説明

プロジェクター

【課題】装置の大型化、複雑化を抑制でき、光学素子を効率良く冷却できるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクターは、表面を有し、第1軸及び第1軸と直交する第2軸を含む所定面と表面とがほぼ平行となるように配置される光変調素子と、第1軸と平行な方向に関して表面の端部と対向して配置され、表面が面する空間に空気を送風する第1給気口と、第2軸と平行な方向に関して第1給気口の第1側に配置され、空間に空気を送風する第2給気口と、空気を送出可能な空気供給装置と、空気供給装置からの空気を第1給気口と第2給気口とのそれぞれに分配する流路形成部材と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して投影するプロジェクターにおいて、光変調素子等の光学素子に空気を送風して、その光学素子を冷却する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなプロジェクターでは、ファンを使って空気を取り入れ、その取り入れた空気を、流路を介して光学素子に送風する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009―086181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のプロジェクターは、ファンを複数有しており、複数のファンのそれぞれから送られた空気を光学素子に供給していた。そのため、空気を送るのに効率が低く、また、プロジェクターが大型化してしまっていた。また、複数のファンを制御する必要があり、ファン制御が複雑化していた。
【0005】
本発明の態様は、装置の大型化、複雑化を抑制でき、光学素子を効率良く冷却できるプロジェクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に従えば、表面を有し、第1軸及び前記第1軸と直交する第2軸を含む所定面と前記表面とがほぼ平行となるように配置される光変調素子と、前記第1軸と平行な方向に関して前記表面の端部と対向して配置され、前記表面が面する空間に空気を送風する第1給気口と、前記第2軸と平行な方向に関して前記第1給気口の第1側に配置され、前記空間に空気を送風する第2給気口と、空気を送出可能な空気供給装置と、前記空気供給装置からの空気を前記第1給気口と前記第2給気口とのそれぞれに分配する流路形成部材と、を備えるプロジェクターが提供される。
【0007】
本発明の一態様によれば、流路形成部材を設けたので、1つの空気供給装置から第1、第2給気口のそれぞれに空気を供給することができる。そのため、装置の大型化が抑制される。また、空気供給装置が1つでよいため、制御の複雑化が抑制される。また、光変調素子の表面の端部と対向するように、表面が面する空間に空気を供給可能な第1、第2給気口を設けたので、光変調素子を効率良く冷却できる。また、第1、第2給気口が、第2軸に沿って配置されているため、空間において所望の気流を生成できる。したがって、冷却効率の向上が図れる。また、1つの空気供給装置からの空気を、第1給気口及び第2給気口のそれぞれから空間に送風することにより、例えば1つの給気口から空気を送風する場合に比べて、良好な冷却効率を得ることができる。具体的には、第1給気口の面積W1の第2給気口の面積W2との和をWとした場合、面積がWである1つの給気口から空気を送風する場合に比べて、風量は同等で高い流速が得られる。そのため、良好な冷却効率を得ることができる。
【0008】
前記第1側は前記流路形成部材における流路下流側であり、前記第2給気口の開口面積は、前記第1給気口の開口面積よりも小さい構成でもよい。流路形成部材を流れる空気の方向に沿って第1、第2給気口が配置された場合に上記構成とすることにより、第1給気口から送風される空気の流速と、第2給気口から送風される空気の流速とを異ならせることができる。したがって、空間において所望の空気の流れを生成でき、高い冷却効率を得ることができる。
【0009】
前記第2軸と平行な方向に関して前記第1給気口の前記第1側とは反対側の第2側の開口端は、前記第2軸と平行な方向における前記第2側の前記表面よりも前記第2側に配置される構成でもよい。こうすることにより、第1給気口からの空気は、空間(表面)の広い領域に供給される。
【0010】
前記第2軸と平行な方向に関して前記第2給気口の前記第2側の開口端は、前記表面の中心よりも前記第1側に配置される構成でもよい。こうすることにより、第1給気口からの空気の流れを第2給気口からの空気によって良好に制御でき、空間において所望の気流を生成できる。
【0011】
前記第2軸と平行な方向に関して前記第1給気口の前記第1側の開口端は、前記表面の中心よりも前記第1側に配置される構成でもよい。こうすることにより、第1給気口からの空気は、空間(表面)の広い領域に供給される。
【0012】
前記流路形成部材は、前記第2給気口からの前記空気の送風方向を前記第2側に傾斜させる傾斜部を備える構成でもよい。こうすることにより、第1給気口からの空気の送風方向を第2給気口からの空気によって制御することができる。また、第1給気口からの空気を拡散して、表面の広い領域に当てることができる。
【0013】
前記第1、第2給気口は、前記第1給気口からの空気と前記第2給気口からの空気とが前記表面の中心で衝突するように、それぞれ給気される前記空気の角度が異なっている構成でもよい。第1給気口からの空気と第2給気口からの空気とが表面の中心で衝突することによって、いわゆる衝突噴流冷却によって、光変調素子を効率良く冷却できる。
【0014】
前記第2軸と平行な方向に関して前記第1給気口の前記第1側の開口端は、前記表面の中心よりも前記第1側とは反対側の第2側に配置される構成でもよい。こうすることにより、第1給気口からの空気は、例えば表面の中心に向けて良好に送風される。
【0015】
前記第2軸と平行な方向に関して前記第2給気口の前記第2側の開口端は、前記表面の中心よりも前記第1側に配置される構成でもよい。こうすることにより、第2給気口からの空気は、例えば表面の中心に向けて良好に送風される。
【0016】
前記第1給気口の前記第2側の開口端側の斜面の前記表面の中心に対する角度は、前記第2給気口の前記第1側の開口端側の斜面の前記表面の中心に対する角度と同じであり、前記第1給気口の前記第1側の開口端側の斜面の前記表面の中心に対する角度は、前記第2給気口の前記第2側の開口端側の斜面の前記表面の中心に対する角度と異なる構成でもよい。こうすることにより、表面の中心に対する第1給気口からの送風方向(送風角度)と、第2給気口からの送風方向(送風角度)とを異ならせることができる。したがって、空間において所望の気流が生成され、高い冷却効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係るプロジェクターの一例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る冷却ユニットの一例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る流路形成部材を上面側から見た図である。
【図4】本実施形態に係る流路形成部材を下面側から見た図である。
【図5】本実施形態に係る液晶パネルと給気口との関係を示す図である。
【図6】本実施形態に係る液晶パネルと給気口との関係を示す図である。
【図7】本実施形態に係る冷却ユニットの動作の一例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る冷却ユニットの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0019】
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の一例を示す図である。本実施形態において、プロジェクター1は、外装ケース100と、外装ケース100の内部空間SPに配置された光学ユニット2と、内部空間SPに配置された冷却ユニット3とを備える。また、プロジェクター1は、内部空間SPに配置された電源装置200と、内部空間SPの空気を排出する排気ファン300とを有する。
【0020】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内におけるプロジェクター1の投射方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、+X方向を投射側、−X方向を背面側とする。
【0021】
まず、本実施形態に係る光学ユニット2の一例について説明する。図1に示すように、本実施形態において、光学ユニット2は、照明光学系4と、色分離光学系5と、リレー光学系6と、光変調素子700を含む画像形成系7と、色合成光学系704と、投射光学系8と、収容筐体9とを備える。
【0022】
本実施形態において、光変調素子700は、液晶パネルを含む。以下の説明において、光変調素子700を適宜、液晶パネル700、と称する。
【0023】
本実施形態において、液晶パネル700は、液晶パネル700Rと、液晶パネル700Gと、液晶パネル700Bとを含む。以下の説明において、3つの液晶パネル700R、700G、700Bを総称して、液晶パネル700、と称する場合がある。
【0024】
照明光学系4は、光源装置401と、第1レンズアレイ402と、第2レンズアレイ403と、偏光変換素子404と、重畳レンズ405とを備えている。
【0025】
光源装置401は、光源ランプ(光源)401Aと、リフレクタ401Bとを有する。光源ランプ401Aは、例えばハロゲンランプを含む。リフレクタ401Bは、例えば放物面鏡を含む。光源ランプ401Aから射出された放射状の光は、リフレクタ401Bで反射する。リフレクタ401Bは、光源ランプ401Aからの光を平行光に変換する。
【0026】
第1、第2レンズアレイ402、403はそれぞれ、例えばマトリクス状に配置された複数のマイクロレンズを含む。第2レンズアレイ403は、重畳レンズ405とともに、光源装置401からの光を均一化して、液晶パネル700を照明する。
【0027】
偏光変換素子404は、第2レンズアレイ403と重畳レンズ405との間に配置される。偏光変換素子404は、第2レンズアレイ403からの光を一定方向の偏光光に変換する。偏光変換素子404からの光(偏光光)は、重畳レンズ405によって液晶パネル700に重畳される。
【0028】
色分離光学系5は、2つのダイクロイックミラー501、502と、反射ミラー503とを有する。色分離光学系5は、照明光学系4からの光を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する。以下の説明において、赤の色光を適宜、赤色光、と称し、緑の色光を適宜、緑色光、と称し、青の色光を適宜、青色光、と称する。
【0029】
ダイクロイックミラー501は、照明光学系4からの光のうち、赤色光成分及び緑色光成分を透過し、青色光成分を反射する。ダイクロイックミラー502は、ダイクロイックミラー501からの光のうち、赤色光成分を透過し、緑色光成分を反射する。反射ミラー503は、ダイクロイックミラー502からの光(赤色光)を反射する。
【0030】
画像形成系7は、入射した光を画像情報に応じて変調して、合成する。画像形成系7は、色分離光学系5からの各色光が入射する3つの入射側偏光板702と、それら入射側偏光板702の後段に配置される3つの液晶パネル700R、700G、700Bと、各液晶パネル700R、700G、700Bの後段に配置される3つの射出側偏光板703と、色合成光学系704とを備えている。
【0031】
入射側偏光板702は、色分離光学系5からの各色光のうち、一定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光を吸収する。 射出側偏光板703は、液晶パネル700からの光のうち、所定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光を吸収する。入射側偏光板702と射出側偏光板703とは、互いの偏光軸の方向が直交するように配置される。
【0032】
本実施形態において、液晶パネル700Rは、赤色光用の液晶パネルである。液晶パネル700Gは、緑色光用の液晶パネルである。液晶パネル700Bは、青色光用の液晶パネルである。
【0033】
色分離光学系5からの青色光は、液晶パネル700Bに供給される。本実施形態においては、ダイクロイックミラー501で反射した青色光が、反射ミラー503で反射し、フィールドレンズ701及び入射側偏光板702を介して、液晶パネル700Bに入射する。
【0034】
色分離光学系5からの緑色光は、液晶パネル700Gに供給される。本実施形態においては、ダイクロイックミラー502で反射した緑色光が、フィールドレンズ701及び入射側偏光板702を介して、液晶パネル700Gに入射する。
【0035】
色分離光学系5からの赤色光は、液晶パネル700Rに供給される。本実施形態においては、ダイクロイックミラー502を透過した赤色光は、リレー光学系6、フィールドレンズ701、及び入射側偏光板702を介して、液晶パネル700Rに入射する。なお、リレー光学系6は、入射側レンズ601と、リレーレンズ603と、反射ミラー602、604とを有する。
【0036】
色合成光学系704は、クロスダイクロイックプリズムを含み、射出側偏光板703から射出され、液晶パネル700R、700G、700Bによってそれぞれ変調された光を合成する。
【0037】
投射光学系8は、色合成光学系704で合成された光を拡大してスクリーンに投射する。
【0038】
収容筐体9は、照明光学系4、色分離光学系5、リレー光学系6、液晶パネル700を含む画像形成系7、色合成光学系704、及び投射光学系8を保持する。収容筐体9は、照明光学系4、色分離光学系5、リレー光学系6、液晶パネル700を含む画像形成系7、色合成光学系704、及び投射光学系8を収容する空間を形成する。収容筐体9は、例えば合成樹脂製である。
【0039】
次に、冷却ユニット3について説明する。図2は、本実施形態に係る冷却ユニット3の一例を示す図である。
【0040】
本実施形態において、液晶パネル700の表面は、光源装置401からの光が入射する入射面、及び光を射出する射出面の一方又は両方を含む。液晶パネル700の入射面と対向する位置に、入射側偏光板702が配置される。液晶パネル700の射出面と対向する位置に、射出側偏光板703が配置される。液晶パネル700の入射面が面する空間は、その液晶パネル700の入射面と入射側偏光板702との間の空間を含む。液晶パネル700の射出面が面する空間は、その液晶パネル700の射出面と射出側偏光板703との間の空間を含む。
【0041】
本実施形態において、冷却ユニット3は、液晶パネル700の入射面が面する空間に空気を送風して、その液晶パネル700及び入射側偏光板702を冷却する。また、冷却ユニット3は、液晶パネル700の射出面が面する空間に空気を送風して、その液晶パネル700及び射出側偏光板703を冷却する。
【0042】
なお、冷却ユニット3の冷却対象は、液晶パネル700、入射側偏光板702、及び射出側偏光板703の他に偏光変換素子404も含まれる。また、電源装置200にも空気を供給して、その電源装置を冷却してもよい。
【0043】
図1及び図2において、冷却ユニット3は、空気を送出可能な空気供給装置10と、空気供給装置10からの空気が流れる流路13を有する流路形成部材11(11A、11B)と、流路形成部材11の空気を吹き出す給気口21〜23、31〜34、41〜43、50とを備える。
【0044】
本実施形態において、給気口21〜23、31〜34、41〜43、50は、光学ユニット2の下方から、光学ユニット2の少なくとも一部に対して空気を吹き上げるように送風する。
【0045】
給気口21〜23は、液晶パネル700Bの表面が面する空間に空気を送風して、その液晶パネル700Bを冷却する。給気口21〜23は、液晶パネルBの表面の下端と対向するように配置される。給気口21、22は、液晶パネル700Bの入射面と入射側偏光板702との間の空間に空気を送風して、その液晶パネル700B及び入射側偏光板702を冷却する。給気口23は、液晶パネル700Bの射出面と射出側偏光板703との間の空間に空気を送風して、その液晶パネル700B及び射出側偏光板703を冷却する。
【0046】
給気口31〜34は、液晶パネル700Gの表面が面する空間に空気を送風して、その液晶パネル700Gを冷却する。給気口31〜34は、液晶パネル700Bの表面の下端と対向するように配置される。給気口31、32は、液晶パネル700Gの入射面と入射側偏光板702との間の空間に空気を送風して、その液晶パネル700G及び入射側偏光板702を冷却する。給気口33、34は、液晶パネル700Gの射出面と射出側偏光板703との間の空間に空気を送風して、その液晶パネル700G及び射出側偏光板703を冷却する。
【0047】
給気口41〜43は、液晶パネル700Rの表面が面する空間に空気を送風して、その液晶パネル700Rを冷却する。給気口41〜43は、液晶パネル700Rの表面の下端と対向するように配置される。給気口41、42は、液晶パネル700Rの入射面と入射側偏光板702との間の空間に空気を送風して、その液晶パネル700R及び入射側偏光板702を冷却する。給気口43は、液晶パネル700Rの射出面と射出側偏光板703との間の空間に空気を送風して、その液晶パネル700R及び射出側偏光板703を冷却する。
【0048】
給気口50は、偏光変換素子404の表面が面する空間に空気を送風して、その偏光変換素子404を冷却する。
【0049】
本実施形態において、液晶パネル700Rは、XZ平面と入射面及び射出面とがほぼ平行となるように配置される。液晶パネル700Rの入射面は、+Y方向を向き、射出面は、−Y方向を向く。液晶パネル700Gは、YZ平面と入射面及び射出面とがほぼ平行となるように配置される。液晶パネル700Gの入射面は、−X方向を向き、射出面は、+X方向を向く。液晶パネル700Bは、XZ平面と入射面及び射出面とがほぼ平行となるように配置される。液晶パネル700Gの入射面は、−Y方向を向き、射出面は、+Y方向を向く。
【0050】
空気供給装置10は、プロジェクター1の外部空間の空気(外気)を取り入れて、プロジェクター1の内部空間SPに空気を送風する。なお、プロジェクター1の外部空間は、プロジェクター1の外装ケース100の外部空間を含み、プロジェクター1の内部空間SPは、プロジェクター1の外装ケース100の内部空間SPを含む。空気供給装置10は、取り入れる外部空間の空気(外気)のごみ、埃等の異物を除去するフィルターユニット130、及び取り入れた外気をプロジェクター1の内部空間SPに送風可能な給気部12を有する。給気部12はシロッコファン等の給気ファンで構成される。
【0051】
流路形成部材11は、給気部12からの空気を各光学素子に導くように形成されている。流路形成部材11Aは、空気供給装置10の給気部12からの空気を、複数の給気口21〜23、31〜34、41〜43のそれぞれに分配して導く。流路形成部材11Bは、空気供給装置10の給気部12からの空気を、給気口50に導く。
【0052】
図3は、流路形成部材11を上面14側(+Z側)から見た図、図4は、流路形成部材11を下面15側(−Z側)から見た図である。流路形成部材11は、給気部12からの空気を分配する複数のガイド部16A、16B、16C、16D、16Eを有する。ガイド部16A〜16Eは、流路形成部材11の下面15に形成される。本実施形態において、給気部12は、流路形成部材11の下面15が面する空間S15(下面15側の空間S15)に空気を送風する。給気部12から送出された空気は、流路形成部材11の下面15側の空間S15において、ガイド部16A〜16Eにガイドされながら流れる。
【0053】
空気の流れを具体的に説明する。給気部12から送出された空気は、ガイド部16A〜16CによりA1,A2,A3、A4の4つに分配される。
【0054】
空気A1は、ガイド部16Aに沿って流れ、給気口22から、液晶パネル700Bの入射面と入射側偏光板702との間の空間に送風される。
【0055】
空気A2は、ガイド部16Aと16Bとの間を流れ、ガイド部16Dにより、さらに空気A5,A6に分配される。空気A5は、ガイド部16Aと16Dとの間を流れ、給気口41、42、43に進む。給気口41、42からは、液晶パネル700Rの入射面と入射側偏光板702との間の空間に送風され、給気口43からは、液晶パネル700Rの射出面と射出側偏光板703との間の空間に送風される。さらに、空気A5の一部は、給気口23へ進み、液晶パネル700Bの射出面と射出側偏光板703との間の空間に送風される。
【0056】
空気A6は、ガイド部16Dと16Bとの間を流れ、空気A5の一部と合流した後、給気口23へ進み、液晶パネル700Bの射出面と射出側偏光板703との間の空間に送風される。
【0057】
空気A3は、ガイド部16Bと16Cとの間を流れ、ガイド部16Eにより、さらに空気A7,A8に分配される。
【0058】
空気A7は、ガイド部16Bと16Eの間を流れ、給気口33,34に進み、液晶パネル700Gの射出面と射出側偏光板703との間の空間に送風される。さらに、空気A7の一部は、給気口21へ進み、液晶パネル700Bの射出面と射出側偏光板703との間の空間に送風される。
【0059】
空気A8は、ガイド部16Eと16Bとの間を流れ、給気口31,32に進み、液晶パネル700Gの入射面と入射側偏光板702との間の空間に送風される。さらに、空気A8の一部は、給気口21へ進み、液晶パネル700Bの射出面と射出側偏光板703との間の空間に送風される。
【0060】
空気A4は、ガイド部16Cに沿って流れ、給気口21から、液晶パネル700Bの入射面と入射側偏光板702との間の空間に送風される。空気A4の一部は、流路形成部材11Bへ流れ、給気口50から偏光変換素子404の表面が面する空間に送風される。
【0061】
図5は、液晶パネル700Gと給気口31、32との関係の一例を示す図である。図5は、液晶パネル700Gを入射面FG側から見た図である。流路形成部材11は、断面で表している。
【0062】
図5において、液晶パネル700Gは、YZ平面と入射面FGとが略平行となるように配置される。給気口31、32は、入射面FGの下側(−Z側)に並んで配置され、空間SGに空気を送風する。空間SGは、液晶パネル700Gと入射側偏光板702との間の空間を含む。
【0063】
本実施形態において、給気口32は、給気口31の第1側としての流路下流側(−Y側)に配置される。なお、給気口31が配置されている方向は、第1側の反対側である第2側としての流路上流側とする。
【0064】
給気口32の面積は、給気口31の面積よりも小さく形成されている。少なくとも空気が流れる方向(Y軸方向)の給気口32の寸法は、給気口31の寸法よりも小さくなるように形成されている。なお、本実施形態においては、X軸方向に関する給気口32の寸法は、給気口31の寸法とほぼ等しく形成されている。
【0065】
図5に示す例では、給気口31の流路上流側(+Y側)の開口端31Aは、空間SG(入射面FG)よりも、流路上流側に配置される。また、給気口31の流路下流側の開口端31Bは、空間SG(入射面FG)の中心を通る中心線CLGよりも、流路下流側に配置される。
【0066】
給気口32の流路上流側の開口端32Aは、中心線CLGよりも、流路下流側に配置される。また、給気口32の流路下流側の開口端32Bは、空間SG(入射面FG)の流路下流側端部よりも、流路上流側に配置される。流路形成部材11は、開口端32Bが基端32Cに対して流路上流側(+Y側)となるように傾斜した傾斜部32BSを備える。
【0067】
なお、開口端31Aが、空間SG(入射面FG)の流路上流側端部よりも、流路下流側に配置されてもよい。また、開口端31Bが、中心線CLGよりも、流路上流側に配置されてもよい。また、開口端32Aが、中心線CLGよりも、流路上流側に配置されてもよい。また、開口端32Bが、空間SG(入射面FG)の流路下流側端部よりも、流路下流側に配置されてもよい。
【0068】
図6は、液晶パネル700Bと給気口21、22との関係の一例を示す図である。図6は、液晶パネル700Bを入射面FB側から見た図である。流路形成部材11は、断面で表している。
【0069】
図6において、液晶パネル700Bは、XZ平面と入射面FBとがほぼ平行となるように配置される。給気口21、22は、空間SBの下側(−Z側)に並んで配置され、空間SBに空気を送風する。空間SBは、液晶パネル700Bと入射側偏光板702との間の空間を含む。
【0070】
本実施形態において、給気口22は、X軸方向に関して給気口21の第1側としての投射側(+X側)に配置される。なお、給気口21が配置されている方向は、第1側の反対側である第2側としての背面側とする。
【0071】
給気口21の面積は、給気口22の面積とほぼ等しくなるように形成されている。本実施形態において、投射方向(X軸方向)に関する給気口21の寸法は、給気口22の寸法とほぼ等しい。また、本実施形態においては、Y軸方向に関する給気口21の寸法は、給気口22の寸法とほぼ等しく形成されている。
【0072】
なお、給気口21の面積(寸法)と給気口22の面積(寸法)とが異なってもよい。
【0073】
図6に示す例では、給気口21の投射側(+X側)の開口端21Bは、空間SB(入射面FB)の中心を通る中心線CLBよりも、第1側としての投射側の反対側である第2側としての背面側(−X側)に配置される。給気口21の背面側の開口端21Aは、空間SB(入射面FB)の背面側端部よりも、投射側に配置される。
【0074】
また給気口22の背面側の開口端22Aは、中心線CLBよりも、投射側に配置される。給気口22の投射側の開口端22Bは、空間SB(入射面FB)の投射側端部よりも、背面側に配置される。
【0075】
なお、開口端21Aが、空間SB(入射面FB)の背面側端面よりも、背面側に配置されてもよい。開口端21Bが、中心線CLBよりも、投射側に配置されてもよい。
【0076】
また、開口端22Aが、中心線CLBよりも、背面側に配置されてもよい。開口端22Bが、空間SB(入射面FB)の投射側の開口端よりも、投射側に配置されてもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、給気口21の背面側(−X側)の開口端21A側の斜面21ASの中心線CLBに対する角度aは、給気口22の投射側(+X側)の開口端22B側の斜面22BSの中心線CLBに対する角度bと同じである。
【0078】
また、給気口21の投射側(+X側)の開口端21B側の斜面21BSの中心線CLBに対する角度cは、給気口22の背面側(−X側)の開口端22A側の斜面22ASの中心線CLBに対する角度dと異なる。
【0079】
また、本実施形態においては、斜面21ASと斜面21BSとがなす角度eと、斜面22ASと斜面22BSとがなす角度fとは異なる。本実施形態においては、角度eは、角度fよりも小さい。
【0080】
図7は、給気口31、32から空間SGに空気が送風されている状態の一例を示す図である。図7に示すように、給気口32から送風される空気H2は、傾斜部32BSによって流路上流側(+Y側)に向けて送風方向を傾斜させられている。
【0081】
本実施形態においては、給気口31は大きく、流路13の空気の流速と給気口31から送風される空気H1の流速とは、ほぼ同じになる。
【0082】
また、本実施形態においては、給気口31からの空気H1の少なくとも一部は、給気口31と空間SGとの間Bにおいて、流路下流側(−Y側)に向かって流れる。
【0083】
すなわち、本実施形態においては、給気口31からの空気H1は、流路13を流れてきているため、給気口31からも流路下流側(−Y側)に向かって流れようとする。給気口32からは、給気口31からの空気の流れ(流れの向き)を調整するように、流路上流側(+Y側)に空気H2を送風する。
【0084】
給気口31からの空気H1は、給気口32からの空気H2と合流することによって、送風方向が流路上流側(+Y側)に変更される。これにより、給気口31からの空気H1と給気口32からの空気H2とが合流して、Z軸に沿って流れる空気H3となる。そのため、液晶パネル700Gの入射面FGのほぼ全域に多くの空気が送風される。液晶パネル700G及び入射側偏光板702の全域に空気が送付されることにより、液晶パネル700G及び入射側偏光板702は効率良く冷却される。
【0085】
図8は、給気口21、22から空間SBに空気が送風されている状態の一例を示す図である。図8に示すように、給気口21は、投射側(+X側)に向けて空気を送風する。給気口22は、背面側(−X側)に向けて空気を送風する。
【0086】
給気口21は、空間SB(入射面FB)の中心に対して−X側から、空間SB(入射面FB)の中心に向けて空気を送風する。給気口22は、空間SB(入射面FB)の中心に対して+X側から、空間SB(入射面FB)の中心に向けて空気を送風する。
【0087】
給気口21、22は、給気口21からの空気と給気口22からの空気とが空間SB(入射面FB)の中心で衝突するように、それぞれ給気される空気の角度が異なっている。給気口21からの空気と給気口22からの空気とは、空間SB(入射面FB)の中心で衝突する。これにより、いわゆる衝突噴流冷却が行われる。
【0088】
図6及び図8に示すように、給気口21に向かって徐々に小さくなるように(絞られるように)、流路13が形成される。同様に、給気口22に向かって徐々に小さくなるように(絞られるように)、流路13が形成される。これにより、給気口21、22からの空気の流速が増す。例えば、給気口21、22から送風される空気の流速は、流路13の空気の流速よりも増す。したがって、良好な冷却効率が得られる。
【0089】
上述したように、角度eと角度fとは異なり、給気口21から送風される空気の流速と、給気口21から送風される空気の流速とは、異なる。また、角度cと角度dとは異なり、給気口21からの送風方向(空間SBの中心に対する送風角度)と、給気口22からの送風方向(空間SBの中心に対する送風角度)とは異なる。それら給気口21からの空気と給気口22からの空気とが、空間SB(入射面FB)の中心で衝突することにより、良好な冷却効率が得られる。また、斜面21ASと斜面22BSの中心線に対する角度aと角度bとは同じであり、給気口21,22からの送風角度は、斜面21BSと斜面22ASの角度によって調整されている。中心線CLBに対して外側の斜面21ASと斜面22BSの角度とが同じであることにより、給気口21,22から送風される冷却空気を空間SB(入射面FB)のほぼ中心に向かわせながら、内側の斜面21ASと斜面22BSの角度を調整することにより、冷却空気の衝突位置の精度を高めている。
【0090】
これにより、空間SBにおいて、所望の空気の流れが生成される。液晶パネル700B及び入射側偏光板702は、給気口21、22からの空気によって効率良く冷却される。
【0091】
以上説明したように、本実施形態によれば、Z軸と平行な方向に関して液晶パネル700の表面の下端と対向するように、表面が面する空間に空気を送風可能な給気口21、22(31、32)を設けたので、液晶パネル700を効率良く冷却できる。給気口21、22(31、32)が、X軸(Y軸)に沿って配置されているため、空間において所望の気流を生成できる。したがって、冷却効率の向上が図れる。また、空気供給装置10からの空気を複数の給気口21、22(31、32)に分配する流路13を設けたので、1つの空気供給装置10から複数の給気口21、22(31、32)のそれぞれに空気を送風することができる。したがって、装置の大型化、複雑化が抑制される。
【0092】
また、本実施形態においては、1つの空気供給装置10からの空気を、2つの給気口21、22(31、32)のそれぞれから空間に送風することにより、例えば1つの給気口から空気を送風する場合に比べて、良好な冷却効率を得ることができる。例えば、流路13を流れる空気が、面積W1の給気口21(31)及び面積W2の給気口22(32)のそれぞれから送風される場合、面積W(=W1+W2)の1つの給気口から送風される場合に比べて、高い流速を得ることができる。したがって、良好な冷却効率を得ることができる。
【0093】
なお、本実施形態においては、給気口21、22からの空気で液晶パネル700Bを冷却することとしたが、液晶パネル700Rを冷却してもよいし、液晶パネル700Gを冷却してもよい。
【0094】
なお、本実施形態においては、給気口31、32からの空気で液晶パネル700Gを冷却することとしたが、液晶パネル700Rを冷却してもよいし、液晶パネル700Bを冷却してもよい。
【0095】
なお、本実施形態においては、液晶パネル700と入射側偏光板702との間に空気を送風することとしたが、もちろん、液晶パネル700と射出側偏光板703との間に空気を送風してもよい。
【0096】
なお、本実施形態においては、光変調素子が液晶パネルであることとしたが、例えばデジタルマイクローミラーでもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…プロジェクター、2…光学ユニット、3…冷却ユニット、21…給気口、21A…開口端、21B…開口端、22…給気口、22A…開口端、22B…開口端、31…給気口、31A…開口端、31B…開口端、32…給気口、32A…開口端、32B…開口端、700…液晶パネル、700R…液晶パネル、700G…液晶パネル、700B…液晶パネル、FG…入射面、FB…入射面、SG…空間、SB…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有し、第1軸及び前記第1軸と直交する第2軸を含む所定面と前記表面とがほぼ平行となるように配置される光変調素子と、
前記第1軸と平行な方向に関して前記表面の端部と対向して配置され、前記表面が面する空間に空気を送風する第1給気口と、
前記第2軸と平行な方向に関して前記第1給気口の第1側に配置され、前記空間に空気を送風する第2給気口と、
空気を送出可能な空気供給装置と、
前記空気供給装置からの空気を前記第1給気口と前記第2給気口とのそれぞれに分配する流路形成部材と、を備えるプロジェクター。
【請求項2】
前記第1側は前記流路形成部材における流路下流側であり、
前記第2給気口の開口面積は、前記第1給気口の開口面積よりも小さい請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記第2軸と平行な方向に関して前記第1給気口の前記第1側とは反対側の第2側の開口端は、前記第2軸と平行な方向における前記第2側の前記表面よりも前記第2側に配置される請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記第2軸と平行な方向に関して前記第2給気口の前記第2側の開口端は、前記表面の中心よりも前記第1側に配置される請求項3に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第2軸と平行な方向に関して前記第1給気口の前記第1側の開口端は、前記表面の中心よりも前記第1側に配置される請求項3又は4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記流路形成部材は、前記第2給気口からの前記空気の送風方向を前記第2側に傾斜させる傾斜部を備える請求項2〜5のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記第1、第2給気口は、前記第1給気口からの空気と前記第2給気口からの空気とが前記表面の中心で衝突するように、それぞれ給気される前記空気の角度が異なっている請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記第2軸と平行な方向に関して前記第1給気口の前記第1側の開口端は、前記表面の中心よりも前記第1側とは反対側の第2側に配置される請求項7に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記第2軸と平行な方向に関して前記第2給気口の前記第2側の開口端は、前記表面の中心よりも前記第1側に配置される請求項8に記載のプロジェクター。
【請求項10】
前記第1給気口の前記第2側の開口端側の斜面の前記表面の中心に対する角度は、前記第2給気口の前記第1側の開口端側の斜面の前記表面の中心に対する角度と同じであり、
前記第1給気口の前記第1側の開口端側の斜面の前記表面の中心に対する角度は、前記第2給気口の前記第2側の開口端側の斜面の前記表面の中心に対する角度と異なる請求項9に記載のプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−220560(P2012−220560A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83602(P2011−83602)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】