説明

プロジェクター、およびプロジェクターの制御方法

【課題】投写中の複数の画像保存データに異なるマスク処理を行い、用いるマスクパターンを切り替える処理を簡易な操作で実行するプロジェクターを提供する。
【解決手段】複数のマスクパターンを保存するマスクパターン保存部211と、画像データを保存する画像保存部213と、保存した画像データに複数のマスクパターンのうちいずれを用いるかの第1のマスク設定を記憶するマスク設定保存部212とを有し、所定の入力操作により、画像保存部213に保存された画像データを画像信号処理部3に出力するとともに、画像信号処理部3に、マスク設定保存部212に保存された第1のマスク設定を用いてマスク処理を施すべき旨の指示を出し、画像信号処理部3は、制御部20の当該指示に基づき、マスク処理を施して、画像データを出力するプロジェクター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、およびプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を投写するプロジェクターを用いてプレゼンテーションをする際、一時的に画面上の一部の領域を隠す、いわゆるマスク処理を施して投写をしたい場合がある。このような場合、マスク処理を施した画像をあらかじめ準備しておくのは多くの手間を要する。そこで、マスクパターンを生成して記憶しておき、投写する際にマスク処理を施すプロジェクターが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−102332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のマスクパターンを画面によって使い分けたい場合、例えば、複数の画面を保存しておく、いわゆる画面メモ機能を使い、画面メモごとに異なるマスクパターンを用いてマスク処理したいことがある。特許文献1の方法では、都度、マスクパターンを選択し、設定する必要があり、手間がかかる上、マスク処理前に画像メモを聴衆に見せてしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、外部機器から画像信号が入力される画像入力端子と、前記入力画像信号に基づいた画像データを生成し、出力する画像信号処理部と、光源から射出された光を前記画像データに応じて画像光に変調して投写する画像投写部と、を有するプロジェクターであって、入力操作を受け付ける入力操作部と、複数のマスクパターンを保存するマスクパターン保存部と、前記画像データを保存する画像保存部と、前記保存した画像データに前記複数のマスクパターンのうちいずれを用いるかの第1のマスク設定を記憶するマスク設定保存部と、当該プロジェクターの動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、所定の入力操作により、前記画像保存部に保存された画像データを前記画像信号処理部に出力するとともに、前記画像信号処理部に、前記マスク設定保存部に保存された前記第1のマスク設定を用いてマスク処理を施すべき旨の指示を出し、前記画像信号処理部は、前記制御部の当該指示に基づき、前記マスク処理を施して、前記画像データを出力することを特徴とする。
【0007】
本適用例によれば、保存した画像データごとに、どのマスクパターンを用いるかのマスク設定を保存し、画像データ読み出し時に、保存したマスク設定に応じたマスクパターンを施して画像データを投写することが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、前記画像入力端子を複数備え、前記複数の画像入力端子の中からいずれか1つを選択する画像入力選択部をさらに備え、前記マスク設定保存部は、選択された画像入力端子に前記複数のマスクパターンのうちいずれを用いるかの第2のマスク設定を記憶し、前記制御部は、前記入力操作部による入力切替操作に基づいて、前記画像入力選択部により、前記複数の画像入力端子のいずれか1つを選択するとともに、前記マスク設定保存部に保存された前記第2のマスク設定を用いてマスク処理を施すべき旨の指示を出し、前記画像信号処理部は、前記制御部の当該指示に基づき、前記マスク処理を施して、前記画像データを出力することを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、選択されている画像入力端子ごとに、どのマスクパターンを用いるかのマスク設定を保存し、画像入力端子切替時に、保存したマスク設定に応じたマスクパターンを施して画像入力信号を投写することが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、前記制御部は、当該プロジェクターへ入力される画像信号に基づいてマスクパターンを作成し、前記マスクパターン保存部に格納することを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、ユーザーが使用したいマスクパターンに応じた画像信号をプロジェクターに入力し、これに応じたマスクパターンを生成できるので、ユーザーが所望のマスクパターンを自由に作成することが可能となる。
【0012】
[適用例4]本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、外部機器から画像信号が入力される画像入力端子と、前記入力画像信号に基づいた画像データを生成し、出力する画像信号処理部と、光源から射出された光を前記画像データに応じて画像光に変調して投写する画像投写部と、複数のマスクパターンを保存するマスクパターン保存部と、前記画像データを保存する画像保存部と、前記保存した画像データに前記複数のマスクパターンのうちいずれを用いるかの第1のマスク設定を記憶するマスク設定保存部と、を備えたプロジェクターの制御方法であって、前記画像データを前記画像保存部に保存するメモ画像保存ステップと、前記メモ画像保存ステップにおいて保存した前記画像データに前記複数のマスクパターンのうちいずれを用いるかの第1のマスク設定を記憶する第1マスク設定ステップと、前記画像保存部に保存された画像データを前記画像信号処理部に出力するとともに、前記マスク設定保存部に保存された前記第1のマスク設定を用いて前記画像信号処理部にマスク処理を施させる第1マスクステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、保存した画像データごとに、どのマスクパターンを用いるかのマスク設定を保存し、画像データ読み出し時に、保存したマスク設定に応じたマスクパターンを施して画像データを投写することが可能となる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクターの制御方法において、前記画像入力端子を複数備え、前記画像入力端子に前記複数のマスクパターンのうちいずれを用いるかの第2のマスク設定を記憶する第2マスク設定ステップと、前記画像入力端子の中からいずれか1つを選択するとともに、前記マスク設定保存部に保存された前記第2のマスク設定を用いて前記画像信号処理部にマスク処理を施させる第2マスクステップと、をさらに有することを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、選択されている画像入力端子ごとに、どのマスクパターンを用いるかのマスク設定を保存し、画像入力端子切替時に、保存したマスク設定に応じたマスクパターンを施して画像入力信号を投写することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】プロジェクターの回路構成を示すブロック図。
【図2】マスクパターンを示す図。
【図3】マスクパターンの表示状態を示す図。
【図4】マスク設定保存部に保存されるマスク設定を示す図であり、(a)は第1マスク設定、(b)は第2マスク設定を示す図。
【図5】実施形態1のプロジェクターの動作を示すフローチャートであり、(a)は画像保存操作時の動作、(b)は画像メモ表示操作時の動作を示す。
【図6】画像マスク選択、処理時の表示画面を示す図であり、(a)はマスク処理確認メッセージ、(b)は画像メモ上書き確認メッセージ、(c)はマスクパターン選択中の表示画面、(d)はマスクパターンの表示サイズ設定時の表示画面、(e)はマスクパターンの表示位置設定時の表示画面、(f)は画像メモ呼び出し時の選択表示画面、(g)はマスク処理済みの画像メモ表示画面を示す。
【図7】変形例1のプロジェクターの動作を示すフローチャートであり、(a)はマスク処理時の動作、(b)は入力切替操作時の動作を示す。
【図8】(a)〜(c)は、変形例1の入力切替操作時の表示画面を示す図。
【図9】変形例2のマスク画像入力メニューを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態における特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のプロジェクターの回路構成を示すブロック図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、画像投写部10、制御部20、記憶部21、光源制御部22、入力操作部23、画像入力選択部5、画像入力端子6、画像信号処理部3、OSD処理部4等で構成されており、これらは図示しない筐体の内部に収容されている。
【0019】
画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R、12G、12B、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動部14等を含んでいる。画像投写部10は、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bで変調して画像光を形成し、この画像光を投写レンズ13から投写することによってスクリーンSC等に画像を表示する。
【0020】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R、12G、12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R、12G、12Bに入射する。
【0021】
液晶ライトバルブ12R、12G、12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R、12G、12Bには、マトリックス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。
液晶駆動部14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。
形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ13によってスクリーンSC等に拡大投写される。
【0022】
上記実施形態では、光源としてランプを用いて投写するプロジェクター1を例示したが、本発明は光源としてLED(Light Emitting Diode)光源やレーザー光源などを用いて投写するプロジェクターにも適用することができる。なお、上記の実施形態では、画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを用いた透過型液晶方式の投写光学系を例示したが、反射型液晶表示方式やマイクロミラーデバイス方式(ライトスイッチ表示方式)など、他の表示方式の光変調装置を採用しても良い。
【0023】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶部21に記憶されている制御プログラム(図示せず)に従って動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、記憶部21とともにコンピューターとして機能する。
【0024】
記憶部21は、図示しないフラッシュメモリーやFeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の書き換え可能な不揮発性のメモリーにより構成されている。記憶部21には、プロジェクター1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクター1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。記憶部21は本発明におけるマスクパターン保存部211、マスク設定保存部212、および画像保存部213を含む。
【0025】
入力操作部23は、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。入力操作部23が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを交互に切り替えるための電源キーや、画像入力選択部5により複数の画像入力端子6のうちいずれかの入力に切り替えるための入力切替キー、各種設定を行うための設定メニューを重畳表示させるメニューキー、メニューからユーザーが設定項目を選択するカーソルキー、決定キー、エスケープキー、また、投写中の画像を保存するメモ保存キー、保存した画像データ(以下、画像メモと称す)を表示するメモ表示キー、マスク処理を指定およびマスクパターンを選択開始させるためのマスクキー等がある。
【0026】
ユーザーが入力操作部23の各種操作キーを操作すると、入力操作部23は、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。なお、入力操作部23は、リモートコントローラー(リモコン)信号受信部(図示せず)と遠隔操作が可能なリモートコントローラー(図示せず)を有した構成としてもよい。この場合、リモートコントローラーは、使用者の操作内容に応じた赤外線等の操作信号を発し、リモコン信号受信部がこれを受信して制御情報として制御部20に伝達する。
【0027】
画像入力端子6は、複数の画像入力端子6a、6b、6cなどからなり、各画像入力端子6a、6b、6cには、ビデオ再生装置やパーソナルコンピューター等、外部の画像出力装置から、図示しないケーブルを介して画像情報が入力される。各画像入力端子6に入力された画像情報は、画像入力選択部5に供給される。
【0028】
画像入力選択部5は、複数の画像入力端子6(6a、6b、6c)のうち、制御部20の指示に基づき選択された一の画像入力端子6に入力される画像情報を画像信号処理部3に出力する。ユーザーが、入力操作部23に備わる入力切替キーを操作して所望の一の画像入力端子を指定すると、制御部20は、一の画像入力端子6に入力される画像情報が画像信号処理部3に出力されるよう、画像入力選択部5に指示をする。
【0029】
画像信号処理部3は、画像入力選択部5から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R、12G、12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素を透過し射出する光の強弱(階調)が規定される。
【0030】
OSD処理部4は、制御部20の指示に基づいて、投写画像上に、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳して表示するための処理を行う。OSD処理部4は、図示しないOSDメモリーを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。
制御部20が、OSD画像の重畳表示を指示すると、OSD処理部4は、必要なOSD画像情報をOSDメモリーから読み出し、投写画像上の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像信号処理部3から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、液晶駆動部14に出力される。
なお、制御部20からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理部4は、画像信号処理部3から入力される画像情報を、そのまま液晶駆動部14に出力する。
【0031】
液晶駆動部14は本実施形態における画像形成部であり、OSD処理部4から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R、12G、12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R、12G、12Bは、画像情報に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。
【0032】
光源制御部22は、制御部20の指示に基づいて、光源11に対する電力の供給と停止とを制御し、光源11の点灯及び消灯を切り替える。
【0033】
図2は、マスクパターン保存部211に保存されるマスクパターンを示す図であり、図3はマスクパターンの表示状態を示す図である。
図2に示すように複数の形状のマスクパターンが保存されており、これらは図3に示すように、画面上の指定位置に指定サイズ(パターンが占める矩形領域のサイズ)で表示され、マスク処理される。上述した指定位置、指定サイズ(画面上のピクセル単位)は、後述するマスク設定保存部212に設定される。
【0034】
図4は、マスク設定保存部212に保存されるマスク設定情報を示す図である。
図4(a)は画像保存部213に保存する画像データ(画像メモ)に対応する、第1マスク設定である。図4(a)の表に示すように、第1マスク設定には複数の画像メモにメモNoを配し、メモNoごとに、どのマスクパターンを用いるか(図2のマスクパターン番号)、画面上でマスク処理を行う水平位置および垂直位置、マスクパターンを表示する際の水平サイズおよび垂直サイズが保存される。なお、マスク処理を行わない場合は、設定中のマスクパターンに「マスク無し」を示す「無し」が保存される。
【0035】
次に、本実施形態のプロジェクター1の動作を図5のフローチャートを用いて説明する。
(画像保存操作)
図5(a)に示すように、プロジェクター1が画像を投写中に、入力操作部23が表示中の画像を保存する入力操作を検出した場合(ステップS101)、制御部20は画像信号処理部3により、出力される画像データ(投写中の画像)を画像保存部213に保存する(ステップS102)。なお、このステップS102がメモ画像保存ステップに相当する。
このとき、図6(a)に示すようなマスク処理をするか否かの確認メッセージを画像投写部10に投写する。なお、図5には記載していないが、画像保存部213に空き領域がない場合は図6(b)に示すような保存済み画像メモの上書き確認メッセージを画像投写部10に投写させ、更新する画像メモ領域をユーザーに選択させた上で画像データを保存する。
【0036】
ステップS103において制御部20、はマスク処理をするか否かの確認メッセージに対する応答を調べる。「マスクする」を選択した場合(ステップS103:Y)は、ステップS104に移行する。「マスク無し」を選択した場合(ステップS103:N)は、ステップS106に移行する。
【0037】
ステップS104において制御部20は、マスクパターン保存部211に保存されるマスクパターンのうちどれを用いるか、また、マスクパターンを表示する位置、マスクパターンの水平および垂直方向の表示サイズを設定する。
具体的には入力操作部23による、カーソルキー、決定キーなどの入力操作により設定を行う。図6(c)にマスクパターンの選択画面、図6(d)にマスクパターンの表示サイズ設定画面、図6(e)にマスクパターンの表示位置設定画面を示す。
上述の設定終了後、ステップS105に移行する。
【0038】
ステップS105において制御部20は、ステップS104で選択したマスクパターン、表示位置、表示サイズを、マスク設定保存部212の第1マスク設定に保存し、本フローを終了する。なお、このステップS105が第1マスク設定ステップに相当する。
第1マスク設定の保存内容は上述した図4(a)に示す。
【0039】
ステップS106において制御部20は、マスク設定保存部212の第1マスク設定にマスク無しの設定を保存し、本フローを終了する。
【0040】
(画像メモ表示操作)
図5(b)に示すように、プロジェクター1が画像を投写中に、入力操作部23が画像保存部213に保存した画像メモを表示する入力操作を検出した場合(ステップS201)、制御部20は画像投写部10に図6(f)に示す画像メモ選択メッセージを画像投写部10に投写させる。
【0041】
ステップS202において制御部20は、画像メモ選択メッセージにより表示された画像メモ一覧から入力操作部23のカーソルキー、決定キーの操作により、表示する画像メモを選択する。次に選択された画像メモに対応する第1マスク設定をマスク設定保存部212より読み出す(ステップS203)。
【0042】
ステップS204において制御部20は、ステップS203において読み出された第1マスク設定に基づき、マスク処理されているか(マスクパターンが設定されているか)否かを調べる。マスク処理されている場合(ステップS204:Y)、ステップS205に移行する。マスク処理されていない場合(ステップS204:N)、ステップS206に移行する。
【0043】
ステップS205において制御部20は、ステップS203で読み出された第1マスク設定に基づき、設定されたマスクパターンをマスクパターン保存部211から取得し、設定された位置、サイズを用いて、選択された画像メモに、画像信号処理部3によりマスク処理を施して画像投写部10に投写させ、本フローを終了する。なお、このステップS205が第1マスクステップに相当する。
図6(g)にマスク処理を施した画像メモの表示画面を示す。
【0044】
ステップS206において制御部20は、選択された画像メモを画像投写部10に投写させ(マスク処理なし)、本フローを終了する。
【0045】
(表示中画像メモにマスク)
図5(a)に示すように、プロジェクター1が画像メモを投写中(表示中)に、入力操作部23よりマスク処理をする旨の入力操作を受け付けた場合(ステップS111)、ステップS103からの処理を行う。ステップS103以降は、上述した処理に従い説明は省略する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、保存した画像メモごとに、どのマスクパターンを用いるかのマスク設定を保存し、画像メモ読み出し時に、保存したマスク設定に応じたマスクパターンを施して画像メモを投写することが可能となる。
【0047】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
(変形例1)
上述した実施形態において、画像入力選択部5により選択された画像入力端子6に複数のマスクパターンのうちいずれを用いるかの第2のマスク設定を記憶し、画像入力選択部5により、画像入力端子6を切り替えるとともに、第2のマスク設定に基づくマスク処理を施して画像を投写するようにしてもよい。
【0048】
図4(b)は画像入力選択部5により選択されている画像入力端子6に対応する、第2マスク設定である。図4(b)の表に示すように、第2マスク設定には複数の画像入力端子6ごとに、どのマスクパターンを用いるか(図2のマスクパターン番号)、画面上でマスク処理を行う水平位置、および垂直位置、マスクパターンを表示する際の水平サイズ、および垂直サイズが保存される。なお、マスク処理を行わない場合は、設定中のマスクパターン番号に「マスク無し」を示す「無し」が保存される。
【0049】
本変形例のプロジェクター1の動作を図7のフローチャートを用いて説明する。
(画像マスク操作)
図7(a)に示すように、プロジェクター1が画像を投写中に、入力操作部23が表示中の画像にマスク処理をする入力操作を検出した場合(ステップS301)、ステップS302において制御部20は、マスクパターン保存部211に保存されるマスクパターンのうちどれを用いるか、また、マスクパターンを表示する位置、マスクパターンの水平、および垂直方向の表示サイズを設定する。
具体的には入力操作部23による、カーソルキー、決定キーなどの入力操作により設定を行う。図6(c)にマスクパターンの選択画面、図6(d)にマスクパターンの表示サイズ設定画面、図6(e)にマスクパターンの表示位置設定画面を示す。上述の設定後、ステップS303に移行する。
【0050】
ステップS303において制御部20は、ステップS302で選択したマスクパターン、表示位置、表示サイズを、マスク設定保存部212の第2マスク設定の、現在選択されている画像入力端子6に対応する領域に保存し、
本フローを終了する。第2マスク設定の保存内容は上述した図5(b)に示す。
【0051】
(入力切替操作)
図7(b)に示すように、プロジェクター1が画像を投写中に、入力操作部23が画像入力端子6の切り替え操作を検出した場合(ステップS401)、制御部20は画像入力選択部5により次の画像入力端子6に切り替える(ステップS402)。
【0052】
ステップS403において制御部20は、選択された画像入力端子6に対応する第2マスク設定をマスク設定保存部212より読み出す。
【0053】
ステップS404において制御部20は、ステップS403において読み出された第2マスク設定に基づき、マスク処理されているか(マスクパターンが設定されているか)否かを調べる。マスク処理されている場合(ステップS404:Y)、ステップS405に移行する。マスク処理されていない場合(ステップS404:N)、ステップS406に移行する。
【0054】
ステップS405において制御部20は、ステップS403で読み出された第2マスク設定に基づき、設定されたマスクパターンをマスクパターン保存部211から取得し、設定された位置、サイズにより、画像信号処理部3にマスク処理を施させて画像信号を画像投写部10に投写させ、本フローを終了する。
表示の一例として、図8(a)から(c)に入力切替操作に対応する画像入力端子の切り替えおよびマスク処理済み画面を示す。
【0055】
ステップS406において制御部20は、画像信号処理部3により画像信号を画像投写部10に投写させ(マスク処理なし)、本フローを終了する。
【0056】
以上説明したように、本変形例のプロジェクター1によれば、選択されている画像入力端子6ごとに、どのマスクパターンを用いるかのマスク設定を保存し、画像入力端子切替時に、保存したマスク設定に応じたマスクパターンを施して画像入力信号を投写することが可能となる。
【0057】
(変形例2)
上述した実施形態のマスクパターンにおいては、図2に示すような複数の形状のマスクパターンが予め保存されていたが、それに替えて画像入力端子6に入力された画像信号からマスクパターンを生成し、マスクパターン保存部211に格納するようにしてもよい。
【0058】
図9はマスク画像入力メニューを示す図である。
図9に示すように、例えば、モノクロ画像パターンを画像入力端子6より入力し、マスクパターン入力メニューなどにより、表示画像中の黒表示領域をマスクパターン保存部211に格納する。
【0059】
本変形例のプロジェクター1によれば、ユーザーが使用したいマスクパターンに応じた画像信号をプロジェクター1に入力し、これに応じたマスクパターンを生成できるので、ユーザーが所望のマスクパターンを自由に作成することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1…プロジェクター、3…画像信号処理部、4…OSD処理部、5…画像入力選択部、6…画像入力端子、10…画像投写部、11…光源、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…液晶駆動部、20…制御部、21…記憶部、22…光源制御部、23…入力操作部、211…マスクパターン保存部、212…マスク設定保存部、213…画像保存部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器から画像信号が入力される画像入力端子と、
前記入力画像信号に基づいた画像データを生成し、出力する画像信号処理部と、
光源から射出された光を前記画像データに応じて画像光に変調して投写する画像投写部と、を有するプロジェクターであって、
入力操作を受け付ける入力操作部と、
複数のマスクパターンを保存するマスクパターン保存部と、
前記画像データを保存する画像保存部と、
前記保存した画像データに前記複数のマスクパターンのうちいずれを用いるかの第1のマスク設定を記憶するマスク設定保存部と、
当該プロジェクターの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、所定の入力操作により、前記画像保存部に保存された画像データを前記画像信号処理部に出力するとともに、前記画像信号処理部に、前記マスク設定保存部に保存された前記第1のマスク設定を用いてマスク処理を施すべき旨の指示を出し、
前記画像信号処理部は、前記制御部の当該指示に基づき、前記マスク処理を施して、前記画像データを出力することを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記画像入力端子を複数備え、
前記複数の画像入力端子の中からいずれか1つを選択する画像入力選択部をさらに備え、
前記マスク設定保存部は、選択された画像入力端子に前記複数のマスクパターンのうちいずれを用いるかの第2のマスク設定を記憶し、
前記制御部は、前記入力操作部による入力切替操作に基づいて、前記画像入力選択部により、前記複数の画像入力端子のいずれか1つを選択するとともに、前記マスク設定保存部に保存された前記第2のマスク設定を用いてマスク処理を施すべき旨の指示を出し、
前記画像信号処理部は、前記制御部の当該指示に基づき、前記マスク処理を施して、前記画像データを出力することを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプロジェクターであって、
前記制御部は、
当該プロジェクターへ入力される画像信号に基づいてマスクパターンを作成し、前記マスクパターン保存部に格納することを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
外部機器から画像信号が入力される画像入力端子と、
前記入力画像信号に基づいた画像データを生成し、出力する画像信号処理部と、
光源から射出された光を前記画像データに応じて画像光に変調して投写する画像投写部と、
複数のマスクパターンを保存するマスクパターン保存部と、
前記画像データを保存する画像保存部と、
前記保存した画像データに前記複数のマスクパターンのうちいずれを用いるかの第1のマスク設定を記憶するマスク設定保存部と、
を備えたプロジェクターの制御方法であって、
前記画像データを前記画像保存部に保存するメモ画像保存ステップと、
前記メモ画像保存ステップにおいて保存した前記画像データに前記複数のマスクパターンのうちいずれを用いるかの第1のマスク設定を記憶する第1マスク設定ステップと、
前記画像保存部に保存された画像データを前記画像信号処理部に出力するとともに、
前記マスク設定保存部に保存された前記第1のマスク設定を用いて前記画像信号処理部にマスク処理を施させる第1マスクステップと、
を有することを特徴とする、プロジェクターの制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクターの制御方法において、
前記画像入力端子を複数備え、
前記画像入力端子に前記複数のマスクパターンのうちいずれを用いるかの第2のマスク設定を記憶する第2マスク設定ステップと、
前記画像入力端子の中からいずれか1つを選択するとともに、前記マスク設定保存部に保存された前記第2のマスク設定を用いて前記画像信号処理部にマスク処理を施させる第2マスクステップと、
をさらに有することを特徴とする、プロジェクターの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−168365(P2012−168365A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29501(P2011−29501)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】