説明

プロジェクタ、情報提供装置、更新システムおよび更新方法

【課題】信号判定用のデータを容易に更新することが可能なプロジェクタ等を提供すること。
【解決手段】プロジェクタ100が、判定条件データ132に基づき、入力信号の種別を判定する信号判定部150と、信号判定部150が前記種別を適切に判定できなかった場合に判定に関する情報を示す判定情報を情報提供装置200へ向け送信するとともに、情報提供装置200から前記判定情報に基づく判定条件更新データを受信する投写側通信部110と、前記判定条件更新データに基づき、判定条件データ132を更新する更新部120を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ、情報提供装置、更新システムおよび更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開平9−218670号公報では、水平同期信号等に基づいて表示モードを判定し、当該表示モードに応じて表示制御を行う表示装置が記載されている。
【特許文献1】特開平9−218670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、プロジェクタの場合、液晶モニタ等の一般的な表示装置とは異なり、種々の画像供給装置と接続されるため、水平同期信号等に基づいて画像信号の種別を決定できない場合がある。具体的には、例えば、プロジェクタの発売時に想定していた画像信号と異なる種別の画像信号をプロジェクタに供給する画像供給装置が新たに発売された場合、当該プロジェクタは画像を適切に投写することができない可能性がある。また、高機能なプロジェクタは、画像を適切に投写できない場合に手動での画質調整機能等を有しているが、実際には、未知の画像信号がプロジェクタに入力される場合に、ユーザが手動で画質調整等を行うことは困難である。
【0004】
また、新たな画像信号に対応するために入力信号判定用の信号判定データがファームウェア等の形態で開発される場合がある。しかし、プロジェクタのメーカーが、プロジェクタが画像を適切に投写できない事態の発生を把握したり、状況を把握したり、ファームウェア開発用にユーザが使用している画像供給装置を入手してユーザと同じ環境を整えたりするには長い時間がかかる。その上、ユーザが、手動でプロジェクタのファームウェア等の設定データを更新するのは困難である。
【0005】
本発明の目的は、信号判定用のデータを容易に更新することが可能なプロジェクタ、情報提供装置、更新システムおよび更新方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクタは、判定条件データに基づき、入力信号の種別を判定する信号判定部と、前記信号判定部が前記種別を適切に判定できなかった場合に判定に関する情報を示す判定情報を情報提供装置へ向け送信するとともに、前記情報提供装置から前記判定情報に基づく判定条件更新データを受信する投写側通信部と、前記判定条件更新データに基づき、前記判定条件データを更新する更新部と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る情報提供装置は、プロジェクタから当該プロジェクタの有する信号判定部の判定条件データに基づく入力信号の種別の判定に関する情報を示す判定情報を受信するとともに、前記プロジェクタへ向け前記判定情報に基づき、前記判定条件データの更新に用いられる判定条件更新データを送信する提供側通信部と、前記判定情報に基づき、前記判定条件更新データを生成するデータ生成部と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る更新システムは、前記プロジェクタと、前記情報提供装置と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る更新方法は、少なくとも1台のプロジェクタと、情報提供装置とを用いた更新方法であって、前記プロジェクタは、判定条件データに基づき、入力信号の種別を判定し、前記信号判定部が前記種別を適切に判定できなかった場合に判定に関する情報を示す判定情報を前記情報提供装置へ向け送信し、前記情報提供装置は、前記プロジェクタから前記判定情報を受信し、前記判定情報に基づき、前記判定条件データの更新に用いられる前記判定条件更新データを生成し、前記プロジェクタへ向け前記判定条件更新データを送信し、前記プロジェクタは、前記情報提供装置から前記判定条件更新データを受信し、前記判定条件更新データに基づき、前記判定条件データを更新し、更新した前記判定条件データに基づき、前記入力信号の種別を判定し、前記種別に応じて前記入力信号に基づく処理を実行することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、更新システム等は、入力信号の種別の判定に関する情報を示す判定情報を用いて判定条件更新データを生成し、当該判定条件更新データを用いて判定条件データを更新することにより、信号判定用のデータを容易に更新することができる。また、本発明によれば、プロジェクタは、新たな種別の信号を入力する場合であっても、更新した判定条件データを用いて当該信号の種別を適切に判定することができる。
【0011】
また、前記入力信号は、画像信号であって、前記プロジェクタは、前記信号判定部の判定に関する情報に応じて前記画像信号に基づく画像を生成する画像生成部と、前記画像を投写する投写部と、を含んでもよい。
【0012】
これによれば、プロジェクタは、新たな種別の画像信号を入力する場合であっても、更新した判定条件データを用いて当該画像信号の種別を適切に判定することができる。
【0013】
また、前記プロジェクタは、携帯型情報記憶媒体に対する読み書きが可能なインターフェイス部を含み、前記信号判定部は、携帯型情報記憶媒体に記憶された前記判定条件データを、前記インターフェイス部を介して参照して前記入力信号の種別を判定し、前記更新部は、前記インターフェイス部を介して前記判定条件データを更新してもよい。
【0014】
これによれば、ユーザは、例えば、信号をプロジェクタに入力する装置ごとに携帯型情報記憶媒体を使い分けたり、携帯型情報記憶媒体に入力信号の元となるデータと判定条件データを記憶したりすることができる。また、判定条件データが使用環境に応じたものであるため、信号判定部は、より正確に判定を行うことができる。
【0015】
また、前記プロジェクタは、初期設定用の前記判定条件データを記憶する投写側記憶部を含み、前記信号判定部は、前記インターフェイス部に前記携帯型情報記憶媒体が接続されている場合は前記携帯型情報記憶媒体に記憶された前記判定条件データを参照して前記入力信号の種別を判定し、前記インターフェイス部に前記携帯型情報記憶媒体が接続されていない場合は前記投写側記憶部に記憶された前記判定条件データを参照して前記入力信号の種別を判定してもよい。
【0016】
これによれば、プロジェクタは、携帯型情報記憶媒体の有無に応じて参照先を変更することができるため、例えば、通常の信号が入力される場合は投写側記憶部の判定条件データを参照し、特殊な信号が入力される場合は携帯型情報記憶媒体の判定条件データを参照することにより、当該特殊な信号が通常の信号と似ている場合であっても両者を適切に区別し、適切な画像を投写することができる。
【0017】
また、前記判定情報は、前記プロジェクタの機種を示す機種情報を含み、前記データ生成部は、前記機種情報に基づき、前記機種に応じた前記判定条件更新データを生成してもよい。
【0018】
これによれば、情報提供装置は、機種情報を用いることにより、機種に応じて判定条件更新データをより効率的に生成することができる。
【0019】
また、前記提供側通信部は、前記機種情報に基づき、前記機種と互換性のある少なくとも1台の他のプロジェクタへ向け前記判定条件更新データを送信してもよい。
【0020】
これによれば、情報提供装置は、1台のプロジェクタから判定情報を受信した場合に、当該プロジェクタだけでなく、当該プロジェクタの機種と互換性のある他のプロジェクタに判定条件データを更新させることができるため、更新システム全体としてより効率的に判定条件データを更新することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明をプロジェクタと情報提供装置を含む判定条件データの更新システムに適用した実施例について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0022】
(第1の実施例)
図1は、第1の実施例における更新システムの全体図である。更新システムは、複数のプロジェクタ100−1〜100−nと、情報提供装置200(例えば、サーバ等)を含む。プロジェクタ100と情報提供装置200はネットワーク300(例えば、インターネット、有線LAN、無線LAN等)を介して相互に情報を送受信することができるように形成されている。また、本実施例のプロジェクタ100は、情報提供装置200に対して判定条件データに基づく画像信号等の種別の判定に関する情報を示す判定情報を送信し、情報提供装置200から判定条件データを更新するためのデータを受信する機能を有する。
【0023】
次に、このような機能を有するプロジェクタ100と情報提供装置200の機能ブロックについて説明する。図2は、第1の実施例におけるプロジェクタ100と情報提供装置200の機能ブロック図である。
【0024】
プロジェクタ100は、画像信号等の種別を判定するための判定条件データ132を記憶する投写側記憶部130と、画像信号等を入力する信号入力部140と、判定条件データ132に基づき、画像信号等の種別を判定する信号判定部150と、画像信号に基づき、画像を生成する画像生成部160と、画像を投写する投写部190を含んで構成されている。
【0025】
なお、判定条件データ132は、例えば、同期信号(垂直同期信号、水平同期信号)の極性、水平走査周波数(水平同期周波数)、垂直走査周波数(垂直同期周波数)、走査方式(インターレス、プログレッシブ)、垂直ライン数等の画像信号の値の組合せと当該組合せから決定される画像信号の種別(例えば、XGA50Hz、XGA30Hz、VGA60Hz等)を示すデータである。
【0026】
また、プロジェクタ100は、信号判定部が信号の種別を適切に判定できなかった場合に判定に関する情報を示す判定情報を情報提供装置200へ向け送信するとともに、情報提供装置200から判定情報に基づく判定条件更新データを受信する投写側通信部110と、当該判定条件更新データに基づき、判定条件データ132を更新する更新部120を含んで構成されている。
【0027】
また、情報提供装置200は、プロジェクタ100から判定情報を受信するとともに、判定条件更新データをプロジェクタ100へ向け送信する提供側通信部210と、判定情報に基づき、判定条件更新データを生成するデータ生成部220と、個別データ232、機種別データ234等を記憶する提供側記憶部230を含んで構成されている。
【0028】
なお、個別データ232は、プロジェクタ100ごとのデータであり、例えば、プロジェクタ100のIPアドレス、ユーザ名等を示すデータである。また、機種別データ234は、プロジェクタ100の機種ごとのデータであり、例えば、使用可能端子(例えば、HDMI端子、DVI端子、ビデオ端子等)、入力可能な信号に関する情報(例えば、判定条件データ132で示される同期信号の情報、走査方式等)、画像信号の値の組合せから決定される画像信号の種別等を示すデータである。
【0029】
また、これらの各部の機能を実装するためのハードウェアとしては、例えば、以下のものが採用されてもよい。例えば、投写側通信部110、提供側通信部210としてはLANボード等、更新部120、信号判定部150、データ生成部220としてはCPU等、投写側記憶部130、提供側記憶部230としてはフラッシュメモリ等、信号入力部140としては画像信号入力端子等、画像生成部160としては画像処理回路等、投写部190としてはランプ、液晶パネル、液晶駆動回路、投写レンズ等が採用されてもよい。
【0030】
次に、プロジェクタ100が、画像信号を入力し、画像信号の種別を判定し、画像を投写するまでのプロジェクタ100における処理手順について説明する。図3は、第1の実施例におけるプロジェクタ100の処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
信号入力部140は、PC(Personal Computer)等の画像供給装置から画像信号(例えば、RGB信号、同期信号等。動画像信号でも静止画像信号でもよい。)を入力する(ステップP1)。
【0032】
信号判定部150は、画像信号の入力が初回(例えば、プロジェクタ100の起動時、再起動時、映像ソース切替時等)かどうかを判定する(ステップP2)。画像信号の入力が初回の場合、信号判定部150は、当該画像信号の種別が未決定かどうかを判定する(ステップP3)。
【0033】
画像信号の種別が未決定の場合、信号判定部150は、画像信号と、判定条件データ132に基づき、画像信号の種別を判定する(ステップP4)。より具体的には、信号判定部150は、例えば、同期信号(垂直同期信号、水平同期信号)の極性、水平走査周波数(水平同期周波数)、垂直走査周波数(垂直同期周波数)、走査方式(インターレス、プログレッシブ)、垂直ライン数等の画像信号の値に基づき、判定条件データ132で示されるこれらの値の組合せと当該組合せから決定される画像信号の種別を参照して画像信号の種別を決定する。
【0034】
また、信号判定部150は、画像信号の種別を適切に判定できたかどうかを判定する(ステップP5)。なお、画像信号の種別を適切に判定できたかどうかを判定する手法としては、例えば、判定条件データ132で示される条件に該当するかどうかで判定する手法、ユーザが実際に投写された画像を見て適切に表示されていないと判断した場合にリモートコントローラ等から調整指示情報等をプロジェクタ100に入力し、信号判定部150が、当該調整指示情報等に基づいて画像信号の種別を適切に判定できなかったと判定する手法等が採用されてもよい。
【0035】
画像信号の種別を適切に判定できた場合、画像生成部160は、入力された画像信号に基づき、信号判定部150によって決定された画像信号の種別に応じて画像を生成し(ステップP6)、投写部190は、当該画像を投写する(ステップP7)。
【0036】
一方、画像信号の種別を適切に判定できなかった場合、信号判定部150は、画像信号の判定に関する情報を示す判定情報を生成し、投写側通信部110は、当該判定情報を情報提供装置200へ向け送信する(ステップP8)。なお、判定情報は、例えば、同期信号の極性、水平走査周波数、垂直走査周波数、走査方式、垂直ライン数等と、判定した画像信号の種別を示す情報、プロジェクタ100の機種を示す機種情報等を含んでもよい。
【0037】
更新部120は、例えば、一定時間ごと、あるいは、起動時等に投写側通信部110が情報提供装置200から判定条件更新データを受信したかどうかを判定する(ステップP9)。なお、プロジェクタ100がステップP8の処理を実行した場合、あるいは、他のプロジェクタ100がステップP8の処理を実行した場合、情報提供装置200から判定条件更新データが送信される。
【0038】
投写側通信部110が情報提供装置200から判定条件更新データを受信した場合、更新部120は、当該判定条件更新データに基づき、判定条件データ132を更新する(ステップP10)。
【0039】
信号判定部150等は、信号入力部140による画像信号の入力が終了したかどうかを判定し(ステップP11)、プロジェクタ100は、終了していない場合はステップP1〜P11の処理を続行し、終了した場合は上述した処理を終了する。なお、画像信号の入力が初回でない場合および画像信号の種別が決定済みの場合、ステップP4、P5、P8の処理は実行されず、ステップP6以降の処理が実行される。
【0040】
次に、情報提供装置200における処理手順について説明する。図4は、第1の実施例における情報提供装置200の処理手順を示すフローチャートである。提供側通信部210は、プロジェクタ100から判定情報を受信したかどうかを判定する(ステップS1)。
【0041】
判定情報が受信された場合、データ生成部220は、判定情報に含まれる機種情報に基づき、判定情報を送信したプロジェクタ100の機種を決定する(ステップS2)。なお、機種情報は、必須ではなく、情報提供装置200は、個別データ232にプロジェクタ100ごとの機種情報を含めてもよい。
【0042】
また、データ生成部220は、プロジェクタ100の機種を決定した後、判定情報と機種別データ234に基づき、判定条件更新データを生成する(ステップS3)。なお、データ生成部220は、判定情報と機種別データ234から自動的に判定条件更新データを生成できない場合、情報提供装置200のユーザ(例えば、開発者等)の入力に応じて判定条件更新データを生成してもよい。
【0043】
提供側通信部210は、個別データ232に基づき、対象機種のプロジェクタ100へ向け判定条件更新データを送信する(ステップS4)。なお、判定条件更新データを送信する場合、提供側通信部210は、判定条件更新データの圧縮、暗号化、パケット化、分割等が行われてもよく、投写側通信部110は、これらの変形に応じて判定条件更新データを復元してもよい。
【0044】
ここで、上述した処理について、具体例を挙げてより詳細に説明する。具体的には、例えば、プロジェクタ100−1の機種が機種Tであり、プロジェクタ100−2の機種が機種Tと互換性のある機種T’であるものとする。また、各プロジェクタ100に記憶されている判定条件データ132が、水平走査周波数が50kHz未満の場合は画像信号A、水平走査周波数が50kHz以上60kHz未満の場合は画像信号B、水平走査周波数が60kHz以上の場合は画像信号Cという条件を示すものとする。なお、画像信号A〜Cは画像信号の種別を示す。
【0045】
例えば、水平走査周波数が62kHzの画像信号がプロジェクタ100−1に入力された場合、プロジェクタ100−1の信号判定部150は、判定条件データ132を参照して画像信号Cと判定し、プロジェクタ100−1の画像生成部160は画像信号Cに応じた画像処理を実行する。なお、判定条件データ132は、例えば、水平走査周波数等の入力値に関する項目と、画像信号の種別を示す項目を含むテーブル、水平走査周波数等の入力値に応じて画像信号の種別を出力するプログラム等であってもよい。
【0046】
プロジェクタ100−1が画像信号Cに応じた画像処理を実行して画像を投写したにも関わらず、実際には適切な画像が投写されず、ユーザによって調整指示が行われた場合、プロジェクタ100−1の投写側通信部110は、水平走査周波数が62kHzの画像信号を画像信号Cと判定したが適切に投写されなかったことを示す情報とプロジェクタ100−1が機種Tであることを示す情報を含む判定情報を情報提供装置200へ向け送信する。
【0047】
提供側通信部210は、判定情報を受信し、データ生成部220は、判定情報の送信元がプロジェクタ100−1であり、機種Tであることを判定する。また、データ生成部220は、判定情報に含まれる水平走査周波数等の情報と機種別データ234を参照して機種Tの場合は水平走査周波数が60kHz以上65kHz未満の場合は画像信号Dとし、水平走査周波数が65kHz以上の場合は画像信号Cと判定すべきことを決定し、これらの更新を行うための判定条件更新データを生成する。なお、判定条件更新データは、例えば、判定条件データ132がテーブルである場合、当該テーブルの一部または全部を更新するためのプログラムであってもよく、判定条件データ132がプログラムである場合、当該プログラムの一部または全部を更新するためのプログラムであってもよい。
【0048】
データ生成部220は、機種別データ234を参照して機種Tと互換性のある機種として機種T’があることを判定する。すなわち、この場合、対象機種は、機種Tと機種T’である。
【0049】
提供側通信部210は、個別データ232に基づき、機種Tに該当するプロジェクタ100(プロジェクタ100−1)のIPアドレスと、機種T’に該当するプロジェクタ100(プロジェクタ100−2)のIPアドレスを把握し、これらのIPアドレスを宛先として判定条件更新データを送信する。
【0050】
プロジェクタ100−1、100−2の投写側通信部110は、当該判定条件更新データを受信し、プロジェクタ100−1、100−2の更新部120は、当該判定条件更新データに基づき、判定条件データ132を更新する。
【0051】
これにより、プロジェクタ100−1だけでなく、プロジェクタ100−2も、水平走査周波数が62kHzの画像信号が入力された場合、画像信号Dと適切に判定することができ、画像を適切に投写することができる。
【0052】
以上のように、本実施例によれば、更新システムは、入力画像信号の種別の判定に関する情報を示す判定情報を用いて判定条件更新データを生成し、当該判定条件更新データを用いて判定条件データ132を更新することにより、信号判定用のデータを容易に更新することができる。これにより、プロジェクタ100のメーカーは、画像を適切に投写できない事態の発生や状況をより短時間で把握することができ、より迅速に適切な判定条件データ132をプロジェクタ100に提供することができる。また、これにより、ユーザは、手動で判定条件データ132を更新することなく、迅速かつ適切に画像の調整を行うことができる。
【0053】
また、本実施例によれば、プロジェクタ100は、新たな種別の画像信号を入力する場合であっても、更新した判定条件データ132を用いて当該画像信号の種別を適切に判定することができる。これにより、プロジェクタ100は、種々の画像供給装置から種々の画像信号を入力して画像を適切に投写することができる。
【0054】
また、本実施例によれば、情報提供装置200は、機種情報や機種別データ234を用いることにより、機種に応じて判定条件更新データをより効率的に生成することができる。
【0055】
また、本実施例によれば、情報提供装置200は、1台のプロジェクタ100から判定情報を受信した場合に、当該プロジェクタ100だけでなく、当該プロジェクタ100の機種と互換性のある他のプロジェクタ100に判定条件データ132を更新させることができるため、更新システム全体としてより効率的に判定条件データ132を更新することができる。これにより、プロジェクタ100は、新たな画像信号に対応する必要が生じた場合も迅速に対応することができる。
【0056】
(第2の実施例)
プロジェクタは、複数種の判定条件データを用いたり、外部の携帯型情報記憶媒体に記憶された判定条件データを用いたりしてもよい。ここでは、プロジェクタが、内部に記憶された判定条件データと、外部の携帯型情報記憶媒体に記憶された判定条件データを用いる実施例について説明する。
【0057】
図5は、第2の実施例におけるプロジェクタ101の機能ブロック図である。プロジェクタ101は、携帯型情報記憶媒体の一種であるUSBメモリ400に対する読み書きが可能なインターフェイス部170(例えば、USBインターフェイス等)を含んで構成されている。また、プロジェクタ101の有する投写側記憶部131は、初期設定用の判定条件データ133を記憶している。また、USBメモリ400は、更新可能な判定条件データ134を記憶している。
【0058】
また、プロジェクタ101の有する信号判定部151は、インターフェイス部170にUSBメモリ400が接続されていない場合は判定条件データ133を参照し、USBメモリ400が接続されている場合はインターフェイス部170を介して判定条件データ134を参照して入力信号の種別を判定する。
【0059】
また、プロジェクタ101の有する更新部121は、判定条件更新データが受信された場合、インターフェイス部170を介して判定条件データ134を更新し、判定条件データ133を更新しない。なお、これら以外のプロジェクタ101の構成は第1の実施例のプロジェクタ100の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
本実施例によれば、ユーザは、例えば、画像信号をプロジェクタ101に入力する装置ごとにUSBメモリ400を使い分けたり、USBメモリ400に入力信号の元となるデータと判定条件データ134を記憶したりすることができる。
【0061】
また、本実施例によれば、ユーザは、使用環境に応じて必要最低限のデータが記憶された判定条件データ133、134を使用できる。これにより、信号判定部151は、参照するデータ量が減るため、より迅速に判定を行うことができる上、判定条件データ134が使用環境に応じたものであるため、より正確に判定を行うことができる。
【0062】
また、本実施例によれば、初期設定用の判定条件データ133は更新されないため、プロジェクタ101は、判定条件データ134のカスタマイズを実現しつつ、初期設定での判定も行うことができる。
【0063】
また、本実施例によれば、プロジェクタ101は、USBメモリ400の有無に応じて参照先を変更することができるため、例えば、通常の信号が入力される場合は投写側記憶部131の判定条件データ133を参照し、特殊な信号が入力される場合はUSBメモリ400の判定条件データ134を参照することにより、当該特殊な信号が通常の信号と似ている場合であっても両者を適切に区別し、適切な画像を投写することができる。
【0064】
(その他の実施例)
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、判定条件データ132、133は、ファームウェアの一部としてフラッシュメモリに記憶されてもよいし、ファームウェアが記憶されたフラッシュメモリとは異なるメモリに記憶されてもよい。また、プロジェクタ101が、複数のUSBメモリ400から複数の判定条件データ134を参照可能な場合、どのUSBメモリ400を優先して使用するかを設定したり、ユーザに選択させたりしてもよい。また、更新システムは、1台のプロジェクタ100、101と情報提供装置200で構成されてもよい。
【0065】
また、更新部120、121は、ユーザの更新指示情報に基づき、判定条件データ132、134を更新してもよい。また、更新部121は、判定条件データ133も更新してもよい。例えば、更新部121は、USBメモリ400が接続されていない場合に判定条件データ133を更新してもよい。また、信号入力部140は、音声信号等の画像信号以外の信号を入力してもよく、信号判定部150は、画像信号以外の信号の種別を判定してもよい。
【0066】
また、プロジェクタ100は、液晶プロジェクタには限定されず、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を用いたプロジェクタ等であってもよい。なお、DMDは米国テキサス・インスツルメンツ社の商標である。また、プロジェクタ100の機能を複数の装置(例えば、PCとプロジェクタ等)に分散して実装してもよい。また、携帯型情報記憶媒体は、USBメモリ400には限定されず、例えば、カード型情報記憶媒体、携帯電話、ノートPC等の種々の媒体を採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施例における更新システムの全体図である。
【図2】第1の実施例におけるプロジェクタと情報提供装置の機能ブロック図である。
【図3】第1の実施例におけるプロジェクタの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施例における情報提供装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施例におけるプロジェクタの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
100 プロジェクタ、110 投写側通信部、120、121 更新部、130、131 投写側記憶部、132〜134 判定条件データ、140 信号入力部、150、151 信号判定部、160 画像生成部、170 インターフェイス部、190 投写部、200 情報提供装置、210 提供側通信部、220 データ生成部、230 提供側記憶部、232 個別データ、234 機種別データ、300 ネットワーク、400 USBメモリ(携帯型情報記憶媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定条件データに基づき、入力信号の種別を判定する信号判定部と、
前記信号判定部が前記種別を適切に判定できなかった場合に判定に関する情報を示す判定情報を情報提供装置へ向け送信するとともに、前記情報提供装置から前記判定情報に基づく判定条件更新データを受信する投写側通信部と、
前記判定条件更新データに基づき、前記判定条件データを更新する更新部と、
を含むことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記入力信号は、画像信号であって、
前記信号判定部の判定に関する情報に応じて前記画像信号に基づく画像を生成する画像生成部と、
前記画像を投写する投写部と、
を含むことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
携帯型情報記憶媒体に対する読み書きが可能なインターフェイス部を含み、
前記信号判定部は、携帯型情報記憶媒体に記憶された前記判定条件データを、前記インターフェイス部を介して参照して前記入力信号の種別を判定し、
前記更新部は、前記インターフェイス部を介して前記判定条件データを更新することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクタにおいて、
初期設定用の前記判定条件データを記憶する投写側記憶部を含み、
前記信号判定部は、前記インターフェイス部に前記携帯型情報記憶媒体が接続されている場合は前記携帯型情報記憶媒体に記憶された前記判定条件データを参照して前記入力信号の種別を判定し、前記インターフェイス部に前記携帯型情報記憶媒体が接続されていない場合は前記投写側記憶部に記憶された前記判定条件データを参照して前記入力信号の種別を判定することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
プロジェクタから当該プロジェクタの有する信号判定部の判定条件データに基づく入力信号の種別の判定に関する情報を示す判定情報を受信するとともに、前記プロジェクタへ向け前記判定情報に基づき、前記判定条件データの更新に用いられる判定条件更新データを送信する提供側通信部と、
前記判定情報に基づき、前記判定条件更新データを生成するデータ生成部と、
を含むことを特徴とする情報提供装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報提供装置において、
前記判定情報は、前記プロジェクタの機種を示す機種情報を含み、
前記データ生成部は、前記機種情報に基づき、前記機種に応じた前記判定条件更新データを生成することを特徴とする情報提供装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報提供装置において、
前記提供側通信部は、前記機種情報に基づき、前記機種と互換性のある少なくとも1台の他のプロジェクタへ向け前記判定条件更新データを送信することを特徴とする情報提供装置。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の前記プロジェクタと、
請求項5〜7のいずれかに記載の前記情報提供装置と、
を含む更新システム。
【請求項9】
少なくとも1台のプロジェクタと、情報提供装置とを用いた更新方法であって、
前記プロジェクタは、
判定条件データに基づき、入力信号の種別を判定し、
前記信号判定部が前記種別を適切に判定できなかった場合に判定に関する情報を示す判定情報を前記情報提供装置へ向け送信し、
前記情報提供装置は、
前記プロジェクタから前記判定情報を受信し、
前記判定情報に基づき、前記判定条件データの更新に用いられる前記判定条件更新データを生成し、
前記プロジェクタへ向け前記判定条件更新データを送信し、
前記プロジェクタは、
前記情報提供装置から前記判定条件更新データを受信し、
前記判定条件更新データに基づき、前記判定条件データを更新し、
更新した前記判定条件データに基づき、前記入力信号の種別を判定し、
前記種別に応じて前記入力信号に基づく処理を実行することを特徴とする更新方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−192986(P2009−192986A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35877(P2008−35877)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】