生成される。
【0066】
音生成部130は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて音処理を行い、BGM、効果音、又は音声などのゲーム音を生成し、音出力部192に出力する。
【0067】
なお、本実施形態の画像生成システムは、1人のプレーヤのみがプレイできるシングルプレーヤモード専用のシステムにしてもよいし、複数のプレーヤがプレイできるマルチプレーヤモードも備えるシステムにしてもよい。また複数のプレーヤがプレイする場合に、これらの複数のプレーヤに提供するゲーム画像やゲーム音を、1つの端末を用いて生成してもよいし、ネットワーク(伝送ライン、通信回線)などで接続された複数の端末(ゲーム機、携帯電話)を用いて分散処理により生成してもよい。
【0068】
2.本実施形態の手法
次に本実施形態の手法について図面を用いて説明する。なお以下では、プレーヤキャラクタを敵キャラクタにヒットさせて敵キャラクタを食べることで得点を獲得するゲームに本実施形態を適用した場合について説明するが、本実施形態が適用できるゲームはこのようなゲームに限定されない。
【0069】
2.1 タッチパネルディスプレイによる操作
図3に本実施形態により生成されるゲーム画像の例を示す。タッチパネルディスプレイ190(第1のディスプレイ)にはゲームフィールドG1が表示され、ディスプレイ191(第2のディスプレイ)にはゲームフィールドG2が表示される。プレーヤは、タッチパネルディスプレイ190を用いた手書き入力(手又はペンによる入力)により、ゲームフィールドG1にプレーヤキャラクタPC(広義にはキャラクタ、移動オブジェクト)を発生させる。そして発生したプレーヤキャラクタPCはゲームフィールドG1上で移動する。具体的には、プレーヤキャラクタPCの口が開いている方向であるD1の方向に移動する。またプレーヤが、タッチパネルディスプレイ190を用いて直線形状を手書き入力し、プレーヤキャラクタPCがその直線形状にヒットすると、その直線形状の描画方向(始点から終点に向かう方向)に、PCの移動方向が変化する。またプレーヤが、プレーヤキャラクタPCの位置を含むヒットエリア(所与の範囲、ヒットボックス)内をペンや指先でタッチすると、プレーヤキャラクタPCはその位置に停止する。
【0070】
このようにプレーヤは、タッチパネルディスプレイ190を用いた手書き入力によりプレーヤキャラクタPCを発生させ、タッチパネルディスプレイ190を用いてPCの移動方向等を操作する。そしてプレーヤキャラクタPCが敵キャラクタECにヒットすると、PCがECを食べ、プレーヤの得点が加算される。この場合のヒットチェックは、PCに設定されたヒットエリア(四角形、円等のヒットボックス)やECに設定されたヒットエリア(ヒットボックス)を用いて実現できる。
【0071】
次に、タッチパネルディスプレイ190を用いた形状入力の手法について図4、図5を用いて説明する。図4においてPA0はタッチ位置の始点(ペンダウン位置)であり、PA8はタッチ位置の終点(ペンアップ位置)である。プレーヤがタッチ入力を行うと、そのタッチ位置PA0〜PA8の座標データが例えば1フレーム(所定期間)毎に取得される。そしてタッチ位置間の線分LA0〜LA7が求められ、線分間の角度θA1〜θA7が求められる。例えばタッチ位置PA0、PA1間の線分LA0と、PA1、PA2間の線分LA1が求められ、線分LA0、LA1のなす角度であるLA0、LA1間の角度データθA1が求められる。そしてタッチ位置PA0〜PA8の座標データと、角度データθA1〜θA7は、入力形状データとして入力形状記憶部176に記憶されて保存される。
【0072】
次に、この入力形状と、辞書データとして予め登録された形状パターンとのマッチング(照合)処理を行う。図5のA1、A2、A3に形状パターンの例を示す。図5のA1は直線、A2は円、A3はキャラクタ(移動オブジェクト)の形状パターンである。これらの形状パターンは、角度データθB1〜θB7の集まりである。
【0073】
入力形状と形状パターンのマッチング処理は、入力形状の角度データθA1〜θA7と形状パターン(お手本形状)の角度データθB1〜θB7の類似度演算などを行うことで実現される。なお、入力形状の角度データの数と形状パターンの角度データの数が同一ではない場合には、補間処理や間引き処理を行うことで、これらの数を同一にして、類似度演算(マッチング処理)を行えばよい。そして入力形状と特定の形状パターンとの類似度(相関)が高いと判断されると、その入力形状は、その特定の形状パターンにマッチングしたと判断される。例えば入力形状が図5のA1、A2、A3の形状パターンとマッチングしたと判断されると、その入力形状は、各々、直線、円、キャラクタの形状であると判断される。
【0074】
そして例えばプレーヤの入力形状が図5のA1の直線形状であると判断され、その直線形状にプレーヤキャラクタPCがヒットすると、その直線形状の描画方向(始点から終点への方向)に、PCの移動方向が変化する。また入力形状が図5のA3のキャラクタ形状であると判断されると、図3に示すように、タッチパネルディスプレイ190のゲームフィールドG1にプレーヤキャラクタPCが発生して表示されるようになる。なおプレーヤは、複数のプレーヤキャラクタをゲームフィールドG1に発生させることができるが、1つのプレーヤキャラクタだけを発生させて敵キャラクタにヒットさせた方が、高い得点を得ることができる。
【0075】
2.2 プレーヤキャラクタの移動制御
次にプレーヤキャラクタ(広義にはキャラクタ、移動オブジェクト)の移動制御の詳細について説明する。本実施形態では図6のB1のように、プレーヤは、タッチパネルディスプレイ上に一筆書きでプレーヤキャラクタPCを描くことで、ゲームフィールド上にPCを出現させる。そして出現したプレーヤキャラクタPCは、口の方向である進行方向に向かって移動(直進)する。具体的には図6のB2のようにプレーヤキャラクタPCを描くと、PCは右方向DR1に移動(直進)する。同様に図6のB3、B4、B5のようにプレーヤキャラクタPCを描くと、各々、PCは下方向DR2、左方向DR3、上方向DR4に移動(直進)する。
【0076】
また本実施形態では、プレーヤがタッチパネルディスプレイに引いた線に、プレーヤキャラクタが触れると、線を引いた方向(終点の方向)にプレーヤキャラクタが90度方向転換する。
【0077】
具体的には図7のC1に示すように、プレーヤが直線形状SL(線分)を描き、SLにプレーヤキャラクタPC(移動オブジェクト)がヒットすると、SLの描画方向(引いた方向)にPCが移動方向が変化(方向転換)する。例えば図7のC2では、始点から終点へと向かう方向であるSLの描画方向DD2は下方向になっている。従って、この場合には、プレーヤキャラクタPCの移動方向は下方向DR2に変化(方向転換)する。また図7のC3では、SLの描画方向DD4は上方向になっている。従って、この場合には、プレーヤキャラクタPCの移動方向は上方向DR4に変化(方向転換)する。同様に、描画方向が左方向である直線形状SLにプレーヤキャラクタPCがヒットすると、PCの移動方向は左方向に変化し、描画方向が右方向であるSLにPCがヒットすると、PCの移動方向は右方向に変化する。
【0078】
更に具体的には、本実施形態では、プレーヤの入力形状が直線形状(線分)であると認識された場合に、直線形状(線分)の描画方向を特定する処理を行う。そして図8のE1に示すように、第1〜第4の方向(広義には第1〜第Nの方向)DR1、DR2、DR3、DR4の中から、入力形状(直線)の方向に最も近い方向を選択することで、描画方向が特定される。具体的には図8のE1において、入力形状(直線)の方向が、角度α1の範囲内(315度〜45度)である場合には第1の方向DR1が選択され、α2の範囲内(45度〜135度)である場合には第2の方向DR2が選択され、α3の範囲内(135度〜225度)である場合には第3の方向DR3が選択され、α4の範囲内(225度〜315度)である場合には第4の方向DR4が選択される。そして選択された方向が直線形状の描画方向として設定される。
【0079】
なお図8のE2のように第1〜第8の方向DR1〜DR8を用意し、DR1〜DR8の中から、入力形状(直線)の方向に最も近い方向を選択することで、直線形状の描画方向を特定してもよい。このように直線形状の描画方向を特定するために用意する方向の数(N)は任意である。
【0080】
また図7では、プレーヤキャラクタPCの移動方向DR2、DR4を、直線形状SLの描画方向DD2、DD4に一致させているが、PCの移動方向をSLの描画方向と一致させずに近づけるだけにしてもよい。例えば図7のC2では描画方向DD2は下方向になっているが、この時にプレーヤキャラクタPCの移動方向を例えば斜め右下方向等に変化させてもよい。また図7のC3では描画方向DD2は上方向になっているが、この時にPCの移動方向を例えば斜め右上方向等に変化させてもよい。このようにプレーヤキャラクタPCの移動方向は、特定された描画方向に応じた方向に変化させればよい。
【0081】
以上のように本実施形態では、プレーヤキャラクタPCをタッチパネルディスプレイに描くことでPCが出現すると共に、その描き方によってPCの移動方向も変化する。従って、「自分の描いた絵が動き出す」という感覚をプレーヤに与えることができ、これまでには無かった感覚のゲームを実現できる。
【0082】
また本実施形態では、プレーヤが描いた直線形状(線分)SLにプレーヤキャラクタPCがヒットすると、SLの描画方向に応じてPCの移動方向が変化(方向転換)する。従って、あたかも直線にぶつかってプレーヤキャラクタPCがその移動方向を変えるような感覚をプレーヤに与えることができる。また上方向に移動させるのか下方向に移動させるのか、或いは右方向に移動させるのか左方向に移動させるのかが、描画方向により特定される。従って、プレーヤは、ペンで簡単な図形を描くだけでプレーヤキャラクタPCの移動を操作できる。これにより、直感的で理解しやすい操作インターフェース環境をプレーヤに提供でき、多くの年齢層のプレーヤが誰でも楽しめるゲームを実現できる。
【0083】
なお、ゲームの面白さを増すためには、例えばペンで図形を描くと、ペンのインク量が描画量(線を描く長さ)につれて消費され、インク量が零になるとゲームオーバーになるようにしてもよい。また、ゲームフィールド上で敵キャラクタにペンが触れると、描いた線が消去されるようにしてもよい。
【0084】
2.3 プレーヤキャラクタの停止、ドラッグ
本実施形態では図9のF1に示すように、プレーヤキャラクタPC(移動オブジェクト)の体のどこかをペン(又は指先)で押さえると、進行方向に直進しようとするプレーヤキャラクタPCを停止(減速)させることができる。この時、ペンをタッチパネルディスプレイから離すと、プレーヤキャラクタPCは再び動き出す。一方、ペンをタッチパネルディスプレイから離さないで、ペンのタッチ位置を動かすと、図9のF2に示すようにプレーヤキャラクタPCをドラッグ移動することができる。
【0085】
より具体的には本実施形態では、プレーヤがタッチパネルディスプレイを用いて入力したタッチ入力位置(ペン、指先)の座標が、プレーヤキャラクタPCのヒットエリア(ヒットボックス)内にあるか否かが判断される。そして、ヒットエリア内にあると判断されると、図9のF1に示すようにプレーヤキャラクタの移動が停止する。
【0086】
そしてプレーヤのタッチ入力位置がプレーヤキャラクタPCのヒットエリア内に位置している状態で、そのタッチ入力位置が移動すると、図9のF2に示すようにプレーヤキャラクタPCがドラッグ移動する。
【0087】
このようにすれば、プレーヤは、その進行方向(口の向いている方向)に勝手に移動してしまうプレーヤキャラクタPCの移動を停止させて、PCがゲームフィールドの外に出てしまい消滅してしまうのを防ぐことが可能になる。
【0088】
例えば図10にH1では、プレーヤキャラクタPCがタッチパネルディスプレイの端辺SDに近づいている。従って、このままではプレーヤキャラクタPCはタッチパネルディスプレイの外に出てしまい、消滅してしまう。
【0089】
このような場合にも本実施形態では図10のH1に示すように、プレーヤキャラクタPCにペンで触れることで、PCを停止させることができ、PCがタッチパネルディスプレイの外に出てしまうのを防ぐことができる。
【0090】
しかしながら図10のH1ではプレーヤキャラクタPCとタッチパネルディスプレイの端辺SDとの間の距離は非常に近くなっている。従って、プレーヤキャラクタPCと端辺SDの間に直線を引いて、図7のようにPCを移動方向を方向転換することは難しい。
【0091】
そこで本実施形態では図10のH2に示すように、プレーヤキャラクタPCにペンをタッチしたままドラッグすることで、PCをドラッグ方向に移動させることができるようにしている。
【0092】
このようにすれば、プレーヤは、一定距離だけプレーヤキャラクタPCをドラッグ移動し、その後に図10のH3に示すようにPCと端辺SDの間に直線を引いて、PCの移動方向を方向転換することが可能になる。これにより、プレーヤは、プレーヤキャラクタPCがタッチパネルディスプレイの外に出て消滅してしまう事態を、簡素な操作で防止できるようになり、プレーヤの操作インターフェース環境を向上できる。
【0093】
2.4 移動許可条件
図11に示すように、プレーヤキャラクタPCによりヒットされた敵キャラクタECの数が所定数になると、ディスプレイ191のゲームフィールドG2に表示されていた扉(障害物)10、12の画像が変化する。具体的には鍵(鍵穴)付きではなかった扉が、鍵付きの扉に変化する。またゲームフィールドG2に特別アイテム20が表示される。更にゲームフィールドG1には、扉10、12の鍵を所持している鍵キャラクタKCが出現する。またタイムゲージ30で表される制限時間のカウントが開始する。
【0094】
そして図12に示すように、タイムゲージ30に表示される制限時間内に、プレーヤがプレーヤキャラクタPCを鍵キャラクタKCにヒットさせることに成功すると、ゲームフィールドG1からゲームフィールドG2への移動許可条件が満たされる。これにより、障害物である扉10、12は消滅して非表示になり、プレーヤキャラクタPCはゲームフィールドG1からG2に移動可能になる。
【0095】
そして後述する通過条件等が満たされると、図13に示すようにプレーヤキャラクタPCはゲームフィールドG1からG2に移動する。この際、通過経路のサイズに合うようにプレーヤキャラクタPCの拡縮処理が行われる。そしてゲームフィールドG2に移動したプレーヤキャラクタPCは、特別アイテム20にヒットすることでボーナスポイントを獲得できる。そしてプレーヤキャラクタPCはゲームフィールドG2上で自動的に移動して、ゲームフィールドG2からG1に自動的に戻る。プレーヤキャラクタPCがゲームフィールドG2に戻ると、例えば、障害物である扉10、12が再度出現して表示され、PCはG1からG2に移動できなくなる。
【0096】
なお図13では、ゲームフィールドG1からG2にプレーヤキャラクタPCが移動した場合に、PCに特別アイテム20(所与のアイテム)を獲得させる処理を行っているが、本実施形態はこれに限定されない。例えばG1からG2にPCが移動した場合に、得点又はポイントを変化させる処理を行ってもよい。具体的にはプレーヤの得点やポイントを増加させたり、減少させる。或いはプレーヤキャラクタPCのステータスを変化させる処理を行ってもよい。具体的にはプレーヤキャラクタPC(プレーヤ)の能力やレベルを上昇させたり減少させる。或いは、ゲームフィールドG1とは異なる内容のゲームをプレーヤにプレイさせるための処理を行ってもよい。例えばゲームフィールドG1ではプレーヤキャラクタPCを敵キャラクタECにヒットさせるゲームを行っていたが、ゲームフィールドG2では、G1でのゲームとは異なるゲーム(例えばアイテムの獲得数を競うゲーム、コースの走行タイムを競うゲーム、迷路ゲーム、ミニゲーム、カードゲーム、パズルゲーム等)をプレイできるようにする。
【0097】
以上のように本実施形態によれば、移動許可条件が満たされると、プレーヤキャラクタPCがゲームフィールドG1からG2に移動できるようになる。これにより2つのディスプレイを有効活用してゲームのバラエティ度を増すことが可能になる。
【0098】
即ちこれまでの画像生成システムでは、2つのディスプレイを有していたとしても、第1のディスプレイにおいてプレーヤにゲームをプレイさせ、第2のディスプレイに得点等を表示するというように、2つのディスプレイを有効活用していなかった。
【0099】
これに対して本実施形態では、第2のディスプレイ191を得点等の表示のみならず、プレーヤキャラクタPCのゲームフィールドとしても有効活用できるようになる。これにより、ゲームのバラエティ度を増すことができ、これまでには存在しなかったゲームを実現できる。また、ゲームフィールドG1のゲームプレイだけでは単調になってしまうような場合にも、移動許可条件が満たされる毎にゲームフィールドG2に移動できるようにすることで、このようなゲームプレイの単調化の問題を解消できる。
【0100】
なお、移動許可条件の設定や、移動許可条件が満たされた時に行われる処理などについては種々の変形実施が可能である。例えば移動許可条件が満たされた場合には、通過経路の通過条件が満たされなかった場合にも、無条件に、ゲームフィールドG1かG2にプレーヤキャラクタPCを移動させてもよい。
【0101】
2.5 通過条件
本実施形態では、移動許可条件が満たされた場合に、ゲームフィールドG1からゲームフィールドG2への通過経路をプレーヤキャラクタPC(移動オブジェクト)が通過するための通過条件が満たされたか否かを判断する。そして通過条件が満たされたことを条件に、G1からG2にPCを移動させる。
【0102】
図14(A)に通過条件の判断手法の具体例を示す。図14(A)では、通過判定用のヒットエリアHAが、通過経路80に対応して設定されている。そして通過判定用のヒットエリアHAとプレーヤキャラクタPCとのヒットチェックを行う。より具体的には、プレーヤキャラクタPCの代表点RPの座標とヒットエリアHAの座標を比較する。そして代表点RPのY座標YRが、ヒットエリアHAのY座標に一致した時に、代表点RPのX座標XRの値が、ヒットエリアHAのX座標XAとXBの間の値か否かを判断する。そして、XR<XA又はXR>XBの場合には、プレーヤキャラクタPCはゲームフィールドG1の外に出たと判断して、PCを消滅させる処理を行う。即ちオブジェクトリストからそのプレーヤキャラクタPCを削除する。一方、XA≦XR≦XBの場合には、プレーヤキャラクタPCがヒットエリアHAにヒットしたと判断し、通過条件が満たされたと判断する。そしてプレーヤキャラクタPCをゲームフィールドG1からG2に移動させる。
【0103】
このように移動許可条件のみならず、通過条件が満たされたか否かも判断して、プレーヤキャラクタPCをゲームフィールドG1からG2に移動させるようにすれば、通過経路を通過してG1からG2に移動するという感覚をプレーヤに与えることが可能になり、プレーヤの仮想現実感を高めたり、ゲームの面白みを増すことができる。
【0104】
なお、通過条件の判断手法は図14(A)の手法に限定されない。例えばプレーヤキャラクタPCが3次元オブジェクトである場合などには、ヒットエリアHAとして2次元の平面や3次元の立体を用いて、通過条件の判断のためのヒットチェックを行ってもよい。また、プレーヤキャラクタPCの代表点RPではなく、プレーヤキャラクタPCに設定されたヒットボックスを用いて、通過条件の判断のためのヒットチェックを行ってもよい。
【0105】
またプレーヤキャラクタPCが通過経路80を通過する場合に、通過経路80に応じてプレーヤキャラクタPCのサイズや形状を変更してもよい。例えば図14(B)では、通過経路80の大きさに応じて、プレーヤキャラクタPCのサイズを縮小(或いは拡大)している。
【0106】
即ち本実施形態では、プレーヤの手書き入力によりプレーヤキャラクタPCが発生する。従って、プレーヤキャラクタPCとして、種々のサイズのキャラクタが発生するようになる。このため、プレーヤが大きなサイズのプレーヤキャラクタPCを描いた場合には、通過経路80を通過できなくなったり、画像が不自然になる事態が生じてしまう。この点、図14(B)に示すような拡縮処理を行えば、このような事態の発生を防止できる。
【0107】
なお図14(B)ではプレーヤキャラクタPCのサイズを変更しているが、プレーヤキャラクタPCの形状そのものを変更するようにしてもよい。例えば通過経路80が細くて長い経路である場合には、プレーヤキャラクタPCの形状を細長い形状に変更してもよい。また、ゲームフィールドG1からG2に移動した時に、プレーヤキャラクタPCのモーションやアニメーションを変更するようにしてもよい。
【0108】
また図14(A)(B)のように通過条件を判断してプレーヤキャラクタPCをゲームフィールドG1からG2に移動させる手法は、種々の変形実施が可能である。例えば移動許可条件を判断せずに、通過条件だけを判断して、プレーヤキャラクタPCをゲームフィールドG1からG2に移動させてもよい。
【0109】
3.本実施形態の処理
次に、本実施形態の詳細な処理例について図15、図16、図17、図18のフローチャートを用いて説明する。
【0110】
図15は入力形状の認識処理についてのフローチャートである。まずペン(指先)がタッチパネルディスプレイにタッチしたか否か(ペンダウンか否か)を判断する(ステップS11)。そしてペンがタッチパネルディスプレイにタッチした場合には、図4で説明したように、フレーム(所定周期)毎にタッチ位置の座標データを取得する(ステップS12)。またタッチ位置の座標データと、タッチ位置間を結ぶ線分間の角度データを、入力形状のデータとして記憶(保存)する(ステップS13)。
【0111】
次に、ペン(指先)がタッチパネルディスプレイから離れたか否か(ペンアップか否か)を判断する(ステップS14)。そしてペンがタッチパネルディスプレイから離れた場合には、図5で説明したように、入力形状(角度データ)と、辞書に登録されている形状パターン(角度データ)とのマッチング処理を行う(ステップS15)。そして、入力形状が形状パターンとマッチング(適合)し、その形状が認識されたか否かを判断する(ステップS16)。そして認識されなかった場合には、ステップS11に戻る。一方、認識された場合には、認識された形状の種類に応じた処理を行う(ステップS17)。例えば認識された形状が直線形状である場合には、その直線形状とプレーヤキャラクタとのヒットチェックを行い、その直線形状の方向に応じた方向にプレーヤキャラクタを移動させる処理を行う。また認識された形状がキャラクタ形状である場合には、入力形状に対応したプレーヤキャラクタを発生させて表示する処理を行う。
【0112】
図16は、入力形状が直線形状であると認識された場合に行われる処理のフローチャートである。
【0113】
まず、認識された直線形状の始点と終点の座標を取得する(ステップS21)。即ち図15のステップS13で記憶されたタッチ位置の中から、始点と終点のタッチ位置を取得する。
【0114】
次に、始点と終点を結ぶベクトルを算出する(ステップS22)。そして、図8のE1で説明したように、算出されたベクトルの方向である描画方向が上下左右の4方向のうちいずれの方向なのかを特定する(ステップS23)。そして特定された直線形状の描画方向のデータをその直線形状に関連(リンク)づけて描画方向記憶部に記憶する(ステップS24)。
【0115】
図17は、直線形状を用いたプレーヤキャラクタの移動制御処理のフローチャートである。まず、プレーヤキャラクタの移動処理を行う(ステップS31)。例えばプレーヤキャラクタを所与の速度(一定速度)で移動させる場合には、その速度に応じた距離(一定距離)だけ進行方向にプレーヤキャラクタを移動させる。
【0116】
次に、プレーヤキャラクタがゲームフィールドの外に出たか否かを判断し(ステップS32)、外に出た場合にはプレーヤキャラクタの消滅処理を行う(ステップS33)。即ちオブジェクトリスト(キャラクタ管理リスト)からそのプレーヤキャラクタを削除する。
【0117】
一方、プレーヤキャラクタがゲームフィールドの外に出ていない場合には、プレーヤが描いた直線形状にプレーヤキャラクタがヒットしたか否かを判断する(ステップS34)。この時、例えばプレーヤが複数の直線形状を描いた場合には、その各々の直線形状についてプレーヤキャラクタとのヒットチェックを行う。そして、プレーヤキャラクタがヒットした場合には、ヒットされた直線形状の描画方向を取得する(ステップS35)。具体的には図16のステップS24で記憶された、その直線形状の描画方向データを読み出す。そして図7で説明したように、直線形状の描画方向を参照して、プレーヤの移動方向を決定する(ステップS36)。
【0118】
図18は、プレーヤキャラクタの停止・ドラッグ制御処理のフローチャートである。まず、プレーヤキャラクタの移動処理を行う(ステップS41)。そしてプレーヤキャラクタがゲームフィールドの外に出たか否かを判断し(ステップS42)、外に出た場合にはプレーヤキャラクタの消滅処理を行う(ステップS43)。
【0119】
一方、プレーヤキャラクタがゲームフィールドの外に出ていない場合には、プレーヤキャラクタのヒットエリア内にペン入力(タッチ位置)があるか否かを判断する(ステップS44)。そして、ペン入力がある場合には、停止フラグをセットし、プレーヤキャラクタを停止させる(ステップS45)。
【0120】
次に、プレーヤキャラクタにタッチしているペンが、タッチパネルディスプレイから離れたか否かを判断する(ステップS46)。そして、離れた場合にはステップS45でセットされた停止フラグをリセットする(ステップS47)。一方、離れていない場合には、プレーヤキャラクタにタッチしているペンがドラッグされたか否かを判断する(ステップS48)。そしてドラッグされていた場合には、ドラッグ方向にプレーヤキャラクタを移動させる(ステップS49)。
【0121】
なお本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。例えば、明細書又は図面中の記載において広義や同義な用語(移動オブジェクト、第1〜第Nの方向、第1のディスプレイ、第2のディスプレイ等)として引用された用語(プレーヤキャラクタ、第1〜第4の方向、タッチパネルディスプレイ、ディスプレイ等)は、明細書又は図面中の他の記載においても広義や同義な用語に置き換えることができる。
【0122】
また、移動オブジェクトの移動方向変更処理や、停止制御処理や、ドラッグ移動処理や、入力形状の認識処理も、本実施形態で説明したものに限定されず、これらと均等な手法も本発明の範囲に含むことができる。例えば移動オブジェクトの移動方向制御を、図7、図8で説明した手法と異なる手法で実現してもよい。
【0123】
また本発明は、本実施形態で説明したゲーム以外にも種々のゲームに適用できる。また本発明は、業務用ゲーム装置、家庭用ゲーム装置、携帯型ゲーム装置、多数のプレーヤが参加する大型アトラクション、シミュレータ、マルチメディア端末、ゲーム画像を生成するシステムボード、携帯電話等の種々の画像生成システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本実施形態の画像生成システムの外観図の例。
【図2】本実施形態の画像生成システムの機能ブロック図の例。
【図3】本実施形態により生成されるゲーム画像の例。
【図4】入力形状の認識処理の説明図。
【図5】予め登録されている形状パターンの例。
【図6】プレーヤキャラクタを発生させる手法の説明図。
【図7】プレーヤキャラクタの移動方向制御手法の説明図。
【図8】プレーヤキャラクタの移動方向制御手法の説明図。
【図9】プレーヤキャラクタの停止・ドラッグ制御手法の説明図。
【図10】プレーヤキャラクタの停止・ドラッグ制御手法の説明図。
【図11】本実施形態により生成されるゲーム画像の例。
【図12】本実施形態により生成されるゲーム画像の例。
【図13】本実施形態により生成されるゲーム画像の例。
【図14】図14(A)(B)は、通過条件の判断手法の説明図。
【図15】本実施形態の具体的な処理のフローチャート。
【図16】本実施形態の具体的な処理のフローチャート。
【図17】本実施形態の具体的な処理のフローチャート。
【図18】本実施形態の具体的な処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0125】
PC プレーヤキャラクタ、EC 敵キャラクタ、KC 鍵キャラクタ、
HA ヒットエリア
10、12 扉、20 特別アイテム、30 タイムゲージ、80 通過経路、
100 処理部、110 表示制御部、111 移動制御部、112 ゲーム演算部、
113 移動許可条件判断部、114 通過条件判断部、115 オブジェクト変更部、
116 カウント部、117 形状認識部、118 描画方向判定部、
119 ヒットチェック部、120 画像生成部、130 音生成部、
160 操作部、162 音入力装置、170 記憶部、172 描画バッファ、
174 ゲームパラメータ記憶部、176、入力形状記憶部、
178 形状パターン記憶部、180 情報記憶媒体、
190 タッチパネルディスプレイ、191 ディスプレイ、
192 音出力部、194 携帯型情報記憶装置、196 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を生成するためのプログラムであって、
タッチパネルディスプレイに表示される画像の表示制御を行う表示制御部と、
前記タッチパネルディスプレイに表示される移動オブジェクトを移動させる制御を行う移動制御部と、
プレーヤが前記タッチパネルディスプレイを用いて入力した入力形状の認識処理を行う形状認識部と、
プレーヤの入力形状が直線形状であると認識された場合に、直線形状の描画方向を特定する描画方向特定部と、
認識された直線形状に前記移動オブジェクトがヒットしたか否かを判断するヒットチェック部として、
コンピュータを機能させ、
前記移動制御部が、
直線形状に前記移動オブジェクトがヒットした場合に、特定された前記描画方向に応じて、前記移動オブジェクトの移動方向を変化させる制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
請求項1において、
前記描画方向特定部が、
第1〜第N(Nは4以上の整数)の方向の中から、入力形状の方向に最も近い方向を選択することで、直線形状の描画方向を特定し、
前記移動制御部が、
直線形状の描画方向として第K(1≦K≦N)の方向が選択された場合には、前記移動オブジェクトの移動方向を前記第Kの方向に変化させる制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記ヒットチェック部が、
プレーヤが前記タッチパネルディスプレイを用いて入力したタッチ入力位置が、前記移動オブジェクトの位置を含むヒットエリア内に位置するか否かを判断し、
前記移動制御部が、
プレーヤのタッチ入力位置が前記ヒットエリア内に位置していると判断された場合には、前記移動オブジェクトの移動を停止又は制限する制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項3において、
前記移動制御部が、
プレーヤのタッチ入力位置が前記ヒットエリア内に位置している状態で、プレーヤのタッチ入力位置がドラッグされた場合には、ドラッグ方向に前記移動オブジェクトを移動させる制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記表示制御部が、
プレーヤの入力形状が移動オブジェクトの形状であると認識された場合に、プレーヤの入力形状に応じた移動オブジェクトを発生して表示する制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
画像を生成するためのプログラムであって、
タッチパネルディスプレイに表示される画像の表示制御を行う表示制御部と、
前記タッチパネルディスプレイに表示される移動オブジェクトを移動させる制御を行う移動制御部と、
プレーヤが前記タッチパネルディスプレイを用いて入力したタッチ入力位置が、前記移動オブジェクトの位置を含むヒットエリア内に位置するか否かを判断するヒットチェック部として、
コンピュータを機能させ、
前記移動制御部が、
プレーヤのタッチ入力位置が前記ヒットエリア内に位置していると判断された場合には、前記移動オブジェクトの移動を停止又は制限する制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6において、
前記移動制御部が、
プレーヤのタッチ入力位置が前記ヒットエリア内に位置している状態で、プレーヤのタッチ入力位置がドラッグされた場合には、ドラッグ方向に前記移動オブジェクトを移動させる制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項6又は7において、
プレーヤが前記タッチパネルディスプレイを用いて入力した入力形状の認識処理を行う形状認識部として、
コンピュータを機能させ、
前記表示制御部が、
プレーヤの入力形状が移動オブジェクトの形状であると認識された場合には、プレーヤの入力形状に応じた移動オブジェクトを発生して表示する制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記表示制御部が、
前記タッチパネルディスプレイに表示されるゲームフィールドの外に前記移動オブジェクトが移動したと判断された場合には、前記移動オブジェクトを消滅させる表示制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
第1のディスプレイである前記タッチパネルディスプレイに表示される第1のゲームフィールドでのゲームプレイにより変化するゲームパラメータに基づいて、前記第1のゲームフィールドから第2のディスプレイに表示される第2のゲームフィールドへの前記移動オブジェクトの移動を許可する移動許可条件が満たされたか否かを判断する移動許可条件判断部として、
コンピュータを機能させ、
前記移動制御部が、
前記移動許可条件が満たされた場合に、前記第1のゲームフィールドから前記第2のゲームフィールドに前記移動オブジェクトを移動させる制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項10において、
前記移動許可条件が満たされた場合に、前記第1のゲームフィールドから前記第2のゲームフィールドへの通過経路を前記移動オブジェクトが通過するための通過条件が満たされたか否かを判断する通過条件判断部として、
コンピュータを機能させ、
前記移動制御部が、
前記通過条件が満たされた場合に、前記第1のゲームフィールドから前記第2のゲームフィールドに前記移動オブジェクトを移動させる制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。
【請求項13】
画像を生成する画像生成システムであって、
タッチパネルディスプレイに表示される画像の表示制御を行う表示制御部と、
前記タッチパネルディスプレイに表示される移動オブジェクトを移動させる制御を行う移動制御部と、
プレーヤが前記タッチパネルディスプレイを用いて入力した入力形状の認識処理を行う形状認識部と、
プレーヤの入力形状が直線形状であると認識された場合に、直線形状の描画方向を特定する描画方向特定部と、
認識された直線形状に前記移動オブジェクトがヒットしたか否かを判断するヒットチェック部とを含み、
前記移動制御部が、
直線形状に前記移動オブジェクトがヒットした場合に、特定された前記描画方向に応じて、前記移動オブジェクトの移動方向を変化させる制御を行うことを特徴とする画像生成システム。
【請求項14】
画像を生成する画像生成システムであって、
タッチパネルディスプレイに表示される画像の表示制御を行う表示制御部と、
前記タッチパネルディスプレイに表示される移動オブジェクトを移動させる制御を行う移動制御部と、
プレーヤが前記タッチパネルディスプレイを用いて入力したタッチ入力位置が、前記移動オブジェクトの位置を含むヒットエリア内に位置するか否かを判断するヒットチェック部とを含み、
前記移動制御部が、
プレーヤのタッチ入力位置が前記ヒットエリア内に位置していると判断された場合には、前記移動オブジェクトの移動を停止又は制限する制御を行うことを特徴とする画像生成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−102239(P2006−102239A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294125(P2004−294125)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年10月15日 株式会社エンターブレイン発行の「WEEKLYファミ通 No.826 10月15日号 第19巻 第42号」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年11月6日 株式会社毎日コミュニケーションズ発行の「Nintendo DREAM 2004 Vol.122 第9巻 第19号(通巻122号)」に発表
【出願人】(000134855)株式会社ナムコ (1,157)
【Fターム(参考)】