プロジェクター
【課題】低騒音化を図るとともに、外装筺体の小型化を図ることができるプロジェクターを提供する。
【解決手段】2つの両吸いタイプの吸気ファン66G,66Bのうち吸気ファン66Gは、その軸方向を外装筺体3の厚さ方向に沿わせるように外装筺体3の底面部と光学ユニット50との間に配置され、吸気ファン66Bは、その軸方向が外装筺体3の厚さ方向と直交するように外装筺体3の前面部と光学ユニット50との間に配置されていることを特徴としている。
【解決手段】2つの両吸いタイプの吸気ファン66G,66Bのうち吸気ファン66Gは、その軸方向を外装筺体3の厚さ方向に沿わせるように外装筺体3の底面部と光学ユニット50との間に配置され、吸気ファン66Bは、その軸方向が外装筺体3の厚さ方向と直交するように外装筺体3の前面部と光学ユニット50との間に配置されていることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像情報に応じた画像をスクリーンなどの被投射面上に投射する光学ユニットと、この光学ユニットを内部に収容する外装筺体とを備えたプロジェクターにおいては、液晶ライトバルブなどの発熱部品を冷却するために冷却装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。
また、プロジェクターと被投射面との距離を短縮するべく、反射ミラーにより画像を反射させてから画像光を投射させるいわゆる超短焦点タイプのプロジェクターが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−242135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、上述した従来のプロジェクターにあっては、商品性を向上するべく外装筺体とりわけ幅寸法の更なる小型化が要望されている。しかし、上記プロジェクターは比較的大型な吸気ファンを有しているため、吸気ファン用の設置スペースを確保する必要があり外装筺体の小型化が困難になっているという課題がある。
一方、上記吸気ファンを比較的小型な吸気ファンに置き換えることも考えられるが、小型の吸気ファンで大型の吸気ファンと同じ吸入空気量を確保しようとすると、回転数が高くなり騒音が大きくなってしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、低騒音化を図るとともに、外装筺体の小型化を図ることができるプロジェクターを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、上記課題を解決するために、光束を射出する光源装置と、 前記光束を画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、該光変調装置により変調された光束を被投射面に投射する投射光学装置とを有する光学ユニットと、該光学ユニットを収容する外装筺体と、前記光変調装置にそれぞれ対応した複数の吸気ファンとを備え、前記外装筺体の前後方向一側且つ、前記外装筺体の幅方向一側に前記光源装置が配置されるとともに、幅方向他側に前記光変調装置が配置され、前記外装筺体の幅方向他側には、前記投射光学装置が前後方向に延在して配置され、前記複数の吸気ファンは、軸方向の両方から吸入する2つの両吸いタイプの吸気ファンを含み、前記外装筺体の幅方向他側の側面には吸気口が設けられ、前記2つの両吸いタイプの吸気ファンのうち、一方のファンは、その軸方向を前記外装筺体の厚さ方向に沿わせるように前記外装筺体の厚さ方向の一方の面と前記光学ユニットとの間に配置され、他方のファンは、その軸方向が前記外装筺体の厚さ方向と直交するように前記外装筺体の前後方向の一方の面と前記光学ユニットとの間に配置されていることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、外装筺体の幅寸法の小型化には影響を及ぼさない光学ユニットと外装筺体の厚さ方向の一方の面との間、および、光学ユニットと外装筺体の前後方向の一方の面との間に両吸いタイプの吸気ファンを設けることで、デッドスペースを有効利用することができ、外装筺体の幅方向の寸法が増大するのを防止することができる。また、両吸いタイプの吸気ファンを設けることで、片吸いタイプの吸気ファンよりも吸入空気量を増加させることができるため、片吸いタイプの吸気ファンと同じ吸入空気量で駆動させた場合、両吸いタイプの吸気ファンの回転数を低下させて低騒音化することができる。なお、両吸いタイプの吸気ファンの場合には、塵埃の吸入防止のためのケーシング等により吸気ファンを囲う必要があるが、光学ユニットと外装筺体の厚さ方向の一方の面との間に吸気ファンを配置することで、ケーシング等を設置するためのスペースを十分に確保することができる。
【0008】
また、前記両吸いタイプの吸気ファンの前記光学ユニット側とは反対側には前記両吸いタイプの吸気ファンを所定の空間を有して覆うファン格納部が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、両吸いタイプの吸気ファンの前記光学ユニット側とは反対側には両吸いタイプの吸気ファンを所定の空間を有して覆うファン格納部が設けられているため、両吸いタイプの吸気ファン吸入部が片側しか直接吸気口と通じていなくても吸気能力を向上させることができる。よって吸入空気量を増加させることができるため、片吸いタイプの吸気ファンと同じ吸入空気量で駆動させた場合、両吸いタイプの吸気ファンの回転数を低下させて低騒音化することができる。
【0009】
また、前記複数の吸気ファンには、前記光変調装置の対応する光変調素子に冷却風を導くダクトが接続されていることが好ましい。
本発明によれば、複数の吸気ファンが光変調装置に比較的近い位置に配置されるため、ダクト長を短縮化して流路抵抗を低減し、吸気ファンによる冷却効率を向上させることができる。
【0010】
また、前記ダクトは、前記外装筺体の厚さ方向の一方の面と前記光学ユニットとの間に配索されていることが好ましい。
本発明によれば、光学ユニットと外装筺体の厚さ方向の一方の面との間のスペースを有効利用して外装筺体の平面サイズが増加するのを防止することができる。
【0011】
また、前記吸気口には、前記複数の吸気ファンへの吸気ルートを相互に分離する隔壁が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、隔壁により複数の吸気ファン毎に吸気口が分離されるため、例えば、外部から空気を吸入する時の吸気ファン毎の回転数の違いや、吸入性能の違いなどにより、吸気ファン同士が互いの吸入空気量に影響を与えるのを抑制することができる。
また、前記吸気口には、エアーフィルターが設けられていることが好ましい。
本発明によれば、外装筺体の外部から侵入する塵埃等を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係るプロジェクターの使用例を示す図である。
【図2】上記プロジェクターを天面部側の前方から見た斜視図である。
【図3】上記プロジェクターを天面部側の後方から見た斜視図である。
【図4】上記プロジェクターを底面部側の後方から見た斜視図である。
【図5】上記プロジェクターのカバー部材を取り外した状態の斜視図である。
【図6】筺体本体部に収容される光学ユニットを後面部側からみた分解斜視図である。
【図7】上記光学ユニットの内部構成を模式的に示す断面図である。
【図8】上記光学ユニットを筺体本体部に収容した状態を示す斜視図である。
【図9】外装筺体3の内部を天面部11側から見た上面図である。
【図10】各吸気ファンのそれぞれのダクトを示す斜視図である。
【図11】吸気ファンをケーシングに固定した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下で用いる図面において、矢印FRはプロジェクター1の前方を示し、矢印UPはプロジェクター1の上方を示し、矢印RHはプロジェクター1の右方を示している。
【0014】
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の使用例を示す図である。
プロジェクター1は、スクリーン等の被投射面SCに光束PLを照射することで、PC(Personal Computer)などから受信される画像情報に応じた画像を被投射面SCに投影する。
図1に示すように、プロジェクター1は、例えば、その天面部11を下方に向けた状態で、天面部11とは反対側の底面部12が、被投射面SCの上方の壁面Hから水平方向に延びる金具2に支持されている。金具2は、壁面Hから離間・接近する方向に伸縮可能なアーム部2aを有しており、当該アーム部2aの伸縮により壁面Hからプロジェクター1までの距離が調整可能になっている。なお、プロジェクター1は、天面部11を上方に向けた状態で床面に載置して被投射面SCに画像を投影することも可能である。
【0015】
図2は、プロジェクター1を天面部11側の前方から見た斜視図であり、図3は、プロジェクター1を天面部11側の後方から見た斜視図である。さらに図4は、プロジェクター1を底面部12側の後方から見た斜視図である。
プロジェクター1は、その外装を構成する例えば合成樹脂製の外装筺体3を備える。外装筺体3は、その厚さ方向一側である上側に天面部11、他側である下側に底面部12を有している。また、外装筺体3は、その幅方向一側である左側に左側面部13、他側である右側に右側面部14を備え、前後方向一側である前側に前面部15、他側である後側に後面部16を有している。なお、上記前後方向は、プロジェクター1が金具2により被投射面SCに対して離間および近接される方向である。
【0016】
天面部11には、前後方向中央よりも後面部16側に、幅方向に延びる断面略V字状の凹部17が形成されている。凹部17は、後側に配置される第1傾斜面18及び、前側に配置される第2傾斜面(傾斜面)19を有している。天面部11には、後面部16から第1傾斜面18に至る範囲内の右側に操作パネル25が設けられている。この操作パネル25には、プロジェクター1を操作するための複数のキーが配設されている。
【0017】
第1傾斜面18には、その左側面部13側に、後述する光学ユニット50の反射部材59により反射された画像すなわち光束PLを通過させるための開口部21が形成されている。この開口部21は、外装筺体3の厚さ方向で最も外側となる最外側位置(図示せず)よりも底面部12側に配置されており、開口部21の周縁は、外装筺体3の内側に向かって傾斜して形成されている。開口部21を通過した光束PLは、外装筺体3の後方側から前方側斜め上方に向かって投射される。なお、第1傾斜面18には、ユーザが操作するレーザーポインタ(図示せず)の動きなどを検出するカメラ23が配置される第2開口部24が上述した開口部21の右側に形成される。プロジェクター1は、カメラ23の撮像結果に基づきレーザーポインタの軌跡を示す線などを被投射面SCに投影される画像上に重ねて表示する機能を有している。
【0018】
第2傾斜面19は、上述した開口部21から投射される光束PLを避けるための傾斜面であって、開口部21よりも光束PLの投射方向に位置し外装筺体3の厚さ方向に対して傾斜して形成されている。より具体的には、第2傾斜面19は、その後縁が上述した第1傾斜面18の最も底面部12側の下縁に接続され、光束PLの投射方向に向かうほど底面部12から離れるように傾斜して形成されている。
【0019】
左側面部13には、複数のスリット状の開口部31が略矩形の範囲に配列された第1吸気口32ならびに第2吸気口33が前後方向に並んで形成されている。第1吸気口32は、第2傾斜面19の側方に位置し、第2吸気口33は、第1吸気口32よりも前方側で且つ、第1吸気口32よりもやや天面部11側にずれて配置されている。なお、第1吸気口32の上方で且つ第2吸気口33の後方側のスペースには、吸気口開閉レバー34が配設されている。
【0020】
右側面部14には、上記第1吸気口32および第2吸気口33に略対向する位置、換言すれば、後述する光学ユニット50の光源装置51の光軸後方に、複数のスリット状の開口部35が略矩形の範囲に配列された排気口36が形成される。この排気口36には、外装筺体3内部に取り込まれた冷却空気を一括排気する排気ファンユニット47(図6参照)が取り付けられている。
【0021】
後面部16には、上記操作パネル25の天面部11側の後方位置に、複数の丸孔37が略矩形の範囲に配列されたスピーカー用のメッシュ部38が形成されている。このメッシュ部38の内部には、スピーカーユニットS(図9参照)が配置され、このメッシュ部38を介してスピーカーユニットSからの音声出力が外装筺体3の外部へと伝達されるようになっている。
【0022】
底面部12には、複数のボス39が形成されており、これらボス39は、金具2のアーム部2aの複数の取付座(図示せず)にそれぞれ対向する位置に配置され、ボス39にアーム部2aの取付座を当接させてビス等で締結することで、プロジェクター1が金具2を介して壁面Hに支持されていわゆる壁掛け状態又は天吊り状態とすることができる。さらに底面部12には、その前面部15側に、メンテナンス用の蓋体40が着脱可能に取り付けられている。この蓋体40は、底面部12から下方に突出して形成されており、この突出する部分は、プロジェクター1が金具2に支持される箇所を避けて当該箇所よりも前面部15側に配置されている。蓋体40の突出する部分は、プロジェクター1が金具2に支持された状態において、金具2と底面部12との間に生じる隙間に配置され、上記隙間を有効利用することが可能となっている(図1参照)。なお、この蓋体40は、水平面41を有しており、プロジェクター1を床面に載置して使用する際に、底面部12の前方側の凸部42とともに外装筺体3を下方から支持する脚部として機能する。
【0023】
図5は、プロジェクター1のカバー部材43を取り外した状態の斜視図である。
図5に示すように、外装筺体3は、第1傾斜面18の右側の一部を構成する壁部43aと、第2傾斜面19の右側の一部を構成する壁部43bと、右側面部14の排気口36よりも後方側の一部を構成する壁部43cとを有するカバー部材43を着脱可能に備えている。このカバー部材43は、外装筺体3の筺体本体部44に対して側方から着脱可能とされる。このカバー部材43の底面部12側には、ケーブル挿通用の底部開口部45が形成されており、カバー部材43の内側の筺体本体部44側には、複数の外部端子を備えるインターフェース部46が配設されている。
【0024】
図6は、プロジェクター1の筺体本体部44に収容される光学ユニット50を後面部16側からみた分解斜視図である。
図6に示す光学ユニット50は、プロジェクター1の装置本体を構成し、上下分割可能な筺体本体部44の内部に収容される。装置本体は、光学ユニット50の他、光学ユニット50や電源ユニットなどを冷却する冷却機構、光学ユニット50や冷却機構などに電力を供給する電源ユニット(図示せず)、および、これら光学ユニット50、電源ユニット、冷却機構の駆動制御を行う制御ユニット(図示せず)などを備える。
【0025】
光学ユニット50は、光源装置51と、光源装置51からの光束PLを均一化する均一照明光学装置52と、赤、緑、青の3色の色光に分離する色分離光学装置53と、色分離光学装置53により分離された光束PLをそれぞれ色光毎に外部から入力される画像情報に応じて変調して合成する光変調装置55と、合成された光束PLを被投射面SCに投射する投射光学装置56等を備えている。
【0026】
ここで、外装筺体3の前後方向一側である前面部15側には、外装筺体3の幅方向一側である右側面部14側に光源装置51が配置されるとともに、外装筺体3の幅方向他側である左側面部13側に色分離光学装置53と光変調装置55とが配置される。さらに、左側面部側には、投射光学装置56が前後方向に延在して配置されている。つまり、光学ユニット50は、天面部11あるいは底面部12側から見て略L字状に形成されている。なお、図6では、筺体本体部44のロアケースのみを示しており、符号「47」は、排気口36の内側に配設される排気ファンユニットである。
【0027】
図7は、光学ユニット50の光学系を模式的に示す模式図である。
光源装置51は、均一照明光学装置52に向けて光束PLを射出する。光源装置51は、光源としての光源ランプ511およびリフレクタ512を有する光源装置本体51Aと、平行化レンズ513と、これら各部材511〜513を内部に収納して一体化するハウジング部材514とを備えて構成される。光源ランプ511は、外装筺体3の幅方向に、光束PLを射出する。なお、図7中、符号「A」は光束PLの光軸を示している。
【0028】
均一照明光学装置52は、光源装置51から射出された光束PLを、光変調装置55を構成する光変調素子としての液晶ライトバルブ551の画像形成領域に略均一に照明するための光学系である。この均一照明光学装置52は、第1レンズアレイ521と、第2レンズアレイ522と、偏光変換素子523と、重畳レンズ524とを備える。また、フィールドレンズ525は、第2レンズアレイ522から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。
【0029】
色分離光学装置53は、2枚のダイクロイックミラー531,532と、反射ミラー533とを備え、ダイクロイックミラー531,532により均一照明光学装置52から射出された複数の部分光束を、赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。ダイクロイックミラー531では、青色光が分離され、青色光は反射ミラー533で反射されて液晶ライトバルブ551Bへ導かれる。ダイクロイックミラー532では緑色光と赤色光が分離され、緑色光は液晶ライトバルブ551Gへ導かれる。色分離光学装置53は、さらにリレー光学装置54を備えている。リレー光学装置54は、入射側レンズ541、リレーレンズ543、および反射ミラー542,544を備え、色分離光学装置53で分離された赤色光を光変調装置55の液晶パネル551Rまで導く機能を有している。
【0030】
光変調装置55は、光源装置51から射出され入射される光束PLを画像情報に応じて変調するものである。この光変調装置55は、3枚の液晶ライトバルブ551(赤色光用の液晶ライトバルブを551R、緑色光用の液晶ライトバルブを551G、青色光用の液晶ライトバルブを551Bとする)と、各液晶ライトバルブ551の光束入射側および光束射出側にそれぞれ配置される入射側偏光板552および射出側偏光板553を備える。
色合成光学装置554は各色の光変調装置55で変調された光束PLを合成するものであり、クロスダイクロイックプリズム554によって構成される。
【0031】
図8は、投射光学装置56の内部構成を模式的に示す断面図である。
図8に示すように、投射光学装置56は、光変調装置55を介した光源装置51からの光束PLが入射される複数のレンズ58と、レンズ58からの光束PLを反射する反射面59Aを有する反射部材59と、レンズ58及び反射部材59を収容する収容部材60とを有する。
反射面59Aは、凹面を含み、反射部材59は、非球面ミラーである(以下、反射部材59を適宜、非球面ミラー59と称する)。反射面59Aは、回転対称でない自由曲面形状の反射面であり、非球面ミラー59は、投射光学装置56における光路最下流において、反射面59Aが斜め上方を向くように配置される。非球面ミラー59は、複数のレンズ58により導かれた光束PLを反射して、図8中の斜め上方側に折り返すとともに広角化する。
【0032】
投射開口部61及び開口部21は、収容部材60の上方側に配置され、非球面ミラー59で反射した光束PLを通過させることができる。投射光学装置56は、非球面ミラー59で反射した光PLが、収容部材60の上方側において投射開口部61及び開口部21を通過できるように、外装筺体3の内部に設置される。非球面ミラー59(反射面59A)は、レンズ58からの光束PLを反射して、投射開口部61及び開口部21へ導く。投射開口部61は、光束PLを透過可能な透過部材22により閉塞されている。反射部材59からの光束PLは、投射開口部61の透過部材22を通過した後、開口部21を通過して、外装筺体3の外部空間に射出される。
投射開口部61は、非球面ミラー59の反射面59Aで反射した光束PLが集光する集光点Pの近傍に形成され、これにより投射開口部61の面積を小さくすることが可能となっている。
【0033】
図9は、外装筺体3の内部を天面部11側から見た上面図である。
図9に示すように、上述した第1吸気口32および第2吸気口33には、吸入される空気から塵埃等を除去するエアーフィルター65が取り付けられている。このエアーフィルター65は、第1吸気口32用のものと第2吸気口33用のものとが一体的に形成されてユニット化されている。
【0034】
外装筺体3の内部には、冷却機構を構成する3つの吸気ファン66R,66G,66Bが収容されている。これら吸気ファン66R,66G,66Bは、上述した光学ユニット50の液晶ライトバルブ551R,551G,551Bにそれぞれ対応しており、吸気ファン66Rは液晶ライトバルブ551Rに冷却風を供給し、吸気ファン66Gは液晶ライトバルブ551Gに冷却風を供給し、吸気ファン66Bは液晶ライトバルブ551Bに冷却風を供給する。これら吸気ファン66R,66G,66Bにより供給された冷却風はそれぞれ液晶ライトバルブ551R,551G,551Bを冷却した後、光源装置51の光軸後側に配置された排気ファンユニット47により外装筺体3の外部に排出される。
【0035】
吸気ファン66Rは、その軸方向の片側の吸入部661Rから空気を吸入できるいわゆる片吸いタイプの遠心ファン(換言すれば、シロッコファン)であり、吸入部661Rが第1吸気口32を向くように投射光学装置56と第1吸気口32との間に配置されている。吸気ファン66Gと吸気ファン66Bとは、その軸方向の両側の吸入部661R,662R,661G,662Gから空気を吸入できるいわゆる両吸いタイプの遠心ファン(換言すれば、シロッコファン)である。2つの両吸いタイプの遠心ファンのうち、一方の吸気ファン66Gは、その軸方向を外装筺体3の厚さ方向に沿わせるように外装筺体3の厚さ方向の一方の面である底面部12と光学ユニット50との間に配置され、他方の吸気ファン66Bは、その軸方向が外装筺体3の厚さ方向と直交するように外装筺体3の前後方向の一方の面である前面部15と光学ユニット50との間に配置されている。なお、図9中、吸気ファン66Rと吸気ファン66Bの軸を一点鎖線で示している。また、符号「66L」は光源装置51を冷却するための光源用冷却ファンである。
【0036】
図10は、各吸気ファン66R,66G,66Bのそれぞれのダクトを示す斜視図である。
図10に示すように、吸気ファン66R,66G,66Bのそれぞれに対応するダクト67R、67G、67Bは、光学ユニット50と底面部12との間に配索されるように、底面部12に沿うように延在して形成されている。
吸気ファン66Rの吸気出口68Rは、底面部12側に配置され、吸気ファン66G側を向いて開口している。この吸気出口68Rに接続されるダクト67Rは、外装筺体3の幅方向の内側に向かって湾曲しており、赤色の液晶ライトバルブ551Rの底面部12側の位置で天面部11側に向かって開口部69Rが開口している。
【0037】
吸気ファン66Gの吸気出口68Gは、吸気ファン66R側に配置され、外装筺体3の幅方向の内側に向くように開口している。この吸気出口68Gに接続されるダクト67Gは、外装筺体3の幅方向内側に向かって延在しており、緑色の液晶ライトバルブ551Gの底面部12側の位置で天面部11側に向かって開口部69Gが開口している。
【0038】
吸気ファン66Bの吸気出口68Bは、外装筺体3の幅方向内側の斜め後方に向かって開口している。この吸気出口68Bに接続されるダクト67Bは、外装筺体3の幅方向内側の斜め後方に向かって延出した後、外装筺体3の後面部16側に向かって湾曲する。そして、後面部16側に延びた後、青色の液晶ライトバルブ551Bの底面部12側の位置で天面部11側に向かって開口部69Bが開口している。なお、上述したダクト67R,67G,67Bは、開口部69R,69G,69Bの近傍においてそれぞれ一体的に形成されている。
【0039】
ダクト67Bにおける吸気ファン66Bに接続される管部71からは、上記偏光変換素子523へ冷却風を導く偏光変換素子用管部72が分岐して形成される。より具体的には、吸気ファン66Bに接続されるダクト67Bは、上述した湾曲部分の径方向外側から偏光変換素子523の底面部12側の位置に至る分岐ダクト73を備え、この分岐ダクト73が上記偏光変換素子523を冷却するための冷却風を導く偏光変換素子用管部72を備えている。分岐ダクト73は、偏光変換素子523の底面部12側の位置で天面部11側に向かって開口部74が開口している。なお、図10においては、図示都合上、ケーシング75を省略している。
【0040】
図11は、吸気ファン66R,66G,66Bをケーシング75に固定した状態を示す斜視図である。
図11に示すように、吸気ファン66R,66G,66Bは、ケーシング75にビス等を介してそれぞれ固定されてユニット化されている。ケーシング75は、上述したエアーフィルター65の周縁を囲う周壁部76を有している。この周壁部76の端縁は、エアーフィルター65の周縁に全周に亘って当接することで、エアーフィルター65を介さずに冷却空気が吸入されるのを防止している。
【0041】
さらに、ケーシング75は、吸気ファン66R,66G,66Bへの吸気ルートを相互に分離する隔壁77,78を備えている。これら隔壁77,78は、その端縁が、エアーフィルター65に当接するようになっており、この構成により、ケーシング75内における吸気ルートが分離され、吸気ファン66R,66G,66Bに吸入されるそれぞれの空気は、エアーフィルター65の全領域のうち、吸気ファン66R,66G,66Bに対応した各領域から吸入されるようになっている。
【0042】
また、ケーシング75は、両吸いタイプの吸気ファン66G,66Bを覆う両吸いファン格納部79,80を備えている。吸気ファン66Gと吸気ファン66Bは図11に示すように第2吸気口33側からみて、片側の吸入部661G,661Bしか見えていない。すなわち第2吸気口33から直接吸入されるのは光学ユニット50側の吸入部661G,661Bのみとなる。反対側の吸入部662G,662Bはファン格納部79,80に所定の空間を有して覆われている。空間を有して覆われることで、反対側の吸入部662G,662Bにも第2吸気口33を通り、第2吸気口33に面する吸入部661G,661Bに吸入されていない空気も、吸気ファン66G,66Bに吸入される。よって両吸いタイプの吸気ファン66G,66Bの吸入部が片側しか第2吸気口33と直接通じていなくても吸気能力が向上する。
また、この両吸いファン格納部79,80により、吸気ファン66G、ならびに吸気ファン66Bを覆っていることで、吸気ファン66G,66Bにより吸入される空気は、外装筺体3内部から吸入されること無く、略全てエアーフィルター65を介して外装筺体3の外部から吸入されることとなる。
【0043】
以上説明した本実施形態のプロジェクター1によれば、投射光学装置56と第1吸気口32との間に吸気ファン66Rを配置することができるため、投射光学装置56と第1吸気口32との間のデッドスペースを有効利用することができ、外装筺体3の幅方向の寸法が増大するのを防止することができる。
また、両吸いタイプの吸気ファン66G,66Bの第2吸気口33側とは反対側(光学ユニット50側とは反対側)の吸入部662G,662Bをファン格納部79,80に格納することによって吸気ファン66G,66Bの吸入部661G,661Bが片側しか直接第2吸気口33と通じていなくても吸気能力を向上させることができる。よって吸入空気量を増加させることができるため、片吸いタイプの吸気ファンと同じ吸入空気量で駆動させた場合、両吸いタイプの吸気ファン66G,66Bの回転数を低下させて低騒音化することができる。
さらに、外装筺体3の幅寸法の小型化には影響を及ぼさない位置である光学ユニット50と外装筺体3の底面部12との間に両吸いタイプの吸気ファン66Gを設け、光学ユニット50と外装筺体3の前面部15との間に両吸いタイプの吸気ファン66Bを設けることで、設置スペースの必要な両吸いタイプの吸気ファン66G、66Bを設置してもプロジェクター1の商品性を犠牲にすることなくプロジェクター1の冷却効率を向上させることができる。
そして、両吸いタイプの吸気ファン66G,66Bの場合には、塵埃の吸入防止のためのケーシング75により吸気ファン66G,66Bを囲う必要があるが、光学ユニット50と外装筺体3の底面部12との間、ならびに光学ユニット50と外装筺体3の前面部15との間に配置することで、ケーシング75を設置するためのスペースを十分に確保することができる。
【0044】
さらに、吸気ファン66R,66G,66Bが光変調装置55に比較的近い位置に配置されるため、ダクト長を短縮化して流路抵抗を低減し、吸気ファン66R,66G,66Bによる冷却効率を向上させることができる。
【0045】
そして、吸気ファン66Bが接続されているダクト67Bの管部71から偏光変換素子用管部72が分岐しているため、液晶ライトバルブ551Bを冷却する吸気ファン66Bを用いて偏光変換素子523も冷却することができる。この結果、偏光変換素子用の吸気ファンを設ける場合と比較して、部品点数を削減して装置が複雑化するのを防止し外装筺体3の小型化を図ることができる。また、片吸いタイプの吸気ファンを1つだけ使用して液晶ライトバルブ551と偏光変換素子523との両方を冷却する場合と比較して、吸入空気量の多い両吸いタイプの吸気ファンを1つだけ使用していることで、吸気ファン66Bの回転数を抑制することができるため、騒音低減を図ることができる。
【0046】
隔壁77,78により吸気ファン66R,66G,66B毎に吸気口が分離されるため、例えば、外部から空気を吸入する時の各吸気ファン66R,66G,66Bの回転数の違いや、吸入性能の違いなどにより吸気ファン66R,66G,66B同士が互いの吸入空気量に影響を与えるのを抑制することができる。
また、ダクト67R,67G,67Bが光学ユニット50と底面部12との間に配索されていることで、光学ユニット50と底面部12との間のスペースを有効利用して、外装筺体3の平面サイズが増加するのを防止することができる。
さらに、エアーフィルター65によって外装筺体3の外部から侵入する塵埃等を確実に除去することができる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0048】
3…外装筺体、32…第1吸気口、33…第2吸気口、50…光学ユニット、51…光源装置、53…色分離光学装置、55…光変調装置、56…投射光学装置、65…エアーフィルター、66R,66G,66B…吸気ファン、67R、67G、67B…ダクト、71…管部、72…偏光変換素子用管部、77,78…隔壁、SC…被投射面、PL…光束
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像情報に応じた画像をスクリーンなどの被投射面上に投射する光学ユニットと、この光学ユニットを内部に収容する外装筺体とを備えたプロジェクターにおいては、液晶ライトバルブなどの発熱部品を冷却するために冷却装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。
また、プロジェクターと被投射面との距離を短縮するべく、反射ミラーにより画像を反射させてから画像光を投射させるいわゆる超短焦点タイプのプロジェクターが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−242135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、上述した従来のプロジェクターにあっては、商品性を向上するべく外装筺体とりわけ幅寸法の更なる小型化が要望されている。しかし、上記プロジェクターは比較的大型な吸気ファンを有しているため、吸気ファン用の設置スペースを確保する必要があり外装筺体の小型化が困難になっているという課題がある。
一方、上記吸気ファンを比較的小型な吸気ファンに置き換えることも考えられるが、小型の吸気ファンで大型の吸気ファンと同じ吸入空気量を確保しようとすると、回転数が高くなり騒音が大きくなってしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、低騒音化を図るとともに、外装筺体の小型化を図ることができるプロジェクターを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、上記課題を解決するために、光束を射出する光源装置と、 前記光束を画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、該光変調装置により変調された光束を被投射面に投射する投射光学装置とを有する光学ユニットと、該光学ユニットを収容する外装筺体と、前記光変調装置にそれぞれ対応した複数の吸気ファンとを備え、前記外装筺体の前後方向一側且つ、前記外装筺体の幅方向一側に前記光源装置が配置されるとともに、幅方向他側に前記光変調装置が配置され、前記外装筺体の幅方向他側には、前記投射光学装置が前後方向に延在して配置され、前記複数の吸気ファンは、軸方向の両方から吸入する2つの両吸いタイプの吸気ファンを含み、前記外装筺体の幅方向他側の側面には吸気口が設けられ、前記2つの両吸いタイプの吸気ファンのうち、一方のファンは、その軸方向を前記外装筺体の厚さ方向に沿わせるように前記外装筺体の厚さ方向の一方の面と前記光学ユニットとの間に配置され、他方のファンは、その軸方向が前記外装筺体の厚さ方向と直交するように前記外装筺体の前後方向の一方の面と前記光学ユニットとの間に配置されていることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、外装筺体の幅寸法の小型化には影響を及ぼさない光学ユニットと外装筺体の厚さ方向の一方の面との間、および、光学ユニットと外装筺体の前後方向の一方の面との間に両吸いタイプの吸気ファンを設けることで、デッドスペースを有効利用することができ、外装筺体の幅方向の寸法が増大するのを防止することができる。また、両吸いタイプの吸気ファンを設けることで、片吸いタイプの吸気ファンよりも吸入空気量を増加させることができるため、片吸いタイプの吸気ファンと同じ吸入空気量で駆動させた場合、両吸いタイプの吸気ファンの回転数を低下させて低騒音化することができる。なお、両吸いタイプの吸気ファンの場合には、塵埃の吸入防止のためのケーシング等により吸気ファンを囲う必要があるが、光学ユニットと外装筺体の厚さ方向の一方の面との間に吸気ファンを配置することで、ケーシング等を設置するためのスペースを十分に確保することができる。
【0008】
また、前記両吸いタイプの吸気ファンの前記光学ユニット側とは反対側には前記両吸いタイプの吸気ファンを所定の空間を有して覆うファン格納部が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、両吸いタイプの吸気ファンの前記光学ユニット側とは反対側には両吸いタイプの吸気ファンを所定の空間を有して覆うファン格納部が設けられているため、両吸いタイプの吸気ファン吸入部が片側しか直接吸気口と通じていなくても吸気能力を向上させることができる。よって吸入空気量を増加させることができるため、片吸いタイプの吸気ファンと同じ吸入空気量で駆動させた場合、両吸いタイプの吸気ファンの回転数を低下させて低騒音化することができる。
【0009】
また、前記複数の吸気ファンには、前記光変調装置の対応する光変調素子に冷却風を導くダクトが接続されていることが好ましい。
本発明によれば、複数の吸気ファンが光変調装置に比較的近い位置に配置されるため、ダクト長を短縮化して流路抵抗を低減し、吸気ファンによる冷却効率を向上させることができる。
【0010】
また、前記ダクトは、前記外装筺体の厚さ方向の一方の面と前記光学ユニットとの間に配索されていることが好ましい。
本発明によれば、光学ユニットと外装筺体の厚さ方向の一方の面との間のスペースを有効利用して外装筺体の平面サイズが増加するのを防止することができる。
【0011】
また、前記吸気口には、前記複数の吸気ファンへの吸気ルートを相互に分離する隔壁が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、隔壁により複数の吸気ファン毎に吸気口が分離されるため、例えば、外部から空気を吸入する時の吸気ファン毎の回転数の違いや、吸入性能の違いなどにより、吸気ファン同士が互いの吸入空気量に影響を与えるのを抑制することができる。
また、前記吸気口には、エアーフィルターが設けられていることが好ましい。
本発明によれば、外装筺体の外部から侵入する塵埃等を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係るプロジェクターの使用例を示す図である。
【図2】上記プロジェクターを天面部側の前方から見た斜視図である。
【図3】上記プロジェクターを天面部側の後方から見た斜視図である。
【図4】上記プロジェクターを底面部側の後方から見た斜視図である。
【図5】上記プロジェクターのカバー部材を取り外した状態の斜視図である。
【図6】筺体本体部に収容される光学ユニットを後面部側からみた分解斜視図である。
【図7】上記光学ユニットの内部構成を模式的に示す断面図である。
【図8】上記光学ユニットを筺体本体部に収容した状態を示す斜視図である。
【図9】外装筺体3の内部を天面部11側から見た上面図である。
【図10】各吸気ファンのそれぞれのダクトを示す斜視図である。
【図11】吸気ファンをケーシングに固定した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下で用いる図面において、矢印FRはプロジェクター1の前方を示し、矢印UPはプロジェクター1の上方を示し、矢印RHはプロジェクター1の右方を示している。
【0014】
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の使用例を示す図である。
プロジェクター1は、スクリーン等の被投射面SCに光束PLを照射することで、PC(Personal Computer)などから受信される画像情報に応じた画像を被投射面SCに投影する。
図1に示すように、プロジェクター1は、例えば、その天面部11を下方に向けた状態で、天面部11とは反対側の底面部12が、被投射面SCの上方の壁面Hから水平方向に延びる金具2に支持されている。金具2は、壁面Hから離間・接近する方向に伸縮可能なアーム部2aを有しており、当該アーム部2aの伸縮により壁面Hからプロジェクター1までの距離が調整可能になっている。なお、プロジェクター1は、天面部11を上方に向けた状態で床面に載置して被投射面SCに画像を投影することも可能である。
【0015】
図2は、プロジェクター1を天面部11側の前方から見た斜視図であり、図3は、プロジェクター1を天面部11側の後方から見た斜視図である。さらに図4は、プロジェクター1を底面部12側の後方から見た斜視図である。
プロジェクター1は、その外装を構成する例えば合成樹脂製の外装筺体3を備える。外装筺体3は、その厚さ方向一側である上側に天面部11、他側である下側に底面部12を有している。また、外装筺体3は、その幅方向一側である左側に左側面部13、他側である右側に右側面部14を備え、前後方向一側である前側に前面部15、他側である後側に後面部16を有している。なお、上記前後方向は、プロジェクター1が金具2により被投射面SCに対して離間および近接される方向である。
【0016】
天面部11には、前後方向中央よりも後面部16側に、幅方向に延びる断面略V字状の凹部17が形成されている。凹部17は、後側に配置される第1傾斜面18及び、前側に配置される第2傾斜面(傾斜面)19を有している。天面部11には、後面部16から第1傾斜面18に至る範囲内の右側に操作パネル25が設けられている。この操作パネル25には、プロジェクター1を操作するための複数のキーが配設されている。
【0017】
第1傾斜面18には、その左側面部13側に、後述する光学ユニット50の反射部材59により反射された画像すなわち光束PLを通過させるための開口部21が形成されている。この開口部21は、外装筺体3の厚さ方向で最も外側となる最外側位置(図示せず)よりも底面部12側に配置されており、開口部21の周縁は、外装筺体3の内側に向かって傾斜して形成されている。開口部21を通過した光束PLは、外装筺体3の後方側から前方側斜め上方に向かって投射される。なお、第1傾斜面18には、ユーザが操作するレーザーポインタ(図示せず)の動きなどを検出するカメラ23が配置される第2開口部24が上述した開口部21の右側に形成される。プロジェクター1は、カメラ23の撮像結果に基づきレーザーポインタの軌跡を示す線などを被投射面SCに投影される画像上に重ねて表示する機能を有している。
【0018】
第2傾斜面19は、上述した開口部21から投射される光束PLを避けるための傾斜面であって、開口部21よりも光束PLの投射方向に位置し外装筺体3の厚さ方向に対して傾斜して形成されている。より具体的には、第2傾斜面19は、その後縁が上述した第1傾斜面18の最も底面部12側の下縁に接続され、光束PLの投射方向に向かうほど底面部12から離れるように傾斜して形成されている。
【0019】
左側面部13には、複数のスリット状の開口部31が略矩形の範囲に配列された第1吸気口32ならびに第2吸気口33が前後方向に並んで形成されている。第1吸気口32は、第2傾斜面19の側方に位置し、第2吸気口33は、第1吸気口32よりも前方側で且つ、第1吸気口32よりもやや天面部11側にずれて配置されている。なお、第1吸気口32の上方で且つ第2吸気口33の後方側のスペースには、吸気口開閉レバー34が配設されている。
【0020】
右側面部14には、上記第1吸気口32および第2吸気口33に略対向する位置、換言すれば、後述する光学ユニット50の光源装置51の光軸後方に、複数のスリット状の開口部35が略矩形の範囲に配列された排気口36が形成される。この排気口36には、外装筺体3内部に取り込まれた冷却空気を一括排気する排気ファンユニット47(図6参照)が取り付けられている。
【0021】
後面部16には、上記操作パネル25の天面部11側の後方位置に、複数の丸孔37が略矩形の範囲に配列されたスピーカー用のメッシュ部38が形成されている。このメッシュ部38の内部には、スピーカーユニットS(図9参照)が配置され、このメッシュ部38を介してスピーカーユニットSからの音声出力が外装筺体3の外部へと伝達されるようになっている。
【0022】
底面部12には、複数のボス39が形成されており、これらボス39は、金具2のアーム部2aの複数の取付座(図示せず)にそれぞれ対向する位置に配置され、ボス39にアーム部2aの取付座を当接させてビス等で締結することで、プロジェクター1が金具2を介して壁面Hに支持されていわゆる壁掛け状態又は天吊り状態とすることができる。さらに底面部12には、その前面部15側に、メンテナンス用の蓋体40が着脱可能に取り付けられている。この蓋体40は、底面部12から下方に突出して形成されており、この突出する部分は、プロジェクター1が金具2に支持される箇所を避けて当該箇所よりも前面部15側に配置されている。蓋体40の突出する部分は、プロジェクター1が金具2に支持された状態において、金具2と底面部12との間に生じる隙間に配置され、上記隙間を有効利用することが可能となっている(図1参照)。なお、この蓋体40は、水平面41を有しており、プロジェクター1を床面に載置して使用する際に、底面部12の前方側の凸部42とともに外装筺体3を下方から支持する脚部として機能する。
【0023】
図5は、プロジェクター1のカバー部材43を取り外した状態の斜視図である。
図5に示すように、外装筺体3は、第1傾斜面18の右側の一部を構成する壁部43aと、第2傾斜面19の右側の一部を構成する壁部43bと、右側面部14の排気口36よりも後方側の一部を構成する壁部43cとを有するカバー部材43を着脱可能に備えている。このカバー部材43は、外装筺体3の筺体本体部44に対して側方から着脱可能とされる。このカバー部材43の底面部12側には、ケーブル挿通用の底部開口部45が形成されており、カバー部材43の内側の筺体本体部44側には、複数の外部端子を備えるインターフェース部46が配設されている。
【0024】
図6は、プロジェクター1の筺体本体部44に収容される光学ユニット50を後面部16側からみた分解斜視図である。
図6に示す光学ユニット50は、プロジェクター1の装置本体を構成し、上下分割可能な筺体本体部44の内部に収容される。装置本体は、光学ユニット50の他、光学ユニット50や電源ユニットなどを冷却する冷却機構、光学ユニット50や冷却機構などに電力を供給する電源ユニット(図示せず)、および、これら光学ユニット50、電源ユニット、冷却機構の駆動制御を行う制御ユニット(図示せず)などを備える。
【0025】
光学ユニット50は、光源装置51と、光源装置51からの光束PLを均一化する均一照明光学装置52と、赤、緑、青の3色の色光に分離する色分離光学装置53と、色分離光学装置53により分離された光束PLをそれぞれ色光毎に外部から入力される画像情報に応じて変調して合成する光変調装置55と、合成された光束PLを被投射面SCに投射する投射光学装置56等を備えている。
【0026】
ここで、外装筺体3の前後方向一側である前面部15側には、外装筺体3の幅方向一側である右側面部14側に光源装置51が配置されるとともに、外装筺体3の幅方向他側である左側面部13側に色分離光学装置53と光変調装置55とが配置される。さらに、左側面部側には、投射光学装置56が前後方向に延在して配置されている。つまり、光学ユニット50は、天面部11あるいは底面部12側から見て略L字状に形成されている。なお、図6では、筺体本体部44のロアケースのみを示しており、符号「47」は、排気口36の内側に配設される排気ファンユニットである。
【0027】
図7は、光学ユニット50の光学系を模式的に示す模式図である。
光源装置51は、均一照明光学装置52に向けて光束PLを射出する。光源装置51は、光源としての光源ランプ511およびリフレクタ512を有する光源装置本体51Aと、平行化レンズ513と、これら各部材511〜513を内部に収納して一体化するハウジング部材514とを備えて構成される。光源ランプ511は、外装筺体3の幅方向に、光束PLを射出する。なお、図7中、符号「A」は光束PLの光軸を示している。
【0028】
均一照明光学装置52は、光源装置51から射出された光束PLを、光変調装置55を構成する光変調素子としての液晶ライトバルブ551の画像形成領域に略均一に照明するための光学系である。この均一照明光学装置52は、第1レンズアレイ521と、第2レンズアレイ522と、偏光変換素子523と、重畳レンズ524とを備える。また、フィールドレンズ525は、第2レンズアレイ522から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。
【0029】
色分離光学装置53は、2枚のダイクロイックミラー531,532と、反射ミラー533とを備え、ダイクロイックミラー531,532により均一照明光学装置52から射出された複数の部分光束を、赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。ダイクロイックミラー531では、青色光が分離され、青色光は反射ミラー533で反射されて液晶ライトバルブ551Bへ導かれる。ダイクロイックミラー532では緑色光と赤色光が分離され、緑色光は液晶ライトバルブ551Gへ導かれる。色分離光学装置53は、さらにリレー光学装置54を備えている。リレー光学装置54は、入射側レンズ541、リレーレンズ543、および反射ミラー542,544を備え、色分離光学装置53で分離された赤色光を光変調装置55の液晶パネル551Rまで導く機能を有している。
【0030】
光変調装置55は、光源装置51から射出され入射される光束PLを画像情報に応じて変調するものである。この光変調装置55は、3枚の液晶ライトバルブ551(赤色光用の液晶ライトバルブを551R、緑色光用の液晶ライトバルブを551G、青色光用の液晶ライトバルブを551Bとする)と、各液晶ライトバルブ551の光束入射側および光束射出側にそれぞれ配置される入射側偏光板552および射出側偏光板553を備える。
色合成光学装置554は各色の光変調装置55で変調された光束PLを合成するものであり、クロスダイクロイックプリズム554によって構成される。
【0031】
図8は、投射光学装置56の内部構成を模式的に示す断面図である。
図8に示すように、投射光学装置56は、光変調装置55を介した光源装置51からの光束PLが入射される複数のレンズ58と、レンズ58からの光束PLを反射する反射面59Aを有する反射部材59と、レンズ58及び反射部材59を収容する収容部材60とを有する。
反射面59Aは、凹面を含み、反射部材59は、非球面ミラーである(以下、反射部材59を適宜、非球面ミラー59と称する)。反射面59Aは、回転対称でない自由曲面形状の反射面であり、非球面ミラー59は、投射光学装置56における光路最下流において、反射面59Aが斜め上方を向くように配置される。非球面ミラー59は、複数のレンズ58により導かれた光束PLを反射して、図8中の斜め上方側に折り返すとともに広角化する。
【0032】
投射開口部61及び開口部21は、収容部材60の上方側に配置され、非球面ミラー59で反射した光束PLを通過させることができる。投射光学装置56は、非球面ミラー59で反射した光PLが、収容部材60の上方側において投射開口部61及び開口部21を通過できるように、外装筺体3の内部に設置される。非球面ミラー59(反射面59A)は、レンズ58からの光束PLを反射して、投射開口部61及び開口部21へ導く。投射開口部61は、光束PLを透過可能な透過部材22により閉塞されている。反射部材59からの光束PLは、投射開口部61の透過部材22を通過した後、開口部21を通過して、外装筺体3の外部空間に射出される。
投射開口部61は、非球面ミラー59の反射面59Aで反射した光束PLが集光する集光点Pの近傍に形成され、これにより投射開口部61の面積を小さくすることが可能となっている。
【0033】
図9は、外装筺体3の内部を天面部11側から見た上面図である。
図9に示すように、上述した第1吸気口32および第2吸気口33には、吸入される空気から塵埃等を除去するエアーフィルター65が取り付けられている。このエアーフィルター65は、第1吸気口32用のものと第2吸気口33用のものとが一体的に形成されてユニット化されている。
【0034】
外装筺体3の内部には、冷却機構を構成する3つの吸気ファン66R,66G,66Bが収容されている。これら吸気ファン66R,66G,66Bは、上述した光学ユニット50の液晶ライトバルブ551R,551G,551Bにそれぞれ対応しており、吸気ファン66Rは液晶ライトバルブ551Rに冷却風を供給し、吸気ファン66Gは液晶ライトバルブ551Gに冷却風を供給し、吸気ファン66Bは液晶ライトバルブ551Bに冷却風を供給する。これら吸気ファン66R,66G,66Bにより供給された冷却風はそれぞれ液晶ライトバルブ551R,551G,551Bを冷却した後、光源装置51の光軸後側に配置された排気ファンユニット47により外装筺体3の外部に排出される。
【0035】
吸気ファン66Rは、その軸方向の片側の吸入部661Rから空気を吸入できるいわゆる片吸いタイプの遠心ファン(換言すれば、シロッコファン)であり、吸入部661Rが第1吸気口32を向くように投射光学装置56と第1吸気口32との間に配置されている。吸気ファン66Gと吸気ファン66Bとは、その軸方向の両側の吸入部661R,662R,661G,662Gから空気を吸入できるいわゆる両吸いタイプの遠心ファン(換言すれば、シロッコファン)である。2つの両吸いタイプの遠心ファンのうち、一方の吸気ファン66Gは、その軸方向を外装筺体3の厚さ方向に沿わせるように外装筺体3の厚さ方向の一方の面である底面部12と光学ユニット50との間に配置され、他方の吸気ファン66Bは、その軸方向が外装筺体3の厚さ方向と直交するように外装筺体3の前後方向の一方の面である前面部15と光学ユニット50との間に配置されている。なお、図9中、吸気ファン66Rと吸気ファン66Bの軸を一点鎖線で示している。また、符号「66L」は光源装置51を冷却するための光源用冷却ファンである。
【0036】
図10は、各吸気ファン66R,66G,66Bのそれぞれのダクトを示す斜視図である。
図10に示すように、吸気ファン66R,66G,66Bのそれぞれに対応するダクト67R、67G、67Bは、光学ユニット50と底面部12との間に配索されるように、底面部12に沿うように延在して形成されている。
吸気ファン66Rの吸気出口68Rは、底面部12側に配置され、吸気ファン66G側を向いて開口している。この吸気出口68Rに接続されるダクト67Rは、外装筺体3の幅方向の内側に向かって湾曲しており、赤色の液晶ライトバルブ551Rの底面部12側の位置で天面部11側に向かって開口部69Rが開口している。
【0037】
吸気ファン66Gの吸気出口68Gは、吸気ファン66R側に配置され、外装筺体3の幅方向の内側に向くように開口している。この吸気出口68Gに接続されるダクト67Gは、外装筺体3の幅方向内側に向かって延在しており、緑色の液晶ライトバルブ551Gの底面部12側の位置で天面部11側に向かって開口部69Gが開口している。
【0038】
吸気ファン66Bの吸気出口68Bは、外装筺体3の幅方向内側の斜め後方に向かって開口している。この吸気出口68Bに接続されるダクト67Bは、外装筺体3の幅方向内側の斜め後方に向かって延出した後、外装筺体3の後面部16側に向かって湾曲する。そして、後面部16側に延びた後、青色の液晶ライトバルブ551Bの底面部12側の位置で天面部11側に向かって開口部69Bが開口している。なお、上述したダクト67R,67G,67Bは、開口部69R,69G,69Bの近傍においてそれぞれ一体的に形成されている。
【0039】
ダクト67Bにおける吸気ファン66Bに接続される管部71からは、上記偏光変換素子523へ冷却風を導く偏光変換素子用管部72が分岐して形成される。より具体的には、吸気ファン66Bに接続されるダクト67Bは、上述した湾曲部分の径方向外側から偏光変換素子523の底面部12側の位置に至る分岐ダクト73を備え、この分岐ダクト73が上記偏光変換素子523を冷却するための冷却風を導く偏光変換素子用管部72を備えている。分岐ダクト73は、偏光変換素子523の底面部12側の位置で天面部11側に向かって開口部74が開口している。なお、図10においては、図示都合上、ケーシング75を省略している。
【0040】
図11は、吸気ファン66R,66G,66Bをケーシング75に固定した状態を示す斜視図である。
図11に示すように、吸気ファン66R,66G,66Bは、ケーシング75にビス等を介してそれぞれ固定されてユニット化されている。ケーシング75は、上述したエアーフィルター65の周縁を囲う周壁部76を有している。この周壁部76の端縁は、エアーフィルター65の周縁に全周に亘って当接することで、エアーフィルター65を介さずに冷却空気が吸入されるのを防止している。
【0041】
さらに、ケーシング75は、吸気ファン66R,66G,66Bへの吸気ルートを相互に分離する隔壁77,78を備えている。これら隔壁77,78は、その端縁が、エアーフィルター65に当接するようになっており、この構成により、ケーシング75内における吸気ルートが分離され、吸気ファン66R,66G,66Bに吸入されるそれぞれの空気は、エアーフィルター65の全領域のうち、吸気ファン66R,66G,66Bに対応した各領域から吸入されるようになっている。
【0042】
また、ケーシング75は、両吸いタイプの吸気ファン66G,66Bを覆う両吸いファン格納部79,80を備えている。吸気ファン66Gと吸気ファン66Bは図11に示すように第2吸気口33側からみて、片側の吸入部661G,661Bしか見えていない。すなわち第2吸気口33から直接吸入されるのは光学ユニット50側の吸入部661G,661Bのみとなる。反対側の吸入部662G,662Bはファン格納部79,80に所定の空間を有して覆われている。空間を有して覆われることで、反対側の吸入部662G,662Bにも第2吸気口33を通り、第2吸気口33に面する吸入部661G,661Bに吸入されていない空気も、吸気ファン66G,66Bに吸入される。よって両吸いタイプの吸気ファン66G,66Bの吸入部が片側しか第2吸気口33と直接通じていなくても吸気能力が向上する。
また、この両吸いファン格納部79,80により、吸気ファン66G、ならびに吸気ファン66Bを覆っていることで、吸気ファン66G,66Bにより吸入される空気は、外装筺体3内部から吸入されること無く、略全てエアーフィルター65を介して外装筺体3の外部から吸入されることとなる。
【0043】
以上説明した本実施形態のプロジェクター1によれば、投射光学装置56と第1吸気口32との間に吸気ファン66Rを配置することができるため、投射光学装置56と第1吸気口32との間のデッドスペースを有効利用することができ、外装筺体3の幅方向の寸法が増大するのを防止することができる。
また、両吸いタイプの吸気ファン66G,66Bの第2吸気口33側とは反対側(光学ユニット50側とは反対側)の吸入部662G,662Bをファン格納部79,80に格納することによって吸気ファン66G,66Bの吸入部661G,661Bが片側しか直接第2吸気口33と通じていなくても吸気能力を向上させることができる。よって吸入空気量を増加させることができるため、片吸いタイプの吸気ファンと同じ吸入空気量で駆動させた場合、両吸いタイプの吸気ファン66G,66Bの回転数を低下させて低騒音化することができる。
さらに、外装筺体3の幅寸法の小型化には影響を及ぼさない位置である光学ユニット50と外装筺体3の底面部12との間に両吸いタイプの吸気ファン66Gを設け、光学ユニット50と外装筺体3の前面部15との間に両吸いタイプの吸気ファン66Bを設けることで、設置スペースの必要な両吸いタイプの吸気ファン66G、66Bを設置してもプロジェクター1の商品性を犠牲にすることなくプロジェクター1の冷却効率を向上させることができる。
そして、両吸いタイプの吸気ファン66G,66Bの場合には、塵埃の吸入防止のためのケーシング75により吸気ファン66G,66Bを囲う必要があるが、光学ユニット50と外装筺体3の底面部12との間、ならびに光学ユニット50と外装筺体3の前面部15との間に配置することで、ケーシング75を設置するためのスペースを十分に確保することができる。
【0044】
さらに、吸気ファン66R,66G,66Bが光変調装置55に比較的近い位置に配置されるため、ダクト長を短縮化して流路抵抗を低減し、吸気ファン66R,66G,66Bによる冷却効率を向上させることができる。
【0045】
そして、吸気ファン66Bが接続されているダクト67Bの管部71から偏光変換素子用管部72が分岐しているため、液晶ライトバルブ551Bを冷却する吸気ファン66Bを用いて偏光変換素子523も冷却することができる。この結果、偏光変換素子用の吸気ファンを設ける場合と比較して、部品点数を削減して装置が複雑化するのを防止し外装筺体3の小型化を図ることができる。また、片吸いタイプの吸気ファンを1つだけ使用して液晶ライトバルブ551と偏光変換素子523との両方を冷却する場合と比較して、吸入空気量の多い両吸いタイプの吸気ファンを1つだけ使用していることで、吸気ファン66Bの回転数を抑制することができるため、騒音低減を図ることができる。
【0046】
隔壁77,78により吸気ファン66R,66G,66B毎に吸気口が分離されるため、例えば、外部から空気を吸入する時の各吸気ファン66R,66G,66Bの回転数の違いや、吸入性能の違いなどにより吸気ファン66R,66G,66B同士が互いの吸入空気量に影響を与えるのを抑制することができる。
また、ダクト67R,67G,67Bが光学ユニット50と底面部12との間に配索されていることで、光学ユニット50と底面部12との間のスペースを有効利用して、外装筺体3の平面サイズが増加するのを防止することができる。
さらに、エアーフィルター65によって外装筺体3の外部から侵入する塵埃等を確実に除去することができる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0048】
3…外装筺体、32…第1吸気口、33…第2吸気口、50…光学ユニット、51…光源装置、53…色分離光学装置、55…光変調装置、56…投射光学装置、65…エアーフィルター、66R,66G,66B…吸気ファン、67R、67G、67B…ダクト、71…管部、72…偏光変換素子用管部、77,78…隔壁、SC…被投射面、PL…光束
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光束を射出する光源装置と、
前記光束を画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、
該光変調装置により変調された光束を被投射面に投射する投射光学装置と
を有する光学ユニットと、
該光学ユニットを収容する外装筺体と、
前記光変調装置にそれぞれ対応した複数の吸気ファンとを備え、
前記外装筺体の前後方向一側且つ、前記外装筺体の幅方向一側に前記光源装置が配置されるとともに、幅方向他側に前記光変調装置が配置され、
前記外装筺体の幅方向他側には、前記投射光学装置が前後方向に延在して配置され、
前記複数の吸気ファンは、軸方向の両方から吸入する2つの両吸いタイプの吸気ファンを含み、
前記外装筺体の幅方向他側の側面には吸気口が設けられ、
前記2つの両吸いタイプの吸気ファンのうち、一方のファンは、その軸方向を前記外装筺体の厚さ方向に沿わせるように前記外装筺体の厚さ方向の一方の面と前記光学ユニットとの間に配置され、他方のファンは、その軸方向が前記外装筺体の厚さ方向と直交するように前記外装筺体の前後方向の一方の面と前記光学ユニットとの間に配置されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記両吸いタイプの吸気ファンの前記光学ユニット側とは反対側には前記両吸いタイプの吸気ファンを所定の空間を有して覆うファン格納部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記複数の吸気ファンには、前記光変調装置の対応する光変調素子に冷却風を導くダクトが接続されている請求項1又は2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記ダクトは、前記外装筺体の厚さ方向の一方の面と前記光学ユニットとの間に配索されている請求項3に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記吸気口には、前記複数の吸気ファンへの吸気ルートを相互に分離する隔壁が設けられている請求項1乃至4の何れか一項に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記吸気口には、エアーフィルターが設けられている請求項1乃至5の何れか一項に記載のプロジェクター。
【請求項1】
光束を射出する光源装置と、
前記光束を画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、
該光変調装置により変調された光束を被投射面に投射する投射光学装置と
を有する光学ユニットと、
該光学ユニットを収容する外装筺体と、
前記光変調装置にそれぞれ対応した複数の吸気ファンとを備え、
前記外装筺体の前後方向一側且つ、前記外装筺体の幅方向一側に前記光源装置が配置されるとともに、幅方向他側に前記光変調装置が配置され、
前記外装筺体の幅方向他側には、前記投射光学装置が前後方向に延在して配置され、
前記複数の吸気ファンは、軸方向の両方から吸入する2つの両吸いタイプの吸気ファンを含み、
前記外装筺体の幅方向他側の側面には吸気口が設けられ、
前記2つの両吸いタイプの吸気ファンのうち、一方のファンは、その軸方向を前記外装筺体の厚さ方向に沿わせるように前記外装筺体の厚さ方向の一方の面と前記光学ユニットとの間に配置され、他方のファンは、その軸方向が前記外装筺体の厚さ方向と直交するように前記外装筺体の前後方向の一方の面と前記光学ユニットとの間に配置されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記両吸いタイプの吸気ファンの前記光学ユニット側とは反対側には前記両吸いタイプの吸気ファンを所定の空間を有して覆うファン格納部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記複数の吸気ファンには、前記光変調装置の対応する光変調素子に冷却風を導くダクトが接続されている請求項1又は2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記ダクトは、前記外装筺体の厚さ方向の一方の面と前記光学ユニットとの間に配索されている請求項3に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記吸気口には、前記複数の吸気ファンへの吸気ルートを相互に分離する隔壁が設けられている請求項1乃至4の何れか一項に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記吸気口には、エアーフィルターが設けられている請求項1乃至5の何れか一項に記載のプロジェクター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−41135(P2013−41135A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178270(P2011−178270)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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