説明

プロジェクターの管理装置、管理システム、管理方法、及びプログラム

【課題】所望のプロジェクターを容易に探し出すことが可能なプロジェクターの管理装置、管理システム、管理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】管理装置は、登録したプロジェクターに対して、それぞれのGPS受信部で導出した位置情報(緯度及び経度)の送信を要求する。登録された各プロジェクターは、この要求に応じ、自己の位置情報を管理装置に送信する。管理装置は、プロジェクターから受信した位置情報を、それぞれの機器情報に対応付けて登録する。そして、受信した位置情報に基づいて、操作画面W1の地図表示部B3の地図M上にプロジェクターの設置位置を表示する。具体的には、管理装置は、地図表示部B3の地図M上において、位置情報に基づく位置に、プロジェクターの設置位置であることを示すマークPを重畳して表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターの管理装置、管理システム、管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューターとともに複数のプロジェクターをネットワークに接続し、コンピューターで複数のプロジェクターの動作状態を管理したり、コンピューターからプロジェクターにネットワークを介して画像情報を供給したりすることが可能なシステムが種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなシステムを用いれば、複数のプロジェクターを1つのコンピューターで一元的に管理できるようになったり、所望の画像を所望のプロジェクターから投写させたりすることが可能となるため、利便性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−198994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ネットワークを介して接続されている複数のプロジェクターが、広い範囲(例えば、日本全国)に亘って配置されている場合には、特定のプロジェクターの動作状態を知りたい場合や、特定のプロジェクターに画像情報を供給したい場合等に、対象となるプロジェクターを探し出すことが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターの管理装置は、画像を投写するプロジェクターにネットワークを介して接続されたプロジェクターの管理装置であって、前記プロジェクターが設置されている設置位置に応じた位置情報を、前記プロジェクターから受信する通信装置と、地図を表示する表示装置と、前記プロジェクターから受信した前記位置情報に基づいて、前記プロジェクターの設置位置を前記地図上に表示させる制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このプロジェクターの管理装置によれば、プロジェクターの設置位置を地図上に表示させるため、プロジェクターの設置位置が視覚的に把握しやすくなり、所望のプロジェクターを探し出すことが容易になる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターの管理装置において、前記制御装置は、前記ネットワークに前記プロジェクターが複数接続されている場合に、前記プロジェクターを前記位置情報に基づいてグループ分けするとともに、前記プロジェクターの設置位置を、前記地図上にグループ単位で表示することが望ましい。
【0009】
このプロジェクターの管理装置によれば、複数のプロジェクターを位置情報に基づいてグループ分けするとともに、プロジェクターの設置位置を地図上にグループ単位で表示する。このため、地図上の狭い範囲内に多数のプロジェクターの設置位置が表示されてしまうことが抑制され、所望のプロジェクターを探し出すことが一層容易になる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターの管理装置において、前記地図上に示された前記設置位置を指定するための指定手段をさらに備えていることが望ましい。
【0011】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターの管理装置において、前記指定手段は、当該指定手段で指定された前記設置位置に設置されているプロジェクターのうち、少なくとも1つのプロジェクターを指定可能であることが望ましい。
【0012】
[適用例5]上記適用例に係るプロジェクターの管理装置において、前記制御装置は、前記指定手段で指定された前記設置位置に設置されているプロジェクターのリストを前記表示装置に表示させることが望ましい。
【0013】
[適用例6]上記適用例に係るプロジェクターの管理装置において、前記制御装置は、前記指定手段で指定された前記設置位置に設置されているプロジェクターの動作状態を前記表示装置に表示させるようにしてもよい。
【0014】
[適用例7]上記適用例に係るプロジェクターの管理装置において、前記制御装置は、前記指定手段で指定された前記設置位置に設置されているプロジェクターに画像情報を供給し、前記画像情報に基づく画像を投写させるようにしてもよい。
【0015】
[適用例8]本適用例に係るプロジェクターの管理システムは、上記適用例に記載のプロジェクターの管理装置と、前記管理装置とネットワークを介して接続される前記プロジェクターと、を有することを特徴とする。
【0016】
このプロジェクターの管理システムによれば、管理装置がプロジェクターの設置位置を地図上に表示させるため、プロジェクターの設置位置が視覚的に把握しやすくなり、所望のプロジェクターを探し出すことが容易になる。
【0017】
[適用例9]上記適用例に係るプロジェクターの管理システムにおいて、前記プロジェクターは、前記設置位置が変更になったことを検出する移動検出部をさらに備え、前記移動検出部が前記設置位置の変更を検出した場合には、新たな設置位置に応じた位置情報を前記管理装置に送信し、前記管理装置は、前記位置情報に基づいて、前記地図上に示された前記設置位置を更新することが望ましい。
【0018】
このプロジェクターの管理システムによれば、設置位置が変更になったことを検出する移動検出部をプロジェクターが備えており、設置位置の変更が検出された場合に、地図上に示された設置位置が更新されるため、設置位置の変更に伴う地図の更新が容易になる。
【0019】
[適用例10]上記適用例に係るプロジェクターの管理システムにおいて、前記プロジェクターは、GPS衛星から送信される電波を受信して自己の位置を導出するGPS受信部を備え、前記GPS受信部が導出した前記位置に対応する前記位置情報を、前記管理装置に送信することが望ましい。
【0020】
このプロジェクターの管理システムによれば、プロジェクターは、GPS衛星から送信される電波を受信して自己の位置を導出するGPS受信部を備えているため、自己の設置位置の特定を容易に行うことが可能となる。
【0021】
[適用例11]本適用例に係るプロジェクターの管理方法は、画像を投写するプロジェクターを、前記プロジェクターにネットワークを介して接続された管理装置で管理するプロジェクターの管理方法であって、前記プロジェクターが設置されている設置位置に応じた位置情報を、前記プロジェクターから前記管理装置に送信させる位置情報送信ステップと、前記管理装置が、前記プロジェクターから受信した前記位置情報に基づいて、前記プロジェクターの設置位置を地図上に表示させる位置表示ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0022】
このプロジェクターの管理方法によれば、プロジェクターの設置位置が地図上に表示されるため、プロジェクターの設置位置が視覚的に把握しやすくなり、所望のプロジェクターを探し出すことが容易になる。
【0023】
[適用例12]本適用例に係るプログラムは、画像を投写するプロジェクターにネットワークを介して接続されたコンピューターに、前記プロジェクターが設置されている設置位置に応じた位置情報を、前記プロジェクターから送信させる位置情報送信ステップと、前記プロジェクターから受信した前記位置情報に基づいて、前記プロジェクターの設置位置を地図上に表示させる位置表示ステップと、を実行させる。
【0024】
このプログラムによれば、プロジェクターの設置位置が地図上に表示されるため、プロジェクターの設置位置が視覚的に把握しやすくなり、所望のプロジェクターを探し出すことが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】プロジェクターの管理システムの概略構成を示す構成図。
【図2】プロジェクターの内部構成を示すブロック図。
【図3】管理装置の概略構成を示すブロック図。
【図4】管理プログラムに基づく管理装置の動作を説明するための説明図であり、管理プログラムが起動した際に表示装置に表示される操作画面を示す図。
【図5】プロジェクターを自動登録する際の管理装置の動作を説明するフローチャート。
【図6】管理プログラムに基づく管理装置の動作を説明するための説明図であり、地図上にマークが表示された状態の操作画面を示す図。
【図7】管理プログラムに基づく管理装置の動作を説明するための説明図であり、地図上に複数のマークが表示された状態の操作画面を示す図。
【図8】管理プログラムに基づく管理装置の動作を説明するための説明図であり、地図上のマークが指定された状態の操作画面を示す図。
【図9】管理プログラムに基づく管理装置の動作を説明するための説明図であり、操作画面上に重畳表示される状態表示画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施形態に係るプロジェクターの管理システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、プロジェクターの管理システムの概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、管理システム100は、複数のLAN(Local Area Network)3a〜3fが、インターネット等の公衆ネットワーク3pを利用したVPN(Virtual Private Network)によって接続されたネットワーク構成を備えている。各LAN3a〜3fは、地理的に離れた複数の拠点A〜Fにそれぞれ構築されたネットワークであり、各LAN3a〜3fには、1つ或いは複数のプロジェクター1が接続されている。また、拠点AのLAN3aには、各拠点A〜Fの複数のプロジェクター1を管理するための管理装置2が接続されている。つまり、管理システム100は、複数のプロジェクター1と、これら複数のプロジェクター1にネットワークを介して接続された管理装置2とを備えて構成されている。なお、本実施形態では、各拠点A〜Fに構築されているLAN3a〜3fは、それぞれ1つのセグメント(ネットワークセグメント)で構成されているものとする。また、LAN3a〜3f及び公衆ネットワーク3pを総称して、単に「ネットワーク3」とも表記する。
【0027】
プロジェクター1は、管理装置2や図示しない他の画像供給装置から入力される画像情報に基づく画像を、スクリーン等に投写して表示する光学機器である。また、管理装置2は、コンピューター等によって構成され、各プロジェクター1の動作状態を収集したり、プロジェクター1に対して画像情報の供給を行ったりすることができる。
【0028】
図2は、プロジェクター1の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、プロジェクター1は、制御部10、記憶部11、入力操作部12、通信部13、画像入力部14、画像処理部15、画像投写部16、GPS受信部17等を備えている。
【0029】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶部11に記憶されている制御プログラムに従って動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。
【0030】
記憶部11は、マスクROM(Read Only Memory)や、フラッシュメモリー、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の不揮発性のメモリーにより構成されている。記憶部11には、プロジェクター1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクター1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
【0031】
入力操作部12は、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。入力操作部12が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを切り替えるための「電源キー」、各種設定を行うための設定メニューを表示させる「メニューキー」等がある。ユーザーが入力操作部12の各種操作キーを操作すると、入力操作部12は、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部10に出力する。なお、入力操作部12として、遠隔操作が可能なリモコン(図示せず)を用いた構成としてもよい。この場合、リモコンは、ユーザーの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発信し、図示しないリモコン信号受信部がこれを受信して制御部10に伝達する。
【0032】
通信部13は、ネットワーク3を介したデータ通信を行うものであり、制御部10は、通信部13を介して、ネットワーク3に接続された外部のネットワーク機器とデータの授受を行うことができる。また、本実施形態の通信部13は、ネットワーク3に接続された管理装置2から画像情報を受け取ることが可能になっており、通信部13に画像情報が入力されると、通信部13は、入力された画像情報を画像処理部15に出力する。
【0033】
画像入力部14には、図示しない外部の画像供給装置が接続され、画像供給装置から画像情報が入力される。画像入力部14は、入力された画像情報を画像処理部15に出力する。
【0034】
画像処理部15は、画像入力部14、或いは通信部13から入力される画像情報に対して、各種画像処理を施し、処理後の画像情報を画像投写部16に出力する。また、画像処理部15は、メッセージや設定メニュー等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳する処理等を行うことができる。
【0035】
画像投写部16は、光源、光変調装置、投写レンズ(いずれも図示せず)等を備え、光源から射出された光を画像情報に応じて光変調装置で変調し、この変調光を投写レンズによって外部に投写する。この結果、スクリーン等に投写画像が表示される。
【0036】
GPS受信部17は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される電波を受信して、自己の位置、即ちプロジェクター1が設置されている位置の緯度及び経度を導出する。GPS受信部17は、導出した緯度及び経度を、位置情報として制御部10に出力する。
【0037】
図3は、管理装置2の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、管理装置2は、CPUやRAM等からなる制御装置20、ハードディスクドライブやフラッシュメモリー等の記憶装置21、液晶ディスプレイ等の表示装置22、キーボード等の入力装置23、マウスやタッチパッド等の指示装置(ポインティングデバイス)24、ネットワーク3を介した通信を行う通信装置25を備えている。管理装置2としては、例えば、パーソナルコンピューターを用いることができる。ここで、ノート型のパーソナルコンピューターを用いる場合には、管理装置2は、制御装置20、記憶装置21、表示装置22、入力装置23、指示装置24、及び通信装置25を一体的に備えて構成される。また、デスクトップ型のパーソナルコンピューターのように、表示装置22、入力装置23、指示装置24、通信装置25の全部又は一部が外付けで接続される構成のコンピューターを用いてもよいし、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯型情報機器を用いてもよい。
【0038】
制御装置20は、記憶装置21に記憶されているOS(Operating System)やアプリケーションプログラム等に従って動作し、入力装置23や指示装置24を用いてなされるユーザーの指示に応じて様々な処理を行い、処理結果等を表示装置22に表示させる。ここで、本実施形態の管理装置2に採用されているOSは、GUI(Graphical User Interface)を備えたものであり、ユーザーは、表示装置22に表示されるポインター(図示せず)を、指示装置24を用いて移動させるとともに、クリックやドラッグ等の操作を行うことによって管理装置2に各種指示を与えることもできる。また、本実施形態の記憶装置21には、プロジェクター1を管理するためのアプリケーションプログラム(管理プログラム)がインストールされており、管理装置2は、制御装置20がこの管理プログラムに従って動作することにより、プロジェクター1の管理を行う。
【0039】
図4は、管理プログラムに基づく管理装置2の動作を説明するための説明図であり、管理プログラムが起動した際に表示装置22に表示される操作画面を示す図である。ユーザーが入力装置23又は指示装置24を用いて管理プログラムの起動を指示すると、管理装置2の制御装置20は、この指示を受け付けて管理プログラムを起動させ、図4に示す操作画面W1を表示装置22上に表示させる。
【0040】
図4に示すように、操作画面W1は、プログラムのタイトル等が記されたタイトルバーB1を備えており、タイトルバーB1の下側には、メニューバーB2が配置されている。メニューバーB2には、「ファイル」や「ヘルプ」等、複数の見出し項目が記されており、ユーザーが入力装置23又は指示装置24でいずれかの見出し項目を指定すると、指定された見出し項目に関連する処理項目の一覧が表示される。ユーザーは、入力装置23又は指示装置24を操作して、一覧の中からいずれかの処理項目を選択することにより、管理装置2(管理プログラム)に対して所望の処理を行わせることができる。なお、図示は省略しているが、複数のアイコンを含むツールバーを操作画面W1内に備えるようにしてもよい。この場合には、各アイコンのそれぞれに、メニューバーB2により選択可能な処理項目のうちのいずれか1つを関連付けておけば、指示装置24のクリック動作によりアイコンを選択するだけで処理項目を実行することができる。
【0041】
また、操作画面W1には、メニューバーB2の下側に、日本地図(地図M)が表示される地図表示部B3と、プロジェクター1の一覧(リスト)が表示されるリスト表示部B4とが配置されている。ただし、図示するように、管理対象のプロジェクター1を登録していない時点では、地図表示部B3の地図M上、及びリスト表示部B4には、何も表示されない。
【0042】
ユーザーは、メニューバーB2等を操作して、管理装置2にプロジェクター1の登録を指示することができる。プロジェクター1の登録には、自動登録と手動登録の2種類があり、ユーザーにより自動登録が指示された場合には、管理装置2は、管理装置2と同一のセグメント内にあるプロジェクター1を自動的に検索して、登録する。
【0043】
図5は、プロジェクター1を自動登録する際の管理装置2の動作を説明するフローチャートである。また、図6〜図9は、管理プログラムに基づく管理装置2の動作を説明するための説明図であり、図6〜図8は、操作画面を示す図、図9は、操作画面上に重畳表示される状態表示画面を示す図である。ユーザーにより自動登録が指示されると、管理装置2の制御装置20は、図5に示すフローに従って動作する。
【0044】
図5に示すように、ステップS101では、制御装置20は、通信装置25からブロードキャストを行って、LAN3a内のプロジェクター1を検索する。そして、検索された各プロジェクター1に対して、それぞれを識別するためのプロジェクター名及びそれぞれのIPアドレス等を含む情報(以降、「機器情報」と呼ぶ。)の返信を要求する。各プロジェクター1は、この要求を受け、管理装置2に自己の機器情報を送信する。
【0045】
ステップS102では、制御装置20は、検索されたプロジェクター1を管理対象として登録する。具体的には、制御装置20は、各プロジェクター1から返信された機器情報を、管理すべきプロジェクター1の機器情報として記憶装置21に記憶する。本実施形態では、LAN3aに接続されている2つのプロジェクター1が検索されて登録される。なお、検索されたプロジェクター1をすべて管理対象として登録するようにしてもよいが、検索されたプロジェクター1の中から、管理対象とすべきプロジェクター1をユーザーに選択させるようにしてもよい。
【0046】
ステップS103では、制御装置20は、登録したプロジェクター1に対して、管理装置2のIPアドレス等、管理装置2に接続するための情報(以降、「PC情報」と呼ぶ。)を送信し、プロジェクター1の記憶部11に記憶させる。
【0047】
ステップS104では、制御装置20は、登録したプロジェクター1に対して、それぞれのGPS受信部17で導出した位置情報(緯度及び経度)の送信を要求する。登録された各プロジェクター1は、この要求に応じ、PC情報に含まれるIPアドレスに対して自己の位置情報を送信する。
【0048】
ステップS105では、制御装置20は、プロジェクター1から受信した位置情報を、それぞれの機器情報に対応付けて登録する。そして、ステップS106では、制御装置20は、受信した位置情報に基づいて、操作画面W1の地図表示部B3の地図M上にプロジェクター1の設置位置を表示する。具体的には、制御装置20は、地図表示部B3の地図M上において、位置情報に基づく位置に、プロジェクター1の設置位置であることを示すマークPを重畳して表示させ(図6参照)、フローを終了する。
【0049】
ここで、登録された複数のプロジェクター1の設置位置が近い場合には、制御装置20は、ステップS106で地図M上にマークPを表示する際に、これら複数のプロジェクター1を1つのグループとしてまとめ、グループで1つのマークPを地図M上に表示するようになっている。このため、拠点AのLAN3aに接続されている2つのプロジェクター1の設置位置が近い場合には、地図M上には、拠点Aのグループを表す1つのマークPのみが表示される。なお、複数のプロジェクター1を1つのグループにまとめる条件としては、例えば、最寄りのプロジェクター1との距離が所定の距離よりも小さい場合とすることができる。また、この条件(距離等)をユーザーが設定できるようにしてもよい。
【0050】
一方、ユーザーにより手動登録が指示された場合には、制御装置20は、図示しない入力画面を操作画面W1上に重畳して表示し、登録すべきプロジェクター1のプロジェクター名やIPアドレスをユーザーに入力させる。ユーザーが入力装置23等によりIPアドレスを入力すると、制御装置20は、入力されたIPアドレスを用いてプロジェクター1を検索し、検索されたプロジェクター1を登録する。そして、これ以降、ステップS103〜S106(図5参照)を実行して、操作画面W1の地図表示部B3を更新する。このように、手動登録を行うことにより、管理装置2とは異なるセグメントにあるプロジェクター1の登録も可能となる。そして、手動登録を繰り返すと、図7に示すように、地図表示部B3の地図M上には、複数のマークPが表示される。なお、手動登録を行う場合にも、既に登録されているプロジェクター1と設置位置が近い場合には、複数のプロジェクター1を1つのグループとしてまとめ、グループで1つのマークPを地図M上に表示する。このように、制御装置20は、位置情報に基づいて各プロジェクター1をグループ分けし、プロジェクター1の設置位置を、地図M上にグループ単位で表示する。
【0051】
上述したように、管理対象のプロジェクター1の機器情報は、記憶装置21に記憶されるため、管理プログラムを起動するたびに上記の登録操作を行う必要はない。つまり、次回以降、管理プログラムを起動した際には、操作画面W1は、図7に示した状態、即ち地図表示部B3の地図M上にマークPが表示された状態で表示される。
【0052】
ユーザーは、地図表示部B3の地図M上に表示されているマークPを、指示装置24でクリックして指定することにより、グループを選択することができる。そして、ユーザーが所望のグループのマークPをクリックすると、管理装置2の制御装置20は、選択されたグループに属するプロジェクター1の機器情報の一覧をリスト表示部B4に表示させる(図8参照)。なお、ユーザーは、複数のグループ(マークP)を同時に選択することも可能であり、複数のグループが選択された状態では、選択された複数のグループに属するすべてのプロジェクター1の機器情報の一覧がリスト表示部B4に表示される。
【0053】
さらに、ユーザーは、リスト表示部B4に表示されているプロジェクター1の1つ或いは複数を入力装置23又は指示装置24で選択することができる。そして、ユーザーは、プロジェクター1を選択した状態で、メニューバーB2等を操作することにより、選択したプロジェクター1に対して様々な指示を行うことができる。
【0054】
例えば、選択されたプロジェクター1の動作状態を表示させるための指示をユーザーが行った場合には、制御装置20は、選択されたプロジェクター1に対して、動作状態の応答を要求する。プロジェクター1の制御部10は、この要求を受け取ると、電源状態(オン又はオフ)、光源の累積点灯時間、異常(例えば、光源の不点灯や、高温異常等)の発生の有無等、プロジェクター1の様々な動作状態を管理装置2に送信する。そして、管理装置2の制御装置20は、各プロジェクター1から受信した動作状態を一覧にまとめた状態表示画面W2(図9参照)を、操作画面W1上に重畳して表示する。
【0055】
また、例えば、選択されたプロジェクター1に所定の画像を投写させるための指示をユーザーが行った場合には、制御装置20は、選択されたプロジェクター1に対して、画像情報の供給を開始する。この結果、プロジェクター1は、画像情報に基づく画像の投写を開始する。
【0056】
プロジェクター1のGPS受信部17は、プロジェクター1の起動時、即ち入力操作部12の電源キーが操作されてプロジェクター1の電源がオンになった際に、位置情報(緯度及び経度)を導出して制御部10に出力する。制御部10は、GPS受信部17から入力された位置情報を記憶部11に記憶しておき、管理装置2から位置情報の送信要求があった場合には、記憶部11から位置情報を読み出して、管理装置2に送信する。
【0057】
また、プロジェクター1の制御部10は、起動時にGPS受信部17が導出した位置情報を記憶部11に記憶する際に、すでに記憶部11に記憶されている前回の位置情報と比較して両者の差異を検出する。そして、前回と今回の位置情報の間に、測定誤差を超える大きな差異がある場合には、制御部10は、プロジェクター1が移動されて設置位置が変更になったものと判断する。そして、プロジェクター1の制御部10は、管理装置2からの送信要求を待たずに、機器情報と位置情報とを管理装置2に送信する。管理装置2の制御装置20は、プロジェクター1から機器情報及び位置情報が送信されると、登録されている機器情報及び位置情報を更新するとともに、必要に応じて地図M上の設置位置、即ちマークPの位置を変更する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の管理システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0059】
(1)本実施形態の管理システム100によれば、管理装置2がプロジェクター1の設置位置を表すマークPを地図M上に表示させるため、各プロジェクター1の設置位置が視覚的に把握しやすくなり、所望のプロジェクター1を探し出すことが容易になる。
【0060】
(2)本実施形態の管理システム100によれば、管理装置2は、複数のプロジェクター1を位置情報に基づいてグループ分けするとともに、プロジェクター1の設置位置を地図M上にグループ単位で表示するため、地図M上の狭い範囲内に多数のプロジェクター1の設置位置が表示されてしまうことが抑制され、所望のプロジェクター1を探し出すことが一層容易になる。
【0061】
(3)本実施形態の管理システム100によれば、プロジェクター1は、起動時に設置位置の変更を検出すると、管理装置2からの送信要求を待たずに、機器情報と位置情報とを管理装置2に送信する。そして、管理装置2は、プロジェクター1から機器情報及び位置情報が送信されると、必要に応じて地図M上のマークPの位置を変更する。つまり、設置位置を変更する際に、ユーザーが地図Mを更新する手続きを行う必要がないため、利便性が向上する。
【0062】
(4)本実施形態の管理システム100によれば、プロジェクター1は、GPS衛星から送信される電波を受信して自己の位置を導出するGPS受信部17を備えているため、自己の設置位置の特定を容易に行うことが可能となる。
【0063】
なお、本実施形態において、設置位置を表すマークPを指定してグループ(プロジェクター1)を選択する際の指示装置24が指定手段に相当する。また、起動時にGPS受信部17が導出した位置情報と、記憶部11に記憶されている前回の位置情報とを比較して、前回と今回の位置情報の間の差異を検出する際の制御部10及びGPS受信部17が移動検出部に相当する。
【0064】
(変形例)
上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0065】
上記実施形態では、コンピューター等で構成される管理装置2を用いてプロジェクター1の管理を行っているが、ネットワーク3に接続されているプロジェクター1のいずれかを、管理装置として機能させるようにしてもよい。この場合には、管理装置として機能するプロジェクター1は、地図Mを表示する表示装置や、地図M上のマークPを指示するための指示装置等を備える必要がある。
【0066】
上記実施形態では、管理装置2を1つのみ備えた構成を示しているが、管理装置2は1つに限定されない。例えば、各拠点A〜FのLAN3a〜3f上に管理装置2を1つずつ配置して、拠点A〜F毎にプロジェクター1の管理を行うようにしてもよい。そして、管理装置2同士で通信を行うことにより、1つの管理装置2が他の管理装置2から各プロジェクター1の機器情報や位置情報を収集するようにしてもよいし、それぞれの管理装置2が各プロジェクター1の機器情報や位置情報を共有するようにしてもよい。
【0067】
上記実施形態では、プロジェクター1がGPS受信部17を備えており、GPS受信部17がプロジェクター1の位置を導出するようにしているが、ユーザーにプロジェクター1の設置位置(緯度及び経度)を入力させて、これを記憶部11に記憶させておく態様としてもよい。
【0068】
上記実施形態では、プロジェクター1の設置位置を表示するための地図Mとして、日本地図を用いているが、プロジェクター1が設置されている範囲が狭い場合には、都道府県レベルや市町村レベル、或いはそれよりも狭い範囲の地図を用いてもよい。一方、海外に配置されているプロジェクター1を管理する場合には、世界地図を用いるようにしてもよい。
【0069】
上記実施形態では、複数のLAN3a〜3fが公衆ネットワーク3pを介して接続されているが、複数のLAN3a〜3fを専用回線で接続する態様としてもよい。
【0070】
上記実施形態において、LAN3a〜3fの接続は、無線であっても有線であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…プロジェクター、2…管理装置、3…ネットワーク、3a〜3f…LAN、3p…公衆ネットワーク、10…制御部、11…記憶部、12…入力操作部、13…通信部、14…画像入力部、15…画像処理部、16…画像投写部、17…GPS受信部、20…制御装置、21…記憶装置、22…表示装置、23…入力装置、24…指示装置、25…通信装置、100…管理システム、W1…操作画面、W2…状態表示画面、B1…タイトルバー、B2…メニューバー、B3…地図表示部、B4…リスト表示部、M…地図、P…マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投写するプロジェクターにネットワークを介して接続されたプロジェクターの管理装置であって、
前記プロジェクターが設置されている設置位置に応じた位置情報を、前記プロジェクターから受信する通信装置と、
地図を表示する表示装置と、
前記プロジェクターから受信した前記位置情報に基づいて、前記プロジェクターの設置位置を前記地図上に表示させる制御装置と、
を備えたことを特徴とするプロジェクターの管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターの管理装置であって、
前記制御装置は、前記ネットワークに前記プロジェクターが複数接続されている場合に、前記プロジェクターを前記位置情報に基づいてグループ分けするとともに、前記プロジェクターの設置位置を、前記地図上にグループ単位で表示することを特徴とするプロジェクターの管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロジェクターの管理装置であって、
前記地図上に示された前記設置位置を指定するための指定手段をさらに備えていることを特徴とするプロジェクターの管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクターの管理装置であって、
前記指定手段は、当該指定手段で指定された前記設置位置に設置されているプロジェクターのうち、少なくとも1つのプロジェクターを指定可能であることを特徴とするプロジェクターの管理装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のプロジェクターの管理装置であって、
前記制御装置は、前記指定手段で指定された前記設置位置に設置されているプロジェクターのリストを前記表示装置に表示させることを特徴とするプロジェクターの管理装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項に記載のプロジェクターの管理装置であって、
前記制御装置は、前記指定手段で指定された前記設置位置に設置されているプロジェクターの動作状態を前記表示装置に表示させることを特徴とするプロジェクターの管理装置。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか一項に記載のプロジェクターの管理装置であって、
前記制御装置は、前記指定手段で指定された前記設置位置に設置されているプロジェクターに画像情報を供給し、前記画像情報に基づく画像を投写させることを特徴とするプロジェクターの管理装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロジェクターの管理装置と、
前記管理装置とネットワークを介して接続される前記プロジェクターと、
を有することを特徴とするプロジェクターの管理システム。
【請求項9】
請求項8に記載のプロジェクターの管理システムであって、
前記プロジェクターは、前記設置位置が変更になったことを検出する移動検出部をさらに備え、前記移動検出部が前記設置位置の変更を検出した場合には、新たな設置位置に応じた位置情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記位置情報に基づいて、前記地図上に示された前記設置位置を更新することを特徴とするプロジェクターの管理システム。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のプロジェクターの管理システムであって、
前記プロジェクターは、GPS衛星から送信される電波を受信して自己の位置を導出するGPS受信部を備え、前記GPS受信部が導出した前記位置に対応する前記位置情報を、前記管理装置に送信することを特徴とするプロジェクターの管理システム。
【請求項11】
画像を投写するプロジェクターを、前記プロジェクターにネットワークを介して接続された管理装置で管理するプロジェクターの管理方法であって、
前記プロジェクターが設置されている設置位置に応じた位置情報を、前記プロジェクターから前記管理装置に送信させる位置情報送信ステップと、
前記管理装置が、前記プロジェクターから受信した前記位置情報に基づいて、前記プロジェクターの設置位置を地図上に表示させる位置表示ステップと、
を備えたことを特徴とするプロジェクターの管理方法。
【請求項12】
画像を投写するプロジェクターにネットワークを介して接続されたコンピューターに、
前記プロジェクターが設置されている設置位置に応じた位置情報を、前記プロジェクターから送信させる位置情報送信ステップと、
前記プロジェクターから受信した前記位置情報に基づいて、前記プロジェクターの設置位置を地図上に表示させる位置表示ステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−15832(P2012−15832A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150833(P2010−150833)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】