説明

プロジェクター、投射制御方法

【課題】起動時に、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、入力画像を投射する迄の時間を短縮させるプロジェクター、投射制御方法を提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、ランプ14と、ランプ14による光源光を利用して画像を投射する画像投射部50と、光源部の状態を表す測定結果を出力する光源状態測定部60と、画像投射部50を制御する投射画像制御部80とを備え、投射画像制御部80は、ランプ14への電力の供給後において画像投射部50に入力画像を投射させる前に入力画像と異なる所定の待機画像を投射させる時間である待機画像投射時間を、光源状態測定部60による測定結果に基づいて制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、投射制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターは、起動時から水銀ランプなどの光源が安定する迄の間の一定時間、ユーザーが投射しようとするソース画像(以下、「入力画像」とも称する)とは異なる所定の画像(以下、「待機画像」又は「マスクパターン画像」とも称する)をスクリーンに投射している(例えば、特許文献1参照)。待機画像としては、光源が安定していないときにスクリーンに表示された場合に、光源が安定していないことをユーザーが認識し難い画像を使用する。これにより、起動後にスペクトルが安定する迄に時間を要する水銀ランプなどの光源を採用しても、スペクトルが安定する迄の暫くの間は、スクリーン上には光源が安定していないことをユーザーが認識し難い待機画像が表示されるため、ユーザーに光源が安定していないことを意識させないという効果があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−145844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、起動後の一定時間、待機画像を表示するという態様では、光源のスペクトルがすぐに安定したときであっても、当該一定時間を経過する迄は起動画像が表示され、入力画像がすぐには表示されないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、起動時に、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、入力画像を投射する迄の時間を短縮させるプロジェクター、投射制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様であるプロジェクターは、光源部と、前記光源部による光源光を利用して画像を投射する画像投射部と、前記光源部の状態を表す測定結果を出力する光源状態測定部と、前記画像投射部を制御する投射画像制御部とを備え、前記投射画像制御部は、前記光源部への電力の供給後において前記画像投射部に入力画像を投射させる前に前記入力画像と異なる所定の待機画像を投射させる時間である待機画像投射時間を、前記光源状態測定部による測定結果に基づいて制御することを特徴とする。
上記構成によれば、起動時に、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、入力画像を投射する迄の時間を短縮させることができる。即ち、起動時のある時点に、光源部の状態、即ちスペクトルの安定/不安定の程度を光源状態測定部による測定結果として把握し、当該測定結果に応じて、待機画像投射時間を自動調整しているからである。つまり、スペクトルが安定する迄に時間を要するような状態を表す測定結果を得たときは、長めの待機画像投射時間を設定して、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、スペクトルが安定する迄に余り時間を要しないような状態を表す測定結果を得たときは、短めの待機画像投射時間を設定し、なるべく早く入力画像を見せることができる。
【0007】
上記プロジェクターにおいて、前記光源状態測定部は、前記光源部の温度に対応する情報を前記測定結果として出力する温度測定部を有するものであってもよい。
上記構成によれば、起動時に、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、入力画像を投射する迄の時間を短縮させることができる。なぜならば、温度測定部が測定する光源部の近傍の温度は、起動時における光源光のスペクトルの安定/不安定と相関があるため、光源部の近傍の温度からスペクトルの安定/不安定を把握することができるからである。即ち、起動時のある時点に、光源部の状態、即ちスペクトルの安定/不安定の程度を温度測定部による測定温度として把握し、当該測定温度に応じて、待機画像投射時間を自動調整しているからである。つまり、スペクトルが安定する迄に時間を要するような状態を表す測定温度であったときは、長めの待機画像投射時間を設定して、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、スペクトルが安定する迄に余り時間を要しないような状態を表す測定温度であったときは、短めの待機画像投射時間を設定し、なるべく早く入力画像を見せることができる。
【0008】
上記プロジェクターにおいて、前記光源状態測定部は、前記光源光の照度に対応する情報を前記測定結果として出力する照度測定部を有するものであってもよい。
上記構成によれば、起動時に、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、入力画像を投射する迄の時間を短縮させることができる。なぜならば、照度測定部が測定する光源光の照度は、起動時における光源光のスペクトルの安定/不安定と相関があるため、光源光の照度からスペクトルの安定/不安定を把握することができるからである。即ち、起動時のある時点に、光源部の状態、即ちスペクトルの安定/不安定の程度を照度測定部による測定照度として把握し、当該測定照度に応じて、待機画像投射時間を自動調整しているからである。つまり、スペクトルが安定する迄に時間を要するような状態を表す測定照度であったときは、長めの待機画像投射時間を設定して、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、スペクトルが安定する迄に余り時間を要しないような状態を表す測定照度であったときは、短めの待機画像投射時間を設定し、なるべく早く入力画像を見せることができる。
【0009】
上記プロジェクターにおいて、前記投射画像制御部は、前記測定結果が基準値未満であった場合、所定の第1の待機画像投射時間を経過する迄、前記画像投射部に前記待機画像を投射させ、前記測定結果が基準値以上であった場合、前記第1の待機画像投射時間よりも短い所定の第2の待機画像投射時間を経過する迄、前記画像投射部に前記待機画像を投射させるようにしてもよい。
上記構成によれば、起動時に、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、入力画像を投射する迄の時間を短縮させることができる。なぜならば、スペクトルが安定する前のある時刻の光源部の状態を表す基準値と、当該基準値においてスペクトルが安定する迄に要する基準時間(第1の待機画像投射時間)とを保持しておき、例えば、光源状態測定部による測定結果が上記基準値未満であれば、上記基準時間を待機画像投射時間とし、測定結果が上記基準値以上であれば、上記基準時間未満の時間(第2の待機画像投射時間)を待機画像投射時間とすることができるからである。例えば、基準測定温度/基準測定照度よりも低い測定温度/測定照度であったときは、第1の待機画像投射時間を設定して、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、基準測定温度/基準測定照度よりも高い測定温度/測定照度であったときは、第2の待機画像投射時間を設定し、なるべく早く入力画像を見せることができる。
【0010】
上記プロジェクターにおいて、前記投射画像制御部は、前記測定結果が基準値未満である間、前記画像投射部に前記待機画像を投射させるようにしてもよい。
上記構成によれば、起動時に、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、入力画像を投射する迄の時間を短縮させることができる。なぜならば、スペクトルが安定しているときの光源部の状態を表す基準値を保持しておき、光源状態測定部による測定結果が上記基準値未満である間は、待機画像を表示して、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、測定結果が基準値以上になってスペクトルが安定したときに、待機画像の表示を止めるため、なるべく早く入力画像を見せることができるからである。例えば、測定温度/測定照度が基準測定温度/基準測定照度未満である間は、待機画像を表示して、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、測定温度/測定照度が基準値以上になってスペクトルが安定したときに、待機画像の表示を止めるため、なるべく早く入力画像を見せることができる。
【0011】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様である投射制御方法は、光源部と前記光源部による光源光を利用して画像を投射する画像投射部とを備えるプロジェクターにおける投射制御方法であって、前記プロジェクターの光源状態測定手段が、前記光源部の状態を測定して測定結果を出力し、前記プロジェクターの投射画像制御手段が、前記光源部への電力の供給後において前記画像投射部に入力画像を投射させる前に前記入力画像と異なる所定の待機画像を投射させる時間である待機画像投射時間を、前記測定結果に基づいて制御することを特徴とする。
上記構成によれば、上述した本発明の一態様であるプロジェクターと同様、投射画像制御部は、光源状態測定部によって測定された測定結果に基づいて待機画像投射時間を制御するため、起動時に、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、なるべく早く入力画像を見せることができる。
【0012】
上記投射制御方法において、前記測定結果は、前記光源部の温度に対応する情報であってもよい。
上記構成によれば、上述した本発明の一態様であるプロジェクターと同様、スペクトルが安定する迄に時間を要するような状態を表す測定温度であったときは、長めの待機画像投射時間を設定して、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、スペクトルが安定する迄に余り時間を要しないような状態を表す測定温度であったときは、短めの待機画像投射時間を設定し、なるべく早く入力画像を見せることができる。
【0013】
上記投射制御方法において、前記測定結果は、前記光源光の照度に対応する情報であってもよい。
上記構成によれば、上述した本発明の一態様であるプロジェクターと同様、スペクトルが安定する迄に時間を要するような状態を表す測定照度であったときは、長めの待機画像投射時間を設定して、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、スペクトルが安定する迄に余り時間を要しないような状態を表す測定照度であったときは、短めの待機画像投射時間を設定し、なるべく早く入力画像を見せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプロジェクターの概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るプロジェクターの機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るプロジェクターの動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るプロジェクターの他の動作の例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るプロジェクターの他の動作の例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るプロジェクターの概略構成図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るプロジェクターの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るプロジェクターの概略構成図である。
【0016】
図1に示すように、第1の実施形態に係るプロジェクター1は、照明部10、画像投射部50、光源状態測定部60、ランプ駆動回路70、投射画像制御部80を有する。光源状態測定部60は、温度センサー62(温度測定部)を有する。
【0017】
照明部10は、光源部11、第1フライアイレンズ12、第2フライアイレンズ13を有する。光源部11は、高圧水銀ランプ或いはメタルハライドランプ等からなるランプ14と、ランプ14の光を反射するリフレクター15とから構成されている。各フライアイレンズ12、13は、複数のレンズ16、17から構成されている。各フライアイレンズ12、13は、光源光の照度分布を被照明領域である透過型液晶ライトバルブ30〜32(後述)において均一化させるための均一照明手段として機能する。
【0018】
画像投射部50は、色分離合成部20と投射光学系40とから構成され、光源部11による光源光を利用して画像をスクリーン9に投射する。
【0019】
色分離合成部20は、ダイクロイックミラー21、22、反射ミラー23〜25、リレーレンズ26〜28、R(赤)、G(緑)、B(青)の異なる色毎に透過型液晶ライトバルブ(光変調装置)30〜32、クロスダイクロイックプリズム33を有する。光源部11から射出された光は、フライアイレンズ12、13によって被照明領域である透過型液晶ライトバルブ30〜32において照度分布を均一化される。
【0020】
ダイクロイックミラー21、22は、例えばガラス表面に誘電体多層膜を積層したもので、所定の色光を選択的に反射し、それ以外の波長の光を透過するようになっている。すなわち、青色光・緑色光反射のダイクロイックミラー21は、光源部11からの光束のうちの赤色光LRを透過させるとともに、青色光LBと緑色光LGとを反射するようになっている。また、緑色光反射のダイクロイックミラー22は、ダイクロイックミラー21で反射された青色光LBと緑色光LGの内、青色光LBを透過し緑色光LGを反射するようになっている。
【0021】
これにより、照明部10から入射された光の内、赤色光LRはダイクロイックミラー21を透過した後、反射ミラー25で反射され、赤色光用透過型液晶ライトバルブ30に入射される。緑色光LGは、ダイクロイックミラー22で反射されて緑色光用透過型液晶ライトバルブ31に入射される。青色光LBは、ダイクロイックミラー22を透過した後、リレーレンズ26、反射ミラー23、リレーレンズ27、反射ミラー24、リレーレンズ28からなるリレー系29を経て、青色光用透過型液晶ライトバルブ32に入射されるようになっている。
【0022】
透過型液晶ライトバルブ30〜32は、例えばアクティブマトリクス型の透過型液晶装置として構成され、信号処理された映像信号に基づいて駆動されるようになっている。そして、各透過型液晶ライトバルブ30〜32で変調された色光LR、LG、LBは、クロスダイクロイックプリズム33に入射されるようになっている。
【0023】
クロスダイクロイックプリズム33は、直角プリズムが貼り合わされた構造となっており、その内面に赤色光LRを反射するミラー面と青色光LBを反射するミラー面とが十字状に形成されている。そして、三つの色光LR、LG、LBがこれらのミラー面によって合成されてカラー画像を表わす光が形成された後、投射レンズ48によりスクリーン9上に拡大投射されるようになっている。つまり、画像投射部50は、光源部11による光源光を利用して画像をスクリーンに投射する。
【0024】
投射光学系40は、投射レンズ48を有する。光源部の状態を表す測定結果を出力する。光源状態測定部60は、光源部11の状態(スペクトルの安定/不安定の程度)を表す測定結果を出力する。より詳細には、光源状態測定部60が有する温度センサー62が、測定結果として、光源部11の温度に対応する情報を出力する。より詳細には、温度センサー62は、光源部11の温度に対応する情報として、光源部11の近傍の温度を測定し、測定温度を出力する。ランプ駆動回路70は、ランプ14を駆動させる。投射画像制御部80については、図2を用いて説明する。
【0025】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るプロジェクターの機能ブロック図である。図2の破線枠内は、照明部10及び画像投射部50のうちの一部を示している。図2に示すように、投射画像制御部80は、CPU82、OSD生成回路84、スイッチ85及びパネル駆動回路86を備え、画像投射部50を制御する。具体的には、投射画像制御部80は、待機画像(マスクパターン画像)を投射させる時間である待機画像投射時間を、温度センサー62による光源部11の近傍の温度の測定結果(測定値)に基づいて制御する。待機画像とは、光源部11(ランプ14)への電力の供給後であって入力画像をスクリーン9に投射する前に、スクリーン9に投射する入力画像とは異なる画像である。
【0026】
以下、詳細に説明する。OSD生成回路84は、CPU82の制御(詳細は後述)に従って、所定の待機画像を生成する。例えば、OSD生成回路84が生成する待機画像は、スクリーン9に投射されたときに光源が安定していないことをユーザーが認識し難い画像であって、例えば、黒色若しくは黒色に近い濃色の背景色の画像が好ましい。なお、一例として、図2に、黒背景に「START」の文字を配した待機画像を示している。OSD生成回路84は、CPU82の制御(詳細は後述)に従って、生成した待機画像を、スイッチ85を介してパネル駆動回路86に供給する。
【0027】
スイッチ85は、CPU82の制御(詳細は後述)に従って、投射画像制御部80の外部から供給された入力画像と、OSD生成回路84から供給された待機画像とを切り替えて、パネル駆動回路86に供給する。
【0028】
パネル駆動回路86は、CPU82の制御(詳細は後述)に従ってOSD生成回路84からスイッチ85を介して供給された待機画像、又は、外部からスイッチ85を介して供給された入力画像を透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力する。なお、透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力された待機画像又は入力画像は、光源部11による光源光を利用して、画像投射部50によってスクリーン9に投射される。
【0029】
CPU82は、上述の如く、投射画像制御部80が備えるCPU82以外の他の回路(OSD生成回路84、スイッチ85及びパネル駆動回路86)を制御する。また、CPU82は、ランプ駆動回路80を制御する。また、CPU82は、温度センサー62から上述の測定結果を取得する。
【0030】
具体的には、CPU82は、プロジェクター1の電源起動時に、まず、OSD生成回路84に待機画像を生成するように命令する。CPU82は、OSD生成回路84から供給される待機画像をパネル駆動回路86に供給するようにスイッチ85に命令する。CPU82は、待機画像を透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力するようにパネル駆動回路86に命令する。CPU82は、ランプ駆動回路80に起動信号を送信してランプ14を点燈させる。これにより、透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力された待機画像は、画像投射部50によってスクリーン9に投射される。
【0031】
続いて、CPU82は、光源部11の近傍の温度の測定結果を温度センサー62から取得する。CPU82は、温度センサー62から取得した測定結果が基準値(閾値)未満であった場合、所定の第1の待機画像投射時間を経過する迄、画像投射部50に待機画像を投射させる。換言すれば、CPU82は、上記測定結果が基準値未満であった場合、第1の待機画像投射時間の経過後に、外部から供給される入力画像をパネル駆動回路86に供給するようにスイッチ85に命令するとともに、入力画像を透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力するようにパネル駆動回路86に命令する。
【0032】
一方、CPU82は、上記測定結果が基準値以上であった場合、第1の待機画像投射時間よりも短い所定の第2の待機画像投射時間を経過する迄、画像投射部50に待機画像を投射させる。換言すれば、CPU82は、上記測定結果が基準値以上であった場合、第1の待機画像投射時間よりも短い第2の待機画像投射時間の経過後に、外部から供給される入力画像をパネル駆動回路86に供給するようにスイッチ85に命令するとともに、入力画像を透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力するようにパネル駆動回路86に命令する。
【0033】
つまり、CPU82は、測定温度と、ランプ14が安定する迄に時間が掛かると判定するための予め定めた基準温度とを比較し、測定温度<基準温度であったときは、即ち、ランプ14が安定する迄に時間が掛かると判定したときは、ランプ14が安定する迄に要する時間として予め定めた長めの待機画像投射時間(第1の待機画像投射時間)の経過時に待機画像の投射を解除し、入力画像をスクリーン9に投射させるようにし、測定温度≧基準温度であったときは、即ち、ランプ14が安定する迄に時間が掛からないと判定したときは、ランプ14が安定する迄に要する時間として予め定めた短めの待機画像投射時間(第2の待機画像投射時間)の経過時に待機画像の投射を解除し、入力画像をスクリーン9に投射させるようにしている。なお、第2の待機画像投射時間は、第1の待機画像投射時間よりも短い時間である。
【0034】
以下、図3を用いてプロジェクター1の動作を説明する。図3は、プロジェクター1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図3に示すフローチャートは、プロジェクター1の電源起動時に開始する。
【0035】
図3において、CPU82は、OSD生成回路84にマスクパターン画像を生成するように命令するとともに、スイッチ85にOSD生成回路84から供給されるマスクパターン画像をパネル駆動回路86に供給するように命令する。また、CPU82は、CPU82は、パネル駆動回路86にマスクパターン画像を透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力するように命令する。これにより、パネル駆動回路86は、マスクパターン画像を透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力する(ステップS10)。
【0036】
続いて、CPU82は、ランプ駆動回路80に起動信号を送信してランプ14を点燈させる(ステップS12)。これにより、画像投射部50は、透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力されたマスクパターン画像をスクリーン9に投射する。
【0037】
続いて、光源状態測定部60は、光源部11の状態を測定する(ステップS14)。光源状態測定部60は、測定結果をCPU82に出力する。CPU82は、光源状態測定部60から取得した測定結果が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS16)。
【0038】
ステップS16において、CPU82は、光源状態測定部60から取得した測定結果が閾値以上でないと判断した場合(ステップS16:No)、予め設定しておいた第1の待機画像投射時間を経過したか否かを判断する(ステップS18)。CPU82は、第1の待機画像投射時間を経過したと判断した場合(ステップS18:Yes)、ステップS24に進む。一方、CPU82は、第1の待機画像投射時間を経過していないと判断した場合(ステップS18:No)、第1の待機画像投射時間を経過したと判断する迄、ステップS18を繰り返す。
【0039】
一方、ステップS16において、CPU82は、光源状態測定部60から取得した測定結果が閾値以上であると判断した場合(ステップS16:Yes)、予め設定しておいた第2の待機画像投射時間を経過したか否かを判断する(ステップS20)。CPU82は、第2の待機画像投射時間を経過したと判断した場合(ステップS20:Yes)、ステップS24に進む。一方、CPU82は、第2の待機画像投射時間を経過していないと判断した場合(ステップS20:No)、第2の待機画像投射時間を経過したと判断する迄、ステップS20を繰り返す。
【0040】
ステップS18(Yes)又はステップS20(Yes)に続いて、CPU82は、外部から供給される入力画像をパネル駆動回路86に供給するようにスイッチ85に命令するとともに、入力画像を透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力するようにパネル駆動回路86に命令する。これにより、パネル駆動回路86は、マスクパターン画像に代えて入力画像を透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力する(ステップS24)。これにより、画像投射部50は、マスクパターン画像に代えて入力画像をスクリーン9に投射する。そして、図3に示すフローチャートは終了する。
【0041】
なお、図3に示すフローチャートは、光源部11の状態の測定前に長さの異なる待機画像投射時間(第1の待機画像投射時間及び第2の待機画像投射時間)を設定しておいて、その後の測定結果に基づいて、マスクパターン画像の投射を解除するタイミングとして実際に参照する一方の待機画像投射時間を決定するという態様を示すものであるが、測定前には待機画像投射時間を設定することなく、測定後に測定結果に基づいて、何れかの待機画像投射時間(第1の待機画像投射時間及び第2の待機画像投射時間)を設定する態様としてもよい。
【0042】
図4は、プロジェクター1の他の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図4に示すフローチャートは、光源部11の状態の測定後に測定結果に基づいて、何れかの待機画像投射時間(第1の待機画像投射時間及び第2の待機画像投射時間)を設定する態様を示すものである。なお、図4に示すステップS110、S112、S114、S116、S124は、図3に示すステップS10、S12、S14、S16、S24と同一であるため、説明の一部又は全部を省略する。
【0043】
図4のステップS116において、CPU82は、光源状態測定部60から取得した測定結果が閾値以上でないと判断した場合(ステップS116:No)、第1の待機画像投射時間を設定する(ステップS118)。一方、ステップS116において、CPU82は、光源状態測定部60から取得した測定結果が閾値以上であると判断した場合(ステップS116:Yes)、第2の待機画像投射時間を設定する(ステップS120)。
【0044】
ステップS118又はステップS120に続いて、CPU82は、設定した夫々の待機画像投射時間(第1の待機画像投射時間又は第2の待機画像投射時間)を経過したか否かを判断する(ステップS122)。CPU82は、設定した夫々の待機画像投射時間を経過していないと判断した場合(ステップS122:No)、設定した夫々の待機画像投射時間を経過したと判断する迄、ステップS122を繰り返す。一方、CPU82は、設定した夫々の待機画像投射時間を経過したと判断した場合(ステップS122:Yes)、ステップS124を実行し、図4に示すフローチャートは終了する。
【0045】
なお、図3、図4に示すフローチャートは、長さの異なる2個の待機画像投射時間及び1個の閾値を用いるという態様を示しているが、長さの異なるN個(N≧3)の待機画像投射時間及び(N−1)個の閾値を用いる態様としてもよい。具体的には、図3に示すフローチャートの態様の場合、例えば、4個の待機画像投射時間(待機画像投射時間A>待機画像投射時間B>待機画像投射時間C>待機画像投射時間D)及び3個の閾値(閾値a<閾値b<閾値c)を設定しておいて、測定結果<閾値aであったときは待機画像投射時間Aを決定し、閾値a≦測定結果<閾値bであったときは待機画像投射時間Bを決定し、閾値b≦測定結果<閾値cであったときは待機画像投射時間Cを決定し、閾値c≦測定結果であったときは待機画像投射時間Dを決定する。また、図4に示すフローチャートの態様の場合、例えば、測定結果<閾値aであったときは待機画像投射時間Aを設定し、閾値a≦測定結果<閾値bであったときは待機画像投射時間Bを設定し、閾値b≦測定結果<閾値cであったときは待機画像投射時間Cを設定し、閾値c≦測定結果であったときは待機画像投射時間Dを設定する。
【0046】
なお、図3、図4に示すフローチャートは、決定又は設定した待機画像投射時間が経過したか否かを判断し、マスクパターン画像の投射を解除するタイミングを判断する態様を示しているが、測定結果が閾値未満であるか否かを判断し、マスクパターン画像の投射を解除するタイミングを判断してもよい。即ち、測定結果が閾値未満である間、画像投射部50にマスクパターン画像を投射させるようにしてもよい。つまり、光源部11の状態を常にモニターするようにして、閾値以上になる迄、マスクパターン画像を投射し続けるようにしてもよい。
【0047】
図5は、プロジェクター1の他の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図5に示すフローチャートは、光源部11の状態を常にモニターする態様を示すものである。なお、図5に示すステップS210、S212、S214、S224は、図3に示すステップS10、S12、S14、S24と同一であるため、説明の一部又は全部を省略する。
【0048】
図5のステップS216において、CPU82は、測定結果が閾値未満であると判断した場合(ステップS216:No)、測定結果が閾値以上であると判断する迄、ステップS216を繰り返す。一方、CPU82は、測定結果が閾値以上であると判断した場合(ステップS216:Yes)、ステップS224を実行し、図5に示すフローチャートは終了する。
【0049】
なお、光源状態測定部60は温度センサー62を有するため、より詳細には、図3〜図5に示すフローチャートのステップS14、S114、S214において、温度センサー62が、光源部11の状態として光源部11の近傍の温度を測定し(ステップS14、S114、S214)、ステップS16、S116、S216において、CPU82は、温度センサー62から取得した測定温度が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS16、S116、S216)。
【0050】
以上のように、第1の実施形態によるプロジェクター1によれば、起動時に、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、なるべく早く入力画像を見せることができる。起動時のある時点に、光源部の状態、即ちスペクトルの安定/不安定の程度を光源状態測定部60による測定結果として把握し、当該測定結果に応じて、待機画像投射時間を自動調整しているからである。即ち、プロジェクター1によれば、例えば、測定結果が閾値(基準値)未満であって、スペクトルが安定する迄に時間を要するようなときは、長めの待機画像投射時間(第1の待機画像投射時間)を設定して、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、測定結果が閾値以上であって、スペクトルが安定する迄に時間を余り要しないようなときは、短めの待機画像投射時間(第2の待機画像投射時間)を設定しているため、なるべく早く入力画像を見せることができる。
【0051】
なお、光源状態測定部60が有する温度センサー62は、光源部11の近傍の温度を測定すると説明したが、温度センサー62の測定対象は、起動時における光源光のスペクトルの安定/不安定と相関がある温度であればよい。
【0052】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係るプロジェクターの概略構成図である。
【0053】
図6に示すように、第2の実施形態に係るプロジェクター2は、照明部10、画像投射部50、光源状態測定部61、ランプ駆動回路70、投射画像制御部81を有する。光源状態測定部61は、照度センサー63(照度測定部)を有する。
【0054】
光源状態測定部61は、光源部11の状態(スペクトルの安定/不安定の程度)を表す測定結果を出力する。より詳細には、光源状態測定部61が有する照度センサー63が、測定結果として、光源光の照度に対応する情報を出力する。より詳細には、照度センサー63は、光源光の照度に対応する情報として、光源部11による光源光の照度を測定し、測定照度を出力する。例えば、照度センサー63は、図6に示すように、第2フライアイレンズ13とダイクロイックミラー21との間において、ダイクロイックミラー21に入射する光の照度を測定する。投射画像制御部81については、図7を用いて説明する。なお、照明部10、画像投射部50及びランプ駆動回路70については、第1の実施形態に係るプロジェクター1と同様であるため説明を省略する。
【0055】
図7は、本発明の第2の実施形態に係るプロジェクターの機能ブロック図である。図7の破線枠内は、照明部10及び画像投射部50のうちの一部を示している。図7に示すように、投射画像制御部81は、CPU83、OSD生成回路84、スイッチ85及びパネル駆動回路86を備え、画像投射部50を制御する。具体的には、投射画像制御部81は、光源部11(ランプ14)への電力の供給後において画像投射部50に入力画像を投射させる前に入力画像と異なる所定の待機画像(マスクパターン画像)を投射させる時間である待機画像投射時間を、照度センサー63による光源部11による光源光の照度の測定結果に基づいて制御する。なお、OSD生成回路84、スイッチ85及びパネル駆動回路86については、第1の実施形態に係るプロジェクター1と同様であるため説明を省略する。
【0056】
CPU83は、投射画像制御部81が備える他の回路(OSD生成回路84、スイッチ85及びパネル駆動回路86)を制御する。また、CPU83は、ランプ駆動回路80を制御する。また、CPU83は、照度センサー63から上述の測定結果を取得する。
【0057】
具体的には、CPU83は、プロジェクター1の電源起動時に、まず、OSD生成回路84に待機画像を生成するように命令する。CPU83は、スイッチ85にOSD生成回路84から供給される待機画像をパネル駆動回路86に供給するように命令する。CPU83は、パネル駆動回路86に待機画像を透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力するように命令する。CPU83は、ランプ駆動回路80に起動信号を送信してランプ14を点燈させる。これにより、透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力された待機画像は、画像投射部50によってスクリーン9に投射される。
【0058】
続いて、CPU83は、光源部11による光源光の照度の測定結果を照度センサー63から取得する。CPU83は、照度センサー63から取得した測定結果が基準値(閾値)未満であった場合、所定の第1の待機画像投射時間を経過する迄、画像投射部50に待機画像を投射させる。換言すれば、CPU83は、上記測定結果が基準値未満であった場合、第1の待機画像投射時間の経過後に、外部から供給される入力画像をパネル駆動回路86に供給するようにスイッチ85に命令するとともに、入力画像を透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力するようにパネル駆動回路86に命令する。
【0059】
一方、CPU83は、上記測定結果が基準値以上であった場合、第1の待機画像投射時間よりも短い所定の第2の待機画像投射時間を経過する迄、画像投射部50に待機画像を投射させる。換言すれば、CPU83は、上記測定結果が基準値以上であった場合、第1の待機画像投射時間よりも短い第2の待機画像投射時間の経過後に、外部から供給される入力画像をパネル駆動回路86に供給するようにスイッチ85に命令するとともに、入力画像を透過型液晶ライトバルブ30〜32に出力するようにパネル駆動回路86に命令する。
【0060】
つまり、CPU83は、測定照度と、ランプ14が安定する迄に時間が掛かると判定するための予め定めた基準照度とを比較し、測定照度<基準照度であったときは、即ち、ランプ14が安定する迄に時間が掛かると判定したときは、ランプ14が安定する迄に要する時間として予め定めた長めの待機画像投射時間(第1の待機画像投射時間)の経過時に待機画像の投射を解除し、入力画像をスクリーン9に投射させるようにし、測定照度≧基準照度であったときは、即ち、ランプ14が安定する迄に時間が掛からないと判定したときは、ランプ14が安定する迄に要する時間として予め定めた短めの待機画像投射時間(第2の待機画像投射時間)の経過時に待機画像の投射を解除し、入力画像をスクリーン9に投射させるようにしている。
【0061】
なお、プロジェクター2の動作は、図3〜図5に示した第1の実施形態に係るプロジェクター1と同様であるため説明を省略する。即ち、プロジェクター1のCPU82は、光源状態測定部60から光源部11の状態を表す測定結果を取得し、測定結果に応じて待機画像投射時間を制御する動作であるのに対し、プロジェクター2のCPU83は、光源状態測定部61から光源部11の状態を表す測定結果を取得し、測定結果に応じて待機画像投射時間を制御する動作である点が相違し、他の動作は、図3〜図5に示した第1の実施形態に係るプロジェクター1と同様である。つまり、プロジェクター1のCPU82は、温度センサー62から光源部11の近傍の測定温度を取得し、測定温度に応じて待機画像投射時間を制御する動作であるのに対し、プロジェクター2のCPU83は、照度センサー63から光源部11による光源光の測定照度を取得し、測定照度に応じて待機画像投射時間を制御する動作である点が相違し、他の動作は、図3〜図5に示した第1の実施形態に係るプロジェクター1と同様である。
【0062】
以上のように、第2の実施形態によるプロジェクター2によれば、起動時に、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、なるべく早く入力画像を見せることができる。なぜならば、照度センサー63が測定する光源光の照度は、起動時における光源光のスペクトルの安定/不安定と相関があるため、光源光の照度からスペクトルの安定/不安定を把握することができるからである。即ち、プロジェクター2によれば、例えば、測定照度が基準照度(基準値)未満であって、スペクトルが安定する迄に時間を要するようなときは、長めの待機画像投射時間(第1の待機画像投射時間)を設定して、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、測定照度が基準照度以上であって、スペクトルが安定する迄に時間を余り要しないようなときは、短めの待機画像投射時間(第2の待機画像投射時間)を設定しているため、なるべく早く入力画像を見せることができる。
【0063】
なお、照度センサー63が照度測定する場所において、予め、測定照度とスペクトルの状態との関係を確認しておき、例えば、スペクトルが未だ安定していないときのある基準照度と、当該基準照度のときにスペクトルが安定する迄に要する基準時間とを保持しておき、投射画像制御部81(CPU83)は、照度センサー63による測定照度が上記基準照度未満であれば、上記基準時間又は上記基準時間以上の時間を第1の待機画像投射時間とし、照度センサー63による測定照度が上記基準照度以上であれば、上記基準時間未満の時間を第2の待機画像投射時間とするように、第1及び第2の待機画像投射時間を決めてもよい。
【0064】
なお、第2の実施形態では、照度センサー63は、ダイクロイックミラー21の前の位置において、ダイクロイックミラー21に入射する光の照度を測定すると説明したが、照度センサー63の配置場所又は測定する光はこれに限定されない。即ち、照度センサー63の測定対象は、起動時における光源光のスペクトルの安定/不安定と相関がある光であればよく、例えば、図6において位置Pにおいて、ダイクロイックミラー22を透過した青色光LBの照度を測定してもよい。なお、ランプ14が水銀ランプである場合、起動時に、青色光LBは、赤色光LR及び緑色光LGに比べ、弱い若しくは不安定であるため、起動時のランプ14の安定/不安定を確認するときには、青色光LBの照度を測定するのも有効である。なお、照度センサー63の前にフィルターを設けることによって、位置Pではなく、実施形態に示したダイクロイックミラー21の前の位置にて、青色光の照度を測定してもよい。但し、上述の如く、照度センサー63の測定対象は、起動時における光源光のスペクトルの安定/不安定と相関がある光であればよく、色分離合成部20の構成に応じて、ダイクロイックミラー21に入射する光、赤色光LR、緑色光LGなどの光を測定してもよい。
【0065】
以上のように、第1の実施形態によるプロジェクター1、又は、第2の実施形態によるプロジェクター2によれば、起動時に、光源が安定していないことをユーザーに意識させないようにしつつ、なるべく早く入力画像を見せることができる。換言すれば、プロジェクター1(又はプロジェクター2)によれば、ランプ14の安定が遅くなりそうなときは、光源が安定していないことをユーザーが認識し難い画像を見せるため、いたずらにユーザーに不安を抱かせるとがなく、一方、ランプ14の安定が早くなりそうなときは、ユーザーに早く入力画像を見せることができるため、ユーザーの利便性が向上する。
【0066】
なお、第1の実施形態によるプロジェクター1、及び、第2の実施形態によるプロジェクター2において、測定結果と比較する基準値は、予め、測定温度(又は測定照度)とスペクトルの状態との関係を確認しておき、スペクトルが未だ安定していないときのある基準温度(基準照度)として決定(保持)すると説明したが、ランプ14の光源光のスペクトルは、使用時間に応じて経時的に変化するため、当該決定した基準値をプロジェクター1(又はプロジェクター2)の使用時間に応じて補正してもよい。
【0067】
例えば、プロジェクター2において、総稼働時間に応じた補正値を示す補正テーブルを保持させておくとともに、プロジェクター2では総稼働時間を管理(計上及び記憶)し、照度センサー63から取得した測定結果(測定照度)と、基準値(基準照度)と、上記補正テーブルと、現在の総稼働時間とに基づいて、測定照度<基準照度(補正後)であったときは、第1の待機画像投射時間の経過時に待機画像の投射を解除し、測定照度≧基準照度(補正後)であったときは、第2の待機画像投射時間の経過時に待機画像の投射を解除し、入力画像をスクリーン9に投射させるようにしてもよい。なお、上記基準照度(補正後)は、現在の総稼働時間に応じた補正値を補正テーブルから読み出して、基準値(基準照度)に補正値を反映させたものである。なお、プロジェクター1においても同様に、測定温度<基準温度(補正後)であったときは、第1の待機画像投射時間の経過時に待機画像の投射を解除し、測定温度≧基準温度(補正後)であったときは、第2の待機画像投射時間の経過時に待機画像の投射を解除し、入力画像をスクリーン9に投射させるようにしてもよい。
【0068】
なお、第1の実施形態によるプロジェクター1は光源部11の近傍の温度を測定し、第2の実施形態によるプロジェクター2は光源部11による光源光の照度を測定し、それぞれ、測定温度、測定照度に応じて待機画像投射時間を制御したが、測定温度および測定照度を測定し、測定温度および測定照度に応じて待機画像投射時間を制御してもよい。つまり、光源状態測定部は、温度センサー62および照度センサー63の両方を有するものであってもよい。
【0069】
なお、本発明の実施形態では、透過型の液晶ライトバルブ30〜32を光変調装置として利用するプロジェクター1、2を例示したが、本発明を限定するものではなく、光変調装置として反射型の液晶ライトバルブを採用することができる。また、色分離合成部は、採用する光変調装置の種類に応じて適宜構成することができる。さらに、光変調装置の数は3個に限らず、1個以上の光変調装置を用いて画像投写部を構成してもよい。
【0070】
なお、本発明の実施形態によるプロジェクター1、2の各処理を実行するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することにより、本発明の実施形態によるプロジェクター1、2に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピューターシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリー等の書き込み可能な不揮発性メモリー、CD−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0071】
さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0072】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1、2…プロジェクター、9…スクリーン、10…照明部、11…光源部、12…第1フライアイレンズ、13…第2フライアイレンズ、14…ランプ、15…リフレクター、16、17…レンズ、20…色分離合成部、21、22…ダイクロイックミラー、23、24、25…反射ミラー、26、27、28…リレーレンズ、29…リレー系、30…赤色光用透過型液晶ライトバルブ、31…緑色光用透過型液晶ライトバルブ、32…青色光用透過型液晶ライトバルブ、33…クロスダイクロイックプリズム、40…投射光学系、48…投射レンズ、50…画像投射部、60、61…光源状態測定部、62…温度センサー(温度測定部)、63…照度センサー(照度測定部)、70…パネル駆動回路、80、81…投射画像制御部、82、83…CPU、84…OSD生成回路、85…スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
前記光源部による光源光を利用して画像を投射する画像投射部と、
前記光源部の状態を表す測定結果を出力する光源状態測定部と、
前記画像投射部を制御する投射画像制御部と
を備え、
前記投射画像制御部は、
前記光源部への電力の供給後において前記画像投射部に入力画像を投射させる前に前記入力画像と異なる所定の待機画像を投射させる時間である待機画像投射時間を、前記光源状態測定部による測定結果に基づいて制御することを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記光源状態測定部は、前記光源部の温度に対応する情報を前記測定結果として出力する温度測定部を有することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記光源状態測定部は、前記光源光の照度に対応する情報を前記測定結果として出力する照度測定部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記投射画像制御部は、
前記測定結果が基準値未満であった場合、所定の第1の待機画像投射時間を経過する迄、前記画像投射部に前記待機画像を投射させ、
前記測定結果が基準値以上であった場合、前記第1の待機画像投射時間よりも短い所定の第2の待機画像投射時間を経過する迄、前記画像投射部に前記待機画像を投射させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記投射画像制御部は、
前記測定結果が基準値未満である間、前記画像投射部に前記待機画像を投射させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項6】
光源部と前記光源部による光源光を利用して画像を投射する画像投射部とを備えるプロジェクターにおける投射制御方法であって、前記プロジェクターの光源状態測定手段が、前記光源部の状態を測定して測定結果を出力し、前記プロジェクターの投射画像制御手段が、前記光源部への電力の供給後において前記画像投射部に入力画像を投射させる前に前記入力画像と異なる所定の待機画像を投射させる時間である待機画像投射時間を、前記測定結果に基づいて制御することを特徴とする投射制御方法。
【請求項7】
前記測定結果は、前記光源部の温度に対応する情報であることを特徴とする請求項6に記載の投写制御方法。
【請求項8】
前記測定結果は、前記光源光の照度に対応する情報であることを特徴とする請求項6又は7に記載の投写制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−78682(P2012−78682A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225426(P2010−225426)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】