説明

プログラムの配布、削除方法及び分散計算機システム

【課題】分散計算機システムを構成する計算機に対して、その計算機を使用するユーザのプログラム配布要求時または職制変更などが発生した際の管理者のプログラム管理負担やユーザの負担を抑える。
【解決手段】管理サーバ101は、エージェント107、108を生成して、計算機109〜111に送りこみ、各計算機の資産情報とユーザの属性情報とを収集する。資産配布管理システムは、収集した情報をもとにポリシー情報を作成し、管理者による審査/改善の後に、業務に必要となるプログラムを分散計算機システム内の各計算機に配布し、または、業務に不要となるプログラムの削除を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラムの配布、削除方法及び分散計算機システムに係り、特に、分散システムを構成する計算機に対してプログラムを配布、削除するプログラムの配布、削除方法及び分散計算機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管理サーバから分散計算機システム内の計算機に対してプログラムを配布するシステムは、どの計算機にどのプログラムを配布する必要があるのかということを、管理サーバの管理者がその都度判断して、計算機毎に配布操作を行う必要があった。計算機が分散計算機システム内に多数存在している場合、前述の操作を計算機毎に行うことは、管理者にとって非常に大きな負担となる。また、管理者の誤操作によってプログラムが誤った計算機に対して配布される可能性も高い。
【0003】
前述のような問題を解決することのできる従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている、この従来技術は、配布情報選択装置により、プログラムを配布する際に使用する送信属性と当該プログラムとの対応関係を予め定義しておくことにより、管理者がプログラムの配布時に該当プログラムを指定するだけで分散計算機システム内の計算機に対してプログラムの配布を行うことができ、その結果、管理者の負担を軽減することができるようにしたものである。
【特許文献1】特開2001−75811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述した従来技術は、管理者が全ての属性情報に対して業務に必要なプログラム、または、必要ではないプログラムであるかを判断し、全てのプログラムに対する送信属性を設定する必要があり、このための作業が管理者に対する大きな負担となるという問題点を有している。
【0005】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、管理者が業務に不要なプログラムを抑止または削除するために、対象となるプログラムを調べ、逐一そのプログラムの要、不要を設定する必要性をなくすことにより、管理者の負担を軽減することができるようにしたプログラムの配布、削除方法及び分散計算機システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば前記目的は、複数の計算機と管理サーバとが接続されて構成される分散計算機システムにおける前記複数の計算機のそれぞれに対するプログラムの配布、削除方法において、前記複数の計算機のそれぞれが、資産情報を持ち、前記管理サーバが、属性情報テーブルと、ポリシー情報テーブルと、部署クラスタテーブルと、職位クラスタテーブルと、就業形態クラスタテーブルと、配布プログラムとを持ち、前記管理サーバが、前記計算機の1つからプログラム配布要求があった場合、または、職制変更などの理由により当該計算機を使用するユーザの属性情報に差が生じた場合、前記属性情報テーブルを検索し、プログラム配布要求のあったユーザの属性情報を抽出し、前記ポリシー情報テーブルと部署クラスタテーブルとを参照し、これらのテーブルにユーザの所属する部署に対して対象となるプログラムのポリシー情報が設定されていなかった場合、前記部署クラスタテーブル、職位クラスタテーブル、就業形態クラスタテーブルを参照して、これらのテーブルから共通する職制、職位、就業形態を選択し、これらに対応するポリシーテンプレートを生成し、当該ポリシーテンプレートの内容の管理者による承認、修正を受けたポリシーに基づいて、前記複数の計算機のそれぞれに対するプログラムの配布、削除を行うことにより達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、管理者が業務に不要なプログラムを抑止または削除するために対象となるプログラムを調べ、逐一そのプログラムの要、不要を設定する必要性をなくすことができ、管理者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明によるプログラムの配布、削除方法及び分散計算機システムの実施形態を図面により詳細に説明する。
【0009】
本発明は、分散計算機システム内の各計算機に、資産配布管理システムによりプログラムを配布することによってのみプログラムインストールすることができる環境を前提とする。従って、本発明を用いた資産配布管理システムを使用する分散計算機システムの環境では、クライアントであるユーザが使用する計算機に対して、プログラムを自由にインストールすることはできない。
【0010】
本発明は、
・ユーザが計算機からプログラムの配布要求を行った場合、
・業務に必要とされるプログラムが計算機にインストールされていない場合、
・分散計算機システム内の計算機に障害が発生し、使用していた全てのプログラムを再インストールする必要がある場合、
・分散計算機システム内の計算機が老朽化して取り替える必要があり、それまで使用していた全てのプログラムを再インストールする必要がある場合、
・ユーザが部署移動や昇格による職制変更があった場合、それに伴って必要となるプログラムをユーザが使用する計算機に配布し、または、不要なプログラムを削除する場合
に有効である。
【0011】
図1は本発明の一実施形態による分散計算機システムの構成を示すブロック図である。図1において、100はデータベース、101は管理サーバ、102はポリシー判定部、103はクラスタリング部、104はパッケージ生成部、105はエージェント生成部、106はエージェント状態情報管理部、107はエージェントA、108はエージェントB、109〜111は計算機、112はネットワーク、113は属性情報テーブル、114はポリシー情報テーブル、115は部署クラスタテーブル、116は職位クラスタテーブル、117は就業形態クラスタテーブル、118はエージェント状態情報テーブル、119は宛先情報テーブル、120は資産情報テーブル、121はポリシーテンプレート情報、122は配布プログラムである。
【0012】
図1に示す本発明の実施形態による分散計算機システムは、データベース100及び管理サーバ101により構成される資産配布システムと、複数の計算機109〜111とがネットワーク112を介して接続されて構成されている。管理サーバ101及び複数の計算機109〜111は、図示しないが、CPU、メモリ、HDD等による記憶装置、キーボード、マウス等の入力装置、表示装置を備えて構成され、後述する各種の機能は、メモリにロードされたプログラムをCPUが実行することにより実現される。
【0013】
データベース100は、属性情報テーブル113(詳細を図19に示す)と、ポリシー情報テーブル114(詳細を図20に示す)と、部署クラスタテーブル115(詳細を図21に示す)と、職位クラスタテーブル116(詳細を図22に示す)と、就業形態クラスタテーブル117(詳細を図23に示す)と、エージェント状態情報テーブル118(詳細を図24に示す)と、宛先情報テーブル119(詳細を図25に示す)と、資産情報テーブル120(詳細を図26に示す)と、ポリシーテンプレート情報121(詳細を図27と図28とにその例を示す)と、分散計算機システム内の各計算機に配布するプログラム122とを格納して管理している。
【0014】
管理サーバ101は、ポリシー判定部102と、クラスタリング部103と、パッケージ生成部104と、エージェント生成部105と、エージェント状態情報管理部106と、エージェントA107と、エージェントB108とを備えて構成されている。
【0015】
前述において、ポリシー判定部102は、クライアントとしてのユーザから計算機109〜101の1つを用いてプログラム配布要求があった場合、業務に必要とされるプログラム122がインストールされていない場合、分散計算機システム内の計算機において障害が発生した際にそれまで使用していた全てのプログラム122を再インストールする必要がある場合、分散計算機システム内の計算機が老朽化し取り替える必要がある際にそれまで使用していた全てのプログラム122を再インストールする必要がある場合、または、ユーザが部署移動や昇格した際にそれに伴って必要となるプログラム122の配布または不要となるプログラムの削除がある場合に、ポリシー情報を元にプログラム122を配布してよいか否かを判定する。
【0016】
クラスタリング部103は、管理者によって設定されたポリシー情報を参照し、もし、クラスタに該当するものがなければ、新規にクラスタ群を作成する。DB部やシステム設計部等のように職種が設計部署であるものなど関連のある部署を探し出し、クラスタリングを行うことによりポリシーテンプレート情報121を作成する。
【0017】
パッケージ生成部104は、パッケージのポリシー情報を資産情報テーブル120に更新し、1つ以上のプログラム122をパッケージとして作成する。パッケージとは、複数の配布したいデータやインストールしたいプログラムを小包のようにひとまとめにしたものである。パッケージ生成部104は、パッケージ作成後、エージェント生成部105を呼び出して、エージェントB108を作成してパッケージを配布する。
【0018】
エージェント生成部105は、エージェントA107とエージェントB108とを作成する。エージェント生成部105は、分散計算機システム内の全計算機にエージェントA107を送り込み、資産情報とクライアントユーザの属性情報とを取得させる。また、エージェント生成部105は、ユーザからプログラム配布要求があり、ポリシーで認められている場合、エージェントB108を送り込みプログラム122を配布する。
【0019】
エージェント状態情報管理部106は、管理サーバ101がエージェントA107とエージェントB108から状態情報通知を受信した際に、エージェント状態情報テーブル118(詳細を図23に示す)の状態情報を更新する。
【0020】
エージェントA107は、分散計算機システム環境下の計算機の資産情報またはクライアントとしてのユーザの属性情報を取得するプログラムである。
【0021】
エージェントB108は、ユーザから計算機を介してプログラムの配布要求があったり、ユーザ自身の部署異動や職位変更があった場合に、分散計算機システム環境下の計算機に移動し、要求されたプログラム122を配布したり、ポリシー情報に従って不要なプログラムを削除するプログラムである。
【0022】
計算機109〜111は、クライアントであるユーザが使用する計算機であり、以下に説明する本発明の実施形態では、各計算機とユーザとは、1対1にリンクしており、ユーザが勤務部署を移動した場合等にも、ユーザは、自分が使用している計算機を持って移動するものとする。また、図示例では、計算機109〜111には、エージェントA107が計算機の資産情報とユーザの属性情報とを取得するために移動してきている計算機であるとしている。また、計算機110には、クライアントとしてのユーザからプログラムの配布要求があり、エージェントB108が要求されたプログラム122を配布するために移動してきている計算機であるとしている。
【0023】
図2はエージェントA107の構成を示すブロック図である。エージェントA107は、資産情報収集部200と資産情報登録部201と属性情報収集部202と属性情報登録部203とからなる。エージェントA107の資産情報収集部200は、分散計算機システム環境下の計算機の資産情報を収集し、収集した資産情報を資産情報登録部201に提供する。収集する資産情報の詳細については図16と図26とにより後述する。エージェントA107の資産情報登録部201は、分散計算機システム環境下の計算機の資産情報を収集し、エージェントA107が管理サーバ101に戻った後にデータベース100に収集した資産情報を登録する。また、エージェントA107は、分散計算機システム環境下の計算機を使用するユーザから属性情報を収集し、属性情報登録部203に提供する。収集する属性情報の詳細は、図16と図19とにより後述する。エージェントA107の属性情報登録部203は、分散計算機システム環境下の計算機のユーザから属性情報を収集し、エージェントA107が管理サーバ101に戻った後にデータベース100に収集した属性情報を登録する。
【0024】
図3はエージェントB108の構成を示すブロック図である。エージェントB108は、宛先情報管理部300とパッケージ管理部301とプログラム配布/削除実行部302と任務完了通知部303とからなる。エージェントB108の宛先情報管理部300は、エージェントB108がプログラム122の配布または削除するために向かう計算機の宛先情報テーブル119(詳細を図25に示す)を管理する。エージェントB108は、宛先情報テーブル119を参照して目的の計算機へ移動し、業務に必要となるプログラム122の配布し、また、業務に不要なプログラムの削除を行う。エージェントB108のパッケージ管理部301は、ユーザから計算機を介して要求のあった幾つかのプログラム122(パッケージ)を保管する場所である。エージェントB108のプログラム配布/削除実行部302は、エージェントB108が、プログラム配布要求のあった計算機、または、職制変更に伴うクライアントユーザの使用可能なプログラム122の変更があった計算機に移動した場合に、業務に必要なプログラム122の配布処理、または、業務に不要なプログラムの削除処理を行う実行部である。エージェントB108の任務完了通知部303は、エージェントB108が業務に必要なプログラム122の配布処理または業務に不要なプログラムの削除処理を完了した際に、その旨を管理サーバ101に通知する機能を実行する。
【0025】
図4は分散計算機システム内の計算機に対して、ポリシー情報に基づいた業務に必要となるプログラム122の配布または業務に不要なプログラムの削除を完了するまでの本発明の実施形態の全体の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0026】
(1)最初に、管理者が部署/職位/就業形態毎に使用できるプログラム122のポリシー情報を設定し、資産管理システムに登録するための処理を行う(ステップ400)。
【0027】
(2)ポリシー情報が設定された後、管理サーバ101は、分散計算機システム環境下の全計算機における資産情報またはユーザの属性情報を取得するエージェントA107(オリジナルエージェント)とエージェントA107のクローンエージェントとを生成する。この処理の詳細は、図15により後述する(ステップ401)。
【0028】
(3)次に、管理サーバ101は、ステップ401の処理で生成したエージェントA107のクローンエージェントを分散計算機システム環境下の各計算機、ここでは計算機109及び計算機110に送信する。この処理の詳細は、図16により後述する(ステップ402、403)。
【0029】
(4)計算機109及び計算機110に移動したエージェントA107のクローンエージェントは、計算機109及び計算機110の資産情報やユーザの属性情報を取得する。この処理の詳細は、図16により後述する(ステップ404、406)。
【0030】
(5)また、計算機109及び計算機110に移動したエージェントA107のクローンエージェントは、管理サーバ101にいるオリジナルエージェントに取得した計算機の資産情報やユーザの属性情報をエージェント通信により送信する。この処理の詳細は、図16により後述する(ステップ405、408)。
【0031】
(6)次に、管理サーバ101のエージェントA107のオリジナルエージェントは、ステップ405、408の処理で送信されてきた分散計算機システム環境下における各計算機の資産情報やユーザの属性情報をデータベース100に格納し、管理サーバ101に処理結果を通知する。この処理の詳細は、図16、図17により後述する(ステップ407、409)。
【0032】
管理サーバ101は、一定時間おきに、エージェント生成部105に対して、エージェントA107の移動要求を出し、分散計算機システム環境下の計算機から資産情報とユーザの属性情報とを取得する前述の処理を実行する。この処理の詳細は、図15、図16、図17により後述する。
【0033】
(7)次に、管理サーバ101は、データベース100から分散計算機システム環境下における各計算機の資産情報とユーザの属性情報とを取り出し、ポリシーテンプレート情報121を生成する。ポリシーテンプレート情報121の生成後、管理者にポリシー確認要求を出し、管理者は修正の必要がなければ承認し、修正の必要があれば変更し、ポリシーテンプレート情報121をポリシー情報として登録する。この処理の詳細は、図5〜図9、図11〜図14により後述する(ステップ410)。
【0034】
(8)次に、計算機110からプログラム配布要求、または、クライアントとしてのユーザの属性情報の変更通知があったものとする(ステップ411)。
【0035】
(9)ステップ411での要求または通知を受け取った管理サーバ101は、要求のあったプログラム122を配布するためにパッケージを生成する。この処理の詳細は、図10により後述する(ステップ412)。
【0036】
(10)次に、管理サーバ101は、エージェントB108を生成し(ステップ413)、生成したエージェントB108に移動要求を出して、エージェントB108を計算機110に移動させる。この処理の詳細は、図10、図15、図18により後述する(ステップ413〜415)。
【0037】
(11)エージェントB108は、移動先の計算機110において、業務に必要なパッケージの配布、または、業務に不要なプログラムの削除を行う。この処理の詳細は、図18により後述する(ステップ416)。
【0038】
(12)次に、エージェントB108は、管理サーバ101に処理結果を通知し、管理サーバ101に処理結果を通知後、消滅する。この処理の詳細は、図17、図18により後述する(ステップ417、418)。
【0039】
前述したステップ400からステップ418までの一連の処理は、管理者による強制終了やシステムの異常終了がない限り繰り返し実行される。
【0040】
図5はポリシー判定部102での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0041】
(1)まず、管理者がポリシー情報を設定する。その後、後述する処理フローから戻ってくるループポイントを示す処理0を経て、エージェント生成部105を呼び出して、エージェントA107を生成する。エージェントA107の生成後、エージェントA107を分散計算機システム内の全計算機に移動させ、各計算機内の資産情報とクライアントとしてのユーザの属性情報とを収集させる(ステップ500〜502)。
【0042】
(2)次に、データベース100に格納されている属性情報テーブル113(図19)を参照する。属性情報テーブル113には、エージェントA107が収集してきた分散計算機システム内の全計算機におけるユーザの属性情報が格納されて管理されている(ステップ503)。
【0043】
(3)次に、前回にチェックした情報と差分がないか否かをチェックし、属性情報に変更があった場合、図6により後述する差分情報抽出処理(処理1)に移行する(ステップ504、505)。
【0044】
(4)ステップ504のチェックで、属性情報に変更がなかった場合、クライアントであるユーザからプログラムの配布要求がきているか否かをチェックし、プログラムの配布要求がなかった場合、ステップ503からの処理に戻って処理を続け、プログラムの配布要求があった場合、属性情報抽出処理(処理2)に移行する(ステップ506、507)。
【0045】
図6は図5におけるステップ505での差分情報抽出処理(処理1)の動作を説明をするフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0046】
(1)まず、前回、エージェントA107が収集したクライアントユーザの属性情報と今回、エージェントA107が収集したクライアントユーザの属性情報との差分を抽出する(ステップ600)。
【0047】
(2)次に、後述するプログラム配布許可判定処理(処理3)を実行し、その後、職制変更等の理由によりユーザの属性情報に差分が生じた場合、エージェントB108を用いて業務に不要なプログラムを削除し、業務に不要なプログラムの削除処理が成功したか否かを判定する(ステップ601、602)。
【0048】
(3)ステップ602の判定で、業務に不要なプログラムの削除処理が成功していなかった場合、ステップ602からの処理に戻って、さらに、削除処理を続け、業務に不要なプログラムの削除処理が成功していた場合、データベース100の資産情報を更新する(ステップ603)。
【0049】
(4)データベース100の資産情報の更新後、管理者に資産情報の更新が完了したことを通知し、その後、処理0に移行する(ステップ604、605)。
【0050】
図7は図5におけるステップ507での属性情報抽出処理(処理2)の動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0051】
(1)クライアントとしてのユーザからプログラム配布要求があった場合、または、職制変更などの理由により属性情報に差が生じた場合、データベース100内にある属性情報テーブル114を検索する(ステップ700)。
【0052】
(2)次に、プログラム配布要求のあったユーザの属性情報を抽出し、その後、図6におけるステップ601のプログラム配布許可判定処理(処理3)に移行する(ステップ701、702)。
【0053】
図8は図6、図7におけるステップ601、702のプログラム配布許可判定処理(処理3)の動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0054】
(1)まず、データベース100内のポリシー情報テーブル114(図20により後述)と部署クラスタテーブル115(図21により後述)を参照し、これらのテーブルにライアントであるユーザの所属する部署に対して対象となるプログラム122のポリシー情報が設定されているか否かをチェックする(ステップ800、801)。
【0055】
(2)ステップ801のチェックで、プログラムのポリシーが設定されていなかった場合、後述するクラスタリング処理(処理4)に移行し、ポリシー情報が設定されていた場合、その計算機に対して、プログラム122の配布が許可されているか否かをチェックする(ステップ805、802)。
【0056】
(3)ステップ802のチェックで、プログラム122の配布が許可されていた場合、後述するパッケージ生成処理(処理5)に移行し、プログラム122の配布が許可されていなかった場合、計算機を使用するユーザに対して、プログラム122の配布は認められないという拒否通知を出す(ステップ804、803)。
【0057】
図9は図8におけるステップ805でのクラスタリング処理(処理4)の動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0058】
(1)図8のステップ801のチェックで、クライアントユーザの所属する部署に対して対象となるプログラム122のポリシーが設定されていなかったことにより、まず、部署クラスタテーブル115を参照し、共通の職種情報(設計部署や販売部署等)があるか否かをチェックし、共通の職種情報があった場合、後述する部署クラスタ選択処理(処理6)に移行する(ステップ900、901)。
【0059】
(2)ステップ900のチェックで、共通の職種情報がなかった場合、新規に部署クラスタを作成し、共通の職制情報があるか否かをチェックし、共通の職制情報があった場合、後述する職位クラスタ選択処理(処理7)に移行する(ステップ902〜904)。
【0060】
(3)ステップ903のチェックで、共通の職制情報がなかった場合は、新規に職制クラスタを作成し、次に、共通の就業形態情報があるか否かをチェックする(ステップ905、906)。
【0061】
(4)ステップ906のチェックで、共通の就業形態情報があった場合、後述する就業形態クラスタ選択処理(処理8)に移行し、、共通の就業形態情報がなかった場合、新規に就業形態クラスタを作成して、ステップ901の処理6に移行する(ステップ907、908)。
【0062】
図10は図8におけるステップ804でのパッケージ生成処理(処理5)の動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0063】
(1)図8のステップ802のチェックで、クライアントとしてのユーザの所属する部署に対して対象となるプログラム122のポリシーが設定されていて、その計算機に対してプログラム122の配布が許可されていたことにより、まず、パッケージ生成部104を呼び出す(ステップ1000)。
【0064】
(2)パッケージに登録するプログラム122を選択し、次に、パッケージを取得できる部署クラスタと職位クラスタと就業形態クラスタとを設定する(ステップ1101、1002)。
【0065】
(3)次に、パッケージ情報をデータベース100内にあるポリシー情報テーブル114に登録し、パッケージを作成した後、図15により後述するエージェント生成処理(処理10)に移行する。(ステップ1003、1005)。
【0066】
(4)処理10によりエージェントB108を生成後、エージェントB108をプログラム配布要求のあった計算機またはプログラム削除の必要がある計算機に移動させる。エージェントB108がプログラム配布要求のあった計算機に移動後に、パッケージの配布または業務に不要なプログラムの削除処理が成功したか否かの通知をしてくるので、これを受け取って、成功したか否かをチェックし、失敗していた場合、ステップ1005の処理10からの処理に戻って処理を繰り返す(ステップ1006)。
【0067】
(5)ステップ1006のチェックで、パッケージを配布または不要プログラムの削除を行う処理が成功していた場合、管理者に処理の完了通知を出し、処理0に移行する(ステップ1007、1008)。
【0068】
図11は図9におけるステップ901での部署クラスタ選択処理(処理6)の動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0069】
(1)クライアントであるユーザの所属する部署に対して対象となるプログラム122のポリシーが設定されておらず、部署クラスタテーブル115に共通の職種情報(設計部署や販売部署等)があったことにより、部署クラスタテーブル115(詳細を図21に示す)に複数の部署情報があるか否かをチェックする(ステップ1100)。
【0070】
(2)ステップ1100のチェックで、複数の部署情報があった場合、最も構成数の多い部署クラスタを選択し、同数の構成数の部署クラスタが存在した場合には、登録番号の最も小さい部署クラスタを選択する(ステップ1101)。
【0071】
(3)ステップ1101の処理の後、または、ステップ1100のチェックで、複数の部署情報がなかった場合、後述するポリシー情報作成処理(処理9)に移行する(ステップ1102)。
【0072】
図12は図9におけるステップ904での職位クラスタ選択処理(処理7)の動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0073】
(1)図9のステップ903のチェックで、クライアントユーザの所属する部署に対して対象となるプログラム122のポリシーが設定されておらず、部署クラスタテーブル115に共通の職制情報があったことにより、複数の職位情報があるか否かをチェックする(ステップ1200)。
【0074】
(2)ステップ1200のチェックで、複数の職位情報があった場合、最も構成数の多い職位クラスタを選択し、同数の構成数の職位クラスタが存在した場合には、登録番号の最も小さい職位クラスタを選択する(ステップ1201)。
【0075】
(3)ステップ1201の処理の後、または、ステップ1200のチェックで、複数の職位情報がなかった場合、後述するポリシー情報作成処理(処理9)に移行する(ステップ1202)。
【0076】
図13は図9におけるステップ907での就業形態クラスタ選択処理(処理8)の動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0077】
(1)図9のステップ906のチェックで、クライアントであるユーザの所属する部署に対して対象となるプログラム122のポリシーが設定されておらず、部署クラスタテーブル115に共通の就業形態があったことにより、複数の就業形態情報があるか否かをチェックする(ステップ1300)。
【0078】
(2)ステップ1300のチェックで、複数の就業形態情報があった場合、最も構成数の多い就業形態クラスタを選択し、同数の構成数の就業形態クラスタが存在した場合には、登録番号の最も小さい就業形態クラスタを選択する(ステップ1301)。
【0079】
(3)ステップ1301の処理の後、または、ステップ1300のチェックで、複数の就業形態情報がなかった場合、ポリシー情報作成処理(処理9)に移行する(ステップ1302)。
【0080】
図14は図11〜図13におけるステップ1102、1202、1302でのポリシー情報作成処理(処理9)の動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0081】
(1)処理が開始されると、まず、選択された部署クラスタ、職種クラスタ、就業形態クラスタを組み合わせた新規ポリシー情報を元にポリシーテンプレート情報121を作成する(ステップ1400)。
【0082】
(2)ステップ1400の処理でポリシーテンプレート情報121を作成した後、これを管理者に通知し、ポリシーテンプレート情報121の内容を確認してもらう(ステップ1401)。
【0083】
(3)管理者によってポリシー情報が承認されたか否かをチェックし、管理者によってポリシーが承認されない場合、管理者自身がポリシーテンプレート情報121の内容が修正される(ステップ1402、1405)。
【0084】
(4)ステップ1402のチェックで、管理者に承認された場合、ステップ1400の処理で生成したポリシーテンプレートの情報を、また、ステップ1405の処理で管理者が修正した場合、その修正したポリシーテンプレートの情報をデータベース100のポリシー情報テーブル114(詳細を図20により説明する)を更新し、すでに説明したプログラム配布許可判定処理(処理3)に移行する(ステップ1403、1404)。
【0085】
図15は図10におけるステップ1005でのエージェント生成処理(処理10)の動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0086】
(1)処理が開始されると、まず、エージェント生成部105を呼び出し、パッケージ生成部104からエージェントA107の作成要求を受信したか否かをチェックする(ステップ1500、1501)。
【0087】
(2)ステップ1501のチェックで、エージェントA107の作成要求を受信していた場合、エージェントA107を生成し、生成したエージェントA107に、資産情報テーブル120(詳細を図26により説明する)を搭載すると共に、宛先情報テーブル119(詳細を図25により説明する)を搭載する(ステップ1502、1503)。
【0088】
(3)さらに、生成したエージェントA107に、属性情報テーブル113(詳細を図19により説明する)を搭載して、エージェントA107のクローンエージェントを作成する(ステップ1504、1505)。
【0089】
(4)その後、エージェントA107のクローンエージェントに対して移動要求を出し、エージェントA107のクローンエージェントが移動後、図17により後述するエージェント状態情報管理処理(処理11)の処理に移行し、エージェントA107が移動中であることを通知する(ステップ1506、1507)。
【0090】
(5)ステップ1501のチェックで、パッケージ生成部104からエージェントA107の作成要求を受信していなかった場合、エージェントB108の作成要求を受信したか否かをチェックし、エージェントB108の作成要求を受信していなかった場合、ステップ1501からの処理に戻って処理を続ける(ステップ1508)。
【0091】
(6)ステップ1508のチェックで、エージェントB108の作成要求を受信していた場合、エージェントB108を生成し、生成したエージェントB108に、すでに生成したパッケージを搭載すると共に、資産情報テーブル120(詳細を図26により説明する)を搭載する(ステップ1509、1510)。
【0092】
(7)さらに、生成したエージェントB108に、宛先情報テーブル119(詳細を図25により説明する)を搭載して、エージェントB108に対して移動要求を出す(ステップ1511、1512)。
【0093】
(8)エージェントB108が移動後、図17により後述するエージェント状態情報管理処理(処理11)の処理に移行し、エージェントB108が移動中であることを通知する(ステップ1513)。
【0094】
図16はエージェントA107の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0095】
(1)エージェントA107は、生成された後、エージェント生成部105から移動要求を受信したか否かをチェックし、受信していなかった場合、受信するまで待機する(ステップ1600)。
【0096】
(2)ステップ1600のチェックで、エージェント生成部105から移動要求を受信した場合、宛先情報テーブル119(詳細を図25に示す)を参照し、要求先の計算機に作成したエージェントA107のクローンエージェントを移動させる(ステップ1601)。
【0097】
(3)クローンエージェントは、到着後に移動先の計算機に常駐し、計算機の資産情報とクライアントユーザの属性情報とを収集する。このとき、クライアントとしてのユーザに属性情報設定通知を出し、属性情報を設定させる(ステップ1602)。
【0098】
(4)エージェントA107のクローンエージェントは、計算機の資産情報とクライアントユーザの属性情報とを収集した後、管理サーバ101にいるオリジナルエージェントに対して、エージェント通信により収集した情報を送信する(ステップ1603)。
【0099】
(5)オリジナルエージェントは、クローンエージェントから情報を受信した後、収集した計算機の資産情報とクライアントユーザの属性情報とをデータベース100内に格納されている資産情報テーブル120(図26)と属性情報テーブル113(図19)に格納してテーブルを更新する(ステップ1604)。
【0100】
(6)次に、エージェント状態情報管理処理(処理11)に移行し、エージェントA107での処理が完了したことを通知し、その後、一定時間おきにステップ1602からの処理に戻って、前述した処理を繰り返す(ステップ1605)。
【0101】
図17は図15におけるステップ1507、1513、図16におけるステップ1605でのエージェント状態情報管理処理(処理11)の動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0102】
(1)処理が開始されると、まず、エージェント状態情報管理部106を呼び出し、エージェントA107またはエージェントB108から状態情報の通知を受信しているか否かをチェックする(ステップ1700、1701)。
【0103】
(2)ステップ1701のチェックで、状態情報通知を受信していた場合、データベース100のエージェント状態情報テーブル118(詳細を図24により説明する)を受信した情報により更新する(ステップ1702)。
【0104】
(3)もし、ステップ1701のチェックで、エージェントA107またはエージェントB108から状態情報通知が一定時間内にきていなかった場合、エージェントA107またはエージェントB108が何かしらの原因で消滅したとみなし、クローンエージェントを作成し、作成したクローンエージェントを、消滅したエージェントのいた計算機に移動させる(ステップ1703、1704)。
【0105】
図18はエージェントB108の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0106】
(1)エージェントB108は、生成された後、エージェント生成部105から移動要求を受信したか否かをチェックし、受信していなかった場合、受信するまで待機する(ステップ1800)。
【0107】
(2)ステップ1800のチェックで、エージェント生成部105から移動要求を受信した場合、エージェントB108は、宛先情報テーブル119(詳細を図25に示す)を参照し、要求先の計算機に移動する(ステップ1801)。
【0108】
(3)エージェントB108は、移動先の計算機において、パッケージを配布し、パッケージの配布後、資産情報テーブル120(詳細を図26に示す)を参照し、削除対象のプログラムがないか否かを確認する(ステップ1802、1803)。
【0109】
(4)ステップ1803のチェックで、削除対象のプログラムがなかった場合、すでに説明したエージェント状態情報管理処理(処理11)に移行して、エージェントB108が処理状態を通知する(ステップ1804)。
【0110】
(5)次に、エージェントの状態が処理完了であるか否かをチェックし、処理が完了であった場合、エージェントB108は消滅する(ステップ1805、1806)。
【0111】
(6)ステップ1805のチェックで、処理が完了していなかった場合、エージェントが何らかの原因で消滅したと判断し、(すでに、処理11において作成したクローンエージェントがパッケージ配布を行うために消滅したエージェントがいた計算機に移動しているため)ステップ1802からの処理に戻って、パッケージ配布を続ける。
【0112】
(7)ステップ1803のチェックで、パッケージを配布後、資産情報テーブル120(詳細を図26に示す)を参照し、業務に不要な(削除対象の)プログラムあった場合、そのプログラムの削除処理を行い、業務に不要なプログラムの削除処理が成功したか否かをチェックする(ステップ1807、1808)。
【0113】
(8)ステップ1808のチェックで、業務に不要なプログラムの削除処理に成功していた場合、ステップ1804のすでに説明したエージェント状態情報管理処理(処理11)に移行し、業務に不要なプログラムの削除処理が失敗していた場合、ステップ1807からの処理に戻って、プログラムの削除処理を続ける。
【0114】
図19は属性情報テーブル113の構成例を示す図である。属性情報テーブル113は、分散計算機システム環境下の各計算機を使用しているクライアントとしてのユーザの属性情報を管理している。ここで管理される属性情報は、名前情報、部署情報、職制情報、就業形態情報であり、管理サーバ101が業務に必要となるプログラム122を配布し、または、業務に不要なプログラムを削除する際に参照される。
【0115】
図20はポリシー情報テーブル114の構成例を示す図である。ポリシー情報テーブル114は、パッケージ名と、プログラム名(管理者が分散計算機システム内の各計算機に対して業務上必要であると判断し、配布するプログラム122)と、プログラムのインストールを許可されている対象のポリシー情報(部署クラスタと職位クラスタと就業形態クラスタの組み合わせ)を管理している。
【0116】
資産配布管理システムは、ポリシー情報テーブル114の情報と属性情報テーブル113の情報とを参照し、属性情報の部署情報と職制情報と就業形態情報とのすべての条件が、ポリシー情報と合致すればプログラムの配布または削除を行う。ここでいうクラスタとは、管理者が似ていると定義したデータ同士を1つのグループにまとめて、1つの大きなデータの集合を小さなデータの集合に分割したデータの集まりのことである。
【0117】
資産配布管理システムのクラスタリング処理前のポリシー情報テーブル114の例を図20(a)に示しており、この例における、1つめの例として、プログラムAとプログラムBとプログラムCをパッケージングしたパッケージ1は、品質保証部(A10)で、かつ、派遣または通常(C3)で、かつ、担当(B1)がインストールすることができるポリシー情報が設定されている。また、2つめの例として、プログラムDとプログラムEとをパッケージングしたパッケージ2は、DB部(A2)で、かつ、派遣または通常(C3)で、かつ、主任または課長(B13)がインストールすることができるポリシー情報が設定されている。また、資産配布管理システムのクラスタリング処理が行われた後のポリシー情報テーブル114の例を図20(b)に示しており、この例における、3つめの例として、プログラムDとプログラムEとをパッケージングしたパッケージ2は、DB部またはシステム設計部(A11)で、かつ、派遣または通常(C3)で、かつ、主任または課長(B13)がインストールすることができるポリシー情報に変更されていることを示している。
【0118】
図21は部署クラスタテーブル115の構成例を示す図である。部署クラスタテーブル115は、単一または複数の部署から構成される部署クラスタ名と、対象部署名と、部署の職種と、部署クラスタを構成するデータ数(構成数)とを管理している。
【0119】
図22は職位クラスタテーブル116の構成例を示す図である。職位クラスタテーブル116は、単一または複数の職位から構成される職位クラスタ名と、対象(職位)名と、職位クラスタを構成するデータ数(構成数)とを管理している。
【0120】
図23は就業形態クラスタテーブル117の構成例を示す図である。就業形態クラスタテーブル117は、単一または複数の就業形態から構成される就業形態クラスタ名と、対象(就業形態)名と、就業形態クラスタを構成するデータ数(構成数)を管理している。
【0121】
図24はエージェント状態情報テーブル118の構成例を示す図である。エージェント状態情報テーブル118は、計算機の資産情報やクライアントユーザの属性情報を収集するエージェントや、業務に必要となるプログラム122を配布または業務に不要なプログラムの削除を行うエージェントの名前と、エージェントの状態とを管理している。
【0122】
図25は宛先情報テーブル119の構成例を示す図である。宛先情報テーブル119は、エージェント名と、エージェントが移動する計算機名と、そのIPアドレスとを管理している。
【0123】
図26は資産情報テーブル120の構成例を示す図である。資産情報テーブル120は、分散環境下の計算機の資産情報として、計算機名と、プログラム名と、ユーザ名と、業務に不要なプログラムの削除対象とを管理している。
【0124】
図27はポリシーテンプレート作成時におけるクラスタリング処理前の職種、部署クラスタ、プログラムの相互の関係を示す図、図28はポリシーテンプレート作成時におけるクラスタリング処理後の職種、部署クラスタ、プログラムの相互の関係を示す図であり、次に、図27、図28を参照して、クラスタリング処理前後の職種、部署クラスタ、プログラムの相互の関係の変化の例について説明する。
【0125】
いま、エージェントA107が分散計算機システム内の計算機から資産情報を収集し、資産情報の1つである属性情報の中にシステム設計部、主任という情報が含まれていたとする。システム設計部のポリシーには、何も設定されていないので、図27ではシステム設計部とプログラムとの間を接続している矢印が示されていない。クラスタリング部103は、システム設計部が設計部署であるということから、すでに登録されている設計部署がないかをデータベースの部署クラスタテーブル113を検索する。図27に示す例では、すでに、DB部と品質保証部とのポリシー情報が設定されて、プログラムへの矢印が示されている。
【0126】
DB部のポリシー情報は、接続している線が示しているように、対象職制として、課長と主任とが設定されており、かつ、就業形態として、派遣と通常とが対象となっている。また、DB部は、DB部からの矢印で示しているプログラムDとプログラムEとが使用できる対象プログラムとなっている。品質保証部のポリシー情報は、接続している線が示しているように、対象となる職制が担当であり、就業形態としては、派遣と通常とが対象となっている。また、品質保証部の使用できる対象プログラムは、品質保証部からの矢印で示しているプログラムAとプログラムBとプログラムCとが使用できる対象プログラムとなっている。
【0127】
この時点では、システム設計部のポリシー情報が設定されていないが、設計部署であることから、クラスタリング部103は、システム設計部がDB部と同じ設計クラスタに属すると推論する。DB部のポリシー情報では、課長職と主任職との人がプログラムCとプログラムDの使用を許可されているため、クラスタリング部103は、図28に点線で示すように、システム設計部の課長職と主任職との人が使用できるというポリシー情報を設定し、また、図28に点線の矢印で示しているように、プログラムDとプログラムEとが使用できる対象プログラムであると設定する。
【0128】
前述の例では、プログラムを配布できるポリシー情報を設定する例となっているが、プログラム122を配布できないポリシー情報を設定することも可能である。また、提案したポリシー情報として部署情報、職位情報、就業形態をあげたが、この他にアドレス情報も判断基準の例として挙げることができる。
【0129】
図29はユーザの属性が変更になった場合の本発明の実施形態での処理例について説明する図である。
【0130】
図29において、A氏がシステム設計部から情報システム部に異動になったものとする。この場合、資産配布管理システムは、エージェントが収集した計算機の資産情報により、A氏の所属部署が変更したことを検知する。そして、資産配布管理システムは、ポリシー情報テーブルを参照し、該当するポリシー情報を検索する。該当ポリシーを検索後、インストール可能なプログラムと削除するべき差分プログラム情報とを抽出し、必要なプログラムの配布処理と、不要なプログラムの削除処理とを行う。
【0131】
また、B氏の使用している計算機に障害が発生して復旧ができなくなり、OSを入れ替えたものとする。この場合、資産配布管理システムは、エージェントが収集した計算機の資産情報により、B氏の計算機に、業務に必要なソフトウェアが入っていないことを検知し、ポリシー情報テーブルを参照した後、該当するポリシー情報を検索する。そして、資産配布管理システムは、該当するポリシー情報を検索後、インストール可能なプログラムの配布処理を行う。
【0132】
また、C氏が昇進により職制情報を担当から主任になったとする。この場合、資産配布管理システムは、ポリシー情報テーブルを参照し、該当するポリシー情報を検索する。そして、資産配布管理システムは、該当ポリシーを検索後、インストール可能なプログラムと削除するべき差分プログラム情報とを抽出し、必要なプログラムの配布処理と、不要なプログラムの削除処理とを行う。
【0133】
なお、前述において、属性の変更は、各ユーザが、自分が使用している計算機に登録してもよく、あるいは、図示しない人事等を管理するシステムから自動的に登録されてもよい。
【0134】
前述した本発明の実施形態での各処理は、プログラムにより構成し、管理サーバが備えるCPUに実行させることができ、また、それらのプログラムは、FD、CD−ROM、DVD等の記録媒体に格納して提供することができ、また、ネットワークを介してディジタル情報により提供することができる。
【0135】
前述した本発明の実施形態によれば、資産配布管理システムは、管理者の判断情報がデータベースに蓄積されていくにつれ、システムにおける推論の精度が高まっていき、管理者の負担を軽減することができる。また、管理者の負担を軽減するだけでなく、クライアントユーザに対しても作業の迅速化と効率化を図ることができる。
【0136】
前述したように本発明の実施形態で使用される資産配布管理システムは、エージェントを利用して分散計算機システム内の計算機の資産情報またはユーザの属性情報を収集し、属性情報をもとに推論したポリシー情報に基づいてプログラムの配布処理または削除処理を行う。これにより、管理者は、資産配布システムが推論したポリシー情報に誤りがあった場合にのみ、ポリシー情報を修正するだけで済み、プログラムが業務に必要なプログラムであるか否かを逐一調査し、分散計算機システム内のクライアント計算機に対してプログラムの配布または削除を行う管理者負担を軽減することができる。
【0137】
本発明の実施形態では、管理者は、予め最低限設定しておくべき属性情報に対して、業務に必要なプログラム、または、業務に不要なプログラムのポリシー情報を定義する(例えば、設定画面上で部署クラスタ、職位クラスタ、就業形態クラスタなどのクラスタ情報を組み合わせ、配布するプログラム情報を定義することによりポリシー情報を設定する)だけでよい。その後、資産配布管理システムは、まだ管理者によって設定されていない属性情報に対して、計算機の資産情報やクライアントユーザの属性情報を元に関連付けを行い、インストール可能なプログラムのポリシーテンプレート情報を生成する。管理者は、生成されたポリシーテンプレート情報を修正するだけで済み、管理者のポリシー情報に関する判断情報がデータベースに蓄積されていくにつれ、システムにおける推論の制度が高まっていき、管理者の負担を軽減することができる。また、管理者の負担を軽減するだけでなく、ユーザに対しても作業の迅速化と効率化を図ることができる。
【0138】
例えば、業務に必要とされるプログラムがインストールされていない計算機があった場合、クライアントであるユーザがプログラム配布要求を出さなくても、資産配布管理システムがポリシー情報に基づいて、当該計算機にプログラムを配布することができる。また、分散計算機システム内の計算機において、障害の発生により計算機の復旧が不可能になったり、老朽化による計算機の交換を行う必要が生じた場合等に、それまで使用していた全てのプログラムを再インストールする必要があるが、そのような場合にも、本発明の実施形態では、資産配布管理システムがクライアントユーザの所属する職種、部署、職位、就業形態等のポリシー情報に基づいて、当該計算機にプログラムを配布するため、ユーザによる環境構築の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の一実施形態による分散計算機システムの構成を示すブロック図である。
【図2】エージェントAの構成を示すブロック図である。
【図3】エージェントBの構成を示すブロック図である。
【図4】分散計算機システム内の計算機に対するプログラムの配布または削除を完了するまでの本発明の実施形態の全体の処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】ポリシー判定部での処理動作を説明するフローチャートである。
【図6】図5におけるステップ505での差分情報抽出処理(処理1)の動作を説明をするフローチャートである。
【図7】図5におけるステップ507での属性情報抽出処理(処理2)の動作を説明するフローチャートである。
【図8】図6、図7におけるステップ601、702のプログラム配布許可判定処理(処理3)の動作を説明するフローチャートである。
【図9】図8におけるステップ805でのクラスタリング処理(処理4)の動作を説明するフローチャートである。
【図10】図8におけるステップ804でのパッケージ生成処理(処理5)の動作を説明するフローチャートである。
【図11】図9におけるステップ901での部署クラスタ選択処理(処理6)の動作を説明するフローチャートである。
【図12】図9におけるステップ904での職位クラスタ選択処理(処理7)の動作を説明するフローチャートである。
【図13】図9におけるステップ907での就業形態クラスタ選択処理(処理8)の動作を説明するフローチャートである。
【図14】図11〜図13におけるステップ1102、1202、1302でのポリシー情報作成処理(処理9)の動作を説明するフローチャートである。
【図15】図10におけるステップ1005でのエージェント生成処理(処理10)の動作を説明するフローチャートである。
【図16】エージェントA107の処理動作を説明するフローチャートである。
【図17】図15におけるステップ1507、1513、図16におけるステップ1605でのエージェント状態情報管理処理(処理11)の動作を説明するフローチャートである。
【図18】エージェントB108の処理動作を説明するフローチャートである。
【図19】属性情報テーブルの構成例を示す図である。
【図20】ポリシー情報テーブルの構成例を示す図である。
【図21】部署クラスタテーブルの構成例を示す図である。
【図22】職位クラスタテーブルの構成例を示す図である。
【図23】就業形態クラスタテーブルの構成例を示す図である。
【図24】エージェント状態情報テーブルの構成例を示す図である。
【図25】宛先情報テーブルの構成例を示す図である。
【図26】資産情報テーブルの構成例を示す図である。
【図27】ポリシーテンプレート作成時におけるクラスタリング処理前の職種、部署クラスタ、プログラムの相互の関係を示す図である。
【図28】ポリシーテンプレート作成時におけるクラスタリング処理後の職種、部署クラスタ、プログラムの相互の関係を示す図である。
【図29】ユーザの属性が変更になった場合の本発明の実施形態での処理例について説明する図である。
【符号の説明】
【0140】
100 データベース
101 管理サーバ
102 ポリシー判定部
103 クラスタリング部
104 パッケージ生成部
105 エージェント生成部
106 エージェント状態情報管理部
107 エージェントA
108 エージェントB
109 計算機
110 計算機
111 計算機
112 ネットワーク
113 属性情報テーブル
114 ポリシー情報テーブル
115 部署クラスタテーブル
116 職位クラスタテーブル
117 就業形態クラスタテーブル
118 エージェント状態情報テーブル
119 宛先情報テーブル
120 資産情報テーブル
121 ポリシーテンプレート情報
122 配布プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の計算機と管理サーバとが接続されて構成される分散計算機システムにおける前記複数の計算機のそれぞれに対するプログラムの配布、削除方法において、
前記複数の計算機のそれぞれが、資産情報を持ち、前記管理サーバが、属性情報テーブルと、ポリシー情報テーブルと、部署クラスタテーブルと、職位クラスタテーブルと、就業形態クラスタテーブルと、配布プログラムとを持ち、
前記管理サーバは、前記計算機の1つからプログラム配布要求があった場合、または、職制変更などの理由により当該計算機を使用するユーザの属性情報に差が生じた場合、前記属性情報テーブルを検索し、プログラム配布要求のあったユーザの属性情報を抽出し、前記ポリシー情報テーブルと部署クラスタテーブルとを参照し、これらのテーブルにユーザの所属する部署に対して対象となるプログラムのポリシー情報が設定されていなかった場合、前記部署クラスタテーブル、職位クラスタテーブル、就業形態クラスタテーブルを参照して、これらのテーブルから共通する職制、職位、就業形態を選択し、これらに対応するポリシーテンプレートを生成し、当該ポリシーテンプレートの内容の管理者による承認、修正を受けたポリシーに基づいて、前記複数の計算機のそれぞれに対するプログラムの配布、削除を行うことを特徴とするプログラムの配布、削除方法。
【請求項2】
前記部署クラスタテーブルからの職制の選択時、前記部署クラスタテーブル内に共通の職種情報が複数あった場合、最も構成数の多い部署クラスタを選択し、同数の構成数の部署クラスタが存在した場合には、登録番号の最も小さい部署クラスタを選択することを特徴とする請求項1記載のプログラムの配布、削除方法。
【請求項3】
前記職位クラスタテーブルからの職位の選択時、前記職位クラスタテーブル内に共通の職位情報が複数あった場合、最も構成数の多い職位クラスタを選択し、同数の構成数の職位クラスタが存在した場合には、登録番号の最も小さい職位クラスタを選択することを特徴とする請求項1または2記載のプログラムの配布、削除方法。
【請求項4】
前記就業形態クラスタテーブルからの就業形態の選択時、前記就業形態クラスタテーブル内に共通の就業形態情報が複数あった場合、最も構成数の多い就業形態クラスタを選択し、同数の構成数の就業形態クラスタが存在した場合には、登録番号の最も小さい就業形態クラスタを選択することを特徴とする請求項1、2または3記載のプログラムの配布、削除方法。
【請求項5】
複数の計算機と管理サーバとが接続され、前記管理サーバが前記複数の計算機のそれぞれに対するプログラムの配布、削除を行う分散計算機システムにいて、
前記複数の計算機のそれぞれが、資産情報を持ち、前記管理サーバが、属性情報テーブルと、ポリシー情報テーブルと、部署クラスタテーブルと、職位クラスタテーブルと、就業形態クラスタテーブルと、配布プログラムとを持ち、
前記管理サーバは、前記計算機の1つからプログラム配布要求があった場合、または、職制変更などの理由により当該計算機を使用するユーザの属性情報に差が生じた場合、前記属性情報テーブルを検索し、プログラム配布要求のあったユーザの属性情報を抽出し、前記ポリシー情報テーブルと部署クラスタテーブルとを参照し、これらのテーブルにユーザの所属する部署に対して対象となるプログラムのポリシー情報が設定されていなかった場合、前記部署クラスタテーブル、職位クラスタテーブル、就業形態クラスタテーブルを参照して、これらのテーブルから共通する職制、職位、就業形態を選択し、これらに対応するポリシーテンプレートを生成し、当該ポリシーテンプレートの内容の管理者による承認、修正を受けたポリシーに基づいて、前記複数の計算機のそれぞれに対するプログラムの配布、削除を行うことを特徴とする分散計算機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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