説明

プロジェクター

【課題】明るさの変化を抑制しつつ、放電灯の劣化を抑制できるプロジェクターを提供すること。
【解決手段】複数の光源部200−1及び200−2と、動作モードとして第1モード及び第2モードを有し、動作モードに基づいて光源部200−1及び200−2を制御する制御部580と、を含み、光源部200−1及び200−2は、それぞれ放電灯と放電灯駆動部を含み、制御部580は、それぞれの放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力W1及びW2の合計値WTを一定値とし、かつ、それぞれの放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力W1及びW2を時間的に変化させながらそれぞれの放電灯90−1及び90−2に供給するように、それぞれの放電灯駆動部230−1及び230−2を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの放電灯を用いたプロジェクターが実用化されている。放電灯は、点灯状態を維持したまま放電灯に供給される電力を下げて駆動し続けると、放電灯の電極温度が下がり、電極材料(タングステンなど)が放電灯の封体に析出する黒化現象が発生しやすくなる。黒化現象が発生すると、黒化した部分が光を吸収して放電灯の温度が上昇し、封体に用いられるガラスなどが結晶化して、失透現象が発生する原因となる。失透現象が発生すると、放電灯の照度が低下したり、封体が破損しやすくなったりするので、放電灯の長寿命化のためには黒化現象を発生させないことが重要である。
【0003】
放電灯の長寿命化のために、例えば、特許文献1には、電力変化範囲と電力変化周期と変化波形とをパラメーターとする電力変化パターンによって、放電灯へ供給される電力を変化させる放電灯点灯装置か開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−209572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プロジェクターにおいて放電灯へ供給される電力を変化させると、明るさが変化してしまう問題が生じる。このため、特許文献1に開示されている放電灯点灯装置をプロジェクターに適用するためには、使用者が変化を視認できない程度の明るさの変化とするために、電力変化範囲や電力変化周期に制約があった。
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものである。本発明のいくつかの態様によれば、明るさの変化を抑制しつつ、放電灯の劣化を抑制できるプロジェクターを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプロジェクターは、複数の光源部と、前記光源部を制御する制御部と、を含み、前記光源部は、それぞれ、放電灯と、前記放電灯に駆動電力を供給して前記放電灯を駆動する放電灯駆動部と、を含み、前記制御部は、それぞれの前記放電灯に供給される前記駆動電力の合計値を一定値とし、かつ、それぞれの前記放電灯に供給される前記駆動電力を時間的に変化させながらそれぞれの前記放電灯に供給するように、それぞれの前記放電灯駆動部を制御する。
【0008】
本発明によれば、駆動電力を時間的に変化させながら放電灯に供給されるように放電灯駆動部が制御されるので、放電灯の電極温度が低い状態を長時間継続することがなくなる。したがって、放電灯の劣化を抑制できるプロジェクターを実現できる。
【0009】
また、本発明によれば、それぞれの放電灯に供給される駆動電力の合計値が一定値となるように放電灯駆動部が制御されるので、明るさの変化を抑制できるプロジェクターを実現できる。
【0010】
このプロジェクターは、それぞれの前記放電灯駆動部は、駆動電流として交流電流を前記放電灯に供給することにより前記駆動電力を前記放電灯に供給し、前記制御部は、それぞれの前記駆動電流の極性反転1周期あたりの前記駆動電力の平均値を時間的に変化させるように、前記駆動電流をそれぞれの前記放電灯に供給するように前記放電灯駆動部を制御してもよい。
【0011】
これによって、放電灯の電極温度をより確実に上昇させることができ、放電灯の電極温度が低い状態を長時間継続することがなくなる。これによって、放電灯の黒化現象の発生を抑制できる。
【0012】
このプロジェクターは、それぞれの前記放電灯に供給される前記駆動電力の最小値は、それぞれの前記放電灯が点灯状態を維持できる電力であってもよい。
【0013】
これによって、供給される駆動電力が変化しても放電灯は点灯状態を維持できる。したがって、使用者による操作などに基づいて投影される映像を明るくする場合に、放電灯を再点灯する必要がなく、短時間で明るさを変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係るプロジェクター500の光学系を示す説明図。
【図2】光源部200−1の構成を示す説明図。
【図3】本実施形態に係るプロジェクター500の回路構成の一例を示す図。
【図4】放電灯点灯装置10−1の回路構成の一例を示す図。
【図5】光源制御部40の他の構成例について説明するための図。
【図6】図6(A)ないし図6(D)は、放電灯90−1に供給する駆動電流Iの極性と電極の温度との関係を示す説明図。
【図7】図7(A)、図7(B)及び図7(C)は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の一例を説明するためのグラフ。
【図8】本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力W1と駆動電流Iの関係の一例を模式的に表すタイミングチャート。
【図9】図9(A)、図9(B)及び図9(C)は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の第1の変形例を説明するためのグラフ。
【図10】図10(A)、図10(B)及び図10(C)は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の第2の変形例を説明するためのグラフ。
【図11】図11(A)、図11(B)及び図11(C)は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の第3の変形例を説明するためのグラフ。
【図12】図12(A)、図12(B)及び図12(C)は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の第4の変形例を説明するためのグラフ。
【図13】図13(A)、図13(B)及び図13(C)は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の第5の変形例を説明するためのグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0016】
1.本実施形態に係るプロジェクターの光学系
図1は、本実施形態に係るプロジェクター500の光学系を示す説明図である。プロジェクター500は、光源部200−1と、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、3つの液晶ライトバルブ330R、330G、330Bと、クロスダイクロイックプリズム340と、投写光学系350とを有している。なお、後述されるように、本実施形態に係るプロジェクター500は、複数の光源部を含んで構成されている。より具体的には、本実施形態に係るプロジェクター500は、2つの光源部200−1及び200−2を有している。なお、光源部200−1と光源部200−2の構成は同一であるため、図1においては光源部200−2の図示を省略している。また、光源部の数は、複数であればよく、3つ以上であってもよい。
【0017】
複数の光源部200−1及び200−2は、それぞれ、放電灯と、放電灯に駆動電力を供給して放電灯を駆動する放電灯駆動部と、を含んで構成されている。図1に示される例では、光源部200−1は、放電灯90−1を含んで構成されている光源ユニット210−1と、放電灯90−1に駆動電力を供給して放電灯90−1を駆動する放電灯駆動部230−1(後述)を含んで構成されている放電灯点灯装置10−1と、を有している。
【0018】
図1に示される例では、光源ユニット210−1は、主反射鏡112−1と副反射鏡50−1(後述)とを有している。主反射鏡112−1は、放電灯90−1から放出された光を、照射方向Dに向けて反射する。照射方向Dは、光軸AXと平行である。光源ユニット210−1からの光は、平行化レンズ305を通過して照明光学系310に入射する。この平行化レンズ305は、光源ユニット210−1からの光を、平行化する。
【0019】
照明光学系310は、光源部200−1からの光の照度を液晶ライトバルブ330R、330G、330Bにおいて均一化する。また、照明光学系310は、光源部200−1からの光の偏光方向を一方向に揃える。この理由は、光源部200−1からの光を液晶ライトバルブ330R、330G、330Bで有効に利用するためである。照度分布と偏光方向とが調整された光は、色分離光学系320に入射する。色分離光学系320は、入射光を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色光に分離する。3つの色光は、各色に対応付けられた液晶ライトバルブ330R、330G、330Bによって、それぞれ変調される。液晶ライトバルブ330R、330G、330Bは、液晶パネル560R、560G、560B(後述)と、液晶パネル560R、560G、560Bのそれぞれの光入射側及び出射側に配置される偏光板(不図示)を備える。変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム340によって合成される。合成光は、投写光学系350に入射する。投写光学系350は、入射光を、図示しないスクリーンに投写する。これにより、スクリーン上には映像が表示される。
【0020】
なお、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、クロスダイクロイックプリズム340と、投写光学系350とのそれぞれの構成としては、周知の種々の構成を採用可能である。
【0021】
図2は、光源部200−1の構成を示す説明図である。なお、光源部200−2の構成も光源部200−1の構成と同一である。光源部200−1は、光源ユニット210−1と放電灯点灯装置10−1とを有している。図中には、光源ユニット210−1の断面図が示されている。光源ユニット210−1は、主反射鏡112−1と放電灯90−1と副反射鏡50−1とを有している。
【0022】
放電灯90−1の形状は、第1端部90e1から第2端部90e2まで、照射方向Dに沿って延びる棒形状である。放電灯90−1の材料は、例えば、石英ガラス等の透光性材料である。放電灯90−1の中央部は球状に膨らんでおり、その内には、放電空間91−1が形成されている。放電空間91−1内には、水銀、希ガス、金属ハロゲン化合物等を含む放電媒体であるガスが封入されている。
【0023】
放電灯90−1は、第1電極92−1及び第2電極93−1を含んでいる。図2に示される例では、第1電極92−1及び第2電極93−1は、放電空間91−1内に突き出すように設けられている。第1電極92−1は、放電空間91−1の第1端部90e1側に配置され、第2電極93−1は、放電空間91−1の第2端部90e2側に配置されている。これらの第1電極92−1及び第2電極93−1の形状は、光軸AXに沿って延びる棒形状である。放電空間91−1内では、第1電極92−1及び第2電極93−1の電極先端部(「放電端」とも呼ぶ)が、所定距離だけ離れて向かい合っている。なお、これらの第1電極92−1及び第2電極93−1の材料は、例えば、タングステン等の金属である。
【0024】
放電灯90−1の第1端部90e1には、第1端子536が設けられている。第1端子536と第1電極92−1とは、放電灯90−1の内部を通る導電性部材534によって電気的に接続されている。同様に、放電灯90−1の第2端部90e2には、第2端子546が設けられている。第2端子546と第2電極93−1とは、放電灯90−1の内部を通る導電性部材544によって電気的に接続されている。第1端子536及び第2端子546の材料は、例えば、タングステン等の金属である。また、各導電性部材534、544としては、例えば、モリブデン箔が利用される。
【0025】
第1端子536及び第2端子546は、放電灯点灯装置10−1に接続されている。放電灯点灯装置10−1は、第1端子536及び第2端子546に、放電灯90−1を駆動する駆動電流を供給することによって、放電灯90−1に駆動電力を供給する。その結果、第1電極92−1及び第2電極93−1の間でアーク放電が起きる。アーク放電により発生した光(放電光)は、破線の矢印で示されるように、放電位置から全方向に向かって放射される。
【0026】
放電灯90−1の第1端部90e1には、固定部材114によって、主反射鏡112−1が固定されている。主反射鏡112−1の反射面(放電灯90−1側の面)の形状は、回転楕円形状である。主反射鏡112−1は、放電光を照射方向Dに向かって反射する。なお、主反射鏡112−1の反射面の形状としては、回転楕円形状に限らず、放電光を照射方向Dに向かって反射するような種々の形状を採用可能である。例えば、回転放物線形状を採用してもよい。この場合は、主反射鏡112−1は、放電光を、光軸AXにほぼ平行な光に変換することができる。したがって、平行化レンズ305を省略することができる。
【0027】
放電灯90−1の第2端部90e2側には、固定部材522によって、副反射鏡50−1が固定されている。副反射鏡50−1の反射面(放電灯90−1側の面)の形状は、放電空間91−1の第2端部90e2側を囲む球面形状である。副反射鏡50−1は、放電光を、主反射鏡112−1に向かって反射する。これにより、放電空間91−1から放射される光の利用効率を高めることができる。
【0028】
なお、固定部材114、522の材料としては、放電灯90−1の発熱に耐える任意の耐熱材料(例えば、無機接着剤)を採用可能である。また、主反射鏡112−1及び副反射鏡50−1と放電灯90−1との配置を固定する方法としては、主反射鏡112−1及び副反射鏡50−1を放電灯90−1に固定する方法に限らず、任意の方法を採用可能である。例えば、放電灯90−1と主反射鏡112−1とを、独立に、プロジェクターの筐体(図示せず)に固定してもよい。副反射鏡50−1についても同様である。
【0029】
2.本実施形態に係るプロジェクターの回路構成
図3は、本実施形態に係るプロジェクター500の回路構成の一例を示す図である。プロジェクター500は、先に説明した光学系の他に、映像信号変換部510、直流電源装置80、液晶パネル560R、560G、560B、映像処理装置570、制御部580、操作受付部590を含んでいてもよい。
【0030】
映像信号変換部510は、外部から入力された映像信号502(輝度−色差信号やアナログRGB信号など)を所定のワード長のデジタルRGB信号に変換して映像信号512R、512G、512Bを生成し、映像処理装置570に供給する。また、映像信号変換部510は、映像信号502を入力するための配線などの有無に関する情報や、映像信号502の有無に関する情報を、通信信号514を介して制御部580に出力してもよい。
【0031】
映像処理装置570は、3つの映像信号512R、512G、512Bに対してそれぞれ映像処理を行い、液晶パネル560R、560G、560Bをそれぞれ駆動するための駆動信号572R、572G、572Bを液晶パネル560R、560G、560Bに供給する。液晶パネル560R、560G、560Bに入力される駆動信号572R、572G、572Bに基づいて、図1を用いて説明した光学系によって、スクリーン700に映像が投影される。
【0032】
直流電源装置80は、外部の交流電源600から供給される交流電圧を一定の直流電圧に変換し、トランス(図示しないが、直流電源装置80に含まれる)の2次側にある映像信号変換部510、映像処理装置570及びトランスの1次側にある放電灯点灯装置10に直流電圧を供給する。
【0033】
放電灯点灯装置10−1は、起動時に放電灯90−1の電極間に高電圧を発生して絶縁破壊させて放電路を形成し、以後、放電灯90−1が放電を維持するための駆動電流を、放電灯点灯装置10−1の放電灯駆動部230−1が放電灯90−1に供給することによって駆動電力を供給する。放電灯点灯装置10−2は、起動時に放電灯90−2の電極間に高電圧を発生して絶縁破壊させて放電路を形成し、以後、放電灯90−2が放電を維持するための駆動電流を、放電灯点灯装置10−2の放電灯駆動部230−2が放電灯90−2に供給することによって駆動電力を供給する。
【0034】
液晶パネル560R、560G、560Bは、それぞれ駆動信号572R、572G、572Bに基づいて、先に説明した光学系を介して各液晶パネルに入射される色光の輝度を変調する。
【0035】
操作受付部590は、プロジェクター500に対する操作592を受け付け、操作592に関する情報を、通信信号594を介して制御部580に出力する。操作受付部590は、ボタン、レバー、スイッチなど、種々の公知の構成を含んで構成されていてもよい。
【0036】
制御部580は、プロジェクターの点灯開始から消灯に至るまでの動作を制御する。制御部580は、例えば、点灯命令や消灯命令を、通信信号582を介して光源部200−1の放電灯点灯装置10−1に出力したり、通信信号586を介して光源部200−2の放電灯点灯装置10−2に出力したりしてもよい。また、制御部580は、光源部200−1の放電灯点灯装置10−1から放電灯90−1の点灯状態を表す点灯情報を、通信信号584を介して受け取ったり、光源部200−2の放電灯点灯装置10−2から放電灯90−2の点灯状態を表す点灯情報を、通信信号588を介して受け取ったりしてもよい。また、制御部580は、操作受付部590が受け付けた操作592に関する情報を、通信信号594を介して受け取ってもよい。本実施形態においては、制御部580は、通信信号594に基づいて光源部200−1及び200−2を制御する。
【0037】
なお、制御部580は、専用回路により実現して上述した制御や後述する処理の各種制御を行うようにすることもできるが、例えばCPU(Central Processing Unit)が不図示の記憶手段等に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、これらの処理の各種制御を行うようにすることもできる。
【0038】
3.本実施形態における放電灯点灯装置の構成
図4は、放電灯点灯装置10−1の回路構成の一例を示す図である。なお、放電灯点灯装置10−2の回路構成も放電灯点灯装置10−1の構成と同一である。
【0039】
放電灯点灯装置10−1は、電力制御回路20を含む。電力制御回路20は、放電灯90−1に供給する駆動電力を生成する。本実施形態においては、電力制御回路20は、直流電源80を入力とし、当該入力電圧を降圧して直流電流Idを出力するダウンチョッパー回路で構成されている。
【0040】
電力制御回路20は、スイッチ素子21、ダイオード22、コイル23及びコンデンサー24を含んで構成されることができる。スイッチ素子21は、例えばトランジスターで構成することができる。本実施形態においては、スイッチ素子21の一端は直流電源80の正電圧側に接続され、他端はダイオード22のカソード端子及びコイル23の一端に接続されている。また、コイル23の他端にはコンデンサー24の一端が接続され、コンデンサー24の他端はダイオード22のアノード端子及び直流電源80の負電圧側に接続されている。スイッチ素子21の制御端子には光源制御部40(後述)から電力制御信号が入力されてスイッチ素子21のON/OFFが制御される。電力制御信号には、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御信号が用いられてもよい。
【0041】
ここで、スイッチ素子21がONすると、コイル23に電流が流れ、コイル23にエネルギーが蓄えられる。その後、スイッチ素子21がOFFすると、コイル23に蓄えられたエネルギーがコンデンサー24とダイオード22とを通る経路で放出される。その結果、スイッチ素子21がONする時間の割合に応じた直流電流Idが発生する。
【0042】
放電灯点灯装置10−1は、極性反転回路30を含む。極性反転回路30は、電力制御回路20から出力される直流電流Idを入力し、所与のタイミングで極性反転することにより、制御された時間だけ継続する直流であったり、任意の周波数をもつ交流であったりする駆動電流Iを生成出力する。本実施形態においては、極性反転回路30はインバーターブリッジ回路(フルブリッジ回路)で構成されている。
【0043】
極性反転回路30は、例えば、トランジスターなどで構成される第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33及び第4のスイッチ素子34を含み、直列接続された第1のスイッチ素子31及び第2のスイッチ素子32と、直列接続された第3のスイッチ素子33及び第4のスイッチ素子34を、互いに並列接続して構成される。第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33及び第4のスイッチ素子34の制御端子には、それぞれ光源制御部40から極性反転制御信号が入力され、極性反転制御信号に基づいて第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33及び第4のスイッチ素子34のON/OFFが制御される。
【0044】
極性反転回路30は、第1のスイッチ素子31及び第4のスイッチ素子34と、第2のスイッチ素子32及び第3のスイッチ素子33を交互にON/OFFを繰り返すことにより、電力制御回路20から出力される直流電流Idの極性を交互に反転し、第1のスイッチ素子31と第2のスイッチ素子32との共通接続点及び第3のスイッチ素子33と第4のスイッチ素子34との共通接続点から、制御された時間だけ継続する直流であったり、制御された周波数をもつ交流であったりする駆動電流Iを生成出力する。
【0045】
すなわち、第1のスイッチ素子31及び第4のスイッチ素子34がONの時には第2のスイッチ素子32及び第3のスイッチ素子33をOFFにし、第1のスイッチ素子31及び第4のスイッチ素子34がOFFの時には第2のスイッチ素子32及び第3のスイッチ素子33をONにするように制御する。したがって、第1のスイッチ素子31及び第4のスイッチ素子34がONの時には、コンデンサー24の一端から第1のスイッチ素子31、放電灯90−1、第4のスイッチ素子34の順に流れる駆動電流Iが発生する。また、第2のスイッチ素子32及び第3のスイッチ素子33がONの時には、コンデンサー24の一端から第3のスイッチ素子33、放電灯90−1、第2のスイッチ素子32の順に流れる駆動電流Iが発生する。
【0046】
本実施形態において、電力制御回路20と極性反転回路30とを合わせて放電灯駆動部230−1に対応する。すなわち、放電灯駆動部230−1は、駆動電流Iを放電灯90−1に供給することによって、放電灯90−1に駆動電力を供給して放電灯90−1を駆動する。
【0047】
放電灯点灯装置10−1は、光源制御部40を含んでいてもよい。図4に示される例では、光源制御部40は、制御部580の一部として構成された判定部150によって判定された動作モードに関する情報である動作モード情報を、通信信号582を介して受け付け、受け付けた動作モード情報に基づいて放電灯駆動部230−1を制御する。
【0048】
また、図4に示される例では、光源制御部40は、電力制御回路20及び極性反転回路30を制御することにより、放電灯90−1へ供給される駆動電力、駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの電流値、周波数等を制御する。光源制御部40は、極性反転回路30に対して駆動電流Iの極性反転タイミングにより、駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの周波数等を制御する極性反転制御を行う。また、光源制御部40は、電力制御回路20に対して、出力される直流電流Idの電流値を制御することによって、放電灯90−1へ供給される駆動電力を制御する駆動電力制御を行う。
【0049】
光源制御部40の構成は、特に限定されるものではないが、本実施形態においては、光源制御部40は、システムコントローラー41、電力制御回路コントローラー42及び極性反転回路コントローラー43含んで構成されている。なお、光源制御部40は、その一部又は全てを半導体集積回路で構成されていてもよい。
【0050】
システムコントローラー41は、電力制御回路コントローラー42及び極性反転回路コントローラー43を制御することにより、電力制御回路20及び極性反転回路30を制御する。システムコントローラー41は、後述される放電灯点灯装置10−1内部に設けられた状態検出部60の電圧検出部によって検出された駆動電圧Vla及び駆動電流Iに基づき、電力制御回路コントローラー42及び極性反転回路コントローラー43を制御してもよい。
【0051】
本実施形態においては、システムコントローラー41は記憶部44を含んで構成されている。なお、記憶部44は、システムコントローラー41とは独立に設けてもよい。
【0052】
システムコントローラー41は、記憶部44に格納された情報に基づき、電力制御回路20及び極性反転回路30を制御してもよい。記憶部44には、例えば駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの電流値、周波数、波形、変調パターン等の駆動パラメーターに関する情報が格納されていてもよい。
【0053】
電力制御回路コントローラー42は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、電力制御回路20へ電力制御信号を出力することにより、電力制御回路20を制御する。
【0054】
極性反転回路コントローラー43は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、極性反転回路30へ極性反転制御信号を出力することにより、極性反転回路30を制御する。
【0055】
なお、光源制御部40は、専用回路により実現して上述した制御や後述する処理の各種制御を行うようにすることもできるが、例えばCPU(Central Processing Unit)が記憶部44等に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、これらの処理の各種制御を行うようにすることもできる。図5は、光源制御部40の他の構成例について説明するための図である。図5に示されるように、光源制御部40は、制御プログラムにより、電力制御回路20を制御する電力制御手段40−1、極性反転回路30を制御する極性反転制御手段40−2として機能するように構成してもよい。
【0056】
また、図4に示される例では、光源制御部40は、放電灯点灯装置10−1の一部として構成されているが、光源制御部40の機能の一部又は全部を制御部580が担うように構成されていてもよい。
【0057】
放電灯点灯装置10−1は、動作検出部60を含んでもよい。動作検出部60は、例えば放電灯90−1の駆動電圧Vlaを検出し、駆動電圧情報を出力する電圧検出部や、駆動電流Iを検出し、駆動電流情報を出力する電流検出部を含んでもよい。本実施形態においては、電圧検出部は、第1及び第2の抵抗61及び62を含んで構成され、電流検出部は、第3の抵抗63を含んで構成されている。
【0058】
本実施形態において、電圧検出部は、放電灯90−1と並列に、互いに直列接続された第1の抵抗61及び第2の抵抗62で分圧した電圧により駆動電圧Vlaを検出する。また、本実施形態において、電流検出部は、放電灯90−1に直列に接続された第3の抵抗63に発生する電圧により駆動電流Iを検出する。
【0059】
放電灯点灯装置10−1は、イグナイター回路70を含んでもよい。イグナイター回路70は、放電灯90−1の点灯開始時にのみ動作し、放電灯90−1の点灯開始時に放電灯90−1の電極間(第1電極92と第2電極93との間)を絶縁破壊して放電路を形成するために必要な高電圧(放電灯90−1の通常点灯時よりも高い電圧)を放電灯90−1の電極間(第1電極92と第2電極93との間)に供給する。本実施形態においては、イグナイター回路70は、放電灯90−1と並列に接続されている。
【0060】
4.駆動電流の極性と電極の温度との関係
図6(A)ないし図6(D)は、放電灯90−1に供給する駆動電流Iの極性と電極の温度との関係を示す説明図である。なお、放電灯90−1についての本項の説明は、放電灯90−2についても同様に成立する。図6(A)及び図6(B)は、第1電極92−1及び第2電極93−1の動作状態を示している。図中には、第1電極92−1及び第2電極93−1の先端部分が示されている。第1電極92−1及び第2電極93−1の先端にはそれぞれ突起552p、562pが設けられている。第1電極92−1と第2電極93−1の間で生じる放電は、主として突起552pと突起562pとの間で生じる。本実施例では、突起が無い場合と比べて、第1電極92−1及び第2電極93−1における放電位置(アーク位置)の移動を抑えることができる。ただし、このような突起を省略してもよい。
【0061】
図6(A)は、第1電極92−1が陽極として動作し、第2電極93−1が陰極として動作する第1極性状態P1を示している。第1極性状態P1では、放電によって、第2電極93−1(陰極)から第1電極92−1(陽極)へ電子が移動する。陰極(第2電極93−1)からは、電子が放出される。陰極(第2電極93−1)から放出された電子は、陽極(第1電極92−1)の先端に衝突する。この衝突によって熱が生じ、そして、陽極(第1電極92−1)の先端(突起552p)の温度が上昇する。
【0062】
図6(B)は、第1電極92−1が陰極として動作し、第2電極93−1が陽極として動作する第2極性状態P2を示している。第2極性状態P2では、第1極性状態P1とは逆に、第1電極92−1から第2電極93−1へ電子が移動する。その結果、第2電極93−1の先端(突起562p)の温度が上昇する。
【0063】
このように、陽極の温度は、陰極と比べて高くなりやすい。ここで、一方の電極の温度が他方の電極と比べて高い状態が続くことは、種々の不具合を引き起こし得る。例えば、高温電極の先端が過剰に溶けた場合には、意図しない電極変形が生じ得る。その結果、アーク長が適正値からずれる場合がある。また、低温電極の先端の溶融が不十分な場合には、先端に生じた微少な凹凸が溶けずに残り得る。その結果、いわゆるアークジャンプが生じる(アーク位置が安定せずに移動する)場合がある。
【0064】
このような不具合を抑制する技術として、駆動電流Iとして、各電極の極性を繰り返し交替させる交流電流を放電灯90−1に供給する交流駆動を利用可能である。図6(C)は、放電灯90−1(図2)に供給される駆動電流Iの一例を示すタイミングチャートである。横軸は時間Tを示し、縦軸は駆動電流Iの電流値を示している。駆動電流Iは、放電灯90−1を流れる電流を示す。正値は、第1極性状態P1を示し、負値は、第2極性状態P2を示す。図6(C)に示される例では、駆動電流Iとして矩形波交流電流が利用されている。そして、図6(C)に示される例では、第1極性状態P1と第2極性状態P2とが交互に繰り返されている。ここで、第1極性区間Tpは、第1極性状態P1が続く時間を示し、第2極性区間Tnは、第2極性状態P2が続く時間を示す。また、図6(C)に示される例では、第1極性区間Tpの平均電流値はIm1であり、第2極性区間Tnの平均電流値は−Im2である。なお、放電灯90−1の駆動に適した駆動電流Iの周波数は、放電灯90−1の特性に合わせて、実験的に決定可能である(例えば、30Hz〜1kHzの範囲の値が採用される)。他の値Im1、−Im2、Tp、Tnも、同様に実験的に決定可能である。
【0065】
図6(D)は、第1電極92−1の温度変化を示すタイミングチャートである。横軸は時間Tを示し、縦軸は温度Hを示している。第1極性状態P1では、第1電極92−1の温度Hが上昇し、第2極性状態P2では、第1電極92−1の温度Hが降下する。また、第1極性状態P1と第2極性状態P2状態が繰り返されるので、温度Hは、最小値Hminと最大値Hmaxとの間で周期的に変化する。なお、図示は省略するが、第2電極93−1の温度は、第1電極92−1の温度Hとは逆位相で変化する。すなわち、第1極性状態P1では、第2電極93−1の温度が降下し、第2極性状態P2では、第2電極93−1の温度が上昇する。
【0066】
第1極性状態P1では、第1電極92−1(突起552p)の先端が溶融するので、第1電極92−1(突起552p)の先端が滑らかになる。これにより、第1電極92−1での放電位置の移動を抑制できる。また、第2電極93−1(突起562p)の先端の温度が降下するので、第2電極93−1(突起562p)の過剰な溶融が抑制される。これにより、意図しない電極変形を抑制できる。第2極性状態P2では、第1電極92−1と第2電極93−1の立場が逆である。したがって、2つの状態P1、P2を繰り返すことによって、第1電極92−1及び第2電極93−1のそれぞれにおける不具合を抑制できる。
【0067】
ここで、電流Iの波形が対称である場合、すなわち、電流Iの波形が「|Im1|=|−Im2|、Tp=Tn」という条件を満たす場合には、第1電極92−1と第2電極93−1との間で、供給される電力の条件が同じである。したがって、第1電極92−1及び第2電極93−1の熱的条件(温度の上がりやすさや下がりやすさ)が同一であれば、第1電極92−1と第2電極93−1との間の温度差が小さくなるものと推定される。
【0068】
また、電極が広い範囲にわたり加熱されすぎる(アークスポット(アーク放電に伴う電極表面上のホットスポット)が大きくなる)と過剰な溶融により電極の形状が崩れる。逆に、電極が冷えすぎる(アークスポットが小さくなる)と電極の先端が十分に溶融できず、先端を滑らかに戻せない、すなわち電極の先端が変形しやすくなる。したがって、電極に対して一様なエネルギー供給状態を継続すると、電極の先端(突起552p及び突起562p)が意図しない形状に変形しやすくなる。
【0069】
また、放電灯90−1の点灯状態を維持したまま放電灯90−1の第1電極92−1及び第2電極93−1に供給される電力を下げて駆動し続けると、放電灯90−1の第1電極92−1及び第2電極93−1の温度が下がり、電極材料(タングステンなど)が放電灯90−1の封体に析出する黒化現象が発生しやすくなる。黒化現象が発生すると、黒化した部分が光を吸収して放電灯の温度が上昇し、封体に用いられるガラスなどが結晶化して、失透現象が発生する原因となる。失透現象が発生すると、放電灯の照度が低下したり、封体が破損しやすくなったりする。
【0070】
5.本実施形態における駆動電力の制御例
次に、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の具体例について説明する。
【0071】
本実施形態において、プロジェクター500の制御部580は、それぞれの放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力の合計値WTを一定値とし、かつ、それぞれの放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力W1及びW2を時間的に変化させながらそれぞれの放電灯90−1及び90−2に供給するように、それぞれの放電灯駆動部230−1及び230−2を制御する。
【0072】
放電灯駆動部230−1及び230−2が、放電灯90−1及び90−2に駆動電流Iとして交流電流を供給することによって放電灯90−1及び90−2に駆動電力を供給する場合には、放電灯90−1に供給される駆動電力W1及び放電灯90−2に供給される駆動電力W2は、駆動電流Iの1周期あたりの平均電力としてもよい。
【0073】
図7(A)、図7(B)及び図7(C)は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の一例を説明するためのグラフである。図7(A)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−1の定格電力に対する放電灯90−1に供給される駆動電力W1の割合を表す。図7(B)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−2の定格電力に対する放電灯90−2に供給される駆動電力W2の割合を表す。図7(C)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−1及び90−2の定格電力に対する放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力の合計値WTの割合を表す。本実施形態においては、放電灯90−1及び90−2の定格電力は同一である。また、本実施形態においては、時刻t0から時刻t6は、全て等間隔である。
【0074】
制御部580は、放電灯90−1に供給される駆動電力W1及び90−2に供給される駆動電力W2を時間的に変化させながら放電灯90−1及び90−2に供給するように放電灯駆動部230−1及び230−2を制御する。図7(A)及び図7(B)に示される例では、駆動電力W1及び駆動電力W2を、放電灯90−1及び90−2の定格電力の30%以上80%以下の範囲で時間的に変化させている。
【0075】
放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力の変化のさせ方は、周期的なパターンで変化させてもよいし、ランダムに変化させてもよい。図7(A)及び図7(B)に示される例では、放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力を周期的なパターンで変化させている。駆動電力W1及びW2を周期的なパターンで変化させる場合における周期の長さは、例えば、10秒〜1分程度であってもよい。また、駆動電力W1及びW2が最大値をとる間隔、又は、駆動電力W1及びW2が最小値をとる間隔は、例えば、10秒〜1分程度であってもよい。
【0076】
図7(A)に示される例では、時刻t0から時刻t1までの期間、時刻t2から時刻t3までの期間、時刻t4から時刻t5までの期間では、駆動電力W1が放電灯90−1の定格電力の80%で一定となり、時刻t1から時刻t2までの期間、時刻t3から時刻t4までの期間、時刻t5から時刻t6までの期間では、駆動電力W1が放電灯90−1の定格電力の30%で一定となるように、駆動電力W1を周期的なパターンで変化させている。
【0077】
図7(B)に示される例では、時刻t0から時刻t1までの期間、時刻t2から時刻t3までの期間、時刻t4から時刻t5までの期間では、駆動電力W2が放電灯90−2の定格電力の30%で一定となり、時刻t1から時刻t2までの期間、時刻t3から時刻t4までの期間、時刻t5から時刻t6までの期間では、駆動電力W2が放電灯90−1の定格電力の80%で一定となるように、駆動電力W2を周期的なパターンで変化させている。
【0078】
制御部580は、放電灯90−1に供給される駆動電力W1と90−2に供給される駆動電力W2との合計値WTが一定値となるように放電灯駆動部230−1及び230−2を制御する。一定値は、例えば、使用者による操作などに基づいて設定された明るさに対応する値である。したがって、設定された明るさが異なる場合には、それぞれ異なった一定値が設定される。図7(C)に示される例では、合計値WTは、放電灯90−1及び90−2の定格電力の110%で一定値となっている。
【0079】
本実施形態によれば、駆動電力W1及びW2を時間的に変化させながら放電灯90−1及び90−2に供給されるように放電灯駆動部230−1及び230−2が制御されるので、放電灯90−1及び90−2の電極温度が低い状態を長時間継続することがなくなる。したがって、放電灯の劣化を抑制できるプロジェクターを実現できる。また、放電灯が劣化しない範囲で駆動電力の合計値の変化幅を広げることができるので、明るさの選択の幅が広いプロジェクターを実現できる。
【0080】
また、放電灯90−1及び90−2の照度は、供給される駆動電力に概ね比例する。本実施形態によれば、それぞれの放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力W1及びW2の合計値WTが一定値となるように放電灯駆動部230−1及び230−2が制御されるので、明るさの変化を抑制できるプロジェクターを実現できる。また、明るさの変化が抑制できるので、それぞれの放電灯に供給される駆動電力の変化周期や変化幅の自由度が大きくなる。これによって、放電灯の特性により適した駆動ができるプロジェクターが実現できる。
【0081】
本実施形態に係るプロジェクター500において、それぞれの放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力W1及びW2の最大値は、それぞれの放電灯90−1及び90−2が長時間点灯されても黒化現象を生じない電力であってもよい。放電灯90−1及び90−2が長時間点灯されても黒化現象を生じない電力は、通常は、放電灯90−1及び90−2の定格電力の70%程度以上である。
【0082】
本実施形態に係るプロジェクター500において、それぞれの放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力W1及びW2の最小値は、それぞれの放電灯90−1及び90−2が点灯状態を維持できる電力であってもよい。放電灯90−1及び90−2が点灯状態を維持できる電力は、通常は、放電灯90−1及び90−2の定格電力の20%程度以上である。
【0083】
駆動電力W1及びW2の最小値を放電灯90−1及び90−2が点灯状態を維持できる電力とすることによって、供給される駆動電力W1及びW2が変化しても放電灯90−1及び90−2は点灯状態を維持できる。したがって、使用者による操作などに基づいて投影される映像を明るくする場合に、放電灯90−1及び90−2を再点灯する必要がなく、短時間で明るさを変更できる。
【0084】
6.本実施形態における駆動電流の制御例
次に、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電流の制御の具体例について説明する。
【0085】
図8は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力W1と駆動電流Iの関係の一例を模式的に表すタイミングチャートである。図8の上のグラフの横軸は時間、縦軸は放電灯90−1の駆動電力W1を表す。図8の下のグラフの横軸は時間、縦軸は放電灯90−1の駆動電流Iを表す。また、図8の下のグラフにおいて、放電灯90−1の第1電極92−1が陽極(第2電極93−1が陰極)となる場合の駆動電流Iを正値とし、放電灯90−1の第2電極93−1が陽極(第1電極92−1が陰極)となる場合の駆動電流Iを負値として表している。なお、以下では、主として放電灯90−1における駆動電力W1と駆動電流Iの関係について説明するが、放電灯90−2についても同様に成立する。
【0086】
図8の上のグラフは、図7(A)に示されるグラフの時刻t0から時刻t2までの期間に対応したグラフである。図8の下のグラフは、図8の上のグラフに対応する駆動電流I、すなわち、時刻t0から時刻t2までの期間における駆動電流Iを模式的に表している。
【0087】
放電灯90−1の駆動電圧Vlaが一定である場合には、放電灯90−1の駆動電力W1と駆動電流Iの絶対値とは比例関係となる。したがって、放電灯90−1の駆動電流Iを変化させることによって、放電灯90−1の駆動電力W1を変化させることができる。
【0088】
本実施形態において、それぞれの放電灯駆動部230−1及び230−2は、駆動電流Iとして交流電流を放電灯90−1及び90−2に供給することにより駆動電力W1及びW2を放電灯90−1及び90−2に供給している。駆動電流Iとして交流電流を放電灯90−1及び90−2に供給する利点については、「4.駆動電流の極性と電極の温度との関係」の項で述べたとおりである。
【0089】
以下の説明においては、極性反転1周期は、駆動電流Iが第1極性から第2極性へと変化する極性反転タイミングから、駆動電流Iが第1極性から第2極性へと変化する直近の極性反転タイミングまでの期間、又は、駆動電流Iが第2極性から第1電極へと変化する極性反転タイミングから、駆動電流Iが第2極性から第1極性へと変化する直近の極性反転タイミングまでの期間である。また、極性反転半周期は、駆動電流Iが第1極性から第2極性へと変化する極性反転タイミングから、駆動電流Iが第2極性から第1極性へと変化する直近の極性反転タイミングまでの期間、又は、駆動電流Iが第2極性から第1電極へと変化する極性反転タイミングから、駆動電流Iが第1極性から第2極性へと変化する直近の極性反転タイミングまでの期間である。
【0090】
図8に示される例では、駆動電流Iの極性反転1周期の期間中は、駆動電流Iの絶対値は一定となっている。すなわち、駆動電流Iの波形は、いわゆる矩形状の波形となっている。なお、駆動電流Iの波形はこれに限らず、駆動電流Iの極性反転半周期の期間中において、駆動電流Iの絶対値が、第1の電流値となる期間で始まり、第1の電流値よりも大きい第2の電流値となる期間で終わる波形や、駆動電流Iの極性反転半周期の期間中において、駆動電流Iの絶対値が単調増加する波形など、駆動電流Iの極性反転1周期の期間中において、駆動電流Iの絶対値が異なる値をとる波形であってもよい。
【0091】
本実施形態において、制御部580は、それぞれの駆動電流Iの極性反転1周期あたりの駆動電力W1及びW2の平均値を変化させるように、駆動電流Iを時間的に変化させながらそれぞれの放電灯90−1及び90−2に供給するように放電灯駆動部230−1及び230−2を制御してもよい。この場合には、駆動電力W1及びW2を周期的なパターンで変化させる場合においては、駆動電力W1及びW2の変化の1周期は、駆動電流Iの極性反転1周期よりも長くなる。図8に示される例では、駆動電流Iの極性反転10周期ごとに駆動電力W1の平均値を変化させている。
【0092】
本実施形態に係るプロジェクター500によれば、制御部580が、駆動電流Iの極性反転1周期あたりの駆動電力W1及びW2の平均値を時間的に変化させるように駆動電流Iを変化させながら放電灯90−1及び90−2に供給するように放電灯駆動部230−1及び230−2を制御することによって、放電灯90−1及び90−2の電極温度をより確実に上昇させることができる。これによって、放電灯90−1及び90−2の電極温度が低い状態を長時間継続することがなくなる。したがって、放電灯90−1及び90−2の黒化現象の発生を抑制できる。
【0093】
7.駆動電力の制御の変形例
図9(A)、図9(B)及び図9(C)は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の第1の変形例を説明するためのグラフである。図9(A)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−1の定格電力に対する放電灯90−1に供給される駆動電力W1の割合を表す。図9(B)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−2の定格電力に対する放電灯90−2に供給される駆動電力W2の割合を表す。図9(C)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−1及び90−2の定格電力に対する放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力の合計値WTの割合を表す。以下では、図7(A)、図7(B)及び図7(C)を用いて説明した制御との相違点を中心に説明する。
【0094】
図9(A)に示される例では、放電灯90−1に供給される駆動電力W1を周期的なパターンで変化させている。また、図9(A)に示される例では、時刻t0から時刻t1までの期間、時刻t2から時刻t3までの期間、時刻t4から時刻t5までの期間では、駆動電力W1が放電灯90−1の定格電力の30%から80%まで直線的に単調増加し、時刻t1から時刻t2までの期間、時刻t3から時刻4までの期間、時刻t5から時刻t6までの期間では、駆動電力W1が放電灯90−1の定格電力の80%から30%まで直線的に単調減少するように、駆動電力W1を周期的なパターンで変化させている。
【0095】
図9(B)に示される例では、放電灯90−2に供給される駆動電力W2を周期的なパターンで変化させている。また、図9(B)に示される例では、時刻t0から時刻t1までの期間、時刻t2から時刻t3までの期間、時刻t4から時刻t5までの期間では、駆動電力W2が放電灯90−2の定格電力の80%から30%まで直線的に単調減少し、時刻t1から時刻t2までの期間、時刻t3から時刻t4までの期間、時刻t5から時刻t6までの期間では、駆動電力W2が放電灯90−2の定格電力の80%から30%まで直線的に単調減少するように、駆動電力W2を周期的なパターンで変化させている。
【0096】
図9(A)及び図9(B)に示されるように放電灯90−1及び90−2に駆動電力W1及びW2を供給することによって、図9(C)に示されるように、放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力W1及びW2の合計値WTは、放電灯90−1及び90−2の定格電力の110%で一定値となる。
【0097】
図10(A)、図10(B)及び図10(C)は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の第2の変形例を説明するためのグラフである。図10(A)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−1の定格電力に対する放電灯90−1に供給される駆動電力W1の割合を表す。図10(B)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−2の定格電力に対する放電灯90−2に供給される駆動電力W2の割合を表す。図10(C)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−1及び90−2の定格電力に対する放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力の合計値WTの割合を表す。以下では、図7(A)、図7(B)及び図7(C)を用いて説明した制御との相違点を中心に説明する。
【0098】
図10(A)に示される例では、放電灯90−1の駆動電力W1を周期的なパターンで変化させている。また、図10(A)に示される例では、時刻t0から時刻t2までの期間、時刻t2から時刻t4までの期間、時刻t4から時刻t6までの期間をそれぞれ1周期とし、放電灯90−1の定格電力の80%を最大値、30%を最小値とする正弦曲線となるように、駆動電力W1を周期的なパターンで変化させている。
【0099】
図10(B)に示される例では、放電灯90−2の駆動電力W2を周期的なパターンで変化させている。また、図10(B)に示される例では、時刻t0から時刻t2までの期間、時刻t2から時刻t4までの期間、時刻t4から時刻t6までの期間をそれぞれ1周期とし、放電灯90−2の定格電力の80%を最大値、30%を最小値とする正弦曲線となるように、駆動電力W2を周期的なパターンで変化させている。
【0100】
また、図10(A)及び図10(B)に示される例では、放電灯90−1に供給される駆動電力W1と放電灯90−2に供給される駆動電力W2とは、互いに位相が180度ずれた正弦曲線となるように、放電灯90−1及び90−2の駆動電力W1及びW2を周期的なパターンで変化させている。したがって、図10(C)に示されるように、放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力W1及びW2の合計値WTは、放電灯90−1及び90−2の定格電力の110%で一定値となる。
【0101】
図11(A)、図11(B)及び図11(C)は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の第3の変形例を説明するためのグラフである。図11(A)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−1の定格電力に対する放電灯90−1に供給される駆動電力W1の割合を表す。図11(B)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−2の定格電力に対する放電灯90−2に供給される駆動電力W2の割合を表す。図11(C)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−1及び90−2の定格電力に対する放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力の合計値WTの割合を表す。以下では、図7(A)、図7(B)及び図7(C)を用いて説明した制御との相違点を中心に説明する。
【0102】
図11(A)に示される例では、放電灯90−1に供給される駆動電力W1を周期的なパターンで変化させている。また、図11(A)に示される例では、時刻t0から時刻t4までの期間を1周期とし、1周期当たり12ステップで段階的に駆動電力W1変化させている。また、放電灯90−1の定格電力の80%を最大値、30%を最小値となるように、駆動電力W1を変化させている。さらに、時刻t1及び時刻t5で最大値、時刻t3で最小値となるように駆動電力W1を変化させている。
【0103】
図11(B)に示される例では、放電灯90−2に供給される駆動電力W2を周期的なパターンで変化させている。また、図11(B)に示される例では、時刻t0から時刻t4までの期間を1周期とし、1周期当たり12ステップで段階的に駆動電力W2変化させている。また、放電灯90−1の定格電力の80%を最大値、30%を最小値となるように、駆動電力W2を変化させている。さらに、時刻t1及び時刻t5で最小値、時刻t3で最大値となるように駆動電力W2を変化させている。
【0104】
図11(A)及び図11(B)に示されるように放電灯90−1及び90−2に駆動電力W1及びW2を供給することによって、図11(C)に示されるように、放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力W1及びW2の合計値WTは、放電灯90−1及び90−2の定格電力の110%で一定値となる。
【0105】
図12(A)、図12(B)及び図12(C)は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の第4の変形例を説明するためのグラフである。図12(A)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−1の定格電力に対する放電灯90−1に供給される駆動電力W1の割合を表す。図12(B)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−2の定格電力に対する放電灯90−2に供給される駆動電力W2の割合を表す。図12(C)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−1及び90−2の定格電力に対する放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力の合計値WTの割合を表す。以下では、図7(A)、図7(B)及び図7(C)を用いて説明した制御との相違点を中心に説明する。
【0106】
図12(A)に示される例では、放電灯90−1に供給される駆動電力W1を周期的なパターンで変化させている。また、図12(A)に示される例では、時刻t0から時刻t1までの期間、時刻t1から時刻t2までの期間、時刻t2から時刻t3までの期間、時刻t3から時刻4までの期間、時刻t4から時刻t5までの期間、時刻t5から時刻t6までの期間では、それぞれ駆動電力W1が放電灯90−1の定格電力の30%から80%まで直線的に単調増加した後、期間の最後で放電灯90−1の定格電力の80%から30%まで瞬時に減少するように、駆動電力W1を周期的なパターンで変化させている。
【0107】
図12(B)に示される例では、放電灯90−2に供給される駆動電力W2を周期的なパターンで変化させている。また、図12(B)に示される例では、時刻t0から時刻t1までの期間、時刻t1から時刻t2までの期間、時刻t2から時刻t3までの期間、時刻t3から時刻4までの期間、時刻t4から時刻t5までの期間、時刻t5から時刻t6までの期間では、それぞれ駆動電力W1が放電灯90−2の定格電力の80%から30%まで直線的に単調減少した後、期間の最後で放電灯90−2の定格電力の30%から80%まで瞬時に増加するように、駆動電力W2を周期的なパターンで変化させている。
【0108】
図12(A)及び図12(B)に示されるように放電灯90−1及び90−2に駆動電力W1及びW2を供給することによって、図12(C)に示されるように、放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力W1及びW2の合計値WTは、放電灯90−1及び90−2の定格電力の110%で一定値となる。
【0109】
図13(A)、図13(B)及び図13(C)は、本実施形態に係るプロジェクター500における駆動電力の制御の第5の変形例を説明するためのグラフである。図13(A)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−1の定格電力に対する放電灯90−1に供給される駆動電力W1の割合を表す。図13(B)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−2の定格電力に対する放電灯90−2に供給される駆動電力W2の割合を表す。図13(C)の横軸は時間、縦軸は放電灯90−1及び90−2の定格電力に対する放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力の合計値WTの割合を表す。図13(A)、図13(B)及び図13(C)において、時刻t11は、時刻t0と時刻t1の中間の時刻、時刻t13は、時刻t2と時刻t3との中間の時刻、時刻t15は、時刻t4と時刻t5との中間の時刻である。以下では、図7(A)、図7(B)及び図7(C)を用いて説明した制御との相違点を中心に説明する。
【0110】
図13(A)に示される例では、放電灯90−1に供給される駆動電力W1を周期的なパターンで変化させている。また、図13(A)に示される例では、時刻t0から時刻t11までの期間、時刻t2から時刻t13までの期間、時刻t4から時刻t15までの期間では、駆動電力W1が放電灯90−1の定格電力の80%で一定となり、時刻t11から時刻t2までの期間、時刻t13から時刻t4までの期間、時刻t15から時刻t6までの期間では、駆動電力W1が放電灯90−1の定格電力の30%で一定となるように、駆動電力W1を周期的なパターンで変化させている。すなわち、図13(A)に示される例では、駆動電力W1が最大値となる時間の割合が、駆動電力W1が最小値となる時間の割合よりも小さくなっている。
【0111】
図13(B)に示される例では、放電灯90−2に供給される駆動電力W2を周期的なパターンで変化させている。また、図13(B)に示される例では、時刻t0から時刻t11までの期間、時刻t2から時刻t13までの期間、時刻t4から時刻t15までの期間では、駆動電力W2が放電灯90−2の定格電力の30%で一定となり、時刻t11から時刻t2までの期間、時刻t13から時刻t4までの期間、時刻t15から時刻t6までの期間では、駆動電力W2が放電灯90−1の定格電力の80%で一定となるように、駆動電力W2を周期的なパターンで変化させている。すなわち、図13(B)に示される例では、駆動電力W2が最大値となる時間の割合が、駆動電力W2が最小値となる時間の割合よりも大きくなっている。
【0112】
図13(A)及び図13(B)に示されるように放電灯90−1及び90−2に駆動電力W1及びW2を供給することによって、図13(C)に示されるように、放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力W1及びW2の合計値WTは、放電灯90−1及び90−2の定格電力の110%で一定値となる。
【0113】
また、図13(A)及び図13(B)に示される例では、放電灯90−1に供給される駆動電力W1の平均値と、放電灯90−2に供給される駆動電力W2の平均値とが異なっている。これによって、放電灯90−1と放電灯90−2とで異なる仕様の放電灯を用いることもできる。すなわち、プロジェクター500に用いる放電灯の選択肢が増える。
【0114】
第1の変形例、第2の変形例、第3の変形例、第4の変形例及び第5の変形例においても、駆動電力W1及びW2を時間的に変化させながら放電灯90−1及び90−2に供給されるように放電灯駆動部230−1及び230−2が制御されるので、放電灯90−1及び90−2の電極温度が低い状態を長時間継続することがなくなる。したがって、放電灯の劣化を抑制できるプロジェクターを実現できる。また、放電灯が劣化しない範囲で駆動電力の合計値の変化幅を広げることができるので、明るさの選択の幅が広いプロジェクターを実現できる。
【0115】
また、それぞれの放電灯90−1及び90−2に供給される駆動電力W1及びW2の合計値WTが一定値となるように放電灯駆動部230−1及び230−2が制御されるので、明るさの変化を抑制できるプロジェクターを実現できる。また、明るさの変化が抑制できるので、それぞれの放電灯に供給される駆動電力の変化周期や変化幅の自由度が大きくなる。これによって、放電灯の特性により適した駆動ができるプロジェクターが実現できる。
【0116】
上記各実施形態においては、放電灯を含む光源部を2つ有するプロジェクターを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、放電灯を含む光源部を3つ以上有するプロジェクターにも適用可能である。
【0117】
上記各実施形態においては、3つの液晶パネルを用いたプロジェクターを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つ、2つ又は4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも適用可能である。
【0118】
上記各実施形態においては、透過型のプロジェクターを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、反射型のプロジェクターにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶パネル等のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、反射型の液晶パネルやマイクロミラー型光変調装置などのように光変調手段としての電気光学変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス;Texas Instruments社の商標)を用いることができる。反射型のプロジェクターにこの発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を得ることができる。
【0119】
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも可能である。
【0120】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0121】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0122】
10−1,10−2 放電灯点灯装置、20 電力制御回路、21 スイッチ素子、22 ダイオード、23 コイル、24 コンデンサー、30 極性反転回路、31 第1のスイッチ素子、32 第2のスイッチ素子、33 第3のスイッチ素子、34 第4のスイッチ素子、40 制御部、40−1 電力制御手段、40−2 極性反転制御手段、41 システムコントローラー、42 電力制御回路コントローラー、43 極性反転回路コントローラー、44 記憶部、50−1 副反射鏡、60 動作検出部、61 第1の抵抗、62 第2の抵抗、63 第3の抵抗、70 イグナイター回路、80 直流電源装置、90−1,90−2 放電灯、90e1 第1端部、90e2 第2端部、91−1 放電空間、92−1 第1電極、93−1 第2電極、112−1 主反射鏡、114 固定部材、200−1,200−2 光源部、210−1 光源ユニット、230−1,230−2 放電灯駆動部、305 平行化レンズ、310 照明光学系、320 色分離光学系、330R,330G,330B 液晶ライトバルブ、340 クロスダイクロイックプリズム、350 投写光学系、500 プロジェクター、502 映像信号、510 映像信号変換部、512R,512G,512B 映像信号、514 通信信号、522 固定部材、534 導電性部材、536 第1端子、544 導電性部材、546 第2端子、552p 突起、560R,560G,560B 液晶パネル、562p 突起、570 映像処理装置、572R,572G,572B 駆動信号、580 制御部、580−1 第1モード制御手段、580−2 第2モード制御手段、582,584,586,588 通信信号、590 操作受付部、592 操作、594 通信信号、600 交流電源、700 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源部と、
前記光源部を制御する制御部と、
を含み、
前記光源部は、それぞれ、放電灯と、前記放電灯に駆動電力を供給して前記放電灯を駆動する放電灯駆動部と、を含み、
前記制御部は、
それぞれの前記放電灯に供給される前記駆動電力の合計値を一定値とし、かつ、
それぞれの前記放電灯に供給される前記駆動電力を時間的に変化させながらそれぞれの前記放電灯に供給するように、それぞれの前記放電灯駆動部を制御する、プロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
それぞれの前記放電灯駆動部は、駆動電流として交流電流を前記放電灯に供給することにより前記駆動電力を前記放電灯に供給し、
前記制御部は、それぞれの前記駆動電流の極性反転1周期あたりの前記駆動電力の平均値を時間的に変化させるように、前記駆動電流をそれぞれの前記放電灯に供給するように前記放電灯駆動部を制御する、プロジェクター。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載のプロジェクターにおいて、
それぞれの前記放電灯に供給される前記駆動電力の最小値は、それぞれの前記放電灯が点灯状態を維持できる電力である、プロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−185965(P2012−185965A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47275(P2011−47275)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】